特許第5966675号(P5966675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966675
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】プローブ情報収集システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   G08G1/01 D
【請求項の数】5
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2012-145895(P2012-145895)
(22)【出願日】2012年6月28日
(65)【公開番号】特開2014-10560(P2014-10560A)
(43)【公開日】2014年1月20日
【審査請求日】2015年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100768
【氏名又は名称】アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】特許業務法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】井川 純一郎
【審査官】 田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−140008(JP,A)
【文献】 特開2008−122149(JP,A)
【文献】 特開2008−234164(JP,A)
【文献】 特開2009−122825(JP,A)
【文献】 特開2006−317158(JP,A)
【文献】 特開2010−210435(JP,A)
【文献】 特開2006−330942(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0127639(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G09B 23/00 − 29/14
B60R 21/00 − 21/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両と、複数の前記車両と双方向通信可能に接続されたプローブセンタとからなり、複数の前記車両から送信されたプローブ情報を前記プローブセンタが収集するプローブ情報収集システムであって、
前記車両の走行情報を取得する走行情報取得手段と、
前記車両の走行情報に基づいて、前記車両が道路を逆走する違反走行を行ったことを検出する違反走行検出手段と、
交通情報センタから配信される交通情報を取得する交通情報取得手段と、
前記違反走行検出手段によって前記車両が前記道路で違反走行を行ったことが検出された場合に、前記道路の周辺の前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報であるか否か判定する送信判定手段と、
前記送信判定手段によって前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報でないと判定された場合に、前記違反走行に関する情報をプローブ情報として前記プローブセンタへ送信する情報送信手段と、を有することを特徴とするプローブ情報収集システム。
【請求項2】
前記交通情報センタは、前記プローブセンタと異なるセンタであることを特徴とする請求項1に記載のプローブ情報収集システム。
【請求項3】
前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報とは、前記車両が逆走した前記道路及び該道路と並走する道路に工事規制、事故又は災害が生じていることを示す情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプローブ情報収集システム。
【請求項4】
前記交通情報取得手段は、前記交通情報センタで作成された作成時期の異なる複数の交通情報のいずれかを取得し、
前記違反走行検出手段によって前記車両が前記道路で違反走行を行ったことが検出された時点が、前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報が作成された時期から所定期間以上経過しているか否か判定する経過判定手段を有し、
前記交通情報取得手段は、前記経過判定手段によって所定期間以上経過していると判定された場合に、既に取得している前記交通情報よりも作成時期が新しい交通情報を前記交通情報センタから新たに取得し、
前記送信判定手段は、新たに取得した前記交通情報に基づいて、前記道路の周辺の前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報であるか否か判定することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のプローブ情報収集システム。
【請求項5】
前記交通情報取得手段は、
前記交通情報センタで作成された作成時期の異なる複数の交通情報のいずれかを取得し、
前記送信判定手段によって前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報でないと判定された場合に、既に取得している前記交通情報よりも作成時期が新しい交通情報を前記交通情報センタから新たに取得し、
前記送信判定手段は、新たに取得した前記交通情報に基づいて、前記道路の周辺の前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報であるか否か再度判定することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のプローブ情報収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両からプローブ情報を収集するプローブ情報収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。また、近年は携帯電話機、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
更に、従来のナビゲーション装置等では地図を表示するのみでなく、利用者の利便性をより向上させる為に道路の渋滞情報や事故情報等の交通情報を提供することについても行われていた。その際、利用者に提供する為の交通情報を取得するシステムとして、例えば道路交通情報通信システム(VICS:登録商標)やプローブカーシステムがある。また、特に上記プローブカーシステムでは、各車両から収集した情報を基に、渋滞情報や事故情報等の一般的な交通情報以外の情報についても提供することが可能である。
