特許第5966674号(P5966674)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966674
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/12 20060101AFI20160728BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20160728BHJP
   F21W 101/10 20060101ALN20160728BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160728BHJP
【FI】
   F21S8/12 250
   F21S8/10 150
   F21S8/10 180
   F21W101:10
   F21Y115:10
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-145760(P2012-145760)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-10975(P2014-10975A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】林 政輝
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−141919(JP,A)
【文献】 特開2001−160310(JP,A)
【文献】 特開2005−129362(JP,A)
【文献】 特開2009−048898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/12
F21S 8/10
F21W 101/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されているランプユニットと、
を備え、
前記ランプユニットは、半導体型光源と、リフレクタと、から構成されていて、
前記リフレクタは、少なくとも、第1反射面と、第2反射面と、を有し、
前記第1反射面は、前記第2反射面に対して車両の外側に配置されていて、前記半導体型光源からの光を前記第2反射面の反射方向に対して主に車両の内側に反射させる反射面であり、
前記第2反射面は、前記第1反射面に対して車両の内側に配置されていて、前記半導体型光源からの光を前記第1反射面の反射方向に対して主に車両の外側に反射させる反射面である、
ことを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源とリフレクタとから構成されているランプユニットを備える車両用灯具であって、たとえば、コーナリングランプなどのランプユニットを備える車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具は、従来からある(たとえば、特許文献1、特許文献2)。以下、従来の車両用灯具について説明する。従来の特許文献1の車両用灯具は、半導体発光素子と、反射面を有するリフレクタと、から構成されている側方照射用灯具ユニットを2個備え、横長の配光パターンを形成するものである。また、従来の特許文献2の車両用灯具は、発光素子と、第1反射領域、第2反射領域、上向き反射領域、を有するリフレクタと、から構成されていて、横長の配光パターンを形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−141919号公報
【特許文献2】特開2009−48898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
かかる車両用灯具においては、横長の配光パターンを確実に形成することが重要である。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、横長の配光パターンを確実に形成することができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されているランプユニットと、を備え、ランプユニットが、半導体型光源と、リフレクタと、から構成されていて、リフレクタが、少なくとも、第1反射面と、第2反射面と、を有し、第1反射面が、第2反射面に対して車両の外側に配置されていて、半導体型光源からの光を第2反射面の反射方向に対して主に車両の内側に反射させる反射面であり、第2反射面が、第1反射面に対して車両の内側に配置されていて、半導体型光源からの光を第1反射面の反射方向に対して主に車両の外側に反射させる反射面である、ことを特徴とする。
【0007】
