(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の戸挟み検知システムにおいては画像の解像度の制約により、ドアに挟まれた異物が小さいと戸挟みを検出できないことがあった。画像の解像度を高くすることによって、より小さな異物の検出をすることはできるが、画像の解像度を高くすると画像処理量が増大する。したがって、従来の戸挟み検知に用いていた画像領域を高い解像度で解析すると、画像の解析に長時間を要したり、高い画像処理能力を有するプロセッサを使用したりしなければならないという問題があった。
【0005】
解析する画像の領域を小さくすることによって、画像処理量を低減することができる。しかし、列車が停車する位置は列車によってばらつきがあるので、画像処理の対象とする画像領域を予め固定しておくと、列車の停止位置によっては、戸挟みを検出できない場合が生じる。
【0006】
列車のドアの位置を検出して、検出したドアの位置に基づいて画像解析を行う領域を選択するという方法も考えられる。しかし、撮影装置とドアとの間に多数の乗客がいる場合にはドアの位置を検出することができないため、画像解析を行う領域を適切に選択できない場合も生じていた。
【0007】
そこで、本発明はこれらの点を鑑みてなされたものであり、混雑している状況であっても列車のドアの位置を高い精度で検出することができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によれば、駅に停車中の列車のドアを含むドア周辺画像を撮影する撮影部を有する複数の撮影装置と、複数の撮影装置との間でデータを送受信する送受信部を有するデータ管理装置とを備える監視システムを提供する。上記の監視システムは、ドア周辺画像におけるドアの基準位置を記憶する基準位置記憶部と、ドア周辺画像におけるドア画像を検出するドア画像検出部と、ドア画像検出部が検出したドア画像に基づいてドアの位置を特定するドア位置特定部と、ドア周辺画像におけるドア画像の位置と基準位置との差に基づいて補正情報を生成する補正情報生成部とを有する。
【0009】
上記のドア位置特定部は、ドア画像検出部がドア画像を検出できないとき、他のドアに対応するドア周辺画像に基づいて生成された補正情報と基準位置とを用いてドアの位置を特定する。ドア位置特定部は、ドア画像検出部がドア画像を検出できないとき、他の車両のドアに対応するドア周辺画像に基づいて生成された補正情報と基準位置とを用いてドアの位置を特定してもよい。
【0010】
一例として、上記の補正情報生成部は、複数のドア周辺画像に対応する複数のドア画像の位置と複数の基準位置とに基づいて生成した複数の補正情報の平均値を示す平均補正情報を生成してもよい。ドア位置特定部は、ドア画像検出部がドア画像を検出できないとき、平均補正情報と基準位置とを用いてドアの位置を特定する。
【0011】
上記の監視システムは、ドア周辺画像の所定領域の画像を解析する画像解析部をさらに有してもよい。ドア位置特定部が、他の車両のドアに対応するドア周辺画像に基づいて生成された補正情報を用いてドアの位置を特定したとき、画像解析部は、補正情報を用いることなくドアの位置が特定されたときよりも広い領域の画像を解析してもよい。
【0012】
本発明の第2の態様においては、駅に停車中の列車のドアを含むドア周辺画像を撮影する撮影部を有する複数の撮影装置と、複数の撮影装置との間でデータを送受信する送受信部を有するデータ管理装置とを備える監視システムであって、ドア周辺画像におけるドアの基準位置を記憶する基準位置記憶部と、ドア周辺画像におけるドア画像を検出するドア画像検出部と、ドア画像に基づいて選択されたドア周辺画像内の所定領域の画像を解析する画像解析部と、ドア周辺画像におけるドア画像の位置と基準位置との差に基づいて補正情報を生成する補正情報生成部とを有する監視システムを提供する。上記の画像解析部は、ドア画像検出部がドア画像を検出できないとき、他の車両のドアに対応するドア周辺画像を用いて生成された補正情報に基づいて上記の所定領域よりも広い領域の画像を選択するとともに、選択した画像領域を解析する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、列車のドア付近が混雑している状況であっても列車のドアの位置を高い精度で検出することができる監視システムを提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
