(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966597
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】板金プレス加工方法
(51)【国際特許分類】
B21D 22/20 20060101AFI20160728BHJP
B21D 43/04 20060101ALI20160728BHJP
B21D 28/06 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
B21D22/20 B
B21D43/04 B
B21D28/06
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-112886(P2012-112886)
(22)【出願日】2012年5月16日
(65)【公開番号】特開2013-237087(P2013-237087A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080768
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 実
(72)【発明者】
【氏名】叶井 貫
(72)【発明者】
【氏名】田中 隆広
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−045973(JP,A)
【文献】
特開昭54−150560(JP,A)
【文献】
特開昭57−160523(JP,A)
【文献】
特開平09−271998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 22/20
B21D 28/06
B21D 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り装置によってプレス板材をピッチ搬送によって順送りしつつ、左右の製品成形部をプレス成形して、最終的に左右の製品成形部をプレス板材から切断するようにしたして板金プレス加工方法であって、
前記プレス板材に設定される切断線として、前記プレス板材の幅方向の中央領域で前記プレス板材の搬送方向に沿って伸びると共に左側製品素材部と右側製品素材部とを接続する共通切断線が設定され、
前記左側製品素材部から形成される左側製品成形部と前記右側製品素材部から形成される右側製品成形部とのうちいずれか一方の製品成形部が、最終工程で切断されて前記プレス板材から切り離され、
前記左側製品成形部と前記右側製品成形部とのうち他方の製品成形部が、前記最終工程の前の工程で切断されて前記プレス板材から切り離され、
もっとも先端にある前記一方の製品成形部と左右並列な位置でかつ前記他方の製品成形部の搬送方向先端面に当接可能に臨むように位置センサが配設されて、該位置センサが該他方の製品成形部によって押圧されることにより作動されたときに、前記送り装置が停止されて前記プレス板材が停止される、
ことを特徴とする板金プレス加工方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記プレス板材の幅方向に伸びる部分を有して、隣り合う左側製品素材部の間に左側余剰部を設定する共に前記共通切断線に連なる左側切断線と、前記プレス板材の幅方向に伸びる部分を有して、隣り合う右側製品素材部の間に右側余剰部を設定すると共に前記共通切断線に連なる右側切断線と、が設定され、
前記最終工程の前の工程よりもさらに前の工程において、前記左側切断線と前記右側切断線とが切断される、
ことを特徴とする板金プレス加工方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記共通切断線に対する前記右側切断線と前記左側切断線との各接続部付近が、それぞれ、前記プレス板材の搬送方向に対して傾斜または円弧状に湾曲するように設定されている、ことを特徴とする板金プレス加工方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3において、
前記プレス板材に、前記左側余剰部と前記右側余剰部との間の中央領域に中央余剰部が設定され、
プレス成形の過程において、前記中央余剰部に前記プレス板材の位置決め孔が形成される、
ことを特徴とする板金プレス加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板金プレス加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
