(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記色彩値演算部は、前記入力値に対応する色彩値の彩度と前記入力値に対応する色彩値の色相における前記最高彩度点の彩度との比、及び/又は、前記入力値に対応する色彩値の明度と前記入力値に対応する色彩値の色相における前記最高彩度点の明度との比に基づいて、前記入力値に対応する色彩値の色相における前記調整値に重み付けを行う、
請求項1から4のいずれか一項に記載の色変換テーブル作成装置。
前記色彩値演算部は、前記入力値に対応する色彩値の彩度が予め定められた閾値未満の場合に、前記入力値に対応する色彩値と前記色彩値演算部により求められる値の色差が所定の値以下となるような重みを用いる、
請求項1から5のいずれか一項に記載の色変換テーブル作成装置。
【発明を実施するための形態】
【0023】
まず、
図1を参照して、本発明の概要を説明する。
図1には、入力色空間の色域(入力色域)と出力色空間の色域(出力色域)が、色度平面(a
*−b
*平面)上に投影された状態で示されている。
本発明では、入力色域において色相毎に彩度が最高の色である最高彩度点に対してそれぞれ目標色を設定しておき、各色相おける最高彩度点が当該最高彩度点に対応する目標色に変換されるように、また、各色相おいて最高彩度点以外の色については彩度、明度、目標色に応じて変換されるように、色変換テーブルを作成する。目標色は、出力色空間の色域を最大限に使用する色であることが望ましい。これにより、入力色空間と出力色空間に色域差があっても、任意の高彩度部の色変換が可能になると同時に、低彩度部については色が大きく変わることを抑えることが可能となる。
【0024】
〔第1の実施の形態〕
次に、本発明に係る色変換テーブル作成装置の第1の実施の形態について説明する。
図2に、印刷システム100のシステム構成を示す。
図2に示すように、印刷システム100は、プリンター10、コントローラー20、色変換テーブル作成装置30、印刷指示端末40a,40b,・・・を備え、各装置は、通信ネットワークNを介してデータ通信可能に接続されている。
【0025】
プリンター10は、コントローラー20から受信したビットマップ形式の画像データ(CMYKデータ)に基づいて、印刷を行う画像形成装置である。具体的には、プリンター10は、感光体ドラム、感光体ドラムの帯電を行う帯電部、画像データに基づいて感光体ドラム表面を露光走査する露光部、感光体ドラムにCMYK各色のトナーを付着させる現像部、感光体ドラム上に形成されたトナー像を用紙に転写する転写部、用紙上に形成されたトナー像を定着させる定着部等から構成される。
【0026】
コントローラー20は、印刷指示端末40a,40b,・・・から送信された印刷データに対して、ラスタライズ、色変換、スクリーニング等の処理を行い、処理後の画像データをプリンター10に送信する。なお、コントローラー20は、プリンター10に内蔵されていてもよい。また、コントローラー20とプリンター10とは、PCI接続等、専用線を介して接続されていてもよい。
【0027】
色変換テーブル作成装置30は、プリンター10から出力した色変換テーブル作成用のチャート(色票集)から測色された色彩値を用いて色変換テーブルを作成する。なお、色変換テーブル作成装置30は、コントローラー20やプリンター10に内蔵されていてもよい。
【0028】
印刷指示端末40a,40b,・・・は、プリンタードライバープログラムや専用のソフトウェアを用いて、コントローラー20に対して印刷指示を行う。具体的には、印刷指示端末40a,40b,・・・は、コントローラー20が解釈可能なページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述された印刷データを生成し、生成された印刷データをコントローラー20に送信する。
【0029】
図3に、コントローラー20の機能的構成を示す。
図3に示すように、コントローラー20は、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、記憶部23、操作部24、表示部25、通信部26等を備え、各部はバス27により接続されている。
【0030】
CPU21は、コントローラー20の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU21は、操作部24から入力される操作信号又は通信部26により受信される指示信号に応じて、記憶部23に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM22に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0031】
RAM22は、CPU21により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0032】
記憶部23は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、記憶部23は、色変換処理プログラム231、デバイスプロファイル232、デバイスリンクプロファイル233等を記憶する。
【0033】
デバイスプロファイル232は、モニターやプリンター等のデバイスに依存するデバイス値(CMYK値、RGB値等)と、デバイスに依存しない色彩値(XYZ値、L
*a
*b
*値等)と、を対応付けたものであり、デバイス値から色彩値への色変換テーブル(LUT:Look Up Table)と色彩値からデバイス値への色変換テーブルから構成される。例えば、CMYKプリンターのデバイスプロファイル232の場合、CMYK値からL
*a
*b
*値へのLUT(AtoBテーブルという。)と、L
*a
*b
*値からCMYK値へのLUT(BtoAテーブルという。)から構成される。色彩値は、プロファイルをつなぐ色空間となることから、プロファイルコネクションスペースと呼ばれる。
なお、色再現ポリシーの違いにより、レンダリングインテントを設定することができる。レンダリングインテントは、知覚、測色、彩度から選ぶことができ、デバイスプロファイル232は、レンダリングインテントの違いにより、3種類のLUTを持つことになる。
【0034】
色変換を行うには、色合わせの目標とするデバイスのデバイスプロファイル232が必要となり、それをソースプロファイル(ターゲットプロファイル)と呼ぶ。例えば、ソースプロファイルとして、オフセット印刷機のプロファイルや、JapanColor等の標準的なプロファイルが選択される。そして、出力デバイスのデバイスプロファイル232をデスティネーションプロファイル(プリンタープロファイル)と呼ぶ。デスティネーションプロファイルとして、実際に出力するプリンター10のプロファイルが選択される。
入力画像データのデバイス値(CMYK値、RGB値等)は、ソースプロファイルのAtoBテーブルを用いてデバイスに依存しない色彩値に変換され、この色彩値がデスティネーションプロファイルのBtoAテーブルを用いて出力デバイスのデバイス値(CMYK値)に変換される。この変換を経ることで、目標とするデバイスのデバイス値に対応するプリンター10のCMYK値を求めることができる。
【0035】
デバイスリンクプロファイル233は、入力デバイスのデバイス値から色彩値への色変換テーブルと色彩値から出力デバイスのデバイス値への色変換テーブルを一つのLUTにしたものである。つまり、デバイスリンクプロファイル233は、入力デバイスのデバイス値と出力デバイスのデバイス値を対応付けたLUTである。デバイスリンクプロファイル233を用いることにより、色変換が一度で済むとともに、CMYK値の場合、3次元のL
*a
*b
*値等に変換しなくてよいので、墨版の情報を残すことができる等、情報の欠損が少なくなる。ただし、デバイスリンクプロファイル233だけでは、色彩値を取得することはできない。
デバイスリンクプロファイル233の場合、レンダリングインテントの概念はなく、一つのLUTのみから構成される。入力画像データのデバイス値は、デバイスリンクプロファイルのLUTを用いて、出力デバイスのCMYK値に変換される。
【0036】
操作部24は、カーソルキー、文字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによる操作入力を受け付ける。操作部24は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU21に出力する。
【0037】
