(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
[カラーフィルター用共重合体]
本発明のカラーフィルター用共重合体は、構成単位として、アクリル酸エステルに由来する構成単位(以下「アクリル酸エステル単位」とする)、アクリル酸に由来する構成単位(以下「アクリル酸単位」とする)、及びN−ビニルピロリドンに由来する構成単位(以下「N−ビニルピロリドン単位」とする)とを含む。さらに、本発明のカラーフィルター用共重合体は、その高コントラスト化及び現像性の向上といった効果を損なわない範囲で、上記各単位と共重合可能な重合性二重結合を有する化合物に由来する構成単位を含んでいてもよい。このような構成単位としては、スチレン、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等のアルキル部分の炭素数が12〜18であるアクリレート化合物、ベンジルアクリレート等の芳香族炭化水素基を有するアクリレート化合物等から誘導される2価の構成単位が挙げられる。
【0019】
本発明のカラーフィルター用共重合体は、例えば、これと顔料とを混練し、得られた混練物を乾燥及び/又は粉砕することにより、顔料表面に被着して被覆層を形成する。この被覆層は、顔料表面の少なくとも一部に形成され、顔料表面の全体に形成される場合もある。このように、本発明のカラーフィルター用共重合体を含む被覆層が顔料表面に形成されても、顔料の顔料分散体における分散性をほとんど低下させることがない。本発明のカラーフィルター用共重合体は、例えば、顔料の表面処理剤として機能しているものと考えられる。
【0020】
本発明のカラーフィルター用共重合体は、高コントラスト化及び現像性の向上の観点から、アクリル酸エステル単位とアクリル酸単位とを含む重合体ブロック(X)と、N−ビニルピロリドン単位又はN−ビニルピロリドン単位とアクリル酸単位とを含む重合体ブロック(Y)と、からなるブロック共重合体であることが好ましい。
【0021】
このブロック共重合体において、重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)との含有割合は特に限定されないが、重合体ブロック(X)を好ましくはブロック共重合体全量の40〜80重量%、より好ましくはブロック共重合体全量の45〜75重量%含み、かつ残部を重合体ブロック(Y)とすればよい。これにより、顔料分散体における顔料分散性や、レジスト組成物の現像性の向上といった効果が得られる。また、重合体ブロック(X)及び(Y)における各単位の使用割合は、本発明のカラーフィルター用共重合体における重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)との含有割合、及び、後述する本発明のカラーフィルター用共重合体における各単位の含有割合に応じて適宜選択すればよい。
【0022】
アクリル酸エステル単位とは、アクリル酸エステルから誘導される2価基である。アクリル酸エステルとしては、従来からアルカリ可溶性樹脂の合成に用いられるものをいずれも使用できるが、高コントラスト化及び現像性の向上の観点から、脂環式炭化水素基を有するアクリル酸エステルが好ましい。脂環式炭化水素基を有するアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸シクロアルキルエステル、アクリル酸イソボルニル等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸イソボルニルがさらに好ましい。アクリル酸エステルは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
アクリル酸単位は、アクリル酸から誘導される2価基である。N−ビニルピロリドン単位とは、N−ビニルピロリドンから誘導される2価基である。
【0024】
本発明のカラーフィルター用共重合体において、アクリル酸エステル単位、アクリル酸単位及びN−ビニルピロリドン単位の含有割合は特に限定されないが、好ましくは、アクリル酸エステル単位3〜30重量%及びN−ビニルピロリドン単位20〜80重量%を含み、残部がアクリル酸単位であり、さらに好ましくは、アクリル酸エステル単位5〜25重量%及びN−ビニルピロリドン単位30〜60重量%を含み、残部がアクリル酸単位である。
【0025】
アクリル酸エステル単位の含有割合が3重量%未満では、顔料の分散性を低下させる傾向がある。アクリル酸エステル単位の含有割合が30重量%を超えると、アルカリに対する溶解時間が長くなり、レジスト組成物の現像性を低下させる傾向がある。また、N−ビニルピロリドン単位が20重量%未満では、アルカリに対する溶解時間が長くなり、レジスト組成物の現像性を低下させる傾向がある。N−ビニルピロリドン単位の含有割合が80重量%を超えると、顔料の分散性を低下させる傾向がある。
【0026】
本発明のカラーフィルター用共重合体は、重量平均分子量(Mw)が好ましくは5000〜20000であり、さらに好ましくは9000〜16000である。重合平均分子量が5000未満では、顔料分散体の保存安定性が低下する傾向がある。重量平均分子量が20000を超えると、顔料分散体の粘度が高くなり、レジスト組成物の塗工性が低下する傾向がある。
【0027】
また、本発明のカラーフィルター用共重合体は、酸価が30〜200mgKOH/g、好ましくは90〜160mgKOH/gである。酸価が30mgKOH/g未満では、アルカリに対する溶解時間が長くなり、レジスト組成物の現像性を低下させる傾向がある。酸価が200mgKOH/gを超えると、顔料分散体の粘度が高くなり、レジスト組成物の塗工性が低下する傾向がある。
【0028】
本発明のカラーフィルター用共重合体は、例えば、リビングラジカル重合法を利用して合成することができる。より具体的には、例えば、リビングラジカル重合開始剤の存在下で、アクリル酸エステルとアクリル酸とを重合させて重合体ブロック(X)を合成し、次いでN−ビニルピロリドン又はN−ビニルピロリドンとアクリル酸とを重合させ、重合体ブロック(X)に重合体ブロック(Y)を付加する方法により、本発明のカラーフィルター用共重合体を得ることができる。リビングラジカル重合開始剤の存在下で、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルピロリドンとアクリル酸とを重合させて重合体ブロック(Y)を合成し、次いでアクリル酸エステルとアクリル酸とを重合させ、重合体ブロック(Y)に重合体ブロック(X)を付加する方法により、本発明のカラーフィルター用共重合体を得ることもできる。また、本発明のカラーフィルター用共重合体の製造において、重合速度の促進を目的にアゾ系重合開始剤を併用してもよい。なお、このような重合方法は、例えば、特開2009−270105号公報に記載されている。
【0029】
リビングラジカル重合開始剤としては、例えば、有機テルル化合物を使用できる。有機テルル化合物の具体的としては、(メチルテラニルメチル)ベンゼン、(メチルテラニルメチル)ナフタレン、エチル−2−メチル−2−メチルテラニル−プロピオネート、エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネートや、国際公開第2004/14848号及び国際公開第2004/14962号等に記載された有機テルル化合物の全てを例示することができる。リビングラジカル重合開始剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0030】
アゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。アゾ系重合開始剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
