(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、ドアミラーの代わりに、特許文献1のように、車両の側部に、該車両の後側方(ドアミラーの鏡面に写る範囲と同様の範囲)を撮影する撮影手段を設け、この撮影手段により撮影された撮影画像を、インストルメントパネル等に設けたディスプレイに表示させるようにして、ドアミラーをなくす試みがなされている。
【0005】
ここで、従来の車両のドアミラーにおいては、当該車両に対するその後方の他車両の接近が分かり難いという問題がある。すなわち、車両のドアミラーの鏡面に写る他車両の大きさは、当該車両と他車両との前後方向の車間距離が小さくなるに連れて大きくなり、当該車両のドライバは、この大きさの変化によって他車両が接近してくることを認識する。ところが、上記車間距離が所定距離よりも大きい場合には、該車間距離が一定量変化しても、ドアミラーの鏡面に写る他車両の大きさの変化量は小さくなる。それ故、上記他車両がかなりの速さで接近してきたとしても、ドアミラーの鏡面上では、他車両の大きさが殆ど変化しないため、ドライバは、その接近に気付かない可能性が高くなる。
【0006】
上記従来のドアミラーと同様に、車両の後側方を撮影する撮影手段により撮影された撮影画像をディスプレイに表示させる場合も、そのディスプレイを見るドライバは、上記車間距離が上記所定距離よりも大きい位置の他車両の接近が分かり難く、その接近に気付かない可能性が高くなる。
【0007】
そこで、上記撮影画像に対して上記特許文献1や2のような画像処理を行うことが考えられる。しかしながら、このような画像処理では、ドライバが他車両自体を認識し易くなる可能性はあるものの、他車両の接近を分かり易くするためには、改良の余地がある。
【0008】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両の後側方を撮影する撮影手段による撮影画像を表示手段に表示するに際して、車両のドライバに、該車両に対するその後方の他車両の接近を分かり易く伝えることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明では、車両の後側方を撮影する撮影手段を備えた、車両の後側方撮影装置を対象として、上記撮影手段により撮影された撮影画像において、上記車両が走行する車線に隣接する隣接車線の中央でかつ上記車両よりも後方の地点であって該車両との間の前後方向の距離が所定距離となる特定地点の位置を算出する特定地点算出手段と、上記撮影画像の、少なくとも、上記隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の領域である遠側領域において、画像拡大又は縮小処理を施す画像処理手段と、上記画像処理手段により画像拡大又は縮小処理が施された上記撮影画像を表示する表示手段とを備え、上記画像処理手段は、
上記撮影画像の上記遠側領域において、画像縮小処理を施すとともに、上記撮影画像の上記遠側領域の画像倍率を、該撮影画像の、上記隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の地点ほど、小さく設定するように構成されている、という構成とした。
【0010】
上記の構成により、上記撮影画像における上記遠側領域の画像倍率(画像拡大時は1よりも大きく、画像縮小時は1よりも小さくなる)が、上記撮影画像の、上記隣接車線における上記特定地点よりも上記車両(自車両ともいう)に対して遠い側の地点ほど、小さく設定されるので、上記遠側領域において、上記隣接車線を走行している他車両が自車両に接近してくると、自車両とその他車両との間の前後方向の車間距離の一定量の変化に対して、上記表示手段に表示される他車両の大きさの変化量が、画
像縮小処理を施さない場合に比べて大きくなる。すなわち、画
像縮小処理を施さなくても、上記他車両が自車両に接近してくると、表示手段に表示される他車両の大きさは徐々に大きくなるものの、上記遠側領域においては、上記車間距離の一定量の変化に対して他車両の大きさの変化量が小さくて、自車両のドライバが、その表示される他車両を見ても、上記他車両の自車両への接近は分かり難い。これに対し、上記のような画
像縮小処理により、表示手段に表示される他車両の大きさが、自車両と他車両との間の前後方向の車間距離が大きいほど、より小さくされ、この結果、自車両へ接近してくる他車両との間の上記車間距離の一定量の変化に対して、表示手段に表示される他車両の大きさの変化量が、画
像縮小処理を施さない場合に比べて大きくなり、表示手段を見ている自車両のドライバは、他車両の自車両への接近が分かり易くなる。
また、上記撮影画像の上記遠側領域において、画像縮小処理を施すことで、遠側領域での他車両の自車両への接近を、自車両のドライバに違和感なくかつ分かり易く伝えることができる。よって、安全性を向上させることができる。尚、上記撮影画像の、上記隣接車線における上記特定地点から上記車両(自車両)に対して近い側の領域である近側領域においては、画像拡大又は縮小処理を施さなくても、自車両と他車両との間の前後方向の車間距離の変化に対して、表示手段に表示される他車両の大きさの変化割合は十分に大きくなるので、画像拡大又は縮小処理は必ずしも必要ではない
。
【0011】
上記車両の後側方撮影装置において、上記画像処理手段は、上記撮影画像の上記遠側領域において、該撮影画像の、上記隣接車線を走行する他車両の移動軌跡上における所定の点を中心にして、画像
を縮小するように構成されている、ことが好ましい。
【0012】
このことで、画
