(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記支柱取付具は、前記挿入部が前記支柱の先端部の形状に応じた筒状を成し、当該筒状の挿入部の外周面に前記鍔部を一体に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の照明器具。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、照明器具の一例として道路灯を説明する。
図1は本実施形態に係る道路灯1を下方からみた斜視図である。
図2は道路灯1の構成を示す図であり、
図2(A)は平面図、
図2(B)は側面図、
図2(C)は底面図、
図2(D)は正面図、及び
図2(E)は背面図である。また
図3は道路灯1の底面図である。
この道路灯1は、
図1に示すように、ポール型(ストレート型とも呼ばれる)の支柱4、又は、アーム型の支柱5の先端部3に器具本体10を支持したものである。支柱4、5は路肩等の道路脇の地面に立設された柱であり、ポール型の支柱4は、その先端部3が鉛直方向に真っ直ぐに延び、アーム型の支柱5は、柱の途中から曲がって先端部3が水平方向に水平、或いは水平方向に対して所定角度傾いて延びている。この道路灯1の器具本体10は、支柱4、5の両方に取り付け可能に構成されている。
【0013】
器具本体10は、アルミダイカスト等で形成され、
図1、及び
図2に示すように、一端11Aから他端11Bにかけて長い平面視略矩形の箱型を成し、その一端11Aの近傍で上記支柱4、5の先端部3に支持され、他端11Bを道路側(車道側)に向けて設置される。器具本体10の底面10Aには、一端11Aの側に照射開口12が形成され、この照射開口12が平板状の透明なグローブガラス13(
図2(C))で覆われている。なお、
図1、及び
図3は、グローブガラス13から器具本体10の内部を透視して示したものである。
【0014】
器具本体10は、背面10B(すなわち一端11A近傍の外側面)にアーム用挿入孔15(
図2(E))が設けられ、また一端11A近傍の底面10Aにポール用挿入孔16が設けられている。ポール型の支柱4に器具本体10を支持する場合には、当該支柱4の先端部3が器具本体10の底面10Aからポール用挿入孔16に挿入され、またアーム型の支柱5に支持する場合には、当該支柱5の先端部3が器具本体10の背面10Bからアーム用挿入孔15に挿入される。これらアーム用挿入孔15、及びポール用挿入孔16のうち、先端部3が挿入されていない方は閉塞板17で閉塞される。
なお、本実施形態では、ポール型の支柱4に支持する道路灯1について主に説明する。
【0015】
図4は
図2(A)のI−I線における断面視図であり、
図5は
図3のII−II線における断面図である。
図6は器具本体10の分解斜視図である。
器具本体10は、ベースケース体20と、下カバー体21と、蓋体22とを備え、これらが器具本体10の略箱型のケース体を構成する。これらベースケース体20、下カバー体21、及び蓋体22は、屋外使用に十分に耐え得る耐食性があり、なおかつ、熱伝導性が高い材料(例えばアルミニウムやアルミニウム合金)を用いて形成されている。高熱伝導性の材料を用いることで、後述する光源ユニット25の発熱がケース体(本実施形態では、特にベースケース体20)から放熱され、光源ユニット25の光源温度が発光動作に適切な温度に維持される。
ベースケース体20は、器具本体10の六面の外側面のうち、天面10C、正面側、及び左右側の外側面10D、10E、10Fを構成し、下カバー体21は、器具本体10の底面10Aを構成する。また蓋体22は、器具本体10の天面10Cに上開きの方向に(
図4中矢印Eの方向に)開閉自在に設けられ、当該天面10Cの一部から背面10Bを構成する。
器具本体10には、蓋体22が開いて露出する箇所に後述するクランプユニット26が内設され、また道路側を向く他端11Bの側に光源を構成する複数(本実施形態では6個)の光源ユニット25が内設されている。
【0016】
下カバー体21は、ベースケース体20の下面にネジ19(例えば
図5)でネジ止め固定され、当該ベースケース体20の下面を閉じる部材であり、上述した照射開口12、及び、ポール用挿入孔16が形成されている。また、下カバー体21は、
図5、及び