モノマー化合物の使用量(アクリル酸エステル、N−ビニルピロリドン及びアクリル酸の合計使用量)は、最終的に得られる共重合体の分子量や分子量分布に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは、リビングラジカル重合開始剤1モルに対して、20〜4000モル、より好ましくは40〜1500モルである。
【0032】
リビングラジカル重合開始剤とアゾ系重合開始剤とを併用する場合は、アゾ系重合開始剤の使用割合は、通常、リビングラジカル重合開始剤1モルに対して、0.01〜100モル、好ましくは0.1〜10モル、さらに好ましくは0.1〜5モルとするのがよい。
【0033】
重合反応は、無溶媒又は溶媒中、撹拌下にて、0〜150℃、好ましくは20〜100℃、さらに好ましくは、20〜80℃の温度下に行なわれ、1分〜100時間、好ましくは0.1〜30時間、さら好ましくは0.1〜15時間で終了する。溶媒としては、重合反応に不活性な溶媒を使用でき、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、ジオキサン、ヘキサフルオロイソプロパオール、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トリフルオロメチルベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶媒、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコール等の水性溶媒等が挙げられる。
【0034】
重合反応の終了後、得られた反応混合物から、通常の分離精製手段により、目的とする本発明のカラーフィルター用共重合体を分離することができる。
【0035】
[顔料分散体]
本発明の顔料分散体は、顔料、顔料分散剤、本発明のカラーフィルター用共重合体及び溶剤を含み、顔料が、その表面の少なくとも一部に、カラーフィルター用共重合体を含む被覆層を有することを特徴とする。本発明の顔料分散体は、レジスト組成物の原料として使用できるだけでなく、各種インク及びインク原料としても使用可能である。
【0036】
顔料としては特に限定されないが、例えば、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、インジゴ系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、金属錯体顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等の縮合多環系顔料等が挙げられる。顔料は1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0037】
更に具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントグリーン58、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ71等が挙げられる。
【0038】
顔料を微細化して用いることにより、本発明のカラーフィルター用共重合体による効果が一層向上する。顔料の微細化処理は、例えば、溶剤の存在下又は無存在下で、顔料と粉砕芒硝とを混練することにより行われる。粉砕芒硝とは、平均粒子径が5.5μm以下であり、かつ粒径10.0μm以上の粒子の含有量が5体積%以下である無水硫酸ナトリウムである。より具体的な粉砕方法としては、顔料と粉砕芒硝とを混合機で撹拌混合し、得られた混合物を脱イオン水に分散させ、得られた微細化顔料ペーストを乾燥させ、得られた乾燥物を粉砕する方法が挙げられる。
【0039】
上記のような粉砕方法により、好ましくは10〜100nm、さらに好ましくは20〜50nmの体積平均粒子径を有する微細化された顔料を得ることが望ましい。顔料の体積平均粒子径が10nm未満では、顔料の凝集性が強くなりすぎ、顔料が均一に分散した顔料分散体が得られない傾向がある。一方、顔料の体積平均粒子径が100nmを超えると、顔料分散体の貯蔵安定性が低下し、顔料の凝集が起こりやすくなる傾向がある。顔料の体積平均粒子径は、粉砕芒硝の使用量、顔料と粉砕芒硝との混練時間、乾燥物の粉砕時間等を適宜選択することにより調整できる。
【0040】
なお、本明細書において、顔料の体積平均粒子径は、Multisizer3(商品名、ベックマン・コールター社製)を用い、ISOTON2(商品名、測定用電解液、ベックマン・コールター社製)を満たしたビーカー中に、緩く攪拌しながら試料である顔料をスポイドで滴下して、Multisizer3の濃度計の示度を10%前後に合わせた後、400μmのアパーチャーを使用して測定することができる。
【0041】
上記したように、本発明で使用する顔料は、本発明のカラーフィルター用共重合体を含む被覆層をその表面に有している。ここで、顔料とカラーフィルター用共重合体との使用割合は特に限定されないが、顔料100重量部に対して、カラーフィルター用共重合体を好ましくは1〜30重量部、さらに好ましくは5〜20重量部使用するのがよい。カラーフィルター用共重合体の使用量が1重量部未満では、画像のコントラストを高める効果が不十分になる傾向がある。一方、カラーフィルター用共重合体の使用量が30重量部を超えると、顔料の分散性が低下する傾向がある。また、アルカリに対する溶解時間が長くなり、レジスト組成物の現像性が低下する傾向がある。
【0042】
顔料分散体中における顔料(カラーフィルター用共重合体が表面に被着した顔料)の含有量は特に限定されないが、好ましくは、顔料分散体の全固形分量の5〜25重量%、さらに好ましくは10〜25重量%である。このように、顔料の含有量を十分に高くすると、塗膜を形成する際における溶剤の揮発量を低減化することができるため、環境に対する負荷を軽減することができる。
【0043】
顔料分散剤としては特に限定されず、例えば、樹脂型分散剤、界面活性剤型分散剤等が挙げられる。これらの中でも、カラーフィルター用共重合体の効果を十分に発揮させるという観点から、樹脂型分散剤が好ましい。樹脂型分散剤には、油性樹脂型分散剤、水性樹脂型分散剤等がある。
【0044】
油性樹脂型分散剤としては、例えば、ポリウレタン、ポリエステル、不飽和ポリアミド、燐酸エステル、ポリカルボン酸及びそのアミン塩、アンモニウム塩、アルキルアミン塩、ポリカルボン酸エステル、水酸基含有ポリカルボン酸エステル、ポリシロキサン、変性ポリアクリレート等が挙げられる。
【0045】
水性樹脂型分散剤としては、例えば、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム等の水溶性高分子化合物;スチレン−アクリル酸樹脂、スチレン−メタクリル酸樹脂、スチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸エステル樹脂、メタクリル酸−メタクリル酸エステル樹脂、アクリル酸−アクリル酸エステル樹脂、イソブチレン−マレイン酸樹脂、ビニル−エステル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂等のエチレン性二重結合含有樹脂;ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン等のアミン系樹脂;等が挙げられる。
【0046】
樹脂型分散剤は種々のものが市販されており、市販品の具体例としては、例えば、「ソルスパース」3000、9000、13240、17000、20000、24000、26000、28000、32000、32500、41000(いずれも商品名、日本ルーブリゾール(株)製)、「Disperbyk−」108、110、112、140、142、145、161、162、163、164、166、167、182、2000、2001、2050、2070、2150、「BYK LPN−」6919、21116(いずれも商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、「EFKA−」4401、4403、4406、4010、4015、4046、4047、4050、4055、4060、4080、5064、5207、5244(いずれも商品名、EFKA Additive社製)、「アジスパー」PB821(F)、PB822、PB880(いずれも商品名、味の素ファインテクノ(株)製)、ヒノアクトT−8000(商品名、川研ファインケミカル(株)製)、ディスパロンPW−36、「ディスバロンDA−」325、375、7301(いずれも商品名、楠本化成(株)製)等が挙げられる。