板金プレス加工方法の中には、プレス板材をピッチ搬送によってプレス金型内に順送りして、ピッチ搬送される毎に順次、孔あけ、曲げ等の加工を行って、所望の製品成形部を形成し、この製品成形部を切断によってプレス板材から切り離すことが行われている。特許文献1には、プレス板材を順送りしながらプレス成形して、最後の工程で打ち抜きを行うものが開示されている。
【0003】
ところで、プレス成形の高率化等の観点から、1枚のプレス板材において、左右一対の製品成形部をプレス成形することが行われている。すなわち、プレス板材の幅方向(搬送方向と直交する方向)左側と右側とで個別に製品成形部を成形することが行われている。
この場合、左側製品成形部と右側製品成形部とは同じ工程で切断が行われて、それぞれプレス板材から切り離されるようになっている。そして、プレス板材には、左側製品成形部を切断する左側切断刃と右側製品成形部を切断する右側切断刃とが干渉しないように、左右の製品成形部の間には中央余剰部が形成されていた。そして、この中央余剰部は、プレス板材の全長に渡って存在するものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−254735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、1枚のプレス板材から左右の製品成形部を得る場合、プレス板材の幅方向中央領域においてプレス板材の全長に渡って伸びる中央余剰部が、歩留まり悪化の原因となる。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、1枚のプレス板材から左右の製品成形部をプレス成形する場合において、歩留まりを向上させることのできる板金プレス加工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
送り装置によってプレス板材をピッチ搬送によって順送りしつつ、左右の製品成形部をプレス成形して、最終的に左右の製品成形部をプレス板材から切断するようにしたして板金プレス加工方法であって、
前記プレス板材に設定される切断線として、前記プレス板材の幅方向の中央領域で前記プレス板材の搬送方向に沿って伸びると共に左側製品素材部と右側製品素材部とを接続する共通切断線が設定され、
前記左側製品素材部から形成される左側製品成形部と前記右側製品素材部から形成される右側製品成形部とのうちいずれか一方
の製品成形部が、最終工程で切断されて前記プレス板材から切り離され、
前記左側製品成形部と前記右側製品成形部とのうち他方
の製品成形部が、前記最終工程の前の工程で切断されて前記プレス板材から切り離され、
もっとも先端にある前記一方の製品成形部と左右並列な位置でかつ前記他方の製品成形部の搬送方向先端面に当接可能に臨むように位置センサが配設されて、該位置センサが該他方の製品成形部によって押圧されることにより作動されたときに、前記送り装置が停止されて前記プレス板材が停止される、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、左側製品素材部に対応した左側製品成形部と、右側製品素材部に対応した右側製品成形部とは、共通切断線でもって接続された関係となるので、つまり左右の製品成形部の間においてプレス板材の搬送方向全長に渡って伸びる中央余剰部を不用あるいは搬送方向に断続する短いものとすることができ、歩留まりを向上させることができる。また、左右の製品成形部の切断工程を前後にずらしてあるので、左側製品成形部用の切断刃と右側製品成形部用の切断刃とが干渉することなく、各切断を確実に行うことができる。
以上に加えて、送り装置は、他方の製品成形部によって押圧されることによって位置センサが作動した際に送りを停止するだけでよく、送り装置として極めて簡単かつ安価なものを用いることができる。さらに、もっとも先端にある一方の製品成形部の左右一方側の側方には、前工程で他方の製品成形部が除去されているため余裕空間が存在することになるが、この余裕空間を有効に利用して位置センサを配設して、プレス装置全体としての搬送方向長さの短縮化に寄与することができる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記プレス板材の幅方向に伸びる部分を有して、隣り合う左側製品素材部の間に左側余剰部を設定する共に前記共通切断線に連なる左側切断線と、前記プレス板材の幅方向に伸びる部分を有して、隣り合う右側製品素材部の間に右側余剰部を設定すると共に前記共通切断線に連なる右側切断線と、が設定され、 前記最終工程の前の工程よりもさらに前の工程において、前記左側切断線と前記右側切断線とが切断される、