【0004】
そして、近年ではより快適に利用者に運転を行わせる為に、プローブカーシステムを用いて様々な情報を提供することが行われている。ここで、プローブカーシステムによって提供される情報の一つに、道路に設定された規制を遵守しない走行(以下、違反走行という)を行う車両に関する情報がある。このような違反走行を行う車両が自車に接近すると、自車の走行に大きな影響を与えることが予測されることから、違反走行を行う車両に関する情報を提供することは利用者にとって大きなメリットがある。そこで、例えば特開2009−140008号公報には、全国を走行する各車両の走行情報をプローブ情報として収集し、走行可能方向と逆方向に走行する車両について逆走車と認定し、逆走車に関する情報を他の車両に配信するシステムについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−140008号公報(第6−7頁、図5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記プローブカーシステムでは、センタと車両との間で送受信される通信データ量が多いことから、通信処理の処理負担増、通信時間や通信費用の増大が問題となっていた。例えば、上記違反走行を行う車両に関する情報を収集する構成とすると、車両が違反走行を行う度に該車両からセンタへと通信データが送信されることとなる。更に、違反走行を行っているか否かは道路に設定されている規制を車両が遵守しているか否かによって判定されるが、工事や事故や災害等により道路の規制が一時的に解除又は変更される(例えば一方通行の道路が双方向通行可能になる)場合があり、その場合には実際には違反走行を行っていない多数の車両から一度に大量の通信データが送信される虞がある。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、実際には違反走行を行っていない車両から違反走行に関するプローブ情報がプローブセンタへと送信されないように構成することによって、車両とプローブセンタとの間の不要な通信を削減することが可能となり、車両とプローブセンタとの間の通信処理、通信時間及び通信費用等を削減することを可能としたプローブ情報収集システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係るプローブ情報収集システム(1)は、複数の車両(3)と、複数の前記車両と双方向通信可能に接続されたプローブセンタ(4)とからなり、複数の前記車両から送信されたプローブ情報を前記プローブセンタが収集するプローブ情報収集システムであって、前記車両の走行情報を取得する走行情報取得手段(33)と、前記車両の走行情報に基づいて、前記車両が道路を逆走する違反走行を行ったことを検出する違反走行検出手段(33)と、交通情報センタ(5)から配信される交通情報を取得する交通情報取得手段(33)と、前記違反走行検出手段によって前記車両が前記道路で違反走行を行ったことが検出された場合に、前記道路の周辺の前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報であるか否か判定する送信判定手段(33)と、前記送信判定手段によって前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報でないと判定された場合に、前記違反走行に関する情報をプローブ情報として前記プローブセンタへ送信する情報送信手段(33)と、を有することを特徴とする
【0009】
また、請求項2に係るプローブ情報収集システム(1)は、請求項1に記載のプローブ情報収集システムであって、前記交通情報センタ(5)は、前記プローブセンタ(4)と異なるセンタであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項に係るプローブ情報収集システム(1)は、請求項1又は請求項2に記載のプローブ情報収集システムであって、前記車両(3)が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報とは、前記車両が逆走した前記道路及び該道路と並走する道路に工事規制、事故又は災害が生じていることを示す情報であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項に係るプローブ情報収集システム(1)は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載のプローブ情報収集システムであって、前記交通情報取得手段(33)は、前記交通情報センタ(5)で作成された作成時期の異なる複数の交通情報のいずれかを取得し、前記違反走行検出手段(33)によって前記車両(3)が前記道路で違反走行を行ったことが検出された時点が、前記交通情報取得手段により取得された前記交通情報が作成された時期から所定期間以上経過しているか否か判定する経過判定手段(33)を有し、前記交通情報取得手段(33)は、前記経過判定手段によって所定期間以上経過していると判定された場合に、既に取得している前記交通情報よりも作成時期が新しい交通情報を前記交通情報センタから新たに取得し、前記送信判定手段は、新たに取得した前記交通情報に基づいて、前記道路の周辺の前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報であるか否か判定することを特徴とする。
【0014】
更に、請求項に係るプローブ情報収集システム(1)は、請求項1乃至請求項のいずれかに記載のプローブ情報収集システムであって、前記交通情報取得手段(33)は、前記交通情報センタ(5)で作成された作成時期の異なる複数の交通情報のいずれかを取得し、前記送信判定手段(33)によって前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報でないと判定された場合に、既に取得している前記交通情報よりも作成時期が新しい交通情報を前記交通情報センタから新たに取得し、前記送信判定手段は、新たに取得した前記交通情報に基づいて、前記道路の周辺の前記交通情報が、前記車両が逆走した前記道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報であるか否か再度判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記構成を有する請求項1に記載のプローブ情報収集システムによれば、交通情報センタから配信される交通情報が、車両において検出された違反走行に基づく送信条件を満たしていると判定された場合に、違反走行に関する情報をプローブ情報として車両からプローブセンタへ送信するので、実際には違反走行を行っていない車両から違反走行に関するプローブ情報がプローブセンタへと送信されないように構成することが可能となる。その結果、車両とプローブセンタとの間の不要な通信を削減することが可能となり、車両とプローブセンタとの間の通信処理、通信時間及び通信費用等を削減することが可能となる。