この発明(請求項2にかかる発明)は、リフレクタが、第1反射面と第2反射面との間に配置されている第3反射面を有し、第3反射面が、半導体型光源からの光を第1反射面の反射方向および第2反射面の反射方向に主に反射させる反射面である、ことを特徴とする。
【0008】
この発明(請求項3にかかる発明)は、リフレクタが、第1反射面と第2反射面との間に配置されている第3反射面と第4反射面とを有し、第3反射面が、半導体型光源からの光を第1反射面の反射方向および第2反射面の反射方向に主に反射させる反射面であり、第4反射面が、半導体型光源からの光を第1反射面の反射方向および第2反射面の反射方向および第3反射面の反射方向に対して主に上方向に反射させる反射面である、ことを特徴とする。
【0009】
この発明(請求項4にかかる発明)は、ランプレンズが、車両の内側から外側にかけて傾斜していて、ランプユニットが、ランプユニットの光源軸がランプレンズに対してほぼ垂直となるように、灯室内に車両の内側から外側にかけて複数個配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明の車両用灯具は、車両の外側に配置されている第1反射面により、半導体型光源からの光を主に車両の内側に左右に拡散反射させ、また、車両の内側に配置されている第2反射面により、半導体型光源からの光を主に車両の外側に左右に拡散反射させるものである。この結果、横方向(左右方向)に長い配光パターンを確実に形成することができる。
【0011】
特に、この発明の車両用灯具は、半導体型光源から光源軸に対して車両の外側に放射される光が車両の外側に配置されている第1反射面により車両の内側に反射され、また、半導体型光源から光源軸に対して車両の内側に放射される光が車両の内側に配置されている第2反射面により車両の外側に反射される、いわゆる、クロス反射により横方向に長い配光パターンを形成するものである。このために、前記の従来の特許文献1、2の車両用灯具のように、オープン反射により横方向に長い配光パターンを形成するものと比較して、ランプユニットの横方向を小型化することができる。また、複数個のランプユニットを横方向に配置した場合においては、ランプユニットからの反射光が隣のランプユニットにより遮られるようなことがない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、この発明にかかる車両用灯具の実施形態を示し、車両の前部の左右両側に搭載されている状態の平面図である。
図2図2は、ランプレンズを除いた状態の正面図である。
図3図3は、4個のコーナリングランプを示す平面図(図2におけるIII−III矢視図)である。
図4図4は、コーナリングランプを示す斜視図である。
図5図5は、コーナリングランプを示す縦断面図(図4におけるV−V線断面図)である。
図6図6は、交差点における歩行者の視認状態を示す説明図である。
図7図7は、コーナリングランプの各反射面により形成される配光パターンを示す説明図である。
図8図8は、コーナリングランプにより形成される配光パターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明にかかる車両用灯具の実施形態(実施例)を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。この明細書において、前、後、上、下、左、右は、この発明にかかる車両用灯具を車両に装備した際の前、後、上、下、左、右である。
【0014】
図1図3において、符号「F」は、車両Cの前側(車両の前進方向側)を示す。符号「B」は、車両Cの後側を示す。符号「U」は、ドライバー側から前側を見た上側を示す。符号「D」は、ドライバー側から前側を見た下側を示す。符号「L」は、ドライバー側から前側を見た場合の左側を示す。符号「R」は、ドライバー側から前側を見た場合の右側を示す。また、図1において、符号「O−O」は、車両軸(車両Cの前後方向の中心軸)を示す。
【0015】
さらに、図7図8において、符号「VU−VD」は、スクリーンの上下の垂直線を示す。スクリーンの左側Lとは、上下の垂直線VU−VDより左側を言う。スクリーンの右側Rとは、上下の垂直線VU−VDより右側を言う。符号「HL−HR」は、スクリーンの左右の水平線を示す。スクリーンの上側Uとは、左右の水平線HL−HRより上側を言う。スクリーンの下側Dとは、左右の水平線HL−HRより下側を言う。
【0016】
図7図8は、コンピュータシミュレーションにより作図されたスクリーン上の配光パターンを簡略化して示す等光度曲線の説明図であって、中央の等光度曲線は、高光度帯であって、その他の曲線は、外に行くにしたがって低くなる光度帯である。
【0017】
(実施形態の構成の説明)