表示部25は、LCD(Liquid Crystal Display)を備え、CPU21からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。
【0038】
通信部26は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部26は、色変換テーブル作成装置30において作成された色変換テーブルを受信する。また、通信部26は、印刷指示端末40a,40b,・・・から印刷データを受信する。また、通信部26は、プリンター10に対してビットマップ形式の画像データを送信する。
【0039】
CPU21は、色変換テーブル作成装置30から受信した色変換テーブルを、デバイスプロファイル232、デバイスリンクプロファイル233として記憶部23に記憶させる。
【0040】
CPU21は、印刷指示端末40a,40b,・・・から受信した印刷データ(PDLデータ)を解析し、ビットマップ形式の画像データに展開する(RIP(Raster Image Processer)処理)。
CPU21は、色変換処理プログラム231との協働により、記憶部23に記憶されているデバイスプロファイル232又はデバイスリンクプロファイル233を用いて、画像データに対して色変換を行う。
【0041】
図4に、色変換テーブル作成装置30の機能的構成を示す。
図4に示すように、色変換テーブル作成装置30は、CPU31、RAM32、記憶部33、操作部34、表示部35、通信部36、測色器IF(InterFace)部37等を備え、各部はバス38により接続されている。
【0042】
CPU31は、色変換テーブル作成装置30の各部の処理動作を統括的に制御する。CPU31は、操作部34から入力される操作信号又は通信部36により受信される指示信号に応じて、記憶部33に格納されている各種処理プログラムを読み出してRAM32に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を実行する。
【0043】
RAM32は、CPU31により実行される各種処理プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0044】
記憶部33は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等の記憶装置からなり、各種処理プログラムや各種処理に関するデータ等を記憶する。例えば、記憶部33は、色変換テーブル作成処理プログラム331、目標色データ332等を記憶する。
【0045】
操作部34は、カーソルキー、文字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによる操作入力を受け付ける。操作部34は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号をCPU31に出力する。例えば、操作部34は、ユーザーがプリンター10に色変換テーブル作成用のチャートの印刷を指示する際、ユーザーが入力色域において色相毎に最高彩度点に対してそれぞれ目標色を指定する際に用いられる。
【0046】
表示部35は、LCDを備え、CPU31からの指示に従って、各種操作画面や各種処理結果を表示する。例えば、表示部35は、色変換テーブルを作成する際のGUI(Graphical User Interface)、目標色を指定するためのGUIを表示する。
【0047】
通信部36は、通信ネットワークNを介して外部装置との間でデータの送受信を行う。例えば、通信部36は、色変換テーブル作成装置30において作成された色変換テーブルをコントローラー20に送信する。
【0048】
測色器IF部37は、測色器50から色変換テーブル作成用のチャートの各パッチを測色して得られた測色データ(色彩値)を受信する。
【0049】
CPU31(目標色設定部)は、入力色空間(色合わせの目標となるデバイス等)の色域において、複数の色相の色相毎に彩度が最高の色である最高彩度点に対してそれぞれ目標色を設定する。最高彩度点は、対象となる色相において、入力デバイスで表現することができる色のうち最も彩度が高い色である。CPU31は、最高彩度点と目標色との対応関係を、目標色データ332として記憶部33に記憶させる。
CPU31(算出部)は、色相毎に、最高彩度点の色彩値及び当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値に基づいて調整値を算出する。具体的には、CPU31は、色相毎に、目標色の色彩値と当該目標色に対応する最高彩度点の色彩値との差を調整値として算出する。
【0050】
CPU31(色彩値演算部)は、色変換テーブルの入力値に対応する色彩値の彩度及び/又は明度に基づいて入力値に対応する色彩値の色相における調整値に重み付けを行い、当該重み付け後の調整値及び入力値に対応する色彩値に基づいて演算を行う。この演算により求められた値、又は、求められる値を演算結果値とする。具体的には、CPU31は、重み付け後の調整値を入力値に対応する色彩値に加算する。
「入力値に対応する色彩値」とは、色変換テーブルの入力値が色彩値である場合には、入力値そのものであり、色変換テーブルの入力値が色彩値でない場合には、入力値を色彩値に変換した値である。第1の実施の形態は、本発明を、出力デバイスのデバイスプロファイルのBtoAテーブルの作成に適用する場合の例である。BtoAテーブルの入力値は色彩値であるから、以下、第1の実施の形態において、「入力値に対応する色彩値」については、単に「入力値」と記載する。
【0051】
CPU31は、入力値の彩度と入力値の色相における最高彩度点の彩度との比、及び/又は、入力値の明度と入力値の色相における最高彩度点の明度との比に基づいて、入力値の色相における調整値に重み付けを行う。
【0052】
より好ましくは、CPU31は、入力値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が低い場合に、入力値と演算結果値の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に当該最高彩度点の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値より大きくなるような重みを用い、入力値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が高い場合に、入力値と演算結果値の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に当該最高彩度点の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値より小さくなるような重みを用いる。
色差は、二つの色の違いを示す値であり、色彩値色空間での二つの色の距離に相当する。例えば、L
*a
*b
*色空間では、二つの色のL
*軸、a
*軸、b
*軸方向の差をそれぞれ二乗したものの和の平方根が色差となる。
【0053】
CPU31は、入力値の彩度が予め定められた閾値未満の場合に、入力値と演算結果値の色差が所定の値以下となるような重みを用いる。「入力値と演算結果値の色差が所定の値以下」には、入力値と演算結果値の色差がゼロの場合、すなわち、上記色彩値演算部による演算により、色彩値が変わらない場合も含まれる。
【0054】
CPU31(変換部)は、演算結果値を出力デバイスのデバイス値に変換する。
CPU31(テーブル作成部)は、この変換により得られた出力デバイスのデバイス値を、入力値に対応する出力値として色変換テーブルを作成する。
【0055】
次に、第1の実施の形態の色変換テーブル作成装置30における動作について説明する。
図5は、色変換テーブル作成装置30において実行される第1のデバイスプロファイル作成処理を示すフローチャートである。第1のデバイスプロファイル作成処理は、CPU31と、記憶部33に記憶されている色変換テーブル作成処理プログラム331との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0056】
まず、CPU31により、測色器IF部37を介して、プリンター10により印刷された色変換テーブル作成用のチャートの測色データが測色器50から取得される(ステップS1)。測色データは、出力デバイスであるプリンター10により印刷された数百から千数百色のパッチ(色票)のデバイス値(CMYKの組み合わせ)と、各パッチの色を測色器50にて測定して得られた色彩値(デバイスに依存しないXYZ値やL
*a
*b
