(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
図1は本発明の電力制御装置のブロック図である。本例の電力制御装置は、家庭用の屋内又は屋外に設けられている負荷の電力を制御する装置である。電力制御装置は、交流電源1と、太陽光パネル2と、PV用電力制御器3と、負荷4と、分電盤5と、蓄電装置10と、コントローラ100とを備えている。なお、本図の矢印線は制御線を意味し、それ以外の実線は電力線を意味する。また、蓄電装置10内部の電力線のみ正負それぞれの電力線(2本の電力線)で記載し、蓄電装置10外部の電力線は便宜上、正負の電力線をまとめて1本の実線で記載している。
【0011】
交流電源1は、商用電源あり、電力会社から各家庭に分配されている電力源である。交流電源1は24時間、負荷4に対して電力を供給可能な電力である。太陽光パネル2は、家屋の屋上等に設置され、太陽電池を利用して太陽光のエネルギーを電力に変換し、負荷4に電力を供給する発電装置である。
【0012】
PV用電力制御器3は、電力変換器等を備え、太陽光パネル2により発生した直流電力を交流電力に変換し、分電盤5に供給する。太陽光パネル2で発生する電力は、気象条件等により変化するため、PV用電力制御器3は、太陽光パネル2からの出力に応じて、負荷4への供給に適した電力になるよう、太陽光パネル2の出力電力を制御する。PV用電力制御器3は、太陽光パネル2と分電盤5との間に電力線により接続されている。
【0013】
負荷4は、負荷A〜Dを含み、エアコン、テレビ、給湯器などの家庭で使用される家電製品である。負荷4の消費電力は、ユーザによる負荷A〜D等の利用状況に応じて変わる。また負荷4は、家屋内に配線された電力線により分電盤5に接続されている。分電盤5は、交流電源1、太陽光パネル2及びバッテリ13から供給される電力を負荷4に分電して供給する装置であり、漏電防止用の遮断機等を有している。
【0014】
蓄電装置10は、バッテリ用電力制御器11と、リレースイッチ12と、バッテリ13と、電圧センサ14と、バッテリコントローラ15とを備えている。蓄電装置10は、家庭内で利用される交流電源1の消費電力量を抑制するために、負荷4で消費される分の電力を予め蓄電する装置である。
【0015】
バッテリ用電力制御器11は、電力変換器等を備え、蓄電装置10のバッテリ13から出力される直流電力を交流電力に変換して、分電盤5を介して負荷4へ供給する。また本例では、交流電源1及び太陽光パネル2の電力によりバッテリ13を充電する際には、バッテリ用電力制御器11は充電器として機能し、交流電源1及び太陽個パネル2の電力をバッテリ13の充電に適した充電電力に変換して、バッテリ13に供給する。
【0016】
リレースイッチ12は、負荷4とバッテリ13との間の電気的な導通及び遮断を切り替えるためのスイッチであり、配電盤5及びバッテリ用電力制御器11を介して、負荷4とバッテリ13との間に接続されている。リレースイッチ12はバッテリコントローラ15の制御によりオン、オフを切り替える。
【0017】
バッテリ13は、リチウムイオン電池等の二次電池を複数接続したバッテリである。バッテリ13は、電気自動車などの車両用として用いられていたバッテリを、定置用のバッテリとして再利用したものであってもよい。電圧センサ14は、バッテリ13の両端に接続され、バッテリ13の電圧を検出するセンサである。
【0018】
バッテリコントローラ15は、バッテリ13を管理するコントローラである。バッテリコントローラ15は、電圧センサ14を用いて、バッテリ13の電圧を検出することで、バッテリ13の充電状態(State of Charge)を測定している。また、バッテリ13は、使用に伴い劣化するため、バッテリコントローラ15はバッテリ13の劣化度、満充電時の容量等も管理している。なお、バッテリ13の劣化度等は、バッテリ13の内部抵抗を演算することで測定すればよい。またバッテリコントローラ15は、バッテリ13の充放電電流を検出する電流センサ(図示しない)を用いて、バッテリ13の充電状態等を測定してもよい。
【0019】
バッテリコントローラ15は、バッテリ13の管理制御の他に、バッテリ用電力制御器11の制御及びリレースイッチ12のオン、オフ制御を行う。バッテリ13の電力を負荷4に供給する場合には、バッテリコントローラ15はバッテリ用電力制御器11を制御して、バッテリ13からの放電電力を負荷4への供給に適した電力に変換し、分電盤5に電力を出力させる。一方、太陽光パネル2の発電電力または交流電源1の電力をバッテリ13に供給する場合には、バッテリコントローラ15はバッテリ用電力制御器11を充電器として作用するよう制御して、太陽光パネル2の発電電力または交流電源1の電力をバッテリ13の充電に適した電力に変換して、バッテリ13に出力する。バッテリコントローラ15は、バッテリ13の放電制御中または充電制御中、電圧センサ14の検出電圧及び図示しない電流センサの検出値を用いてバッテリ13の電力を管理している。
