特許第5966799号(P5966799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966799
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】ブラインド装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/302 20060101AFI20160728BHJP
   E06B 9/325 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   E06B9/302
   E06B9/325
【請求項の数】14
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-206097(P2012-206097)
(22)【出願日】2012年9月19日
(65)【公開番号】特開2014-58856(P2014-58856A)
(43)【公開日】2014年4月3日
【審査請求日】2015年7月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503428703
【氏名又は名称】オイレスECO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 将
(72)【発明者】
【氏名】峯 永治
(72)【発明者】
【氏名】吉田 健
(72)【発明者】
【氏名】大石 守
(72)【発明者】
【氏名】平塚 鉄也
【審査官】 藤脇 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−239309(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/099078(WO,A1)
【文献】 実公昭14−015905(JP,Y1)
【文献】 実公昭12−018617(JP,Y1)
【文献】 実開昭54−025636(JP,U)
【文献】 特開2006−219897(JP,A)
【文献】 特開2008−297876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/24 − 9/388
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、枠体に囲まれた開口に上下方向において互いに並置された複数のスラットと、複数のスラットの夫々の横方向における端部を上下方向において相互に連結する端部リンク機構と、複数のスラットのうちの最下位のスラットから上昇させると共に当該最下位のスラットを下降させて、複数のスラットを昇降させる昇降機構と、端部リンク機構の上端に連結されていると共に、昇降機構による複数のスラットの昇降において当該複数のスラットを傾動させるチルト機構と、複数のスラットによる開口閉鎖時において当該複数のスラットの位置を固定するスラット固定機構とを具備しており、スラット固定機構は、複数のスラットのうちの最下位のスラットに設けられていると共にチルト機構によるスラットの傾動において揺動する少なくとも一つの揺動ピンと、枠体に設けられていると共に開口閉鎖時に揺動ピンの上方への移動を禁止するように当該揺動ピンを係止する少なくとも一つの係止面とを具備しているブラインド装置。
【請求項2】
枠体は、複数のスラットを横方向において間にして互いに並置された一対の縦枠を具備しており、係止面は、一対の縦枠の少なくとも一方の縦枠に設けられている請求項1に記載のブラインド装置。
【請求項3】
係止面は、揺動ピンの揺動方向に沿って伸びた縦枠に設けられた長孔又はスリットを規定する面からなる請求項2に記載のブラインド装置。
【請求項4】
枠体は、複数のスラットを横方向において間にして互いに並置された一対の縦枠と、一対の縦枠の下部を橋絡して横方向に伸びて配された下枠とを具備しており、係止面は、下枠から上方に突出した係止部材に形成されている請求項1に記載のブラインド装置。
【請求項5】
枠体は、複数のスラットを横方向において間にして互いに並置された一対の縦枠と、一対の縦枠の下部を橋絡して横方向に伸びて配された下枠とを具備しており、スラット固定機構は、複数の揺動ピンと、当該複数の揺動ピンの夫々に対応する複数の係止面とを具備しており、複数の係止面のうちの少なくとも一つの係止面は、縦枠に設けられており、複数の係止面のうちの少なくとも他の一つの係止面は、下枠から上方に突出した係止部材に形成されている請求項1に記載のブラインド装置。
【請求項6】
係止部材は、その突出端部に鉤部を有しており、係止面はこの鉤部に形成されている請求項4又は5に記載のブラインド装置。
【請求項7】