*値等)とが対応付けられたデータである。また、色変換テーブル作成装置30又は外部装置に保存されているファイル等から、予め測定されている測色データが取得されることとしてもよい。
【0057】
次に、CPU31により、測色データに基づいて、プリンター10のデバイス値から色彩値への色変換テーブル(AtoBテーブル)が作成される(ステップS2)。チャートに含まれるパッチはデバイス値全ての組み合わせに対応しているわけではないため、補間計算にて、その他のデバイス値に対する色彩値が計算される。ただし、全デバイス値に対して色彩値を求めようとすると、256階調4色のデバイスでは256×256×256×256色という膨大な組み合わせに対する色彩値を計算しなくてはいけないため、通常、CMYK各色成分について11個前後の組み合わせ(0,10,20,30,40,50,60,70,80,90,100の組み合わせ、計11×11×11×11色等)に対して計算が行われる。また、AtoBテーブルに基づいて出力色域を計算することができる。
【0058】
次に、CPU31により、入力色域が計算される(ステップS3)。出力デバイスのデバイスプロファイルを作成する際には、入力色空間(色合わせの目標になる色空間、RGBモニターや別のCMYKプリンター等)が不明である。そこで、予め定義されている入力色空間、又は、ユーザーが操作部34から指定した入力色空間が取得され、入力色空間のプロファイルから入力色域が計算される。
【0059】
次に、CPU31により、入力色域において、複数の色相の色相毎に最高彩度点に対してそれぞれ目標色が設定される(ステップS4)。具体的には、CPU31により、目標色を指定するためのGUIが表示部35に表示され、ユーザーが操作部34から色相毎に最高彩度点に対する目標色を指定することにより、目標色データ332が生成される。目標色データ332は、CPU31により、記憶部33に記憶される。
なお、目標色データ332の設定方法は、この例に限定されず、予め色変換テーブル作成装置30に定義しておいてもよいし、色変換テーブル作成装置30が参照できるファイルに定義しておいてもよい。また、ユーザーの操作部34からの操作により目標色データ332を置き換え可能としてもよい。
【0060】
目標色データ332は、様々な色情報で設定することができる。
各色相に対して目標色を設定してもよいが、ユーザーによる指定の容易さを考えると、入力デバイス値の組み合わせ(R,G,B)で全色相を網羅するように目標色を設定する方法も有用である。
【0061】
図6に、入力RGB値(入力色域の各色相における最高彩度点に対応)に対して目標色を色彩値(XYZ値やL
*a
*b
*値等)で指定する場合の目標色データ332aの例を示す。目標色を色彩値で指定する場合には、後の計算でそのままの値を使用すればよいが、計算に用いる色空間が別の色彩値の場合には変換する必要がある。例えば、ユーザーによる指定は一般的な色空間であるL
*a
*b
*値にて行い、計算には色の見えモデルであるCIECAM02色空間を使う場合等が考えられる。目標としたい色が明確な場合(他のプリンターの再現色に合わせたい場合等)には、色彩値での指定が有用である。
【0062】
図7に、入力RGB値(入力色域の各色相における最高彩度点に対応)に対して目標色を出力デバイスのデバイス値(CMYK値等)で指定する場合の目標色データ332bの例を示す。目標色をデバイス値で指定する場合には、後の計算で目標色の色彩値を用いる際、出力デバイスのデバイス値から色彩値への色変換テーブル(AtoBテーブル)を用いて目標色を色彩値に変換する。この方法ならば、濁りを入れない純色の再現等を容易に指定することができる。
【0063】
なお、
図6及び
図7では、入力色空間としてRGB色空間を用いた場合について説明したが、入力色空間としてCMYK色空間を用いてもよい。
また、
図7では、出力色空間としてCMYK色空間を用いた場合について説明したが、出力色空間としてRGB色空間を用いてもよいし、5色又は6色の色材を用いるデバイスのデバイス値を用いてもよい。
【0064】
また、目標色を色彩値の一部の情報(色相等)を用いて指定することとしてもよい。目標色を色彩値の一部の情報で指定する場合には、例えば、CPU31は、ユーザーに操作部34から色相の指定のみを行わせ、ステップS2で作成されたAtoBテーブルを用いて、出力デバイスの色域において、ユーザーにより指定された色相で彩度が最高の色を目標色として設定する。
【0065】
図8に、色彩値で目標色を指定する場合のGUIの例として目標色指定画面351を示す。目標色指定画面351には、測色データ選択領域61、グラフ表示領域62、レンダリングインテント選択領域63、入力プロファイル選択領域64、ラジオボタンR1,R2、入力デバイス値指定領域65、入力色彩値表示領域66、目標色指定領域67、目標デバイス値表示領域68、ラジオボタンR3,R4,R5,R6が含まれる。
【0066】
測色データ選択領域61は、色変換テーブル作成用の測色データを選択するための領域である。ユーザーが、測色データ選択領域61において、出力デバイスから出力されたチャートを測色して得られた測色データを選択すると、CPU31により、選択された測色データが読み込まれる。測色ボタンB1を押下することにより、測定画面が開かれることとしてもよい。
【0067】
グラフ表示領域62は、目標色をグラフ上で指定するための領域である。ユーザーが操作部34から操作することにより、入力色空間上の各色相における最高彩度点を選択し、望みの色まで移動させると、選択された最高彩度点に対する目標色が設定される。具体的には、ユーザーが入力色空間上の各色相における最高彩度点にマウスポインターを合わせた状態でマウスの左ボタンを押下し、マウスの左ボタンを押下した状態でマウスを移動させ、望みの色(目標色)にマウスポインターを合わせたところで左ボタンを離すと、選択された最高彩度点に対する目標色が設定される。
【0068】
レンダリングインテント選択領域63は、色変換に適用するレンダリングインテントを選択するための領域である。
入力プロファイル選択領域64は、入力プロファイル(入力色空間)を選択するための領域である。ユーザーに入力プロファイルを選択させずに、予め既定のRGB色空間等を定義しておいてもよい。
【0069】
ラジオボタンR1,R2は、ユーザーが目標色を設定する際に用いる色空間を選択するためのものである。
図8では、色彩値のラジオボタンR2が選択されているので、グラフ表示領域62、及び、目標色指定領域67は、色彩値(L
*a
*b
*値)の入力を受け付けるようになっており、色彩値で目標色が設定される。
【0070】
入力デバイス値指定領域65は、目標色を設定する各色相における最高彩度点を指定するための領域である。入力デバイス値指定領域65において入力デバイス値が直接入力されてもよいし、グラフ表示領域62において選択された各色相における最高彩度点に対応する入力デバイス値が反映されることとしてもよい。
入力色彩値表示領域66には、入力デバイス値指定領域65において指定された入力デバイス値に対応する色彩値が表示される。
【0071】
目標色指定領域67は、指定された入力RGB値(各色相における最高彩度点)に対する目標色を色彩値で指定するための領域である。目標色指定領域67において目標色が直接入力されてもよいし、グラフ表示領域62において選択された色の変換先として指定された目標色が反映されることとしてもよい。
目標デバイス値表示領域68には、目標色指定領域67において指定された目標色に対応するデバイス値が表示される。
【0072】
ラジオボタンR3,R4,R5,R6は、a
*−b
*平面、L
*−a
*平面、L
*−b
*平面、3Dの中から、グラフ表示領域62に表示される色空間の表示方法を指定するためのものである。
【0073】
図8の例では、入力色域及び出力色域を色空間で表示し、入力色域の各色相における最高彩度点に対して、望みの目標色を指定することで、目標色の色域を定義することができる。
【0074】
図9に、デバイス値(CMYK値)で目標色を指定する場合のGUIの例として目標色指定画面352を示す。目標色指定画面352には、測色データ選択領域71、グラフ表示領域72、チェックボックスC1,C2,C3,C4、レンダリングインテント選択領域73、入力プロファイル選択領域74、ラジオボタンR11,R12、入力デバイス値指定領域75、入力色彩値表示領域76、目標デバイス値指定領域77、目標色彩値表示領域78が含まれる。
【0075】
測色データ選択領域71は、色変換テーブル作成用の測色データを選択するための領域である。
【0076】