樹脂型分散剤の重量平均分子量は1000〜30000程度のものが好ましい。
【0047】
界面活性剤型分散剤としては、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル等のアニオン活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン活性剤、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン活性剤等が挙げられる。界面活性剤型分散剤も種々のものが市販されており、その具体例としては、例えば、「デモール」N、RN、MS、SN−B、「エマルゲン」120、430、「アセタミン」24、86、コータミン24P(いずれも商品名、花王(株)製)、「プライサーフ」AL、A208F(いずれも商品名、第一工業製薬(株)製)、「アーカード」C−50、T−28、T−50(いずれも商品名、ライオン(株)製)等が挙げられる。
顔料分散剤は、1種を単独で使用でき又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0048】
顔料分散体中における顔料分散剤の含有量は特に限定されないが、顔料100重量部に対し、好ましくは10〜60重量部、さらに好ましくは20〜50重量部である。顔料分散剤の含有量が10重量部未満では、顔料分散剤の効果が十分に発揮されない傾向がある。一方、顔料分散剤の含有量が60重量部を超えると、却って顔料分散体の粘度を上昇させて、ハンドリング(取扱い性)を悪くさせる傾向がある。
【0049】
溶剤としては特に限定されず、水性溶剤及び非水性溶剤の何れを用いても良い。水性溶剤としては、一般に、ヒドロキシ基等の親水性の高い官能基を有する化合物、ポリグリコール骨格を有する化合物等が挙げられる。非水性溶剤としては、例えば、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤等が挙げられる。溶剤の具体例としては、例えば、メトキシプロピルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ブチルセロソルブ、水等が挙げられる。溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0050】
本発明の顔料分散体は、必要に応じて、従来から知られている顔料分散体用の添加剤を含んでいても良い。このような添加剤としては、例えば、pH調整剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防カビ剤等が挙げられる。
【0051】
本発明の顔料分散体は、例えば、工程(1)〜工程(3)を含む製造方法により得ることができる。
工程(1):顔料と本発明のカラーフィルター用共重合体とを混練する。
工程(2):工程(1)で得られた混練物を乾燥及び/又は粉砕し、カラーフィルター用共重合体を含む被覆層を表面に有する顔料を得る。
工程(3):工程(2)で得られた被覆層を表面に有する顔料、顔料分散剤及び溶剤を混合して顔料分散体を得る。
【0052】
このように、工程(3)で顔料と顔料分散剤と溶剤とを混合する前に、工程(1)及び(2)で、顔料とカラーフィルター用共重合体とを混練し、顔料の表面にカラーフィルター用共重合体を含む被覆層を形成する実施形態が好ましい。この実施形態により、顔料の顔料分散体における分散性を損なうことなく、カラーフィルター用共重合体による画像のコントラストを高める効果及びレジスト組成物の現像性を向上させる効果が十分に発揮される。
【0053】
また、本発明の製造方法により得られる顔料分散体は、顔料の凝集や析出が十分に抑制され、保存安定性に優れ、経時的な粘度の上昇も低レベルに抑えられている。また、この顔料分散体を含むレジスト組成物は、カラーフィルターを製造するにあたり、フォトリソグラフィーにおける現像工程において、アルカリによる除去時間を短縮し、現像性を高めることができる。さらに、この顔料分散体を含むレジスト組成物から形成されたカラーフィルターを用いることにより、カラー液晶パネルに映し出された画像のコントラストを高めることができる。
【0054】
工程(1)〜(3)は、より具体的には、次のようにして実施される。
工程(1)において、顔料とカラーフィルター用共重合体との混練は、例えば、所定量の顔料及びカラーフィルター用共重合体を、必要に応じてジエチレングリコール(DEG)、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等の水溶性有機溶剤の存在下、せん断力を付与することができる一般的な混練機を用いて混練することにより行なわれる。混練温度及び混練時間は特に限定されず、顔料及びカラーフィルター用共重合体の種類や使用量等に応じて適宜選択されるが、例えば、25〜150℃程度、及び1〜15時間程度である。
【0055】
また、工程(1)では、顔料とカラーフィルター用共重合体との混練及び顔料の微細化を同時に行なうことができる。その方法としては、顔料及びカラーフィルター用共重合体と共に、粉砕芒硝を混練する方法が挙げられる。ここで、粉砕芒硝の使用量は特に限定されず、顔料の種類や使用量等に応じて適宜選択されるが、顔料100重量部に対して、好ましくは5〜30重量部、さらに好ましくは8〜15重量部である。
【0056】
工程(2)では、工程(1)で得られた混練物を乾燥及び/又は粉砕する。好ましい形態では、工程(1)で得られた混練物を乾燥し、得られた乾燥物を粉砕する。混練物の乾燥は、80〜130℃程度の温度下に行なわれ、6〜20時間程度で終了する。乾燥物の粉砕は、バンタムミル、ハンマーミル等の一般的な粉体粉砕機を用いて行われる。これにより、カラーフィルター用共重合体を含む被覆層を表面に有する顔料を得ることができる。この段階で、得られた被覆層を表面に有する顔料に、公知の顔料誘導体(分散助剤)を混合しても良い。
【0057】
なお、工程(1)において、顔料及びカラーフィルター用共重合体と共に粉砕芒硝を用いて、混練と顔料の微細化とを同時に行なった場合は、得られた混練物を水に分散させて水性スラリーを調製し、得られた水性スラリーについて乾燥及び粉砕を行なうことが好ましい。この時、作業性等の観点から、水性スラリーの固形分重量を1〜6重量%程度とするのが良い。
【0058】
水性スラリーを乾燥及び粉砕する好ましい実施形態としては、水性スラリーから固形物を分離し、分離した固形物を乾燥及び/又は粉砕する形態が挙げられる。より好ましくは、固形物を乾燥及び粉砕する。水性スラリー及びその固形物の乾燥及び粉砕の条件は、顔料とカラーフィルター用共重合体との混練物の乾燥及び粉砕と同じである。これにより、本発明のカラーフィルター用共重合体を含む被覆層を有する、微細化された顔料が得られる。
【0059】
工程(3)では、工程(2)で得られた被覆層を表面に有する顔料、顔料分散剤及び溶剤を混合して顔料分散体を得る。本発明の顔料分散体は、例えば、工程(2)で得られた被覆層を有する顔料(分散助剤である顔料誘導体を含む場合がある)、顔料分散剤、溶剤及び必要に応じて添加剤を、ビーズミル、サンドミル等の公知の分散機で分散させることにより得ることができる。本発明の顔料分散体は、顔料の分散性、顔料の分散性の保持、粘度上昇の抑制といった観点から、顔料、顔料分散剤及び分散助剤を併せた固形分濃度を、顔料分散体全量の15〜30重量%の範囲に調整することが好ましい。
【0060】