[監視システムの基本構成]
図1は、第1の実施形態の監視システム10の構成の概要を示す。
図2は、第1の実施形態の監視システム10の使用態様の一例を示す。
図3は、監視システム10を構成する撮影装置100の駅のプラットホームにおける設置例を示す。
【0016】
監視システム10は、例えばデイジーチェーン接続された複数の撮影装置100(撮影装置100−1、撮影装置100−2、・・・、撮影装置100−n、ただしnは3以上の自然数)と、複数の撮影装置100に接続されたデータ管理装置200とを備える。データ管理装置200は、例えばサーバである。複数の撮影装置100とデータ管理装置200との間は、通信線50により接続されている。通信線50は、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)用の8芯ケーブルである。
【0017】
監視システム10は、データ管理装置200と撮影装置100−1との間にハブ300を備えてもよい。それぞれの撮影装置100は、ハブ300を介してデータ管理装置200に接続してもよい。監視システム10は、ハブ300に接続された複数の撮影装置100の群を複数備えてもよい。監視システム10は、撮影装置100が撮影した画像を表示するモニタ400を備えてもよい。
【0018】
複数の撮影装置100の各々は、駅に停車中の列車のドアを含むドア周辺画像を撮影する。
図2及び
図3に示すように、撮影装置100は、駅のプラットホームの上部に取り付けられている。したがって、それぞれの撮影装置100は、駅に停車中の列車のドア画像及びその周辺の画像を俯瞰的に撮影することができる。ドア周辺画像には、列車を待つ乗客やプラットホームの様子、及び、ドアの周辺の車両の一部を撮影した画像が含まれてもよい。
図2において示したモニタ400においては、駅に停車中の列車のドア及びドア周辺の乗降客を含むドア周辺画像が表示されている。
【0019】
[監視システム10を構成する撮影装置100及びデータ管理装置200の構成例]
図4は、第1の実施形態の撮影装置100及びデータ管理装置200の構成例を示す。
図5A及び
図5Bは、第1の実施形態の撮影装置100で撮影されたドア周辺画像の一例を示す。
図5Aは、列車が正規の停車位置に停車した場合のドア周辺画像を示し、
図5Bは、列車が正規の停車位置よりも前の位置に停車した場合のドア周辺画像を示す。
【0020】
図4における撮影装置100は、撮影部110及び送受信部120を有する。データ管理装置200は、送受信部210、基準位置記憶部220、ドア画像検出部230、ドア位置特定部240、補正情報生成部250及び画像解析部260を有する。
【0021】
撮影部110は、駅に停車中の列車のドアを含むドア周辺画像を撮影する。例えば、撮影部110は、レンズ及びCCD(電荷結合素子)を有する。撮影部110は、CCDから出力される信号をアナログ/デジタル変換してドア周辺画像を生成し、送受信部120に入力してもよい。
【0022】
撮影装置100は、複数のレンズにより複数の異なる方向から列車のドアを撮影するステレオカメラであることが好ましい。撮影装置100の撮影部110が複数のレンズを有することにより立体的なドア周辺画像を撮影できるので、画像解析部260は高い精度で画像を解析することができる。
【0023】
送受信部120は、撮影部110が撮影した画像データをデータ管理装置200に送信するとともに、データ管理装置200から各種の情報を受信する。送受信部120は、デイジーチェーン接続された他の撮影装置100との間でデータを送受信してもよい。例えば、撮影装置100−2の送受信部120は、隣接する撮影装置100−3の送受信部120からドア周辺画像を受信するとともに、撮影装置100−1の送受信部120を介してデータ管理装置200に送信する。
【0024】
データ管理装置200の送受信部210は複数の撮影装置100との間でデータを送受信する。例えば、送受信部210は複数の撮影装置100が撮影したドア周辺画像を受信するとともに、データ管理装置200において生成された情報を複数の撮影装置100に送信する。データ管理装置200は、受信したドア周辺画像と当該ドア周辺画像を撮影した撮影装置100とを対応づけてメモリに記憶してもよい。
