(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ガスを吸収液に接触させてガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔であって、第1吸収部及び第2吸収部を有し、前記ガスは前記第1吸収部を経て前記第2吸収部に供給されるように配設される前記吸収塔と、
前記吸収塔で二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱し、二酸化炭素を放出させて再生する再生塔であって、第1再生部及び第2再生部を有し、前記第1再生部は外部加熱手段を有し、前記第2再生部は前記第1再生部から放出されるガスの熱によって加熱されるように配設される前記再生塔と、
前記第2吸収部と前記第1再生部との間で吸収液を循環させる循環系と、前記循環系を循環する吸収液の一部が前記第2吸収部から前記第1吸収部及び前記第2再生部を順次経由して第1再生部に向かうように前記循環系から分岐する支流系とを有する循環機構と
を有し、
前記支流系は、前記循環系から分岐して前記第2吸収部から前記第1吸収部へ吸収液を供給する第1流路と、前記第1吸収部から前記第2再生部へ吸収液を供給する第2流路と、第2再生部から前記循環系へ合流する第3流路とを有し、
前記支流系の第1流路は、第1吸収部へ供給する吸収液を冷却する冷却器を有する二酸化炭素の回収装置。
前記支流系を流通する吸収液が前記第2再生部へ供給される温度は、前記循環系を循環する吸収液が前記第1再生部へ供給される温度より低い請求項1又は2に記載の二酸化炭素の回収装置。
前記循環機構は、第1熱交換器及び第2熱交換器を有し、前記第1熱交換器は、前記支流系における前記第2流路と前記第3流路との間で熱交換を行い、前記第2熱交換器は、前記循環系において、前記第2吸収部から前記第1再生部へ供給される吸収液と、前記第1再生部から前記第2吸収部へ還流される吸収液との間で熱交換を行うように各々配置される請求項1に記載の二酸化炭素の回収装置。
前記循環系において前記第2吸収部から前記第1再生部へ供給される吸収液は、前記第2熱交換器より上流側で、前記支流系の第3流路の吸収液と合流するように前記循環系と前記支流系とが接続される請求項4に記載の二酸化炭素の回収装置。
前記循環系は、前記第2吸収部から前記第1再生部へ供給される吸収液を前記第2熱交換器の上流側で貯留するタンクを有し、前記タンクにおいて前記支流系の第3流路を流通する吸収液と合流するように前記循環系と前記支流系とが接続される請求項5に記載の二酸化炭素の回収装置。
前記循環系は、更に、前記第2吸収部から前記第1再生部へ供給される吸収液の一部を、前記再生塔の外部加熱手段における余熱を利用して加熱するための流路及び熱交換器を有する請求項1〜7の何れか一項に記載の二酸化炭素の回収装置。
前記吸収塔は、前記第1吸収部及び前記第2吸収部が各々分配される2つの独立した塔を有し、前記再生塔は、第1再生部及び第2再生部が各々分配される2つの独立した塔を有する請求項1〜8の何れか一項に記載の二酸化炭素の回収装置。
前記再生塔は、更に、前記第2再生部から放出されるガスの熱によって加熱する第3再生部を有し、前記循環機構の支流系は、吸収液が前記第1吸収部と前記第2再生部との間に前記第3再生部を経由するように設けられる請求項1〜8の何れか一項に記載の二酸化炭素の回収装置。
前記再生塔は、更に、前記第2再生部から放出されるガスの熱によって加熱する第3再生部を有し、前記循環機構の支流系は、前記循環系を循環する吸収液の一部が前記第2吸収部から前記第1吸収部及び前記第3再生部を順次経由して第1再生部に向かうように前記支流系から分岐する追加の支流系を有する請求項1〜8の何れか一項に記載の二酸化炭素の回収装置。
ガスを吸収液に接触させてガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収処理であって、第1吸収工程及び第2吸収工程を有し、ガスは前記第1吸収工程を経て前記第2吸収工程に供給される前記吸収処理と、
前記吸収処理で二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱し、二酸化炭素を放出させて再生する再生処理であって、第1再生工程及び第2再生工程を有し、前記第1再生工程では外部加熱手段を利用して加熱し、前記第2再生工程は前記第1再生工程において放出されるガスの熱によって加熱する前記再生処理と、
前記第2吸収工程と前記第1再生工程との間で吸収液を循環させる循環工程と、前記循環工程で循環する前記吸収液の一部を、前記第2吸収工程から前記第1吸収工程及び前記第2再生工程を順次経由して前記第1再生工程に向かうように分流する支流工程と
を有し、
前記支流工程は、前記第2吸収工程から前記第1吸収工程へ吸収液を供給する第1工程と、前記第1吸収工程から前記第2再生工程へ吸収液を供給する第2工程と、第2再生工程から前記循環工程へ供給する第3工程とを有し、
前記支流工程の第1工程は、第1吸収工程へ供給する吸収液を冷却する冷却工程を有する二酸化炭素の回収方法。
第1熱交換工程及び第2熱交換工程を有し、前記第1熱交換工程は、前記支流工程における前記第2工程の吸収液と前記第3工程の吸収液との間で熱交換を行い、前記第2熱交換工程は、前記循環工程における、前記第2吸収工程から前記第1再生工程へ供給される吸収液と、前記第1再生工程から前記第2吸収工程へ還流される吸収液との間で熱交換を行う請求項12に記載の二酸化炭素の回収方法。
前記循環工程は、更に、前記第2吸収工程から前記第1再生工程へ供給される吸収液の一部を、前記再生処理の外部加熱手段における余熱を利用して加熱するための熱交換工程を有する請求項12〜17の何れか一項に記載の二酸化炭素の回収方法。
前記再生処理は、更に、前記第2再生工程で放出されるガスの熱によって吸収液を加熱する第3再生工程を有し、前記支流工程において、前記第1吸収工程と前記第2再生工程との間に前記第3再生工程が施される請求項12〜18の何れか一項に記載の二酸化炭素の回収方法。
前記再生処理は、更に、前記第2再生工程で放出されるガスの熱によって吸収液を加熱する第3再生工程を有し、前記支流工程は、前記第1吸収工程の後の吸収液の一部が、前記第3再生工程を経由した後に第1再生工程に供給されるように吸収液を分流する追加の支流工程を有する請求項12〜18の何れか一項に記載の二酸化炭素の回収方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
化学吸収法による二酸化炭素の吸収プロセスにおいては、ガスに含まれる二酸化炭素を低温の吸収液に吸収させる吸収処理と、吸収された二酸化炭素を吸収液から放出させて吸収液を再生する高温の再生処理との間で吸収液を循環させて、吸収処理と再生処理とを交互に繰り返す。再生処理における吸収液の再生度は吸収液の加熱温度に依存し、温度が高いほど二酸化炭素ガスを放出して吸収液の残留二酸化炭素濃度が低くなる(参照:Jong I. Lee, Frederick D. Otto and Alan E. Mather, "Equilibrium Between carbon Dioxide and Aqueous Monoethanolamine Solutions", J. appl. Chem. Biotechnol. 1976, 26, PP541-549)。従って、通常、再生処理における吸収液は、外部熱源から供給される熱エネルギーを用いた外部加熱手段によって沸騰温度近辺に維持される。再生処理において二酸化炭素を放出した高温の再生吸収液(リーン液)は、吸収処理で二酸化炭素を吸収した吸収液(リッチ液)と熱交換することによって、加熱されたリッチ液が再生処理に供給されるので、熱エネルギーが回収・再利用される。しかし、再生処理において吸収液から放出される二酸化炭素を含んだガスは、その熱を含んだ高温の状態で排出され、排出ガスに含まれる熱量は無駄になる。排出ガスの温度低下、つまり、再生塔の塔頂温度の低下は、上述のリッチ液とリーン液との熱交換率を下げることによって可能であるが、熱交換において回収される顕熱が減少するため、熱量の削減には寄与しない。
