(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弁開閉時期制御装置の回転速度が第1設定速度を超えた場合に、前記第1ロック部材が、遠心力によりロック解除位置まで変位するように、前記第1付勢機構の付勢力が設定され、
前記第1ロック部材を前記ロック位置に保持する保持状態と、保持しない自由状態とに切換自在なロック保持機構を備え、
前記制御ユニットは、前記第1ロック位相において前記走行モータの駆動で前記内燃機関を始動する場合には、前記ロック保持機構を自由状態に設定することにより、前記相対回転位相の遅角方向への変位を許し、前記相対回転位相が第2ロック位相に達して前記第2ロック部材が拘束する状態で点火を行う請求項1記載の弁開閉時期制御システム。
前記弁開閉時期制御装置の回転速度が第1設定速度を超えた場合に、前記第1ロック部材が、遠心力によりロック解除位置まで変位するように、前記第1付勢機構の付勢力が設定され、
前記第1ロック部材を前記ロック位置に保持する保持状態と、保持しない自由状態とに設定可能なロック保持機構を備え、
前記制御ユニットは、前記第1ロック位相において前記スタータモータの駆動で前記内燃機関を始動する場合には、前記弁開閉時期制御装置の回転速度が前記第1設定速度より低速且つ点火に必要な回転速度に達するまで前記ロック保持機構を保持状態に設定する請求項1記載の弁開閉時期制御システム。
前記第1ロック部材を前記ロック位置から離脱させるタイミングが、前記スタータモータによる回転速度より高く、前記走行モータでの始動時に点火を行う回転速度より低い回転速度に設定されている請求項3記載の弁開閉時期制御システム。
前記ロック保持機構が、第1ロック部材を前記ロック位置に保持する油圧を作用させるロック保持油路と、このロック保持油路の作動油の給排を行うロック制御弁とを備えて構成され、前記ロック制御弁を、前記ロック保持油路から排油を行わない抑制ポジションに設定することで前記保持状態を作り出し、前記ロック制御弁を、前記ロック保持油路から排油を行う排油ポジションに設定することで前記自由状態を作り出す請求項2又は3記載の弁開閉時期制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ハイブリッド型の車両の制御形態を考えると、バッテリーが充分に充電されている場合にはエンジンを停止させ、バッテリーの放電量が設定値を超えた場合や、走行トルクが不足し、アシストを必要とする場合にエンジンを始動させており、このような制御からエンジンの始動と停止とが頻繁に行われる。
【0008】
また、ハイブリッド型の車両でエンジンを始動する場合には、始動時の振動を抑制する目的から、弁開閉時期制御装置でエンジンの圧縮比を低減する(抑制する)ことも行われている。しかし、圧縮比を低減すると始動性が低下するため、エンジンの回転速度(単位時間あたりの回転数)を高い値(800〜1200rpm程度)まで上昇させた後にエンジンの混合気の点火を行うのが現状である。
【0009】
これに対し、一般のエンジンで始動に適した圧縮比でエンジンの始動を行う場合には、クランクシャフトの回転速度を比較的低い値(100〜300rpm程度)で始動させている。この場合には、クランクシャフトを回転させるスタータモータの消費電力は、それ程大きいものではない。しかし、これとは逆に、上記の如く圧縮比を低減した状態でエンジンを始動する制御では、エンジンの回転速度を、前述したように高い値まで上昇させるためにバッテリーの電力を無駄に消費し、走行距離の短縮に繋がる点において改善の余地がある。
【0010】
本発明の目的は、内燃機関を始動する際に無駄に電力を消費することのないシステムを合理的に構成する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の特徴は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転部材と、弁開閉用のカムシャフトと同軸状で一体回転する従動側回転部材と、前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との間に形成される進角室と遅角室との一方を選択して作動油を供給することにより前記駆動側回転部材と前記従動側回転部材との相対回転位相を進角方向又は遅角方向に変位させる相対回転位相制御機構と、前記相対回転位相を所定の第1ロック位相で拘束するため第1付勢機構でロック位置に付勢される第1ロック部材、及び、前記相対回転位相を前記第1ロック位相より遅角方向となる第2ロック位相で拘束するため第2付勢機構でロック位置に付勢される第2ロック部材とを備えて弁開閉時期制御装置が構成され、走行に用いられる走行モータからの駆動力、又は、前記内燃機関の始動時に用いられるスタータモータからの駆動力により始動するように前記内燃機関が構成され、前記内燃機関の始動時における前記相対回転位相を異ならせて前記内燃機関を始動するため、前記第1ロック位相で前記内燃機関を始動する際に前記スタータモータ又は前記走行モータを駆動し、前記第2ロック位相で前記内燃機関を始動する際に前記走行モータを駆動する制御ユニットを備えている点にある。