なお、カラーフィルター用共重合体として、アクリル酸エステル単位、アクリル酸単位、N−ビニルピロリドン単位及びスチレン単位を有する共重合体を用いる場合は、上記と同様にして顔料と該共重合体とを混練した後に本発明の顔料分散体を調製することができる。また、該共重合体を、被覆層を表面に有しない顔料、顔料分散剤及び有機溶剤と混合して、有機溶剤を分散媒とする本発明の顔料分散体を直接調製することもできる。スチレン単位を含むカラーフィルター用共重合体の中でも、アクリル酸エステル単位とスチレン単位とアクリル酸単位とを含む重合体ブロック(Xa)と、N−ビニルピロリドン単位とアクリル酸単位とを含む重合体ブロック(Y)とからなる共重合体が好ましい。
【0061】
[レジスト組成物]
本発明のレジスト組成物は、上記の顔料分散体と、感光性化合物とを含む。感光性化合物は、フォトリソグラフィ法に用いられる有機化合物である。感光性化合物としては、フォトリソグラフィ法に使用可能な感光性化合物をいずれも使用できるが、好ましい形態の感光性化合物は、感光性樹脂、光重合開始剤、光重合性モノマー及び/又は光重合性プレポリマー(2量体、3量体及びオリゴマー)等を含んでいてもよい。
【0062】
顔料分散体としては、上記の本発明の顔料分散体を用いる。レジスト組成物における顔料分散体の含有量は特に限定されないが、最終的に得られるカラーフィルターの現像性等の観点から、レジスト組成物の全固形分量に対する顔料の重量割合として、5〜70重量%とするのが好ましく、15〜60重量%とするのがさらに好ましい。顔料の重量割合が5重量%未満では、所望の明度、輝度及びコントラストを有する画像の表示に寄与し得るカラーフィルターを作製するのが困難になる傾向がある。顔料の重量割合が70重量%を超えると、顔料分散性の低下及びレジスト組成物の粘度上昇が起こり、カラーフィルター作製時の塗工性及びカラーフィルターの特性が低下する傾向がある。
【0063】
感光性樹脂としては、フォトリソグラフィ法に使用可能な樹脂であれば特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレンビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレンメタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、フェノール樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
【0064】
また、感光性樹脂として、エチレン性不飽和二重結合を含むモノマー(以下「エチレン系モノマー」とする)とカルボン酸系モノマーとの共重合体を使用できる。エチレン系モノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートにおいて、アルキル部分は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−デシル、2−ヒドロキシエチル等の炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である。エチレン系モノマーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。カルボン酸系モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸の2量体、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無水物等が挙げられる。カルボン酸系モノマーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0065】
また、本発明では市販の樹脂を感光性樹脂として使用できる。市販の樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂(「アロニックスM−」5600、6200、7100、9050、いずれも商品名、東亞合成(株)製)等が挙げられる。
【0066】
レジスト組成物における感光性樹脂の含有量は特に限定されないが、レジスト組成物に感光性樹脂を添加する場合は、好ましくはレジスト組成物の全固形分量の10〜60重量%であり、さらに好ましくは15〜50重量%である。感光性樹脂の含有量が10重量%未満では、ガラス基板上に形成されるパターンの膜強度が不十分になり、長期的な耐久性が低下する傾向があり、一方感光性樹脂の含有量が60重量%を超えると、レジスト組成物中でも顔料の分散性が不十分になり、カラーフィルター作製時に所望の特性を有するパターンを形成するのが困難になる傾向がある。
【0067】
光重合開始剤としては、紫外線等のエネルギーの照射によりフリーラジカルを発生するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、4,4’ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0068】
本発明では、市販の光重合開始剤を使用でき、例えば、「イルガキュア」184、369、651、907(いずれも商品名、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ(株)製)、ダロキュアー(商品名、メルク社製)、アデカ1717(商品名、(株)ADEKA製)等のケトン系化合物、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(黒金化成(株)製)等のビイミダゾール系化合物等が挙げられる。
光重合開始剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0069】
レジスト組成物における光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、好ましくは、レジスト組成物の全固形分量の0.05〜10重量%であり、さらに好ましくは0.5〜5重量%である。光重合開始剤の含有量が0.05重量%未満では、レジスト組成物の光硬化性が不十分になり、フォトリソグラフィ―法によるカラーフィルターの形成工程における作業性が低下する傾向がある。また、カラーフィルターの現像性及び感度が低下する傾向がある。光重合開始剤の含有量が10重量%を超えると、レジスト組成物の貯蔵中に、レジスト組成物中に凝集物や沈殿物が生成し、これを用いて形成されるカラーフィルターの現像性及び感度が低下する傾向がある。
【0070】
光重合性モノマーとしては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等)やそのエステル類、アミド類が挙げられる。光重合性モノマーの具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートのアルキルアクリレート類;(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、ビニル(メタ)アクリルアミド、アリル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルアセテーテト、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、メチルスチレン、p−アセトキシスチレン等のスチレン類;アルキルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類;マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド等の不飽和イミド類;N−ビニルピロリドン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。光重合性モノマーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これら光重合開始剤の中でも、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が好ましい。
【0071】