係止部材の鉤部は、最下位のスラットの傾動軸心に対して後方に配されている請求項6に記載のブラインド装置。
【請求項8】
揺動ピンは、最下位のスラットの傾動軸心から離れて設けられている請求項1から7のいずれか一項に記載のブラインド装置。
【請求項9】
最下位のスラットに横方向に伸びて配設された剛性軸部材を更に具備している請求項1から8のいずれか一項に記載のブラインド装置。
【請求項10】
複数のスラットに横方向に伸びて夫々配設された剛性軸部材を更に具備している請求項1から8のいずれか一項に記載のブラインド装置。
【請求項11】
複数のスラットの夫々の横方向における中間の位置で当該複数のスラットに夫々配設された剛性軸部材を上下方向において相互に連結する剛性リンク機構を更に具備している請求項10に記載のブラインド装置。
【請求項12】
剛性リンク機構は、軸部材を介して互いに一端で回転自在に連結されて折り畳み自在となっている複数の一対の剛性リンク部材と、軸部材を介して相互に回転自在に連結された複数の一対の剛性リンク部材の夫々の折り畳み方向を決定すべく、複数の一対の剛性リンク部材の一方の夫々に形成された折り曲げ部とを具備しており、複数の一対の剛性リンク部材の夫々の他端は、剛性軸部材に回転自在に連結されている請求項11に記載のブラインド装置。
【請求項13】
剛性軸部材は、スラットの前端縁又は後端縁に夫々配設されている請求項9から12のいずれか一項に記載のブラインド装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のブラインド装置を備えた建物の外壁の開口部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓に配されて室内を目隠しすると共に遮光するブラインド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1においては、上下方向に互いに並置された複数のスラットと、複数のスラットの横方向における端部を相互に連結するリンク機構と、複数のスラットのうちの最下位のスラットから昇降させる昇降機構と、昇降機構によるスラットの昇降に基づいて複数のスラットを傾動させるチルト機構とを具備しているブラインド装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−239309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の従来のブラインド装置では、開口を閉鎖した状態で通風のためスラットを水平に傾動させた状態では、スラット自体の機械的強度が十分でないために、就寝時等に通風のためスラットを水平に傾動させた状態にしたくてもそれを行うことができず、やむなくスラットを垂直に傾動させた開口閉鎖状態にする必要があり、斯かるブラインド装置において、複数のスラットを昇降機構により下降させ、チルト機構によりスラットを垂直に傾動させて開口を閉鎖した開口閉鎖状態を維持するためには、当該複数のスラットを適切に固定することが望まれる。斯かる固定は、場合により、開口を閉鎖した状態で通風のためスラットを略水平に傾動させた状態でも開口閉鎖状態を得られることが望まれる。
【0005】
本発明は、前記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数のスラットを適切に固定することができて、開口閉鎖状態を維持することのできるブラインド装置を提供することにある。
【0006】
本発明のブラインド装置は、枠体と、枠体に囲まれた開口に上下方向において互いに並置された複数のスラットと、複数のスラットの夫々の横方向における端部を上下方向において相互に連結する端部リンク機構と、複数のスラットのうちの最下位のスラットから上昇させると共に当該最下位のスラットを下降させて、複数のスラットを昇降させる昇降機構と、端部リンク機構の上端に連結されていると共に、昇降機構による複数のスラットの昇降において当該複数のスラットを傾動させるチルト機構と、複数のスラットによる開口閉鎖時において当該複数のスラットの位置を固定するスラット固定機構とを具備しており、スラット固定機構は、複数のスラットのうちの最下位のスラットに設けられていると共にチルト機構によるスラットの傾動において揺動する少なくとも一つの揺動ピンと、枠体に設けられていると共に開口閉鎖時に揺動ピンの上方への移動を禁止するように当該揺動ピンを係止する少なくとも一つの係止面とを具備している。
【0007】