図6に示すように、照射開口12を覆うようにグローブガラス13が上側から嵌め込まれて当該グローブガラス13を担持する。このグローブガラス13の縁部には、シール部材としての環状のパッキン42が全周に亘って嵌め込まれており、当該パッキン42によって下カバー体21の照射開口12がシールされる。また、下カバー体21をベースケース体20に取り付けた際には、下カバー体21とベースケース体20との間でパッキン42が挟み込まれて、当該ベースケース体20の内部がシールされるが、その詳細については後述する。
【0017】
図7はベースケース体20の構成を示す図であり、
図7(A)は平面図、
図7(B)は側面図、
図7(C)は底面図、
図7(D)は正面図、
図7(E)は背面図である。
ベースケース体20は、その内部が器具本体10の一端11Aの側のクランプ取付室27Bと、他端11Bの側の光源室27Aとに仕切28で仕切られている。クランプ取付室27Bにはクランプユニット26が配設され、光源室27Aには光源ユニット25が配設されている。
クランプユニット26は、器具本体10のアーム用挿入孔15、又は、ポール用挿入孔16から挿入された支柱4、5の先端部3に挿入されて取り付けられる支柱取付具である。また光源ユニット25は、道路灯1の光源であり、発光素子を備えて構成されている。
【0018】
クランプユニット26は、前掲
図6に示すように、支柱4、5の先端部3に挿入される筒部29と、この筒部29の外周面29Cに設けられた鍔部30とを備えている。この鍔部30がベースケース体20のクランプ取付室27Bの左右両側に設けられたクランプユニット固定部18にボルト31A、及びナット31Bで締結固定される。また筒部29の外周面29Cには周方向から、複数本の締め付け用のダブルナット32が挿入され、これらダブルナット32によって支柱4、5の先端部3に筒部29が締め付け固定される。また、ポール型の支柱4に取り付けられるクランプユニット26にあっては、筒部29の下側の一端29Aがポール用挿入孔16の近傍に配置され、上側の他端29Bがクランプ取付室27Bの奥に入り込み、この他端29Bに、支柱4の中を通じて先端部3から引き出された電気配線を保持するホルダ33が取り付けられる。
【0019】
光源ユニット25は、道路灯1の光源であり、発光素子を備えて構成されている。具体的には、前掲
図6に示すように、光源ユニット25は、LED基板34に実装されたCOB型LED35と、絶縁シート36と、反射鏡ベース板37と、反射鏡38と、レンズ体39とを備え、これらの順に重ねるように組み付けて構成されている。
LED基板34は、COB型LED35の発熱を裏面に効率良く伝えるために、高熱伝導性を有する例えばセラミック等で形成されている。
COB型LED35は、多数のLEDをLED基板34の上に密集配置して平面視略円形(四角形も有り得る)の面状の発光部35Aを形成したチップオンボード(COB)構造の発光デバイスである。この面状の発光部35Aは、この面に略垂直な方向に光軸Fを有し、この光軸Fが器具本体10の底面10Aを指向する姿勢で器具本体10の中に配置される。COB型LED35は、多数のLEDが密集配置されていることから大光量で高輝度な灯具が得られる。
【0020】
絶縁シート36は、開口36Aが形成され、当該開口36Aから発光部35Aを露出させつつLED基板34の実装面を覆い、このLED基板34と上記反射鏡ベース板37との間を電気的に絶縁するシート材である。
反射鏡ベース板37は、反射鏡38の組み付けベースとなる板材であり、上記絶縁シート36、及びLED基板34を上記ベースケース体20との間に挟むようにして当該ベースケース体20にネジ止め固定される。上記LED基板34は、反射鏡ベース板37による挟み込みにより、その裏面がベースケース体20に密接した状態で固定される。
【0021】
反射鏡38、及びレンズ体39は、COB型LED35の配光を制御する配光制御部材であり、これらの配光制御により、道路の走行方向に合わせて左右に延びた横長の配光が実現されている。具体的には、レンズ体39は、COB型LED35の発光部35Aを覆って配置されて、当該COB型LED35の光軸F近傍の光を左右方向(道路の車線方向)に配光する機能を備える。また反射鏡38は、このレンズ体39の周囲を囲む反射面38Aを有し、レンズ体39から側方に出る光を反射することで、背面側へ向かう光を抑えつつ、正面側の遠方(道路灯1が設置された道路の対向側の路肩近傍)に光を指向させるといった前後方向(道路の横断方向)の配光を制御する機能を備える。