以下、この実施形態における車両用灯具1L、1Rの構成について説明する。この実施形態の車両用灯具1L、1Rは、たとえば、コーナリングランプを備えたフロントコンビネーションランプ(ヘッドランプ)である。前記車両用灯具1L、1Rは、図1に示すように、車両Cの前部の左右両側L、Rに搭載されている。前記車両Cの前部は、平面視において、前記車両Cの幅方向(横方向、左右方向)の前記車両Cの内側から外側にかけて前記車両Cの前側Fから後側Bに傾斜(スラント)している(図1、3参照)。
【0018】
以下、前記車両Cの左側Lに搭載される左側の車両用灯具1Lについて説明する。なお、前記車両Cの右側Rに搭載される右側の車両用灯具1Rは、左側の車両用灯具1Lと左右逆でその他がほぼ同様の構成をなすので、説明を省略する。ここで、前記車両Cの左側Lに搭載される左側の車両用灯具1Lにおいて、前記車両Cの内側は右側Rであり、前記車両Cの外側は左側Lである。一方、前記車両Cの右側Rに搭載される右側の車両用灯具1Rにおいて、前記車両Cの内側は左側Lであり、前記車両Cの外側は右側Rである。
【0019】
(車両用灯具1Lの説明)
前記車両用灯具1Lは、図2、3に示すように、灯室10を区画するランプハウジング11およびランプレンズ12と、前記灯室10内に配置されているランプユニット群20、21、22、23、3(3A、3B、3C、3D)と、を備えるものである。
【0020】
前記ランプユニット群は、ロービーム用ランプ20のランプユニットと、ハイビーム用ランプ21のランプユニットと、クリアランスランプ22のランプユニットと、ターンシグナルランプ23のランプユニットと、4個のコーナリングランプ3(3A、3B、3C、3D)のランプユニットと、からなる。
【0021】
前記ランプレンズ12は、たとえば、素通しのアウターカバーやアウターレンズからなるものである。前記ランプレンズ12は、図3に示すように、前記車両Cの前部とほぼ同様に、平面視において、前記車両Cの幅方向の前記車両Cの内側から外側にかけて前記車両Cの前側Fから後側Bに傾斜(スラント)している。
【0022】
4個の前記コーナリングランプ3(3A、3B、3C、3D)は、それぞれ、半導体型光源4と、リフレクタ5と、から構成されている。
【0023】
(半導体型光源4の説明)
前記半導体型光源4は、図3図5に示すように、この例では、たとえば、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源である。前記半導体型光源4は、発光部40と、基板41と、から構成されている。前記発光部40は、前記基板41の下面のほぼ中央に実装されている。前記基板41は、前記リフレクタ5にスクリューなど(図示せず)により固定されている。
【0024】
前記発光部40は、発光チップ(LEDチップ)を封止樹脂部材で封止したパッケージ(LEDパッケージ)からなる。前記発光部40の発光チップは、平面矩形形状(平面長方形状)をなす。すなわち、複数個たとえば4個の正方形の発光チップを配列してなるものである。なお、1個の長方形の発光チップ、あるいは、1個の正方形の発光チップ、を使用しても良い。前記発光部40の発光チップの下側Dの面(下面)は、発光面をなす。前記発光部40の発光面は、下側Dに向いている。
【0025】
前記半導体型光源4の前記発光部40は、たとえば、図6に示すように、前記車両Cが交差点を左折LC、あるいは、右折RCする際に、運転手(ドライバー)の手動操作、もしくは、前記車両Cに搭載された自動照明装置(図示せず)の自動操作により、点灯する。左折LC、あるいは、右折RCが完了した時点で、運転手の手動操作、もしくは、前記車両Cに搭載された自動照明装置の自動操作により、消灯する。
【0026】
(リフレクタ5の説明)
前記リフレクタ5は、図3図5に示すように、第1反射面51と、第2反射面52と、第3反射面53と、第4反射面54と、を有する。なお、前記リフレクタ5にフィン形状のヒートシンク50を設けても良い。前記第1反射面51、前記第2反射面52、前記第3反射面53、前記第4反射面54は、それぞれパラボラ系の自由曲面からなる反射面である。この結果、前記第1反射面51、前記第2反射面52、前記第3反射面53、前記第4反射面54は、それぞれ基準焦点(図示せず)および基準光軸(図示せず)を有する。
【0027】
前記第1反射面51は、前記第2反射面52に対して前記車両Cの外側(左側L)に配置されている。前記第1反射面51は、前記半導体型光源4からの光を第1反射光L1として前記第2反射面52からの第2反射光L2の反射方向に対して主に前記車両Cの内側(右側R)に左右に拡散反射させる反射面である。
【0028】
前記第2反射面52は、前記第1反射面51に対して前記車両Cの内側(右側R)に配置されている。前記第2反射面52は、前記半導体型光源4からの光を前記第2反射光L2として前記第1反射面51からの前記第1反射光L1の反射方向に対して主に前記車両Cの外側(左側L)に左右に拡散反射させる反射面である。
【0029】
