特許第5966580号(P5966580)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966580
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】トランスファフィーダ
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/05 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   B21D43/05 K
   B21D43/05 J
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-108399(P2012-108399)
(22)【出願日】2012年5月10日
(65)【公開番号】特開2013-233581(P2013-233581A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】593005013
【氏名又は名称】型研精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(72)【発明者】
【氏名】川島 政吉
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−061562(JP,A)
【文献】 実開昭60−166435(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な一対のトランスファバーと、
両トランスファバーをこれらの両端部で水平に支持し、また、両トランスファバーに対してこれらの長手方向への移動、該長手方向に直交する水平方向への移動及び前記長手方向に直交する鉛直方向への移動をそれぞれ生じさせるための駆動機構と、
両トランスファバーに対する前記駆動機構による支持を補助するための補助機構とを含み、
前記補助機構は、各トランスファバーがその両端部間において載置され各トランスファバーを補助的に支持する少なくとも1つのテーブルであって各トランスファバーに対して該トランスファバーの前記駆動機構による前記長手方向への移動及び前記水平方向への移動を許しかつ各トランスファバーの前記駆動機構による前記鉛直方向への移動と同期して鉛直方向へ移動する少なくとも1つのテーブルを備え、
各テーブルは、トランスファバーに対してその鉛直方向への移動を拘束する、トランスファフィーダ。
【請求項2】
各トランスファバーを支持する1つのテーブルが、前記トランスファバーの長手方向における中央位置又はその近傍に配置されている、請求項1に記載のトランスファフィーダ。
【請求項3】
各トランスファバーを支持する複数のテーブルが、各トランスファバーの長手方向に互いに間隔を置いて配置されている、請求項1に記載のトランスファフィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスファプレスのようなプレス機械に組み込まれあるいは複数のプレス機械に適用されるトランスファフィーダ、特にいわゆる三次元トランスファフィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
三次元トランスファフィーダは、1又は複数のプレス機械において一の被加工材(ワーク)に対して複数のプレス加工を順次に施すために使用され、ワークを把持し、これを一のプレス加工位置から次の他のプレス加工位置へと移動するための互いに平行な一対のトランスファバーを備える。トランスファバーは、これに取り付けられた対のフィンガーによるワークの把持、移動及び解除のために、駆動機構により互いに直交する三方向へ順次に移動される。
【0003】
近時、プレス機械の大型化に伴い、ワークに施されるプレス加工の種類又は数量が増大し、このためにより長い長さ寸法のトランスファバーを有する三次元トランスファフィーダが求められている。トランスファバーはその両端部において駆動機構により水平に支持されるところ、その長大化はトランスファバーに生じる撓みの増大をもたらす。トランスファバーの撓みは、プレス加工の継続を阻害する原因となるワークの不完全把持、トランスファバーの金型に対する接触等を生じさせる。
【0004】