【0022】
図7に示すように、光源室27Aの天井を構成するベースケース体20の天井面20Aには、LED基板34の裏面と面接触して支持する台座面40が所定の間隔で略格子状に設けられている。各台座面40は、LED基板34の各々が同一水平面(照射開口12の開口面から一定の距離)に位置するように天井面20Aからの高さが設定されている。
台座面40は、ベースケース体20の天井面20Aに一体に形成されており、高熱伝導性を有するLED基板34を通じてCOB型LED35の発熱が伝えられる。台座面40の熱は、ベースケース体20の天井面20Aに伝へられ、当該ベースケース体20の天面10Cから外部に放熱され、これにより、COB型LED35の光源温度が発光動作に適切な温度に維持される。なお、COB型LED35に代えて、他の構造のLED、或いは有機EL等の他の発光素子を用いても良いことは勿論である。
【0023】
本実施形態では、ベースケース体20には、光源室27Aの側に各光源ユニット25を包囲する平面視矩形枠状の包囲壁41を設け、この包囲壁41の中を水密にすることで、光源室27Aを防水することとしている。すなわち、前掲
図5に示すように、包囲壁41の全周に亘り、その先端41Aが、下カバー体21に担持されたグローブガラス13のパッキン42に密着し、これにより包囲壁41の内部が水密にシールされる。
上記包囲壁41のうち、クランプ取付室27Bに面する箇所は上記仕切28によって構成されており、この仕切28には、電源線引込孔43が開口し、この電源線引込孔43を通じて電気配線がクランプ取付室27Bから光源室27Aに引き込まれる。このとき電源線引込孔43をシールするために、この電源線引込孔43にブッシング44を嵌合し、このブッシング44に電源線を通して配線される。
【0024】
また、光源室27Aの各光源ユニット25とクランプユニット26とは、
図4に示すように、側面視略水平に延びるベースケース体20に、クランプユニット26による支柱4、5への固定箇所Pと、器具本体10の重心位置Qとの高さ方向の差を抑えて(理想的には、同一水平面上に)配置した。これにより、器具本体10の共振点が下がることから道路灯1の設置箇所の振動の影響が少なくなり、使用環境が拡大される。
【0025】
特に、この器具本体10は、
図4に示すように、支柱4の固定箇所Pと器具本体10の重心位置Qとの各々が、器具本体10の器具長手方向Nにおいて器具本体10の長手方向の中心である器具中心Cnよりもクランプユニット26の側に近く位置し、なおかつ、器具本体10の器具高さ方向Mに対して同一の直線Vの上に略位置するように構成されている。これにより、重心位置Qが器具中心Cnよりも固定箇所Pの近くに配置されることから、耐振動性を更に高くすることができる。
【0026】
蓋体22は、前掲
図4に示すように、上記クランプ取付室27Bを覆い、上記ベースケース体20の天面10Cにヒンジ金具46で開閉自在に取り付けられている。
図8は蓋体22を開いた状態を示す道路灯1の側面図であり、
図9は同状態を示す道路灯1の上方斜視図である。
これらの図、及び前掲
図7に示すように、ベースケース体20の天面10C、及び背面側には、クランプ取付室27Bを露出する開口47が形成されている。具体的には、開口47は、クランプ取付室27Bの天井に対応する箇所の天面10Cから背面10Bに亘る範囲を露出するように形成されており、さらに、クランプ取付室27Bの左右の両側面の側も露出するように形成されている。
【0027】
これにより、
図9に示すように、クランプ取付室27Bの背面側がベースケース体20に覆われることなく開放されることとなり、クランプ取付室27Bでの作業が容易となる。特に、
図9に示すように、器具本体10がポール型の支柱4に取り付けられる場合、クランプユニット26の筒部29はクランプ取付室27Bの中で上下に延び外周面29Cが背面側に対面するように配設される。したがって、支柱4の先端部3を固定するダブルナット32が器具本体10の背面側に面するようにクランプユニット26が配置されることで、背面側から開口47を通じてダブルナット32を簡単に操作することができ、器具本体10の取付作業が容易となる。