【0020】
バッテリコントローラ15は、バッテリ13の開放電圧を検出する際には、バッテリ13を無負荷の状態にするために、所定の期間、リレースイッチ12をオフにする。そして、バッテリコントローラ15は、リレースイッチ12を遮断させた状態で、電流センサ14によりバッテリの13の電圧を検出することで、バッテリ13の開放電圧を検出する。バッテリコントローラ15は、バッテリ13の開放電圧を検出する場合や蓄電装置10のメンテナンス等を除き、蓄電装置10を家庭用の電源として使用している間は、リレースイッチ12を導通させた状態で、維持させている。
【0021】
バッテリコントローラ15はコントローラ100と信号線により接続されている。バッテリコントローラ15で管理されているバッテリ13のSOC等の情報はコントローラ100に送信される。また、バッテリコントローラ15は、コントローラ100からの制御信号に基づき、バッテリ用電力制御器11の制御及びリレースイッチ12のオン、オフ制御を行う。なお、このバッテリコントローラ15は後述するコントローラ100に備えられていても良い。すなわち、コントローラ100がバッテリコントローラ15の機能を備え、コントローラ100が直接、バッテリ13の管理制御を行なうと共に、バッテリ用電力制御器11やリレースイッチ12を制御するようにしてもよい。
【0022】
コントローラ100は、太陽光パネル2、PV用電力制御器3、分電盤5を制御し、本例の電力制御装置の全体を制御するコントローラである。コントローラ100は、消費電力予測部101、発電電力予測部102及び充放電電力予測部103を有している。
【0023】
消費電力予測部101は、負荷4の利用状況を時系列で把握し、負荷4の過去の利用状況から負荷4で消費される電力を予測する。負荷4の消費電力は、季節、気象条件、利用時間帯等に応じて、ある程度の傾向をもっている。そして、消費電力の傾向は、過去の消費電力の利用履歴から把握することができる。消費電力予測部101は、消費電力量を計測するメータ(図示しない)の値を時系列で蓄積し、蓄積したデータから演算することで、負荷4で消費される消費電力の電力特性(以下、負荷電力特性と称す。)を時系列で予測する。
【0024】
発電電力予測部102は、太陽光パネル2で発電される電力の特性(以下、発電電力特性と称す。)を時系列で予測する。太陽光パネル2で発電される電力は、太陽光パネル2の性能及び設置位置と気象条件等により決まる。太陽光パネル2の性能及び設置位置は予め決まっている。そして、気象条件は、例えば気象庁のデータ等を利用する。発電電力予測部102は、過去の気象データと太陽光パネル2で発電された電力とを対応させつつ時系列で保存している。そして、発電電力予測部102は、気象予報の情報と合致する、過去の電力推移のデータを抽出することで、太陽光パネル2で発電される電力を予測する。
【0025】
充放電電力予測部103は、バッテリ13の充放電電力の特性(以下、充放電電力特性と称す。)を時系列で予測する。バッテリ13の充放電電力は、太陽光パネル2の発電電力及び負荷7の消費電力により決まる。そして、充放電電力予測部103は、消費電力予測部101で予測される負荷電力特性及び発電電力予測部102で予測される発電電力特性から充放電電力特性を予測する。
【0026】
コントローラ100は、充放電電力予測部103により予測された充放電電力特性から、リレースイッチ12を遮断することで負荷4への供給電力が不安定にならない期間を特定する。そして、コントローラ100は、当該期間内に、バッテリ13の開放電圧を検出するために、リレースイッチ12をオフにする制御信号をバッテリコントローラ15に送信することで、バッテリコントローラ15を介してリレースイッチ12をオフにする。バッテリコントローラ15は、リレースイッチ12がオフになっている期間に、電圧センサ14の検出電圧から、バッテリ13の開放電圧を検出する。
【0027】