像縮小処理による他車両の歪みを小さく抑えることができ、自車両のドライバに違和感を生じさせるのを抑制することができる。
【0013】
本発明の別の後側方撮影装置では、車両の後側方を撮影する撮影手段を備えた、車両の後側方撮影装置であって、上記撮影手段により撮影された撮影画像において、上記車両が走行する車線に隣接する隣接車線の中央でかつ上記車両よりも後方の地点であって該車両との間の前後方向の距離が所定距離となる特定地点の位置を算出する特定地点算出手段と、上記撮影画像の、少なくとも、上記隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の領域である遠側領域において、画像拡大又は縮小処理を施す画像処理手段と、上記画像処理手段により画像拡大又は縮小処理が施された上記撮影画像を表示する表示手段とを備え、上記画像処理手段は、上記撮影画像の上記遠側領域の画像倍率を、該撮影画像の、上記隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の地点ほど、小さく設定するように構成され、上記車両の車速を検出する車速検出手段を更に備え、上記画像処理手段は、上記車速検出手段により検出された車速が所定車速よりも速い場合には、上記撮影画像の上記遠側領域において画像縮小処理を施すとともに、該撮影画像の、上記隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の地点ほど、かつ、上記車速が速いほど、上記画像倍率を小さく設定するように構成されてい
る。
【0014】
こうすることで、自車両の車速が速いほど、上記車間距離の一定量の変化に対して他車両の大きさの変化量が大きくなるので、自車両の高速走行時に、自車両のドライバに、他車両の接近をより一層分かり易く伝えることができるようになり、安全性をより一層向上させることができる。
【0015】
一方、上記画像処理手段は、上記車速が上記所定車速以下である場合には、上記撮影画像の、上記隣接車線における上記特定地点から上記車両に対して近い側の領域である近側領域において、画像拡大処理を施すように構成されている、ことが好ましい。
【0016】
すなわち、上記近側領域においては、特に画像拡大又は縮小処理は必要ではないが、自車両の低速走行時には、通常、一般道路を走行中であり、一般道路では、自車両が交差点で左折又は右折する可能性が高く、また、自車両と他車両との間の相対速度が低いために、自車両のドライバは自車両の近傍により一層の注意を向ける必要がある。そこで、上記車速が上記所定車速以下である場合には、近側領域において画像拡大処理を施すことにより、自車両に近い他車両を強調して表示することができ、安全性をより一層向上させることができる。
【0017】
本発明の更に別の後側方撮影装置では、車両の後側方を撮影する撮影手段を備えた、車両の後側方撮影装置であって、上記撮影手段により撮影された撮影画像において、上記車両が走行する車線に隣接する隣接車線の中央でかつ上記車両よりも後方の地点であって該車両との間の前後方向の距離が所定距離となる特定地点の位置を算出する特定地点算出手段と、上記撮影画像の、少なくとも、上記隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の領域である遠側領域において、画像拡大又は縮小処理を施す画像処理手段と、上記画像処理手段により画像拡大又は縮小処理が施された上記撮影画像を表示する表示手段とを備え、上記画像処理手段は、上記撮影画像の上記遠側領域の画像倍率を、該撮影画像の、上記隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の地点ほど、小さく設定するように構成され、上記車両の夜間走行及び雨天走行の少なくとも一方を検出する走行環境検出手段と、上記撮影画像から、上記隣接車線を走行する他車両を検出する他車両検出手段と、上記走行環境検出手段により上記車両の夜間走行及び雨天走行の少なくとも一方が検出された場合において、上記他車両検出手段により上記他車両が検出された場合に、上記表示手段において、上記画像処理手段により画像拡大又は縮小処理が施された上記撮影画像における上記他車両の位置ないしその近傍位置に、目印を重畳表示させる目印表示制御手段とを更に備えてい
る。
【0018】
このことにより、自車両の夜間走行や雨天走行時のように、表示手段での他車両の視認性が悪くなる状況下に、表示手段において、画像拡大又は縮小処理が施された撮影画像における他車両が表示される位置ないしその近傍位置に目印が重畳表示されるので、自車両のドライバは、隣接車線に他車両が存在することを容易に認識することができ、その目印の付近を注視するようになる。したがって、表示手段での他車両の視認性が悪くなる状況下でも、他車両の自車両への接近が分かり易くなる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の車両の後側方撮影装置によると、
撮影手段による撮影画像の遠側領域において、画像縮小処理を施すとともに、撮影手段による撮影画像における遠側領域の画像倍率を、該撮影画像の、上記車両が走行する車線に隣接する隣接車線における特定地点(隣接車線の中央でかつ上記車両よりも後方の地点であって該車両との間の前後方向の距離が所定距離となる地点)よりも上記車両に対して遠い側の地点ほど、小さく設定したことにより、車両のドライバに、該車両に対するその後方の他車両の接近を
違和感なくかつ分かり易く伝えることができるようになり、よって、安全性を向上させることができる。
【0020】
