特許第5966573号(P5966573)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966573
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】エレベーター装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 13/14 20060101AFI20160728BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B66B13/14 N
   B66B13/14 Q
   B66B3/00 M
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-104479(P2012-104479)
(22)【出願日】2012年5月1日
(65)【公開番号】特開2013-230922(P2013-230922A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】安達 祐介
【審査官】 筑波 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−027850(JP,U)
【文献】 実開昭63−167478(JP,U)
【文献】 特開平05−278977(JP,A)
【文献】 特開平11−268879(JP,A)
【文献】 特開2010−163271(JP,A)
【文献】 特開平07−125957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00 − 13/30
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗場に設けられ、前記乗場にいる乗車待ち客の荷重を検出するための荷重センサと、
前記荷重センサによって検出された荷重を1人当たりの体重として設定された値で除することによって、前記乗場にいる乗車待ち客の人数を特定する乗車待ち客判定部と、
エレベーターのかごが前記乗場に停止する際に、前記乗車待ち客判定部によって特定された前記乗場の乗車待ち客数に基づいて、戸開閉速度及び戸開き時間を調整する戸開閉制御部と、
を備え、
前記戸開閉制御部は、前記乗車待ち客判定部によって特定された前記乗場の乗車待ち客数が1人の場合に速度が最も速くなるように戸開閉速度を調整し、乗車待ち客数が1人よりも多い場合に乗車待ち客数が増えるにつれて速度が遅くなるように戸開閉速度を調整し、乗車待ち客数が1人よりも少ない場合に乗車待ち客数が減るにつれて速度が遅くなるように戸開閉速度を調整するエレベーター装置。
【請求項2】
前記戸開閉制御部は、前記乗車待ち客判定部によって特定された前記乗場の乗車待ち客数が1人の場合に時間が最も短くなるように戸開き時間を調整し、乗車待ち客数が1人よりも多い場合に乗車待ち客数が増えるにつれて時間が長くなるように戸開き時間を調整し、乗車待ち客数が1人よりも少ない場合に乗車待ち客数が減るにつれて時間が長くなるように戸開き時間を調整する請求項1に記載のエレベーター装置。
【請求項3】
前記乗場に設けられ、前記乗場にいる乗車待ち客を撮影するための第1カメラと、
前記第1カメラによって撮影された画像の情報に基づいて、前記乗場にいる乗車待ち客の種別を特定する画像解析部と、
を備え、
前記戸開閉制御部は、エレベーターのかごが前記乗場に停止する際に、前記画像解析部によって特定された前記乗場の乗車待ち客の種別も考慮して、戸開閉速度及び戸開き時間を調整する請求項1又は請求項2に記載のエレベーター装置。
【請求項4】
前記戸開閉制御部は、前記乗車待ち客判定部によって判定された乗車待ち客数に基づいて、戸開閉速度及び戸開き時間を算出し、前記画像解析部によって特定された乗車待ち客の種別に基づいて、前記算出した戸開閉速度及び戸開き時間を補正する請求項に記載のエレベーター装置。
【請求項5】
前記かごに設けられ、前記かご内を撮影するための第2カメラと、
を備え、
前記画像解析部は、前記第2カメラによって撮影された画像の情報に基づいて、前記かごへの乗降者の有無を判定し、
前記戸開閉制御部は、前記乗場で戸全開中に、前記かごへの乗降者がいないことが前記画像解析部によって判定されると、戸開き時間が経過する前であっても戸閉動作を開始させる
請求項に記載のエレベーター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エレベーター装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1及び2には、エレベーター装置に関する従来技術が開示されている。
