特許第5966589号(P5966589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966589
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】低圧ループEGR装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/06 20160101AFI20160728BHJP
   F02M 26/19 20160101ALI20160728BHJP
   F02B 37/00 20060101ALI20160728BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   F02M26/06
   F02M26/19 311
   F02B37/00 302F
   F02M35/10 311E
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-110732(P2012-110732)
(22)【出願日】2012年5月14日
(65)【公開番号】特開2013-238143(P2013-238143A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】特許業務法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐二
【審査官】 安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−038453(JP,A)
【文献】 特開2005−299615(JP,A)
【文献】 特開2011−001893(JP,A)
【文献】 特開2011−027033(JP,A)
【文献】 特開2011−021561(JP,A)
【文献】 特開2010−077833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/00 − 26/74
F02M 35/10
F02B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気ガスにより回転するタービンと、該タービンと共に回転して吸気取入管により取入れた吸気を圧縮し圧縮した吸気を吸気管により前記内燃機関に供給するコンプレッサとを有するターボチャージャを備え、該ターボチャージャのタービン下流の排気ガスの一部をEGRガスとして前記コンプレッサ入口の吸気取入管に戻すEGR配管を備えている低圧ループEGR装置であって、
前記吸気取入管の吸気に対して前記EGR配管からのEGRガスを旋回により混合して前記コンプレッサに供給する旋回手段と、該旋回手段により前記吸気取入管の内部に形成される旋回流に対応して吸気取入管の外周面に配置した放熱フィンとを有する吸気温度低減装置を備えたことを特徴とする低圧ループEGR装置。
【請求項2】
前記吸気温度低減装置は、前記吸気取入管に、前記旋回手段により形成される旋回流の旋回力を高めるよう下流側へ向かって流路断面積が減少した絞り部を有することを特徴とする請求項1に記載の低圧ループEGR装置。
【請求項3】
前記旋回手段は、前記吸気取入管に対してEGRガスが接線方向から供給されるように前記EGR配管を前記吸気取入管に接続したことを特徴とする請求項1又は2に記載の低圧ループEGR装置。
【請求項4】
前記旋回手段は、前記吸気取入管の内部に、前記EGR配管から供給されるEGRガスに旋回を与える旋回案内フィンを備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の低圧ループEGR装置。
【請求項5】
前記吸気温度低減装置は、前記EGR配管の外周面に配置した放熱フィンを有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の低圧ループEGR装置。
【請求項6】
前記吸気温度低減装置は、前記吸気管の外周面に配置した放熱フィンを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の低圧ループEGR装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気温度を安定して低減できるようにした低圧ループEGR装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する関心の高まりから、エンジン(内燃機関)の排気ガスの一部をエンジンの吸気系に戻すEGR装置(排気循環装置)を備えることで、排気ガス中に含まれるNOx(窒素酸化物)を低減することが種々提案されている。
