特許第5966887号(P5966887)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966887
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】祭壇装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 33/02 20060101AFI20160728BHJP
【FI】
   A47G33/02 D
   A47G33/02 H
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-260499(P2012-260499)
(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公開番号】特開2014-104232(P2014-104232A)
(43)【公開日】2014年6月9日
【審査請求日】2015年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】598153593
【氏名又は名称】株式会社丸豊加藤佛具店
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100096817
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 孝雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 克彦
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3153799(JP,U)
【文献】 特開2011−56244(JP,A)
【文献】 特開2008−93320(JP,A)
【文献】 特開平8−154808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用の祭壇装置であって、
筐体と、
前記筐体内に設置されたフラットパネルディスプレイであり、第1の映像を表示するための第1のディスプレイと、
前記筐体内の前記第1のディスプレイの前面に設置されたフラットパネルディスプレイであり、第2の映像を表示するとともに、前記第1の映像に前記第2の映像が重ね合された状態を観察できるように、前記第1の映像を透過する平面状表示部を有する第2のディスプレイと、
前記筐体のいずれかに設置されたスピーカーと、
前記第1の映像を含む第1の映像データを再生し、再生した第1の映像信号を前記第1のディスプレイに供給するとともに、前記第2の映像を含む第2の映像データを再生し、再生した第2の映像信号を前記第2のディスプレイに供給し、また、前記スピーカーから音を発するための音データを再生し、再生した音声信号を前記スピーカーに供給する再生装置と、
を備えることを特徴とする祭壇装置。
【請求項2】
請求項に記載の祭壇装置であって、
前記筐体の前面に設けられた扉の開閉に応じて、前記祭壇装置の起動および停止を行うことを特徴とする祭壇装置。
【請求項3】
請求項1または請求項に記載の祭壇装置であって、
前記筐体の前面に設けられた扉の開閉を検知する開閉センサーにより、前記扉の開閉を検知し、前記扉の開閉に応じて前記祭壇装置の起動および停止を行う、または、前記筐体の前面のいずれかの位置に設けられた人感センサーにより、前記祭壇装置の前に立つ人の有無を検知し、前記祭壇装置の前に立つ人の有無に応じて前記祭壇装置の起動および停止を行う、ことを特徴とする祭壇装置。
【請求項4】
請求項1に記載の祭壇装置であって、
前記第1の映像および前記第2の映像は、本尊と仏具の少なくとも一方を備えた祭壇を模擬的に実現する映像を含むことを特徴とする祭壇装置。
【請求項5】
請求項1に記載の祭壇装置であって、
ネットワークを介して通信を行うインタフェースを備え、
前記インタフェースは、前記ネットワークを介して供給される映像を受信し、
前記第1の映像および前記第2の映像は、受信した映像を含むことを特徴とする祭壇装置。
【請求項6】
請求項に記載の祭壇装置と、
前記ネットワークを介して供給される映像を前記祭壇装置送信するサーバーと、
を備えることを特徴とする祭壇システム。
【請求項7】