グラフ表示領域72は、目標色をカーブ(グラフ)にて指定するための領域である。グラフの横軸は色相(R〜Y〜G〜C〜B〜M〜R)、縦軸はデバイス値である。ユーザーが操作部34から操作することにより、対象となるデバイス色(CMYK)のカーブ上の変更したいポイントを選択し、望みの色まで移動させると、該当色相における目標色を構成するデバイス値(CMYK)が設定される。この方法は、視覚的にもわかりやすく、操作性に優れている。カーブ上で変更された結果が即座に目標デバイス値指定領域77、目標色彩値表示領域78の数値に反映されることが望ましい。
【0077】
チェックボックスC1,C2,C3,C4は、グラフ表示領域72に表示されるグラフの色成分を選択する際に用いられる。
【0078】
レンダリングインテント選択領域73は、色変換に適用するレンダリングインテントを選択するための領域である。
入力プロファイル選択領域74は、入力プロファイル(入力色空間)を選択するための領域である。
【0079】
ラジオボタンR11,R12は、ユーザーが目標色を設定する際に用いる色空間を選択するためのものである。
図9では、デバイス値のラジオボタンR11が選択されているので、グラフ表示領域72、及び、目標デバイス値指定領域77は、デバイス値(CMYK値)の入力を受け付けるようになっており、デバイス値で目標色が設定される。
【0080】
入力デバイス値指定領域75は、目標色を設定する各色相における最高彩度点を指定するための領域である。入力デバイス値指定領域75において、各色相における最高彩度点がRGB値で入力される。あるいは、色相角で指定を受け付け、この色相角における入力色域の最高彩度点を、目標色を設定する対象色としてもよい。
入力色彩値表示領域76には、入力デバイス値指定領域75において指定された入力デバイス値に対応する色彩値が表示される。
【0081】
目標デバイス値指定領域77は、指定された入力RGB値や色相角に対する目標色をデバイス値で指定するための領域である。
目標色彩値表示領域78には、目標デバイス値指定領域77において指定された目標デバイス値に対応する色彩値が表示される。
【0082】
なお、
図9において、色彩値のラジオボタンR12が選択されている場合には、グラフ表示領域72に表示されるグラフの縦軸は色彩値となる。この場合、目標デバイス値指定領域77に代えて、目標色を色彩値で受け付ける目標色指定領域が設けられるとともに、目標色指定領域で指定される目標色に対応するデバイス値(CMYK値)が表示される。
【0083】
次に、CPU31により、目標色が設定された全色相に対して、目標色の色彩値と当該目標色に対応する最高彩度点の色彩値との差分E(調整値)が算出される(ステップS5)。色相毎に算出された差分Eは、CPU31により、RAM32に格納される。色相は離散データではなく、連続的なデータであるため、有限の個数の色相について差分Eを計算しておき、その間の色相に対しては、利用する場合に補間して求める。
【0084】
入力色域における各色相での最高彩度点の色彩値を(L
*1p,a
*1p,b
*1p)、それぞれに対応する目標色の色彩値を(L
*2p,a
*2p,b
*2p)とすると(p=1〜目標色が設定されている最高彩度点の数)、目標色の色彩値と当該目標色に対応する最高彩度点の色彩値との差分Eは、明度差ΔL
p、彩度差ΔC
p、色相差Δh
pで構成される。
【0086】
次に、CPU31により、色彩値からプリンター10のデバイス値への色変換テーブル(BtoAテーブル)の入力点(入力値であるL
*a
*b
*値が示す格子点)の色彩値Iが取得される(ステップS6)。デバイスプロファイルの作成時は、プロファイルコネクションスペース(L
*a
*b
*等)の組み合わせ全点(33×33×33点等)に対して計算される。
【0087】
BtoAテーブルの入力点の色彩値を(L
*3i,a
*3i,b
*3i)とすると(i=1〜入力点の数)、入力点の彩度C
*3i、入力点の色相h
*3iは、以下の式により求められる。
【0089】
次に、CPU31により、入力点の彩度C
*3iが予め定められた閾値以上であるか否かが判断される(ステップS7)。低彩度部は、目標色に基づく色変換を行わない方が、肌等を含む自然画像がより測色的に正しい再現になる。この閾値を、ユーザーが設定できるようにしてもよい。
【0090】
なお、同様に、入力点の明度L
*3iに対しても第1閾値及び第2閾値(第1閾値<第2閾値)を設け、明度L
*3iが第1閾値以下の場合又は第2閾値以上の場合にのみ、目標色に基づく色変換を行うこととしてもよい。あるいは、入力点の明度L
*3iに対して第1閾値、第2閾値のいずれか一方のみを設けてもよい。
【0091】
入力点の彩度C
*3iが閾値以上である場合には(ステップS7;YES)、CPU31により、入力点の彩度C
*3iと明度L
*3iに基づいて、重みW
iが算出される(ステップS8)。
重みW
iは、入力点の色相h
*3iにおける入力色域の最高彩度点の彩度C
*giに対する入力点の彩度C
*3iの比率C
*3i/C
*gi、入力点の色相h
*3iにおける入力色域の最高彩度点の明度L
*giに対する入力点の明度L
*3iの比率L
*3i/L
*giの関数である。明度L
*gi、彩度C
*giは、ステップS4で目標色が設定された入力色域における各色相での最高彩度点の明度L
*1p、彩度C
*1pに基づいて、補間計算により求められる。
【0093】
ここで、重みW
iの具体例について説明する。
<具体例1>
入力点の彩度C
*3iによって重み付けをする場合には、例えば、次式が用いられる。
【0095】
<具体例2>
入力点の彩度C
*3iによって重み付けをする場合であって、さらに、低彩度部の色を変えないように閾値t(0<t<C
*gi)を設定した場合には、例えば、次式が用いられる。
【0097】
このように、重みW
iを算出する際に、入力点の色相h
*3iにおける「入力色域の最高彩度点の彩度C
*giと閾値tとの差」に対する「入力点の彩度C
*3iと閾値tとの差」の比率を用いてもよい。また、明度についても同様に、閾値uを設け、入力点の色相h
*3iにおける「入力色域の最高彩度点の明度L
*giと閾値uとの差」に対する「入力点の明度L
*3iと閾値uとの差」の比率を用いてもよい。
【0098】
<具体例3>
入力点の彩度C
*3iと明度L
*3iによって重み付けをする場合であって、入力点の色相h
*3iにおいて入力色域の最高彩度点の明度L
*giより当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が低い場合には、例えば、次式が用いられる。
【0100】
次に、CPU31により、入力点の色相h
*3iにおける差分E(調整値)に重みW
iが掛けられ、重み付け後の差分Eが入力点の色彩値Iに加算される(ステップS9)。加算後の色彩値I’を(L
*4i,a
*4i,b
*4i)とし、加算後の色彩値I’の彩度をC
*4i、色相をh
*4iとする。入力点の色相h
*3iにおける明度差ΔL
i、彩度差ΔC
i、色相差Δh
iは、ステップS5で算出された明度差ΔL
p、彩度差ΔC
p、色相差Δh
pに基づいて、補間計算により求められる。
【0102】
なお、ここでは、明度、彩度、色相に対して同じ重みW
iを用いているが、明度、彩度、色相毎に重みW
iを変えてもよい。
【0103】
ステップS7において、入力点の彩度C
*3iが閾値未満である場合には(ステップS7;NO)、CPU31により、色彩値Iがそのまま処理後の色彩値I’とされる(ステップS10)。
【0104】
ステップS9又はステップS10の後、CPU31により、色彩値I’からプリンター10のデバイス値に変換される(ステップS11)。具体的には、CPU31により、プリンター10のデバイス値から色彩値への色変換テーブル(ステップS2で作成されたAtoBテーブル)に基づいて、逆変換が行われ、色彩値I’(L
*4i,a
*4i,b
*4i)に対するデバイス値(C
5i,M
5i,Y
5i,K
5i)が計算される。色彩値I’が出力デバイスの色域外にある場合には、色域内へ収める写像(ガマットマッピング)が行われる。
【0105】
次に、CPU31により、色彩値IからステップS11で得られたデバイス値への対応が色変換テーブルにセットされる(ステップS12)。すなわち、CPU31により、入力点(L
*3i,a
*3i,b
*3i)に対する出力点(出力値となるCMYK値が示す格子点)として(C
5i,M
5i,Y
5i,K
5i)がBtoAテーブルにセットされる。
【0106】
次に、CPU31により、全ての入力点に対して処理が終了したか否かが判断される(ステップS13)。