ここで、バッテリ13の開放電圧を検出するために、リレースイッチ12をオフにするリレーカットのタイミングについて説明する。例えば、バッテリ13をハイブリッド車両用の電源として用いた場合には、エンジンにより当該車両を走行させることで、バッテリ13は無負荷状態になるため、バッテリ13とモータ等の負荷との間のリレースイッチ12をオフにしたとしても、車両の走行には影響はない。また、バッテリ13を電気自動車等などの車両用の電源として用いた場合には、車両が停車することで、バッテリ13は無負荷状態になる。そのため、車両停車中に、同様にリレースイッチ12をオフにすれば、開放電圧を検出することができる。
【0028】
上記のように、本例では、バッテリ13は、家庭用の電源装置である蓄電装置10に設けられ、負荷4へ電力を供給するための電力源として用いてられている。そして、負荷4で電力を消費するタイミングは、ユーザの使用状況に依存し、ユーザ毎に異なるため、負荷4への電力供給を安定化させるには、リレースイッチ12は常時、導通状態にする方がよい。その一方で、単に、バッテリ13の開放電圧を検出するために任意のタイミングでリレースイッチ12をオフにすると、負荷4への供給電力が不足し、ユーザに違和感を与える可能性があった。そのため、本例は、以下に説明するように、電力特性から、バッテリ13の開放電圧を検出する電圧検出期間を特定し、当該リレースイッチ12をオフにして、開放電圧を検出する。
【0029】
次に、本例の電力制御装置の制御内容について説明する。まず、電力系統の制御について説明する。本例は、以下のとおり、バッテリ13の電力及び太陽光パネル2の電力を有効に活用することで、交流電源1から供給される電力を抑制するような電力制御を行っている。
【0030】
太陽光パネル2の発電電力が負荷4の消費電力より大きい場合には、コントローラ100は、太陽光パネル2で発電された電力を負荷4に供給しつつ、太陽光パネル2で余った電力でバッテリ13を充電するように制御している。また、太陽光パネル2の発電電力が負荷4の消費電力より小さい場合には、コントローラ100は、太陽光パネル2で発電された電力を負荷4に供給しつつ、太陽光パネル2で足りない分の電力を、バッテリ13から放電させて負荷4に供給するよう制御している。
【0031】
コントローラ100は、交流電源1の電気料金が高い時間帯では、交流電源1の電力の利用を抑えるよう、太陽光パネル2の発電電力及びバッテリ1に充電されている電力を利用する。コントローラ100は、交流電源1の電気料金が安い時間帯(例えば深夜電力の時間帯)では、交流電源1の電力を負荷4に供給する。
【0032】
また、コントローラ100は、日中、太陽光パネル2で発電される電力量が少ない又は負荷4で消費される電力量が多いことが発電電力特性及び負荷電力特性より予測される場合には、電気料金が安い深夜時間にバッテリ13を充電するよう、バッテリコントローラ15を制御する。
【0033】
図2及び
図3に、ある一日における、発電電力特性、負荷電力特性及び充放電電力特性を示す。
図2及び
図3において、グラフaは発電電力特性を、グラフbは負荷4の負荷電力特性を、グラフcはバッテリの充放電電力特性を示す。またグラフcについて、プラス側の電力特性が充電を示し、マイナス側の電力特性が放電を示す。
図2に示す一日において、0時(午前0時)から6時の間には、負荷4で一定の電力が消費されているが、当該時間帯は電金料金の安い時間帯のため、交流電源1の電力で負荷4を動作させている。6時以降、太陽光パネル2からの電力が発生する。そして、6時から16時30分の間は、太陽光パネル2の発電電力が負荷4の消費電力より大きいため、当該時間帯にバッテリ13を充電する。16時30分から21時までは、バッテリ13に充電された電力で、負荷4を動作させている。そして、21時以降は、交流電源1の電力で負荷4を動作させている。
【0034】
次に、
図3に示す一日の電力特性を説明する。
図3では、初期状態としてバッテリ13が満充電の状態であるとする。5時以降(午前5時以降)、太陽光パネル2は電力を発電しているが、太陽光パネル2の電力だけでは、負荷4の消費電力を満たすことができないため、コントローラ100はバッテリコントローラ15に制御信号を出力し、バッテリコントローラ15からの指令に基づいてバッテリ用電力制御器11はバッテリ13から負荷4へ電力を供給させる。9時30分になると、太陽光パネル2の発電電力が負荷4の消費電力より大きくなり、9時30分から16時30分まで、太陽光パネル2の電力でバッテリ13を充電する。16時30分以降、太陽光パネル2の発電電力が負荷4の消費電力より小さくなるため、バッテリ13の電力で負荷4を動作させる。
【0035】