筐体と、前記筐体内に設置されたフラットパネルディスプレイであり、第1の映像を表示するための第1のディスプレイと、前記筐体内の前記第1のディスプレイの前面に設置されたフラットパネルディスプレイであり、第2の映像を表示するとともに、前記第1の映像に前記第2の映像が重ね合された状態を観察できるように、前記第1の映像を透過する平面状表示部を有する第2のディスプレイと、前記筐体のいずれかに設置されたスピーカーと、を備える家庭用の祭壇装置に動作を実行させるコンピュータープログラムであって、
前記第1の映像を含む第1の映像データを再生し、再生した第1の映像信号を前記第1のディスプレイに供給する機能と、
前記第2の映像を含む第2の映像データを再生し、再生した第2の映像信号を前記第2のディスプレイに供給する機能と
前記スピーカーから音を発するための音データを再生し、再生した音声信号を前記スピーカーに供給する機能と、
を前記祭壇装置に実行させるコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仏壇等の祭壇装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅事情の変化に伴って、小型な仏壇(例えば、特許文献1参照)や、フローリングのリビングルーム等の室内の景観に合わせたモダンな家具調の仏壇(例えば、特許文献2参照)が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−70112号公報
【特許文献2】特開2000−5039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような小型な仏壇や家具調の仏壇においても、本尊を置く場所や位牌を置く場所、燭台や花立て、香炉などの種々の仏具を置く場所等のスペースを確保するための外観サイズを要する。このため、旧来の大型の仏壇に比べれば狭いスペースに設置可能であるが、外観サイズに相応した十分な広さの設置場所を要する。また、上記のような小型な仏壇や家具調の仏壇は、旧来の大型の仏壇に比べれば安価であるといっても、種々の仏具等を用意する必要性があり、これらを含めると相応に高価となる。また、時代の変化に応じた現代の人の思考や感覚の変化、世情の変化等に伴って、高価な仏壇を購入し室内に仏壇の設置場所を優先して確保することよりも、仏壇を購入しないことを選択する家庭が増加している。そこで、現代の人の思考や感覚に合致させて仏壇の購入意欲が向上するように、更に、室内の景観へ合致させることや、省スペース化、使い勝手の向上等、新しい価値観の付加が望まれていた。なお、以上説明した課題は、仏壇だけでなく、神棚や聖壇、聖卓等の種々の祭壇に共通する課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態によれば、祭壇装置が提供される。この祭壇装置は、筐体と;前記筐体内に設置された第1のディスプレイと;前記筐体のいずれかに設置されたスピーカーと;前記第1のディスプレイで表示するための第1の映像を含む第1の映像データを再生し、再生した第1の映像信号を前記第1のディスプレイに供給し、また、前記スピーカーから音を発するための音データを再生し、再生した音声信号を前記スピーカーに供給する再生装置と;を備える。この形態の祭壇装置によれば、シンプルな構成で祭壇装置を構成することができるので、祭壇装置の外観を室内の景観に合致させることや、省スペース化等が容易に可能である。また、映像の表示や、音声あるいは音楽等の音の発生等を効果的に行うことができ、使い勝手の向上を図ることができ、新しい価値観の付加を図ることが可能である。これにより、現代の人の思考や感覚に合致させて祭壇装置の購入意欲の向上を図ることができる。
【0007】
(2)上記形態の祭壇装置において、さらに、前記筐体内の前記第1のディスプレイの前面に設置され、第2の映像を表示するとともに、前記第1の映像に前記第2の映像が重ね合された状態を観察できるように、前記第1の映像を透過する平面状表示部を有する第2のディスプレイを備え、前記再生装置は、前記第1の映像データを再生し、再生した第1の映像信号を前記第1のディスプレイに供給するとともに、前記第2の映像を含む第2の映像データを再生し、再生した第2の映像信号を前記第2のディスプレイに供給するようにしてもよい。この形態の祭壇装置によれば、第1の映像に第2の映像を重ね合わせて表示することができるので、立体的な映像の表示や種々の映像の組み合わせ表示など、より効果的な映像の表示が可能であり、より使い勝手の向上を図ることができ、より新しい価値観の付加を図ることが可能である。これにより、現代の人の思考や感覚により合致させて祭壇装置の購入意欲の向上を図ることができる。