光重合性プレポリマーとしては、例えば、(a)求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類又はアミド類と、単官能又は多官能のイソシアネート類若しくはエポキシ類との付加反応物、(b)求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類又はアミド類と、単官能又は多官能のカルボン酸類との脱水縮合反応物、(c)親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類又はアミド類と、単官能又は多官能のアルコール類、アミン類若しくはチオール類との付加反応物、(d)脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類又はアミド類と、単官能又は多官能のアルコール類、アミン類若しくはチオール類との置換反応物等が挙げられる。上記(a)〜(d)において、不飽和カルボン酸エステルを、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群も、光重合性プレポリマーとして使用可能である。また、上記(a)〜(d)において、求核性置換基としては、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基等が挙げられ、親電子性置換基としては、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられ、脱離性置換基としては、ハロゲン原子、トシルオキシ基等が挙げられる。
【0072】
レジスト組成物における光重合性モノマー及び/又は光重合性プレポリマーの含有量は特に限定されないが、得られるカラーフィルターの現像性や感度の観点から、好ましくは、レジスト組成物の全固形分量の5〜70重量%であり、さらに好ましくは10〜60重量%である。これらの化合物は、多くの場合において、例えば、レジスト組成物により形成される膜とガラス基板との密着性を向上させるために用いられるが、その他の目的に合わせてその目的に合致する構造を有するものを適宜選択して用いても良い。
【0073】
溶剤としては、レジスト組成物用の溶剤を特に限定なく使用でき、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;α−又はβ−テルピネオール等のテルペン類等;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類;等が挙げられる。本発明では市販の各種溶剤を使用でき、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノエチルエーテル(いずれも、ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。溶剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0074】
レジスト組成物における溶剤の含有量は特に限定されないが、レジスト組成物における顔料分散性、レジスト組成物の塗工性、最終的に得られるカラーフィルターを備えるカラー液晶ディスプレイに表示される画像の明度、輝度及びコントラスト等を考慮すると、好ましくは、レジスト組成物の全固形分量100重量部に対して100〜900重量部であり、さらに好ましくは200〜500重量部である。溶剤の含有量が100重量部未満では、レジスト組成物の粘度が上昇し、顔料分散性及び塗工性が低下する傾向にある。溶剤の含有量が900重量部を超えると、所望の明度、輝度及びコントラストを有する画像の表示に寄与し得るカラーフィルターの作製が困難になる傾向がある。
【0075】
本発明のレジスト組成物は、必要に応じ、レジスト組成物用の各種添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、増感剤、連鎖移動剤,フッ素系有機化合物、熱重合開始剤、熱重合成分、熱重合防止剤、充填剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等が挙げられる。添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0076】
本発明のレジスト組成物は、溶剤に、顔料分散体、感光性化合物(例えば感光性樹脂、光重合開始剤、光重合性モノマー及び/又はプレポリマー等から選ばれる少なくとも1種)、必要によりその他の添加剤を添加して得られる混合液を、ペイントコンディショナー等を用いて振とうすることにより得ることができる。
【0077】
本発明のレジスト組成物を用い、フォトリソグラフィ法を利用して、所定のガラス基板表面に所定のパターンを形成し、カラーフィルターを作製することができる。
【実施例】
【0078】
以下に合成例、実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。なお、以下において、「部」及び「%」は特に断らない限り、重量基準とする。また、合成例中に示す共重合体の重合率、重量平均分子量(Mw)、分子量分布(PDI)及び酸価は、下記の方法に従って評価した。
【0079】
[重合率]
核磁気共鳴装置(商品名:AVANCE500、ブルカー・バイオスピン(株)製)を用いて、
1H−NMRスペクトルを測定し、モノマーのビニル基とポリマー側鎖とのピーク面積比から重合率を算出した。
【0080】
[重量平均分子量(Mw)および分子量分布(PDI)]
ゲルパーミエーションカラム(商品名:GPC KF−806L、昭和電工(株)製)を装着したHPLC(商品名:HPLC 1100シリーズ、アジレント・テクノロジーズ社製)で、移動相に10mM臭化リチウムのN−メチルピロリドン溶液を用い、標準物質としてポリスチレン(分子量427,000、190,000、96,400、37,400、10,200、2,630、440、92)を使用して検量線を作成し、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(PDI=Mw/Mn)を算出した。
【0081】
[酸価]
酸価とは固形分1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの重量を表わしたものであり、測定サンプルをテトラヒドロフランに溶解し、電位差滴定装置(商品名:GT−06、三菱化学(株)製)を用いて、得られた溶液を0.5M水酸化カリウムのエタノール溶液で中和滴定した。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として次式により酸価を算出した。
A=56.11×Vs×0.5×f/w
〔式中、Aは酸価(mgKOH/g)を示す。Vsは試料滴定に要した0.5M水酸化カリウムのエタノール溶液の使用量(ml)を示す。fは0.5M水酸化カリウムのエタノール溶液の力価を示す。wは、製品サンプル量(試料重量×不揮発分、g)を示す。〕
【0082】
また、下記合成例及び実施例で使用した主なモノマー成分、溶剤及び試薬は次の通りである。
[モノマー成分]
アクリル酸イソボルニル:東京化成工業(株)製試薬
アクリル酸:東京化成工業(株)製試薬
N−ビニルピロリドン:和光純薬工業(株)製試薬
スチレン:和光純薬工業(株)製試薬
【0083】
[溶剤]
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:商品名;アーコソルブPMA、協和発酵ケミカル(株)製、以下「PMA」とする。
プロピレングリコールモノメチルエーテル:商品名;アーコソルブPM、協和発酵ケミカル(株)製、以下「PM」とする)
ジメチルスルホキシド:関東化学(株)製、以下「DMSO」とする。
【0084】
[試薬]
金属テルル:商品名;Tellurium(−40mesh)、Aldrich社製
n−ブチルリチウム:Aldrich社製、1.6Mヘキサン溶液
アゾビスイソブチニトリル:重合開始剤、商品名;AIBN、大塚化学(株)製、以下「AIBN」とする。
【0085】
<重合開始剤の合成>