ようにしてある(請求項2対応)。この場合、左右の各製品素材部の間にある左右余剰部をあらかじめ除去して、製品成形部のプレス板材からの切断を容易に行うことができる。特に、左右の製品素材部のうち左右余剰部に臨む側の縁部を曲げ加工する等の上で好ましいものとなる。
【0010】
前記共通切断線に対する前記右側切断線と前記左側切断線との各接続部付近が、それぞれ、前記プレス板材の搬送方向に対して傾斜または円弧状に湾曲するように設定されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、得られた製品成形部の角部に鋭角なエッジ部が形成されてしまう事態を防止することができる。また、プレス成形の工程が進んだ状態でも、プレス板材に対する左右の製品成形部の連結強度を確保して、ピッチ送りをを確実に行う上でも好ましいものとなる。
【0011】
前記プレス板材に、前記左側余剰部と前記右側余剰部との間の中央領域に中央余剰部が設定され、
プレス成形の過程において、前記中央余剰部に前記プレス板材の位置決め孔が形成される、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、位置決め孔を利用した位置決めを、プレス板材の幅方向中央部でもって精度よく行なうことができる。また、プレス板材の搬送方向に断続的に存在する中央余剰部により、プレス成形の工程が進んだ段階でも、プレス板材に対する左右の製品成形部の連結強度を確保する上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、1枚のプレス板材から左右2個取りのプレス成形を行う場合に、歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】本発明を利用して得られたプレス成形品の具体例を示す斜視図。
【
図3】
図2のプレス成形品を得るための加工工程を示す平面図。
【
図4】本発明による板金プレス加工方法が適用されたプレス装置を示す側面図。
【
図5】
図3のプレス装置に組み込まれたリフタの一例を示す要部拡大断面図。
【
図6】
図3のプレス装置に組み込まれた位置決めピンの一例を示す要部拡大断面図。
【
図7】
図3のプレス装置のうち、左右の製品成形部の取出し部分を示す要部平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について、原理的な部分中心に、
図1を参照しつつ説明する。まず、プレス板材が符合1で示され、このプレス板材1は、1つの金型内に図中左側から右側へとピッチ搬送によって順送りされて、ピッチ搬送毎に金型内で順次プレス成形される。プレス板材1から切断される直前の左側製品成形部が符合10で、また右側の製品成形部が符合20で示される。さらに、左側製品成形部10に対応した成型完了前の製品素材部が符合11で示され、右側製品成形部20に対応した成型完了前の製品素材部が符合21で示される。
【0015】
図1において、一点鎖線によって、設定された切断線が示される。上記切断線として、大別して、共通切断線α、左側切断線β、右側切断線γの3種類が設定される。各切断線α、β、γは、切断前の状態では一点鎖線で示され、切断後は実線で示される。
【0016】
共通切断線αは、プレス板材1の搬送方向に伸びて、左側製品成形部10(左側製品素材部11)用の切断線と、右側製品成形部20(右側製品素材部21)用の切断線とを兼用している。つまり、従来は、共通切断線αの長さ部分において、所定幅を有する中央余剰部を有していたが、少なくとも共通切断線αの長さ部分については中央余剰部が不用な設定とされている。
【0017】
左側切断線βは、プレス板材1の幅方向に伸びる部分を有して、その幅方向外端はプレス板材1の幅方向左端面にまで達し、かつその幅方向内端は、共通切断線αに接続されている(連なっている)。隣り合う1対の左側切断線βの間は、左側余剰部12とされている。この左側余剰部12によって、少なくともプレス成形の当初は、隣り合う左側製品素材部11同士が連結されることになる。また、隣り合う一対の左側切断線βの幅方向内端部同士が、左内側切断線β1によって接続されている。
【0018】