処理が終了していない入力点がある場合には(ステップS13;NO)、ステップS6に戻り、処理が繰り返される。
【0107】
全ての入力点に対して処理が終了した場合には(ステップS13;YES)、CPU31により、色変換テーブルの書き出しが行われる(ステップS14)。具体的には、CPU31により、ステップS2で作成されたデバイス値から色彩値への色変換テーブルと、ステップS12で作成された色彩値Iからデバイス値への色変換テーブルが、デバイスプロファイルとして記憶部33に記憶される。
以上で、第1のデバイスプロファイル作成処理が終了する。
【0108】
図5では、1種類のレンダリングインテントについての処理のみを記載したが、実際には、知覚、測色、彩度の3種類のレンダリングインテントについて計算することなる。なお、一番適しているのは「彩度」レンダリングである。「知覚」に関しても、ユーザーの望みの色再現を行うという意味で適用可能である。「測色」に関しては、色彩値を正しくない方向に動かすことになるので、あまり適していないが、微調整に用いる程度の使い方ならば、適用することができる。
【0109】
色変換テーブル作成装置30により作成された色変換テーブル(デバイスプロファイル)は、CPU31により、通信部36を介してコントローラー20に送信される。
【0110】
図10(a)及び(b)、
図11(a)及び(b)に、ある色相における入力色空間から出力色空間への写像の例を示す。この写像は、入力値に対する演算結果値(ステップS9において求められる色彩値I’)を示すものである。各図において、四角印が入力色空間での色(入力値)を示し、丸印がそれを写像した出力色空間での色(演算結果値)を示している。なお、簡単のため、色相の変化はないものとする。
【0111】
図10(a)は、入力色域の最高彩度点81の明度よりも最高彩度点81に対応する目標色82の明度の方が低い場合の例である。
図10(a)では、最高彩度点81と目標色82の色差を基準写像量として、入力値と入力値に対する写像(演算結果値)の色差が、基準写像量に、最高彩度点81の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値となっている。すなわち、基準写像量に対して入力彩度に比例した重み付けをすることで、入力彩度が最高彩度点81から離れるに従って、写像量が小さくなっている。
CMYKプリンターの色域は、
図10(a)に示すように、彩度−明度平面において下に凸のすり鉢状になっている場合があり、この場合、入力彩度に比例した重み付けでは、出力色域を最大限に使用することができず、色域欠損部が生じてしまう。シャドウ部の階調性は、印刷物の品質を左右する重要な項目であるため、シャドウ部において色域を最大限有効に使用することが望ましい。
【0112】
そこで、
図10(b)に示すように、入力値と入力値に対する写像(演算結果値)の色差が、基準写像量に、最高彩度点81の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値より大きくなるような重みを用いることとする。これにより、出力色空間の色域をより有効に使う方向への写像が可能となり、色域欠損を防止することができる。このとき、色域の外にはみ出しても、色域外写像により、色域表面にクリッピングすればよい。
【0113】
図11(a)は、入力色域の最高彩度点83の明度よりも最高彩度点83に対応する目標色84の明度の方が高い場合の例である。
図11(a)においても、最高彩度点83と目標色84の色差を基準写像量として、入力値と入力値に対する写像(演算結果値)の色差が、基準写像量に、最高彩度点83の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値となっている。すなわち、基準写像量に対して入力彩度に比例した重み付けをすることで、入力彩度が最高彩度点83から離れるに従って、写像量が小さくなっている。
図11(a)に示すように、CMYKプリンターの色域が、彩度−明度平面において下に凸のすり鉢状になっている場合には、入力彩度に比例した重み付けでは、出力色域を最大限に使用することができず、色域欠損部が生じてしまう。
【0114】
そこで、
図11(b)に示すように、入力値と入力値に対する写像(演算結果値)の色差が、基準写像量に、最高彩度点83の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値より小さくなるような重みを用いることとする。これにより、出力色空間の色域をより有効に使う方向への写像が可能となり、色域欠損を防止することができる。
【0115】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、入力色域において色相毎に最高彩度点に対してそれぞれ目標色を設定するだけで、色変換テーブル全体の入力値と出力値との対応を算出することができるので、ユーザーが望む色変換を行うための色変換テーブルの作成を簡単に行うことができる。
【0116】
また、入力値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が低い場合に、入力値(色彩値I)と演算結果値(色彩値I’)の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に当該最高彩度点の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値より大きくなるような重みを用いることにより、出力色空間の色域をより有効に使うことができ、色域欠損を防止することができる(
図10(b)参照)。
また、入力値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が高い場合に、入力値(色彩値I)と演算結果値(色彩値I’)の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に当該最高彩度点の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値より小さくなるような重みを用いることにより、出力色空間の色域をより有効に使うことができ、色域欠損を防止することができる(
図11(b)参照)。
【0117】
また、入力値の彩度が予め定められた閾値未満の場合に、入力値(色彩値I)と演算結果値(色彩値I’)の色差が所定の値以下となるような重みを用いることにより、低彩度部については、あまり色を変えずに、自然な色再現を実現することができる。
【0118】
また、目標としたい色が明確に定まっている場合には、目標色を色彩値で設定することが望ましい。
また、色彩値よりもCMYK値等のデバイス値の方が指定しやすいユーザーにとっては、目標色を出力デバイスのデバイス値で設定することができる。
また、色相のみを指定し、出力デバイスの色域において、指定された色相で彩度が最高の色を目標色として設定する場合には、より簡単に目標色を設定することができる。
【0119】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明に係る色変換テーブル作成装置の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、入力色域の各色相における最高彩度点に対する目標色の比に基づいてデバイスプロファイルを作成する場合について説明する。第2の実施の形態における印刷システムは、第1の実施の形態に示した印刷システム100と同様の構成であるため、
図2〜
図4を援用し、その構成については説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0120】
CPU31(目標色設定部)は、入力色空間(色合わせの目標となるデバイス等)の色域において、複数の色相の色相毎に彩度が最高の色である最高彩度点に対してそれぞれ目標色を設定する。
CPU31(算出部)は、色相毎に、最高彩度点の色彩値及び当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値に基づいて調整値を算出する。具体的には、CPU31は、色相毎に、最高彩度点の色彩値に対する当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値の比を調整値として算出する。
【0121】