【0012】
この構成によると、スタータモータにより内燃機関を始動する際には、弁開閉時期制御装置の相対回転位相が、第2ロック位相での圧縮比より高い圧縮比となる第1ロック位相にある。これにより、比較的低い回転速度で点火を行う内燃機関の始動が可能となる。特に、第1ロック位相と第2ロック位相との何れの位相においても走行モータの駆動力により内燃機関を始動するものと比較すると、走行モータと比較して小容量となるスタータモータを用いるので、始動時に消費される電力の低減が可能となる。
また、第2ロック位相において走行モータで内燃機関を始動する場合には、振動の抑制が可能となる。そして、例えば、第1ロック位相から第2ロック位相に変位が可能な構成を有するものでは、第1ロック位相にあっても走行モータでクランキングを開始して第2ロック位相に変位することにより振動を抑制した始動も実現する。
従って、内燃機関を始動する際に無駄に電力を消費することのない弁開閉時期制御システムが構成された。
【0013】
本発明は、前記弁開閉時期制御装置の回転速度が第1設定速度を超えた場合に、前記第1ロック部材が、遠心力によりロック解除位置まで変位するように、前記第1付勢機構の付勢力が設定され、前記第1ロック部材を前記ロック位置に保持する保持状態と、保持しない自由状態とに切換自在なロック保持機構を備え、前記制御ユニットは、前記第1ロック位相において前記走行モータの駆動で前記内燃機関を始動する場合には、前記ロック保持機構を自由状態に設定することにより、前記相対回転位相の遅角方向への変位を許し、前記相対回転位相が第2ロック位相に達して前記第2ロック部材が拘束する状態で点火を行っても良い。
【0014】
これによると、ロック保持機構を保持状態に設定して走行モータを駆動してクランキングを行った場合には、第1ロック部材が遠心力によりロック解除位置に達し、カムシャフトの反力等により相対回転位相が遅角方向に変位する。これにより相対回転位相が第2ロック位相まで変位した場合には、第2付勢機構の付勢力で第2ロック部材がロック位置に達する。これにより相対回転位相を第2ロック位相に拘束し、振動を抑制した状態でクランキングを継続して点火を行い、結果として内燃機関の始動が実現する。
【0015】
本発明は、前記弁開閉時期制御装置の回転速度が第1設定速度を超えた場合に、前記第1ロック部材が、遠心力によりロック解除位置まで変位するように、前記第1付勢機構の付勢力が設定され、前記第1ロック部材を前記ロック位置に保持する保持状態と、保持しない自由状態とに設定可能なロック保持機構を備え、前記制御ユニットは、前記第1ロック位相において前記スタータモータの駆動で前記内燃機関を始動する場合には、前記弁開閉時期制御装置の回転速度が前記第1設定速度より低速且つ点火に必要な回転速度に達するまで前記ロック保持機構を保持状態に設定しても良い。
【0016】
これによると、ロック保持機構で相対回転位相を第1ロック位相に拘束する状態で、スタータモータの駆動で内燃機関を始動する場合には、始動に適した圧縮比で内燃機関のクランキングが行われる。この後に、点火により内燃機関が始動して回転速度が第1設定速度を超えた場合には、第1ロック機構の第1ロック部材を遠心力によりロック解除位置まで変位させ、相対回転位相を任意に設定できる。
【0017】
本発明は、前記第1ロック部材を前記ロック位置から離脱させるタイミングが、前記スタータモータによる回転速度より高く、前記走行モータでの始動時に点火を行う回転速度より低い回転速度に設定されても良い。
【0018】
これによると、点火により内燃機関の回転速度が増大した後に、第1ロック部材をロック位置から離脱させるため、この離脱の後には相対回転位相を任意に設定することが可能となる。また、走行モータにより点火を行う回転速度より低速にある状態で既に点火が行われているので、バッテリーの電力消費も低減できる。
【0019】
本発明は、前記ロック保持機構が、第1ロック部材を前記ロック位置に保持する油圧を作用させるロック保持油路と、このロック保持油路の作動油の給排を行うロック制御弁とを備えて構成され、前記ロック制御弁を、前記ロック保持油路から排油を行わない抑制ポジションに設定することで前記保持状態を作り出し、前記ロック制御弁を、前記ロック保持油路から排油を行う排油ポジションに設定することで前記自由状態を作り出しても良い。
【0020】