特許文献1に記載されたエレベーター装置では、エレベーターのかご内荷重に基づいて、戸開き時間を決定している。特許文献2に記載されたエレベーター装置では、予測乗降人数に基づいて、戸開き時間を決定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−201668号公報
【特許文献2】特開2009−215040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1及び2に記載されたエレベーター装置では、乗場でかごの到着を待っている乗客(乗車待ち客)の人数に合わせて、戸開き時間を適切に調整することができなかった。
【0005】
例えば、特許文献1に記載されたエレベーター装置では、乗場でかごの到着を待っている乗客に対応することができない。また、特許文献2に記載されたエレベーター装置では、カメラによって撮影された画像に基づいて乗車待ち客の人数を把握するため、通行人と乗車待ち客との区別が付かず、乗車待ち客の人数を正確に把握することができなかった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、乗場の乗車待ち客の人数を正確に把握し、戸開閉速度及び戸開き時間を適切に調整することができるエレベーター装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係るエレベーター装置は、エレベーターの乗場に設けられ、乗場にいる乗車待ち客の荷重を検出するための荷重センサと、荷重センサによって検出された荷重を1人当たりの体重として設定された値で除することによって、乗場にいる乗車待ち客の人数を特定する乗車待ち客判定部と、エレベーターのかごが乗場に停止する際に、乗車待ち客判定部によって特定された乗場の乗車待ち客数に基づいて、戸開閉速度及び戸開き時間を調整する戸開閉制御部と、を備え、戸開閉制御部は、乗車待ち客判定部によって特定された乗場の乗車待ち客数が1人の場合に速度が最も速くなるように戸開閉速度を調整し、乗車待ち客数が1人よりも多い場合に乗車待ち客数が増えるにつれて速度が遅くなるように戸開閉速度を調整し、乗車待ち客数が1人よりも少ない場合に乗車待ち客数が減るにつれて速度が遅くなるように戸開閉速度を調整するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るエレベーター装置であれば、乗場の乗車待ち客の人数を正確に把握し、戸開閉速度及び戸開き時間を適切に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の実施の形態1におけるエレベーター装置の要部を示す側面図である。
図2】エレベーターの1階の乗場を正面から見た図である。
図3】この発明の実施の形態1におけるエレベーター装置の動作を示すフローチャートである。
図4】この発明の実施の形態1におけるエレベーター装置の機能を説明するための図である。
図5】この発明の実施の形態2におけるエレベーター装置の要部を示す側面図である。
図6】この発明の実施の形態2におけるエレベーター装置の動作を示すフローチャートである。
図7】この発明の実施の形態2におけるエレベーター装置の機能を説明するための図である。
図8】この発明の実施の形態3におけるエレベーター装置の要部を示す側面図である。
図9】この発明の実施の形態3におけるエレベーター装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図において、同一又は相当する部分には、同一の符号を付している。重複する説明については、適宜簡略化或いは省略している。
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベーター装置の要部を示す側面図である。
図1において、1はエレベーターの昇降路、2はエレベーターの乗場である。乗場2は、例えば、ビルの各階に備えられる。3はエレベーターのかごである。かご3は、昇降路1内を昇降する。かご3及びつり合いおもり(図示せず)は、主ロープ4により、昇降路1内で懸架される。
【0012】
昇降路1内或いはエレベーター専用の機械室に、巻上機(図示せず)が設けられる。主ロープ4は、一部が、巻上機(の駆動綱車)に巻き掛けられる。巻上機(の駆動綱車)が回転すると、主ロープ4がその長手に移動する。かご3は、主ロープ4の移動方向に応じた方向に、昇降路1内を昇降する。つり合いおもりは、かご3とは逆方向に昇降路1内を昇降する。