右側切断線γも、左側切断線βと同様に設定されている。すなわち、右側切断線γは、プレス板材1の幅方向に伸びていて、その幅方向外端はプレス板材1の幅方向右端面にまで達し、かつその幅方向内端は、共通切断線αに接続されている(連なっている)。隣り合う1対の右側切断線γの間は、右側余剰部22とされている。この右側余剰部22によって、少なくともプレス成形の当初は、隣り合う右側製品素材部21同士が連結されることになる。また、隣り合う一対の右側切断線γの幅方向内端部同士が、右内側切断線γ1によって接続されている。なお、左右の余剰部12,22がプレス成形によって除去された部分(空間)が、符合12a、22aで示してある。
【0019】
左右の余剰部12と22との間は、中央余剰部31とされるが、この中央余剰部31は、共通切断線αによってプレス板材1の搬送方向に分断されたものとなる。左右の各切断線βとγとは、共通切断線αへの接続部位が、プレス板材1の搬送方向に傾斜あるいは円弧状とされた円滑用接続部β2あるいはγ2とされている。
【0020】
以上のような前提において、1つのプレス金型内にプレス板材1がピッチ搬送により順送りされて、図中左側から右側へ順次、例えば位置決め孔32の形成、左右の各余剰部12、22の除去(切断)が行われる。この後の工程で、まず左側製品成形部10のみの切断が行われて、左側製品成形部10がプレス板材1からの切り離される。左側製品成形部10のプレス板材1からの切り離し後の工程で、右側製品成形部20の切断が行われて、右側製品成形部20がプレス板材1から切り離される。勿論、左右の製品成形部10、20は、中央余剰部31が除去された状態となってプレス板材1から切り離されるものである・
プレス板材1の幅方向中央部において、製品とならないでカスとなる部分は、プレス板材1の搬送方向に断続的に存在する中央余剰部31のみとなり、歩留まりが大幅に向上される。ちなみに、左右の製品成形部を同一工程で切断していた従来手法において設定されていた中央余剰部は、共通切断線α部分を含む幅方向に大きな所定幅を有しており、しかもプレス板材1の全長に渡って伸びているものであり、歩留まりが悪いものとなっていた。
【0021】
幅方向中央に位置する位置決め孔32を利用して、プレス板材1がプレス金型内で位置決めされるので、左右一方に位置決め孔をずらして設定する場合に比して、位置決め精度を高める(加工精度を高める)上で好ましいものとなる。また、中央余剰部31を介して、左右の製品成形部10,20がプレス板材1の搬送方向に連結されているので、連結強度も十分確保されることになり、ピッチ搬送による順送りを精度よく行う上でも好ましいものとなる。
【0022】
図2は、前述したプレス成形方法によって成型された具体的な製品Wの一例が示される。
図2に示す製品Wは、断面L字状とされて、例えば車体の補強用とされる(例えばシートの取付部位の補強やシートベルトの取付部位の補強等)。
図3は、
図2に示す製品Wをプレス成形する場合において、
図1に対応した図となっている。したがって、
図1に示したのと同一構成要素には、同一符合を付してその重複した説明は省略する。
【0023】
まず、プレス板材1は、
図3右方から左方へとピッチ搬送による順送りされて、7工程の加工が行われる。ただし、プレス板材1に対する連結部位となる余剰部45は、右側製品成形部20(右側製品素材部21)に対してのみ設定するようにしてある。つまり、左側製品成形部10あるいは左側製品素材部11は、右側製品成形部20あるいは右側製品素材部21を介して連結されるようにしてある。また、
図1の中央余剰部31に相当する部分は開口部46として工程の早い段階で除去されるようにしてある。なお、
図3中破線で、後述するリフタを配設して好適な位置を示してあり、この破線上でリフタが間隔をあけて複数配設される。リフタは、プレス金型が開いたときに、プレス板材1を上方へ持ち上げてピッチ搬送の抵抗を低減するために設けられている。
【0024】
最終工程(
図3左端の工程)よりも1つ前の工程で、左側製品成形部10が切断されて、プレス板材1から切り離され、
図2に示すような製品Wが得られる。この次の工程で、右側製品成形部20が切断されて、プレス板材1から切り離され、
図2に示すような製品Wが得られる。
【0025】
図4は、
図3に示すような加工を順次行うためのプレス装置Pを示す。プレス板材1は、
図4右方からプレス装置P(の金型内)にピッチ搬送によって順送りされる。
図4実線でプレス金型が閉じたときのプレス板材1の高さ位置が示され、
図4破線で、プレス金型が開いたときのプレス板材1の高さ位置が示される。
図4、