本発明の別の車両の後側方撮影装置によると、撮影手段による撮影画像の、少なくとも、隣接車線における特定地点(隣接車線の中央でかつ上記車両よりも後方の地点であって該車両との間の前後方向の距離が所定距離となる地点)よりも上記車両に対して遠い側の領域である遠側領域において、画像拡大又は縮小処理を施し、上記撮影手段による撮影画像における遠側領域の画像倍率を、該撮影画像の、上記車両が走行する車線に隣接する隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の地点ほど、小さく設定し、上記車両の車速が所定車速よりも速い場合には、上記撮影画像の上記遠側領域において画像縮小処理を施すとともに、該撮影画像の、上記隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の地点ほど、かつ、上記車速が速いほど、上記画像倍率を小さく設定したことにより、車両のドライバに、該車両に対するその後方の他車両の接近を分かり易く伝えることができるとともに、自車両の高速走行時に、自車両のドライバに、他車両の接近をより一層分かり易く伝えることができるようになり、安全性をより一層向上させることができる。
【0021】
本発明の更に別の車両の後側方撮影装置によると、撮影手段による撮影画像の、少なくとも、隣接車線における特定地点(隣接車線の中央でかつ上記車両よりも後方の地点であって該車両との間の前後方向の距離が所定距離となる地点)よりも上記車両に対して遠い側の領域である遠側領域において、画像拡大又は縮小処理を施し、上記撮影手段による撮影画像における遠側領域の画像倍率を、該撮影画像の、上記車両が走行する車線に隣接する隣接車線における上記特定地点よりも上記車両に対して遠い側の地点ほど、小さく設定し、上記車両の夜間走行及び雨天走行の少なくとも一方が検出された場合において、隣接車線を走行する他車両が検出された場合に、表示手段において、画像拡大又は縮小処理が施された上記撮影画像における上記他車両の位置ないしその近傍位置に、目印を重畳表示させるようにしたことにより、車両のドライバに、該車両に対するその後方の他車両の接近を分かり易く伝えることができるとともに、表示手段での他車両の視認性が悪くなる状況下でも、他車両の自車両への接近が分かり易くなる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る後側方撮影装置を搭載した車両1(本実施形態では、自動車)を示す。この車両1の左右のフロントフェンダの後部に、車両1の左右の後側方をそれぞれ撮影する撮影手段としての左右の後側方撮影カメラ2,3がそれぞれ設けられている。これら後側方撮影カメラ2,3は、従来の左右のドアミラーの鏡面に写る範囲とそれぞれ同様の範囲を撮影するものであり、本実施形態では、左右のドアミラーは設けられていない。上記各後側方撮影カメラ2,3は、車両1の最大高さの約半分の高さ位置に設けられていて、車両1の後側方で水平方向に向けられている。
【0025】
上記車両1のフロントガラスの上端部における車幅方向中央部には、車両1の前方を撮影する前方撮影カメラ4が設けられている。後側方撮影カメラ2,3及び前方撮影カメラ4により撮影された撮影画像のデータは、
図2に示すように、制御装置11に入力される。
【0026】
上記制御装置11は、周知のマイクロコンピュータをベースとする制御装置であって、プログラムを実行する中央算出処理装置(CPU)と、例えばRAMやROMにより構成されてプログラムおよびデータを格納するメモリと、種々の信号の入出力を行うための入出力(I/O)バスとを含む。
【0027】
上記制御装置11には、上記撮影画像のデータに加えて、ナビゲーション装置5(
図2にのみ示す)からの地図情報及び車両1の現在位置情報が入力される。そして、制御装置11は、上記前方撮影カメラ4からの撮影画像のデータ及びナビゲーション装置5からの地図情報及び現在位置情報に基づいて、後側方撮影カメラ2,3から入力した撮影画像のデータに対して、後述の如く画像処理(画像拡大又は縮小処理)を施して、その画像処理が施された撮影画像を、車両1のインストルメントパネル1aの車幅方向中央部に設けられた表示手段としてのディスプレイ10に出力して表示させる(左側の後側方撮影カメラ2による撮影画像はディスプレイ10の左側に、右側の後側方撮影カメラ3による撮影画像はディスプレイ10の右側にそれぞれ表示される)。車両1のドライバは、そのディスプレイ10の撮影画像を見ることで、左右の後側方を確認することができる。尚、2つのディスプレイ10を設けて、それぞれ、左右の後側方撮影カメラ2,3による撮影画像を表示するようにしてもよい。
【0028】
制御装置11内には、特定地点算出部11a(特定地点算出手段)、画像処理部11b(画像処理手段)及び画像表示制御部11cが設けられている。
【0029】
上記特定地点算出部11aは、先ず、前方撮影カメラ4による撮影画像から、白線検出のための画像処理により、車両1が走行する車線の両側にある白線を検出(抽出)して、該撮影画像上の白線の位置から、車両1が走行する車線内における該車両1の横位置を算出するとともに、上記白線の傾きから、該白線に対する車両1のヨー角(平面視での車両1の車幅方向中央線と白線とのなす角度)を算出する。尚、前方撮影カメラ4に代えて、又は、加えて、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像から、車両1が走行する車線の左側及び右側にある白線をそれぞれ検出(抽出)するようにしてもよい。但し、車両1の夜間走行時には、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像では、白線を検出し難いが、前方撮影カメラ4による撮影画像では、車両1のヘッドライトにより照らされた白線が映っているので、白線を検出し易くなる。