【0018】
この点に関し、吸収処理及び再生処理を、各々、二段階に区分して2組の吸収工程及び再生工程を構成し、吸収液を循環させる循環路も2つの経路に分離すると、熱交換率を下げずに、排出ガスに含まれる熱量を吸収液の再生に利用することができる。具体的には、吸収塔上部での吸収処理を経たセミリッチ液を、再生塔下部において外部エネルギー源を利用して積極的に加熱して十分にリーン液まで再生して吸収塔上部に還流させ、吸収塔下部での吸収処理を経て充分に二酸化炭素を吸収したリッチ液を再生塔上部においてガスからの放出回収熱を利用して加熱してセミリーン液に再生して吸収塔下部に還流させ、各組において循環する吸収液間の熱交換を各々行うように構成することによって、二酸化炭素は効率よく回収され、熱エネルギーの利用効率が高められる。
【0019】
上記の構成においては、2つの吸収液の循環路は互いに独立しているが、一方の吸収液から気化した水蒸気の凝縮水分が他方の吸収液に移行することによって2つの吸収液に濃度の開きが生じ易い性質がある。この点は、各塔の排出ガスから回収される水分を用いて補正することが可能であるが、この点を解消可能な改良策を見出した。
【0020】
本発明では、上述の2つの循環路のうちの一方を他方の循環路から分岐し合流する支流路として構成した循環機構を採用する。つまり、2つの循環路を部分的に結合して、分岐した部分において生じ得る吸収液の濃度変動を合流によって解消する。
【0021】
以下、本発明の二酸化炭素の回収方法及び回収装置について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の二酸化炭素の回収装置の一実施形態を示す。回収装置1は、二酸化炭素を含有するガスGを吸収液に接触させて二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔10と、二酸化炭素を吸収した吸収液を加熱して二酸化炭素を吸収液から放出させ、吸収液を再生する再生塔20とを有する。回収装置1に供給されるガスGについて特に制限はなく、燃焼排ガスやプロセス排ガスなどの様々なガスの取扱いが可能である。吸収塔10及び再生塔20は、各々、向流型気液接触装置として構成され、接触面積を大きくするための充填材11,21が各々内部に装填されている。吸収液として、アルカノールアミン類等の二酸化炭素に親和性を有する化合物を吸収剤として含有する水性液が用いられる。充填材11,21は、処理温度における耐久性及び耐腐食性を有する素材製で、所望の接触面積を提供し得る形状のものを適宜選択して使用することができ、概して、ステンレス鋼、炭素鋼等の鉄系金属材料製のものが用いられるが、特に限定されない。更に、必要に応じて、吸収塔10に供給されるガスGを二酸化炭素の吸収に適した低温に維持するための冷却塔を設けてもよい。
【0023】
二酸化炭素を含んだガスGは、吸収塔10の下部から供給される。吸収塔10内は、充填材11aが収容される下側の第1吸収部12aと、充填材11bが収容される上側の第2吸収部12bとに区画され、第1吸収部12aと第2吸収部12bとの間には、水平環状板の中央穴周縁に管状壁が立設された区画部材13が介在し、区画部材13の管状壁の上端穴の上方を笠が覆い、吸収塔10の内側壁と区画部材13の管状壁との間において水平環状板上に液溜まりが形成されるように構成されている。吸収塔10下部から供給されるガスGは、塔内を上昇して第1吸収部12aの充填材11aを通過した後に、区画部材13の管状壁内孔を通って第2吸収部12bの充填材11bを通過する。
【0024】
一方、吸収塔10の第2吸収部12b上部から吸収液が供給されると、充填材11bを流下した後に区画部材13の液溜まりに貯留され、第1吸収部には流下せずに流路L1を通じて塔外へ導出されてタンク14に貯留されるように構成されている。吸収液の流路はタンク14において分岐し、一方では、流路L2がタンク14と再生塔20中央部とを接続し、他方では、流路L3がタンク14と吸収塔10の中央部とを接続するので、タンク14の吸収液は分流され、一方は、ポンプ16によって、流路L2を通じて再生塔20へ供給され、他方の吸収液は、流路L3を通じて吸収塔10の第1吸収部12a上部に供給されて充填材11aを流下した後に吸収塔底部10に貯留される。タンク14の頂部には、タンク14内の圧力変動を解消するために、第2吸収部と連通する通気管V1が接続され、流路L3には、吸収液を冷却する冷却器15及びポンプ17が設けられる。
【0025】
ガスGは、充填材11a,11bを通過する間に順次吸収液と気液接触してガスG中の二酸化炭素が吸収液に吸収される。第1吸収部12aを通過した後のガスの二酸化炭素濃度は低下しているので、第2吸収部12bに供給される吸収液は、ガスGより二酸化炭素濃度が低いガスと接触する。第2吸収部12bにおいて二酸化炭素を吸収して区画部材13の液溜まりに貯溜された吸収液A2’はセミリッチ液であり、その一部は、タンク14から流路L2を通じて再生塔20へ供給され、残部は、タンク14から分流されて冷却器15を経て第1吸収部12aに供給されて二酸化炭素を吸収してリッチ液となり、吸収塔10底部に貯溜される。吸収塔10底部の吸収液(リッチ液)A1は、ポンプ18によって、吸収塔10底部と再生塔20上部とを接続する流路L4を通じて再生塔20へ供給される。二酸化炭素が除去されたガスG’は、吸収塔10の頂部から排出される。
【0026】
吸収液が二酸化炭素を吸収することによって発熱して液温が上昇するので、必要に応じて、ガスG’に含まれ得る水蒸気等を凝縮するための冷却凝縮部19が吸収塔10頂部に設けられ、これにより、水蒸気等が塔外へ漏出するのをある程度抑制できる。これを更に確実にするために、吸収塔外に付設される冷却器31及びポンプ32を有し、冷却凝縮部19下に貯留される凝縮水の一部(塔内のガスG’を含んでも良い)は、ポンプ32によって冷却器31との間で循環させる。冷却器31で冷却されて塔頂部に供給される凝縮水等は冷却凝縮部19を低温に維持し、冷却凝縮部19を通過するガスG’を確実に冷却する。塔外へ排出されるガスG’の温度は60℃程度以下が好ましく、より好ましくは45℃以下となるようにポンプ32の駆動が制御される。
図1の構成において、冷却凝縮部19で凝縮する水は充填材11bに供給されるが、凝縮水は塔内の吸収液の組成変動を補整するために使用できるので、必要に応じて吸収液の濃度組成を検知して濃度変動に応じて凝縮水を充填材11a,11bに供給するように構成してもよい。
【0027】
再生塔20内は、充填材21aが収容される下側の第1再生部22aと、充填材21bが収容される上側の第2再生部22bとに区画され、第1再生部22aと第2再生部22bとの間には、区画部材13と同様の構造によって液溜まりを形成する区画部材23が介在する。吸収塔10底部から流路L4を通じて供給される吸収液A1は、再生塔20の第2再生部22b上部に導入されて、充填材21bを流下した後に区画部材23の液溜まりに貯留され、第1再生部には流下せずに流路L5によって塔外へ導出されてタンク24に貯留されるように構成される。吸収塔10の第2吸収部12bから流路L1,L2を通じて供給される吸収液A2’は、第1再生部22a上部に供給されて、充填材21aを流下した後に再生塔20底部に貯留される。
【0028】