(合成例1)エチル−2−メチル−2−n−ブチルテラニル−プロピオネート(以下「BTEE」という)の合成
金属テルル6.38g(50mmol)をテトラヒドロフラン50mlに懸濁させ、これにn−ブチルリチウム34.4ml(55mmol)を、室温で10分を要してゆっくり滴下した。得られた反応溶液を金属テルルが完全に消失するまで20分間撹拌した後、エチル−2−ブロモ−イソブチレート10.7g(55mmol)を室温で加え、2時間撹拌した。反応終了後、減圧下で溶媒を濃縮し、続いて減圧蒸留して、黄色油状物8.98g(収率59.5%)のBTEEを得た。BTEEは、後述の合成例2〜8において、リビングラジカル重合開始剤として用いられる。
【0086】
<共重合体の合成>
(合成例2)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコに、アクリル酸イソボルニル872.0g、アクリル酸128.0g、AIBN 4.38g及びPM 667.0gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE(40.0g)を加え、60℃で22時間反応させた。得られた反応溶液に含まれる重合体は、重合率99%、重量平均分子量(Mw)4,530、分子量分布(PDI)1.22であった。
【0087】
更に、上記の反応溶液に、予めアルゴン置換したN−ビニルピロリドン872.0g、アクリル酸128.0g、AIBN 6.57g及びPM 1222.0gの混合溶液を加え、60℃で26時間反応させた。得られた反応混合物中に含まれる重合体の重合率は98%であった。この反応混合物にPM 6467.0gを加え、得られた混合物を攪拌下にあるn−ヘプタン67.0L中に注いだ。析出した重合体を吸引ろ過、乾燥し、DMSOに溶解して、固形分30%の共重合体溶液(5670g)を得た。重量平均分子量(Mw)は13,000、分子量分布(PDI)は1.27、酸価は103mgKOH/gであった。
【0088】
(合成例3)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコに、アクリル酸イソボルニル93.6g、アクリル酸6.4g、AIBN 0.438g及びPM 66.7gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE(4.0g)を加え、60℃で22時間反応させた。得られた反応溶液中に含まれる重合体は、重合率99%、重量平均分子量(Mw)3,900、分子量分布(PDI)1.28であった。
【0089】
更に、上記反応溶液に予めアルゴン置換したN−ビニルピロリドン93.6g、アクリル酸6.4g、AIBN 0.876g及びPM 122.2gの混合溶液を加え、60℃で26時間反応させた。得られた反応混合物中に含まれる重合体の重合率は96%であった。この反応混合物にPM 647.0gを加え、得られた混合物を攪拌下にあるn−ヘプタン(6.7L)中に注いだ。析出した重合体を吸引ろ過、乾燥し、DMSOに溶解し、固形分30%の共重合体溶液(331g)を得た。重量平均分子量(Mw)は12,600、分子量分布(PDI)は1.25、酸価は33mgKOH/gであった。
【0090】
(合成例4)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコに、アクリル酸イソボルニル122.0g、アクリル酸18.0g、AIBN 0.438g及びPM 103.5gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE(4.0g)を加え、60℃で16時間反応させた。得られた反応溶液に含まれる重合体は、重合率99%、重量平均分子量(Mw)6,850、分子量分布(PDI)1.35であった。
【0091】
更に、上記反応溶液に予めアルゴン置換したN−ビニルピロリドン52.4g、アクリル酸7.6g、AIBN 0.657g及びPM 73.3gの混合溶液を加え、60℃で26時間反応させた。得られた反応混合物中に含まれる重合体の重合率は98%であった。この反応混合物にPM 647.0gを加え、得られた混合物を攪拌下にあるn−ヘプタン(6.7L)中に注いだ。析出した重合体を吸引ろ過、乾燥し、DMSOに溶解し、固形分30%の共重合体溶液(521g)を得た。重量平均分子量(Mw)は12,000、分子量分布(PDI)は1.31、酸価は103mgKOH/gであった。
【0092】
(合成例5)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコに、アクリル酸イソボルニル122.0g、アクリル酸25.6g、AIBN 0.438g及びPM 98.4gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE(4.0g)を加え、60℃で16時間反応させた。得られた反応溶液に含まれる重合体は、重合率99%、重量平均分子量(Mw)6,960、分子量分布(PDI)1.47であった。
【0093】
更に、上記反応溶液に予めアルゴン置換したN−ビニルピロリドン52.4g、AIBN 0.657g及びPM 64.0gの混合溶液を加え、60℃で22時間反応させた。得られた反応混合物に含まれる重合体の重合率は99%であった。この反応混合物にPM 647.0gを加え、得られた混合物を攪拌下にあるn−ヘプタン(6.7L)中に注いだ。析出した重合体を吸引ろ過、乾燥し、DMSOに溶解し、固形分30%の共重合体溶液(571g)を得た。重量平均分子量(Mw)は10,900、分子量分布(PDI)は1.49、酸価は102mgKOH/gであった。
【0094】
(合成例6)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコに、アクリル酸イソボルニル83.3g、アクリル酸16.7g、AIBN 0.438g及びPM 81.8gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE(4.0g)を加え、60℃で14時間反応させた。得られた反応溶液に含まれる重合体は、重合率96%、重量平均分子量(Mw)4,960、分子量分布(PDI)1.25であった。
【0095】
更に、上記反応溶液に予めアルゴン置換したN−ビニルピロリドン83.3g、アクリル酸16.7g、AIBN 0.657g及びPM 122.2gの混合溶液を加え、60℃で23時間反応させた。得られた反応混合物に含まれる重合体の重合率は98%であった。この反応混合物に、PM 647.0gを加え、得られた混合物を攪拌下にあるn−ヘプタン(6.7L)中に注いだ。析出した重合体を吸引ろ過、乾燥し、DMSOに溶解し、固形分30%の共重合体溶液(611g)を得た。重量平均分子量(Mw)は13,700、分子量分布(PDI)は1.30、酸価は132mgKOH/gであった。
【0096】
(合成例7)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコに、アクリル酸イソボルニル79.5g、アクリル酸20.5g、AIBN 0.438g及びPM 81.8gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE(4.0g)を加え、60℃で14時間反応させた。得られた反応溶液に含まれる重合体は、重合率95%、重量平均分子量(Mw)5,360、分子量分布(PDI)1.25であった。
【0097】
更に、上記反応溶液に予めアルゴン置換したN−ビニルピロリドン79.5g、アクリル酸20.5g、AIBN 0.657g及びPM 122.2gの混合溶液を加え、60℃で23時間反応させた。得られた反応混合物に含まれる重合体の重合率は98%であった。この反応混合物に、PM 647.0gを加え、得られた混合物を攪拌下にあるn−ヘプタン(6.7L)中に注いだ。析出した重合体を吸引ろ過、乾燥し、DMSOに溶解し、固形分30%の共重合体溶液(581g)を得た。重量平均分子量(Mw)は13,900、分子量分布(PDI)は1.34、酸価は167mgKOH/gであった。