これによると、相対回転位相を第1ロック位相に維持する場合には、ロック制御弁を抑制ポジションに設定することで、ロック保持油路から作動油が排出されず、第1ロック部材をロック位置に保持する。これとは逆に、相対回転位相を第1ロック位相から変位させる場合には、ロック制御弁を排油ポジションに設定することにより、ロック保持油路から作動油が排出され、遠心力の作用により第1ロック部材をロック位置から離脱させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1及び
図2に示すように、内燃機関としてのエンジンEの吸気バルブ1Vの開閉時期を設定する弁開閉時期制御装置10と、エンジンEと、走行モータM1と、スタータモータM2とを備えると共に、これらを制御するエンジン制御ユニット(ECU)40を備えて内燃機関制御システムが構成されている。
【0023】
内燃機関制御システムは、走行モータM1の駆動力で走行を行い、走行トルクが不足した場合にエンジンEの駆動力でアシストを行うハイブリッドシステムを有する車両に備えられている。本発明の内燃機関制御システムは、信号待ち等で停車した際にエンジンEを自動停止させ、走行直前にエンジンEを始動するアイドリングストップ制御が行われる車両に適用しても良い。
【0024】
車両は、エンジンEのクランクシャフト1からの駆動力を走行系に伝える伝動系に前述した走行モータM1を介装しており、この走行モータM1は発電が可能なジェネレータとして機能する。また、エンジンEには、始動専用のスタータモータM2を備えている。
【0025】
エンジン制御ユニット40は、弁開閉時期制御装置10による弁開閉時期を制御すると共に、エンジンEの始動と停止とを制御し、走行モータM1とスタータモータM2とを制御する。
【0026】
エンジンEには、インテークポートあるいは燃焼室に対する燃料の噴射を制御する燃料制御装置5と、点火プラグ(図示せず)による混合気の点火を制御する点火制御装置6とを備えている。エンジンEには、クランクシャフト1の回転角と回転速度(単位時間あたりの回転数)とを検出するシャフトセンサ1Sと、冷却水の水温を検出する水温センサ46とを備えている。具体的な構成は示していないが、弁開閉時期制御装置10には外部ロータ11(駆動側回転部材の一例)と内部ロータ12(従動側回転部材の一例)との相対回転位相を検出する位相検出センサ48を備えている。
【0027】
車両には、走行モータM1とスタータモータM2とに電力を供給するバッテリー(図示せず)を備えており、このバッテリーの電圧からバッテリーの放電量を取得するバッテリーセンサ47を備えている。また、ハイブリッドシステムの起動と停止を行う起動スイッチ45を備えており、シャフトセンサ1Sの検出結果と、起動スイッチ45からの信号と、水温センサ46の検出結果と、バッテリーセンサ47の検出結果と、位相検出センサ48の検出結果とはエンジン制御ユニット40に入力される。
【0028】
エンジン制御ユニット40は、機関制御部41と、位相制御部42と、始動モード設定部43とを備えている。機関制御部41はエンジンEの始動と停止とを制御する。位相制御部42は、エンジンEが稼動する状況で外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転位相を制御することで効率的にエンジンEを稼動させると共に、後述する2種のロック機構を制御する。始動モード設定部43は、機関制御部41でエンジンEを始動する際に後述する2種のロック機構の制御を行う。このエンジン制御ユニット40に関連する制御構成と、制御形態については後述する。
【0029】
〔弁開閉時期制御装置〕
図1及び
図2に示すように、弁開閉時期制御装置10は、エンジンEのクランクシャフト1と同期回転する外部ロータ11と、エンジンEの燃焼室の吸気バルブ1Vを開閉するカムシャフト3に連結ボルト13により連結する内部ロータ12とを備えている。外部ロータ11の軸芯と、内部ロータ12の軸芯とが同軸芯となるように、外部ロータ11の内部に内部ロータ12を嵌め込んでおり、外部ロータ11と内部ロータ12とは回転軸芯Xを中心にして相対回転自在となる。この構成では、回転軸芯Xは、カムシャフト3の回転軸芯であると同時に、外部ロータ11と内部ロータ12との回転軸芯となる。
【0030】
外部ロータ11と内部ロータ12とはフロントプレート14とリヤプレート15とに挟み込まれる位置で、複数の締結ボルト16により締結されている。リヤプレート15の外周にはタイミングスプロケット15Sが形成されている。内部ロータ12の中心部位がリヤプレート15の中央部に形成された開口を貫通する状態で配置され、内部ロータ12のリヤプレート15側の端部に吸気側のカムシャフト3が連結する。
【0031】
外部ロータ11には、回転軸芯Xを基準にして径方向の内側に突出する複数の突出部11Tが一体的に形成されている。内部ロータ12は複数の突出部11Tの突出端に密接する外周面を有する円柱状に形成されている。これにより、回転方向で隣接する突出部11Tの中間位置で、内部ロータ12の外周側に複数の流体圧室Cが形成される。内部ロータ12の外周には、流体圧室Cに向けて突出するように嵌め込まれた仕切部としての複数のベーン17を備えている。流体圧室Cは、ベーン17で仕切られることにより進角室Caと遅角室Cbとが形成される。このベーン17は回転軸芯Xから離間する方向にバネ等で付勢されることにより、突出端が流体圧室Cの内周面に接触する。