従来、トランスファバーの長大化に伴う撓み増大の抑制のため、トランスファバーの断面積をより大きいものとすることが行われている。しかし、断面積の増大に伴うトランスファバーの重量増大は、同時に、トランスファバーの駆動機構の大型化による重量増大をも招く。このことから、トランスファバーを移動させるために多大の駆動力及びコストを要し、また、それにも拘わらず、トランスファフィーダの運転速度の増大を図ることは困難である。
【0005】
また、従来、トランスファバーの撓みの増大を抑制するために、トランスファバーの一端部をこれと平行に伸びるレールで支持することが提案されている(後記特許文献1参照)。しかし、この提案においてはトランスファフィーダの長大化又は大型化を余儀なくされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−135657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、従来とは異なる観点から、長大化に伴うトランスファバーの撓みの増大を抑えることを可能とするトランスファフィーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るトランスファフィーダは、互いに平行な一対のトランスファバーと、両トランスファバーをこれらの両端部で水平に支持し、また、両トランスファバーに対してこれらの長手方向への移動、該長手方向に直交する水平方向への移動及び前記長手方向に直交する鉛直方向への移動をそれぞれ生じさせるための駆動機構と、両トランスファバーに対する前記駆動機構による支持を補助するための補助機構とを備える。前記補助機構は、各トランスファバーがその両端部間において載置され各トランスファバーを補助的に支持する少なくとも1つのテーブルを備える。各テーブルは、各トランスファバーに対して該トランスファバーの前記駆動機構による前記長手方向への移動及び前記水平方向への移動を許しかつ各トランスファバーの前記駆動機構による前記鉛直方向への移動と同期して鉛直方向へ移動する。また、各テーブルは、前記トランスファバーに対してその鉛直方向への移動を拘束する。
【0009】
本発明にあっては、補助機構における各テーブルが各トランスファバーの両端部間において該トランスファバーの載置を受けてこれを補助的に支える。これにより、前記トランスファバーの長大化に伴って生じる該トランスファバーの撓みの増大を抑制することができる。また、前記トランスファバーの両端部間すなわち該トランスファバーの長さの範囲内においての該トランスファバーの補助的支持には、実質的に、前記トランスファフィーダの長大化又は大型化を招来しない。本発明において、前記トランスファバーは前記テーブルに前記長手方向移動及び水平方向移動可能に支持され、また、前記テーブルは前記トランスファバーの鉛直方向への移動に同期して鉛直方向へ移動する。このことから、前記テーブル上のトランスファバーは、前記駆動機構による各方向への移動を妨げられない。前記トランスファバーの両端部間すなわち該トランスファバーの長さの範囲内への前記テーブルの配置は、実質的に、トランスファフィーダの長大化又は大型化を招来しない。さらに、前記テーブルは前記トランスファバーに対して該トランスファバーの鉛直方向への移動を拘束する。このことから、前記鉛直方向移動に伴う前記トランスファバーの慣性による撓みの発生を抑制することができる。
【0010】
各トランスファバーに対してその長手方向における中央部又はその近傍に1つのテーブルを配置することにより、長大なトランスファバーに発生する撓みの増大を効果的に抑制することができる。
【0011】
また、各トランスファバーに対してその長手方向に互いに間隔を置いて複数のテーブルを配置することにより、長大なトランスファバーに発生する撓みの増大をより一層効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】プレス機械に組み付けられた本発明に係るトランスファフィーダの正面図である。
図2図1に示すトランスファフィーダの平面図である。
図3図1に示すトランスファフィーダの側面図である。
図4】他の例に係るトランスファフィーダの正面図である。
図5図1に示すトランスファフィーダの補助機構の一部を詳細に示す部分断面図である。
図6図5の線6−6に沿って得た断面図である。
図7図5に示す一部の拡大図である。