本発明のブラインド装置によれば、特に、複数のスラットによる開口閉鎖時において当該複数のスラットの位置を固定するスラット固定機構が具備されており、スラット固定機構は、複数のスラットのうちの最下位のスラットに設けられていると共にチルト機構によるスラットの傾動において揺動する少なくとも一つの揺動ピンと、枠体に設けられていると共に開口閉鎖時に揺動ピンの上方への移動を禁止するように当該揺動ピンを係止する少なくとも一つの係止面とを具備しているために、開口閉鎖時において揺動ピンを係止面に係止することで最下位のスラット及びこれに連なる複数のスラットの夫々の上方への移動を禁止することができ、これにより複数のスラットにより閉鎖した開口が不意に開放される虞を減少させることができ、而して、複数のスラットを適切に固定することができて、開口閉鎖状態を維持することができる。
【0008】
本発明のブラインド装置では、枠体は、複数のスラットを横方向において間にして互いに並置された一対の縦枠を具備しており、係止面は、一対の縦枠の少なくとも一方の縦枠に設けられていてもよく、斯かる係止面は、揺動ピンの揺動方向に沿って伸びた縦枠に設けられた長孔又はスリットを規定する面からなっていてもよい。
【0009】
本発明のブラインド装置では、枠体は、複数のスラットを横方向において間にして互いに並置された一対の縦枠と、一対の縦枠の下部を橋絡して横方向に伸びて配された下枠とを具備しており、係止面は、下枠から上方に突出した係止部材に形成されていてもよい。
【0010】
本発明のブラインド装置では、枠体は、複数のスラットを横方向において間にして互いに並置された一対の縦枠と、一対の縦枠の下部を橋絡して横方向に伸びて配された下枠とを具備しており、スラット固定機構は、複数の揺動ピンと、当該複数の揺動ピンの夫々に対応する複数の係止面とを具備しており、複数の係止面のうちの少なくとも一つの係止面は、縦枠に設けられており、複数の係止面のうちの少なくとも他の一つの係止面は、下枠から上方に突出した係止部材に形成されていてもよい。
【0011】
上述の係止部材は、その突出端部に鉤部を有しており、係止面はこの鉤部に形成されていてもよく、係止部材の鉤部は、最下位のスラットの傾動軸心に対して後方に配されていてもよい。
【0012】
本発明のブラインド装置では、揺動ピンは、最下位のスラットの傾動軸心から離れて設けられていてもよい。
【0013】
本発明のブラインド装置では、最下位のスラットに横方向に伸びて配設された剛性軸部材を更に具備していてもよい。斯かる場合には、最下位のスラットの撓みを防止することができて、揺動ピンと係止面との係止状態を適切に維持することができる。
【0014】
本発明のブラインド装置では、複数のスラットに横方向に伸びて夫々配設された剛性軸部材を更に具備していてもよい。斯かる剛性軸部材には、上述の最下位のスラットに横方向に伸びて配設された剛性軸部材が含まれていてもよい。この場合、複数のスラットの夫々の横方向における中間の位置で当該複数のスラットに夫々配設された剛性軸部材を上下方向において相互に連結する剛性リンク機構を更に具備していてもよい。上述の剛性軸部材は、スラットの前端縁又は後端縁に夫々配設されていてもよい。
【0015】
上述の剛性リンク機構は、軸部材を介して互いに一端で回転自在に連結されて折り畳み自在となっている複数の一対の剛性リンク部材と、軸部材を介して相互に回転自在に連結された複数の一対の剛性リンク部材の夫々の折り畳み方向を決定すべく、複数の一対の剛性リンク部材の一方の夫々に形成された折り曲げ部とを具備しており、複数の一対の剛性リンク部材の夫々の他端は、剛性軸部材に回転自在に連結されていてもよい。
【0016】
上述の剛性軸部材と剛性リンク機構とを更に具備している本発明のブラインド装置によれば、複数のスラットの撓みを防止し得、風により又はスラットの下降停止においてスラットの自重でスラットがその中央部においてばたついて異音を発生することをなくし得、スラットの中央部でのばたつきを防止でき、しかも、隣接するスラットの中央部間の間隔が外力により拡げられることなく維持することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数のスラットを適切に固定することができて、開口閉鎖状態を維持することのできる上に、場合により、開口を閉鎖した状態で通風のためスラットを略水平に傾動させた状態でも開口閉鎖状態を得られることのできるブラインド装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明の実施の形態の例の正面説明図である。
図2図2図1に示す例の一部斜視説明図である。
図3図3図1に示す例の断面説明図である。
図4図4図1に示す例の他の断面説明図である。
図5図5図1に示す例の一部説明図である。
図6図6図1に示す例の一部説明図である。
図7図7図1に示す例の断面動作説明図である。
図8図8図1に示す例の断面動作説明図である。
図9図9図1に示す例の断面動作説明図である。
図10図10図1に示す例の断面動作説明図である。
図11図11図1に示す例の主に剛性リンク機構の説明図である。