CPU31(色彩値演算部)は、色変換テーブルの入力値に対応する色彩値の彩度及び/又は明度に基づいて入力値に対応する色彩値の色相における調整値に重み付けを行い、当該重み付け後の調整値及び入力値に対応する色彩値に基づいて演算を行う。この演算により求められた値、又は、求められる値を演算結果値とする。具体的には、CPU31は、重み付け後の調整値を入力値に対応する色彩値に乗算する。
第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様、本発明を、出力デバイスのデバイスプロファイルのBtoAテーブルの作成に適用する場合の例である。BtoAテーブルの入力値は色彩値であるから、以下、第2の実施の形態において、「入力値に対応する色彩値」については、単に「入力値」と記載する。
【0122】
CPU31は、入力値の彩度と入力値の色相における最高彩度点の彩度との比、及び/又は、入力値の明度と入力値の色相における最高彩度点の明度との比に基づいて、入力値の色相における調整値に重み付けを行う。
【0123】
より好ましくは、CPU31は、入力値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が低い場合に、入力値と演算結果値の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に当該最高彩度点の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値より大きくなるような重みを用い、入力値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が高い場合に、入力値と演算結果値の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に当該最高彩度点の彩度に対する入力値の彩度の比を掛けた値より小さくなるような重みを用いる。
【0124】
CPU31は、入力値の彩度が予め定められた閾値未満の場合に、入力値と演算結果値の色差が所定の値以下となるような重みを用いる。
【0125】
CPU31(変換部)は、演算結果値を出力デバイスのデバイス値に変換する。
CPU31(テーブル作成部)は、この変換により得られた出力デバイスのデバイス値を、入力値に対応する出力値として色変換テーブルを作成する。
【0126】
次に、第2の実施の形態の色変換テーブル作成装置30における動作について説明する。
図12は、色変換テーブル作成装置30において実行される第2のデバイスプロファイル作成処理を示すフローチャートである。第2のデバイスプロファイル作成処理は、CPU31と、記憶部33に記憶されている色変換テーブル作成処理プログラム331との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0127】
ステップS21〜ステップS24の処理は、
図5のステップS1〜ステップS4の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0128】
次に、CPU31により、目標色が設定された全色相に対して、最高彩度点の色彩値に対する当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値の比R(調整値)が算出される(ステップS25)。色相毎に算出された比Rは、CPU31により、RAM32に格納される。
【0129】
入力色域における各色相での最高彩度点の色彩値を(L
*1p,a
*1p,b
*1p)、それぞれに対応する目標色の色彩値を(L
*2p,a
*2p,b
*2p)とすると(p=1〜目標色が設定されている最高彩度点の数)、最高彩度点の色彩値に対する当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値の比Rは、明度比rL
p、彩度比rC
p、色相比rh
pで構成される。
【0131】
ステップS26〜ステップS28の処理は、
図5のステップS6〜ステップS8の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0132】
次に、CPU31により、入力点の色相h
*3iにおける比R(調整値)に重みW
iが掛けられ、重み付け後の比Rが入力点の色彩値Iに乗算される(ステップS29)。乗算後の色彩値I’を(L
*4i,a
*4i,b
*4i)とし、乗算後の色彩値I’の彩度をC
*4i、色相をh
*4iとする。入力点の色相h
*3iにおける明度比rL
i、彩度比rC
i、色相比rh
iは、ステップS25で算出された明度比rL
p、彩度比rC
p、色相比rh
pに基づいて、補間計算により求められる。
【0134】
ステップS27において、入力点の彩度C
*3iが閾値未満である場合には(ステップS27;NO)、CPU31により、色彩値Iがそのまま処理後の色彩値I’とされる(ステップS30)。
【0135】
ステップS29又はステップS30の後、ステップS31に移行する。
ステップS31〜ステップS34の処理は、
図5のステップS11〜ステップS14の処理と同様であるため、説明を省略する。
以上で、第2のデバイスプロファイル作成処理が終了する。
【0136】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0137】
〔第3の実施の形態〕
次に、本発明に係る色変換テーブル作成装置の第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、入力デバイスの色域の各色相における目標色と最高彩度点との差に基づいてデバイスリンクプロファイルを作成する場合について説明する。第3の実施の形態における印刷システムは、第1の実施の形態に示した印刷システム100と同様の構成であるため、
図2〜
図4を援用し、その構成については説明を省略する。以下、第3の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0138】
CPU31(目標色設定部)は、入力デバイスの色域において、複数の色相の色相毎に彩度が最高の色である最高彩度点に対してそれぞれ目標色を設定する。
CPU31(算出部)は、色相毎に、最高彩度点の色彩値及び当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値に基づいて調整値を算出する。具体的には、CPU31は、色相毎に、目標色の色彩値と当該目標色に対応する最高彩度点の色彩値との差を調整値として算出する。
【0139】
CPU31(色彩値演算部)は、色変換テーブルの入力値(入力デバイスのデバイス値)に対応する色彩値の彩度及び/又は明度に基づいて入力値に対応する色彩値の色相における調整値に重み付けを行い、当該重み付け後の調整値及び入力値に対応する色彩値に基づいて演算を行う。この演算により求められた値、又は、求められる値を演算結果値とする。具体的には、CPU31は、重み付け後の調整値を入力値に対応する色彩値に加算する。
【0140】
CPU31は、入力値に対応する色彩値の彩度と入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の彩度との比、及び/又は、入力値に対応する色彩値の明度と入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の明度との比に基づいて、入力値に対応する色彩値の色相における調整値に重み付けを行う。
【0141】
より好ましくは、CPU31は、入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が低い場合に、入力値に対応する色彩値と演算結果値の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に、「当該最高彩度点の彩度」に対する「入力値に対応する色彩値の彩度」の比を掛けた値より大きくなるような重みを用い、入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が高い場合に、入力値に対応する色彩値と演算結果値の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に、「当該最高彩度点の彩度」に対する「入力値に対応する色彩値の彩度」の比を掛けた値より小さくなるような重みを用いる。
【0142】
CPU31は、入力値に対応する色彩値の彩度が予め定められた閾値未満の場合に、入力値に対応する色彩値と演算結果値の色差が所定の値以下となるような重みを用いる。
【0143】
CPU31(変換部)は、演算結果値を出力デバイスのデバイス値に変換する。