【0032】
図1に示すように、内部ロータ12とフロントプレート14とに亘って、外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転位相(以下、相対回転位相と称する)が、最遅角位相から中間ロック位相P1(第1ロック位相の一例)に達するまで付勢力を作用させるトーションスプリング18が備えられている。尚、トーションスプリング18の付勢力が作用する範囲は、中間ロック位相P1を超えるものでも良く、中間ロック位相P1に達しないものであっても良い。
【0033】
エンジンEのクランクシャフト1に設けた出力スプロケット7と、外部ロータ11のタイミングスプロケット15Sとに亘ってタイミングチェーン8が巻回され、これにより外部ロータ11はクランクシャフト1と同期回転する。図面には示していないが、排気側のカムシャフト3の前端にも弁開閉時期制御装置10と同様の構成の装置が備えられており、この装置に対してもタイミングチェーン8から回転力が伝達される。
【0034】
尚、クランクシャフト1が1回転する場合に、カムシャフト3が1/2回転するようにタイミングチェーン8による伝動比が設定されている。これにより、カムシャフト3の回転速度は、クランクシャフト1の回転速度の1/2となる。
【0035】
図2に示すように、弁開閉時期制御装置10は、クランクシャフト1からの駆動力により外部ロータ11が駆動回転方向Sに向けて回転する。また、内部ロータ12が外部ロータ11に対して駆動回転方向Sと同方向を進角方向Saと称し、この逆方向を遅角方向Sbと称する。この弁開閉時期制御装置10では、相対回転位相が進角方向Saに変位する際に変位量の増大に伴い吸気圧縮比を高め、相対回転位相が遅角方向Sbに変位する際に変位量の増大に伴い吸気圧縮比を低減するようにクランクシャフト1とカムシャフト3との関係が設定されている。
【0036】
ベーン17で仕切られた流体圧室Cのうち、作動油が供給されることで相対回転位相を進角方向Saに変位させる空間が進角室Caであり、これとは逆に、作動油が供給されることで相対回転位相を遅角方向Sbに変位させる空間が遅角室Cbである。ベーン17が進角方向Saの作動端(ベーン17の進角方向Saの作動端の近傍の位相を含む)に達した状態での相対回転位相を最進角位相と称し、ベーン17が遅角方向Sbの作動端(ベーン17の遅角方向Sbの作動端の近傍の位相を含む)に達した状態での相対回転位相を最遅角位相と称する。
【0037】
〔弁開閉時期制御装置:ロック機構〕
この弁開閉時期制御装置10は、第1ロック機構としての中間ロック機構L1と、第2ロック機構としての最遅角ロック機構L2との2つのロック機構を備えている。中間ロック機構L1は、外部ロータ11と内部ロータ12との相対回転位相を
図2に示す中間ロック位相P1(第1ロック位相の一例)にロック(拘束)する。最遅角ロック機構L2は、相対回転位相を中間ロック位相P1より遅角方向Sbで
図5に示す最遅角ロック位相P2(第2ロック位相の一例)にロック(拘束)する。
【0038】
中間ロック位相P1は、エンジンEの始動後のアイドリング時にHC排出量を抑制できる相対回転位相であり、エンジンEの温度が外気温まで低下した状態でエンジンEの始動を容易に行わせる相対回転位相でもある。尚、最遅角ロック機構L2は、相対回転位相が中間ロック位相P1より遅角側の位相において相対回転位相をロックする機能を有するものであれば良く、この最遅角ロック機構L2は、最遅角に限らず最遅角近傍の相対回転位相でロックするものでも良い。
【0039】
図2〜
図6に示すように、中間ロック機構L1は、外部ロータ11の突出部11Tに対して出退自在に備えた中間ロック部材31(第1ロック部材の一例)と、これを突出方向に付勢する中間ロックバネ32(第1付勢機構の一例)と、中間ロック部材31が嵌合するように内部ロータ12の外周に形成された中間嵌合凹部33とで構成されている。最遅角ロック機構L2は、外部ロータ11の突出部11Tに対して出退自在に備えた最遅角ロック部材34(第2ロック部材の一例)と、これを突出方向に付勢する最遅角ロックバネ35(第2付勢機構の一例)と、最遅角ロック部材34が嵌合するように内部ロータ12の外周に形成された最遅角嵌合凹部36とで構成されている。
【0040】
この構成により、中間ロック位相P1では、中間ロック部材31が中間ロックバネ32の付勢力により中間嵌合凹部33に嵌合してロック位置に達する。これと同様に、最遅角ロック位相P2では、最遅角ロック部材34が、最遅角ロックバネ35の付勢力により最遅角嵌合凹部36に嵌合してロック位置に達する。
【0041】