また、交通情報センタから配信される交通情報が、車両が逆走した道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報でない場合に、違反走行に関する情報をプローブ情報として車両からプローブセンタへ送信するので、逆走を行っていると検出された車両が実際に逆走を行っているか否かを交通情報センタから配信された交通情報に基づいて確認することが可能となる。その結果、実際には逆走していない車両から違反走行に関するプローブ情報がプローブセンタへと送信されないように構成することが可能となる。
【0016】
また、請求項2に記載のプローブ情報収集システムによれば、交通情報センタはプローブセンタと異なるセンタであるので、車両とプローブセンタとの間で通信を行うことなく、プローブ情報が送信条件を満たしているか否かを判定することが可能となる。従って、車両とプローブセンタとの間の通信処理、通信時間及び通信費用等をより削減することが可能となる。
【0019】
また、請求項に記載のプローブ情報収集システムによれば、交通情報センタから配信される交通情報が、車両が逆走した道路及び該道路と並走する道路に工事規制、事故又は災害が生じていることを示す情報でない場合に、違反走行に関する情報をプローブ情報として車両からプローブセンタへ送信するので、逆走を行っていると検出された車両が実際に逆走を行っているか否かを交通情報センタから配信された交通情報に基づいて正確に確認することが可能となる。
【0020】
また、請求項に記載のプローブ情報収集システムによれば、違反走行を行ったことが検出された時点が、交通情報センタから取得された交通情報が作成された時期から所定期間以上経過している場合に、既に取得している交通情報よりも作成時期が新しい交通情報を交通情報センタから新たに取得し、新たに取得した交通情報に基づいて送信条件を満たすか否か判定するので、違反走行を行っていると検出された車両が実際に違反走行を行っているか否かを、より新しい交通情報に基づいて確認することが可能となる。
【0021】
更に、請求項に記載のプローブ情報収集システムによれば、交通情報センタから取得された交通情報が送信条件を満たしていると一旦判定された後に、既に取得している交通情報よりも作成時期が新しい交通情報を交通情報センタから新たに取得し、新たに取得した交通情報に基づいて送信条件を満たすか否か再度判定するので、違反走行を行っていると検出された車両が実際に違反走行を行っているか否かを、より新しい交通情報に基づいて確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態に係るプローブ情報収集システムを示した概略構成図である。
図2】本実施形態に係るプローブ情報収集システムの構成を示したブロック図である。
図3】プローブ情報DBに記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
図4】プローブ統計情報DBに記憶される違反車情報の一例を示した図である。
図5】VICS情報の一例を示した図である。
図6】本実施形態に係るナビゲーション装置の制御系を模式的に示すブロック図である。
図7】本実施形態に係るプローブ情報収集処理プログラムのフローチャートである。
図8】車両の逆走状態を検出する検出方法を示した図である。
図9】従来のプローブ情報の収集態様を示した図である。
図10】本願発明のプローブ情報の収集態様を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るプローブ情報収集システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るプローブ情報収集システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るプローブ情報収集システム1を示した概略構成図である。図2は本実施形態に係るプローブ情報収集システム1の構成を示したブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係るプローブ情報収集システム1は、ナビゲーション装置2を搭載した各車両3と、各車両3からプローブ情報を収集し、収集したプローブ情報に基づく交通情報等の作成・配信を行うプローブセンタ4と、交通情報の作成・配信を行う交通情報センタ5とから基本的に構成されている。尚、交通情報センタ5は、例えば、道路交通情報通信システム(VICS(Vehicle Information and Communication System))センタや、RDS-TMC(Radio Data System-Traffic Message Channel:FM多重放送による交通情報サービス)センタ等である。本実施形態においては、プローブセンタ4が作成・配信を行う交通情報を「プローブ情報」、交通情報センタ5が作成・配信を行う交通情報を「VICS情報」と表現する。
【0025】
車両3は全国の各道路を走行する車両であり、プローブカーとして後述のプローブセンタ4とともにプローブカーシステムを構成する。ここで、プローブカーシステムとは、車両をセンサとして情報を収集するシステムである。具体的には、車両3が速度データをはじめ、ステアリング操作やシフト位置等の各システムの作動状況をGPSの位置情報とともに予め車両3に搭載された携帯電話機やDCM等の車両用の通信モジュール(以下、単に通信モジュールという)を介してプローブセンタ4に送信し、センタ側でその収集データを様々な情報として再利用するシステムをいう。
【0026】
また、プローブセンタ4は、全国各地を走行する各車両3から送信された現在時刻や走行情報等を含むプローブ情報を収集して蓄積するとともに、蓄積されたプローブ情報から渋滞情報等の交通情報や道路に設定された規制を遵守しない走行(以下、違反走行という)を行っている車両(以下、違反車両という)に関する違反車情報等の配信情報(プローブ統計情報)を生成し、生成された配信情報を車両3に対して配信する情報配信センタである。尚、本実施形態では、特に道路に規定された進行方向と異なる方向に走行する所謂逆走を行っている違反車両(以下、逆走車両という)に関する情報を違反車情報として生成及び配信対象とする。