再生塔20の底部には、外部からの供給エネルギーを用いて吸収液を積極的に加熱するための外部加熱手段としてリボイラーが付設される。即ち、再生塔20外に付設されるスチームヒーター25と、塔底部に貯留される吸収液A2をスチームヒーター25を介して循環させる循環路26とが付設され、塔底部の吸収液A2の一部が循環路26によって分流されてスチームヒーター25に供給され、高温蒸気との熱交換によって継続的に加熱されて塔内へ還流される。これにより、底部の吸収液A2は、外部加熱手段により積極的に加熱されて二酸化炭素を十分に放出し、又、充填材21aも間接的に加熱されて充填材21a上での気液接触による二酸化炭素の放出が促進される。吸収液から放出される二酸化炭素及び水蒸気を含む高温のガスは、上昇して第1再生部22aの充填材21aを通過した後に、区画部材23の管状壁内孔を通って第2再生部22bの充填材21bを通過する。この間に、充填材21aを流下する吸収液A2’、及び、充填材21bを流下する吸収液A1は加熱され、吸収液A1,A2’中の二酸化炭素が放出される。第2再生部22bに供給される吸収液A1は、外部加熱手段による積極加熱を受けず、第1再生部22aから放出されるガスの熱によってのみ加熱されるので、区画部材23の液溜まりの吸収液A1’の温度は吸収液A2より低い。従って、吸収液A1’の再生度は、塔底部の吸収液A2の再生度より低くなり、セミリーン液となる。第2再生部22bで二酸化炭素を放出した吸収液A1’は、区画部材23の液溜まりから流路L5を通じてタンク24に流下する。タンク24の底部は、流路L6によって流路L2と接続され、タンク24内の吸収液A1’は、流路L6に設けられるポンプ27によって流路L2に供給されて、タンク14から供給される吸収液A2’と合流する。タンク24の頂部には、タンク24内の圧力変動を解消するために、第2再生部22bと連通する通気管V2が接続される。
【0029】
再生塔20底部に貯溜されて二酸化炭素を十分に放出した吸収液A2(リーン液)は、ポンプ28によって、吸収塔10上部と再生塔20底部とを接続する流路L7を通じて吸収塔10の第2吸収部12bの上部へ還流される。この結果、吸収液A2,A2’が流路L1,L2,L7を通じて第2吸収部12bと第1再生部22aとの間を往復する循環系が構成される。又、上記循環系の吸収液の一部を流路L3〜
L6によって分流して、吸収液A1,A1’として、第1吸収部12a及び第2再生部22bを経由して上記循環系の吸収液に合流させる支流系が構成される。つまり、流路L1,L2,L7は、第2吸収部と第1再生部との間の循環路を形成し、流路L3〜
L6は、上記循環路における第2吸収部12bから分岐して第1吸収部12a及び第2再生部22bを経由し、第1再生部22aに至る前に上記循環系に再接続する支流路を形成する。再生塔20において吸収液から放出された二酸化炭素を含むガスは、再生塔20頂部から排出される。
【0030】
第2再生部22bで二酸化炭素を放出した吸収液A1’は、流路L5,L6を流れる間に第1熱交換器29を通過し、第1熱交換器29において、流路L4と流路L6との間で熱交換が行われる。従って、吸収液A1’は、流路L4の吸収液A1によって冷却されて流路L2の吸収液A2’と合流する。又、第1再生部22aで二酸化炭素を放出した吸収液A2は、流路L7を流れる間に第2熱交換器30を通過し、第2熱交換器30において、流路L7と流路L2との間で熱交換が行われる。従って、吸収液A2は、流路L2の吸収液(A1’+A2’)によって冷却され、更に、冷却水を用いた冷却器33によって十分に冷却された後に、第2吸収部12b上部に導入される。熱交換器には、スパイラル式、プレート式、二重管式、多重円筒式、多重円管式、渦巻管式、渦巻板式、タンクコイル式、タンクジャケット式、直接接触液式等の様々な種類があり、本発明において、熱交換器として何れのタイプを使用しても良いが、装置の簡素化及び清掃分解の容易さの点ではプレート式が優れている。
【0031】
再生塔20における加熱によって吸収液から放出される二酸化炭素を含むガスは、再生塔20上部の冷却凝縮部37を通過した後に、頂部から排気管38を通って排出され、冷却水を用いた冷却器39によって充分に冷却して含まれる水蒸気等を可能な限り凝縮し、気液分離器40によって凝縮水を除去した後に回収ガスCとして回収される。冷却凝縮部37は、ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて放出を抑制し、また、吸収剤の放出も抑制する。回収ガスCに含まれる二酸化炭素は、例えば、地中又は油田中に注入することによって、地中での炭酸ガス固定及び再有機化が可能である。気液分離器40において分離された凝縮水は、ポンプ41によって所定流量で流路42から再生塔20の冷却凝縮部37上へ供給され、冷却水として機能する。
【0032】
再生塔20において、第1再生部22aの底部で加熱された吸収液A2の温度をT1とし、第2熱交換器30から第1再生部22a上部へ導入される吸収液(A1’+A2’)の温度をT2とすると、T1>T2となる。又、第1再生部22aから放出されるガスによって第2再生部22bで加熱された液溜まりの吸収液
A1’の温度をT3とし、第1熱交換器29から第2再生部22bへ導入される第1吸収液
A1の温度をT4、第1再生部22aから第2再生部22bへ放出されるガスの温度をt1、第2再生部22bから放出されるガスの温度をt2とすると、t1>T3>T4、t1>t2となる。一般的に、再生塔における吸収液は、再生度を高めるために吸収液の沸点近辺に加熱され、熱交換性能が高い熱交換器を用いて熱回収率を高めて温度差(T1−T2)が小さくなると、第1再生部22aから放出されるガスの温度t1も高くなり、このまま再生塔20から排出すれば、顕熱分のエネルギーを放出するだけでなく、水蒸気と共に多量の潜熱分のエネルギーも放出することになる。本発明においては、第1再生部22aから放出されるガスの熱量を第2再生部22bにおいて回収して吸収液の再生に利用し、ガスの温度をt1からt2へ低下させて顕熱の放出量を削減する。温度低下に伴って水蒸気の凝縮も進行するので、第2再生部22bから放出されるガスに含まれる水蒸気及び潜熱も減少する。尚、上述の構成においては、吸収液から気化する水蒸気の凝縮水は、吸収塔10においては第2吸収部12bの吸収液A2’へ、再生塔20においては第2再生部22bの吸収液A1’に供給される。従って、循環系において、第1再生部22aにおける吸収液A2からの気化分が第2吸収部12bにおいて補われる凝縮水分を超える場合であっても、吸収液の一部は、分かれて支流路を流れる間に第2再生部22bにおいて凝縮水分が加えられた後に合流するので、吸収液は所定濃度に維持される。
【0033】
第2熱交換器30として、熱交換性能が高い熱交換器を用いると、第2熱交換器30から第1再生部22aへ至る流路L2中の吸収液(A1’+A2’)においては、温度上昇による二酸化炭素の気泡が生じ易くなり、気泡が伝熱の障害となって温度差(T1−T2)の縮小を妨げる場合が生じ得る。このような場合には、吸収液を加圧状態で第2熱交換器30に投入することで起泡を抑制することが可能であり、吸収液の温度上昇の妨げが解消される。従って、リーン液の熱交換器入口温度とセミリッチ(又はセミリーン)液の熱交換器出口温度との温度差は、熱交換性能を反映して縮小され、熱交換器で与えられる熱エネルギーは効率的に再生工程に供給される。熱交換時の上記温度差は、概して10℃未満、好適には3℃程度に温度差を設定可能であり、吸収液に加えられた圧力は、再生工程に投入する際に開放すると、二酸化炭素の放出促進にも有効である。吸収液を加圧状態で第2熱交換器30に投入するには、例えば、第2熱交換器30と再生塔20との間の流路L2上(例えば、第1再生部22aへの導入口近辺)に背圧弁を設けることによって、ポンプ16,27の駆動力を利用して加圧することができ、圧力センサーを用いた圧力調節も可能である。同様にして、第1熱交換器29を流れる吸収液についても、加圧によって起泡を抑制して第2再生部22bへ供給する吸収液A1が温度上昇し易くすることができる。加圧状態の吸収液が再生塔への導入時に圧力開放されると、二酸化炭素の放出が促進され、その際に潜熱が消費されるので、放出ガスの温度低下に寄与する効果もある。