図3に示すように、前記第1反射面51の先端部は、前記第2反射面52の先端部と比較して、前記ランプレンズ12と反対側に後退している。一方、前記第2反射面52の先端部は、前記第1反射面51の先端部と比較して、前記ランプレンズ12側に前進している。これにより、前記第2反射面52からの前記第2反射光L2は、前記第2反射面52に対して前記車両Cの外側(左側L)に配置されている前記第1反射面51により遮られること無く、前記車両Cの外側(左側L)に確実に左右に拡散反射される。しかも、前記第2反射面52の面積が前記第1反射面51の面積よりも広くなり、その分、前記半導体型光源4からの光の多くを前記車両Cの外側(左側L)に振り分けることができる。
【0030】
前記第3反射面53は、前記第1反射面51と前記第2反射面52との間に配置されている。前記第3反射面53は、前記半導体型光源4からの光を第3反射光L3として前記第1反射面51からの前記第1反射光L1の反射方向および前記第2反射面52からの前記第2反射光L2の反射方向に主に上下左右に拡散反射させる反射面である。
【0031】
前記第4反射面54は、前記第1反射面51と前記第2反射面52との間であって、前記第3反射面53の上側Uに配置されている。前記第4反射面54は、前記半導体型光源4からの光を第4反射光L4として前記第1反射面51からの前記第1反射光L1の反射方向および前記第2反射面52からの前記第2反射光L2の反射方向および前記第3反射面53からの前記第3反射光L3の反射方向に対して主に上方向に上下左右に拡散反射させる反射面である。
【0032】
なお、図3において、前記反射光L1、L2、L3、L4は、4個の前記コーナリングランプ3A、3B、3C、3Dのうち、前記車両Cの1番外側(左側L)の前記コーナリングランプ3Dにおいてのみ図示されている。残りの前記コーナリングランプ3A、3B、3Cにおいても、前記車両Cの1番外側(左側L)の前記コーナリングランプ3Dと同様に、前記反射光L1、L2、L3、L4がそれぞれ反射される。
【0033】
(コーナリングランプ3(3A、3B、3C、3D)の説明)
4個の前記コーナリングランプ3A、3B、3C、3Dは、図3図5に示すように、光源軸(前記コーナリングランプ3A、3B、3C、3Dの中心軸)Z1、Z2、Z3、Z4が前記ランプレンズ12に対してほぼ垂直となるように、前記灯室10内に前記車両Cの内側(右側R)から外側(左側L)にかけて配置されている。
【0034】
図3に示すように、4個の前記コーナリングランプ3A、3B、3C、3Dの前記光源軸Z1、Z2、Z3、Z4は、前記ランプレンズ12の傾斜に沿って、前記車両Cの内側(右側R)から外側(左側L)に向いている。すなわち、前記車両Cの1番内側(右側R)の前記コーナリングランプ3Aの前記光源軸Z1は、前記車両軸O−Oと平行な軸O1に対して前記車両Cの外側(左側L)にθ1(たとえば、約40°)向いている。また、前記車両Cの内側(右側R)から2番目の前記コーナリングランプ3Bの前記光源軸Z2は、前記車両軸O−Oと平行な軸O2に対して前記車両Cの外側(左側L)にθ2(たとえば、約50°)向いている。さらに、前記車両Cの内側(右側R)から3番目の前記コーナリングランプ3Cの前記光源軸Z3は、前記車両軸O−Oと平行な軸O3に対して前記車両Cの外側(左側L)にθ3(たとえば、約60°)向いている。さらにまた、前記車両Cの1番外側(左側L)の前記コーナリングランプ3Dの前記光源軸Z4は、前記車両軸O−Oと平行な軸O4に対して前記車両Cの外側(左側L)にθ4(たとえば、約70°)向いている。
【0035】
4個の前記コーナリングランプ3A、3B、3C、3Dの前記光源軸Z1、Z2、Z3、Z4は、それぞれ前記発光部40の前記発光面の中心F1、F2、F3、F4を通る。また、4個の前記コーナリングランプ3A、3B、3C、3Dにおいて、前記第1反射面51、前記第2反射面52、前記第3反射面53、前記第4反射面54の前記基準焦点は、それぞれ前記発光部40の前記発光面の中心F1、F2、F3、F4にもしくはその近傍に位置する。さらに、前記第1反射面51、前記第2反射面52、前記第3反射面53、前記第4反射面54の前記基準光軸は、それぞれ前記発光部40の前記発光面の中心F1、F2、F3、F4をもしくはその近傍を通る。さらにまた、前記第1反射面51、前記第2反射面52、前記第3反射面53、前記第4反射面54の前記基準光軸は、それぞれ図3図5中に実線矢印にて図示されている前記反射光L1、L2、L3、L4と、ほぼ近似する。さらにまた、前記光源軸Z1、Z2、Z3、Z4は、それぞれ前記第3反射面53の前記第3反射光L3と、ほぼ近似する。
【0036】
(配光パターンP1、P2、P3、P4、P5の説明)
