特許第5966741号(P5966741)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966741
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】微小粉末の投入方法および収容容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/06 20060101AFI20160728BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B65D83/06 A
   B65D30/02
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-172742(P2012-172742)
(22)【出願日】2012年8月3日
(65)【公開番号】特開2014-31196(P2014-31196A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】松本 剛
(72)【発明者】
【氏名】松本 輝真佐
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−284183(JP,A)
【文献】 実開平04−021473(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第0778223(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/06
B65D 30/00−33/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状の樹脂製袋体の上端開口縁を外周側に折り返して袋体の底部よりも下方に位置させることにより、この袋体を外周部と内周部との二重構造とし、前記内周部の内側に微小粉末を収容した後に、前記内周部の上端部と前記外周部の上端部とを共に閉口するとともに、前記袋体の底部よりも下方に位置させた上端開口縁を閉口させて、微小粉末を密封した収容容器を形成し、この収容容器を上下反転して吊り下げた状態にして受け容器の上方に移動させ、次いで、この状態で収容容器の下端部に位置している前記閉口した内周部の上端部と外周部の上端部とを開口させることにより、密封した微小粉末を前記受け容器の中に投入することを特徴とする微小粉末の投入方法。
【請求項2】
前記袋体の底部よりも下方に位置させた上端開口縁を閉口させる際に、この上端開口縁とともにその周辺部分で輪状体を形成して閉口し、この輪状体に吊り具を引っ掛けて収容容器を上下反転して吊り下げた状態にする請求項1に記載の微小粉末の投入方法。
【請求項3】
前記袋体の膜厚を0.05mm以上0.2mm以下にする請求項1または2に記載の微小粉末の投入方法。
【請求項4】
有底筒状の樹脂製袋体の上端開口縁が外周側に折り返されて袋体の底部よりも下方に位置して、この袋体が外周部と内周部との二重構造に形成され、前記内周部の内側に収容された微小粉末が、前記内周部の上端部と前記外周部の上端部とが共に閉口されることにより密封され、前記袋体の底部よりも下方に位置している上端開口縁が閉口されていることを特徴とする微小粉末の収容容器。
【請求項5】
前記袋体の底部よりも下方に位置している上端開口縁が、その周辺部分とともに輪状体を形成して閉口されている請求項4に記載の微小粉末の収容容器。
【請求項6】
前記袋体の膜厚が0.05mm以上0.2mm以下である請求項4または5に記載の微小粉末の収容容器。
【請求項7】
前記袋体の内面に静電気防止処理が施されている請求項4〜6のいずれかに記載の微小粉末の収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小粉末の投入方法および収容容器に関し、さらに詳しくは、微小粉末が周囲に飛散することを抑制しつつ、迅速に収容容器から排出させて受け容器の中に投入できる微小粉末の投入方法およびその収容容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シーリング材の軽量化が進むに連れて、原料である有機系微小中空バルーンの製造工程における取り扱いが困難になっている。具体的には、非常に比重が小さい有機系微小中空バルーンを混合釜に投入する際に、このバルーンが周囲に飛散して周辺を汚すという問題がある。また、このバルーンは自重が軽いため円滑に収容容器から排出させることができず、収容容器を激しく揺らして排出を促そうとすれば、さらにバルーンが周囲に飛散するという悪循環になる。このような問題は、有機系微小中空バルーンだけでなく、軽量の微小粉末を投入する際にも同様に生じる。
【0003】