【0030】
また、特定地点算出部11aは、ナビゲーション装置5からの地図情報及び現在位置情報より、車両1後方の道路形状を取得する。そして、特定地点算出部11aは、上記車両1の横位置及びヨー角並びに車両1後方の道路形状に基づいて、後側方撮影カメラ2による撮影画像において、車両1が走行する車線に対して左側に隣接する左側隣接車線の中央でかつ車両1よりも後方の地点であって該車両1との間の前後方向の距離が所定距離となる特定地点の位置を算出するとともに、後側方撮影カメラ3による撮影画像において、車両1が走行する車線に対して右側に隣接する右側隣接車線の中央でかつ車両1よりも後方の地点であって該車両1との間の前後方向の距離が上記所定距離となる特定地点の位置を算出する。尚、車両1の横位置及びヨー角並びに車両1後方の道路形状と撮影画像における特定地点の位置との関係を予め記憶した特定地点記憶装置を設けておき、この特定地点記憶装置に基づいて、車両1の横位置及びヨー角並びに車両1後方の道路形状から特定地点の位置を算出するようにしてもよい。
【0031】
上記画像処理部11bは、後側方撮影カメラ2による撮影画像の、少なくとも、上記左側隣接車線における上記特定地点よりも車両1に対して遠い側の領域である遠側領域において、画像拡大又は縮小処理を施すとともに、後側方撮影カメラ3による撮影画像の、少なくとも、上記右側隣接車線における上記特定地点よりも車両1に対して遠い側の領域である遠側領域において、画像拡大又は縮小処理を施す。
【0032】
尚、上記画像拡大又は縮小処理は、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像について基本的に同じ(「遠側領域」や「近側領域」、「特定地点」の定義も同じ)であるので、以下、左側の後側方撮影カメラ2による撮影画像についての画像拡大又は縮小処理を説明する。
【0033】
図3(a)は、後側方撮影カメラ2により撮影された撮影画像の一例を示す。この撮影画像において、P1点が上記特定地点であり、左側隣接車線(撮影画像で右側の車線)における特定地点(P1点)よりも車両1に対して遠い側(撮影画像の左側)の領域が遠側領域であり、左側隣接車線における特定地点(P1点)から車両1に対して近い側(撮影画像の右側)の領域(特定地点を含む)が近側領域である。
図3(a)の例では、上記遠側領域に、左側隣接車線を走行する他車両21が映っている。また、撮影画像の左側には、車両1の左側面が映っている。
【0034】
上記撮影画像において、P1点を通る鉛直線L1から右側の領域(鉛直線L1を含む)を第1領域とし、その鉛直線L1よりも左側であって、撮影画像の左側に映っている車両1の最外側端を通る鉛直線L2から右側の領域(鉛直線L2を含む)を第2領域とし、鉛直線L2よりも左側の領域を第3領域とする。上記第1領域は上記近側領域を含む領域であり、上記第2領域は上記遠側領域を含む領域である。
【0035】
上記画像処理部11bは、本実施形態では、上記撮影画像における上記第2及び第3領域において画像縮小処理を施すとともに、第2及び第3領域での画像倍率(1よりも小さい値)を、
図3(b)のように設定する。上記第1領域(近側領域)では、画像拡大処理も画像縮小処理も施さない。すなわち、
図3(b)に示すように、画像倍率を、第1領域では1に設定し、第2領域では、1よりも小さい値で、第3領域側(左側)にいくほど小さく設定する。また、第3領域では、画像倍率を、第2領域での最小値と同じ値で一定とする。本実施形態では、第2領域の遠側領域を除く領域においても、遠側領域と同様に画像縮小処理が施され、主として車両1が映る第3領域においても、画像縮小処理が施されることになる。尚、上記遠側領域においてのみ、画像縮小処理を施すことも可能である。
【0036】
ここで、車両1に従来のドアミラーを設けて、そのドアミラーの鏡面の曲率半径が一定(1250mm、800mm、600mmの3種類)である場合に、車両1と上記他車両21との前後方向の車間距離と、鏡面上での該他車両21の大きさ(視角)との関係を調べた結果を
図5に示す。
図6は、
図5のグラフにおける上記車間距離が50m以上の部分を拡大したものである。これにより、ドアミラーの鏡面上での他車両21の大きさは、上記車間距離が小さくなるに連れて大きくなるが、上記車間距離が約60mよりも大きい場合には、該車間距離が一定量変化しても、他車両21の大きさの変化量はかなり小さいことが分かる。上記撮影画像における他車両21の大きさの変化についても、ドアミラーの鏡面の曲率半径が1250mである場合(鏡面が平面に近い場合)と同様である。
【0037】
上記ドアミラーの鏡面上での他車両21の大きさを、
図6の理想特性(白丸及びそれらを繋ぐ一点鎖線参照)のように変化させれるようにすれば、他車両21が車両1へ接近してくると、上記車間距離の一定量の変化に対して他車両21の大きさの変化量が大きくなり、他車両21の車両1への接近が分かり易くなる。
【0038】
そこで、上記撮影画像においても、上記理想特性と同様の見え方になるように、上記遠側領域において画像縮小処理を施すとともに、遠側領域での画像倍率(1よりも小さい値)を、該撮影画像の、上記左側隣接車線における上記特定地点(P1点)よりも車両1に対して遠い側の地点ほど、小さく設定する。具体的に、遠側領域での画像倍率を、上記車間距離に対して、例えば