【0025】
基準位置記憶部220は、撮影装置100が撮影したドア周辺画像におけるドアの基準位置を記憶する。ドアの基準位置とは、列車が正規の位置に停車した場合の、撮影部110が撮影するドア周辺画像におけるドアの所定部位の位置である。例えば、
図5Aに示すように、基準位置記憶部220は、列車が正規の位置に停車した状態において2枚のドアが接する部位の位置を基準位置として記憶する。基準位置記憶部220は、列車が正規の位置に停車した場合におけるドアの中心位置を基準位置として記憶してもよい。
【0026】
例えば、基準位置記憶部220は、撮影装置100を設置した管理者により入力された基準位置を示す情報を記憶する。基準位置記憶部220は、列車が正規の位置に停車しているときに撮影されたドア画像における所定の部位を検出し、検出した所定の部位の位置を基準位置として記憶してもよい。基準位置は、撮影装置100が設置される位置と当該撮影装置100が撮影するドアの正規の位置との関係によって定まる。そこで、基準位置記憶部220は、複数の撮影装置100のそれぞれに対応づけて、ドアの基準位置を記憶する。
【0027】
ドア画像検出部230は、撮影部110が撮影したドア周辺画像におけるドア画像を検出する。一例として、ドア画像検出部230は、列車が駅に到着してからドアが閉まるまでの間にドア画像を検出する。
図5A及び
図5Bにおける鎖線で囲った部分は、ドア画像検出部230が検出するドア画像の一例である。例えば、ドア画像検出部230は、撮影部110が撮影したドア周辺画像内の領域のうち、予めメモリに記憶しているドアの基準画像との間の相関値が所定値よりも大きい領域の画像をドア画像として検出する。
【0028】
ドア位置特定部240は、ドア画像検出部230が検出したドア画像に基づいて、ドアの位置を特定する。例えば、ドア位置特定部240は、ドア周辺画像の水平方向(X軸方向)におけるドアの所定部位の基準位置に対する位置をドアの位置と特定する。
図5Bに示す例の場合、ドア位置特定部240は、2枚のドアが接する位置をドア位置と特定する。例えば、ドア位置特定部240は、ドア画像検出部230が検出した2枚のドアが接する位置が基準位置から250mmだけ左に位置している場合、ドア位置特定部240はドアの位置を「X=−250」であると特定する。
【0029】
ドア位置特定部240がドアの位置を特定すると、画像解析部260が、ドア位置特定部240が特定したドア位置に基づいて、ドア周辺画像の所定領域の画像を解析する。例えば、画像解析部260は、ドア位置特定部240が特定した2枚のドアが接する位置の周辺領域の画像を解析することにより、2枚のドアに挟まれた異物を検知することができる。画像解析部260が解析する画像領域の選択方法及び画像解析方法については後述する。
【0030】
補正情報生成部250は、撮影部110が撮影したドア周辺画像におけるドア画像の位置と基準位置との差に基づいて補正情報を生成する。具体的には、補正情報生成部250は、ドア位置特定部240が特定したドア位置と基準位置記憶部220が記憶している基準位置との差を算出することにより、補正情報を生成する。補正情報は、ドア画像検出部230がドア画像を検出できなかった他の撮影装置100のドア周辺画像においてドア位置を特定させるために用いられる。他の撮影装置100は、基準位置と補正情報とに基づいて、ドア位置を特定することができる。
【0031】
図5に示す例において、補正情報生成部250は、X軸方向における基準位置とドア位置との差を補正情報として生成する。補正情報生成部250は、基準位置とドア位置との間の画素数を補正情報としてもよく、基準位置とドア位置との間の距離を補正情報としてもよい。例えば、幅10mの領域が撮影されたドア周辺画像の画素数が1920画素×1200画素である場合に、ドア位置が基準位置から250mmだけ左に位置していると、基準位置とドア位置との間の画素数は48である。そこで、補正情報生成部250は、補正情報を「−250」としてもよく、「−48」としてもよい。
【0032】
駅のプラットホームが乗降客で混雑しているときには、ドア画像検出部230がドア画像を検出できない場合がある。そこで、ドア位置特定部240は、ドア画像検出部230がドア画像を検出できないとき、他のドアに対応するドア周辺画像に基づいて補正情報生成部250が生成した補正情報と基準位置とを用いてドアの位置を特定する。