例えば、粉粒体の収容容器として、容器の内面を表面処理したり、錘を取り付けた布体を設けることにより、収容する粉粒体を容器の内面に付着し難くして円滑に排出させる構造が知られている(特許文献1参照)。しかし、これら公知の収容容器では、ごく軽量の微小粉末の場合は、円滑に排出させることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−230957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、微小粉末が周囲に飛散することを抑制しつつ、迅速に収容容器から排出させて受け容器の中に投入できる微小粉末の投入方法およびその収容容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため本発明の微小粉末の投入方法は、有底筒状の樹脂製袋体の上端開口縁を外周側に折り返して袋体の底部よりも下方に位置させることにより、この袋体を外周部と内周部との二重構造とし、前記内周部の内側に微小粉末を収容した後に、前記内周部の上端部と前記外周部の上端部とを共に閉口するとともに、前記袋体の底部よりも下方に位置させた上端開口縁を閉口させて、微小粉末を密封した収容容器を形成し、この収容容器を上下反転して吊り下げた状態にして受け容器の上方に移動させ、次いで、この状態で収容容器の下端部に位置している前記閉口した内周部の上端部と外周部の上端部とを開口させることにより、密封した微小粉末を前記受け容器の中に投入することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の微小粉末の収容容器は、有底筒状の樹脂製袋体の上端開口縁が外周側に折り返されて袋体の底部よりも下方に位置して、この袋体が外周部と内周部との二重構造に形成され、前記内周部の内側に収容された微小粉末が、前記内周部の上端部と前記外周部の上端部とが共に閉口されることにより密封され、前記袋体の底部よりも下方に位置している上端開口縁が閉口されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、有底筒状の樹脂製袋体の上端開口縁を外周側に折り返して外周部と内周部との二重構造とし、前記内周部の内側に収容された微小粉末が、前記内周部の上端部と前記外周部の上端部とが共に閉口されることにより密封され、前記袋体の底部よりも下方に位置している上端開口縁が閉口されている構造の収容容器にするので、この収容容器を上下反転して吊り下げた状態にして、受け容器の上方で前記閉口した内周部の上端部と外周部の上端部とを開口させるだけで、内周部と外周部との間で円滑な滑りが生じて、密封収容した微小粉末が袋体の内周部とともに下方移動して、微小粉末が塊状で落下する。そのため、密封した微小粉末が周囲に飛散することを抑制しつつ、迅速に収容容器から排出させて受け容器の中に投入できる。
【0009】
ここで、前記袋体の底部よりも下方に位置している上端開口縁が、その周辺部分とともに輪状体を形成して閉口されていると、この輪状体に吊り具を引っ掛けることができる。そのため、収容容器を上下反転して吊り下げた状態にするには便利である。
【0010】
前記袋体の膜厚が0.05mm以上0.2mm以下であると、袋体の強度を確保しつつ、しわを生じ難くできる。これにより、収容容器を上下反転して吊り下げた状態にして、受け容器の上方で閉口した内周部の上端部と外周部の上端部とを開口させた際に、内周部と外周部との間で円滑な滑りを確保し易くなる。
【0011】
また、前記袋体の内面に静電気防止処理が施されていると、静電気によって生じる微小粉末の袋体への付着が防止できるので、収容容器に密封した微小粉末を迅速に収容容器から排出させるには一段と有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の収容容器を構成する袋体を例示する説明図である。
図2図1の袋体の上端開口縁を外周側に折り返して二重構造の袋体を形成した状態を例示する説明図である。
図3】微小粉末を密封した本発明の収容容器を例示する説明図である。
図4図3の収容容器を上下反転させて受け容器の上方に移動させた状態を例示する説明図である。
図5図4の収容容器に密封した微小粉末を受け容器に投入している状態を例示する説明図である。
図6】微小粉末を投入した後の収容容器を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の微小粉末の投入方法および収容容器を図に示した実施形態に基づいて説明する。
【0014】
図3に例示する本発明の微小粉末の収容容器1(以下、収容容器1という)は、図1に例示する有底筒状の樹脂製の袋体2を構成部材としている。この袋体2は、上端に上端開口縁3を有し、下端が閉じた底部4になっている。袋体2の材質は、例えば、PE、PP、EVA、PVC、LDPE等、種々の樹脂材料を採用することができる。