特に、中間ロック位相P1にある状態で、クランクシャフト1の回転速度が200rpm程度(カムシャフト3では、100rpm程度)を越えた場合に、遠心力の作用により中間ロック部材31が中間ロックバネ32の付勢力に抗して変位する。この変位により、ロック位置から離脱して
図3に示す如く、ロック解除位置に達するように、中間ロックバネ32の付勢力が設定されている。尚、100rpmとなるカムシャフト3の回転速度が第1設定速度であり、この第1設定速度は、中間ロック部材31がロック位置から離脱してロック解除位置に移行する閾値となる。
【0042】
これとは逆に、最遅角ロック位相P2にある状態で、クランクシャフト1の回転速度が2000rpm程度(カムシャフト3では1000rpm)を越えても、最遅角ロック部材34が最遅角嵌合凹部36に嵌合するロック位置を保持するように、最遅角ロックバネ35の付勢力が設定されている。
【0043】
中間嵌合凹部33には、中間ロック位相P1を基準にして相対回転位相が遅角方向Sbに連なるように、中間嵌合凹部33より浅い溝状となるラチェット用の段差部33Aが形成されている。これにより、相対回転位相が、最遅角ロック位相P2から中間ロック位相P1の方向に変位する場合には、中間ロック部材31の端部が段差部33Aに係入することで相対回転位相の変化を抑制し、この後に、中間ロック部材31が中間嵌合凹部33に嵌り込む状態への移行を行わせることが可能となる。
【0044】
この段差部33Aと同様に、中間嵌合凹部33から進角方向Saに連なるように位置を設定して段差部33Aを形成しても良く、進角方向Saと遅角方向Sbとの夫々の方向に連なるように2箇所の位置に段差部33Aを形成しても良い。
【0045】
中間ロック部材31と最遅角ロック部材34とはプレート状の部材で構成され、これに対応して中間嵌合凹部33と最遅角嵌合凹部36とは、内部ロータ12の外周において回転軸芯Xの方向に沿う溝状に形成されている。尚、中間ロック部材31と最遅角ロック部材34とをピン状やブロック状に構成しても良く、これに対応して中間嵌合凹部33と最遅角嵌合凹部36とを孔状等に形成しても良い。
【0046】
この弁開閉時期制御装置10では、中間ロック部材31と最遅角ロック部材34とは、複数の突出部11Tのうち回転軸芯Xを挟んで対向する位置のものに備えられている。これにより弁開閉時期制御装置10の回転バランスを良好なものにしている。
【0047】
〔弁開閉時期制御装置:流体制御機構〕
図2〜
図6に示すように、内部ロータ12には進角室Caに連通する進角制御油路21と、遅角室Cbに連通する遅角制御油路22とが形成されている。また、内部ロータ12には、中間ロック機構L1の中間ロック部材31をロック位置に保持する油圧を作用させるロック保持油路23が、内部ロータ12から外部ロータ11に亘って形成され、中間ロック機構L1の中間嵌合凹部33の底部にはドレン油路28が接続する。尚、ドレン油路28は、中間ロック部材31の作動時に、中間嵌合凹部33への作動油の給排を許容して円滑な作動を実現する。
【0048】
最遅角ロック機構L2の最遅角嵌合凹部36に作動油を供給してロック(拘束)を解除するように最遅角嵌合凹部36の底部に進角制御油路21が接続しており、この進角制御油路21がロック解除油路として機能する。更に、内部ロータ12の外周には、隣接する進角室Caからの作動油を最遅角嵌合凹部36に供給する供給油路24が形成されている。
【0049】
図1に示すように、エンジンEには、エンジンEの駆動力でオイルパン1Aの潤滑油を吸引して作動油として送り出す油圧ポンプ20を備えている。内燃機関制御システムは、油圧ポンプ20からの作動油を弁開閉時期制御装置10の進角室Caと遅角室Cbとの一方を選択して供給する電磁操作型の位相制御弁26と、油圧ポンプ20からの作動油をロック保持油路23に供給する電磁操作型のロック制御弁27とを備えている。このロック保持油路23とロック制御弁27とで本発明のロック保持機構が構成されている。特に、油圧ポンプ20と、位相制御弁26と、作動油が給排される油路とを併せて相対回転位相制御機構が構成されている。
【0050】
位相制御弁26は、エンジン制御ユニット40からの制御信号により進角ポジションと中間ポジションと中立ポジションとに操作自在に構成されている。具体的な作動形態として、位相制御弁26を進角ポジションに操作すると、油圧ポンプ20からの作動油を進角制御油路21から進角室Caに供給すると共に、遅角室Cbの作動油を遅角制御油路22から排出するため、相対回転位相が進角方向Saに変位する。また、位相制御弁26を遅角ポジションに操作すると、油圧ポンプ20からの作動油を遅角制御油路22から遅角室Cbに供給すると共に、進角室Caの作動油を進角制御油路21から排出するため、相対回転位相が遅角方向Sbに変位する。中立ポジションでは、進角室Caと遅角室Cbのいずれにも作動油は給排されず、相対回転位相が維持される。
【0051】