【0003】
EGR装置には、エンジンの排気管に備えられる排気浄化装置下流の低圧の排気ガスを、ターボチャージャのコンプレッサ入口の吸気取入管に戻す低圧ループEGR装置(特許文献1参照)と、エンジン出口の高圧の排気ガスを、直接エンジン入口の吸気管に戻す高圧ループEGR装置(特許文献2参照)が知られている。
【0004】
特許文献1に示す低圧ループEGR装置は、排気浄化装置出口の低圧の排気ガスの一部をEGRガスとしてターボチャージャのコンプレッサ入口の吸気取入管に戻して新気と混合し、混合した吸気をコンプレッサに導いて圧縮した後、エンジン入口の吸気管に導くようにしているため、排気浄化装置出口の排気ガス圧力とコンプレッサ入口の吸気圧力との差圧が安定しており、よって安定した排気循環が得られる利点を有している。
【0005】
一方、特許文献2に示す前記高圧ループEGR装置は、エンジン出口の高圧の排気ガスの一部をEGRガスとして直接エンジン入口の吸気管に戻すようにしているため、運転条件によってはエンジン出口の排気ガス圧力とエンジン入口の吸気圧力との差圧が安定して得られない場合があり、このために安定した排気循環が得られない場合がある。
【0006】
前記特許文献1に示す低圧ループEGR装置においては、コンプレッサに導入される新気にEGRガスを混合しているために、コンプレッサに供給される吸気の温度は上昇し、又、コンプレッサで吸気を圧縮しているためにエンジンに供給する吸気の温度は更に上昇する。前記コンプレッサに供給される吸気の温度が上昇すると、コンプレッサの圧縮率が低下する問題があると共に、コンプレッサインペラに対する熱負荷が増加する問題がある。又、エンジンに供給する吸気の温度が上昇すると、吸気管に対する熱負荷が増加する問題があり、更に、エンジンの吸気の取込み量が減少する問題があると共に、エンジン出口の排気ガス温度が上昇してタービンへの熱負荷が増加するという問題がある。
【0007】
このような問題に対処するために、前記低圧ループEGR装置では、前記EGR配管にEGRクーラを設置してEGRガスの温度を低下することによりコンプレッサに供給する吸気の温度を低下し、又、吸気管にインタークーラを設置してエンジンに供給する吸気の温度を低下することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−001893号公報
【特許文献2】特開2004−257329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記特許文献1に示す低圧ループEGR装置では、前記コンプレッサに供給される吸気の温度を僅かでも低下することができれば、コンプレッサの圧縮率を高めることができると共に、コンプレッサインペラに対する熱負荷を低減することができ、更に、エンジンに対する吸気温度が低減するために、吸気管に対する熱負荷が低下し、エンジンの吸気の取込み量が増加し、エンジン出口の排気ガス温度が低下することによりタービンへの熱負荷が低減する効果が得られる。
【0010】
しかし、従来の前記低圧ループEGR装置では、EGRクーラの冷却能力によって決まる吸気温度よりも更に低い温度に吸気を冷却することはできないという問題を有していた。
【0011】
一方、前記特許文献2に示す高圧ループEGR装置では、エンジン出口の高圧の排気ガスの一部をEGRガスとして戻すようにしている吸気管に放熱フィンを配置し、放熱フィンの放熱によってエンジン入口の吸気温度を低下することが記載されている。
【0012】
しかし、高圧ループEGR装置では、運転条件によってはエンジン出口とエンジン入口の差圧が安定して得られないことから安定した排気循環が得られない場合があり、このような高圧ループEGR装置の吸気管に放熱フィンを設置しても安定した吸気の冷却効果は期待できないという問題がある。
【0013】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなしたもので、吸気温度を安定して低減できるようにした低圧ループEGR装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、内燃機関の排気ガスにより回転するタービンと、該タービンと共に回転して吸気取入管により取入れた吸気を圧縮し圧縮した吸気を吸気管により前記内燃機関に供給するコンプレッサとを有するターボチャージャを備え、該ターボチャージャのタービン下流の排気ガスの一部をEGRガスとして前記コンプレッサ入口の吸気取入管に戻すEGR配管を備えている低圧ループEGR装置であって、