コントローラ100は、次の日の負荷4の負荷電力特性及び次の日の発電電力特性から、太陽光パネル2の発電電力及びバッテリ13の充電電力により、次の日の電力需要に対応できるか否かを判定し、対応できない場合には、負荷4の消費電力が小さい時間帯(若しくは、電気料金の安い時間帯)に、バッテリ13を充電しておく。
図3に示すように、23時以降に、交流電源1の電力でバッテリ13を充電させている。3時になると、バッテリ13のSOCが目標SOCになり、充電を終了する。これにより、電気料金の安い時間帯に、バッテリ13を充電し、次に日の電力需要に対応させている。
【0036】
このように、コントローラ100は、負荷電力特性及び発電電力特性を予測しつつ、太陽光パネル2の発電電力及びバッテリ13の充放電電力の使用効率を高め、交流電源1の電力の使用効率を抑制する。さらに、コントローラ100は、負荷4の消費電力が小さい時間帯(若しくは、電気料金の安い時間帯)に、バッテリ13を充電するように、バッテリコントローラ15を介してバッテリ用電力制御器11を制御する。従って、コントローラ100は、上記のような制御条件の下、負荷電力特性及び発電電力特性から、バッテリ13の充放電電力特性を予測する。
【0037】
次に、電圧検出期間を特定するための制御について説明する。コントローラ100は、上記のように、負荷電力特性及び発電電力特性から充放電電力特性を予測すると、予測された充放電電力特性に、電圧検出期間を含むか否かを判定する。
【0038】
ここで、電圧検出期間は、バッテリ13の電力が所定期間、所定電力以下になる期間である。所定時間の長さは、リレースイッチ12をオフ状態にしてから、バッテリ13の端子間の電圧が開放電圧に落ち着く(安定する)までの時間以上である。リレースイッチ12のオフの後、バッテリ13の端子間電圧(ここではリレースイッチ12をオフした時点の、閉路電圧に略等しい電圧)が開放電圧に落ち着くまでの時間は、バッテリ13の端子間電圧と開放電圧との偏差が大きいほど、長くなる。そのため、所定時間は、リレースイッチ12オフ直前にバッテリ13に流れていた電流の大きさを考慮し最も偏差が大きい場合の時間または当該時間よりも長い時間を設定する。あるいは、所定時間はバッテリ13の温度センサ(図示しない)の検出温度に応じて設定する。また、所定電力は、ゼロ若しくは実質的にゼロに等しい値である。
【0039】
コントローラ100は、充放電電力特性から、バッテリ13の充放電電力が、所定期間、所定電力以下となる期間を抽出する。そして、抽出できる場合には、コントローラ100は、抽出した期間を電圧検出期間として特定し、電圧検出期間でリレースイッチ12をオフにし、バッテリ13の開放電圧を検出することを示す制御信号をバッテリコントローラ15に送信する。
【0040】
バッテリコントローラ15は当該制御信号を受信し、時刻が当該電圧検出期間の開始時刻になった時に、リレースイッチ12をオフにする。そして、バッテリコントローラ15は、電圧センサ14の検出電圧から、バッテリ13の開放電圧を検出する。開放電圧は、リレースイッチ12をオフにした時点からバッテリ13の電圧が開放電圧に落ち着くまでの時間の後のタイミングで検出される。そして、電圧検出期間が経過すると、バッテリコントローラ15はリレースイッチ12をオンにする。
【0041】
図2に示すように、深夜電力の時間帯では、負荷4は交流電源1の電力で動作し、バッテリ13は充電及び放電を行っていない。そのため、当該期間では、バッテリ13の充放電電力が、所定時間の間、所定電力以下になる。ゆえに、コントローラ100は、当該期間内で電圧検出期間を特定し、バッテリコントローラ15を介して、リレースイッチ12をオフにして開放電圧を検出する。これにより、本例は、負荷4への供給電力が不足せず、ユーザに違和感を与えることなく、開放電圧を検出することができる。
【0042】
図3に示すように、深夜電力の時間帯、次の日の電力需要に備えて、バッテリ13を充電させている。この時、バッテリ13のSOCが低く、バッテリ13の許容充電電力で充電しても深夜電力の時間帯では満充電まで充電することができない場合には、バッテリ13の充放電電力は深夜電力の時間帯にゼロにならない。また、本例では、バッテリ13の開放電圧からバッテリ13のSOCを管理しているため、開放電圧が検出できない場合には、コントローラ100又はバッテリコントローラ15はバッテリ13の状態を正確に把握することができない。そのため、コントローラ100は、以下の制御により、電圧検出期間を生成している。
【0043】