前記第1反射面51からの前記第1反射光L1は、図7(A)に示す左右に拡散された第1配光パターンP1として、前記車両Cの前側Fから前記車両Cの外側(左側L)にかけて照射される。前記第1配光パターンP1は、スクリーンの下側の約0°〜約8°の範囲、かつ、スクリーンの左側の約25°〜約95°の範囲を照明する。すなわち、前記第1配光パターンP1は、前記車両Cの内側(右側R)寄りの範囲を照明する。
【0037】
前記第2反射面52からの前記第2反射光L2は、図7(C)に示す左右に拡散された第2配光パターンP2として、前記車両Cの前側Fから前記車両Cの外側(左側L)にかけて照射される。前記第2配光パターンP2は、スクリーンの下側の約0°〜約9°の範囲、かつ、スクリーンの左側の約42°〜約108°の範囲を照明する。すなわち、前記第2配光パターンP2は、前記車両Cの外側(左側L)寄りの範囲を照明する。
【0038】
前記第3反射面53からの前記第3反射光L3は、図7(B)に示す上下左右に拡散された第3配光パターンP3として、前記車両Cの前側Fから前記車両Cの外側(左側L)にかけて照射される。前記第3配光パターンP3は、スクリーンの下側の約0°〜約17°の範囲、かつ、スクリーンの左側の約30°〜約117°の範囲を照明する。すなわち、前記第3配光パターンP3は、前記第1配光パターンP1の大部分および前記第2配光パターンP2の全部を包含する範囲を広く拡散して照明する。
【0039】
前記第4反射面54からの前記第4反射光L4は、図8(A)に示す上下左右に拡散された第4配光パターンP4として、前記車両Cの前側Fから前記車両Cの外側(左側L)にかけて照射される。前記第4配光パターンP4は、スクリーンの上側の約0°〜約10°以上の範囲、かつ、スクリーンの左側の約36°〜約120°の範囲を照明する。すなわち、前記第4配光パターンP4は、前記第1配光パターンP1および前記第2配光パターンP2および前記第3配光パターンP3の上縁から上方向を広く拡散して照明する。
【0040】
前記第1配光パターンP1と前記第2配光パターンP2と前記第3配光パターンP3とを重畳(合成)した第5配光パターンP5は、図8(B)に示すように、スクリーンの下側の約0°〜約18°の範囲、かつ、スクリーンの左側の約26°〜約120°の範囲を照明する。すなわち、前記第5配光パターンP5は、前記車両Cの前側Fから前記車両Cの外側(左側L)にかけての歩行者Pの下半身を照明する。また、前記第4配光パターンP4は図8(A)、(B)に示すように、前記車両Cの前側Fから前記車両Cの外側(左側L)にかけての歩行者Pの上半身を照明する。
【0041】
なお、前記配光パターンP1、P2、P3、P4、P5は、前記車両Cの右側Rに搭載される右側の車両用灯具1Rの場合においては、スクリーンの上下の垂直線VU−VDに対して、ほぼ左右対称となり、スクリーンの右側を照明する。
【0042】
(実施形態の作用の説明)
この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0043】
たとえば、図6に示すように、車両Cが交差点を左折LC、あるいは、右折RCする際に、運転手の手動操作、もしくは、車両Cに搭載された自動照明装置の自動操作により、4個のコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dの半導体型光源4の発光部40が、それぞれ点灯する。発光部40から放射される光は、リフレクタ5の第1反射面51、第2反射面52、第3反射面53、第4反射面54で反射される。
【0044】
第1反射面51で反射された第1反射光L1は、図7(A)に示す第1配光パターンP1として、第2反射面52で反射された第2反射光L2は、図7(C)に示す第2配光パターンP2として、第3反射面53で反射された第3反射光L3は、図7(B)に示す第3配光パターンP3として、第4反射面54で反射された第4反射光L4は、図8(A)に示す第4配光パターンP4として、それぞれ、車両Cの前側Fから車両Cの外側(左側L)にかけて照射される。
【0045】
第1配光パターンP1と第2配光パターンP2と第3配光パターンP3とは、重畳(合成)して、図8(B)に示す第5配光パターンP5として、車両Cの前側Fから車両Cの外側(左側L)にかけての歩行者Pの上半身を照明する。また、図8(A)、(B)に示す第4配光パターンP4は、車両Cの前側Fから車両Cの外側(左側L)にかけての歩行者Pの上半身を照明する。
【0046】
なお、車両Cの右側Rに搭載される右側の車両用灯具1Rの場合においては、配光パターンP1、P2、P3、P4、P5がスクリーンの上下の垂直線VU−VDに対してほぼ左右対称となって、車両Cの前側Fから車両Cの外側(右側R)にかけての歩行者Pの下半身および上半身を照明する。
【0047】
車両Cが左折LC、あるいは、右折RCを完了した時点で、運転手の手動操作、もしくは、車両Cに搭載された自動照明装置の自動操作により、半導体型光源4の発光部40が消灯する。