【0034】
図1の回収装置1において実施される回収方法について説明する。
【0035】
吸収塔10において、燃焼排ガスやプロセス排ガスなどの二酸化炭素を含有するガスGを底部から供給し、吸収液A2’,A2を第1及び第2吸収部12a,12bの上部から各々供給すると、充填材11a,11b上でガスGと吸収液A2’,A2とが気液接触して、第1吸収部12aにおける第1吸収工程及び第2吸収部12bにおける第2吸収工程からなる吸収処理が行われ、吸収液に二酸化炭素が吸収される。二酸化炭素は、低温において良好に吸収されるので、概して50℃程度以下、好ましくは40℃以下となるように吸収液A2’,A2の液温又は吸収塔10(特に充填材11a,11b)の温度を調整する。吸収液は二酸化炭素の吸収によって発熱するので、これによる液温上昇を考慮し、液温が60℃を超えないように配慮することが望ましい。吸収塔10に供給されるガスGについても、上述を勘案して、冷却塔を用いて予め適正な温度に調整するとよい。吸収液として、二酸化炭素に親和性を有する化合物を吸収剤として含有する水性液が用いられる。吸収剤としては、アルカノールアミン類やアルコール性水酸基を有するヒンダードアミン類などが挙げられ、具体的には、アルカノールアミンとして、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロパノールアミン、ジグリコールアミン等を例示することができ、アルコール性水酸基を有するヒンダードアミンとしては、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−(エチルアミノ)エタノール(EAE)、2−(メチルアミノ)エタノール(MAE)、2−(イソプロピルアミノ)エタノール(IPAE)等を例示でき、上記のような化合物の複数種を混合使用しても良い。又、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、3−メチルピリジン、2−メチルピラジン、2−(メチルアミノ)ピペリジン(2AMPD)、2−メチルピペラジン、2−(アミノメチル)ピペラジン、2,6−ジメチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、2−(β−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のような環状アミン類を添加混合して使用しても良い。一般的に使用が好まれるモノエタノールアミン(MEA)は、吸収性が高い吸収剤であり、他方、再生性の良い吸収剤としては、AMPやMDEAが挙げられる。屡々、AMPやMDEAの吸収性を改善する目的でMEAを混合して吸収液が構成されているが、混合割合によって吸収性及び再生性をある程度調整することができ、再生エネルギーを削減する上で有用である。吸収液の吸収剤濃度は、処理対象とするガスに含まれる二酸化炭素量や処理速度、吸収液の流動性や消耗損失抑制等に応じて適宜設定することができ、概して、10〜50質量%程度の濃度で使用され、例えば、二酸化炭素含有量20%程度のガスGの処理に対して、濃度30質量%程度の吸収液が好適に使用される。
【0036】
ガスGの供給速度及び吸収液の循環速度は、ガスGに含まれる二酸化炭素量、吸収液の二酸化炭素吸収能及び充填材における気液接触効率等を考慮して、吸収が良好に進行するように適宜設定される。各吸収液の循環によって、吸収処理/再生処理が繰り返し実行される。
【0037】
再生塔20における吸収液の再生処理は、第1再生部22aで外部加熱によって吸収液を加熱する第1再生工程と、第2再生部22bにおいて第1再生工程から放出されるガスの熱を利用して加熱する第2再生工程とを有する。第2吸収工程で二酸化炭素を吸収した吸収液A2’(セミリッチ液)の一部は、タンク14から流路L2を通じて第1再生部22aでの第1再生工程に供給され、吸収液A2’の他部は、タンク14から第1吸収部12aでの第1吸収工程及び第2再生部22bでの第2再生工程を経由した後に、吸収液A1’(セミリーン液)として流路L2の吸収液A2’と合流して第1再生部22aに向かう。流路L5の吸収液A1’は、流路L2の吸収液A2’と合流する前に、第1熱交換器29による第1熱交換工程において、第2再生工程に供給される前の流路L4の吸収液A1と熱交換する。流路L2で合流した吸収液(A2’+A1’)は、第1再生部22aでの第1再生工程に供給される前に、第2熱交換器30による第2熱交換工程おいて、再生塔20での第1再生工程を経て還流する吸収液A2との熱交換によって加熱される。第1再生部22aでの第1再生工程において外部熱により加熱される吸収液A2の温度T1は、使用する吸収液組成や再生条件によって異なるが、概して100〜130℃程度(沸点付近)に設定され、これに基づくと、第2熱交換工程における熱交換器出口の吸収液(A2’+A1’)の温度、つまり、第2再生部22aへの導入温度T2は、95〜125℃程度とすることができる。第1再生部22aから第2再生部22bへ放出されるガスの温度t1は、85〜115℃程度となり、又、第1再生部22aから放出されるガスによって第2再生部22bで加熱された吸収液A1’の温度T3は、85〜115℃程度となる。この吸収液A1’は、タンク24から流路L2に合流する前に、第1熱交換工程において、吸収塔10から再生塔20へ供給される吸収液A1との第1熱交換器29による熱交換によって冷却され、第2再生部22bに導入される第1吸収液A1の温度T4は、80〜110℃程度とすることができる。第2再生部22bから放出されるガスの温度t2は、100℃以下に低下させることが可能である。
【0038】
吸収液が流路L1,L2,L7によって形成される循環系を循環する循環工程において分流前及び合流後の流路を流れる吸収液の流量(例えば流路L7の吸収液A2の流量)をSとし、分岐後の支流工程における流量、つまり、支流系の流路L3〜L6を流れる吸収液A1又はA1’の流量をΔSとした時、流量Sに対する流量ΔSの比率ΔS/Sは、ガスGの二酸化炭素量及び吸収液の吸収・再生特性等を考慮して適宜設定され、第2再生部22bでの熱回収量の観点から、概して1/10〜9/10程度が適正であり、3/10〜8/10程度となるように設定すると好ましい。又、タンク14から第1再生部22aへ供給される吸収液A2’(セミリッチ液)と、タンク24から流路L2へ合流する吸収液A1’(セミリーン液)とにおける二酸化炭素含有量の差は、流量比率ΔS/Sの設定によっても変化する。吸収液の再生効率の点においては、この差が小さいと好ましい。流量S,ΔSは、ポンプ16〜18,27,28の駆動を制御することによって調整可能であり、この際に、タンク14,24における液面レベルを検知して、その変動に応じてポンプの駆動のバランスを取って、定常状態の適正流量を設定することができる。従って、適正流量で吸収液を循環させるポンプの駆動条件が予め分かっている場合は、タンク14,24を省略することも可能である。
【0039】
第1及び第2熱交換器29,30を流れる吸収液A1及び吸収液(A1’+A2’)の少なくとも一方について加圧する場合は、150kPaG以上、好ましくは200kPaG以上、より好ましくは250kPaG以上の一定圧(但し、器機等の耐圧性を考慮し、900kPaG程度以下)に調節するとよい。
【0040】