【0027】
また、本実施形態に係るプローブ情報収集システム1では、特にプローブ情報として、違反走行(本実施形態では逆走を対象とする)をしていることが検出された車両3の現在位置や進行方向を示す情報についても取得する。そして、プローブセンタ4は、取得したプローブ情報に基づいて、逆走車両を特定し、上記した違反車情報を生成する。
【0028】
一方、交通情報センタ5は、路上に設置された感知器を用いて、路上を走行する車両3を検出した検出結果や特定の機関(例えば警察庁)等から提供された情報を収集するとともに、その検出結果や提供情報に基づいて交通情報であるVICS情報を生成し、生成したVICS情報をFM多重放送、光ビーコン、電波ビーコン、インターネット等により車両3に提供する情報提供センタである。尚、提供されるVICS情報としては、渋滞情報(渋滞度及び渋滞長)の他に、工事規制情報、事故情報、災害情報、駐車場情報、サービスエリア情報、パーキングエリア情報等がある。
【0029】
また、車両3にはナビゲーション装置2が設置されている。ナビゲーション装置2は格納する地図データに基づいて自車位置周辺の地図を表示したり、地図画像上において車両の現在位置を表示したり、設定された目的地までの経路の探索及び案内を行う車載機である。また、ナビゲーション装置2はプローブセンタ4から受信した配信情報(逆走車両に関する情報を含む)や交通情報センタ5から受信したVICS情報を利用者に対して案内することも行う。尚、ナビゲーション装置2の詳細については後述する。
【0030】
続いて、プローブ情報収集システム1を構成するプローブセンタ4の構成について図2を用いてより詳細に説明する。
【0031】
プローブセンタ4は、図2に示すようにサーバ11と、サーバ11に接続された情報記録手段としてのプローブ情報DB12と、プローブ統計情報DB13と、センタ通信装置14とから基本的に構成されている。
【0032】
サーバ11は、プローブセンタ4における各種制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述のプローブ情報収集処理プログラム(図7)等が記憶されたROM23等の内部記憶装置を備えている。
【0033】
また、プローブ情報DB12は、全国を走行する各車両3から収集したプローブ情報を累積的に記憶する記憶手段である。尚、本実施形態においては、車両3から収集されるプローブ情報として、違反走行(本実施形態では逆走を対象とする)をしていることが検出された車両3の現在位置や進行方向を示す情報が含まれる。
【0034】
以下に、図3を用いてプローブ情報DB12に記憶されるプローブ情報についてより詳細に説明する。図3はプローブ情報DB12に記憶されるプローブ情報の一例を示した図である。
【0035】
図3に示すように、プローブ情報は、違反走行(本実施形態では逆走を対象にする)が検出された車両3において、プローブ情報の送信時刻と、送信元の車両3を識別する車両IDと、違反走行の内容(本実施形態では逆走となる)と、送信元の車両3の現在位置や進行方向とに関する情報等が含まれる。例えば、図3に示すプローブ情報は、10:00:00にID“A”の車両3が逆走状態にあって、ID“100001”のリンクの座標(x1,y1)を上り方向へ現在走行していることが記憶されている。同様にして、他のプローブ情報についても記憶されている。尚、“違反内容”や“リンクID”や“進行方向”に関する情報はプローブ情報として収集しない構成としても良い。
【0036】
そして、プローブセンタ4は、プローブ情報DB12に記憶されるプローブ情報を統計することによって、全国を走行する全ての逆走車両の現在位置や進行方向を特定する。そして、特定された逆走車両の現在位置や進行方向に関する情報を違反車情報としてプローブ統計情報DB13に記憶する。
【0037】
次に、図4を用いてプローブセンタ4によって作成され、プローブ統計情報DB13に記憶される違反車情報について詳細に説明する。図4はプローブ統計情報DB13に記憶される違反車情報の一例を示した図である。
【0038】
図4に示すように違反車情報は、違反走行(本実施形態では逆走を対象にする)が検出された違反車両の位置するリンクのリンクIDと、違反車両の進行方向と、違反車両の位置座標と、違反走行の内容(本実施形態では逆走となる)とから構成される。例えば、図4に示す違反車情報では、リンクID『100001』のリンクの上り方向の地点(X1、Y1)に、逆走車両が位置することを示している。同様にして、他の違反車情報についても記憶されている。
【0039】
また、センタ通信装置14は、車両3とネットワーク15を介して通信を行う為の通信装置である。本実施形態では、センタ通信装置14を介してプローブ情報や配信情報を各車両3との間で送受信する。
【0040】
次に、交通情報センタ5について図2を用いて説明する。交通情報センタ5は、図2に示すようにVICS情報を記憶する交通情報DB16と交通情報通信装置17とを備える。
【0041】
交通情報DB16は、路面上に設置された感知器による車両の検出結果や特定の機関(例えば警察庁)等から提供された情報に基づいて生成された交通情報であるVICS情報が記憶される記憶手段である。そして、交通情報センタ5は所定時間毎(例えば5分毎)に交通情報DB16に格納されたVICS情報から必要な情報を抽出し、通信装置を介してナビゲーション装置2に対して配信する。
【0042】
また、交通情報通信装置17は、FM多重放送、光ビーコン、電波ビーコン、インターネット等によりナビゲーション装置2に対してVICS情報の配信を行う通信装置である。そして、ナビゲーション装置2は、FM多重放送を介して車両3の位置する県や近隣県に関するVICS情報を受信する。また、電波ビーコンの設置された高速道路の走行中には、電波ビーコンを介して車両3の現在位置周辺(例えば200km以内)の該高速道路に関するVICS情報を更に受信する。また、光ビーコンの設置された主要一般道路の走行中には、光ビーコンを介して車両3の現在位置周辺(例えば30km以内)の該主要一般道路に関するVICS情報を更に受信する。また、インターネットに接続可能なエリアを走行中には、インターネットを介して車両3の現在位置周辺(例えば30km以内)のVICS)情報を受信することも可能である。
【0043】