【0033】
具体的には、ドア画像検出部230がドア画像を検出できない場合、ドア位置特定部240は、例えば隣のドアに対応するドア周辺画像に基づいて補正情報生成部250が生成した補正情報を取得する。ドア位置特定部240は、補正情報生成部250から取得した隣のドアに対応する補正情報を基準位置に対応する座標情報に加算することによりドア位置を特定する。例えば、基準位置のX軸方向の座標が0であり、補正情報が「−250」である場合に、ドア位置特定部240は、ドア位置を「−250」の位置であるとする。
【0034】
駅のプラットホームにおいては、階段やエスカレータなどの出入口に近い車両に乗降客が集中して混雑する場合がある。このような場合には、ドア画像を検出することができなかった撮影装置100の隣の撮影装置100においてもドア画像を検出できないことがある。そこで、ドア位置特定部240は、ドア画像検出部230がドア画像を検出できないときに、他の車両のドアに対応するドア周辺画像に基づいて生成された補正情報と基準位置とを用いてドアの位置を特定してもよい。ドア位置特定部240は、同じ車両の他の撮影装置100で撮影されたドア周辺画像においてドア画像を検出できない場合に、他の車両の撮影装置100で撮影されたドア周辺画像に基づいて生成された補正情報を用いてもよい。
【0035】
ところが、車両間には連結部があるので、車両が停止する正規の位置と実際の車両の停車位置との差は、車両ごとにばらつきが生じる。したがって、補正情報生成部250が生成する補正情報は車両ごとに異なる値になることが考えられる。
【0036】
そこで、補正情報生成部250は、複数のドア周辺画像に対応する複数のドア画像の位置と複数の基準位置とに基づいて生成した複数の補正情報の平均値を示す平均補正情報を生成してもよい。ドア位置特定部240は、ドア画像検出部230がドア画像を検出できないとき、補正情報生成部250が生成した平均補正情報と基準位置記憶部220が記憶する基準位置とを用いてドアの位置を特定する。ドア画像検出部230が平均補正情報に基づいてドア位置を特定することにより、他の車両のドア周辺画像に基づいて生成された補正情報に含まれる誤差の影響を小さくすることができる。
【0037】
[ドア周辺画像の解析方法]
一例として、画像解析部260は、正常状態の基準ドア画像とドアが閉まった後にドア画像検出部230が検出したドア画像とを比較し、検出されたドア画像と基準ドア画像との間の相関値が所定値を超える場合に異常と判断する。画像解析部260は、列車が到着してドアが開く前のドア画像とドアが閉まった後のドア画像とを比較してもよい。
【0038】
画像解析部260は、ドア位置特定部240が特定したドア位置を用いることにより、画像を解析すべき位置の近傍の画像を選択的に解析することができる。例えば、画像解析部260は、ドア位置特定部240が特定した2枚のドアが接する位置を中心として、戸挟みの発生を検出すべき幅(例えばX軸方向における左右5cm)の画像を解析する。このように、画像解析部260が解析すべき位置の近傍の画像を選択的に解析することにより、高い解像度の画像を短時間で解析することができる。
【0039】
画像解析部260は、補正情報生成部250が補正情報の生成に用いたドア周辺画像よりも高い解像度の画像を用いて画像を解析してもよい。例えば、撮影部110は、画像解析部260が解析する領域をズームアップして撮影し、画像解析部260はズームアップして撮影された高解像度の画像を解析する。一例として、撮影部110が幅1.2m、高さ1.92mの領域を撮影して1920画素×1200画素のドア周辺画像を生成した場合、1画素あたりの長さは1.0mmである。したがって、画像解析部260は、約1mmの大きさの物体が戸に挟まれたことを検出することができる。
【0040】
ドア位置特定部240が、他の車両のドアに対応するドア周辺画像に基づいて生成された補正情報を用いてドアの位置を特定した場合には、特定したドア位置の精度が、ドア画像検出部230が検出したドア画像に基づいて特定したドア位置の精度よりも低い。そこで、ドア位置特定部240が他の車両のドアに対応するドア周辺画像に基づいて生成された補正情報を用いてドアの位置を特定したとき、画像解析部260は、補正情報を用いることなくドアの位置を特定したときよりも広い領域の画像を解析してもよい。このようにすることで、補正情報に含まれる誤差の影響により、画像を解析すべき領域を画像解析部260が解析しないという状況の発生を防ぐことができる。