【0028】
蓋体22は、クランプ取付室27Bの開口47を閉じるものであり、クランプ取付室27Bに対応する天面10Cと背面10Bとが一体に形成されている。蓋体22の背面10Bに対応する箇所には、アーム用挿入孔15が形成されており、このアーム用挿入孔15が不使用である場合には、閉塞板17が取り付けられて閉塞されている。
かかる蓋体22は、ベースケース体20の天面10Cの略中央(より正確にはクランプ取付室27Bと光源室27Aとの境界近傍)に設けたヒンジ金具46に、光源室27A側に突出したヒンジ側端部22A(
図6)を結合してベースケース体20に取り付けられる。したがって、蓋体22の開閉軸が天面10Cの上になることから、蓋体22を開いた場合に当該蓋体22が天面10Cの上に移動する。このため、器具本体10の背面10Bの側の近くに壁面等の構造物が有る場合でも、開蓋時に蓋体22が干渉することがなく、蓋体22を大きく開くことができる。
【0029】
器具本体10の天面10Cは、前掲
図5に示すように、左右の略中央部を頂点にして左右両側が低くなるように弧を描いて緩やかに屈曲した曲面形状を成し、天面10Cに降り注ぐ風雨、及び積雪が左右両側に促されるようになっている。
また、器具本体10の天面10Cは、前掲
図2(B)に示すように、正面側(すなわち光源室27Aの側)の他端11Bから背面側(すなわちクランプ取付室27B)の側にかけて流線20Lを描く形状とされている。これにより、
図8に示すように、器具本体10が水平面Hに対して所定角度αの傾斜角度で他端11Bを上を向けた姿勢で取り付けられた場合に、天面10Cに降り注ぐ雨水や積雪を背面側に移動させつつ、天面10Cの両側からスムーズに落下させるようになっている。
さらに、この器具本体10には、クランプ取付室27Bの近傍の光源室27Aの天面10Cに、左右の両側に亘って横断し排水溝としての機能を有する横溝45が形成され、また、前掲
図2に示すように、他端11Bから背面側に向けて延び、上記横溝45に合流する複数本の誘導溝48が形成されている。これにより、光源室27Aの側の他端11Bから背面側への雨水等の移動を促進し横溝45からスムーズに落下させることができる。
本実施形態では、各誘導溝48が上述の台座面40の直上に対応した位置に設けられており、台座面40を通じて伝熱される光源の熱で積雪を溶かし、横溝45に効率良く案内されるようになっている。
【0030】
ここで、前掲
図4に示すように、器具本体10の厚さ(すなわち、器具高さ方向Mの厚みTa)を光源室27Aの側からクランプ取付室27Bの側にかけて次第に厚くするように、天面10Cを構成する上記ベースケース体20は、天面10Cの板厚Tが光源室27Aの側の他端11Bからクランプ取付室27Bにかけて次第に厚くなっている。そして、上記横溝45は、クランプ取付室27Bの近傍の光源室27Aの天面10C、すなわち板厚Tが十分に厚く剛性が高い位置に設けられており、横溝45を設けられても天面10Cの剛性が確保されているようになっている。
また蓋体22の結合側の縁部は横溝45に沿って配置され、横溝45が蓋体22の開閉に要するクリアランスも兼ねている。この横溝45の中には、蓋体22に結合される上記ヒンジ金具46が収められておりヒンジ金具46が露出しないようにすることで意匠が高められている。このとき、ヒンジ金具46は、横溝45の底面45Aから高い位置であり、かつ、蓋体22のヒンジ側端部22Aで覆われた位置に配設されている。これにより、ヒンジ金具46が風雨に曝され、また横溝45の雨水に浸水し難くなり、水による腐食が抑制される。
【0031】
器具本体10は、
図9に示すように、支柱4、5への設置時に蓋体22を開位置で支持するストッパー機構49を備えている。
ストッパー機構49は、蓋体22の裏面に設けたレール50と、ベースケース体20に一端51Aが結合され他端51Bがレール50に案内自在に係合し蓋体22を支持する支持棒51とを備えている。レール50には、蓋体22の開閉に伴って支持棒51の他端51Bが移動する直線状の孔である案内路50Aが設けられている。開蓋時には、蓋体22が90度以上(本実施形態では115度)の開き角度β(