ここで、車両3が交通情報センタ5からVICS情報を取得する手段としては、上述したFM多重放送、光ビーコン、電波ビーコン、インターネット等があるが、それぞれの手段によって、取得できる情報の新しさや通信コストが異なる。具体的には、FM多重放送は、通信コストは安いが最新の情報は取得できない。一方、インターネットは、通信コストは高いが最新の情報を取得できる。
【0044】
また、ナビゲーション装置2に配信されるVICS情報としては、渋滞情報の他に、工事規制情報、事故情報、災害情報、駐車場情報、サービスエリア情報、パーキングエリア情報等がある。また、渋滞情報は、感知器が設置された主要な道路のみについて作成される。
【0045】
以下に、図5を用いて交通情報DB16に記憶されるVICS情報についてより詳細に説明する。図5は交通情報DB16に記憶されるVICS情報の一例を示した図である。
図5に示すようにVICS情報は、リンクを識別するリンク番号と、そのリンクについての渋滞度、渋滞の区間を示す渋滞長、事故情報、工事情報等を示した詳細情報とから構成される。例えば、図5に示すVICS情報は、2012年8月6日の13時56分から14時1分までの5分間に生成され14時1分に配信される情報であり、リンク番号『4』のリンクについて、全区間において渋滞度が『渋滞』であることを示している。また、リンク番号『2』のリンクについて、13:00〜18:00の間において工事が行われ、本リンクや並走リンクにおいて進行方向の記載が解除される(即ち、一方通行の道路が双方向通行可能になる)虞のあることを示している。更に、リンク番号『1』のリンクについて、事故により通行止めであり、並走リンクにおいて進行方向の記載が解除される(即ち、一方通行の道路が双方向通行可能になる)虞のあることを示している。尚、リンクの一部のみが渋滞である場合には、渋滞の開始点の座標に関する情報と開始点からの渋滞区間の距離に関する情報についてもVICS情報に含まれる。
【0046】
次に、車両3に搭載されたナビゲーション装置2の概略構成について図6を用いて説明する。図6は本実施形態に係るナビゲーション装置2を示したブロック図である。
【0047】
図6に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置2は、ナビゲーション装置2が搭載された車両3の現在位置を検出する現在位置検出部31と、各種のデータが記録されたデータ記録部32と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU33と、ユーザからの操作を受け付ける操作部34と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ35と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ36と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ37と、プローブセンタ4や交通情報センタ5等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール38と、から構成されている。
【0048】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部31は、GPS41、車速センサ42、ステアリングセンサ43、ジャイロセンサ44等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ42は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU33に出力する。そして、ナビゲーションECU33は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置2が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置2が備える構成としても良い。
【0049】
また、データ記録部32は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB45、配信情報DB46及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部32をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0050】
ここで、地図情報DB45は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各分岐点に関する分岐点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0051】
また、配信情報DB46は、プローブセンタ4から配信される渋滞情報や違反車情報(図4参照)等の配信情報、交通情報センタ5から配信されたVICS情報(図5参照)等が記憶された記憶手段である。
【0052】
そして、ナビゲーションECU33は、後述のように地図情報DB45に記憶された地図情報に基づいて、車両周辺の道路や施設を液晶ディスプレイ35に表示するとともに、案内経路が設定されている場合には案内経路に沿った車両の走行の案内を行う。更に、配信情報DB46に記憶された配信情報に基づいて、車両周辺を走行する逆走車両についても案内する。
【0053】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)33は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU51、並びにCPU51が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM52、制御用のプログラムのほか、後述のプローブ情報収集処理プログラム(図7)等が記録されたROM53、ROM53から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ54等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU33は、プローブセンタ4のサーバ11とともに処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、走行情報取得手段は、車両3の走行情報を取得する。違反走行検出手段は、車両3の走行情報に基づいて、車両3が道路に設定された規制を遵守しない走行である違反走行(本実施形態では特に逆走)を行ったことを検出する。交通情報取得手段は、交通情報センタ5から配信される交通情報を取得する。送信判定手段は、違反走行検出手段によって車両3が道路で違反走行を行ったことが検出された場合に、道路の周辺の交通情報が違反走行に基づく送信条件を満たすか否か判定する。情報送信手段は、送信判定手段によって交通情報が送信条件を満たしていると判定された場合に、違反走行に関する情報をプローブ情報としてプローブセンタ4へ送信する。経過判定手段は、違反走行検出手段によって車両3が道路で違反走行を行ったことが検出された時点が、交通情報取得手段により取得された交通情報が作成された時期から所定期間以上経過しているか否か判定する。