コントローラ100は、充放電電力特性から電圧検出期間を特定できない場合には、交流電源1の電力でバッテリ13を充電可能な期間から、電圧検出期間を差し引いて、残りの時間でバッテリ13を充電するように制御する。電圧検出期間を差し引く前の、バッテリ13の充電可能時間は、電気料金の安い深夜電力の時間帯あるいは負荷電力特性から負荷4の消費電力が低い時間帯であり、予め設定される時間である。そのため、実際のバッテリ13の充電時間は、当該設定された時間から電圧検出期間を差し引いた時間となる。
【0044】
コントローラ100は、予測された負荷電力特性及び発電電力特性から、バッテリ13に必要なSOCを予測し、当該必要なSOCを充電の際の目標SOCに設定する。次の日の消費電力量が多く、または、次の日の発電電力量が少ないほど、バッテリ13に必要なSOCは高くなるため、コントローラ100は目標SOCを高い値に設定する。
【0045】
電圧検出期間を差し引いた充電時間でバッテリ13を目標SOCまで充電させるまでの電力がバッテリ13の許容充電電力より小さい場合には、コントローラ100は、設定した目標SOCと充電時間を示す信号をバッテリコントローラ15に送信する。許容充電電力は、バッテリ13の性能に応じて予め設定されている電力であり、バッテリ13の性能に影響しない範囲内で、バッテリ13を充電可能な最大電力である。
【0046】
一方、充電時間でバッテリ13を目標SOCまで充電させるまでの電力がバッテリ13の許容充電電力より大きい場合には、バッテリ13を充電することができない。そのためコントローラ100は目標SOCを低い値に設定して、充電時間内で充電可能なバッテリ13の充電電力を、許容充電電力以下まで下げる。これにより、深夜電力の時間帯で、電圧検出期間を生成し、バッテリ13を充電することができる。
【0047】
また、交流電源1の電力によるバッテリ13の充電開示時に、バッテリのSOCが高い場合には、バッテリの充電時間も短くなる。かかる場合には、コントローラ100は、深夜電力の時間帯からバッテリの充電時間を引いた時間内で、電圧検出期間を特定し、特定された期間内で、リレースイッチ12をオフにして開放電圧を検出する。
【0048】
上記の本例の制御について、
図3を用いて説明する。なお、初期条件として、交流電源1によるバッテリ13の充電可能時間を23時から5時(6時間)に設定されている、とする。まずコントローラ100は、次の日の電力需要からバッテリ13の目標SOCを設定する。次に、コントローラ100は、充電可能時間から電圧検出期間を差し引いた時間を充電時間に設定する。これにより、充電可能時間のうち、電圧検出期間を確保した上で、充電時間が設定される。
図3の例では、電圧検出期間(
図3の期間T
aに相当)を30分に設定しているため、充電時間は、充電可能時間の6時間から、電圧検出期間の30分を引いた、23時から4時30分までの5時間30分に設定される。
【0049】
そして、コントローラ100は、23時の時点のバッテリ13のSOCから目標SOCまで充電する容量を演算し、当該容量と充電時間から、バッテリ13への充電電力を演算する。演算された充電電力がバッテリ13の許容充電電力(P
L)以下である場合には、コントローラ100は、バッテリコントローラ15を制御し、設定された充電時間と、演算された充電電力で、バッテリ13を充電する。
図3の例では、充電電力は、許容充電電力(P
L)以下であるため、上記の条件で充電を行う。そして、バッテリ13の充電後、期間T
a内に、コントローラ100はバッテリコントローラ15を介してリレースイッチ12をオフにし、開放電圧を検出する。
【0050】
また他の例として、
図4を用いて、上記の本例の制御のうち、電圧検出期間を生成する制御について説明する。充電可能時間及び電圧検出時間(
図4の期間T
aに相当)の設定条件は
図3と同様とする。コントローラ100は、上記と同様に充電時間を演算し、23時の時点でのバッテリ13のSOCから予測された電力需要に基づく目標SOCまでに充電する容量を演算し、充電電力を演算する。
図4のグラフc
1に示すように、演算された充電電力が許容充電電力(P
L)より大きい場合には、演算された充電電力で充電するとバッテリ13への負荷が大きい。そのため、コントローラ100は、目標SOCを下げて、充電電力が許容充電電力以下になるよう制御する。
図3の例では、グラフc
2の充電時間はグラフc
1の充電時間と同じであるが、充電電力が許容充電電力に設定されている。そして、コントローラ100は、グラフc
2に示すような特性でバッテリ13を充電させる。バッテリ13の充電後、期間T