【0041】
画像解析部260が所定領域の画像を解析して戸挟みなどの問題を検知すると、データ管理装置200は、問題が発生しているドアに対応するドア周辺画像を撮影した撮影装置100に、問題の発生を知らせる情報を送信してもよい。撮影装置100は、問題の発生を知らせる情報を送受信部120で受信すると、警告音を発したり警告ランプを点灯させたりして周囲の乗客や駅員に知らせてもよい。さらに、データ管理装置200は、予め設定された通信端末に問題の発生を知らせる情報を送信してもよい。
【0042】
[第1実施形態の効果]
以上の通り、第1の実施形態の監視システム10においては、ドア画像検出部230においてドア画像を検出できない場合でも、他のドアに対応するドア周辺画像に基づいて生成された補正情報を使用することで、ドアの位置を特定することができる。
【0043】
ドア位置特定部240によって正確なドア位置を特定できることにより、例えば、戸挟み等の検出に有効なドア画像の領域を高い精度で選択し、選択した領域に対して高解像度で画像解析をすることができる。その結果、監視システム10においては、画像解析の演算量を抑制しつつ、短時間で高精度の画像解析が可能になる。
【0044】
<第2の実施形態>
[ドアの位置を特定しないでドア付近の画像を解析する方法]
図6は、第2の実施形態における監視システム10の構成例を示す。
図6は、ドア位置特定部240を有しない点で
図4に示した監視システム10と異なり、その他の点では同じである。
【0045】
第1の実施形態に係る監視システム10においては、ドア位置特定部240がドア周辺画像におけるドアの位置を特定した後に、画像解析部260が、ドアの位置に基づいて選択した領域の画像を解析した。しかし、画像解析に求められる解像度によっては、ドアの位置を特定することなく画像を解析してもよい。
【0046】
具体的には、画像解析部260は、ドア画像検出部230が検出したドア画像に基づいて選択されたドア周辺画像内の所定領域の画像を解析する。例えば、画像解析部260は、ドア画像検出部230が検出したドア画像の面積に応じた面積の領域の画像を解析する。
【0047】
画像解析部260は、ドア周辺画像におけるドアの所定部位の位置に対して、ドア画像検出部230が検出したドア画像より所定の面積だけ大きな面積の領域の画像を解析してもよい。画像解析部260は、ドア画像よりも大きな領域の画像を解析することにより、ドア付近で生じた問題を検知することができる。例えば、画像解析部260は、ドア画像よりも下の領域を含む画像領域を解析することにより、駅のプラットホームと列車のドアとの間にある隙間に落下した人を検知することができる。画像解析部260は、ドア画像に基づいて選択した所定領域内にいる乗降客の人数を計測してもよい。
【0048】
画像解析部260は、ドア画像検出部230がドア画像を検出できないとき、他のドアに対応するドア周辺画像を用いて生成された補正情報に基づいて、解析する対象とする画像領域を補正してもよい。例えば、画像解析部260は、補正情報が列車の停止位置にずれがあることを示している場合には、列車の停止位置にずれがない場合に比べて、解析する画像領域を大きくする。
【0049】
画像解析部260は、ドア画像検出部230がドア画像を検出できないとき、他の車両のドアに対応するドア周辺画像を用いて生成された補正情報に基づいて、補正情報を用いない場合よりも広い領域の画像を解析してもよい。画像解析部260は、他の車両のドアに対応するドア周辺画像を用いて生成された補正情報に基づいて選択する画像領域を、同じ車両の他のドアに対応するドア周辺画像を用いて生成された補正情報に基づいて選択する画像領域より大きくしてもよい。
【0050】
このように、画像解析部260は、画像領域の補正に用いる補正情報が生成された撮影装置100の位置に応じて、解析する対象とする画像領域を補正することにより、補正情報の精度が十分に高い場合にはできるだけ小さな画像領域を解析するとともに、補正情報の精度が低い場合には、画像解析の目的を達成できる程度に大きな画像領域を解析することができる。
【0051】