【0048】
(実施形態の効果の説明)
この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0049】
この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、車両Cの外側(左側L)に配置されている第1反射面51により、半導体型光源4の発光部40からの光を、第1反射光L1としてすなわち図7(A)に示す左右に拡散された第1配光パターンP1として、主に車両Cの内側(右側R)に反射させ、また、車両Cの内側(右側R)に配置されている第2反射面52により、半導体型光源4の発光部40からの光を、第2反射光L2としてすなわち図7(C)に示す左右に拡散された第2配光パターンP2として、主に車両Cの外側(左側L)に反射させるものである。この結果、横方向(左右方向)に長い配光パターン(図8(B)に示す第5配光パターンP5を参照)を確実に形成することができる。
【0050】
特に、この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、半導体型光源4から光源軸Z1〜Z4に対して車両Cの外側に放射される光が車両Cの外側に配置されている第1反射面51により車両Cの内側に反射され、また、半導体型光源4から光源軸Z1〜Z4に対して車両Cの内側に放射される光が車両Cの内側に配置されている第2反射面52により車両Cの外側に反射される、いわゆる、クロス反射により横方向に長い配光パターンP5を形成するものである。このために、前記の従来の特許文献1、2の車両用灯具のように、オープン反射により横方向に長い配光パターンを形成するものと比較して、ランプユニットのコーナリングランプ3(3A、3B、3C、3D)の横方向を小型化することができる。また、複数個この例では4個のランプユニットすなわちコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dを横方向に配置した場合においては、コーナリングランプ3A、3B、3C、3Dからの反射光L1、L2、L3、L4が隣のコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dにより遮られるようなことがない。
【0051】
これにより、この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、図6に示すように、交差点において、車両Cの外側約100°〜約120°(運転手のアイポイントEPを通る車両軸O−Oと平行な軸(図示せず)から約100°〜約120°)に位置する歩行者Pであって、横断歩道を渡る前の歩行者Pを確実に照明することができ、交通安全に貢献することができる。
【0052】
この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、第1反射面51と第2反射面52との間に配置されている第3反射面53により、半導体型光源4の発光部40からの光を、第3反射光L3として、第1反射面51からの第1反射光L1の反射方向および第2反射面52からの第2反射光L2の反射方向に主に上下左右に拡散反射させるものである。この結果、第3反射光L3すなわち図7(B)に示す上下左右に拡散された第3配光パターンP3が第1反射光L1すなわち図7(A)に示す左右に拡散された第1配光パターンP1および第2反射光L2すなわち図7(C)に示す左右に拡散された第2配光パターンP2を包含する。これにより、図8(B)に示す横方向(左右方向)に長くかつ縦方向(上下方向)に厚くしかも中央部が明るい第5配光パターンP5を確実に形成することができ、車両Cの前側Fから車両Cの外側(左側L、右側R)にかけての歩行者Pの下半身を確実に照明する。
【0053】
この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、第3反射面53を第1反射面51と第2反射面52との間で半導体型光源4の発光部40の下側Dに配置させるので、第3反射面53で反射された第3反射光L3を、図7(B)に示す上下左右に拡散された第3配光パターンP3として形成するのに適している。
【0054】
この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、第1反射面51と第2反射面52との間に配置されている第4反射面54により、半導体型光源4の発光部40からの光を、第4反射光L4として、第1反射面51からの第1反射光L1の反射方向および第2反射面52からの第2反射光L2の反射方向および第3反射面53からの第3反射光L3の反射方向に対して主に上方向に上下左右に拡散反射させるものである。この結果、第4反射光L4すなわち図8(A)、(B)に示す上下左右に拡散された第4配光パターンP4が第1反射光L1すなわち図7(A)に示す左右に拡散された第1配光パターンP1および第2反射光L2すなわち図7(C)に示す左右に拡散された第2配光パターンP2および第3反射光L3すなわち図7(B)に示す上下左右に拡散された第3配光パターンP3の上縁から上方向に照射される。これにより、車両Cの前側Fから車両Cの外側(左側L、右側R)にかけての歩行者Pの上半身を確実に照明する。