【0013】
エレベーターのかご3には、かご戸5、戸駆動装置6が備えられる。
かご戸5は、かご出入口を開閉する。戸駆動装置6は、かご戸5を駆動するための装置である。戸駆動装置6は、例えば、モータ等からなる。
【0014】
エレベーターの各乗場2に、乗場戸7、乗場三方枠8、荷重センサ9が備えられる。図2はエレベーターの1階の乗場を正面から見た図である。図2は、1階の乗場2にかご3が停止している状態を示している。他階の乗場2も、1階の乗場2と同様に構成される。
【0015】
乗場戸7は、乗場出入口を開閉する。乗場出入口は、乗場2の床面と乗場三方枠8とによって縁部が形成される。乗場2に、乗場戸7を駆動するための装置(モータ等)は備えられていない。乗場戸7及びかご戸5には、乗場戸7をかご戸5の開閉動作に連動させるための装置(連動装置:図示せず)が設けられる。かご3が乗場2に停止している時に戸駆動装置6が動作すると、戸駆動装置6の駆動力が、かご戸5、連動装置を介して、乗場戸7に伝えられる。これにより、乗場戸7及びかご戸5は、一体的に開閉動作する。
【0016】
荷重センサ9は、乗場2でかご3の到着を待っている乗客(乗車待ち客)の荷重を検出するためのものである。荷重センサ9は、乗場出入口近傍の乗場2の床に設けられる。荷重センサ9は、乗客が乗場2でかご3の到着を待つ時に立つ領域に合わせて配置される。荷重センサ9による荷重の検出値は、制御盤10に送信される。
【0017】
制御盤10は、エレベーターの運行を制御する。巻上機の制御は、制御盤10によって行われる。制御盤10は、例えば、昇降路1のピット部に設けられる。制御盤10を、昇降路1の頂部やエレベーター専用の機械室に配置しても構わない。
【0018】
制御盤10は、乗車待ち客判定部11、戸開閉制御部12を備える。
乗車待ち客判定部11は、乗場2にいる乗車待ち客の人数を判定する機能を有する。乗車待ち客判定部11は、荷重センサ9から受信する荷重検出値に基づいて、その荷重センサ9が設けられている乗場2の乗車待ち客数を特定する。
【0019】
戸開閉制御部12は、戸開閉速度及び戸開き時間を調整する機能を有する。戸開閉制御部12は、乗車待ち客判定部11によって判定された乗車待ち客数に基づいて、戸開閉速度及び戸開き時間を決定する。戸開閉制御部12は、かご3が乗場2に停止すると、上記決定した戸開閉速度及び戸開き時間に基づいて、戸駆動装置6を適切に制御する。戸開き時間とは、乗場2において、戸(かご戸5、及び、かご3が停止している乗場2の乗場戸7)が全開してから戸閉動作が開始されるまでの時間のことである。
【0020】
次に、図3及び図4も参照し、上記構成を有するエレベーター装置の動作について具体的に説明する。図3はこの発明の実施の形態1におけるエレベーター装置の動作を示すフローチャートである。図4はこの発明の実施の形態1におけるエレベーター装置の機能を説明するための図である。
【0021】
エレベーターの乗客は、例えば、1階の乗場2で上方向釦を押し、乗場呼びを登録する。乗客は、乗場2において、乗場戸7の前でかご3の到着を待ち、荷重センサ9の上に立つ。これにより、1階の乗場2に設けられた荷重センサ9により、乗客(乗車待ち客)の荷重が検出される(S101)。
【0022】
荷重センサ9による荷重検出値(検出結果)は、制御盤10に送信される。乗車待ち客判定部11は、荷重センサ9によって検出された荷重に基づいて、乗車待ち客の人数を判定する(S102)。例えば、乗車待ち客判定部11は、1人当たりの体重を70kgとして、荷重センサ9による荷重検出値を70kgで除し、(1階の)乗車待ち客の人数を算出する。
【0023】
戸開閉制御部12は、乗車待ち客判定部11によって特定された(1階の)乗車待ち客数に基づいて、(1階での)戸開閉速度及び戸開き時間を決定する(S103)。戸開閉制御部12は、上記決定した戸開閉速度及び戸開き時間を所定の記憶部(図示せず)に記憶させる。
【0024】
例えば、戸開閉制御部12は、図4に示すように、乗車待ち客判定部11によって特定された乗車待ち客数が1人の場合に、速度が最も速くなるように戸開閉速度を調整する。戸開閉制御部12は、乗車待ち客数が1人よりも多い場合、乗車待ち客数が増えるにつれて速度が遅くなるように、戸開閉速度を調整する。また、戸開閉制御部12は、乗車待ち客数が1人よりも少ない場合、乗車待ち客数が減るにつれて、速度が遅くなるように戸開閉速度を調整する。
【0025】