【0008】
(3)上記形態の祭壇装置において、ネットワークを介して通信を行うインタフェースを備え、前記ネットワークを介して供給される映像を、前記第1のディスプレイまたは前記第2のディスプレイに表示するようにしてもよい。この形態の祭壇装置によれば、祭壇装置の前に居ながら、お墓や寺院等の種々の映像を視ることが可能であり、より使い勝手の向上を図ることができ、より新しい価値観の付加を図ることが可能である。
【0009】
(4)上記形態の祭壇装置において、前記筐体の前面に設けられた扉の開閉に応じて、前記祭壇装置の起動および停止を行うようにしてもよい。この形態の祭壇装置によれば、扉の開閉に応じて自動的に映像表示や音の発生等の祭壇装置の動作の開始や停止等の種々の動作を自動的に行うことが可能であり、より使い勝手の向上を図ることができ、より新しい価値観の付加を図ることが可能である。
【0010】
(5)上記形態の祭壇装置において、前記筐体の前面に設けられた扉の開閉を検知する開閉検知センサーにより、前記扉の開閉を検知し、前記扉の開閉に応じて前記祭壇装置の起動および停止を行う、または、前記筐体の前面のいずれかの位置に設けられた人感センサーにより、前記祭壇装置の前に立つ人の有無を検知し、前記祭壇装置の前に立つ人の有無に応じて前記祭壇装置の起動および停止を行うようにしてもよい。この形態の祭壇装置によれば、扉の開閉に応じて、あるいは、祭壇装置の前に立つあるいは仏壇の前から離れるに応じて、自動的に映像表示や音の発生等の祭壇装置の動作の開始や停止等の種々の動作を自動的に行うことが可能であり、より使い勝手の向上を図ることができ、より新しい価値観の付加を図ることが可能である。
【0011】
本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、祭壇装置、祭壇装置に実行させるコンピュータープログラム等の種々の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態としての仏壇装置の外観を示す概略斜視図である。
図2図1に示した仏壇装置を機能的に示した説明図である。
図3】2つのディスプレイで表示される映像の例を示す説明図である。
図4】他の実施形態としての仏壇装置の外観を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態としての仏壇装置の外観を示す概略斜視図である。なお、図1は、仏壇装置10がタンス等の上に配置された状態を示している。この仏壇装置10は、前面が開口された家具調の筐体20と、開口された前面側から見て、筐体20内の後ろ側に固定配置された後側ディスプレイ30Aおよび後側ディスプレイ30Aの前面に固定配置された前側ディスプレイ30Bと、筐体20の内部に設けられたコントローラー40と、を備える。
【0014】
2つのディスプレイ30A,30Bの表示面32A,32Bを覆う枠34A,34Bの天井側および床側の部分は、筐体20の天井側および床側に設けられた化粧台部22,24に収納されるように固定されている。下側の化粧台部24の前面には、左右一対のスピーカー50、マイクロフォン52、カメラ54のレンズ54a、人感センサー56、および、香り発生装置60の発生口60aが、筐体の内部から前方へ向かって設けられている。なお、マイクロフォン52、カメラ54のレンズ54a、および、人感センサー56の配置位置は筐体の内部から前方へ向かって設けられていれば、その他特に限定はなく、例えば、天上側の化粧台部22に設けられていても良い。また、左右一対のスピーカー50および香り発生装置60の発生口60aは、筐体の内部から外部へ向かって設けられていれば、その他特に限定はなく、前面でなくても側面であっても良い。
【0015】
筐体20の開口部の前面の両側には左右一対の扉26が設けられている。この扉26は、観音扉であるが、折扉や引き扉などの他の方式の扉を用いてもよい。扉26の下部の筐体20内には、モーターやギアー等で構成される扉26の開閉機構70を備えている。なお、扉の開閉を手動とする場合には、開閉機構70は省略可能である。また、扉26に対応する筐体20の枠部分には、扉26の開閉を検知する開閉センサー58が設けられている。
【0016】
仏壇装置10の付属として、コントローラー40を介して仏壇装置10の動作を制御するリモートコントローラー(「リモコン」とも呼ぶ)12、および、コントローラー40を介してりんを鳴らす電子式のりん棒14を備えている。