図8)に開いた状態で支持棒51が案内路50Aの下端部50A1に引っ掛かって蓋体22を支持する。また案内路50Aには、下端部50A1を略L字状に上方(天面10Cの側)に延ばした支え用端部50A2が設けられている。この支え用端部50A2に支持棒51が引っ掛かることで、支持棒51が蓋体22の開き角度βが90度以下の状態で蓋体22を閉蓋不能に支持する。
【0032】
また、閉蓋時には、支持棒51の他端51Bが案内され当該案内路50Aの直線方向の端である上端部50A3に移動する。この上端部50A3に支持棒51が引っ掛かった状態においては、蓋体22が全閉しない状態で支持棒51が蓋体22を閉蓋不能に支持する。一方、案内路50Aには上端部50A3に至る途中に、閉蓋方向Dに分岐する分岐路50A4が設けられており、この分岐路50A4に支持棒51の他端51Bが入り込むことで、支持棒51による蓋体22の支持が解かれて蓋体22が全閉する。
すなわち、開いた蓋体22が閉じるには、作業者が分岐路50A4に支持棒51の他端51Bを案内するように操作する必要がある。このような操作が成されずに、例えば風等の影響で蓋体22が閉じようとする場合には、支持棒51の他端51Bが案内路50Aを直線状に勢いよく移動し、ストレートに上端部50A3に到達して蓋体22が全閉する前に係止され、作業中に不意に蓋体22に挟まれるといった事を防止できる。
【0033】
ところで、この道路灯1は、
図10(A)、及び
図10(B)に示すように、器具本体10の傾斜角度αを2段階に調整可能とされており、かかる構成について以下に説明する。
図11はクランプユニット26の構成を示す図であり、
図11(A)は平面図、
図11(B)は側面図、
図11(C)は正面図である。
クランプユニット26は、上述の通り、支柱4の先端部3に挿入される筒部29と、この筒部29の外周面29Cに設けられた鍔部30とを備えている。これら筒部29、及び鍔部30は一体成形されており、両者の連結部分の強度が高められている。
【0034】
このクランプユニット26は、
図11(C)に示すように、左右に線対称な形状に構成されており、上下(天地)を逆にして使用可能に構成されている。
具体的には、筒部29は、支柱4の先端部3が延びる方向と長軸55が略平行なる円筒形状に構成されており、その背面、及び正面の側には、外周面29Cに垂直にダブルナット32の受け部56が長軸55を挟んだ対称位置に設けられている。
一方、鍔部30は、
図11(A)、及び
図11(C)に示すように、筒部29を挟んで左右両側に延びる板状体であり、その面内には、器具本体10のクランプ取付室27Bに固定するボルト31Aが挿通されるボルト孔57が設けられている。クランプ取付室27Bの左右の内側面には、
図7に示すように、それぞれ上記クランプユニット固定部18が一体に設けられており、この左右一対のクランプユニット固定部18に、クランプユニット26の鍔部30がボルト31Aで固定される。
【0035】
図12は、
図7のIII−III線における断面視図である。
この図に示すように、クランプユニット固定部18は、上面、及び下面がそれぞれ平らな面を成し、このうち下面が上記クランプユニット26を固定するクランプユニット固定面58として用いられる。
すなわち、前掲
図6に示すように、クランプユニット26がベースケース体20の下側からクランプ取付室27Bに入れて、
図10(A)に示すように、クランプユニット26の鍔部30の表面30Aをクランプユニット固定面58に重ね合わせ、ボルト31Aで両者を締結し固定する。この締結構造にあっては、クランプユニット26の鍔部30の表面30Aにベースケース体20を載せて支持されることから、器具本体10の荷重を鍔部30が担うこととなり、例えばネジ等で荷重を担う構造に比べて耐荷重性能が高められる。
【0036】
ここで、前掲
図11(B)に示すように、筒部29の長軸55に対して、鍔部30の表面30A、及び裏面30Bの法線方向54が角度γだけ側面視で正面側が高くなるように傾いている場合、仮にクランプユニット固定面58が水平面Hに平行であれば、器具本体10が角度γに応じた傾斜角度αで傾斜する。上述の通り、このクランプユニット26は、上下逆さまにして、器具本体10に取付可能になっているため、鍔部30の表面30Aに代えて裏面30Bをクランプユニット固定面58に重ね合わせて締結すると、器具本体10が角度マイナス(−)γだけ傾斜することとなる。