図12図12図1に示す例の主にチルト機構の説明図である。
図13図13図1に示す例の主にチルト機構の説明図である。
図14図14図1に示す例の主にチルト機構の説明図である。
図15図15は本発明の実施の形態の他の例の説明図である。
図16図16図15に示す例の説明図である。
図17図17は本発明の実施の形態の更に他の例の正面説明図である。
図18図18の(a)及び(b)は図17に示す例の一部動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に本発明を、図に示す好ましい実施の形態の例に基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら例に何等限定されないのである。
【0020】
図1から図14において、本例のブラインド装置1は、窓等の建物の開口部に配される枠体2と、枠体2に囲まれた開口3に上下方向Zにおいて互いに並置された複数のスラット4と、複数のスラット4の夫々の横方向Yにおける端部5を上下方向Zにおいて相互に連結する端部リンク機構6と、複数のスラット4のうちの最下位のスラット4から上昇させると共に当該最下位のスラット4を下降させて、複数のスラット4を昇降させる昇降機構7と、端部リンク機構6の上端に連結されていると共に、昇降機構7による複数のスラット4の昇降において当該複数のスラット4を傾動させるチルト機構8と、複数のスラット4の横方向Yに伸びて夫々配設された剛性軸部材9と、複数のスラット4の夫々の横方向Yにおける中間の位置で当該複数のスラット4に夫々配設された剛性軸部材9を上下方向Zにおいて相互に連結する一対の剛性リンク機構10と、複数のスラット4による開口閉鎖時において当該複数のスラット4の位置を固定するスラット固定機構14とを具備している。
【0021】
枠体2は、複数のスラット4を横方向において間にして互いに並置された縦枠11及び縦枠12と、縦枠11及び縦枠12の上部を橋絡して配された化粧用上枠(図示せず)と、縦枠11及び12の下部を橋絡して横方向Yに伸びて配された下枠13とを具備している。
【0022】
縦枠12と同様に形成された縦枠11は、外側側壁部15と、外側側壁部15に対面して配された内側側壁部16と、外側側壁部15及び内側側壁部16を橋絡すると共に互いに対面して配された前壁部17及び後壁部18とを有して一体形成されている。外側側壁部15には、上下方向Zに伸びる一対の保持溝21及び22が形成されている。内側側壁部16には、上下方向Zに伸びるスリット25及びこのスリット25に連なる後述の係止面27に規定されたスリット28が形成されている。
【0023】
スラット4の夫々は、横方向Yに伸びたスラット本体31と、スラット本体31の長手方向(横方向Y)における端部5を端部リンク機構6に取付ける取付具33とを具備しており、各取付具33は、一端では対応のスラット本体31の端部5に止め金具を介して固定されており、他端ではスリット25を通って縦枠11内に突出している。
【0024】
端部リンク機構6は、例えば図4に示すように、軸部材50を介して互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている複数の前縁リンク部材51と、軸部材52を介して互いに回転自在に連結されて折り畳み自在となっている複数の後縁リンク部材53と、最上位の前縁リンク部材51及び後縁リンク部材53の上端部並びに最下位の前縁リンク部材51及び後縁リンク部材53の下端部に夫々軸部材54を介して回転自在に連結された最上位及び最下位の横部材55と、前縁リンク部材51側及び後縁リンク部材53側の一つ置きの軸部材50及び52に夫々回転自在に連結された複数の横部材55と、軸部材50及び52を介して相互に回転自在に連結された複数の前縁リンク部材51及び後縁リンク部材53の夫々の折り畳み方向を決定すべく、一つ置きの前縁リンク部材51及び後縁リンク部材53の夫々に一体的に形成された折り曲げ部56とを具備している。
【0025】
横部材55の夫々の略中央部には、スリット25を通って縦枠11内に突出した対応の各取付具33の他端が固着されており、最上位の前縁リンク部材51の上端部の軸部材54には、チルト機構8の紐状体41の他端が回転自在に連結されており、最上位の後縁リンク部材53の上端部の軸部材54には、チルト機構8の紐状体44の他端が回転自在に連結されている。
【0026】
横部材55が連結されていない軸部材50により相互に回転自在に連結されていると共に互いに隣接する前縁リンク部材51は、最下位の前縁リンク部材51の上昇において、軸部材50が後壁部18に向かうように折り曲げ部56に規制されて折り畳まれるようになっており、同じく、横部材55が連結されていない軸部材52により相互に回転自在に連結されていると共に互いに隣接する後縁リンク部材53は、最下位の後縁リンク部材53の上昇において、軸部材52が前壁部17に向かうように折り曲げ部56に規制されて折り畳まれるようになっており、折り畳まれた前縁リンク部材51と後縁リンク部材53とは、上下方向Zにおいて交互に位置するようになっている。