【0017】
仏壇装置10は、以下で説明するように、コントローラー40の制御に従って、2つのディスプレイ30A,30Bによる映像表示や、スピーカー50からの音の発生、香り発生装置60の発生口60aからの香りの発生等が実行される。
【0018】
図2は、図1に示した仏壇装置を機能的に示した説明図である。仏壇装置10の動作を制御するコントローラー40は、システム制御部110と、インタフェース部(「I/F部」)120と、電源駆動部130と、メディアリーダー140と、データ記憶部150と、監視部160と、モーター駆動部170と、映像出力部180A,180Bと、音声出力部190と、映像入力部200と、音声入力部210と、香り発生駆動部220と、を備えている。
【0019】
システム制御部110は、あらかじめ設定された動作手順に従って各機能ブロックの動作を制御する。I/F部120は、専用の無線通信,bluetooth,IEEE802等の無線通信インタフェースや、イーサーネット,USB等の有線通信インタフェース、DVI,HDMI等の映像インタフェース、など種々の規格に対応するインタフェースである。そして、I/F部120には、それぞれのインタフェースに対応するように、アンテナや端子(不図示)が設けられている。
【0020】
仏壇装置10は、I/F部120を介して、無線通信により、リモコン12と接続される。リモコン12としては、専用のリモコンや、スマートフォン(多機能形態電話)のような携帯通信端末等を用いることができる。利用者がリモコン12で所望の指示を選択することにより、リモコン12からその指示を示す信号がI/F部120を介してシステム制御部110に送信され、その指示に応じた動作がシステム制御部110の制御によって実行される。
【0021】
また、仏壇装置10は、I/F部120を介して、無線通信により、りん棒14と接続される。りん棒14には、例えば、加速度センサーのような、りん棒が振られたことを検知するセンサーや、無線通信機能等、設けられている(不図示)。利用者がりん棒14を振ると、その検知信号がI/F部120を介してシステム制御部110に送信され、システム制御部110によって音声出力部190の動作が制御され、りんの音がスピーカー50から出力される。
【0022】
また、仏壇装置10は、I/F部120の無線通信インタフェースあるいは有線通信インタフェースにより、種々の電子機器と接続可能である。例えば、仏壇装置10は、無線LANを介してルーター80に接続され、ルーター80を介してインターネットINTに接続される。また、仏壇装置10は、無線LANや有線LAN、USB等を介して、外部のメディアプレーヤーやスマートフォン等と接続可能である。また、仏壇装置10は、I/F部120の映像インタフェースや音声インタフェースにより、メディアプレーヤーやスマートフォン等から映像信号や音声信号を受信することが可能である。
【0023】
電源駆動部130は、システム制御部110の制御によって、各機能ブロックや2つのディスプレイ30A,30Bへの電源供給を制御する。なお、2つのディスプレイ30A,30Bの電源ケーブルは、図示しない電源テーブルに接続されている。この電源テーブルには、商用電源の供給と遮断を切り換える電源スイッチが設けられている。電源駆動部130は、この電源スイッチのオン/オフを制御することにより、2つのディスプレイ30A,30Bへの電源供給を制御する。
【0024】
メディアリーダー140は、システム制御部110の制御によって、メモリカードに格納された映像や音声のデータを読み出す装置である。読み出されたデータは、データ記憶部150に格納される。また、読み出されたデータは、後述する映像出力部180A,180Bや音声出力部190に送られて再生される。
【0025】
監視部160は、人感センサー56からの検知信号を受信し、仏壇装置10の前に立つ利用者が居るか否かを監視するとともに、開閉センサー58からの検知信号を受信し、扉26の開閉を監視し、システム制御部110に監視結果を送信する。人感センサー56や開閉センサー58としては、赤外線センサー等の種々のセンサーを用いることができる。システム制御部110は、監視結果に基づいて、種々の動作を制御することができる。例えば、扉26が閉じられた状態から開けられた状態となった場合には、電源駆動部130を制御して電源スイッチをオンにするとともに、停止していた機能ブロックの動作を開始して、仏壇装置の動作を起動することができる。