ロック制御弁27は、ロック保持油路23に作動油を供給するロックポジションと、ロック保持油路23から排油を行う排油ポジションと、ロック保持油路23の排油を抑制する抑制ポジションとに操作自在に構成されている。具体的な作動形態として、ロック制御弁27をロックポジションに操作すると、油圧ポンプ20からの作動油をロック保持油路23に供給し、作動油の油圧により中間ロック機構L1の中間ロック部材31をロック位置に保持する保持状態にする。排油ポジションでは、ロック保持油路23から排油を行うことで中間ロック部材31をロック位置から自由に離脱できる自由状態にする。抑制ポジションではロック保持油路23から作動油の排出を阻止してロック状態を維持する。
【0052】
〔エンジン始動の概要〕
ハイブリッドシステムを備えた車両では、エンジンEの停止と始動とが頻繁に行われる。また、ハイブリッドシステムが起動している状況でバッテリーの充電が充分である場合には、弁開閉時期制御装置10を最遅角ロック位相P2に設定してエンジンEを停止する。これにより、エンジンEの始動時には、相対回転位相を最遅角ロック位相P2にロック(拘束)して走行モータM1でクランキングを行うことにより振動が抑制される。
【0053】
弁開閉時期制御装置10を最遅角ロック位相P2でロックしてエンジンEを始動する場合には、燃焼室の圧縮率が低下し、始動性が悪化するが、エンジンEの水温が設定値以上である場合には始動が可能である。しかしながら、最遅角ロック位相P2でエンジンEを始動する場合には、クランクシャフト1を高速回転させる必要からバッテリーの電力を大きく消費する傾向にある。
【0054】
ハイブリッドシステムを起動させた直後のように、エンジンEの水温が低い場合には、エンジンEを良好に始動する目的から相対回転位相を中間ロック位相P1にロック(拘束)し、スタータモータM2の駆動力により始動を行う。このように中間ロック位相P1でエンジンEを始動するため、ハイブリッドシステムを停止させる場合には、相対回転位相を中間ロック位相P1に設定する。また、中間ロック位相P1でエンジンEを始動する場合には高速回転を必要としないため、スタータモータM2の使用が可能となる。スタータモータM2は走行モータM1と比較して容量が小さく、中間ロック位相P1でエンジンEを始動する場合にはバッテリーの電力消費を抑制できる。
【0055】
また、ハイブリッドシステムを停止してから長時間が経過しない時点でハイブリッドシステムを起動し、エンジンEの水温が設定値以上にある状況でエンジンEを始動させる条件が成立した場合には、振動を抑制した状態でエンジンEを始動させることが望ましい。このような理由から、エンジンEの始動時には、中間ロック位相P1のロックを解除し、最遅角ロック位相P2に移行した後に点火を行い、エンジンEを始動させるように、中間ロック機構L1が構成されている。尚、エンジンEを始動させる始動条件とはバッテリーが設定値以上放電したことを検出した場合や、走行トルクが不足しアシストを必要とする状況に達した場合を指す。
【0056】
〔制御構成・制御形態〕
図1に示すように、エンジン制御ユニット40には、シャフトセンサ1Sと、起動スイッチ45と、水温センサ46と、バッテリーセンサ47と、位相検出センサ48とからの信号が入力する。また、エンジン制御ユニット40は、走行モータM1と、スタータモータM2と、燃料制御装置5と、点火制御装置6の夫々を制御する信号を出力すると共に、位相制御弁26とロック制御弁27とに対して制御信号を出力する。
【0057】
起動スイッチ45は、ON操作によりハイブリッドシステムを起動させ、OFF操作によりハイブリッドシステムを停止させる。前述したように走行モータM1はジェネレータとしても機能するものであり、ハイブリッドシステムは、バッテリーの放電量が設定値を超えた場合には、エンジンEを始動させてバッテリーの充電を行う。また、走行モータM1のトルクが不足する場合にもエンジンEを始動させ駆動力を走行系に伝えるアシストを行うように基本的な制御形態が設定されている。
【0058】
特に、ハイブリッドシステムが起動している状況(起動スイッチ45がON状態)でエンジン制御ユニット40がエンジンEを停止させる場合には、相対回転位相を最遅角ロック位相P2に設定する制御が行われる。また、起動スイッチ45がOFF操作された場合には、相対回転位相を中間ロック位相P1に設定する。
【0059】
具体的な制御形態として、起動スイッチ45がOFF操作された時点でエンジンEが稼動している場合には、エンジン制御ユニット40の位相制御部42が油圧ポンプ20の作動油を利用する。そして、ロック制御弁27の制御により中間ロック部材31に対してロック保持油路23からの油圧を作用させる状態で、位相制御弁26を制御して相対回転位相を中間ロック位相P1の方向に変位させ、中間ロック位相P1に達して時点で中間ロック部材31を中間嵌合凹部33に嵌合させ、この後に、エンジンEを停止する。