再生塔20底部に貯留される吸収液A2は、部分循環加熱によって沸点付近に加熱され、この時、吸収液の沸点は組成(吸収剤濃度)及び再生塔20内の圧力に依存する。加熱において、吸収液から失われる水の気化潜熱及び吸収液の顕熱の供給が必要であり、加圧によって気化を抑制すると、沸点上昇により顕熱が増加するので、これらのバランスを考慮して、再生塔20内を100kPaG程度に加圧し、吸収液は120〜130℃に加熱する条件設定を用いるとエネルギー効率上好ましい。
【0041】
第2再生部22bにおいて第1再生部22aより低い温度において再生を行うことにより、再生塔20上部の温度t2は、投入される吸収液A1の温度T4に近い温度に低下させることができる(t2<t1、T4<T3<t1)。従って、冷却凝縮部37を通過する回収ガスに含まれる水蒸気及び潜熱は減少し、熱エネルギーのロスが減少する。低い温度で吸収液の再生を進行させるには、吸収液の二酸化炭素含有量が高いことが重要であるが、第1吸収部12aにおいて二酸化炭素濃度が高いガスと接触した吸収液A2は、相対的に二酸化炭素含有量が上昇し易いので、第2再生部22bにおいて回収熱を利用した再生を行う上で好適である。
【0042】
このようにして、吸収液は、吸収塔10の第2吸収部12bと再生塔20の第1再生部22aとの間で循環する一方、その一部は、支流系において第1吸収部12a及び第2再生部22bを経由することによって、より高濃度に吸収した二酸化炭素を低い温度で放出する。この結果、第1再生部22aより低い温度で再生を行う第2再生部22bの熱利用によって、再生塔のエネルギー効率が向上する。つまり、流路L1,L2,L7によって形成される循環路を、主たる吸収−再生を行う循環系として、流路L3〜L6による支流路において、再生塔における熱エネルギーを回収再利用すると共に、二酸化炭素濃度が高いガスGが吸収液に与える吸収負荷を低減する支流系が形成される。従って、
図1の装置構成は、回収装置の処理適応性を高める上でも有効である。
【0043】
二酸化炭素の回収に要する再生エネルギーのプロセスシミュレータを用いた計算において、吸収液として30%MEA水溶液を用いて二酸化炭素含有ガスを二酸化炭素回収率90%で処理することを前提として、従来の吸収塔及び再生塔を有する回収装置における熱交換器の熱交換率による影響を評価すると、熱交換器における熱交換性能(還流路の熱交換入口温度と供給路の熱交換出口温度との差として表示)を10℃から3℃へ向上させた時、再生塔のリッチ液導入温度は7℃上昇して(118℃と想定)、再生エネルギーは、温度上昇に要する顕熱分の減少によって、4.1GJ/t-CO
2程度から3.9GJ/t-CO
2程度に低下する。本発明の構成を評価するために、回収装置を
図1の装置構造に変更するに当たって、新たな吸収部及び再生部を第1吸収部及び第2再生部として追加し、吸収液の循環系から分岐する支流系を設けて第1吸収部及び第2再生部を経由した後に合流するように構成すると、再生エネルギーは、蒸発潜熱の減少分の寄与によって3.2GJ/t-CO
2程度に削減可能である。更に、再生塔内を3つの再生部に区分して後述の
図6の回収装置6の構造に変更すると、再生エネルギーは3.1GJ/t-CO
2程度に減少可能である。又、
図1の装置構成において使用する吸収液を、再生性の良いものに変更すると、2.3GJ/t-CO
2程度にまで低減することができる。
【0044】
図2は、本発明の二酸化炭素の回収方法を実施する回収装置の第2の実施形態を示す。
図2の回収装置2においては、流路L2から分岐する支流路L2’及び第3熱交換器34を設け、タンク14,24から流路L2に供給される吸収液(A2’+A1’)の一部を、第2熱交換器30に導入せずに第3熱交換器34へ供給して、スチームヒーター25から排出されるスチーム凝縮水の余熱を用いた熱交換によって加熱する。第3熱交換器34で加熱された吸収液は、流路L2の吸収液と合流して第1再生部22aに供給される。
【0045】
スチームヒーター25の高温蒸気は、吸収液A2を加熱した後でも120℃程度以上の十分に高温なスチーム凝縮水であるので、再生塔20へ供給する吸収液の加熱源として有効利用できる。つまり、
図2の構成では、流路L2から第1再生部22aに供給される吸収液を加熱する第2熱交換器30の役割が第3熱交換器34によって分担される。従って、第2熱交換器30として、より小型のものを使用することができる。
【0046】
図2の回収装置2において、上述において説明した点以外については
図1の回収装置1と同様であるので、その説明は省略する。
【0047】
図3は、本発明の二酸化炭素の回収方法を実施する回収装置の第3の実施形態を示す。
図3の回収装置3においては、ポンプ及びタンクの数を減らして構成を簡略化している。つまり、回収装置3では、第2吸収部12bの液溜まりから流路L1によって吸収塔10外へ導出される吸収液A2’を2つに分流する支流系の分岐点は、タンクではなく流路L1上に設けられ、第1吸収部12a及び第2再生部22bを経由する支流系の合流点は、流路L2上ではなくタンク14’となる。これにより、
図3の回収装置3のタンク14’は、
図1の回収装置1のタンク14及びタンク24を統合してタンク24を省略するように構成され、その結果、
図1のポンプ27も省略されている。又、
図1における流路L3のポンプ17も省略可能に構成されている。
【0048】
具体的には、第2吸収部12bから流路L1を通じて流出する吸収液A2’は、流路L1の分岐点に設けられる三方弁43において2つに分流される。吸収液A2’の一部は、流路L1を流下してタンク14’に貯留され、他部は流路L3’を通じて第1吸収部12aに供給され、その間に冷却器15によって冷却される。第2吸収部12bからタンク14’及び第1吸収部12aへの吸収液A2’の供給は、重力落差を利用して行えるので、流路L1’,L3’においてはポンプを省略可能であり、三方弁43の設定によって吸収液A2’の分配割合を調節することができる。更に、第2再生部22bから流路L6’を通じて再生塔20外へ導出される吸収液A1’も重力落差によって流下し、タンク14’に貯留されて、ここで、流路L1から供給される吸収液A2’の一部と合流する。つまり、タンク14’は、
図1におけるタンク14とタンク24とを兼ね備えた役割をし、吸収液A2’と吸収液A1’とがタンク14’において合流するので、
図1においてタンク24から流路L2へ吸収液A1’を供給するためのポンプは不要となる。
【0049】
タンク14’の吸収液(A1’+A2’)は、ポンプ16によって流路L2を通じて第1再生部22aに供給され、その間に、第2熱交換器30において、第1再生部22aから第2吸収部12bへ流路L7を通じて還流される吸収液A2と熱交換する。又、第2再生部22bから流路L6’によって流出する吸収液A1’は、第1熱交換器29において、吸収塔10底部から流路L4を通じて流出する吸収液A1と熱交換する。これらの構成は、第2再生部22bから流出する吸収液A1’がタンクに貯留されない点を除けば、
図1の回収装置1と同じである。タンク14’においても、内部の圧力変動を解消するために、第2吸収部12bと連通する通気管V1’が頂部に接続される。
【0050】
再生塔20底部に貯溜されて二酸化炭素を十分に放出した吸収液A2(リーン液)は、ポンプ28によって、吸収塔10上部と再生塔20底部とを接続する流路L7を通じて吸収塔10の第2吸収部12bの上部へ還流される。この結果、流路L1,L2,L7は、第2吸収部と第1再生部との間の循環路を形成し、吸収液A2,A2’が流路L1,L2,L7を通じて第2吸収部12bと第1再生部22aとの間を往復する循環系が構成される。又、流路L3’,L4,L6’は、上記循環路から分岐して、第2吸収部12bから第1吸収部12a及び第2再生部22bを経て、第1再生部22aに至るように上記循環系に接続される支流路を形成し、吸収液A1,A1’が流路L3’,L4,L6’を通じて上記循環系から分流し、第1吸収部12a及び第2再生部22bを経て上記循環系に合流する支流系が構成される。