【0027】
昇降機構7は、一端61及び他端62を有していると共に不撓状態に保持された可撓性の長尺体としての有端のチェーン63と、チェーン63をA及びB方向に走行させる走行機構64とを具備しており、チェーン63の一端は最下位のスラット4にスライダ65を介して連結されている。
【0028】
走行機構64は、縦枠11及び12の上部に回転自在に支持された横方向Yに伸びた回転軸77と、回転軸77の縦枠11側の一端部に固定されていると共にチェーン63が巻き掛けられているスプロケットホイール78と、回転軸77に減速機構を介して連結されている電動モータ72とを具備している。スプロケットホイール78の周りには、当該スプロケットホイール78に巻き掛けられたチェーン63の部位の撓みを押さえるチェーン押えが配されている。走行機構64は、電動モータ72の作動によるその出力回転軸の回転で減速機構を介して回転軸77及びスプロケットホイール78を回転させ、この回転によりチェーン63をA方向及びB方向に走行させるようになっている。
【0029】
チェーン63は、一端61側では部分的に保持溝21にA方向及びB方向に移動自在に配されており、他端62側では部分的に保持溝22にA方向及びB方向に移動自在に配されており、これら保持溝21及び22でもってチェーン63の撓みが阻止され、不撓状態に保持される。
【0030】
昇降機構7は、走行機構64によるチェーン63のA方向又はB方向の走行により複数のスラット4のうちの最下位のスラット4を昇降させ、而して、複数のスラット4を最下位のスラット4から先行して昇降させるようになっている。
【0031】
チルト機構8は、回転軸77に対して揺動自在(回転自在)となるように当該回転軸77に設けられていると共に凹所152及び突起153を有した揺動自在部材37と、チェーン63に取付けられていると共にチェーン63のA方向の走行において凹所152に嵌合する突起154と、凹所155を有すると共に図6及び図12に示す揺動禁止状態に設定された際には当該凹所155で突起153に係合して揺動自在部材37の回転軸77を中心とした揺動(回転)を禁止する一方、図5及び図13に示すように突起154の凹所152への嵌合に際して突起154により回動されて凹所155の突起153への係合を解除し、揺動自在部材37の揺動を許容する揺動許容状態に設定される掛け金部材156と、掛け金部材156を揺動禁止状態に設定するように当該掛け金部材156を弾性的に付勢する弾性手段157と、縦枠11の上部において揺動自在部材37に固着された吊り下げ板38と、一端では吊り下げ板38の一方のアーム部39の先端部に回転自在に連結され、他端では最上位の端部リンク機構6の一方の端部に回転自在に連結されたワイヤー、ロープ、帯等の可撓性の紐状体41と、一端では吊り下げ板38の他方のアーム部42の先端部に回転自在に連結され、他端では最上位の端部リンク機構6の他方の端部に回転自在に連結されたワイヤー、ロープ、帯等の可撓性の紐状体44とを具備している。
【0032】
揺動自在部材37は、スプロケットホイール78と同心に配されており、一端に爪部161を有した掛け金部材156は、他端162で軸部材163を介して支持板164に軸部材163を中心として回転自在に取付けられており、支持板164は、縦枠11の上端に取付けられており、弾性手段157は、一端で支持板164に係止され、他端で掛け金部材156に係止され、中央部が軸部材163に巻き付けられて配されたねじりコイルばねからなり、軸部材163を中心として掛け金部材156を回転させて爪部161を凹所152に向かわせるように、掛け金部材156を弾性付勢している。
【0033】
チルト機構8は、チェーン63のA方向の走行で図13に示すように突起154の凹所152への嵌入により掛け金部材156を弾性手段157の弾性力に抗して回転させて突起153の凹所155への係合を解除し、この解除により突起154の移動と共に揺動自在部材37を図14に示すように揺動させ、この揺動により上方に引っ張られる紐状体44を介して一連の後縁リンク部材53を一連の前縁リンク部材51に対して相対的に上昇させる一方、下方に下げられる紐状体41を介して一連の前縁リンク部材51を一連の後縁リンク部材53に対して相対的に下降させて、各スラット4で開口3を閉鎖するべく、前縁リンク部材51及び後縁リンク部材53に連結された横部材55を介して各スラット4を同期的に図7及び図8に示すように垂直状態に傾動させるようになっており、その後、電動モータ72の作動の停止で開口3の各スラット4による閉鎖状態は、維持されるようになっている。