図8図6に示す一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1図3を参照すると、本発明に係るトランスファフィーダが全体に符号10で示されている。トランスファフィーダ10はプレス機械12に組み付けられている。プレス機械12は、複数のワーク(被加工材)Wに対して複数の異なる工程のプレス加工をそれぞれ施すことができる。他方、トランスフィーダ10はこれらのワークWを、それぞれ、所定の工程に係るプレス加工が施されるプレス加工位置に配置し、当該プレス加工が行われた後、前記プレス加工位置から次の他の工程に係るプレス加工位置へ移動し、また、前記プレス加工位置から非プレス加工位置へ移動する作用をなす。図上、符号Fはプレス機械12が据え付けられた床を示す。
【0014】
プレス機械12には、そのボルスタ13上に、複数のワークWに対して前記複数の異なる工程のプレス加工を施すために使用される下金型LDが配置されており、また、そのスライド15に前記下金型と対をなす上金型UDが取り付けられている。
【0015】
他方、トランスファフィーダ10は、複数のワークWの前記プレス加工位置への配置並びに該プレス加工位置から他のプレス加工位置及び非プレス加工位置への移動を行うための互いに平行な一対のトランスファバー14と、両トランスファバー14を水平に支持し、また、互いに直交する3つの方向(トランスファバー14の長手方向、該長手方向に直交する水平方向及び前記長手方向に直交する鉛直方向)にそれぞれ移動させるための駆動機構と、両トランスファバー14に対する前記駆動機構による支持を補助するための補助機構22とを備える。
【0016】
図示の駆動機構は、第1の駆動機構16、第2の駆動機構18及び第3の駆動機構20からなる。ここにおいて、第1の駆動機構16は、両トランスファバー14についての前記長手方向への移動を司り、第2の駆動機構18は前記水平方向への移動を司り、また、前記第3の駆動機構20は前記鉛直方向への移動を司る。
【0017】
より詳細には、両トランスファバー14は、これらの両端部において、第2の駆動機構18及び第3の駆動機構20により同一平面上に水平に支持されている。また、第2の駆動機構18及び第3の駆動機構20は、プレス機械12のプレスベッド24から伸びる2対の支柱28に支持されている。これにより、両トランスファバー14はプレス機械12のボルスタ13の上方位置を水平に伸び、これらの両端部がそれぞれプレス機械12の内部から外部に突出している。両トランスファバー14には、前記プレス加工の工程の数と同数の対のフィンガー30が両トランスファバー14の長手方向に互いに間隔を置いて配置され、各対のフィンガー30は両トランスファバー14に互いに相対するように取り付けられている。
【0018】
一の工程のプレス加工が施された後、下金型LD上に残る複数のワークWがそれぞれ次の他の工程のプレス加工を施すために移動される。これらのワークWの移動のために、両トランスファバー14が次のように移動される。このとき、両トランスファバー14はこれらの相互間隔が広げられた状態にある。
【0019】
まず、(1)両トランスファバー14は第2の駆動機構18の作動により両トランスファバー14の相互間隔が狭くなるように、したがって各対のフィンガー30同士が互いに相寄るように、前記水平方向(図2で見て上下方向)へ移動される。これにより、下金型LD上の複数のワークWがそれぞれ複数対のフィンガー30に把持される(図2に実線で示すトランスファバー14参照)。
【0020】
(2)次に、第3の駆動機構20の作動により、両トランスファバー14が前記鉛直方向(図1及び図3で見て上下方向)における上方へ移動(上昇)される。これにより、複数対のフィンガー30にそれぞれ把持された状態にある複数のワークWが下金型LDを離れ、その上方位置へ移動する(図6に想像線で示すトランスファバー14参照)。
【0021】
(3)次いで、第1の駆動機構16の作動により、両トランスファバー14がこれらの長手方向における一方(図2で見て左右方向における右方)へ移動される。これにより、複数のワークWがそれぞれ下金型LDにおける次工程に係る他のプレス加工位置の上方へ移動する。ただし、図2で見て最右方に位置するワークWは、前記非プレス加工位置の直上に移動される。
【0022】
(4)次に、第3の駆動機構20の作動により、両トランスファバー14が前記鉛直方向における下方へ移動(下降)される。これにより、複数のワークWが、図2における前記最右方のワークWを除いて、下金型LD上にそれぞれ載置される。
【0023】