【0051】
第2再生部22bで二酸化炭素を放出した吸収液A1’は、流路
L6’を流れる間に第1熱交換器29を通過し、流路L4と流路
L6’との間で熱交換が行われる。従って、吸収液A1’は、流路L4の吸収液A1によって冷却されて流路L1の吸収液A2’とタンク14’で合流する。又、第1再生部22aで二酸化炭素を放出した吸収液A2は、流路L7を流れる間に第2熱交換器30を通過し、第2熱交換器30において、流路L7と流路L2との間で熱交換が行われる。従って、吸収液A2は、流路L2の吸収液(A1’+A2’)によって冷却され、更に、冷却水を用いた冷却器33によって十分に冷却された後に、第2吸収部12b上部に導入される。
【0052】
図3の回収装置3において、上述において説明した点以外については
図1の回収装置1と同様であるので、その説明は省略する。
図3の回収装置3においても、
図2の回収装置2のような変形が可能である。つまり、タンク14’から流路L2を通じて第1再生部22aに供給される吸収液を、第2熱交換器30に供給する前に分流して、その一部をスチームヒーター25からの排熱によって加熱した後に第2熱交換器30より下流の流路L2に合流させるように支流路及び熱交換器を設けると、第2熱交換器30を小型化できる。
【0053】
図4は、本発明の二酸化炭素の回収方法を実施する回収装置の第4の実施形態を示す。この実施形態は、
図1の回収装置におけるタンク24から流路L2へ供給される吸収液A1’の熱交換を改良するための構成である。具体的には、
図1においてタンク24から流路L2へ供給される吸収液A1’は、熱交換器29において一旦冷却された後に流路L2に合流して熱交換器30において再度加熱されるが、冷却されずに流路L2に合流すると、吸収液の変質抑制等の観点から好ましい。このため、第1再生部22aから第2吸収部12bに至る流路L7から支流路L7’を分岐させて、支流路L7’との熱交換を利用してタンク24の吸収液A1’を加熱して流路L2に合流させる。
【0054】
具体的には、第1再生部22aから第2吸収部12bに至る流路L7から分岐する支流路L7’に2つの熱交換器35a,35bを設け、上流側の熱交換器35aにおいて、タンク24から流路L2へ合流する流路L6”の吸収液A1’と、再生塔から吸収塔へ還流する吸収液A2との熱交換を行う。ポンプ27によって流路L6”を流れる吸収液A1’は、最も高温である吸収液A2によって加熱され、流路L6の熱交換器30による加熱温度と同等になる。従って、流路L2上の熱交換器30より下流側において流路L6”を接続することによって、効率的な熱交換形態となる。一方、支流路L7’を流れる吸収液A2の温度は、熱交換器35aでの熱交換によって、タンク24内の吸収液A1’に近い温度になるので、下流側の熱交換器35bにおいて流路L4の吸収液A1と熱交換することによって、熱交換条件は
図1の熱交換器29と同等となる。
【0055】
図4の回収装置4において、上述において説明した点以外については
図1の回収装置1と同様であるので、その説明は省略する。
図4の回収装置4においても、
図2の回収装置2のような変形が可能である。つまり、タンク14から流路L2を通じて第1再生部22aに供給される吸収液A2’を、第2熱交換器30に供給する前に分流して、その一部をスチームヒーター25からの排熱によって加熱した後に第2熱交換器30より下流の流路L2に合流させるように支流路及び熱交換器を設けると、第2熱交換器30を更に小型化できる。
【0056】
図5は、本発明の二酸化炭素の回収方法を実施する回収装置の第5の実施形態を示す。この実施形態は、2組の回収装置を組み合わせて構成することができる実施形態であり、
図1の回収装置における吸収塔10は、独立した2つの吸収塔によって構成されて、第1及び第2吸収部は各吸収塔に各々分配され、再生塔20は、独立した2つの再生塔によって構成されて、第1及び第2再生部は各再生塔に各々分配される。これらの塔を配管で接続して、
図1の回収装置と同等に作用するように構成する。つまり、既存の回収装置に新たな吸収塔及び再生塔を増設したり、既存の2つの回収装置を利用して処理効率を改善することができる有用な形態であり、一組の回収装置を循環系とし、もう一組の回収装置を支流系として構成するように接続することによって、二酸化炭素の回収を実施できる。
【0057】
具体的には、吸収塔10Aは、第1吸収部12a及び区画部材13がない点以外は
図1の吸収塔10と同様の構成であり、再生塔20Aは、
図1の再生塔20の第1再生部21aから下方の部分のみで構成される。又、吸収塔10Bは、
図1の吸収塔10の第1吸収部11aから下方の部分のみで構成され、再生塔20Bは、第1再生部22a及び区画部材23がない点以外は
図1の再生塔20と同様の構成である。吸収塔10Bの頂部と吸収塔10Aの下部とが配管44によって接続され、ガスGを吸収塔10Bの下部に供給することによって、ガスGは、吸収塔10Bの第1吸収部11a及び吸収塔10Aの第2吸収部11bを順次通過し、二酸化炭素が除去されたガスG’は吸収塔10Aの頂部から排出される。又、再生塔20Aの頂部と再生塔20Bの下部とが配管45によって接続され、スチームヒーター25の加熱によって再生塔
20A内で発生する二酸化炭素を含んだ回収ガスCは、配管45を通って再生塔20Bの下部に供給され、再生塔20Bの頂部に接続される排気管38から冷却器39及び気液分離器40を介して排出される。
【0058】
流路L8及びL9は、吸収塔10A及び再生塔20Aの間に循環路を形成し、吸収塔10A底部の吸収液A2’及び再生塔20A底部の吸収液A2が流路L8,L9を通じて第2吸収部12bと第1再生部22aとの間を循環する循環系が構成される。流路L8,L9には各々、ポンプ16,28が設けられる。又、流路L10,L11及びL12は、流路L8から分岐して吸収塔10B及び再生塔20Bを経由して流路L8に接続する分岐路を形成し、流路L10,L11及びL12に、各々、ポンプ17,18,27が配置される。吸収塔10A底部の吸収液A2’(セミリッチ液)の一部は、流路L10を通って吸収塔10Bへ供給されて第1吸収部11aで二酸化炭素を吸収し、吸収塔10B底部の吸収液A1(リッチ液)は、流路11を通って再生塔20Bに供給されて第2再生部22bで再生された後に、再生塔20B底部からセミリーンの吸収液A1’として流路L12から流路8へ還流して第1再生塔20Aの第1再生部22aに供給される。従って、支流系が構成される。支流系においては、第1熱交換器29によって流路L11と流路L12との間の熱交換が行われ、循環系においては、第2熱交換器30によって流路L8と流路L9との間の熱交換が行われる。
【0059】
図5の実施形態では、吸収塔10A及び再生塔10Bの底部に吸収液が貯留されるので、この貯留能によって
図1のタンク14,24の役割を果たすことができ、従って、回収装置5では、タンク14,24は不要となる。従来の回収装置を利用して
図5の回収装置を構成する場合、例えば、従来の回収装置を、支流系の吸収塔10B及び再生塔20Bとして用い、吸収塔10A及び再生塔20Aを増設して、循環系を構成するように吸収液の流路及びガス流通用配管を接続するとよい。
【0060】
図5の回収装置5において、上述において説明した点以外については
図1の回収装置1と同様であるので、その説明は省略する。
図5の回収装置5においても、
図2の回収装置2のような変形が可能である。つまり、流路L8を通じて第1再生部22aに供給される吸収液(A1’+A2’)を、第2熱交換器30に供給する前に分流して、その一部をスチームヒーター25からの排熱によって加熱した後に第2熱交換器30より下流の流路L8に合流させるように支流路及び熱交換器を設けると、第2熱交換器30を小型化できる。或いは、流路L12において、流路L8に合流させる前の吸収液A1’をスチームヒーター25からの排熱によって加熱するように熱交換器を設けて、流路L8との合流点を第2熱交換器30より下流に変更してもよい。または、