【0054】
操作部34は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU33は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部34は液晶ディスプレイ35の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0055】
また、液晶ディスプレイ35には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。特に本実施形態では、逆走車両が車両3の進行方向前方の所定距離以内(例えば700m)に接近した場合には、逆走車両をユーザに報知する為の案内表示を出力する。
【0056】
また、スピーカ36は、ナビゲーションECU33からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。特に本実施形態では、逆走車両が車両3の進行方向前方の所定距離以内(例えば700m)に接近した場合には、逆走車両をユーザに報知する為の案内音声を出力する。
【0057】
また、DVDドライブ37は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB45の更新等が行われる。
【0058】
また、通信モジュール38は、例えば、交通情報センタ5やプローブセンタ4等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。また、プローブ情報や配信情報をプローブセンタ4との間で送受信するのにも用いられる。
【0059】
続いて、前記構成を有するプローブ情報収集システム1を構成するナビゲーション装置2及びプローブセンタ4において実行するプローブ情報収集処理プログラムについて図7に基づき説明する。図7は本実施形態に係るプローブ情報収集処理プログラムのフローチャートである。ここで、プローブ情報収集処理プログラムは車両3のACCがONされた後に所定間隔で実行され、違反走行(本実施形態では逆走を対象とする)をしていることが検出された車両3の現在位置や進行方向を示す情報をプローブ情報としてプローブセンタ4へと送信するプログラムである。尚、以下の図7にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU33が備えているRAM52やROM53又はサーバ11が備えているRAM22やROM23等に記憶されており、CPU51又はCPU21により実行される。
【0060】
先ず、ナビゲーション装置2において実行されるプローブ情報収集処理プログラムについて説明する。
ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU51は、車両3の車両情報について取得する。具体的には、車両3の現在位置及び現在方位を現在位置検出部31の検出結果に基づいて取得する。尚、車両3の現在位置を地図データ上で特定するマップマッチング処理についても行う。更に、車両3の現在位置は、高精度ロケーション技術を用いて詳細に特定することが望ましい。ここで、高精度ロケーション技術とは、車両後方のカメラから取り込んだ白線や路面ペイント情報を画像認識により検出し、更に、白線や路面ペイント情報を予め記憶した地図情報DBと照合することにより、走行車線や高精度な車両位置を検出可能にする技術である。尚、高精度ロケーション技術の詳細については既に公知であるので省略する。
【0061】
次に、S2においてCPU51は、前記S1で取得した車両情報と車両3の走行する道路に設定された進行方向とに基づいて、車両が逆走状態にあるか否かを判定する。以下に、前記S2の逆走状態の判定処理について図8を用いてより詳細に説明する。
【0062】
先ず、CPU51は、車両3が現在走行する道路に設定された進行方向を取得する。尚、車両が現在走行する道路は、直前に実行された前記S1において取得された車両の現在位置が含まれるリンクとなる。従って、図8に示すようにCPU51は、車両3の現在位置61が含まれるリンク62のリンクデータを地図情報DB45より取得し、取得したリンク62のリンクデータに基づいて、車両3が現在走行する道路(即ち、リンク62)に設定された進行方向を取得する。次に、CPU51は、車両3が現在走行する道路に設定された進行方向(図8の矢印63方向)に対して、前記S1において取得された車両3の現在方位(図8の矢印64方向)が所定角度(例えば135度)以上異なる状態で、車両3が所定距離(例えば50m)以上走行しているか否か判定する。そして、車両3が現在走行する道路に設定された走行方向に対して車両3の現在方位が所定角度以上異なる状態で、所定距離以上走行している場合に、CPU51は車両が逆走状態にあると判定する。
尚、前記S2の逆走状態の判定処理内容については、上記例に限られることはない。例えば、一方通行区間の走行中に車両がUターンした場合に、車両が逆走状態にあると判定する構成としても良い。
【0063】
そして、車両3が逆走状態にあると判定した場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、車両3が逆走状態にないと判定した場合(S2:NO)には、プローブ情報を送信することなく当該プローブ情報収集処理プログラムを終了する。
【0064】
S3においてCPU51は、交通情報センタ5から車両3が走行する道路周辺のVICS情報を取得する。尚、VICS情報の取得は、FM多重放送、電波ビーコン、光ビーコン、インターネットのいずれかを介して行われる。尚、前記S3で取得するVICS情報には、渋滞情報の他に、工事規制情報、事故情報、災害情報に関する情報も含む(図5参照)。
【0065】
次に、S4においてCPU51は、前記S3で取得したVICS情報に基づいて、車両3が走行する道路周辺のVICS情報がプローブ情報の送信条件を満たすか否か判定する。ここで、プローブ情報の送信条件は、車両3が行っていると判定された違反走行の内容に基づいて決定され、より具体的には“取得されたVICS情報が、車両3が違反走行を行っていると判定された判定結果に誤判定の虞があることを示す情報でないこと”を条件とする。