同様に、戸開閉制御部12は、図4に示すように、乗車待ち客判定部11によって特定された乗車待ち客数が1人の場合に、時間が最も短くなるように戸開き時間を調整する。戸開閉制御部12は、乗車待ち客数が1人よりも多い場合、乗車待ち客数が増えるにつれて時間が長くなるように、戸開き時間を調整する。また、戸開閉制御部12は、乗車待ち客数が1人よりも少ない場合、乗車待ち客数が減るにつれて、時間が長くなるように戸開き時間を調整する。
【0026】
これにより、混雑している場合は、戸開閉速度を遅く、戸開き時間を長く設定することができる。また、乗車待ち客数が1人よりも少ない場合は、乗車待ち客が老人や子供、女性と判断して、戸開閉速度を遅く、戸開き時間を長く設定することができる。
【0027】
かご3が1階の乗場2に到着すると(S104)、戸開閉制御部12は、戸駆動装置6を制御し、S103で設定した戸開閉速度で戸開動作を行う(S105)。戸開閉制御部12は、戸が全開すると、S103で設定した戸開き時間、戸の全開状態を保持する(S106)。戸開閉制御部12は、戸が全開してから、S103で設定した戸開き時間が経過すると、S103で設定した戸開閉速度で戸閉動作を行う(S107)。
【0028】
戸開閉制御部12は、S107で戸を全閉させると、かご呼び或いは乗場呼びが登録されているか否かを判定する(S108)。呼びが登録されている場合(S108のYes)、制御盤10は、巻上機を制御し、呼びが登録されている階にかご3を走行させる(S109)。例えば、1階からかご3に乗った乗客がかご3内で3階のかご呼びを登録すると、制御盤10は、かご3を3階に走行させる。
【0029】
制御盤10は、S108において呼びが登録されている場合、呼びが登録されている階の荷重センサ9から、荷重検出値を取得する(S109)。例えば、乗客がかご3内で3階のかご呼びを登録すると、制御盤10は、3階の乗場2に設けられた荷重センサ9から、荷重検出値を取得する。
【0030】
呼びが登録されている階(上記例では、3階)にかご3が到着した後(S110)(或いは、到着する前に)、乗車待ち客判定部11は、(到着階(上記例では、3階)の)荷重センサ9によって検出された荷重に基づいて、乗車待ち客の人数を判定する。戸開閉制御部12は、乗車待ち客判定部11によって特定された(3階の)乗車待ち客数に基づいて、(3階での)戸開閉速度及び戸開き時間を算出する。
【0031】
戸開閉制御部12は、出発階(上記例では、1階)における算出値(記憶部に記憶した値)と、到着階(上記例では、3階)における算出値とを比較する(S111)。戸開閉制御部12は、上記比較結果に基づいて、到着階(上記例では、3階)における戸開閉速度及び戸開き時間を決定する。
【0032】
例えば、到着階で算出された戸開閉速度が、出発階で算出された戸開閉速度より速い場合、戸開閉制御部12は、降車する乗客及び乗車する乗客が戸に接触することを防止するため、速度が遅い、出発階で算出された戸開閉速度を、到着階における戸開閉速度として採用する(S112)。到着階で算出された戸開閉速度が、出発階で算出された戸開閉速度より遅い場合、戸開閉制御部12は、速度が遅い、到着階で算出された戸開閉速度を、到着階における戸開閉速度として採用する(S113)。
【0033】
同様に、到着階で算出された戸開き時間が、出発階で算出された戸開き時間より短い場合、戸開閉制御部12は、降車する乗客及び乗車する乗客の移動時間を確保するため、時間が長い、出発階で算出された戸開き時間を、到着階における戸開き時間として採用する(S112)。到着階で算出された戸開き時間が、出発階で算出された戸開き時間より長い場合、戸開閉制御部12は、時間が長い、到着階で算出された戸開き時間を、到着階における戸開き時間として採用する(S113)。
【0034】
かご3が3階に到着すると、戸開閉制御部12は、戸駆動装置6を制御し、S112或いはS113で設定した戸開閉速度で戸開動作を行う(S114)。戸開閉制御部12は、戸が全開すると、S112或いはS113で設定した戸開き時間、戸の全開状態を保持する(S115)。戸開閉制御部12は、戸が全開してから、S112或いはS113で設定した戸開き時間が経過すると、S112或いはS113で設定した戸開閉速度で戸閉動作を行う(S116)。
【0035】
上記構成を有するエレベーター装置であれば、乗場2の乗車待ち客の人数を正確に把握し、戸開閉速度及び戸開き時間を適切に調整することができる。乗客がかご戸5や乗場戸7にぶつかることはなく、乗客は、かご3への乗降を円滑に行うことができる。
【0036】
実施の形態2.