図7のように変化させる。
図7では、上記車間距離が60mであるときに画像倍率が1であり、そこから上記車間距離が大きくなるに連れて、画像倍率が小さくなる。また、上記車間距離の変化に対する画像倍率の変化割合が、該車間距離が大きい側(80mよりも大きい)が小さい側(60mよりも大きくかつ80m以下)に比べて大きくなる。
【0039】
上記車間距離は、上記撮影画像における遠側領域の画像水平位置(撮影画像の左右方向の位置)と対応しており、上記撮影画像の遠側領域において右側ほど上記車間距離が小さくなる。上記特定地点で上記車間距離が、
図7のように60mとなるようにして(上記特定地点を算出するに際しての上記所定距離を60mにして)、
図3(b)のように、第2領域の画像倍率を、第3領域側(左側)ほど小さくすれば、遠側領域での画像倍率を、上記車間距離に対して、
図7のように変化させることができる。本実施形態では、
図3(b)のように、第2領域全体において、画像水平位置に対して画像倍率を変化させるため、第2領域の遠側領域を除く領域においても、遠側領域と同様に画像縮小処理が施されることになる。
【0040】
上記特定地点を算出するに際しての上記所定距離は、該所定距離よりも大きい車間距離では、該車間距離が一定量変化しても、上記撮影画像において他車両21の大きさの変化量が小さくて、車両1のドライバが他車両21の接近を認識することが困難な距離であればよく、60mに限るものではない。尚、上記所定距離として好ましいのは、60m〜70mである。
【0041】
上記車間距離が非常に大きい(約100mよりも大きい)場合には、上記撮影画像における他車両21の元々の大きさが非常に小さく、また、そのような大きな車間距離にある他車両21の接近が分かり難くても大きな問題はない。そこで、上記車間距離が、上記所定距離よりも大きい距離に予め設定された設定距離(約100m)となる地点を、上記鉛直線L2が通るようにして、2つの鉛直線L1,L2間の第2領域で、
図3(b)のように画像倍率を変化させるようにすることが好ましい。
【0042】
上記画像処理部11bは、上記撮影画像の上記第2及び第3領域において、該撮影画像の、上記左側隣接車線を走行する他車両21の移動軌跡上における第1所定点を中心にして、画像を縮小することが好ましい。こうすることで、画像縮小処理による他車両21の歪みを小さく抑えることができる。上記他車両21の移動軌跡は、
図3(a)に示すように、水平線L3となる。上記撮影画像において、他車両21の位置は、他車両21が車両1に接近するに従って、水平線L3上を右側に移動することになる。本実施形態では、上記のように、各後側方撮影カメラ2,3が、車両1の最大高さの約半分の高さ位置に設けられていて、車両1の後側方で水平方向に向けられているので、他車両21が撮影画像の上下方向の略中央に映ることとなり、水平線L3は、撮影画像の上下方向の略中央に位置することになる。本実施形態では、画像倍率を、第2領域において、第3領域側(左側)にいくほど小さくし、第3領域において第2領域の最小値とするので、上記第1所定点は、鉛直線L1と水平線L3との交点P2とする。
【0043】
尚、本実施形態では、画像拡大処理はなされないが、後述の実施形態2のように画像拡大処理を施す場合には、上記他車両21の移動軌跡上における第2所定点(上記第1所定点と同じ点であってもよく、異なる点であってもよい)を中心にして、画像を拡大することが好ましい。後述の実施形態2では、上記第2所定点は、鉛直線L2と水平線L3との交点P3とする。
【0044】
上記第2及び第3領域における画像上の各点は、P2点に向かうように縮小されて、
図8のようになる。
図8では、他車両21の大きさが、
図3(a)に比べて小さくなっている。この画像縮小処理の結果、上記第2及び第3領域の周囲に、何も映っていない黒塗りの部分が生じる。尚、本実施形態では、遠側領域を含む第2領域全体及び第3領域全体において画像縮小処理を施すため、第2領域の遠側領域を除く部分及び第3領域が歪んで見える可能性はあるが、車両1のドライバは、基本的に、隣接車線に位置する他車両21を見るため、特に気にはならない。
【0045】
上記黒塗りの部分が歪な形状であるので、画像処理部11bは、
図9に示すように、上記画像縮小処理が施された撮影画像の周縁部全周をマスキング処理する。
【0046】
上記画像表示制御部11cは、上記のように画像処理部11bにより画像処理(本実施形態では、画像縮小処理及びマスキング処理)が施された上記撮影画像のマスキング処理がなされていない部分の画像を、ディスプレイ10に出力して表示させる。
【0047】
上記制御装置11の処理動作を、
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
最初のステップS1で、後側方撮影カメラ2,3及び前方撮影カメラ4より撮影画像を取得する。次のステップS2で、特定地点算出部11aが、前方撮影カメラ4による撮影画像から、車両1が走行する車線の両側にある白線を検出(抽出)し、次のステップS3で、特定地点算出部11aが、上記白線の位置から、車両1が走行する車線内における該車両1の横位置を算出するとともに、上記白線の傾きから、該白線に対する車両1のヨー角を算出する。
【0049】
次のステップS4では、特定地点算出部11aが、ナビゲーション装置5からの地図情報及び現在位置情報より、車両1後方の道路形状を取得し、次のステップS5で、特定地点算出部が、上記算出した車両1の横位置及びヨー角並びに上記取得した車両1後方の道路形状に基づいて、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像において、特定地点の位置をそれぞれ算出する。