a内に、コントローラ100はバッテリコントローラ15を介してリレースイッチ12をオフにし、開放電圧を検出する。
【0051】
次に、
図5及び
図6を用いて、コントローラ100及びバッテリコントローラ15の制御手順を説明する。
図5及び
図6は、本例の電力制御装置の制御手順を示すフローチャートである。
【0052】
図5に示すように、ステップS1にて、消費電力予測部101は、負荷4の負荷電力特性を予測する。ステップS2にて、発電電力予測部102は、発電電力特性を予測する。ステップS3にて、充放電電力予測部103は、負荷電力特性及び発電電力特性から、充放電電力特性を予測する。ステップS4にて、コントローラ100は、予測された充放電電力特性で、バッテリ13の充放電電力が所定期間、所定電力以下になる期間があるか否かを判定することで、電圧検出期間を有するか否かを判定する。電圧検出期間を有しない場合には、ステップS5にて、コントローラ100は、電圧検出期間を生成する制御を実行する。
【0053】
図6に示すように、ステップS51にて、コントローラ100は、許容充電電力(P
L)を取得する。許容充電電力(P
L)が予め設定されている場合には、この値を用いる。ステップS52にて、コントローラ100は、バッテリ13の充電時間を設定する。深夜電力の時間帯を利用し、予め充電可能時間が設定されている場合には、ステップS52では、当該充電可能時間を充電時間として設定する。
【0054】
ステップS53にて、コントローラ100は、負荷電力特性及び発電電力特性からバッテリ13に必要なSOCを予測し、必要なSOCに応じて目標SOCを設定する。ステップS54にて、コントローラ100は、バッテリコントローラ15からバッテリ13の空容量を取得し、ステップS52の充電時間で、当該空容量に相当するSOCから目標SOCまで充電するための充電電力(P
c)を演算する。
【0055】
なお、ステップS54の制御について、バッテリ13の充電電力には、最低充電電力が予め設定されている。バッテリ13は最低充電電力以下で充電することも可能であるが、充電電力が小さすぎると充電時間が不要に長くなってしまう。そのため、本例は最低充電電力を設定している。そして、ステップS54で演算された充電電力(P
c)が最低充電電力より低い場合には、コントローラ100は、バッテリ13の充電電力を最低充電電力に設定しつつ、S52で設定した充電時間を短くなるよう調整する。
【0056】
ステップS55にて、コントローラ100は、演算された充電電力(P
c)と許容充電電力(P
L)とを比較する。充電電力(P
c)が許容充電電力(P
L)より大きい場合には、ステップS56にて、コントローラ100はステップS53で設定した目標SOCを下げて、ステップS54に遷る。
【0057】
ステップS57にて、コントローラ100は、電圧検出期間を有するか否かを判定する。ステップS54による充電時間を短縮させる制御が行われない限り、バッテリ13の充電時間は予め設定されている充電可能時間と等しくなるため、この時点では、電圧検出期間を有しておらず、ステップS58に遷る。一方、ステップS54による充電時間を短縮させる制御が行われた時には、充電時間が充電可能時間より短くなる分、充電可能期間内で、電圧検出期間が生成されるため、
図6の電圧検出期間の生成制御を終えて、
図5のステップS6に遷る。なお、ステップS54による充電時間を短縮させても、充電可能期間の残り期間が電圧検出期間より短い場合にはステップS58に遷る。
【0058】
ステップS58にて、コントローラ100は、ステップS55より前の制御フローで設定された充電時間から電圧検出期間を差し引いた時間を、充電時間として再設定する。ステップS59にて、ステップS58の充電時間で、バッテリ13の空容量に相当するSOCから目標SOCまで充電するための充電電力(P
c)を再度、演算する。
【0059】
ステップS60にて、コントローラ100は、演算された充電電力(P
c)と許容充電電力(P
L)とを比較する。演算された充電電力(P
c)が許容充電電力(P
L)以下である場合には、電圧検出時間を生成した後の充電時間で、許容充電電力(P
L)以下でバッテリ13を充電できる状態となり、ステップS6に遷る。一方、充電電力(P
c)が許容充電電力(P
L)より大きい場合には、目標SOCがまだ高い値に設定されているため、ステップS61にて、コントローラ100は目標SOCを下げて、ステップS59に遷る。すなわち、ステップS58の後に、ステップS59〜S61の制御ループを繰り返すことで、電圧検出時間を生成した後の充電時間の下で、バッテリ13を充電できる目標SOCが設定されることになる。