【0034】
縦枠11から縦枠12まで伸びた回転軸77には、スプロケットホイール78と同様に構成された縦枠12側のスプロケットホイールが固着されており、ブラインド装置1は、電動モータ72を除いて縦枠12側も縦枠11側と同様に構成されている。
【0035】
剛性軸部材9は、複数のスラット4の前端縁67又は後端縁68、本例では後端縁68に横方向Yに伸びて夫々配設されている。剛性軸部材9は、円柱状であっても、円筒状であってもよく、また、ステンレス製であってもよい。スラット本体31の後端縁68には、剛性軸部材9が挿通される横方向Yに伸びた挿着孔69が形成されており、挿着孔69は、後端縁68が円弧状に巻かれて形成されている。
【0036】
横方向Yにおいて離れた一対の剛性リンク機構10の夫々は、例えば図1図3及び図11に示すように、軸部材80を介して互いに一端で回転自在に連結されて折り畳み自在となっている複数の一対の剛性リンク部材81及び82と、複数の一対の剛性リンク部材81及び82に横方向Yにおいて並設されていると共にスラット本体31の後端縁68の切り欠き83において露出する軸部材80を介して互いに一端で回転自在に連結されて折り畳み自在となっている複数の一対の剛性リンク部材84及び85と、複数の剛性リンク部材81及び84を橋絡している橋絡部材88と、軸部材80を介して相互に回転自在に連結された複数の一対の剛性リンク部材81及び82並びに複数の一対の剛性リンク部材84及び85の夫々の折り畳み方向を決定すべく、剛性リンク部材81及び84に一体的に形成された折り曲げ部86とを具備しており、剛性リンク部材81及び82の他端並びに剛性リンク部材84及び85の他端は、剛性軸部材9に回転自在に連結されている。
【0037】
ブラインド装置1は、剛性リンク機構10を紐状体90を介して吊り下げる吊り下げ板91を更に具備していてもよい。紐状体90は、可撓性を有しており、ワイヤー、ロープ、帯等からなっていてもよい。吊り下げ板91は、吊り下げ板38に横方向Yに伸びたブラケット92を介して連結されていると共に回転軸77に軸受を介して回転自在に支持されている。紐状体90の一端は吊り下げ板91に連結されており、紐状体90の他端は剛性リンク機構10の最上位の剛性リンク部材81及び84並びに最上位の橋絡部材88のうちの少なくともいずれか一つに連結されている。吊り下げ板91は、吊り下げ板38の傾動に対応して傾動して剛性リンク機構10を昇降させるようになっている。
【0038】
剛性リンク部材81及び82並びに剛性リンク部材84及び85は、最下位の剛性リンク部材82の上昇において、軸部材80が後側に向かうように折り曲げ部86に規制されて折り畳まれるようになっている。
【0039】
スラット固定機構14は、最下位のスラット4に当該最下位のスラット4の傾動軸心100から離れて設けられていると共にチルト機構8によるスラット4の傾動において揺動する揺動ピン29と、枠体2に設けられていると共に開口閉鎖時に揺動ピン29の上方への移動を禁止するように当該揺動ピン29を係止する係止面27とを具備している。
【0040】
係止面27は、揺動ピン29の揺動方向Cに沿って伸びた縦枠11及び12に設けられた長孔又はスリット、本例ではスリット28を規定する面からなる。縦枠12に設けられたスリット(図示せず)及び係止面(図示せず)は、縦枠11に設けられたスリット28及び係止面27と同様に形成されている。前方の端部95及び後方の端部96を有するスリット28は、前方の端部95でスリット25につながっており、後方の端部96は端部95よりも上方に配されており、端部95から端部96にかけて揺動方向Cに沿って湾曲している。係止面27は、本例では主にスリット28の端部96を規定している面から構成されているが、スリット28の端部95を規定している面から構成されてもよい。
【0041】
縦枠11及び12側の夫々に設けられた係止面27に対応する二つの揺動ピン29(縦枠12側の揺動ピンは図示せず)は、最下位のスラット4の横方向Yにおける端部5にブラケット97を介して回転自在に設けられており、スリット25に上下方向Zに移動自在に配されていると共に、チルト機構8による最下位のスラット4の傾動において揺動方向Cに揺動しながらスリット25からスリット28に移動されるように配されている。揺動ピン29は、端部95を介して開口閉鎖時において端部96に配され且つ係止面27に係止され、その上方への移動が禁止されるようになっている。
【0042】