【0066】
例えば、本実施形態では違反走行として逆走を対象としている。ここで、工事や事故や災害等により道路の規制が一時的に解除又は変更される(例えば一方通行の道路が双方向通行可能になる)場合があり、その場合には実際には違反走行を行っていない多数の車両から一度に大量の通信データが送信される虞がある。例えば、図9では本来、中央分離帯によって往復の方向別に一方通行となっている道路が一時的に対面通行になっている例を示す。この場合において、道路に規定されている進行方向と異なる方向に走行する車両71と車両72は、実際には違反走行を行っていないが、VICS情報を考慮せずに、車両情報と地図情報のみから判断することとすると、違反走行を行っていると判定される。従って、車両71及び車両72に搭載された各ナビゲーション装置2では、自車両が逆走状態にあると判定されることとなり、従来技術では車両71及び車両72から自車両の位置や進行方向を示すプローブ情報がプローブセンタ4へと送信されることとなる。しかしながら、車両71及び車両72から送信されるプローブ情報は実際には違反走行を行っていない車両から送信される情報であり、不要なプローブ情報である。
【0067】
そこで、本願発明では、“VICS情報が、車両3が逆走する道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報でないこと”、より具体的には“車両3が逆走する道路又は該道路と並走する道路に工事規制、事故又は災害が生じていることを示す情報でないこと”を前記S4のプローブ情報の送信条件とする。それによって、図10に示すように違反走行を行っていない車両71及び車両72から不要なプローブ情報がプローブセンタ4へと送信されないように構成することが可能となる。
【0068】
尚、違反走行として逆走を対象とする本実施形態では、前記S4の判定基準となる送信条件を、“VICS情報が、車両3が逆走する道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報でないこと”、より具体的には“車両3が逆走する道路又は該道路と並走する道路に工事規制、事故又は災害が生じていることを示す情報でないこと”とするが、対象とする違反走行を逆走以外とすれば、送信条件についても変更する必要がある。
【0069】
そして、前記S4の判定処理において、車両3が走行する道路周辺のVICS情報がプローブ情報の送信条件を満たすと判定された場合(S4:YES)には、S5へと移行する。それに対して、車両3が走行する道路周辺のVICS情報がプローブ情報の送信条件を満たしていないと判定された場合(S4:NO)には、プローブ情報を送信することなく当該プローブ情報収集処理プログラムを終了する。
【0070】
S5においてCPU51は、前記S2において車両3が逆走状態にあると判定された時点が、前記S3で取得したVICS情報が作成された時期から所定期間以上経過しているか否か判定する。ここで、前記S5の判定条件となる所定期間は、VICS情報の信頼性を確保できる時間であり、情報の内容毎に設定しても良い。例えば、状況が変わり易い事故情報であれば1時間とし、状況の変わり難い災害情報や工事情報であればより長い3時間とする。
【0071】
そして、前記S2において車両3が逆走状態にあると判定された時点が、前記S3で取得したVICS情報が作成された時期から所定期間以上経過していると判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、前記S2において車両3が逆走状態にあると判定された時点が、前記S3で取得したVICS情報が作成された時期から所定期間以上経過していないと判定された場合(S5:NO)には、S8へと移行する。
【0072】
S6においてCPU51は、前記S3で取得したVICS情報よりも作成時期の新しいVICS情報を交通情報センタ5から再度取得する。ここで、上述したように車両3が交通情報センタ5からVICS情報を取得する手段としては、FM多重放送、光ビーコン、電波ビーコン、インターネット等があるが、それぞれの手段によって、取得できる情報の新しさや通信コストが異なる。従って、前記S3においてFM多重放送を介してVICS情報を取得していた場合には、より新しい情報が取得可能なインターネットを介してVICS情報を再度取得するように構成する。尚、VICS情報を取得するセンタは、前記S2で取得したセンタと異なるセンタとしても良い。また、既に取得しているVICS情報よりも新しい情報が無い場合には、前記S6の処理は行わないようにしても良い。
【0073】
その後、S7においてCPU51は、前記S3で新たに取得したVICS情報に基づいて、車両3が走行する道路周辺のVICS情報がプローブ情報の送信条件を満たすか否か再度判定する。尚、具体的な処理内容は前記S4と同様であるので省略する。
【0074】
そして、前記S7の判定処理において、車両3が走行する道路周辺のVICS情報がプローブ情報の送信条件を満たすと判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、車両3が走行する道路周辺のVICS情報がプローブ情報の送信条件を満たしていないと判定された場合(S7:NO)には、プローブ情報を送信することなく当該プローブ情報収集処理プログラムを終了する。
【0075】
S8においてCPU51は、前記S1で取得した車両情報等をプローブセンタ4へとプローブ情報として送信する。具体的には、“プローブ情報の送信時刻”と、“送信元の車両3を識別する車両ID”と、“違反走行の内容(本実施形態では逆走となる)”と、“送信元の車両3の現在位置や進行方向”を送信する。その後、当該プローブ情報収集処理プログラムを終了する。
【0076】
次に、プローブセンタ4において実行されるプローブ情報収集処理プログラムについて説明する。
先ず、S11においてCPU21は、全国を走行する各車両3からプローブ情報の送信があるか否か判定する。
【0077】
そして、プローブ情報の送信があると判定された場合(S11:YES)には、送信されるプローブ情報を受信する(S12)。そして、CPU21は受信したプローブ情報をプローブ情報DB12へと累積的に格納する(S13)。
【0078】
一方、プローブ情報の送信がないと判定された場合(S11:NO)には、当該プローブ情報収集処理プログラムを終了する。尚、前記S12で受信するプローブ情報は、逆走車両から送信される車両の現在位置や進行方向を示す情報である(図3参照)。