図7に示すように、左側製品成形部10(に応じた製品W)は、左側排出シュート41に落下された後、コンベア42に移送される。右側製品成形部20(に応じた製品W)は右側排出シュート43に落下された後、上記コンベア42に移送される。左右の排出シュート41,43の左端位置は、ほぼ同じ位置とされている。
【0026】
前記リフタの一例が、
図5に示される。すなわち、リフタ50は、持ち上げピン51とスプリング52とを有している。持ち上げピン51は、下型61に上下方向に摺動自在に保持されて、所定以上の上方動は、その鍔部51aが下型61に形成された係止段部61aに当接することにより規制される。持ち上げピン51は、スプリング52によって上方に付勢されて、下方への大きな押圧力が作用しない限り、持ち上げピン51は下型61の上面(加工面)より高くなるように突出される(
図5の状態で、この状態が
図4の破線で示すプレス板材1の高さ位置となる)。上型が62が下降されて、プレス板材1が下方へ押圧されると、持ち上げピン51が下方へ変位される。
【0027】
上型62が上昇したときに、プレス板材1が、リフタ50によって持ち上げられて下型61から離間されるので、次のピッチ搬送による順送りを行う際の抵抗が小さくなる。
【0028】
図6は、前述した位置決め孔32と共働して位置決めを行うための位置決めピン70の一例を示す。位置決めピン70は、上型62に保持されて下方に向けて伸びており、その先端部は徐々に先細となるように形成されている。位置決めピン70の先端外径は、位置決め孔32の内径よりも十分に小さく設定されて、多少のずれがあっても位置決めピン70が位置決め孔32内に挿入可能なようにされている。位置決めピン70の基端部側の外径は位置決め孔32にがたつきなく嵌合できる大きさに設定されて、このがたつきのない嵌合により、プレス板材1の位置決めが精度よく行われる。
【0029】
図1,
図4において、プレス装置Pの左端部側には、位置センサ80が設けられている。この位置センサ80は、プレス装置Pに固定された本体部81と、本体部80に対してプレス板材1の搬送方向に摺動自在に保持されて検知ピン82と、本体部80内に装備されて検知ピン82を上記搬送方向とは逆方向に付勢するスプリング(図示略)とを有している。また、位置センサ80は、本体部81内に、検知ピン82が所定以上プレス板材1の搬送方向に押圧変位されることによりONとなるスイッチが装備されている。
【0030】
検知ピン82の先端は、左側製品成形部10の搬送方向先端面に当接可能に臨んでいる。プレス装置Pの
図4右方側には、図示を略す送り装置が配設される。上記送り装置によってプレス板材1搬送方向に送っていく際に、左側製品成形部10の先端によって検知ピン82が所定以上押圧されると、位置センサ80がONとなり、送り装置が停止される。送り装置は、位置センサ80のON操作によって送りを停止するだけでよく、送り装置として極めて簡単かつ安価なものを用いることができる。
【0031】
位置センサ80は、右側製品成形部20と左右並列な位置に設定される。つまり、もっとも先端にある右側製品成形部20の左側には、前工程で左側製品成形部10が除去されているため余裕空間が存在することになるが、この余裕空間を有効に利用して位置センサ80を配設してある(プレス装置P全体としての搬送方向長さの短縮化に寄与)。
【0032】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。左右の製品成形部10、20の形状設定等は適宜変更できる。右側製品成形部20を先にプレス板材1から除去し、その後に左側製品成形部10をプレス板材1から除去するように、動作を左右逆の関係としてもよい。中央余剰部31や左右余剰部12,22の位置、形状等の設定は適宜変更できる。要は、製品成形部10、20が、プレス板材1から切断される前の状況において、当該プレス板材1に対して連結されていればよいものである。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、左右2個取りのプレス成形を連続して行う上で好適である。
【符号の説明】
【0034】
P:プレス装置
α:共通切断線
β:左側切断線
β1:左内側切断線
β2:円滑用切断部
γ:右側切断線
γ1:左内側切断線
γ2:円滑用切断部
1:プレス板材
10:左側製品成形部
11:左側製品素材部
12:左側余剰部
20:右側製品成形部
21:右側製品素材部
22:右側余剰部
31:中央余剰部
32:位置決め孔
40:左側排出シュート
42:コンベア
43:右側排出シュート
50:リフタ
51:持ち上げピン
52:スプリング
61:下型
62:上型
70:位置決めピン
80:位置センサ