【0098】
(合成例8)
アルゴンガス導入管、撹拌機を備えたフラスコに、アクリル酸イソボルニル60.0g、スチレン27.2g、アクリル酸12.8g、AIBN 0.657g及びPM 66.7gを仕込み、アルゴン置換後、BTEE(4.0g)を加え、60℃で48時間反応させた。得られた反応溶液に含まれる重合体は、重合率95%、重量平均分子量(Mw)5,850、分子量分布(PDI)1.36であった。
【0099】
更に、上記反応溶液に予めアルゴン置換したN−ビニルピロリドン87.2g、アクリル酸12.8g、AIBN 1.31g及びPM 122.2gの混合溶液を加え、60℃で62時間反応させた。得られた反応混合物に含まれる重合体の重合率は90%であった。この反応混合物に、PM 647.0gを加え、得られた混合物を攪拌下にあるn−ヘプタン(6.7L)中に注いだ。析出した重合体を吸引ろ過、乾燥し、DMSOに溶解し、固形分30%の共重合体溶液(605g)を得た。重量平均分子量(Mw)は12,700、分子量分布(PDI)は1.35、酸価は110mgKOH/gであった。
【0100】
合成例2〜8で得られた各共重合体の各物性を下記表1にまとめて示す。
【0101】
【表1】
【0102】
(合成例9)粉砕芒硝の作製
乾燥空気を0.65MPaジェットミル(商品名:スーパージェットミル、気流式粉砕機、日清エンジニアリング(株)製)に送入し、原料芒硝(中性無水芒硝、平均粒径20μm、三田尻化学工業(株)製)を45kg/hrで供給し、連続粉砕した。粉砕機から排出される粉砕芒硝をバグフィルターで一括捕集した。得られた粉砕芒硝は、平均粒子径3.6μm、粒径10μm以上の粒子の含有量が0.4体積%であった。平均粒子径及び粒径10μm以上の粒子の含有量は、粉枠芒硝をイソブチルアルコールに添加し、超音波で1分間分散させ、マイクロトラック粒度分布測定装置(商品名:MT−3300II、日機装(株)製)で粒度分布を測定することにより得られる。
【0103】
(合成例10)青色微細化顔料の調製
青色顔料(C.I.Pigment Blue15:6、商品名:Lionol Blue E、東洋インキ製造(株)製)300g、合成例9で得られた粉砕芒硝3000g、及びジエチレングリコール((株)日本触媒製)850gを、双腕型混練機((株)モリヤマ製、5L)に仕込み、9時間混練した。得られた混練物に合成例2で得られた共重合体溶液150gを添加し、さらに90分間混練した。得られた混練物を8Lの温水(70℃)に投入し、30分間撹拌して、スラリー液を調製した。
【0104】
得られたスラリー液をブフナーロートで濾過して固形物を濾取し、得られた固形物を脱イオン水で洗浄した。脱イオン水による洗浄は、洗浄後の水の電気伝導度が3μS/cm以下になるまで行なった。洗浄後の固形物を乾燥機で90℃、16時間乾燥させ、粉砕機(商品名:サンプルミルSK−M2、協立理工(株)製)で粉砕し、合成例2で得られた共重合体が表面に被着した青色微細化顔料を得た。
【0105】
(合成例11〜16)青色微細化顔料の調製
合成例2で得られた共重合体溶液に代えて、合成例3〜8で得られた共重合体溶液をそれぞれ使用する以外は、合成例10と同様にして、合成例3〜8で得られた共重合体がそれぞれ表面に被着した合成例11〜16の青色微細化顔料を得た。
【0106】
(合成例17)黄色微細化顔料の調製
青色顔料(C.I.Pigment Blue15:6)に代えて、黄色顔料(C.I.Pigment Yellow 138、商品名:Paliotol Yellow
L0960HD、BASFジャパン(株)製)を用いる以外は、合成例10と同様にして、合成例2で得られた共重合体が表面に被着した黄色微細化顔料を得た。
【0107】
(比較合成例1)青色微細化顔料の調製
合成例2で得られた共重合体溶液150gに代えて、樹脂型分散剤(ビニルエステル樹脂、商品名:リポキシSPC2000、固形分含量40重量%、昭和電工(株)製)112.5gを使用する以外は、合成例10と同様にして、青色微細化顔料を得た。
【0108】
(比較合成例2)青色微細化顔料の調製
合成例2で得られた共重合体溶液150gを使用しない以外は、合成例10と同様にして、青色微細化顔料を得た。
【0109】
(比較合成例3)黄色微細化顔料の調製
合成例2で得られた共重合体溶液150gに代えて、樹脂型分散剤(ビニルエステル樹脂、商品名:リポキシSPC2000、固形分含量40重量%、昭和電工(株)製)112.5gを使用する以外は、合成例17と同様にして、黄色微細化顔料を得た。
【0110】
(比較合成例4)黄色微細化顔料の調製
合成例2で得られた共重合体溶液150gを使用しない以外は、合成例17と同様にして、黄色微細化顔料を得た。
【0111】
(実施例1)青色顔料分散体の調製
顔料分散剤(商品名:BYK−LPN21116、ビックケミー・ジャパン(株)製)33.75g(98.2重量部)、樹脂型顔料分散剤(ビニルエステル樹脂、商品名:リポキシSPC2000、固形分含量40重量%、昭和電工(株)製)15.34g(44.6重量部)、PMA 62.21g(181.0重量部)及びPM 21.00g(61.1重量部)を内容量500mLの混合機に投入し、ディスパーで10分間撹拌して予備分散を行なった。得られた予備分散物に、合成例10で得られた青色微細化顔料33.47gと、顔料誘導体(顔料分散助剤、商品名:ソルスパース12000、アビシア(株)製)0.9gとからなる顔料34.37g(100重量部)を添加し、さらに60分間撹拌し、顔料分散体を得た。
【0112】
得られた顔料分散体に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(ジルコニア製、商品名:Toray ceram粉砕ボール、東レ(株)製)666g及びPMA 33.33gを添加して室温下30分間撹拌し、1段階目の分散操作を行なった後、得られた混合分散物から、フィルター(商品名:PALL HDCII Membrene Filter、PALL社製)を用いて無機ビーズを濾去した。次いで、得られた顔料分散体に平均粒径0.1mmの無機ビーズ(ジルコニア製、商品名:Toray ceram粉砕ボール、東レ(株)製)600g及びPM 75gを添加し、さらに60分間撹拌し、2段階目の分散操作を行なった。
【0113】
得られた混合分散物から、2.5μmメッシュのフィルター(商品名:PALL HDCII Membrene Filter、PALL社製)を用いて、無機ビーズを濾去し、青色顔料分散体を得た。
【0114】
(実施例2〜7)
合成例10で得られた青色微細化顔料に代えて合成例11〜16で得られた青色微細化顔料をそれぞれ使用する以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜7の青色顔料分散体を得た。
【0115】
(比較例1)
合成例10で得られた青色微細化顔料に代えて、比較合成例1で得られた青色微細化顔料を使用する以外は、実施例1と同様にして、青色顔料分散体を得た。
(比較例2)
合成例10で得られた青色微細化顔料に代えて、比較合成例2で得られた青色微細化顔料を使用する以外は、実施例1と同様にして、青色顔料分散体を得た。
【0116】
(実施例8)
顔料分散剤(商品名:BYK−LPN6919、ビックケミー・ジャパン(株)製)20.00g(58.7重量部)、分散樹脂(商品名:リポキシSPC2000、固形分含量40重量%、昭和電工(株)製)19.88g(58.4重量部)、PMA 55.05g(161.6重量部)及びPM 21.00g(61.7重量部)を内容量500mLの混合機に投入し、ディスパーで10分間撹拌して予備分散を行なった。得られた予備分散物に、合成例17で得られた黄色微細化顔料31.05gと、顔料誘導体(顔料分散助剤、C.I.Pigment Yellow 138のスルホン化物)3.0gとからなる顔料34.05g(100重量部)を添加し、さらに10分間撹拌し、顔料分散体を得た。
【0117】