【0050】
次のステップS6で、画像処理部11bが、上記算出した特定地点に基づいて、第1〜第3領域を設定し、次のステップS7で、画像処理部11bが、第1〜第3領域の画像倍率を、
図3(b)のように設定する。
【0051】
続いて、次のステップS8で、画像処理部11bが、第2及び第3領域において、P2点を中心にして画像を縮小するとともに、画像縮小処理が施された撮影画像の周縁部全周をマスキング処理する。
【0052】
次いで、次のステップS9で、画像表示制御部11cが、画像処理部11bにより画像処理(画像縮小処理及びマスキング処理)が施された上記撮影画像(マスキング処理がなされていない部分の画像)を、ディスプレイ10に出力して表示させ、しかる後にリターンする。
【0053】
こうしてディスプレイ10に表示された撮影画像では、遠側領域において、車両1が走行する車線に隣接する隣接車線を走行している他車両21が車両1に接近してくる(車両1と他車両21との間の前後方向の車間距離が小さくなる)と、上記車間距離の一定量の変化に対して、ディスプレイ10に表示される他車両21の大きさの変化量が、画像縮小処理を施さない場合に比べて大きくなる。すなわち、画像縮小処理を施さなくても、上記他車両21が車両1に接近してくると、ディスプレイ10に表示される他車両21の大きさは徐々に大きくなる(
図4では、画像縮小処理を施していない場合の撮影画像において、他車両21が、遠側領域において
図3(a)での位置よりも車両1に接近していて、
図3(a)よりも大きくなっている)ものの、遠側領域においては、上記車間距離の一定量の変化に対して他車両21の大きさの変化量が小さくて、車両1のドライバが、その表示される他車両21を見ても、上記他車両21の車両1への接近は分かり難い。これに対し、遠側領域において、車両1から遠い側の地点ほど画像倍率を小さくすることで、ディスプレイ10に表示される他車両21の大きさが、上記車間距離が大きいほど、より小さくされ、この結果、車両1へ接近してくる他車両21との間の上記車間距離の一定量の変化に対して、ディスプレイ10に表示される他車両21の大きさの変化量が大きくなる。つまり、ディスプレイ10において、画像縮小処理を施した場合の上記車間距離の変化に対する他車両21の大きさの変化割合が、画像縮小処理を施さない場合の該変化割合に比べて大きくなる。これにより、ディスプレイ10を見ている車両1のドライバは、他車両21の車両1への接近が分かり易くなる。したがって、車両1のドライバに、車両1に対するその後方の他車両21の接近を分かり易く伝えることができるようになり、よって、安全性を向上させることができる。
【0054】
尚、本実施形態では、制御装置11は、ナビゲーション装置5からの地図情報及び現在位置情報に基づいて、車両1が駐車場に位置していると判断したときにおいて、変速レバーの位置を検出するインヒビットスイッチ(図示せず)により、該変速レバーが後退位置に操作されたことが検出されたときには、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像を、画像処理部11bによる画像処理は行わずにディスプレイ10に表示させる(後述の実施形態2及び3も同様)。
【0055】
また、制御装置11は、車両1が、ナビゲーション装置5からの地図情報及び現在位置情報に基づいて、片道1車線の道路を走行していると判断したときにおいても、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像を、画像処理部11bによる画像処理は行わずにディスプレイ10に表示させる(後述の実施形態2及び3も同様)。
【0056】
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2を示し(
図2と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する)、制御装置11が、後側方撮影カメラ2,3及び前方撮影カメラ4による撮影画像のデータとナビゲーション装置5からの地図情報及び現在位置情報とに加えて、車両1の各車輪に設けられかつ該各車輪の車輪速を検出する車輪速センサ12からの情報を入力するようにしたものである。
【0057】
制御装置11は、車輪速センサ12から入力した上記各車輪の車輪速から、車両1の車速を検出する。これにより、車輪速センサ12は、車両1の車速を検出する車速検出手段を構成することになる。
【0058】
本実施形態では、画像処理部11bは、車輪速センサ12により検出した車両1の車速が所定車速(例えば40〜50km/h)よりも速い場合には、上記実施形態1と同様に、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像の第2及び第3領域において画像縮小処理を施す。第1領域では、画像拡大処理も画像縮小処理も施さない(画像倍率を1に設定する)。また、画像処理部11bは、
図12に示すように、上記撮影画像の第2領域において、画像倍率を、1よりも小さい値で、第3領域側(左側)にいくほど、かつ、上記車速が速いほど、小さく設定する。すなわち、上記撮影画像の、車両1が走行する車線に隣接する隣接車線における上記特定地点よりも車両1に対して遠い側の地点ほど、かつ、上記車速が速いほど、画像倍率を小さく設定する。さらに、第3領域では、画像倍率を、第2領域での最小値と同じ値とする(上記車速が速いほど小さくなる)。
【0059】