【0060】
図5に戻り、ステップS6にて、コントローラ100は、電圧検出時間の情報をバッテリコントローラ15に送信し、バッテリコントローラ15は電圧検出時間でリレースイッチ12をオフにする。ステップS7にて、バッテリコントローラ15は、電圧センサ14を用いて、開放電圧を検出する。ステップS8にて、バッテリコントローラ15は、開放電圧の検出後、リレースイッチ12をオンにする。
【0061】
なお、
図5及び
図6に示す制御フローで設定された目標SOC及び充電時間は、所定のタイミングで、コントローラ100からバッテリコントローラ15に送信され、バッテリコントローラ15は、送信された目標SOC及び充電時間に基づいて、バッテリ13の充電制御を行う。
【0062】
上記のように本発明は、消費電力予測部101及び充放電電力予測部103により予測された電力特性からバッテリ13の電力が所定期間、所定電力以下になる期間を電圧検出期間として特定し、電圧検出期間内に、リレースイッチ12を遮断して開放電圧を検出する。これにより、本例のような24時間稼働させるシステムにおいて、電力特性を予測した上で、バッテリ13と負荷4との間の電気的な導通を遮断するタイミングが特定されるため、負荷への供給電力が不安定になることを防ぎつつ、バッテリ13の開放電圧を検出することができる。
【0063】
また本例は、発電電力特性及び負荷電力特性から充放電電力特性を予測する。これにより、太陽光パネル2等の発電装置により発電された電力を負荷4に供給している期間内に、電圧検出期間を特定することができるため、負荷への供給電力が不安定になることを防ぎつつ、バッテリ13の開放電圧を検出することができる。
【0064】
また本例は、充電可能期間から電圧検出期間を差し引いた期間内で、交流電源1の電力でバッテリ13を充電する。これにより、24時間稼働させるシステムにおいて、充電可能時間のうち電圧検出期間を確保した上で残りの時間を充電時間とするため、負荷への供給電力が不安定になることを防ぎつつ、バッテリ13の開放電圧を検出することができる。
【0065】
また本例は、深夜電力の時間帯に、交流電源1の電力でバッテリ13を充電させる。これにより、バッテリ13の充電を電気料金の安価な時間帯に行い、電気料金の高い時間帯の需要に備えることで、電気料金を抑制することができる。
【0066】
また本例は、負荷電力特性からバッテリ13に必要なSOCを予測し、予測されたSOCに応じてバッテリの充電の目標SOCを設定する。これにより、充電後の電力需要に対して、バッテリ13の充電された容量が不足し負荷4への供給電力量が少なくなることを防ぎ、あるいは、バッテリ13の空容量が不足し太陽光パネル2の発電電力を効率よくバッテリ13に充電できないことを防ぐことができる。
【0067】
また本例は、電圧検出期間の所定期間を、リレースイッチ12を遮断してからバッテリ13の端子間の電圧が安定するまでの時間以上に設定する。これにより、24時間稼働させるシステムにおいて、リレースイッチ12をオフにし、バッテリ13の電圧が安定してから、開放電圧を検出することができる。
【0068】
なお、本例では発電装置の一例として太陽光パネル2を用いたが、風力発電機等の他の発電装置であってもよい。また本例の電力制御装置は、必ずしも太陽光パネル2等の発電装置を用いなくてもよい。発電装置を用いない場合には、バッテリ13は、負荷4の消費電力が大きい時間帯に電力を放電し、負荷4の消費電力が小さい時間帯に、交流電源1の電力で充電するように充放電制御されればよい。そして、充放電電力予測部102は、消費電力予測部101で予測された負荷電力特性から、負荷4の消費電力が大きい及び小さい時間帯を把握することができ、当該充放電制御から充放電特性を予測することができる。
【0069】
なお、日中の時間帯に電圧検出期間が特定される場合には、コントローラ100は、日中の電圧検出器にリレースイッチ12をオフにして開放電圧を検出してもよい。またバッテリコントローラ15及びコントローラ100を一つのコントローラとしてもよい。また本例において、
図3に示す特性では、夜間の時間帯に電圧検出期間を特定したが、昼間の時間帯に、バッテリ13の電力が所定期間、所定電力以下になる期間がある場合には、昼間の当該期間を電圧検出期間に特定し、リレースイッチ12をオフにし、開放電圧を検出してもよい。
【0070】