(5)次いで、第2の駆動機構18の作動により両トランスファバー14の相互間隔が広がるように、したがって各対のフィンガー30が互いに離れるように、前記水平方向へ移動される。これにより、下金型LD上に載置された状態にある複数のワークWと図2における前記最右方のワークWとがそれぞれ複数対のフィンガー30による把持を解除される(図2に想像線で示すトランスファバー14参照)。下金型LD上の複数のワークWは、プレス機械12の作動により前記次工程に係るプレス加工を施され、また、図2における前記最右方のワークWは、前記プレス加工の全工程を完了した製品として、ボルスタ13上に一時的に留め置かれる。
【0024】
(6)最後に、第1の駆動機構16の作動により、相互間隔が広げられた状態の両トランスファバー14がこれらの長手方向における他方(図2で見て左右方向における左方)へ移動される。これにより、両トランスファバー14が前記(1)に示した最初の位置及び状態に戻る。
【0025】
両トランスファバー14は、前記(1)〜(6)に記載した6つの移動を1サイクルとして、その動作が繰り返される。なお、好ましくは、鉛直方向上方への移動(2)が完了する直前に次の(右方への)長手方向移動(3)を開始し、移動(3)が完了する直前に次の鉛直方向下方への移動(4)を開始し、また、水平方向移動(5)が完了する直前に次の長手方向移動(6)を開始する。
【0026】
ところで、両トランスファバー14に対する繰り返しの前記鉛直方向への移動は、前記サイクルの時間が短いほど、両トランスファバー14に大きい撓みを生じさせ、また、増大させる。補助機構22はこのような撓みの増大を抑制する機能を担う。
【0027】
図示の補助機構22は、各トランスファバー14をその両端部間において補助的に支持する1つのテーブル32を備える。各トランスファバー14は、各テーブル32上に、各トランスファバー14の前記長手方向への移動及び前記水平方向への移動を許すように載置され、これにより、各テーブル32上に支持されている。これによれば、各テーブル32が各トランスファバー14に対して各トランスファバー14の下方に向けての変位を妨げる作用をなす。これにより、各トランスファバー14の撓みの増大が抑制される。このとき、各テーブル32は、トランスファバー14の前記駆動機構による前記長手方向移動及び前記水平方向移動を阻害しない。各テーブル32上に、各トランスファバー14をその長手方向及び水平方向へ移動可能に支持するための構造についてはその一例を後述する。
【0028】
各トランスファバー14に生じる撓みの大きさは、その両端部間の中央位置において最大となることから、前記撓みの増大の抑制のためには、図示の例におけるように、各テーブル32を各トランスファバー14の長さ方向における中央位置又はその近傍に配置することが望ましい。
【0029】
また、トランスファバー14の長さ寸法が比較的大きいときは、図4に示すように、各トランスファバー14について、2つのテーブル32を各トランスファバー32の長手方向に互いに間隔を置いて配置する。これにより、各トランスファバー14の前記撓みの増大をより効果的に抑制することができる。必要であれば、図示の例に代えて、各トランスファバー14について3以上のテーブル32を配置することができる。
【0030】
また、各テーブル32は、各トランスファバー14の前記鉛直方向への移動と同期して鉛直方向へ移動する(図6に想像線で示すトランスファバー14及びテーブル32参照)。各テーブル32を、各トランスファバー14の前記鉛直方向移動に関して、これに追随して移動するものとすることにより、各トランスファバー14に対する各テーブル32による支持を常に維持することができる。
【0031】
次に、両トランスファバー14に移動を生じさせるための第1の駆動機構16、第2の駆動機構18及び第3の駆動機構20の一例を図1図3参照して説明する。また、両トランスファバー14の前記鉛直方向移動にそれぞれ追随して移動する両テーブル32を有する補助機構22の一例を図5及び図6を参照して、またこれらの拡大部分を示す図7及び図8を参照して説明する。
【0032】
図1図3に示すように、第1の駆動機構16は、プレート34を介してプレス機械12の一対の支柱28に固定され両トランスファバー14の長手方向へ伸びるブラケット36と、該ブラケットの先端部に配置されかつこれに支持されたサーボモータ38と、ブラケット36にその長手方向へ移動可能に支持されたスライダ40と、該スライダ及び各トランスファバー14の一端部(図上右端部)に連結されブラケット36の長手方向軸線に平行な軸線の周りに回転可能である、互いに相対する2対のリンク42と、サーボモータ38の回転運動をスライダ40の直線運動に変換するための変換装置(図示せず)とを備える。