一方、画像処理部11bは、車両1の車速が上記所定車速以下である場合には、上記撮影画像の第1及び第2領域において画像拡大処理を施す。第3領域では、画像拡大処理も画像縮小処理も施さない(画像倍率を1に設定する)。また、画像処理部11bは、
図13に示すように、上記撮影画像の第2領域において、画像倍率を、1よりも大きい値で、第1領域側(右側)にいくほど、かつ、上記車速が遅いほど、大きく設定する。さらに、第1領域では、画像倍率を、第2領域での最大値と同じ値とする(上記車速が遅いほど大きくなる)。尚、本実施形態では、第2領域の遠側領域を除く領域においても、遠側領域と同様に画像拡大処理が施され、第1領域の近側領域を除く領域においても、画像拡大処理が施されることになる。
【0060】
上記画像処理部11bは、上記撮影画像の、車両1が走行する車線に隣接する隣接車線を走行する他車両21の移動軌跡上における第2所定点を中心にして、画像を拡大することが好ましい。本実施形態では、画像倍率を、第2領域において、第1領域側(右側)にいくほど大きくし、第1領域において第2領域の最大値とするので、上記第2所定点は、鉛直線L2と水平線L3との交点P3(
図3(a)参照)とする。
【0061】
上記制御装置11の処理動作は、上記実施形態1で説明した、
図10のフローチャートと同様であるが、画像倍率の設定処理が、
図10のフローチャートのステップS7における画像倍率の設定処理とは異なる。
【0062】
上記制御装置11による画像倍率の設定処理を、
図14のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
すなわち、ステップS21で、車輪速センサ12から入力した各車輪の車輪速から車両1の車速を検出し、次のステップS22で、その車速Vが上記所定車速Vthよりも大きいか否かを判定する。
【0064】
上記ステップS22の判定がYESである場合には、ステップS23に進んで、第1〜第3領域の画像倍率を、
図12のように設定する一方、ステップS22の判定がNOである場合には、ステップS24に進んで、第1〜第3領域の画像倍率を、
図13のように設定する。
【0065】
本実施形態では、車両1の車速が上記所定車速よりも速い場合には、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像の第2領域において、画像倍率を、1よりも小さい値で、第3領域側(左側)にいくほど、かつ、上記車速が速いほど、小さく設定するので、上記実施形態1と同様の作用効果が得られるとともに、車両1の高速走行時に、車両1のドライバに、他車両21の接近をより一層分かり易く伝えることができるようになり、安全性をより一層向上させることができる。
【0066】
また、車両1の車速が上記所定車速以下である場合には、上記撮影画像の第2領域において、画像倍率を、1よりも大きい値で、第1領域側(右側)にいくほど、大きく設定するので、第2領域において画像縮小処理を施す場合と同様に、遠側領域に位置する他車両21が車両1へ接近してくる場合に、車両1とその他車両21との間の前後方向の車間距離の一定量の変化に対して、ディスプレイ10に表示される他車両21の大きさの変化量が大きくなり、他車両21の車両1への接近が分かり易くなる。さらに、第1領域において画像拡大処理を施すことで、第1領域からの他車両21の大きさの連続性を維持しながら、近側領域の他車両21を強調して表示することができる。すなわち、車両1の低速走行時には、通常、一般道路を走行中であり、一般道路では、車両1が交差点で左折又は右折する可能性が高く、また、車両1と他車両21との間の相対速度が低いために、車両1のドライバは車両1の近傍により一層の注意を向ける必要がある。そこで、車両1の車速が上記所定車速以下である場合には、上記第1領域において画像拡大処理を施すことにより、車両1に近い他車両21を強調表示することができ、車両1に近い他車両21を車両1のドライバに確実に認識させるようにすることができる。しかも、上記撮影画像の第2領域において、画像倍率を、第1領域側(右側)にいくほど、かつ、上記車速が遅いほど、大きく設定するとともに、第1領域(近側領域)での画像倍率を、上記車速が遅いほど、大きく設定するので、車両1の車速が低速になるほど、車両1のドライバに、他車両21の車両1への接近を強調して伝えることができ、安全性をより一層向上させることができる。
【0067】
(実施形態3)
図15は、本発明の実施形態3を示し(
図2と同じ部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略する)、制御装置11が、後側方撮影カメラ2,3及び前方撮影カメラ4による撮影画像のデータとナビゲーション装置5からの地図情報及び現在位置情報とに加えて、車両1の周囲の照度を検出する照度センサ15、及び、車両1のフロントガラスに付着した雨滴量を検出する雨滴センサ16からの情報を入力するようにしたものである。
【0068】
照度センサ15は、車両1の夜間走行を検出するためのものであり、雨滴センサ16は、車両1の雨天走行を検出するためのものである。照度センサ15及び雨滴センサ16は、車両1の夜間走行及び雨天走行を検出する走行環境検出手段を構成する。尚、照度センサ15及び雨滴センサ16のいずれか一方しか設けられていない場合であってもよい。
【0069】