前記吸気取入管の吸気に対して前記EGR配管からのEGRガスを旋回により混合して前記コンプレッサに供給する旋回手段と、該旋回手段により前記吸気取入管の内部に形成される旋回流に対応して吸気取入管の外周面に配置した放熱フィンとを有する吸気温度低減装置を備えたことを特徴とする低圧ループEGR装置、に係るものである。
【0015】
上記低圧ループEGR装置において、前記吸気温度低減装置は、前記吸気取入管に、前記旋回手段により形成される旋回流の旋回力を高めるよう下流側へ向かって流路断面積が減少した絞り部を有することが好ましい。
【0016】
又、上記低圧ループEGR装置において、前記旋回手段は、前記吸気取入管に対してEGRガスが接線方向から供給されるように前記EGR配管を前記吸気取入管に接続してもよい。
【0017】
又、上記低圧ループEGR装置において、前記旋回手段は、前記吸気取入管の内部に、前記EGR配管から供給されるEGRガスに旋回を与える旋回案内フィンを備えていてもよい。
【0018】
又、上記低圧ループEGR装置において、前記吸気温度低減装置は、前記EGR配管の外周面に配置した放熱フィンを有していてもよい。
【0019】
又、上記低圧ループEGR装置において、前記吸気温度低減装置は、前記吸気管の外周面に配置した放熱フィンを有していてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ターボチャージャのコンプレッサに供給する吸気の温度を低下できるため、コンプレッサの圧縮率を高めることができると共に、コンプレッサインペラに対する熱負荷を低減でき、更に、エンジンに供給する吸気の温度が低下されるため、吸気管に対する熱負荷が低下し、エンジンの吸気の取込み量が増加し、エンジン出口の排気ガス温度が低下することによりタービンへの熱負荷を低減できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は本発明の吸気温度低減装置を有する低圧ループEGR装置の一実施例を示す切断平面図、(b)は(a)をIB方向から見た切断正面図である。
図2】(a)は本発明の吸気温度低減装置を有する低圧ループEGR装置の他の実施例を示す切断平面図、(b)は(a)をIIB方向から見た切断正面図である。
図3】本発明の吸気温度低減装置を有する低圧ループEGR装置の更に別の実施例を示す切断平面図である。
図4】本発明の吸気温度低減装置を有する低圧ループEGR装置を備えたエンジンの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0023】
図4は本発明の吸気温度低減装置を有する低圧ループEGR装置を備えたエンジン(内燃機関)の一例を示すもので、図4中、排気ガス及びEGRガスの流れは、ハッチングを施した矢印で示し、空気(新気)及びEGRガスを含む吸気(圧縮空気)の流れは、白抜き矢印で示している。
【0024】
図4に示すエンジン1(内燃機関)は、例えば直列4気筒ディーゼルエンジンであって、各気筒2には吸気管3からの吸気(圧縮空気)を分配する吸気マニホールド4、及び、各気筒2からの排気ガスを集める排気マニホールド5を備えている。
【0025】
前記エンジン1には、排気マニホールド5からの排気ガスの熱・圧力エネルギを利用して吸気マニホールド4に吸気を過給するターボチャージャ6が装備されている。
【0026】
前記ターボチャージャ6は、ベアリングハウジング7を有しており、このベアリングハウジング7の一側(図4において左側)には、吸気を圧縮するコンプレッサ8が配設されており、このコンプレッサ8は、ベアリングハウジング7の一側に固定したコンプレッサハウジング9、及びコンプレッサハウジング9内に回転可能に設けたコンプレッサインペラ10を有している。また、ベアリングハウジング7の他側(図4において右側)には、気筒2からの排気ガスの圧力エネルギを利用して回転力を発生させるタービン11が配設されており、このタービン11は、ベアリングハウジング7の他側に固定したタービンハウジング12、及びタービンハウジング12内に回転可能に設けられたタービンインペラ13を有している。そして、前記ベアリングハウジング7には、コンプレッサインペラ10とタービンインペラ13を同軸状に一体的に連結するタービン軸14(ロータ軸)がベアリング15を介して回転可能に設けられている。