【0079】
その後、S14においてCPU21は、前記S13でプローブ情報DB12に格納されたプローブ情報に対して統計処理を行うことにより、道路に設定された規制を遵守しない違反走行(本実施形態では特に逆走を対象にする)を行っている違反車両に関する違反車情報(図4)を作成する。ここで、違反車情報の作成は、前記S12で新たなプローブ情報を受信する度に実行する構成としても良いし、前回作成した時から所定期間(例えば1時間)経過後に実行する構成としても良い。尚、作成された違反車情報は車両3に配信する配信情報としてプローブ統計情報DB13に格納される。
【0080】
次に、S15においてCPU21は、プローブ統計情報DB13に格納されている違反車情報を、配信情報として要求のあったナビゲーション装置2に配信する。
【0081】
一方、プローブセンタ4から配信された配信情報を受信した車両3は、受信した配信情報に基づいて逆走車両に関する案内を行う。具体的には、車両3の進行方向前方の所定距離(例えば700m)以内に逆走車両がある場合に、逆走車両に対する案内を行う。具体的には、液晶ディスプレイ35に表示された地図画像上の逆走車両が位置する地点においてマークを表示したり、スピーカ36から逆走車両の注意喚起を行う音声を出力する。
【0082】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るプローブ情報収集システム1では、車両3が逆走状態にあることが検出された場合に、交通情報センタ5からVICS情報を取得し(S3)、取得したVICS情報が、車両3において検出された違反走行に基づく送信条件を満たしているか否か判定し(S4)、送信条件を満たしていると判定された場合に、違反走行に関する情報をプローブ情報として車両3からプローブセンタ4へ送信する(S8)ので、実際には違反走行を行っていない車両3から違反走行に関するプローブ情報がプローブセンタ4へと送信されないように構成することが可能となる。その結果、車両3とプローブセンタ4との間の不要な通信を削減することが可能となり、車両3とプローブセンタ4との間の通信処理、通信時間及び通信費用等を削減することが可能となる。
また、交通情報センタ5はプローブセンタ4と異なるセンタであるので、車両3とプローブセンタ4との間で通信を行うことなく、プローブ情報が送信条件を満たしているか否かを判定することが可能となる。従って、車両3とプローブセンタ4との間の通信処理、通信時間及び通信費用等をより削減することが可能となる。
また、特に車両3が道路を逆走したことを違反走行として検出するので、実際には逆走していない車両3から違反走行に関するプローブ情報がプローブセンタ4へと送信されないように構成することが可能となる。
また、交通情報センタ5から配信されるVICS情報が、車両3が逆走した道路に設定されている進行方向の規制が一時的に解除又は変更される事象が生じていることを示す情報でない場合に、違反走行に関する情報をプローブ情報として車両3からプローブセンタ4へ送信するので、逆走を行っていると検出された車両3が実際に逆走を行っているか否かを交通情報センタ5から配信された交通情報に基づいて確認することが可能となる。
また、交通情報センタ5から配信されるVICS情報が、車両3が逆走した道路又は該道路と並走する道路に工事規制、事故又は災害が生じていることを示す情報でない場合に、違反走行に関する情報をプローブ情報として車両3からプローブセンタ4へ送信するので、逆走を行っていると検出された車両3が実際に逆走を行っているか否かを交通情報センタ5から配信された交通情報に基づいて正確に確認することが可能となる。
また、違反走行を行ったことが検出された時点が、交通情報センタ5から取得されたVICS情報が作成された時期から所定期間以上経過している場合に、既に取得しているVICS情報よりも作成時期が新しいVICS情報を交通情報センタ5から新たに取得し、新たに取得したVICS情報に基づいて送信条件を満たすか否か判定する(S7)ので、違反走行を行っていると検出された車両3が実際に違反走行を行っているか否かを、より新しい交通情報に基づいて確認することが可能となる。
更に、交通情報センタ5から取得されたVICS情報が送信条件を満たしていると一旦判定された後に、既に取得しているVICS情報よりも作成時期が新しいVICS情報を交通情報センタ5から新たに取得し、新たに取得したVICS情報に基づいて送信条件を満たすか否か再度判定するので、違反走行を行っていると検出された車両3が実際に違反走行を行っているか否かを、より新しい交通情報に基づいて確認することが可能となる。
【0083】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、VICS情報が送信条件を満たしているかを判定(S4、S7)する判定主体は、ナビゲーション装置2であったが、プローブセンタ4やその他のセンタが実行する構成としても良い。また、複数の主体によって実行する構成としても良い。尚、プローブセンタ4が判定する場合には、プローブセンタ4が交通情報センタ5からVICS情報を取得し、更に、判定結果をプローブセンタ4からナビゲーション装置2へと送信するように構成する。
【0084】
また、本実施形態では、プローブセンタ4と交通情報の配信元である交通情報センタ5とを別々のセンタとしているが、プローブセンタ4が交通情報を配信する構成としても良い。また、交通情報としてはVICS情報以外の情報(例えばプローブセンタでプローブ情報に基づいて作成された交通情報)を取得する構成としても良い。
【0085】
また、本実施形態では、違反走行として特に逆走を対象としているが、逆走以外の違反走行を対象としても良い。例えば、速度違反、信号無視、一時停止違反、駐車違反等を対象としても良い。また、対象とする違反走行の内容によって前記S4及びS7で判定基準となる送信条件は適宜設定する必要がある。
【0086】
また、プローブ情報収集処理プログラム(図7)において、S5及びS6の処理はS4の判定処理の前に実行する構成としても良い。その場合には、S7の判定処理については省略可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 プローブ情報収集システム
2 ナビゲーション装置
3 車両
4 プローブセンタ
5 交通情報センタ
11 サーバ
21 CPU
22 RAM
23 ROM
33 ナビゲーションECU
51 CPU
52 RAM
53 ROM
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10