CPU31(テーブル作成部)は、この変換により得られた出力デバイスのデバイス値を、入力値に対応する出力値として色変換テーブルを作成する。
【0144】
次に、第3の実施の形態の色変換テーブル作成装置30における動作について説明する。
図13は、色変換テーブル作成装置30において実行される第1のデバイスリンクプロファイル作成処理を示すフローチャートである。第1のデバイスリンクプロファイル作成処理は、CPU31と、記憶部33に記憶されている色変換テーブル作成処理プログラム331との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
デバイスリンクプロファイルの作成においては、計算時に1種類のレンダリングインテントが選択される。
【0145】
まず、CPU31により、記憶部33に記憶されている色変換プロファイルの中からデスティネーションプロファイルが取得される(ステップS41)。これにより、プリンター10のデバイス値から色彩値への色変換テーブル(AtoBテーブル)、及び、色彩値からプリンター10のデバイス値への色変換テーブル(BtoAテーブル)が取得される。CPU31により、通信部36を介して外部装置からデスティネーションプロファイルが取得されることとしてもよい。
【0146】
次に、CPU31により、記憶部33に記憶されている色変換プロファイルの中からソースプロファイルが取得される(ステップS42)。これにより、入力デバイスのデバイス値(RGB値等)から色彩値への色変換テーブル(AtoBテーブル)、及び、色彩値から入力デバイスのデバイス値への色変換テーブル(BtoAテーブル)が取得される。CPU31により、通信部36を介して外部装置からソースプロファイルが取得されることとしてもよい。
【0147】
次に、CPU31により、入力色域が計算される(ステップS43)。デバイスリンクプロファイルを作成する場合には、ステップS42において取得されたソースプロファイルのAtoBテーブルから入力色域を計算することができる。
【0148】
次に、CPU31により、入力デバイスの色域において、複数の色相の色相毎に最高彩度点に対してそれぞれ目標色が設定される(ステップS44)。目標色データ332の設定方法については、第1の実施の形態に示したデバイスプロファイルの場合と同様である。
【0149】
具体的には、デバイスリンクプロファイルを作成する場合においても、
図8に示した目標色指定画面351、
図9に示した目標色指定画面352と同様のGUIにおいて、目標色が指定される。ただし、測色データ選択領域61、測色データ選択領域71で測色データを選択する必要はなく、デスティネーションプロファイルのAtoBテーブルが測色データに相当する。
【0150】
次に、CPU31により、目標色が設定された全色相に対して、目標色の色彩値と当該目標色に対応する最高彩度点の色彩値との差分E(調整値)が算出される(ステップS45)。色相毎に算出された差分Eは、CPU31により、RAM32に格納される。
【0151】
入力色域における各色相での最高彩度点の色彩値を(L
*1p,a
*1p,b
*1p)、それぞれに対応する目標色の色彩値を(L
*2p,a
*2p,b
*2p)とすると(p=1〜目標色が設定されている最高彩度点の数)、目標色の色彩値と当該目標色に対応する最高彩度点の色彩値との差分Eを構成する明度差ΔL
p、彩度差ΔC
p、色相差Δh
pは、上記式(1)〜(3)により求められる。
【0152】
次に、CPU31により、色変換テーブル(デバイスリンクプロファイル)の入力点(入力値であるRGB値が示す格子点)の色彩値Iが取得される(ステップS46)。デバイスリンクプロファイルの作成時は、入力色空間(RGB等)の組み合わせ全点(20×20×20点等)に対して色彩値Iが計算される。
【0153】
デバイスリンクプロファイルの入力点を(R
0i,G
0i,B
0i)、入力点に対応する色彩値(入力点からソースプロファイルのAtoBテーブルにより変換される色彩値)を(L
*3i,a
*3i,b
*3i)、入力点に対応する彩度をC
*3i、入力点に対応する色相をh
*3iとする(i=1〜入力点の数)。
【0154】
次に、CPU31により、入力点に対応する彩度C
*3iが予め定められた閾値以上であるか否かが判断される(ステップS47)。
【0155】
なお、同様に、入力点に対応する明度L
*3iに対しても第1閾値及び第2閾値(第1閾値<第2閾値)を設け、明度L
*3iが第1閾値以下の場合又は第2閾値以上の場合にのみ、目標色に基づく色変換を行うこととしてもよい。あるいは、入力点に対応する明度L
*3iに対して第1閾値、第2閾値のいずれか一方のみを設けてもよい。
【0156】
入力点に対応する彩度C
*3iが閾値以上である場合には(ステップS47;YES)、CPU31により、入力点に対応する彩度C
*3iと明度L
*3iに基づいて、重みW
iが算出される(ステップS48)。重みW
iの算出方法については、第1の実施の形態に示したデバイスプロファイルの場合と同様である。
【0157】
次に、CPU31により、入力点に対応する色相h
*3iにおける差分E(調整値)に重みW
iが掛けられ、重み付け後の差分Eが入力点に対応する色彩値Iに加算される(ステップS49)。加算後の色彩値I’を(L
*4i,a
*4i,b
*4i)とし、加算後の色彩値I’の彩度をC
*4i、色相をh
*4iとすると、これらの値は、上記式(5)〜(9)により求められる。入力点に対応する色相h
*3iにおける明度差ΔL
i、彩度差ΔC
i、色相差Δh
iは、ステップS45で算出された明度差ΔL
p、彩度差ΔC
p、色相差Δh
pに基づいて、補間計算により求められる。
【0158】
ステップS47において、入力点に対応する彩度C
*3iが閾値未満である場合には(ステップS47;NO)、CPU31により、色彩値Iがそのまま処理後の色彩値I’とされる(ステップS50)。
【0159】
ステップS49又はステップS50の後、CPU31により、色彩値I’からプリンター10のデバイス値に変換される(ステップS51)。具体的には、CPU31により、デスティネーションプロファイルのBtoAテーブルが参照され、色彩値I’(L
*4i,a
*4i,b
*4i)からデバイス値(C
5i,M
5i,Y
5i,K
5i)が計算される。色彩値I’が出力デバイスの色域外にある場合には、色域内へ収める写像(ガマットマッピング)が行われる。
【0160】
次に、CPU31により、入力デバイスのデバイス値からステップS51で得られた出力デバイスのデバイス値への対応が色変換テーブルにセットされる(ステップS52)。すなわち、CPU31により、入力点(R
0i,G
0i,B
0i)に対する出力点(出力値となるCMYK値が示す格子点)として(C
5i,M
5i,Y
5i,K
5i)がデバイスリンクプロファイルの色変換テーブルにセットされる。
【0161】
次に、CPU31により、全ての入力点に対して処理が終了したか否かが判断される(ステップS53)。
処理が終了していない入力点がある場合には(ステップS53;NO)、ステップS46に戻り、処理が繰り返される。
【0162】
全ての入力点に対して処理が終了した場合には(ステップS53;YES)、CPU31により、色変換テーブルの書き出しが行われる(ステップS54)。
以上で、第1のデバイスリンクプロファイル作成処理が終了する。
【0163】
以上説明したように、第3の実施の形態によれば、入力色域において色相毎に最高彩度点に対してそれぞれ目標色を設定するだけで、色変換テーブル全体の入力値と出力値との対応を算出することができるので、ユーザーが望む色変換を行うための色変換テーブルの作成を簡単に行うことができる。
【0164】
また、入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が低い場合に、入力値に対応する色彩値(色彩値I)と演算結果値(色彩値I’)の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に、当該最高彩度点の彩度に対する入力値に対応する色彩値の彩度の比を掛けた値より大きくなるような重みを用いることにより、出力色空間の色域をより有効に使うことができ、色域欠損を防止することができる(
図10(b)参照)。
また、入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が高い場合に、入力値に対応する色彩値(色彩値I)と演算結果値(色彩値I’)の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に、当該最高彩度点の彩度に対する入力値に対応する色彩値の彩度の比を掛けた値より小さくなるような重みを用いることにより、出力色空間の色域をより有効に使うことができ、色域欠損を防止することができる(