【0055】
この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、第4反射面54を第1反射面51と第2反射面52との間で半導体型光源4の発光部40の直下側Dに配置させるので、第4反射面54で反射された第4反射光L4を、図8(A)、(B)に示す上下左右に拡散された第4配光パターンP4として、第1配光パターンP1および第2配光パターンP2および第3配光パターンP3の上縁から上方向に形成するのに適している。
【0056】
この実施形態における車両用灯具1L、1Rは、4個のコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dの光源軸Z1、Z2、Z3、Z4がランプレンズ12に対してほぼ垂直となるように、4個のコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dが灯室10内に車両Cの内側(右側R、左側L)から外側(左側L、右側R)にかけて配置されている。すなわち、4個のコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dは、ランプレンズ12の傾斜に沿って、車両Cの内側(右側R、左側L)のコーナリングランプ3Aから外側(左側L、右側R)のコーナリングランプ3Dにかけて、光源軸Z1、Z2、Z3、Z4が車両Cの内側(右側R、左側L)から外側(左側L、右側R)に向いている。この結果、4個のコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dからの反射光L1、L2、L3、L4を、車両Cの内側(右側R、左側L)から外側(左側L、右側R)にかけて左右に広い範囲(約26°〜約120°の範囲)に拡散させても、4個のコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dからの反射光L1、L2、L3、L4がランプレンズ12面に入射する角度を小さくすることができる。これにより、4個のコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dからの反射光L1、L2、L3、L4がランプレンズ12面において反射して損失する量を極力抑制することができる。すなわち、4個のコーナリングランプ3A、3B、3C、3Dからの反射光L1、L2、L3、L4を有効利用することができ、左右に広い範囲(約26°〜約120°の範囲)を確実に照明することができる。
【0057】
(実施形態以外の例の説明)
なお、前記の実施形態においては、ランプユニットとして4個のコーナリングランプ3(3A、3B、3C、3D)を使用した例について説明するものである。ところが、この発明においては、ランプユニットとして、1個のコーナリングランプ、2個、3個、5個以上のコーナリングランプであっても良い。
【0058】
また、前記の実施形態においては、ランプユニットのリフレクタ5が第1反射面51、第2反射面52、第3反射面53、第4反射面54を有するものである。ところが、この発明においては、少なくとも、第1反射面51と第2反射面52とを有するものであれば良い。
【符号の説明】
【0059】
1L、1R 車両用灯具
10 灯室
11 ランプハウジング
12 ランプレンズ
20 ロービーム用ランプ
21 ハイビーム用ランプ
22 クリアランスランプ
23 ターンシグナルランプ
3(3A、3B、3C、3D) コーナリングランプ
4 半導体型光源
40 発光部
41 基板
5 リフレクタ
50 ヒートシンク
51 第1反射面
52 第2反射面
53 第3反射面
54 第4反射面
C 車両
F 前側
B 後側
U 上側
D 下側
L 左側(車両外側)
R 右側(車両内側)
HL−HR スクリーンの左右の水平線
VU−VD スクリーンの上下の垂直線
L1 第1反射光
L2 第2反射光
L3 第3反射光
L4 第4反射光
P1 第1配光パターン
P2 第2配光パターン
P3 第3配光パターン
P4 第4配光パターン
P5 第5配光パターン
F1〜F4 発光面の中心
O−O 車両軸
O1〜O4 車両軸と平行な軸
Z1〜Z4 光源軸
θ1〜θ4 車両軸と平行な軸と光源軸とのなす角度
P 歩行者
EP アイポイント
LC 左折
RC 右折
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8