【0037】
本実施形態では、
図12に示すように、器具本体10が延びる水平面H(照射開口12の開口面に相当)に対し、クランプユニット固定面58が角度δだけ下方に傾斜している。したがって、
図11(B)に示すように、鍔部30の表面30Aが正面側で高くなるように角度δで傾斜している場合には、当該表面30Aをクランプユニット固定面58に重ねて固定すると、
図10(A)に示すように、傾斜角度α=δ+γで器具本体10が傾き、これとは逆に、鍔部30の裏面30Bをクランプユニット固定面58に重ねて固定すると、
図10(B)に示すように、傾斜角度α=δ−γで器具本体10が傾くこととなる。
【0038】
このように、この道路灯1によれば、クランプユニット26を上下逆に取り付けるだけで、器具本体10の傾斜角度αを簡単に可変し、周囲の環境や照射する路面等に合わせた照明方向の調整が可能になる。
また、傾斜角度αを可変にするための機構を専用に設ける必要がなく、低コスト化が図られる。特に、傾斜角度αの調整構造を可動部分を設けずに実現しているため、傾斜角度αの調整機能を有しつつも、高い耐荷重性能が実現できる。
【0039】
この道路灯1は、上述の通り、ポール型の支柱4に代えて、アーム型の支柱5に器具本体10を支持可能に構成されている。具体的には、アーム型の支柱5に器具本体10を支持する場合には、当該支柱5に合わせたアーム型用のクランプユニット126が器具本体10に取り付けられる。
【0040】
図13は、アーム型用のクランプユニット126を備えた器具本体10の上方斜視図である。また
図14はクランプユニット126の構成を示す図であり、
図14(A)は平面図、
図14(B)は側面図、
図14(C)は正面図である。
これらの図に示すように、クランプユニット126は、筒部29と、鍔部130とを一体に備える点でポール型用のクランプユニット26と共通するが、
図13に示すように、背面側のアーム用挿入孔15に一端29Aを位置し、長軸55が器具本体10の一端11Aから他端11Bにかけた方向と略平行になるように筒部29がクランプ取付室27に取り付けられる点で相違する。
すなわち、このクランプユニット126にあっては、
図14(B)に示すように、鍔部130は、筒部29の外周面29Cから周方向に突出し、一端29Aから他端29Bに亘って一体に設けられている。
【0041】
一方、前掲
図12に示すように、クランプユニット固定部18の上面は、略水平な平らな面に形成されており、この上面がアーム型用のクランプユニット固定面59として用いられ、このクランプユニット固定面59にクランプユニット126の鍔部130の表面130A、又は裏面130Bが重ねられてボルト31Aで締結される。
このクランプユニット126にあっても、
図14(B)に示すように、鍔部130が角度γだけ正面側が低くなるように長軸55に対して傾斜する。これにより、クランプユニット126を上下逆さまにして取り付けることで、
図15(A)、及び
図15(B)に示すように、器具本体10の傾斜角度αを可変することができる。
【0042】
なお、同図に示す例では、支柱5の先端部3が水平面Hから角度γで上向きに傾斜している。このため、鍔部130の表面130Aがクランプユニット固定面59に接するように
図14(B)の状態から上下反転させて固定すると、
図15(A)に示すように、傾斜角度α=2γ(=γ+γ)で器具本体10が傾き、これとは逆に、鍔部130の裏面130Bをクランプユニット固定面59に重ねて固定すると、
図15(B)に示すように、傾斜角度α=0度(=γ−γ)となる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0044】
すなわち、本実施形態によれば、器具本体10のクランプ取付室27Bの天井に相当する位置の天面10Cから一端11Aに面する側面である背面10Bに亘る開口47を設け、当該開口47を覆う蓋体22を器具本体10の天面10Cに設けたヒンジ金具46を開閉軸にして開閉自在に設けた。
これにより、開蓋時に、クランプ取付室27Bの背面側が大きく開放し、大きな作業スペースが確保される。さらに、天面10Cを開閉軸にして蓋体22を開閉する構造であるため、器具本体10の背面10Bの側の近くに壁面等の構造物が有る場合でも、開蓋時に蓋体22が干渉することがなく、蓋体22を大きく開くことができる。