得られた顔料分散体に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(ジルコニア製、商品名:Toray ceram粉砕ボール、東レ(株)製)600g及びPMA 37.5gを添加して室温下60分間撹拌し、1段階目の分散操作を行なった後、得られた混合分散物から、フィルター(商品名:PALL HDCII Membrene Filter、PALL社製)を用いて無機ビーズを濾去した。次いで、得られた顔料分散体に平均粒径0.1mmの無機ビーズ(ジルコニア製、商品名:Toray ceram粉砕ボール、東レ(株)製)600g及びPM 50gを添加し、さらに60分間撹拌し、2段階目の分散操作を行なった。
【0118】
得られた混合分散物から、2.5μmメッシュのフィルター(商品名:PALL HDCII Membrene Filter、PALL社製)を用いて、無機ビーズを濾去し、黄色顔料分散体得た。
【0119】
(実施例9)青色顔料分散体の調製
顔料分散剤(BYK−LPN21116)33.75g、樹脂型顔料分散剤(リポキシSPC2000)26.25g(44.6重量部)、PMA 55.67g、PM 21.00g、青色顔料(Lionol Blue E)29.1g、スルホ基を有する顔料誘導体(商品名:ソルスパースS12000、ルーブリゾール社製)0.9gを内容量500mLの混合機に投入し、ディスパーで10分間撹拌して顔料分散体を得た。
【0120】
得られた顔料分散体に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(ジルコニア製、商品名:Toray ceram粉砕ボール、東レ(株)製)666g及びPMA 33.33gを添加して室温下30分間撹拌し、1段階目の分散操作を行なった後、得られた混合分散物から、フィルター(商品名:PALL HDCII Membrene Filter、PALL社製)を用いて無機ビーズを濾去した。次いで、得られた顔料分散体に平均粒径0.1mmの無機ビーズ(ジルコニア製、商品名:Toray ceram粉砕ボール、東レ(株)製)600g及び合成例8で得られたカラーフィルター用共重合体の5.83重量%PM溶液75gを添加し、さらに60分間撹拌し、2段階目の分散操作を行なった。
【0121】
得られた混合分散物から、2.5μmメッシュのフィルター(商品名:PALL HDCII Membrene Filter、PALL社製)を用いて、無機ビーズを濾去し、青色顔料分散体得た。
【0122】
(実施例10)黄色顔料分散体の調製
顔料分散剤(BYK−LPN21116)20.0g、樹脂型顔料分散剤(リポキシSPC2000)30.0g、PMA 49.0g、PM 21.00g、黄色顔料(Paliotol Yellow L0960HD)27.0g及び顔料誘導体(顔料分散助剤、C.I.Pigment Yellow 138のスルホン化物)3.0gを内容量500mLの混合機に投入し、ディスパーで10分間撹拌して顔料分散体を得た。
【0123】
得られた顔料分散体に、平均粒径0.8mmの無機ビーズ(ジルコニア製、商品名:Toray ceram粉砕ボール、東レ(株)製)600g及びPMA 37.5gを添加して室温下30分間撹拌し、1段階目の分散操作を行なった後、得られた混合分散物から、フィルター(商品名:PALL HDCII Membrene Filter、PALL社製)を用いて無機ビーズを濾去した。次いで、得られた顔料分散体に平均粒径0.1mmの無機ビーズ(ジルコニア製、商品名:Toray ceram粉砕ボール、東レ(株)製)600g及び合成例8で得られたカラーフィルター用共重合体の5.83重量%PM溶液50gを添加し、さらに60分間撹拌し、2段階目の分散操作を行なった。
【0124】
得られた混合分散物から、2.5μmメッシュのフィルター(商品名:PALL HDCII Membrene Filter、PALL社製)を用いて、無機ビーズを濾去し、黄色顔料分散体得た。
【0125】
(比較例3)
合成例17で得られた黄色微細化顔料に代えて、比較合成例3で得られた黄色微細化顔料を使用する以外は、実施例8と同様にして、黄色顔料分散体を得た。
(比較例4)
合成例17で得られた青色微細化顔料に代えて、比較合成例4で得られた黄色微細化顔料を使用する以外は、実施例8と同様にして、黄色顔料分散体を得た。
【0126】
[カラーフィルターの作製]
実施例1〜10及び比較例1〜4の各顔料分散体の粘度をE型粘度計(商品名:TV−22型粘度計、東機産業(株)製)で測定したところ、いずれも、5〜15cps(25℃)の範囲であった。また、各顔料分散体を130℃、1時間の条件で乾燥し、固形分含有量を求めたところ、いずれも17.5〜18.5重量%の範囲であった。
【0127】
実施例1〜10及び比較例1〜4の各顔料分散体と、バインダー樹脂(商品名:リポキシSPC2000、固形分含有量40重量%、昭和電工(株)製)とを用い、顔料分散体の固形分:バインダー樹脂の固形分=1:1(重量比)になるように両者を混合し、SPC液を調製した。得られた各SPC液を、厚さ1mm、100mm角のガラス板に、目的とする色度(y=0.09(青色の場合)又はy=0.50(黄色の場合))が得られる膜厚となるようにスピンコーター(商品名:スピンコーターMS−150A、ミカサ(株)製)にて塗布し、エアバス(箱形乾燥機)内で90℃、2.5分間乾燥(プリベイク)し、実施例1〜10及び比較例1〜4のガラス塗板(カラーフィルター)をそれぞれ得た。顔料分散体の粘度とスピンコートの回転数とにより、コート層の厚みが変化し、所望の色度を有するガラス塗板が得られる。
【0128】
[コントラストの測定]
バックライト上に偏光板(商品名:POLAX−38S、(株)ルケオ製)を設置し、偏光板とガラス塗板との間隔が1mmになるように設置した。その上部に回転可能な偏光板を設置した。バックライトの輝度が十分安定したことを確認した後、偏光板をクロスニコルの位置に調節してガラス塗板の輝度を測定し、次いで90°回転させてパラレルの位置でガラス塗板の輝度を測定した。ここで得た値から、下記式に基づいてコントラスト値を算出した。
(コントラスト値)=(パラレルの輝度)/(クロスニコルの輝度)
【0129】
青色顔料分散体を含むものについては、CR値が8000以上のものを「○(良好)」、CR値が8000未満〜7000のものを「△(数値がやや低いが実用上問題ない)」、CR値が7000未満のものを「×(不良)」と評価した。また、黄色顔料分散体を含むものについては、CR値が12000以上のものを「○(良好)」、CR値が10000以上、12000未満のものを「△(数値が低く、実用上やや問題がある)」、CR値が10000未満のものを「×(不良)」と評価した。結果を表2に示す。
【0130】
[アルカリ溶解性]
実施例1〜10及び比較例1〜4で得られた各顔料分散体と、感光性モノマー(商品名:NKエステルA−DPH、新中村化学(株)製)とを用い、顔料分散体の固形分:感光性モノマー=3.6:1(重量比)になるようにこれらを混合してSPC液を調製した。各SPC液を、厚さ1mm、100mm角のガラス板に、スピンコーター(スピンコーターMS−150A)で塗布し、エアバス(箱形乾燥機)内で90℃、2.5分間乾燥させ、コート層の厚みが1μmであるガラス塗板を作製した。得られたガラス塗板を0.3N水酸化カリウム水溶液と接触させ、コート層が除去されるまでの時間を測定した。
【0131】
除去時間が100秒以下のものを「○(良好)」、100秒を超え、150秒以下のものを「△(除去に少し時間を要するが、実用上問題のない程度である)」、150秒を超えるもの「×(不良)」と評価した。除去時間が短いほど、現像性が良くなり、カラーフィルターとしての性能が向上する。結果を表2に示す。
【0132】
さらに、総合評価において、コントラスト評価及びアルカリ溶解性評価がいずれも○のものを「◎」と評価し、コントラスト評価及びアルカリ溶解性評価のいずれか一方が○で、他方が△のものを「○」と評価し、コントラスト評価及びアルカリ溶解性評価の少なくとも1つが×のものを「×」と評価した。
【0133】
【表2】