また、制御装置11内には、上記特定地点算出部11a、画像処理部11b及び画像表示制御部11cに加えて、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像から、車両検出のための画像処理により、車両1が走行する車線に隣接する隣接車線を走行する他車両21をそれぞれ検出する他車両検出部11d(他車両検出手段)と、ディスプレイ10において、画像処理部11bにより画像処理が施された上記撮影画像における上記他車両21の位置ないしその近傍位置に、目印25(
図16参照)を重畳表示させる目印表示制御部11e(目印表示制御手段)とが設けられている。
【0070】
上記他車両検出部11dは、本実施形態では、照度センサ15及び雨滴センサ16により、車両1の夜間走行及び雨天走行の少なくとも一方が検出されたときに、上記撮影画像から、上記隣接車線に位置する他車両21を検出するようにしている。他車両21の正面全体が撮影画像に映っている場合には、その正面の形状に基づいて上記他車両21を検出する。また、車両1の夜間走行の際には、他車両21のヘッドライトの位置、大きさ、輝度等に基づいて、上記他車両21を検出する。
【0071】
上記目印表示制御部11eは、照度センサ15及び雨滴センサ16により、車両1の夜間走行及び雨天走行の少なくとも一方が検出された場合において、上記他車両検出部11dにより上記隣接車線に位置する他車両21が検出された場合に、例えば
図16に示すように、ディスプレイ10において、画像処理部11bにより画像処理が施されかつディスプレイ10に表示される上記撮影画像に、目印25を重畳表示させる。
図16の例では、目印25を、矩形枠状のものとして、上記撮影画像における他車両21の位置に重畳表示させている。目印25は、車両1のドライバに、上記隣接車線に位置する他車両21の存在を容易に気付かせることができるように、ディスプレイ10において、上記撮影画像における上記他車両21の位置ないしその近傍位置に、黄色や赤色等の目立つ色で重畳表示させるのがよい。上記目印25を上記撮影画像における他車両21の位置に重畳表示させる場合には、他車両21が見えるようにするために、
図16の例のように枠状のものがよく(矩形状でなくてもよい)、他車両21の近傍位置に重畳表示させる場合には、例えば、他車両21を指し示すような三角形状のもの(枠状のものであってもよく、内部が塗りつぶされたものであってもよい)としてもよい。
【0072】
尚、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像を、画像処理部11bによる画像処理を行わずにディスプレイ10に表示させる場合には、上記目印25の表示も行われない。
【0073】
上記制御装置11による上記目印25の表示に関する処理動作を、
図17のフローチャートを参照して説明する。尚、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像に対して画像処理を施してディスプレイ10に表示させる処理動作は、上記実施形態1で説明した、
図10のフローチャート(画像倍率の設定処理は、上記実施形態2のようにしてもよい)と同様であり、上記目印25の表示に関する処理動作は、上記撮影画像に対して画像処理を施してディスプレイ10に表示させる処理動作と並行して実行される。
【0074】
最初のステップS31で、雨滴センサ16から信号を取得し、次のステップS32で、車両1が雨天走行中であるか否かを判定する。このステップS32の判定がNOである場合には、ステップS33に進む一方、ステップS32の判定がYESである場合には、ステップS35に進む。
【0075】
上記ステップS33では、照度センサ15から信号を取得し、次のステップS34で、車両1が夜間走行中であるか否かを判定する。このステップS34の判定がNOである場合には、そのままリターンする一方、ステップS34の判定がYESである場合には、ステップS35に進む。
【0076】
ステップS32の判定がYESである場合及びステップS34の判定がYESである場合に進むステップS35では、後側方撮影カメラ2,3による撮影画像(
図10のフローチャートのステップS1で取得した撮影画像)から他車両21を検出する処理を実行する。
【0077】
次のステップS36で、上記撮影画像から他車両21が検出されたか否かを判定する。このステップS36の判定がNOである場合には、そのままリターンする一方、ステップS36の判定がYESである場合には、ステップS37に進んで、ディスプレイ10において、画像処理部11bにより画像処理が施されかつディスプレイ10に表示される上記撮影画像における上記検出した他車両21の位置ないしその近傍位置に、目印25を重畳表示させ、しかる後にリターンする。
【0078】
本実施形態では、車両1の夜間走行や雨天走行時のように、ディスプレイ10での他車両21の視認性が悪くなる状況下に、ディスプレイ10において、画像処理部11bにより画像処理が施された撮影画像における他車両21が表示される位置ないしその近傍位置に目印が重畳表示されるので、車両1のドライバは、隣接車線に他車両が存在することを容易に認識することができ、その目印の付近を注視するようになる。この結果、ディスプレイ10での他車両21の視認性が悪くなる状況下でも、車両1のドライバに、車両1に対するその後方の他車両21の接近を分かり易く伝えることができるようになる。
【0079】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0080】
上述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲を限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。