【0045】
また本実施形態によれば、器具本体10の天面10Cの板厚Tを、光源室27Aからクランプ取付室27Bにかけて次第に厚くなるように形成し、クランプ取付室27Bの近傍の光源室27Aの天面10Cの位置に、幅方向に延びて蓋体22の開閉に要するクリアランスとなる横溝45を設ける構成とした。
これにより、すなわち板厚Tが十分に厚く剛性が高い位置に横溝45が設けられることから、横溝45による天面10Cの剛性の低下が抑えられる。
【0046】
また本実施形態によれば、横溝45にヒンジ金具46を収めたため、天面10Cからヒンジ金具46が突出することなく意匠性が高められる。
【0047】
また本実施形態によれば、蓋体22に設けられ、直線状に延びる案内路50Aを有するレール50と、器具本体10に一端51Aが結合され他端51Bが案内路50Aを摺動自在に設けられた支持棒51と、を有し、案内路50Aの下端部50A1、及び上端部50A3に支持棒51の他端51Bが係合したときには支持棒51が蓋体22を開いた状態で支持し、案内路50Aの途中に設けた分岐路50A4に支持棒51の他端51Bが入り込んだ場合に蓋体22が全閉するストッパー機構49を器具本体10に設けた。
これにより、作業者が分岐路50A4に支持棒51の他端51Bを案内する操作が成されずに、例えば風等の影響で蓋体22が閉じようとした場合には、支持棒51の他端51Bが案内路50Aを直線状に勢いよく移動し、ストレートに上端部50A3に到達して蓋体22が全閉する前に係止されるので、作業中に不意に蓋体22に挟まれるといった事を防止できる。
【0048】
また本実施形態によれば、器具本体10は、側面視略水平に延びるベースケース体20に、クランプユニット26、及び光源ユニット25の各々を、クランプユニット26による支柱4、5の固定箇所Pと器具本体10の重心位置Qとの高さ方向の差を抑えて組み付ける構成とした。これにより、器具本体10の共振点が下がり、道路灯1の設置可能な環境を拡大できる。
【0049】
また本実施形態によれば、クランプユニット固定面58に重なったクランプユニット26の鍔部30の面の方向によって器具本体10の傾斜角度αが定められる構成であるため、鍔部30の面の設定により傾斜角度αを簡単に変えることができる。
これに加え、クランプユニット26の他に、傾斜角度αの調整のためのリンク機構等の機構を別途に設ける必要が無いため、傾斜角度αが可変な灯具を簡単、かつ低コストに実現できる。
また本実施形態によれば、クランプユニット26の鍔部30の表面30Aをクランプユニット固定面58に重ねた場合と、裏面30Bを重ねた場合とで器具本体10の傾斜角度αが異なる構成であるため、鍔部30を表裏逆にするにようにクランプユニット26の取り付けの向きを変えるだけで、傾斜角度αを簡単に変えることができる。
【0050】
特に本実施形態によれば、クランプユニット26は、筒部29の外周面29Cに鍔部30を一体に設けて構成されているため、筒部29と筒部29の接合強度を高くできる。また、可動部品を含まないクランプユニット26で傾斜角度αの調整が実現されるため、耐荷重性能が損なわれることがない。
【0051】
また本実施形態によれば、クランプユニット26の鍔部30に器具本体10を載せて支持する構成としたため、ネジ等で器具本体10の荷重を担う構成に比べ、高い耐荷重性能が得られる。
【0052】
また本実施形態によれば、器具本体10は、支柱4の固定箇所Pと器具本体10の重心位置Qとの各々が、器具本体10の器具長手方向Nにおいて器具本体10の長手方向の中心である器具中心Cnよりもクランプユニット26の側に近く位置し、なおかつ、器具本体10の器具高さ方向Mに対して同一の直線Vの上に略位置するように構成されている。これにより、重心位置Qが器具中心Cnよりも固定箇所Pの近くに配置されることから、耐振動性を更に高くすることができる。
【0053】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示したものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、本発明は道路灯に限らず、支柱の先端部に支持される器具本体を支持する照明器具であれば、例えば街灯等の任意の照明器具に適用可能である。