図5はこの発明の実施の形態2におけるエレベーター装置の要部を示す側面図である。
本実施の形態におけるエレベーター装置には、各乗場2に、カメラ13が備えられる。カメラ13は、乗場2の天井部分に設けられ、上方から乗場2を撮影する。乗場2にいる乗車待ち客は、カメラ13によって撮影される。カメラ13によって撮影された画像の情報は、制御盤10に送信される。
【0037】
制御盤10は、乗車待ち客判定部11、戸開閉制御部12の他に、画像解析部14を備える。画像解析部14は、カメラ13からの画像情報を解析する機能を有する。画像解析部14は、その解析結果から、乗場2にいる乗車待ち客の人数と、その種別とを特定する。戸開閉制御部12は、画像解析部14によって特定された乗車待ち客数とその種別とに基づいて、戸開閉速度及び戸開き時間を調整する。
その他の構成は、実施の形態1で開示した構成と同じである。
【0038】
次に、図6及び図7も参照し、上記構成を有するエレベーター装置の動作について具体的に説明する。図6はこの発明の実施の形態2におけるエレベーター装置の動作を示すフローチャートである。図7はこの発明の実施の形態2におけるエレベーター装置の機能を説明するための図である。
【0039】
エレベーターの乗客は、例えば、1階の乗場2で上方向釦を押し、乗場呼びを登録する。乗客は、乗場2において、乗場戸7の前でかご3の到着を待つ。この時、1階の乗場2に設置されたカメラ13により、乗客の姿が撮影される(S201)。
【0040】
カメラ13によって撮影された画像の情報は、制御盤10に送信される。画像解析部14は、カメラ13によって撮影された画像の情報に基づいて、乗車待ち客の人数とその種別とを判定する(S202)。画像解析部14は、乗車待ち客の種別として、例えば、一般の健常者か、子供か、老人か、ペット連れか、障がい者(例えば、車椅子利用者)か、台車やカートを操作する人かを判別する。
【0041】
戸開閉制御部12は、画像解析部14によって特定された(1階の)乗車待ち客数とその種別とに基づいて、(1階での)戸開閉速度及び戸開き時間を決定する(S203)。戸開閉制御部12は、上記決定した戸開閉速度及び戸開き時間を所定の記憶部(図示せず)に記憶させる。
【0042】
例えば、戸開閉制御部12は、図7に示すように、画像解析部14によって特定された乗車待ち客の種別が一般の健常者である場合に、速度が最も速くなるように戸開閉速度を調整する。戸開閉制御部12は、乗車待ち客の種別が老人や子供である場合、一般の健常者である場合よりも速度が遅くなるように、戸開閉速度を調整する。戸開閉制御部12は、乗車待ち客の種別が障がい者やペット連れ、台車等を操作する人である場合、老人や子供である場合よりも速度が更に遅くなるように、戸開閉速度を調整する。
【0043】
同様に、戸開閉制御部12は、図7に示すように、画像解析部14によって特定された乗車待ち客の種別が一般の健常者である場合に、時間が最も短くなるように戸開き時間を調整する。戸開閉制御部12は、乗車待ち客の種別が老人や子供である場合、一般の健常者である場合よりも時間が長くなるように、戸開き時間を調整する。戸開閉制御部12は、乗車待ち客の種別が障がい者やペット連れ、台車等を操作する人である場合、老人や子供である場合よりも時間が更に長くなるように、戸開き時間を調整する。
【0044】
かご3が1階の乗場2に到着すると(S204)、戸開閉制御部12は、戸駆動装置6を制御し、S203で設定した戸開閉速度で戸開動作を行う(S205)。戸開閉制御部12は、戸が全開すると、S203で設定した戸開き時間、戸の全開状態を保持する(S206)。戸開閉制御部12は、戸が全開してから、S203で設定した戸開き時間が経過すると、S203で設定した戸開閉速度で戸閉動作を行う(S207)。
【0045】