図11(b)参照)。
【0165】
また、入力値に対応する色彩値の彩度が予め定められた閾値未満の場合に、入力値に対応する色彩値と演算結果値の色差が所定の値以下となるような重みを用いることにより、低彩度部については、あまり色を変えずに、自然な色再現を実現することができる。
【0166】
また、目標としたい色が明確に定まっている場合には、目標色を色彩値で設定することが望ましい。
また、色彩値よりもCMYK値等のデバイス値の方が指定しやすいユーザーにとっては、目標色を出力デバイスのデバイス値で設定することができる。
また、色相のみを指定し、出力デバイスの色域において、指定された色相で彩度が最高の色を目標色として設定する場合には、より簡単に目標色を設定することができる。
【0167】
〔第4の実施の形態〕
次に、本発明に係る色変換テーブル作成装置の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、入力デバイスの色域の各色相における最高彩度点に対する目標色の比に基づいてデバイスリンクプロファイルを作成する場合について説明する。第4の実施の形態における印刷システムは、第1の実施の形態に示した印刷システム100と同様の構成であるため、
図2〜
図4を援用し、その構成については説明を省略する。以下、第4の実施の形態に特徴的な構成及び処理について説明する。
【0168】
CPU31(目標色設定部)は、入力デバイスの色域において、複数の色相の色相毎に彩度が最高の色である最高彩度点に対してそれぞれ目標色を設定する。
CPU31(算出部)は、色相毎に、最高彩度点の色彩値及び当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値に基づいて調整値を算出する。具体的には、CPU31は、色相毎に、最高彩度点の色彩値に対する当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値の比を調整値として算出する。
【0169】
CPU31(色彩値演算部)は、色変換テーブルの入力値(入力デバイスのデバイス値)に対応する色彩値の彩度及び/又は明度に基づいて入力値に対応する色彩値の色相における調整値に重み付けを行い、当該重み付け後の調整値及び入力値に対応する色彩値に基づいて演算を行う。この演算により求められた値、又は、求められる値を演算結果値とする。具体的には、CPU31は、重み付け後の調整値を入力値に対応する色彩値に乗算する。
【0170】
CPU31は、入力値に対応する色彩値の彩度と入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の彩度との比、及び/又は、入力値に対応する色彩値の明度と入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の明度との比に基づいて、入力値に対応する色彩値の色相における調整値に重み付けを行う。
【0171】
より好ましくは、CPU31は、入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が低い場合に、入力値に対応する色彩値と演算結果値の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に、「当該最高彩度点の彩度」に対する「入力値に対応する色彩値の彩度」の比を掛けた値より大きくなるような重みを用い、入力値に対応する色彩値の色相における最高彩度点の明度より当該最高彩度点に対応する目標色の明度の方が高い場合に、入力値に対応する色彩値と演算結果値の色差が、当該最高彩度点と当該最高彩度点に対応する目標色の色差に、「当該最高彩度点の彩度」に対する「入力値に対応する色彩値の彩度」の比を掛けた値より小さくなるような重みを用いる。
【0172】
CPU31は、入力値に対応する色彩値の彩度が予め定められた閾値未満の場合に、入力値に対応する色彩値と演算結果値の色差が所定の値以下となるような重みを用いる。
【0173】
CPU31(変換部)は、演算結果値を出力デバイスのデバイス値に変換する。
CPU31(テーブル作成部)は、この変換により得られた出力デバイスのデバイス値を、入力値に対応する出力値として色変換テーブルを作成する。
【0174】
次に、第4の実施の形態の色変換テーブル作成装置30における動作について説明する。
図14は、色変換テーブル作成装置30において実行される第2のデバイスリンクプロファイル作成処理を示すフローチャートである。第2のデバイスリンクプロファイル作成処理は、CPU31と、記憶部33に記憶されている色変換テーブル作成処理プログラム331との協働によるソフトウェア処理によって実現される。
【0175】
ステップS61〜ステップS64の処理は、
図13のステップS41〜ステップS44の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0176】
次に、CPU31により、目標色が設定された全色相に対して、最高彩度点の色彩値に対する当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値の比R(調整値)が算出される(ステップS65)。色相毎に算出された比Rは、CPU31により、RAM32に格納される。
【0177】
入力色域における各色相での最高彩度点の色彩値を(L
*1p,a
*1p,b
*1p)、それぞれに対応する目標色の色彩値を(L
*2p,a
*2p,b
*2p)とすると(p=1〜目標色が設定されている最高彩度点の数)、最高彩度点の色彩値に対する当該最高彩度点に対応する目標色の色彩値の比Rを構成する明度比rL
p、彩度比rC
p、色相比rh
pは、上記式(10)〜(12)により求められる。
【0178】
ステップS66〜ステップS68の処理は、
図13のステップS46〜ステップS48の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0179】
次に、CPU31により、入力点に対応する色相h
*3iにおける比R(調整値)に重みW
iが掛けられ、重み付け後の比Rが入力点に対応する色彩値Iに乗算される(ステップS69)。乗算後の色彩値I’を(L
*4i,a
*4i,b
*4i)とし、乗算後の色彩値I’の彩度をC
*4i、色相をh
*4iとすると、これらの値は、上記式(13)〜(17)により求められる。入力点に対応する色相h
*3iにおける明度比rL
i、彩度比rC
i、色相比rh
iは、ステップS65で算出された明度比rL
p、彩度比rC
p、色相比rh
pに基づいて、補間計算により求められる。
【0180】
ステップS67において、入力点に対応する彩度C
*3iが閾値未満である場合には(ステップS67;NO)、CPU31により、色彩値Iがそのまま処理後の色彩値I’とされる(ステップS70)。
【0181】
ステップS69又はステップS70の後、ステップS71に移行する。
ステップS71〜ステップS74の処理は、
図13のステップS51〜ステップS54の処理と同様であるため、説明を省略する。
以上で、第2のデバイスリンクプロファイル作成処理が終了する。
【0182】
以上説明したように、第4の実施の形態によれば、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0183】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る色変換テーブル作成装置の例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0184】
例えば、上記各実施の形態に示したように、目標色を指定するためのGUIにおいて、操作部34から目標色を指定してもよいが、予め記憶部33に記憶されている目標色データ332を選択することによって、目標色を指定してもよい。
【0185】
また、上記各実施の形態では、色彩値としてL
*a
*b
*色空間やXYZ色空間を用いる場合について説明したが、CIECAM02色空間やCIELUV色空間を用いることもできる。
【0186】
以上の説明では、各処理を実行するためのプログラムを格納したコンピューター読み取り可能な媒体として不揮発性の半導体メモリーやハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。