【0027】
前記ターボチャージャ6を構成するコンプレッサ8の入口(図4において左側)には、エアクリーナ16を備えた吸気取入管17が接続されており、コンプレッサハウジング9の出口(図4において上側)には、前記吸気マニホールド4に繋がる前記吸気管3が接続されており、該吸気管3の途中には吸気(圧縮空気)を冷却するインタークーラ18が配置されている。
【0028】
前記ターボチャージャ6を構成するタービン11のタービンハウジング12の入口(図4において上側)には、前記排気マニホールド5からの排気ガスを導く排気導管19が接続されており、前記タービン11の出口(図4において右側)には、排気管20が接続されており、該排気管20の途中には排気浄化装置21が配置されている。
【0029】
前記排気浄化装置21よりも下流の排気管20と前記コンプレッサ8入口の吸気取入管17との間には、低圧ループEGR装置30が構成されている。低圧ループEGR装置30は、前記排気管20の排気浄化装置21出口に、低圧の排気ガスの一部をEGRガスとして取出すEGR配管22の一端が接続されており、該EGR配管22の他端は前記吸気取入管17に接続されている。そして、前記EGR配管22の途中には、EGRクーラ23が配置されると共に、該EGRクーラ23の下流側にはEGR配管22内を開閉する(EGR配管22内のEGRガスの流量を調節する)EGR弁24が配設されている。
【0030】
図1(a)、(b)は、本発明の吸気温度低減装置28を有する低圧ループEGR装置30の一実施例を示しており、前記吸気取入管17をEGR配管22に接続する接続部において、前記EGR配管22からのEGRガスがコンプレッサインペラ10の回転方向と同方向の旋回成分を持った旋回流Rを生成するように、前記吸気取入管17の軸心(中心線)に対してEGR配管22の軸心(中心線)を偏心させて接続しており、これにより、EGR配管22のEGRガスが開口22aから前記吸気取入管17に対して接線方向に供給される旋回手段25を構成している。図1(b)に示す開口22aは前記吸気取入管17の内面に対して前記吸気取入管17の軸線方向に長い扁平形状を有しており、開口22aの底面から吸気取入管17の内底面までの間XにはEGR配管22の軸線方向へ延びる平坦部17aが形成されおり、EGR配管22からのEGRガスが、前記平坦部17aを介して吸気取入管17の内面(曲面)に向かって円滑に導入されるようになっている。前記開口22aから吸気取入管17に供給されたEGRガスは、吸気取入管17内を矢印で示す旋回流Rを形成して流動し、エアクリーナ16から取入れられる吸気(新気)と混合しながらコンプレッサインペラ10に供給される。
【0031】
更に、前記EGR配管22の開口22a直近における前記吸気取入管17の下流側(コンプレッサインペラ10側)には、前記旋回手段25によって形成される旋回流Rの旋回力を高めるよう下流側へ向かって流路断面積が減少した絞り部26を形成している。
【0032】
前記吸気取入管17における前記EGR配管22の開口22aとコンプレッサハウジング9との間の吸気取入管17の外周面には、吸気取入管17の内部に旋回流Rが形成される部分に対応するように、複数の放熱フィン27を配置している。この放熱フィン27は、吸気取入管17の内部に旋回流Rが形成される部分に対応した長さを有しており、且つ、吸気取入管17の外表面から周方向外方へ放射状に突出するよう、周方向に所定の間隔を有して配置している。放熱フィン27の突出高さは、放熱効果を発揮できる所定の高さとする。ここで、前記吸気取入管17と放熱フィン27は、熱伝導性の高い材料で構成することが好ましい。
【0033】
前記旋回手段25と絞り部26及び放熱フィン27により吸気温度低減装置28が構成される。
【0034】
図1の実施例の作用を図4を参照して説明する。
【0035】
図4のエンジン1の運転中に、排気マニホールド5からの排気ガスを排気導管19を経由してタービン11のタービンハウジング12に流通させると、排気ガスの熱・圧力エネルギを利用してタービンインペラ13に回転力(回転トルク)が発生し、タービンインペラ13の回転と共に、タービン軸14を介してコンプレッサインペラ10が一体的に回転する。これにより、吸気取入管17からコンプレッサハウジング9内に取入れた空気(新気)はコンプレッサインペラ10により圧縮され、圧縮された吸気は吸気管3を介して吸気マニホールド4に供給される。尚、吸気マニホールド4に供給される前の吸気はインタークーラ18によって冷却される。