【0015】
袋体2の大きさは、例えば外径が0.5m〜2.0m程度、容量は10L〜500L程度である。袋体2の膜厚は、例えば0.03mm〜3.0mmであり、0.05mm〜2.0mmが特に好ましい。
【0016】
この収容容器1を形成する際には、まず、袋体2の上端開口縁3を外周側に折り返す。次いで、図2に例示するように折り返した上端開口縁3を袋体2の底部4よりも下方に位置させることにより、この袋体2を外周部2aと内周部2bとの二重構造にする。
【0017】
次いで、内周部2bの内側に微小粉末Pを収容する。微小粉末Pとは、例えば真比重が0.05g/L以上0.20g/L以下であり、粒径が20μm〜60μmの粉末である。具体的な微小粉末Pとしては、有機系微小中空バルーンなどのセル形成樹脂微小粉末やヒュームドシリカを例示できる。セル形成樹脂微小粉末の樹脂材料としてはアクリロニトリル樹脂などが例示できる。有機系微小中空バルーンとしては、単独、或いは、無機フィラーでコーティングされたものがある。無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化ケイ素、タルク、クレー、カーボンブラック等を例示できる。
【0018】
微小粉末Pを内周部2bの内側に収容した後に、図3に例示するように内周部2bの上端部と外周部2aの上端部とを共に閉口する。例えば、これら上端部を共に収束させて、紐状の閉口部材5aによって閉口する。内周部2bの上端部と外周部2aの上端部とに接着剤等を流し込んで、これらを共に閉口することもできる。
【0019】
さらに、袋体2の底部4よりも下方に位置させた上端開口縁3を閉口させて、微小粉末Pを密封した収容容器1を形成する。例えば、上端開口縁3を収束させて、紐状の閉口部材5bによって上端開口縁3を閉口する。接着剤等を流し込んで、この上端開口縁3を閉口することもできる。
【0020】
ここで、袋体2の底部4よりも下方に位置させた上端開口縁3を閉口させる際に、図3に例示するように、上端開口縁3とともにその周辺部分で輪状体3aを形成して閉口することもできる。
【0021】
収容容器1に密封収容した微小粉末Pは、例えば、他の材料と混合するために受け容器7(例えば、混合釜)に投入する。そこで、図4に例示するように、収容容器1を上下反転して吊り下げた状態にして受け容器7の上方に移動させる。収容容器1の下端は受け容器7の上端開口よりも下方に位置させる。
【0022】
例えば、輪状体3aにクレーン等の吊り具6を引っ掛けて収容容器1を上下反転して吊り下げた状態にする。このように輪状体3aを形成しておくと、吊り具6を引っ掛けることができるので収容容器1を上下反転して吊り下げた状態にするには便利である。
【0023】
次いで、この状態で収容容器1の下端部に位置して、先に閉口させた内周部2bの上端部と外周部2aの上端部とを開口させる。この実施形態では、閉口部材5aをほどいて開口させる。
【0024】
この開口作業によって、図5に例示するように、密封している微小粉末Pの全体の質量が内周部2bに作用するようになって、内周部2bを外周部2aに対して円滑に滑らせて、微小粉末Pは内周部2bとともに下方移動する。即ち、微小粉末Pは塊状で落下する。それ故、収容容器1に密封した微小粉末Pは、受け容器7の周囲に飛散することを抑制されつつ、迅速に収容容器1から排出されて受け容器7の中に投入される。微小粉末Pが周囲に飛散しないので、良好な作業環境を確保し易くなる。また、飛散した微小粉末Pを吸引するための吸引装置が不要になる、或いは、吸引装置の吸引性能を落とすことができる。
【0025】
袋体2の膜厚は例えば0.05mm以上0.2mm以下にする。膜厚が0.05mm以上であると、袋体2の取り扱いに支障がない一定水準の強度を確保し易くなる。また、袋体2の膜厚は薄過ぎても厚過ぎてもしわが生じ易くなるので、膜厚を0.05mm以上0.2mm以下にすると、しわが生じ難くなる。袋体2にしわがあると、内周部2bが外周部2aに対して円滑に滑り難くなるため、収容容器1に密封した微小粉末Pを円滑に排出するには、袋体2の膜厚を0.05mm以上0.2mm以下にすると有利である。
【0026】
袋体2の内面には静電気防止処理を施すこともできる。密閉した微小粉末Pは、静電気によって内周部2bに付着することがあるが、静電気防止処理が施されていると、微小粉末Pの袋体2(主に内周部2b)に対する付着を防止できる。この処理を施すことにより、収容容器1に密封した微小粉末Pを迅速に収容容器1から排出させるには一段と有利になる。
【符号の説明】
【0027】
1 収容容器
2 袋体
2a 外周部
2b 内周部
3 上端開口縁
3a 輪状体
4 底部
5a、5b 閉口部材
6 吊り具
7 受け容器
P 微小粉末
図1
図2
図3
図4
図5
図6