戸開閉制御部12は、S207で戸を全閉させると、かご呼び或いは乗場呼びが登録されているか否かを判定する(S208)。呼びが登録されている場合(S208のYes)、制御盤10は、巻上機を制御し、呼びが登録されている階にかご3を走行させる(S209)。例えば、1階からかご3に乗った乗客がかご3内で3階のかご呼びを登録すると、制御盤10は、かご3を3階に走行させる。
【0046】
制御盤10は、S208において呼びが登録されている場合、呼びが登録されている階のカメラ13から、画像情報を取得する(S209)。例えば、乗客がかご3内で3階のかご呼びを登録すると、制御盤10は、3階の乗場2に設けられたカメラ13から、画像情報を取得する。
【0047】
呼びが登録されている階(上記例では、3階)にかご3が到着した後(S210)(或いは、到着する前に)、画像解析部14は、(到着階(上記例では、3階)の)カメラ13から受信した画像情報に基づいて、乗車待ち客の人数とその種別とを判定する。戸開閉制御部12は、画像解析部14によって特定された(3階の)乗車待ち客数とその種別とに基づいて、(3階での)戸開閉速度及び戸開き時間を算出する。
【0048】
戸開閉制御部12は、出発階(上記例では、1階)における算出値(記憶部に記憶した値)と、到着階(上記例では、3階)における算出値とを比較する(S211)。戸開閉制御部12は、上記比較結果に基づいて、到着階(上記例では、3階)における戸開閉速度及び戸開き時間を決定する。
【0049】
S211以下の処理は、図3のS111乃至S116に示す処理と同様である。
かご3が3階に到着すると、戸開閉制御部12は、戸駆動装置6を制御し、S212或いはS213で設定した戸開閉速度で戸開動作を行う(S214)。戸開閉制御部12は、戸が全開すると、S212或いはS213で設定した戸開き時間、戸の全開状態を保持する(S215)。戸開閉制御部12は、戸が全開してから、S212或いはS213で設定した戸開き時間が経過すると、S212或いはS213で設定した戸開閉速度で戸閉動作を行う(S216)。
その他の動作は、実施の形態1で開示した動作と同様である。
【0050】
また、カメラ13及び画像解析部14が備えられている場合、戸開閉制御部12は、乗車待ち客判定部11及び画像解析部14によって特定された乗車待ち客数とその種別とに基づいて、戸開閉速度及び戸開き時間を調整しても良い。
【0051】
かかる場合、乗客が1階の乗場2で乗場呼びを登録すると、1階の乗場2に設けられた荷重センサ9により、乗客(乗車待ち客)の荷重が検出される。荷重センサ9による荷重検出値(検出結果)は、制御盤10に送信される。乗車待ち客判定部11は、荷重センサ9によって検出された荷重に基づいて、乗車待ち客の人数を判定する。戸開閉制御部12は、乗車待ち客判定部11によって特定された(1階の)乗車待ち客数に基づいて、例えば、図4に示すように、(1階での)戸開閉速度及び戸開き時間を算出する。
【0052】
また、1階の乗場2で乗場呼びを登録した乗客は、1階の乗場2に設置されたカメラ13により、その姿が撮影される。カメラ13によって撮影された画像の情報は、制御盤10に送信される。画像解析部14は、カメラ13から受信した画像情報に基づいて、乗車待ち客の種別(又は、種別毎の人数)を判定する。戸開閉制御部12は、画像解析部14によって特定された(1階の)乗車待ち客の種別(又は、種別毎の人数)に基づいて、例えば、図7に示すように、上記算出した(1階での)戸開閉速度及び戸開き時間を補正する。戸開閉制御部12は、補正した後の値を(1階での)戸開閉速度及び戸開き時間として決定し、記憶部に記憶させる。
【0053】
かかる構成を採用することにより、乗車待ち客判定部11及び画像解析部14の双方の結果を考慮した、適切な設定が可能となる。
なお、戸開閉制御部12は、画像解析部14によって特定された(1階の)乗車待ち客の種別(又は、種別毎の人数)に基づいて、戸開閉速度及び戸開き時間を算出し、乗車待ち客判定部11によって特定された乗車待ち客数に基づいて、上記算出した戸開閉速度及び戸開き時間を補正しても良い。
【0054】
実施の形態3.