【0036】
また、エンジン1の運転中に、EGR弁24によってEGR配管22内を開く(EGR配管22内のEGRガスの流量を調節する)と、排気管20内におけるタービン11の下流側(換言すれば、排気管20における排気浄化装置21の下流側)から排気ガスの一部がEGRガスとしてEGR配管22内へ流入する。そして、EGR配管22内へ流入したEGRガスは、EGRクーラ23により冷却されて、開口22aから前記吸気取入管17内のコンプレッサ8よりも上流側へ供給される。
【0037】
このように、エンジン1の運転中に、排気管20内におけるタービン11の下流側から取出したEGRガスを、吸気取入管17内におけるコンプレッサ8の上流側に戻すことで、低圧ループEGR装置30が機能され、これにより、エンジン1の燃焼温度が下げられて、NOxの排出量を低減することができる。
【0038】
ここで、図1(b)に示すように、EGR配管22の開口22aが吸気取入管17に対して偏心して接続された旋回手段25を構成しているので、EGR配管22のEGRガスは吸気取入管17に対して接線方向から供給され、よって、EGRガスには旋回力が与えられて吸気取入管17内で旋回流Rを形成する。この旋回流Rはコンプレッサインペラ10の回転方向と同方向の旋回成分を有して旋回する。この旋回流Rにより、エアクリーナ16を介して吸気取入管17に取入れられた吸気(新気)と前記EGRガスは均一に混合されるようになり、且つ、均一な吸気温度が保持されて、コンプレッサインペラ10に導入される。
【0039】
更に、前記吸気取入管17におけるEGR配管22の開口22aの下流には、吸気取入管17の断面積が下流側に向かって漸次小さくなる絞り部26を形成しているので、前記旋回手段25によってEGRガスに与えられた旋回流Rの旋回力は更に高められる。このように吸気の旋回力が高められることにより、吸気の温度分布は更に一様に近づけられ、又、コンプレッサインペラ10の取り込み性も高まることによりコンプレッサ8の圧縮率も高められるようになる。
【0040】
ここで、前記吸気取入管17の内部に前記旋回流Rが形成されている吸気取入管17の外周面には、放熱フィン27を設置しているので、吸気取入管17の内部を流動する吸気の温度を前記放熱フィン27によって効果的に低減することができる。
【0041】
即ち、吸気取入管17内では、新気に対して温度が高いEGRガスが新気の主流を取り巻くように流れて旋回流Rを形成しており、EGRガスの旋回流Rは吸気取入管17の内面と接触する距離が長くなるため、EGRガスと吸気取入管17の内面との伝熱が促進されるようになり、吸気取入管17に伝えられた熱は放熱フィン27によって効果的に外部に放熱されるので、吸気の温度は効果的に低減されるようになる。更に、前記絞り部26を備えて旋回流Rの流速を高めているので、EGRガスと吸気取入管17の内面との伝熱は更に高められ、よって、放熱フィン27による吸気の冷却効果は更に高められる。
【0042】
このように、前記吸気温度低減装置28によって吸気取入管17内の吸気の温度が低下するので、コンプレッサ8の圧縮率は更に高められるようになり、又、圧縮することによって自身の温度が上昇するコンプレッサインペラ10に対する熱負荷も低減されるようになる。更に、エンジン1に供給する吸気の温度も低下されるようになるため、吸気管3に対する熱負荷が低下し、エンジン1における吸気の取込み量が増加し、エンジン1出口の排気ガス温度が低下することによりタービン11への熱負荷も低減できるようになる。
【0043】
尚、上記実施例においては、EGRクーラ23を具備した構成としているが、内燃機関や車両の性格上、前記吸気温度低減装置28によって吸気取入管17内の吸気の温度を十分低下することができる場合には、EGRクーラ23を省略することもできる。
【0044】
図2(a)、(b)は、本発明の他の実施例を示すもので、図2(a)、(b)では、前記吸気取入管17の内面におけるEGR配管22の開口22aの位置において、該開口22aを吸気の上流側と下流側とで挟むように配置した旋回案内フィン29を設けている。この旋回案内フィン29は、前記吸気取入管17の半径方向で開口22aの高さと同等の高さHを有し、前記開口22aの位置からEGRガスが供給される方向の前方へ向かい、且つ、前記吸気取入管17の軸線と直交する面に対して吸気の流動方向下流側(コンプレッサ8側)へ所要の延設角度αで傾斜して設けられている。図2(b)の旋回案内フィン29は、開口22aの位置から前記平坦部17aへ延び、更に平坦部17aから前記吸気取入管17の内面の略1/4周の位置まで延びている。前記旋回案内フィン29の延設長さは、任意とすることができる。