【0033】
図示の第1の駆動機構16によれば、サーボモータ38の作動により、スライダ40と2対のリンク42とがブラケット36に沿って直線移動する。スライダ40及びリンク42により、これらと共に、両トランスファバー14がこれらの長手方向における一方(図1でみて右方)及び他方(同左方)へ選択的に移動される。両トランスファバー14移動量は、サーボモータ38の回転量を電気的に制御することにより行うことができる。
【0034】
第2の駆動機構18及び第3の駆動機構20は、両トランスファバー14の両端部の近傍にそれぞれ配置された一対の共通のハウジング44を備える。各ハウジング44には、第2の駆動機構18の駆動源であるサーボモータ46と、第3の駆動機構20の駆動源であるサーボモータ48とが支持されている。両駆動機構18,20は、さらに、各ハウジング44に支持された一対のアーム部材50と、各対のアーム部材50にそれぞれ揺動可能に連結された一対のスライダ54とを有する。
【0035】
各ハウジング44はプレス機械12の各対の支柱28にプレート56を介して固定されている。各対のアーム部材50は、両トランスファバー14に直交する前記水平方向へ直線移動可能であり、また、前記水平方向へ伸びる軸線の周りに揺動可能である。さらに、各対のスライダ54は、それぞれ、両トランスファバー14の端部の下面に設けられこれらの長手方向に伸びる一対のレール55に該レールに沿って移動可能であるように取り付けられている。
【0036】
第2の駆動機構18の各サーボモータ46は、ハウジング44内に配置された運動変換装置(図示せず)を介して各対のアーム部材50に接続されている。前記運動変換装置は、サーボモータ46の回転運動を各対のアーム部材の前記水平方向への直線運動、より詳細には各対のアーム部材50を前記水平方向に関して互いに離れ又は相寄る直線運動に変換する。各対のアーム部材50の前記水平方向への直線運動は、両トランスファバー14の各端部において、スライダ54及びレール55に伝達される。これにより両トランスファバー14が前記したように水平方向へ移動される。両サーボモータ46はこれらの回転運動が互いに同期するように電気的に制御される。なお、このとき、第1の駆動機構16の二対のリンク42が互いに揺動し、両トランスファバー14の前記水平方向移動を妨げない。また、レール55は、第1の駆動機構16の作動により両トランスファバー14がその長手方向へ移動されるとき、静止状態にあるスライダ54に対して相対移動をする。
【0037】
また、第3の駆動機構20の各サーボモータ48は、ハウジング44内に配置された他の運動変換装置(図示せず)を介して、各対のアーム部材50に接続されている。前記他の運動変換装置は、サーボモータ46の回転運動を各対のアーム部材50を前記水平方向に伸びる軸線の周りの揺動運動に変換する。各対のアーム部材50の前記揺動運動は、それぞれ、両スライダ54に昇降運動とレール55に沿っての直線運動とを生じさせる。その結果、両トランスファバー14が、これらの両端部において、前記鉛直方向上方又は下方に移動される。両サーボモータ48はこれらの回転運動が互いに同期するように電気的に制御される。なお、このとき、第1の駆動機構16の二対のリンク42が互いに揺動し、両トランスファバー14の前記鉛直方向移動を妨げない。
【0038】
次に、図5図8を参照して補助機構22を説明する。
【0039】
補助機構22は、2つのテーブル32をそれぞれ水平にかつ前記鉛直方向における上方及び下方へ直線運動可能に保持する2つの駆動装置58を有する。両駆動装置58は、それぞれ、両トランスファバー14の前記水平方向における両側、すなわちプレス機械12のプレスベッド24の両側に配置されている。各駆動装置58はトランスファバー14のための第3の駆動機構20に類似の構造を有する。
【0040】
図示の各駆動装置58は、駆動源であるサーボモータ60を備える。サーボモータ60は、プレス機械12のプレスベッド24の側面に相対して配置されかつプレスベッド24に支持されたプレート62に取り付けられており、その軸(図示せず)がトランスファバー14と平行に伸びている。サーボモータ60の軸は、同様にプレート62に取り付けられた減速機64に接続されている。減速機64はトランスファバー14の長手方向へ伸びる軸部66を有する。減速機64の軸部66は、プレート62に取り付けられた軸受68に回転可能に支持されている。軸部66にはこれと共に回転可能であるアーム部材70が取り付けられている。アーム部材70には、減速機64の軸部66と平行に伸びる軸部材72を介して、後記レール82に沿って移動可能であるスライダ74が接続されている。アーム部材70に対して軸部材72はその軸線の周りに回転可能であり、また、スライダ74は軸部材72と共に回転可能である。