上記のリレースイッチ12が本発明の「切替手段」に相当し、消費電力予測部101、発電電力予測部102及び充放電電力予測部103が本発明の「予測手段」に相当し、電圧センサ14が「検出手段」に、バッテリコントローラ15及びコントローラ100が「制御手段」に、太陽光パネル2が「発電手段」に相当する。
【0071】
《第2実施形態》
本発明の他の実施形態に係る電力制御装置は、上述した第1実施形態に対して、バッテリ13の充電制御及び電圧検出期間を生成するための制御の一部が異なる。これ以外の構成は上述した第1実施形態と同じであるため、その記載を適宜、援用する。
【0072】
第1実施形態では、予測された電力特性に応じて充電の目標SOCを設定し、充電可能時間から電圧検出期間を引いた残り時間を充電時間としたが、本例では、充電の目標SOCを満充電に相当するSOCに設定し、充電電力を許容充電電力に設定する。
【0073】
コントローラ100は、バッテリ13の満充電の容量に相当するSOCを目標SOCに設定する。満充電の容量に相当するSOCは、バッテリ13の過充電を防ぐために100%より低いSOCが設定される。コントローラ100は、バッテリ13の空容量に相当するSOCから満充電のSOCまで充電させるための容量を演算し、当該容量と許容充電電力から充電時間を演算する。
【0074】
コントローラ100は、充電可能時間から充電時間を差し引いた時間が電圧検出時間より長いか否かを判定する。充電可能時間及び電圧検出期間は、第1実施形態に係る時間と同様の時間である。充電可能時間から充電時間を差し引いた時間が電圧検出時間より長い場合には、充電可能時間内に、許容充電電力で満充電まで充電しても、電圧検出期間を特定することができるため、コントローラ100は演算された充電時間で充電を行う。そして、充電時間の経過後、コントローラ100は、バッテリコントローラ15を介して、リレースイッチ12をオフにし、バッテリ13の開放電圧を検出する。
【0075】
一方、充電可能時間から充電時間を差し引いた時間が電圧検出時間より短い場合には、充電可能時間内に電圧検出期間を特定することができないため、コントローラ100は、目標SOCを満充電のSOCより低いSOCに設定して充電時間を短くする。そして、コントローラ100は、目標SOCを下方修正させて、充電時間を充電可能時間から電圧検出期間を差し引いた時間以下にする。これにより、充電可能時間内に、電圧検出時間を確保した上で、バッテリ13を充電することができる。
【0076】
図7に、ある一日における、発電電力特性、負荷電力特性及び充放電電力特性を示す。
図7のグラフa〜cは
図2、3のグラフa〜cと同様である。充電可能時間は23時から5時(6時間)に設定されている。
図7に示す例では、許容充電電力(P
L)で、23時の時点でのSOCから満充電のSOCまで充電した場合に、充電時間は3時間となる。
【0077】
コントローラ100は、23時の時点から充電を開始し、充電電力を徐々に上げて、許容充電電力でバッテリ13を充電する。3時間後、バッテリ13のSOCは満充電のSOCに達するため、コントローラ100はバッテリ13の充電を終了する。
【0078】
コントローラ100は、残りの充電可能期間(Tb)の内、電力検出期間を特定して、電力検出期間で、リレースイッチ12をオフにしバッテリ13の開放電圧を検出する。この際、電圧検出期間は、充電可能期間(Tb)の中の、一定の所定期間であり、例えば、充電終了時間(2時)からの所定期間、あるいは、充電可能時間の終了時間(5時)までの所定期間とする。
【0079】
上記のように、本例は、充電可能期間から電圧検出期間を差し引いた時間を充電時間に設定し、当該充電時間でバッテリ13を満充電まで充電する。これにより、24時間稼働させるシステムにおいて、充電可能時間のうち電圧検出期間を確保した上で残りの時間を充電時間とするため、負荷への供給電力が不安定になることを防ぎつつ、バッテリ13の開放電圧を検出することができる。
【0080】
なお、本例では、満充電まで充電する際に、充電電力を許容充電電力に設定して、充電時間が充電可能期間から電圧検出期間を差し引いた時間以下であれば、設定された条件で充電制御を行うが、充電時間が充電可能期間から電圧検出期間を差し引いた時間以下である条件を満たす限り、充電電力を許容充電電力より小さくして、バッテリ13を充電してもよい。バッテリ13への充電時の負担を考慮すると、充電電力は許容充電電力より低い電力の方がよい。また、バッテリ13の開放電圧は、バッテリ13の充電後、少なくとも1回検出できれば十分である。そのため、電圧検出時間を必要以上に長くするよりは、充電時間を長くし、バッテリ13の充電電力を下げた方が、バッテリ13の劣化を抑制することができる。