【0045】
又、前記旋回案内フィン29は、前記吸気取入管17の軸線と直交する面に対して吸気の流動方向下流側(コンプレッサ8側)へ向けて所要の取付角度βで傾斜して固定されている。図2(a)では、旋回案内フィン29の延設角度αと取付角度βが同じ角度の場合を示しているが、旋回案内フィン29の延設角度αと取付角度βは異なっていてもよい。
【0046】
又、図2(a)では、前記旋回案内フィン29はEGR配管22の開口22aを吸気の上流側と下流側とで挟むように配置した場合について例示したが、前記旋回案内フィン29は上流側と下流側の一方に備えるようにしてもよく、又、3枚以上の旋回案内フィン29を設置するようにしてもよい。
【0047】
図2の実施例では、前記旋回案内フィン29を備えたことにより、前記開口22aから前記吸気取入管17内へ導入されるEGRガスは、前記旋回案内フィン29に案内されて前記吸気取入管17内に安定した旋回流Rを確実に形成するようになるので、安定した旋回流Rにより吸気(新気)に対するEGRガスの混合性が高められると共に、吸気取入管17の内面に対するEGRガスの熱の伝熱が促進されて、放熱フィン27による放熱効果を高めることができる。
【0048】
図3は、本発明の更に他の実施例を示すもので、図1図2の実施例と比較して絞り部26が備えられておらず、従って、図3の実施例では吸気取入管17'はEGR配管22の開口22aを有する部分からコンプレッサハウジング9入口までの管径が一定となっている。そして、前記EGR配管22の開口22a部は、図1(b)、図2(b)と同様に吸気取入管17'に対して接線方向から接続することにより旋回手段25を構成しており、前記開口22aと前記コンプレッサハウジング9との間における一定の径の吸気取入管17'の外周には放熱フィン27を備えている。従って、図3の実施例では、前記旋回手段25と放熱フィン27とにより吸気温度低減装置28が構成されている。
【0049】
図3の実施例においても、前記旋回手段25によって前記吸気取入管17内に旋回流Rが形成されるので、旋回流RによりEGRガスと吸気(新気)の混合性が高められると共に、吸気取入管17の内面に対するEGRガスの熱の伝熱が促進され、放熱フィン27による放熱効果を高めることができる。
【0050】
図4では、前記EGR配管22の外周面に放熱フィン31を配置しており、前記図1図3に示した実施例の構成に、前記放熱フィン31の構成を含めて吸気温度低減装置28としている。
【0051】
更に、図4では、前記吸気管3におけるコンプレッサハウジング9とインタークーラ18との間の外周面に、放熱フィン32を配置しており、前記図1図3に示した実施例の構成に、前記放熱フィン32の構成を含めて吸気温度低減装置28としている。
【0052】
図4に示すように、前記EGR配管22の外周面に放熱フィン31を設置すると、前記吸気取入管17内の吸気に混合する前のEGRガスの温度を低下できるため、コンプレッサ8に供給する吸気の温度を更に低減することができ、又、前記吸気管3の外周面に放熱フィン32を設置すると、エンジン1に供給する吸気の温度を低下できるため、吸気管3に対する熱負荷が低下し、エンジン1における吸気の取込み量が更に増加し、エンジン1出口の排気ガス温度が低下することによりタービン11への熱負荷も更に低減できるようになる。
【0053】
又、図4では、絞り部26を有する吸気温度低減装置28を備えた構成において、前記EGR配管22に対する放熱フィン31、及び、前記吸気管3に対する放熱フィン32を設けた場合について示したが、図3に示した絞り部26を有しない吸気温度低減装置28の構成においても、前記EGR配管22に対する放熱フィン31、及び、前記吸気管3に対する放熱フィン32を設けることができる。
【0054】
尚、本発明の低圧ループEGR装置は、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
1 エンジン(内燃機関)
3 吸気管
6 ターボチャージャ
8 コンプレッサ
11 タービン
17 吸気取入管
17' 吸気取入管
22 EGR配管
22a 開口
25 旋回手段
26 絞り部
27 放熱フィン
28 吸気温度低減装置
29 旋回案内フィン
30 低圧ループEGR装置
31 放熱フィン
32 放熱フィン
R 旋回流
図1
図2
図3
図4