【0060】
尚、起動スイッチ45がOFF操作された時点でエンジンEが停止している場合には、エンジンEを一時だけ始動させることや、走行モータM1からの駆動力を利用することで油圧ポンプ20を一時的に機能させ、前述と同様の制御を行うことで相対回転位相を中間ロック位相P1まで変位させ、中間ロック部材31を中間嵌合凹部33に嵌合させる。
【0061】
〔エンジンの始動時の制御〕
始動モード設定部43は、エンジンEの水温が設定値未満である場合には、相対回転位相を中間ロック位相P1に保持してスタータモータM2でエンジンEを始動する。これとは逆に、エンジンEの水温が設定値以上である場合には、相対回転位相を最遅角ロック位相P2に保持して走行モータM1でエンジンEを始動する。このように始動モード設定部43の基本的な制御形態が設定され、この始動モード設定部43による制御形態の概要を
図7のフローチャートに示している。
【0062】
エンジンEの始動条件が成立した場合には、水温センサ46で水温を取得し、取得した水温が設定値未満である場合には、ロック制御弁27を抑制ポジションに設定してスタータモータM2を駆動する(#01〜#04ステップ)。
【0063】
つまり、水温が設定値未満である状況は、ハイブリッドシステムが起動した後の最初のエンジンEの始動であり、弁開閉時期制御装置10は
図2に示す如く、中間ロック位相P1にある。また、エンジンEの始動時に油圧ポンプ20で作動油を供給できないため、作動油の油圧を利用してロック状態を保持することが不能である。従って、ロック制御弁27を抑制ポジションに設定することでロック保持油路23のオイルは排出されず、これにより、弁開閉時期制御装置10が回転軸芯Xを中心に回転して中間ロック部材31に遠心力が作用する状況でも中間ロック部材31はロック位置に保持され、相対回転位相は中間ロック位相P1に保持される。
【0064】
スタータモータM2の駆動の継続によりクランクシャフト1の回転速度が増大し、シャフトセンサ1Sで検出される回転速度が100rpmに達した時点で、燃料制御装置5が燃焼室に燃料供給を開始し、点火制御装置6が点火プラグに電力を供給して点火を行う(#05ステップ)。これによりエンジンEが始動し、クランクシャフト1の回転速度は更に増大する。
【0065】
この実施形態では、100rpmが、中間ロック位相P1でのエンジンEの始動時において点火に必要な回転速度の具体的な数値である。この100rpmとなる回転速度は、遠心力により中間ロック部材31がロック位置から離脱してロック解除位置に移行する閾値となる回転速度(弁開閉時期制御装置10の回転速度では200rpm)より低速度に設定されている。
【0066】
次に、シャフトセンサ1Sで検出されるクランクシャフト1の回転速度が100rpmを越えて所定値まで増速したことを確認した後に、ロック制御弁27を排油ポジションに設定することでロック保持油路23の作動油を排出し、中間ロック部材31の遠心力によるロック解除位置への離脱を許容して、ロック解除が行われる(#06ステップ)。
【0067】
また、中間ロック部材31をロック位置からロック解除位置に離脱させるタイミングとしては、エンジンEの回転速度がスタータモータM2の最高回転速度より高い回転速度であり、走行モータM1の最高回転速度より低い回転速度に設定されている。
【0068】
これとは逆に、エンジンEの始動条件が成立した場合に、水温センサ46で取得される水温が設定値以上である場合には、ロック制御弁27を排油ポジションに設定して走行モータM1を駆動する(#02、#07、#08ステップ)。
【0069】
つまり、ハイブリッドシステムが起動する状況でエンジンEが始動した後に、エンジンEが停止する場合には、水温が設定値以上にあり、弁開閉時期制御装置10は、
図5に示す如く、最遅角ロック位相P2にある。従って、最遅角ロック機構L2により相対回転位相を最遅角ロック位相P2に保持した状態で、走行モータM1の駆動力によりエンジンEを始動する制御が行われる。
【0070】
しかしながら、ハイブリッドシステムの停止から長時間が経過しない時点で、ハイブリッドシステムを再び起動した場合には、エンジンEの始動条件が成立したタイミングで、水温が設定値以上にあり、弁開閉時期制御装置10は
図2に示す如く、中間ロック位相P1にある。
【0071】
このような状況でも、ロック制御弁27を排油ポジションに設定して走行モータM1を駆動することにより、
図3に示す如く、遠心力で中間ロックバネ32の付勢力に抗して中間ロック部材31をロック位置から離間させ、ロック解除位置に移行させる作動を実現している。
【0072】
このロック解除後には、カムシャフト3からの反力により、相対回転位相を遅角方向に変位する現象を利用して、
図4に示す如く相対回転位相を遅角方向に変位させる。この相対回転位相が最遅角ロック位相P2に達したタイミングで、最遅角ロックバネ35の付勢力により最遅角ロック部材34が最遅角嵌合凹部36に嵌り込み、