スラット固定機構14は、上述の構成に代えて又は加えて、例えば図17及び図18の(a)及び(b)に示すように、最下位のスラット4の端部5間の中間部にブラケット98を介して設けられた一つ又は複数の揺動ピン99と、開口閉鎖時に揺動ピン99の上方への移動を禁止するように当該揺動ピン99に係合する一つ又は複数の係止面101とを具備していてもよい。揺動ピン99は、傾動軸心100から離れて設けられており、係止面101は、下枠13から上方に突出した係止部材102に形成されており、係止部材102は、その突出端部103に鉤部104を有している。係止面101はこの鉤部104に形成されている。鉤部104は、最下位のスラット4の傾動軸心100に対して後方に配されている。このように揺動ピン99及び係止面101を具備している場合には、最下位のスラット4及びこれに連なるスラット4をより確実に開口閉鎖位置に固定することができ、また、剛性軸部材9と相まって複数のスラット4の固定状態をより強固なものにし得る。
【0043】
ブラインド装置1では、図7及び図8に示すように複数のスラット4が開口3を閉鎖するように垂直に傾動された状態となっている状態では、チェーン63に設けられた突起154は、図14に示すように凹所152に配されて突起153と凹所155との係合が解除された状態となっており、掛け金部材156は、揺動自在部材37の外周縁165に当接して揺動自在部材37に対して揺動許容状態を保っている。斯かる状態において電動モータ72が作動されて、回転軸77を介してスプロケットホイール78が回転され、この回転によりチェーン63がB方向に走行させられると、チェーン63のB方向の走行と共に突起154も回転軸77を中心として移動し、突起154の移動により揺動自在部材37も同方向に回転し、揺動自在部材37のこの回転による吊り下げ板38の回転で、紐状体41を介して最上位の前縁リンク部材51と最上位の前縁リンク部材51の下方に連なる下位の一連の前縁リンク部材51とが一連の後縁リンク部材53に対して相対的に上昇される一方、紐状体44を介して最上位の後縁リンク部材53と最上位の後縁リンク部材53の下方に連なる下位の一連の後縁リンク部材53とが一連の前縁リンク部材51に対して相対的に下降される結果、複数のスラット4は、同期的に傾動されて図1から図4に示すような略水平状態にされる。このように複数のスラット4が略水平状態にされた際には、揺動ピン29は、スリット28から抜け出してスリット25に配され、係止面27による係止は解除される。チルト機構8の作動による吊り下げ板38の回転で吊り下げ板91も同方向に回転されるので、剛性リンク機構10をチルト機構8の作動に対応して昇降させることができ、而して、複数のスラット4の傾動を円滑に行わせ得る。
【0044】
更にチェーン63がB方向に走行させられると、突起154が凹所152から抜け始め、突起154が凹所152から抜けることにより、掛け金部材156が弾性手段157の弾性力により軸部材163を中心として回転され、図12に示すように突起153と凹所155とが係合され、この係合で揺動自在部材37の回転は阻止される。チェーン63のB方向の走行が続行されることによるチェーン63の一端61の上昇で、チェーン63の一端61に連結された端部リンク機構6の下位の前縁リンク部材51及び後縁リンク部材53が折り畳まれ始め、この折り畳みにより、図9に示すように端部リンク機構6に連結されている複数のスラット4が下方から順次重ね合わされ、複数のスラット4が全て上昇されて互いに重ね合わされると、電動モータ72の作動が停止されて図10に示すように開口3の開放状態が維持される。複数のスラット4が下方から順次重ね合わされる際には、複数の一対の剛性リンク部材81及び82並びに複数の一対の剛性リンク部材84及び85もまた下方から順次折り畳まれる。
【0045】
開口3の開放状態において電動モータ72が前記と逆に作動されると、チェーン63がA方向に走行させられ、この走行により上位の前縁リンク部材51及び後縁リンク部材53から順次折り畳みが解除されて伸長され始め、これにより複数のスラット4の重ね合わせが上位のスラット4から順次解除される。上位の前縁リンク部材51及び後縁リンク部材53から順次折り畳みが解除されて伸長され始める際には、複数の一対の剛性リンク部材81及び82並びに複数の一対の剛性リンク部材84及び85もまた順次折り畳みが解除されて伸長され始める。端部リンク機構6及び剛性リンク機構10が全て伸長されて複数のスラット4もまたその重ね合わせが全て解除されると、図13に示すように、突起154が案内楔空間166を通って凹所152に嵌入され、この嵌入により突起154が掛け金部材156を弾性手段157の弾性力に抗して回転させて突起153の凹所155への係合を解除し、この解除により突起154の移動と共に揺動自在部材37が回転され、この回転により上方に引っ張られる紐状体44を介して後縁リンク部材53が前縁リンク部材51に対して相対的に上昇されると共に、下方に下げられる紐状体41を介して前縁リンク部材51が後縁リンク部材53に対して相対的に下降されて複数のスラット4が同期的に回転され、図7及び図8に示すように開口3が垂直方向に傾動された一連の複数のスラット4により閉鎖状態にされる。この閉鎖状態においては、揺動ピン29はスリット25からスリット28に移動されて端部96に配され、係止面27に係止されてその上方への移動が禁止される。その後、電動モータ72の作動が停止され、開口3の閉鎖状態が維持される。