【0041】
スライダ74上には、水平な支持板78と該支持板からプレスベッド24及びボルスタ13のそれぞれの一部を貫通して上方へ伸びる一対のロッド80とが配置されており、スライダ74がこれらを支持している。両ロッド80によりこれらの先端部(上端部)において各テーブル32が水平に支持されている。支持板78はその下面に前記水平方向へ伸びるレール82を有し、レール82はスライダ74に設けられた細長い凹溝84に嵌合している。
【0042】
この駆動装置58によれば、サーボモータ60の作動により減速機64の軸部66が減速回転し、軸部66と共にアーム部材70が揺動する。これに伴い、スライダ74が軸部材72の周りに揺動しかつレール82に嵌合した状態で該レールに沿って移動する。このとき、スライダ74に嵌合するレール82、両ロッド80及び各テーブル32が一体的に昇降運動をする。この昇降運動は、各サーボモータ60の回転量を電気的に制御することにより行うことができる。
【0043】
また、第3の駆動機構20によるトランスファバー14の昇降運動(鉛直方向への移動)に対する、補助機構22によるテーブル32の昇降運動の同期は、例えば、第3の駆動機構20のサーボモータ48と補助機構22のサーボモータ60とをこれらのサーボモータ48,60が同時にまた同一量を回転するように電気的に制御することにより行うことができる。
【0044】
図5及び図6に示すように、サーボモータ60、減速機64等が据え付けられた各プレート62が、一対のスライドガイド86を介して上下方向移動可能にプレスベッド24に取り付けられ、また、液圧シリンダ88を介してプレスベッド24に支持され、さらに、ボルスタ13に各テーブル32の一部を受け入れ可能である凹溝90が設けられている。これによれば、各液圧シリンダ88を操作して、各テーブル32を上下動することにより、各テーブル32を、各トランスファバー14を支持する高さ位置と、凹溝90内の高さ位置とに選択的に保持することができる。テーブル32を凹溝90内に保持することにより、ボルスタ13上からの下金型LDの引き出しとその交換のための作業を容易にすることができる。
【0045】
各テーブル32上に各トランスファバー14をその長手方向及び水平方向へ移動可能に支持するための支持構造の一例は次のとおりである。
【0046】
この支持構造は、図5及び図6、並びにさらに詳細に図7及び図8に示すように、2つの案内機構92,94、すなわち、各トランスファバー14を前記長手方向に案内する案内機構92と、前記水平方向に案内する案内機構94とを備える。
【0047】
前記長手方向に関する案内機構92は、各トランスファバー14に固定され該トランスファバーの一部をその下面に沿って伸びるレール96と、該レールに懸架され該レールに沿って移動可能であるスライダ98とを備える。また、前記水平方向に関する案内機構94は、プレート100を介して案内機構92のスライダ98の下面に固定され該スライダに直交して前記水平方向に伸びる一対の互いに平行なスライダ102と、テーブル32に固定され両スライダ102下をこれらに相対して伸びる一対のレール104とを備える。両レール104はそれぞれ両スライダ102に設けられた凹溝106にこれらの長手方向へ移動可能であるように係合している。
【0048】
この支持構造によれば、第1の駆動機構16による各トランスファバー14の前記長手方向への移動が生じるとき、該トランスファバーに固定されたレール96がスライダ98に対して相対移動をする。これにより、トランスファバー14の前記長手方向への移動が保証される。また、第2の駆動機構18による各トランスファバー14の前記水平方向への移動が生じるとき、該トランスファバーと一体のスライダ98が、プレート100を介して、テーブル32に固定されたレール104に対して相対移動をする。これにより、トランスファバー14の前記水平方向への移動が保証される。
【符号の説明】
【0049】
10 トランスファフィーダ
12 プレス機械
14 トランスファバー
16 第1の駆動機構
18 第2の駆動機構
20 第3の駆動機構
22 補助機構
32 テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8