図5に示す如く最遅角ロック機構L2をロック状態に移行する。
【0073】
そして、相対回転位相を最遅角ロック位相P2に保持した状態で、クランクシャフト1の回転速度が増大し、シャフトセンサ1Sで検出されるクランクシャフト1の回転速度が1000rpmに達した時点で、燃料制御装置5が燃焼室に燃料を供給し、点火制御装置6が点火プラグに電力を供給して点火を行う(#09ステップ)。
【0074】
次に、進角作動が必要な運転条件時に、位相制御弁26の制御により進角室Caに作動油を供給する作動を行う。これにより、最遅角嵌合凹部36の底部に接続する進角制御油路21からの作動油の油圧により最遅角ロック部材34をロック解除位置まで変位させて最遅角ロック機構L2のロック解除が行われ、相対回転位相が進角方向Saに変位する(#10ステップ)。
【0075】
つまり、水温が設定値以上である状況でエンジンEを始動させる際に、相対回転位相が最遅角ロック位相P2にある場合には、このロック状態を保持した状態でエンジンEの始動を行う。これとは逆に、水温が設定値以上である状況で相対回転位相が中間ロック位相P1にある場合には、中間ロック機構L1のロックを解除して相対回転位相を最遅角ロック位相P2まで変位させてエンジンEの始動を行うのである。
【0076】
このようにエンジンEが始動した後には、位相制御弁26の制御により進角室Ca又は遅角室Cbに作動油を供給することにより、
図6に示す如く、相対回転位相を任意に設定して効率的にエンジンEを稼動させることが可能となる。
【0077】
〔実施形態の作用・効果〕
このような構成から、エンジンEの水温が設定値未満である場合には、中間ロック機構L1により相対回転位相を中間ロック位相P1に保持した状態で、スタータモータM2の駆動力で始動を行うことで、電力を無駄に消費しないエンジンEの始動を実現する。
【0078】
また、エンジンEの水温が設定値以上である場合に、相対回転位相が最遅角ロック位相P2に保持されている場合には、走行モータM1の駆動力を用いることで振動を抑制した状態でのエンジンEの始動を実現する。
【0079】
特に、エンジンEの水温が設定値以上である場合でも、相対回転位相が中間ロック位相P1にある場合には、ロック制御弁27を排油ポジションに設定して走行モータM1を駆動することでロック保持油路23から作動油が排出され、遠心力により中間ロック部材31が中間ロックバネ32の付勢力に抗してロック位置から離間する。次に、カムシャフト3からの反力により、相対回転位相が遅角方向に変位する現象を利用して、相対回転位相が遅角方向に変位させる。この相対回転位相が最遅角ロック位相P2に達したタイミングで、最遅角ロックバネ35の付勢力により最遅角ロック部材34が最遅角嵌合凹部36に嵌り込み、最遅角ロック機構L2によるロック状態に移行する。これにより最遅角ロック位相P2でエンジンEを始動できる。
【0080】
つまり、エンジンEの水温が設定値以上である場合には、ロック制御弁27を抑制ポジションに設定して、スタータモータM2を駆動することで、中間ロック位相P1でのエンジンEの始動が実現する。また、エンジンEの水温が設定値未満である場合には、ロック制御弁27を排油ポジションに設定して走行モータM1を駆動することにより、弁開閉時期制御装置10が何れのロック状態にあっても、最遅角ロック位相P2においてエンジンEの始動を行えるのである。
【0081】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い。
【0082】
(a)エンジンEが停止する状態においても作動油を供給するためのアキュムレータを備えることや、電動モータで駆動される油圧ポンプを備え、これらからの作動油を中間ロック部材31がロック位置から離脱する変位を抑制する方向に作用させるように、ロック保持機構を構成する。
【0083】
(b)中間ロック部材31がロック位置から離脱する変位を抑制する保持位置と、ロック位置から離脱する方向への変位を許容する自由移動位置とに切換自在な電磁式の作動部材を供えてロック保持機構を構成する。
【0084】
(c)エンジンE(内燃機関)の温度を検出するために作動油の油温を検出する油温センサを備え、始動モード設定部43は、油温センサの検出結果に基づいてエンジンEの始動のモードを設定するように制御形態を設定する。また、本発明では、水温センサ46と油温センサとの検出結果に基づいてエンジンEの始動モードを設定するように制御形態を設定しても良い。
【0085】
(c)実施形態でも説明したように、アイドリングストップを行う車両に本発明の構成を適用しても良い。
【0086】
(d)第1ロック位相は、図面に示される中間ロック位相P1に限るものではなく、任意の位相に設定して良い。また、第2ロック位相は図面に示される最遅角ロック位相P2に限るものではなく、第1ロック位相より遅角側の任意の位相に設定して良い。