図4の回収装置4のように、第1再生部22aから第2吸収部12bへ吸収液A2が還流する流路L9から分岐する支流路を設けて、流路L12,L11と順次熱交換するように変更し、流路
L12の吸収液A1’は流路L11と熱交換せずに流路L8へ合流するように構成してもよい。更に、
図2における変形及び
図4における変形を組み合わせて利用してもよい。つまり、第1熱交換器29の代わりに、スチームヒーター25からの排熱によって加熱する2つの熱交換器を設けて、上流側(高温側)の熱交換器において流路L12の吸収液A1’と熱交換し、下流側(低温側)の熱交換器において流路L11の吸収液A1と熱交換し、上流側(高温側)の熱交換器の下流側の流路L12を、流路L8の第2熱交換器30より下流側に接続することによって、再生塔20Bの吸収液A1’は、冷却されずにそのまま加熱されて再生塔20Aに供給され、支流系で消費する熱エネルギーは排熱を利用して供給される。
【0061】
図6は、本発明の二酸化炭素の回収方法を実施する回収装置の第6の実施形態を示す。回収装置6において、吸収塔10は、
図1と同様に2つの吸収部を有するが、再生塔20’は3つの再生部22a,22b,22cを有し、充填材21’は、3つの再生部の各々に装填される。第2再生部22bと第3再生部22cとの間には、前述の区画部材13,23と同様の構造を有する区画部材23’が介在する。この実施形態においては、循環系は、
図1の実施形態と同様であり、第2吸収部12bと第1再生部22aとを吸収液A2,A2’が循環して第2熱交換器30において熱交換するが、支流系は、タンク14の吸収液A2’が、第1吸収部12aから第2再生部22bへ供給される前に、第3再生部22cを経由するように構成される。このために、第3再生部22cで再生された吸収液を貯留するためのタンク24’が追加され、
図1の第1熱交換器29の代わりに2つの熱交換器29a,29bを用いて、第3再生部22cの吸収液がタンク24’を介して第2再生部22bへ供給される間に、熱交換器29a、29bを通過するように接続される。
【0062】
具体的には、支流系において、タンク14から吸収塔10に供給される吸収液A2’は、第1吸収部12aにおいて二酸化炭素を吸収して底部に貯留され、底部の吸収液A1(リッチ液)は、再生塔20’の第3再生部22cに供給されて二酸化炭素を放出し、区画部材23’の液溜まりに貯留され、液溜まりの吸収液A1’は、流路L5aを通じてタンク24’へ供給される。タンク24’の吸収液A1’は、ポンプ27’によって流路L6aを通じて第2再生部22bへ供給される。第2再生部22bで更に二酸化炭素を放出して区画部材23の液溜まりに貯留した吸収液A1”は、流路L5bを通じてタンク24に貯留され、ポンプ27によって流路L6bを通じて循環系の流路L2へ供給された後、第1再生部22aへ供給される。この間に、タンク24’から流路L6aを流れる吸収液A1’は、先ず、熱交換器29aにおいて、流路L4aの吸収液A1と熱交換し、更に熱交換器29bにおいて、タンク24から流路L6bを流れる吸収液A1”と熱交換する。支流系を流れる吸収液は、二酸化炭素量が減少する2つの再生工程を経て、リッチ液である吸収液A2からセミリーンの吸収液A1’及び吸収液A1”に順次変化し、流路L2に合流してセミリッチの吸収液A2’と共に第1再生部22aに供給されて十分に再生され、リーン液である吸収液A2となる。
【0063】
再生塔20’において、第1再生部22aの底部で加熱された吸収液A2の温度をT1とし、第2熱交換器30から第1再生部22a上部へ導入される吸収液(A1”+A2’)の温度をT2とすると、T1>T2となる。又、第1再生部22aから放出されるガスによって第2再生部22bで加熱された液溜まりの吸収液A1”の温度をT3とし、第1熱交換器29aから第2再生部22bへ導入される吸収液A1’の温度をT4、第1再生部22aから第2再生部22bへ放出されるガスの温度をt1、第2再生部22bから放出されるガスの温度をt2とすると、t1>T3>T4、t1>t2となる。更に、第2再生部22bから放出されるガスによって第3再生部22cで加熱された吸収液A1’の温度をT5とし、熱交換器
29aから第3再生部22c上部に導入される吸収液A1の温度をT6、第3再生部22cから放出されるガスの温度をt3とすると、t2>T5>T6、t2>t3となる。
図6の回収装置6における温度T1〜T4及びt1,t2が、
図1の回収装置1において対応する温度T1〜T4,t1,t2と同じであると、再生部から放出されるガスの温度はt2からt3へ低下して顕熱の外部放出が更に抑制される。この時、水蒸気の凝縮も起こり、第3再生部22cから放出されるガスに含まれる水蒸気量が更に減少して潜熱の外部放出も抑制される。従って、第3再生部22cにおいて回収される熱によって再生が行われ、熱量の回収利用が更に進行する。
【0064】
流路L6aを流れる吸収液A1’の温度は、熱交換器29aにおいて、T4から吸収液A1の温度近くに一旦冷却された後、熱交換器29bにおいて、吸収液A1”の温度T3近くに加熱される。タンク24の吸収液A1”は、熱交換器29bにおいて、流路L6aの吸収液A1’との熱交換により吸収液A1の温度近くに冷却されて流路L2の吸収液A2’と合流する。
【0065】
吸収液が流路L1,L2,L7によって形成される循環系を循環する循環工程において分流前及び合流後の流路を吸収液が流れる流量をSとし、分岐後の支流工程における流量、つまり、支流系の流路L3,L4a〜L6a,L5b〜L6bを流れる吸収液の流量をΔSとした時の、流量Sに対する流量ΔSの比率ΔS/Sは、この実施形態においてもガスGの二酸化炭素量及び吸収液の吸収・再生特性等を考慮して適宜設定され、第2再生部22b及び第3再生部22cでの熱回収量の観点から、概して1/10〜9/10程度が適正であり、3/10〜8/10程度となるように設定すると好ましい。
【0066】
図6の回収装置6において、上述において説明した点以外については
図1の回収装置1と同様であるので、その説明は省略する。
図6の回収装置6においても、
図2の回収装置2のような変形が可能である。つまり、流路L2を通じて第1再生部22aに供給される吸収液(A1”+A2’)を、第2熱交換器30に供給する前に分流して、その一部をスチームヒーター25からの排熱によって加熱した後に第2熱交換器30より下流の流路L2に合流させるように支流路及び熱交換器を設けると、第2熱交換器30を小型化できる。或いは、流路L6bにおいて、熱交換器29bを経た吸収液A1”を、流路L2に合流させる前に、スチームヒーター25からの排熱によって加熱するように熱交換器を設けて、流路L6bと流路L2との合流点を第2熱交換器30より下流に変更してもよい。または、
図4の回収装置4のように、第1再生部22aから第2吸収部12bへ吸収液A2が還流する流路L7から分岐する支流路を設けて、流路L6b及び流路L6aと順次熱交換するように変更し、流路L6bの吸収液A1”は流路L6aと熱交換せずに流路L2へ合流するように構成してもよい。更に、
図2における変形及び
図4における変形を組み合わせて利用してもよい。つまり、熱交換器29a,29bの代わりに、スチームヒーター25からの排熱によって加熱する3つの熱交換器を設けて、上流側(高温)熱交換器において流路L6bの吸収液A1”と熱交換し、中流側(中温)熱交換器において流路L6aの吸収液A1’と熱交換し、下流側(低温)熱交換器において流路L4aの吸収液A1と熱交換し、上流側(高温)熱交換器を通過した流路L6bが流路L2の第2熱交換器30より下流に合流するように接続することによって、タンク24の吸収液A1”及びタンク24’の吸収液A1’は、冷却されずにそのまま加熱されて第1再生部22a及び第2再生部22bに各々供給され、支流系で消費する熱エネルギーは排熱を利用して供給される。