図8はこの発明の実施の形態3におけるエレベーター装置の要部を示す側面図である。
本実施の形態におけるエレベーター装置には、かご3にカメラ15が備えられる。カメラ15は、かご3の内部を撮影する。このため、かご3内にいる乗客は、カメラ15によって撮影される。カメラ15によって撮影された画像の情報は、制御盤10に送信される。
【0055】
カメラ15からの画像情報は、制御盤10において、画像解析部14によって解析される。画像解析部14は、カメラ15からの画像情報に基づいて、乗場2からかご3に乗車する乗客の有無とかご3から乗場2に降車する乗客の有無とを判定する。画像解析部14は、かご3への乗降者がいなければ、その旨(乗降者無し)の情報を戸開閉制御部12に出力する。
【0056】
次に、図9も参照し、上記構成を有するエレベーター装置の動作について具体的に説明する。図9はこの発明の実施の形態3におけるエレベーター装置の動作を示すフローチャートである。
【0057】
カメラ15により、かご3内の状況が撮影される(S301)。かご3内にいる乗客は、その姿がカメラ15によって撮影される。カメラ15によって撮影された画像の情報は、制御盤10に送信される。画像解析部14は、カメラ15から受信した画像情報に基づいて、かご3内にいる乗客の人数とその種別とを判定する(S302)。また、画像解析部14は、カメラ15から受信した画像情報に基づいて、かご3への乗降者の有無を判定する(S303)。
【0058】
S303において乗降者有りの判定がなされた場合、戸開閉制御部12は、実施の形態1又は2において開示した方法と同様の方法により、戸開閉制御を行う。即ち、戸開閉制御部12は、乗車待ち客判定部11の判定結果や画像解析部14の解析結果に基づいて、戸開閉速度及び戸開き時間を決定する(S304)。かご3が乗場2に到着すると(S305)、戸開閉制御部12は、戸駆動装置6を制御し、S304で設定した戸開閉速度で戸開動作を行う(S306)。戸開閉制御部12は、戸が全開すると、S304で設定した戸開き時間、戸の全開状態を保持する(S307)。戸開閉制御部12は、戸が全開してから、S304で設定した戸開き時間が経過すると、S304で設定した戸開閉速度で戸閉動作を行う(S308)。
【0059】
S303において乗降者無しの判定がなされた場合、戸開閉制御部12は、戸開閉速度及び戸開き時間を所定の標準設定で行い、調整値を適用しない(S309)。即ち、かご3が乗場2に到着すると(S310)、戸開閉制御部12は、戸駆動装置6を制御し、標準設定で戸開動作を行う(S311)。戸開閉制御部12は、戸が全開すると、標準設定で戸の全開状態を保持する(S311)。戸開閉制御部12は、戸が全開してから所定の時間が経過すると、標準設定で戸閉動作を行う(S312)。
【0060】
また、例えば、実施の形態1又は2において開示した方法によって戸開閉制御が行われている時に、カメラ15からの画像情報に基づいて乗降者無しが判定されると、戸開閉制御部12は、戸を全開させてから戸開き時間が経過する前であっても、標準設定の速度で戸閉動作を開始する。
【0061】
本実施の形態で開示しなかった構成及び動作については、実施の形態1又は2で開示した構成及び動作と同様である。
【符号の説明】
【0062】
1 昇降路
2 乗場
3 かご
4 主ロープ
5 かご戸
6 戸駆動装置
7 乗場戸
8 乗場三方枠
9 荷重センサ
10 制御盤
11 乗車待ち客判定部
12 戸開閉制御部
13、15 カメラ
14 画像解析部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9