【0046】
本例のブラインド装置によれば、枠体2と、枠体2に囲まれた開口3に上下方向Zにおいて互いに並置された複数のスラット4と、複数のスラット4の夫々の横方向Yにおける端部5を上下方向Zにおいて相互に連結する端部リンク機構6と、複数のスラット4のうちの最下位のスラット4から上昇させると共に当該最下位のスラット4を下降させて、複数のスラット4を昇降させる昇降機構7と、端部リンク機構6の上端に連結されていると共に、昇降機構7による複数のスラット4の昇降において当該複数のスラット4を傾動させるチルト機構8と、複数のスラット4による開口閉鎖時において当該複数のスラット4の位置を固定するスラット固定機構14とを具備しており、スラット固定機構14は、複数のスラット4のうちの最下位のスラット4に設けられていると共にチルト機構8によるスラット4の傾動において揺動する少なくとも一つの揺動ピン29及び99と、枠体2に設けられていると共に開口閉鎖時に揺動ピン29及び99の上方への移動を禁止するように当該揺動ピン29及び99を係止する少なくとも一つの係止面27及び101とを具備しているために、開口閉鎖時において揺動ピン29及び99を係止面27及び101に係止することで最下位のスラット4及びこれに連なる複数のスラット4の夫々の上方への移動を禁止することができ、これにより複数のスラット4により閉鎖した開口3が不意に開放される虞を減少させることができ、而して、複数のスラット4を適切に固定することができて、開口閉鎖状態を維持することができる。なお、前方の端部95及び後方の端部96を有するスリット28の例では、複数のスラット4が垂直方向に傾動されて前方の端部95に揺動ピン29が一旦配されると、意図的に複数のスラット4が上昇されても、この上昇につられて揺動ピン29が上昇されて係止面27に係止されるために、開口を閉鎖した状態で通風のためスラット4を略水平に傾動させた状態でも開口閉鎖状態の維持を得ることができる。
【0047】
ブラインド装置1によれば、複数のスラット4に横方向Yに伸びて夫々配設された剛性軸部材9と、複数のスラット4の夫々の横方向Yにおける中間の位置で当該複数のスラット4に夫々配設された剛性軸部材9を上下方向Zにおいて相互に連結する剛性リンク機構10とを具備しているために、複数のスラットの撓みを防止し得る上に、スラット4の中央部でのばたつきを防止でき、しかも、隣接するスラット4の中央部間の間隔を維持でき、吊り下げ板91を更に具備しているブラインド装置1によれば、スラット4の下降終了において、スラット4の慣性による振動を防止できる。
【0048】
ところで、上記の剛性リンク機構10の夫々では、剛性リンク部材81及び82の折り畳みにおいて、重ね合わされた上下のスラット4間の外で剛性リンク部材81及び82並びに剛性リンク部材84及び85が折り畳まれるようにしたが、これに代えて、図15及び図16に示すように、剛性リンク部材81及び82並びに剛性リンク部材84及び85の折り畳みにおいて、重ね合わされた上下のスラット4間で剛性リンク部材81及び82並びに剛性リンク部材84及び85が折り畳まれるように、各スラット4、剛性リンク部材81及び82並びに剛性リンク部材84及び85を形成してもよく、この場合、例えば、剛性軸部材9よりもスラット4側に近接して軸部材80が位置するように剛性リンク部材81及び82並びに剛性リンク部材84及び85を屈曲させて形成し、折り畳まれた剛性リンク部材81及び82並びに剛性リンク部材84及び85を収容できる空間が重ね合わされた各スラット4間で形成されるように、各スラット4を湾曲状に形成するとよい。また、建物の外壁の開口部に設置された窓サッシ縦枠に下地枠を固定し、この下地枠にブラインド装置1の縦枠11及び12を固定することで外壁の開口部構造を構成してもよく、下地枠は、外壁に直接固定してもよく、また、ブラインド装置1は窓サッシと一体となっていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 ブラインド装置
4 スラット
6 端部リンク機構
7 昇降機構
8 チルト機構
9 剛性軸部材
10 剛性リンク機構
14 スラット固定機構
29、99 揺動ピン
27、101 係止面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18