【0067】
図7は、本発明の二酸化炭素の回収方法を実施する回収装置の第7の実施形態を示す。回収装置7において、吸収塔10及び再生塔20’は
図6と同様であり、再生塔20’は3つの再生部22a,22b,22cを有するが、支流系における第2再生部22b及び第3再生部への吸収液の供給形態が異なる。つまり、
図6においては、吸収塔10底部から第3再生部22c及び第2再生部22bへの吸収液A1の供給流路は直列であるが、
図7においては、支流系から更に分岐する追加の支流系を有し、第2再生部22b及び第3再生部22cへの供給流路は並列である。従って、支流系において、第1吸収部12aを経た吸収液A1は、2つに分配されて,各々、第2再生部22b又は第3再生部22cを経由して循環系に合流する。
【0068】
具体的には、
図6と同様に第3再生部22cで再生された吸収液を貯留するためのタンク24’が設けられ、
図1の第1熱交換器29の代わりに2つの熱交換器29c,29dを用いる。吸収塔10底部と第3再生部22cの上部とを接続する流路L4aから分岐して第2再生部22bの上部に接続される流路L4bが設けられ、吸収塔10底部の吸収液A1は、第2再生部22b及び第3再生部22cに分配供給される。第3再生部22cの下部は、流路L5cによってタンク24’と接続され、タンク24’は、ポンプ27’を配置した流路L6cによって流路L2と接続される。又、第2再生部22bの下部は、流路L5dによってタンク24と接続され、タンク24は、ポンプ27を配置した流路L6dによって流路L6cと接続される。従って、第3再生部22cの液溜まりからタンク24’に供給される吸収液A1’は、ポンプ27’によって流路L6cから流路L2へ合流し、第2再生部22bの液溜まりからタンク24へ供給される吸収液A1”は、ポンプ27によって流路L6dから流路L6cに合流し、吸収液A1’と共に流路L2へ供給される。熱交換器29cは、流路L4aと流路L6cとの間で熱交換を行い、熱交換器29dは、流路L4bと流路L6dとの間で熱交換を行うように配置される。
【0069】
流路L4aを通る吸収液A1は、熱交換器29cでの熱交換によって加熱された後に第3再生部22cへ供給され、第3再生部22cにおける気液接触によって二酸化炭素を放出した後に、区画部材23’の液溜まりに貯留する。液溜まりの吸収液A1’は、流路L5c,L6cを通り、熱交換器29cにおいて冷却された後、流路L2の吸収液A2’と合流する。流路L4bを通る吸収液A1は、熱交換器29dでの熱交換によって加熱された後に第2再生部22bへ供給され、第2再生部22bにおける気液接触によって二酸化炭素を放出した後に、区画部材23の液溜まりに貯留する。液溜まりの吸収液A1”は、流路L5d,L6dを通り、熱交換器29dにおいて冷却された後に、流路L6cの吸収液A1’と共に流路L2の吸収液A2’と合流する。流路L2において合流した吸収液A1’,A1”,A2’は、第2熱交換器30において、流路L7の吸収液A2との熱交換によって加熱され、第1再生部22a上部に供給される。
【0070】
吸収液が流路L1,L2,L7によって形成される循環系を循環する循環工程において分流前及び合流後の流路を吸収液が流れる流量をSとし、支流工程において第2再生部22bへ供給される吸収液の流量をΔS1、追加の支流工程において第3再生部22cへ供給される吸収液の流量をΔS2とした時の、流量Sに対する流量ΔS1,ΔS2の比率ΔS1/S及びΔS2/Sは、同様にガスGの二酸化炭素量及び吸収液の吸収・再生特性等を考慮して適宜設定され、第2再生部22b及び第3再生部22cでの熱回収量の観点から、ΔS1/Sは、概して1/10〜8/10程度、好ましくは2/10〜6/10程度となるように設定するとよく、ΔS2/Sは、概して1/10〜8/10程度、好ましくは2/10〜6/10程度となるように設定するとよい。
【0071】
図7の回収装置7において、上述において説明した点以外については
図1の回収装置1及び
図6の回収装置6と同様であるので、その説明は省略する。
図7の回収装置7においても、
図2の回収装置2のような変形が可能である。つまり、流路L2を通じて第1再生部22aに供給される吸収液(A1’+A1”+A2’)を、第2熱交換器30に供給する前に分流して、その一部をスチームヒーター25からの排熱によって加熱した後に第2熱交換器30より下流の流路L2に合流させるように支流路及び熱交換器を設けると、第2熱交換器30を小型化できる。或いは、合流前の流路L6c,L6d、又は、流路L6dが合流した後の流路L6cの吸収液(A1’,A1”)を、流路L2に合流させる前に、スチームヒーター25からの排熱によって加熱するように熱交換器を設けて、流路L6c,L6dと流路L2との合流点を第2熱交換器30より下流に変更してもよい。または、
図4の回収装置4のように、第1再生部22aから第2吸収部12bへ吸収液A2が還流する流路L7から分岐する支流路を設けて、流路L6d、流路L6c、流路L4b及び流路L4aと順次熱交換するように変更し、流路L6c,L6dの吸収液A1’,A1”は流路L4a,L4bと熱交換せずに流路L2へ合流するように構成してもよい。更に、
図2における変形及び
図4における変形を組み合わせて利用してもよい。つまり、熱交換器29c,29dの代わりに、スチームヒーター25からの排熱によって加熱する4つの熱交換器を設けて、上流側(高温)の熱交換器から順に、流路L6dの吸収液A1”、流路L4bの吸収液A1、流路L6cの吸収液A1’、及び、流路L4aの吸収液A1と各々熱交換し、熱交換器を通過した流路L6c,L6dの吸収液A1’,A1”が流路L2の第2熱交換器30より下流に合流するように接続することによって、タンク24の吸収液A1”及びタンク24’の吸収液A1’は、冷却されずにそのまま加熱されて第1再生部22a及び第2再生部22bに各々供給され、支流系で消費する熱エネルギーは排熱を利用して供給される。
【0072】
図7の回収装置7において、第3再生部22cの吸収液A1’の温度T5は、第2再生部22bの吸収液A1”の温度T3より低く、それにより再生度も低くなるので、
図7の回収装置7において流路L2に合流する吸収液(A1’+A1”)の再生度は平均化され、
図6の回収装置6における吸収液A1”の再生度より低下する。この点に関して改善する一形態として、吸収塔10についても3つの吸収部に区画して第1及び第2吸収部の上側に第3吸収部を配置し、1つの循環系と2つの支流系とを構成する形態が挙げられる。具体的には、第3吸収部−第1再生部間を循環する循環系と、この循環系から分岐・合流する2つの支流系のうちの一方は、第3吸収部から第2吸収部−第2再生部を経て第1再生部に至り、他方は、第3吸収部から第1吸収部−第3再生部を経て第1再生部に至るように流路を接続する。二酸化炭素を含有するガスGは、第1吸収部から第2吸収部を経て、第3吸収部から外部へ排出される。外部から供給される熱により第1再生部において放出される二酸化炭素を含むガスは、第2再生部を経て第3再生部から外部へ排出される。
【0073】
或いは、第3吸収部−第1再生部間を循環する循環系から分岐・合流する2つの支流系のうちの一方は、第3吸収部から第2吸収部−第2再生部を経て第1再生部に至るが、他方は、上記支流系から更に分岐・合流し、第2吸収部から第1吸収部−第3再生部を経て第2再生部に至るように流路を接続してもよい。
【0074】
同様にして、吸収塔及び再生塔内を、各々、4部以上の吸収部及び再生部に区画して複数種の吸収液を循環させるように構成することも可能である。