[第2の実施形態の効果]
以上の通り、本実施形態に係る監視システム10は、ドア位置を特定することなく、ドア画像検出部230が検出したドア画像に基づいて選択された所定領域の画像を解析することができる。そして、ドア画像検出部230がドア位置を検出できない場合でも、補正情報生成部250が生成した他のドアに対応する補正情報を使用することにより、列車の停止位置のずれに基づいて補正された領域の画像を解析することができる。
【0052】
<第3の実施形態>
[補正精度を算出する方法]
監視システム10は、補正情報生成部250が生成する補正情報の精度を算出する補正精度算出部をさらに有してもよい。画像解析部260は、補正精度算出部が算出した補正精度に基づいて画像解析範囲を決定してもよい。
【0053】
一例として、補正精度算出部は、平均補正情報を生成した撮影装置100の台数に基づいて補正精度を算出する。具体的には、補正精度算出部は、補正情報の生成に用いた撮影装置100の台数が多ければ多いほど、高い補正精度とする。画像解析部260は、補正精度が高い場合に、補正精度が低い場合よりも狭い領域の画像を解析する。
【0054】
補正精度算出部は、補正情報の生成に用いた撮影装置100と当該補正情報が用いられる撮影装置100との間の距離に基づいて、補正精度を算出してもよい。例えば、補正精度算出部は、補正情報を生成した撮影装置100と当該補正情報が用いられる撮影装置100との間の距離が大きければ大きいほど、補正の精度が低いと判断する。
【0055】
以上の通り、画像解析部260が、補正情報の精度に基づいて解析する画像の領域を選択することにより、補正情報の精度が十分に高い場合には、画像を解析する領域を小さくすることができる。したがって、画像解析部260は、演算量を抑制しつつ高い解像度で画像を解析することができる。
【0056】
<第4の実施形態>
[ドア開閉ランプを基準位置として使用する]
上記の実施形態において、ドア画像検出部230はドア自体の画像を検出していた。しかし、ドア画像検出部230は、ドア周辺画像に含まれるドア以外の特徴物の画像をドア画像として検出してもよい。例えば、ドア画像検出部230が、ドアの近傍に設けられているドア開閉ランプの画像をドア画像として検出することによっても、上記の実施形態と同等の作用効果を得られる。
【0057】
ドア位置特定部240は、ドア画像として検出されたドア開閉ランプの画像、及び、予め記憶したドアの開閉ランプとドアとの位置関係に基づいて、ドアの位置を特定する。ドア画像検出部230は、ドア付近の混雑等によってドア自体の画像を検出できない場合に、ドア自体の画像の代わりにドアの開閉ランプの画像を検出し、ドア位置特定部240は、開閉ランプの画像に基づいてドアの位置を検出してもよい。補正情報生成部250は、ドア開閉ランプの画像の位置と基準位置としてのドア開閉ランプの位置の差を補正情報として生成してもよい。
【0058】
<他の実施形態>
以上の実施形態においては、撮影装置100とデータ管理装置200とは異なる構成を有する装置であるとして説明した。しかし、撮影装置100がデータ管理装置200の構成を含み、複数の撮影装置100のうちの1台がデータ管理装置200として機能しても同様の作用効果を奏する。
【0059】
また、以上の実施形態においては、データ管理装置200が、基準位置記憶部220、ドア画像検出部230、ドア位置特定部240、補正情報生成部250及び画像解析部260を有する構成について説明した。しかし、これらの少なくとも一部を撮影装置100が有し、撮影装置100とデータ管理装置200との間でデータの受け渡しをすることによっても、同様の作用効果を奏する。
【0060】
具体的には、撮影装置100が、撮影装置100が撮影するドア周辺画像におけるドアの基準位置を記憶する基準位置記憶部、ドア画像を検出するドア画像検出部、ドア画像に基づいてドア位置を特定するドア位置特定部を有してもよい。撮影装置100は、補正情報を生成する補正情報生成部を有し、ドア画像を検出できない場合に、他の撮影装置100から補正情報を取得してもよい。撮影装置100は、ドア位置に基づいて選択された領域の画像を解析する画像解析部を有し、戸挟みなどの異常状態を検出してもよい。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。