また、扉26が開けられた状態から閉じられた状態となった場合には、各機能ブロックの動作を停止するとともに、電源スイッチをオフとして、仏壇装置の動作を停止することができる。さらにまた、あらかじめ定められた一定時間の間、扉26が開いたままの状態で、仏壇装置の前に人が居ない場合には、各機能ブロックの動作を停止するとともに、電源スイッチをオフとして、仏壇装置の動作を停止することができる。また、扉26が開いたままで仏壇装置の各種動作が停止し電源スイッチがオフされている場合に、仏壇装置の前に人が立った際には、電源スイッチをオンとするとともに、停止していた機能ブロックの動作を開始して、仏壇装置の動作を起動することができる。なお、タイマーで、扉が開いても良い時間をあらかじめ設定された時間に限定するように、例えば、夜11時〜朝6時までは扉が開かないようにしてもよい。
【0026】
モーター駆動部170は、システム制御部110の制御によって、開閉機構70に含まれるモーターを駆動して扉26の開閉を行う。例えば、利用者がリモコン12で仏壇装置10の起動ボタンを押すと、システム制御部110によって電源駆動部130の動作が制御され、電源がオンとなって起動を開始するとともに、扉26が閉じた状態の場合には、モーター駆動部170が開閉機構70を駆動することにより、扉26が開けられる。
【0027】
映像出力部180A,180Bは、システム制御部110の制御によって、データ記憶部150に記憶されている映像データや、メディアリーダー140で読み出されたメモリカードに格納されている映像データを再生し、ディスプレイ30A,30Bに入力可能な映像信号として出力する。また、映像出力部180A,180Bは、I/F部120を介して受信された映像信号をディスプレイ30A,30Bに入力可能な映像信号として出力する。映像出力部180Aから出力された映像信号は、後側ディスプレイ30Aに送られて表示される。映像出力部180Bから出力された映像信号は、前側ディスプレイ30Bに送られて表示される。
【0028】
なお、後側ディスプレイ30Aは、液晶ディプレイや有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイである。また、前側ディスプレイ30Bは、「透明液晶ディスプレイ」とも呼ばれるフラットパネルディスプレイであり、その表示面32Bに映像を表示するとともに、後側ディスプレイ30Aの表示面32Aに表示された映像を透過して表示する平板状表示部を有するディスプレイである。この前側ディスプレイ30Bとしては、例えば、サムスン電子社やSKRテクノロジー社等の種々の透明液晶ディスプレイを用いることができる。また、前側ディスプレイ30Bとしては、平板状表示部としての透明スクリーン、および、透明スクリーン上に映像を投影するプロジェクター、を用いて構成することも可能である。
【0029】
音声出力部190は、システム制御部110の制御によって、データ記憶部150に記憶されている音声データや、メディアリーダー140で読み出されたメモリカードに格納されている音声データを再生し、スピーカー50に入力可能な音声信号として出力する。また、音声出力部190は、I/F部120を介して受信された音声信号をスピーカー50に入力可能な音声信号として出力する。音声出力部190から出力された音声信号は、スピーカー50に送られて鳴らされる。なお、「音声」は、単に、声だけでなく、音楽や、効果音等の種々の音も含む意味で用いられている。
【0030】
映像入力部200は、システム制御部110の制御によって、カメラ54の動作を制御して仏壇装置の前に居る利用者を撮影する。音声入力部210は、システム制御部110の制御によって、マイクロフォン52の動作を制御して仏壇装置10の前に居る利用者の声等の音声を入力する。撮影した映像や入力された音声は、I/F部120からインターネットを介して、通信を行っている相手先に送信することができる。
【0031】
香り発生駆動部220は、香り発生装置60を駆動して、例えば、線香の燃える香りやお香等の種々の香りを発生する。香り発生装置60としては、例えば、香り発生機シルヴェールT−10等の種々の香り発生機を用いることができる。
【0032】
仏壇装置10の起動は、上記したように、利用者がリモコン12を操作して、扉の開ボタンあるいは起動ボタンを押すことや、利用者が扉26を手で開いて開閉センサー58で扉26が開かれたことが検知されること、扉26が開かれた状態で利用者が仏壇装置10の前に立ったことが人感センサー56で検知されること、等によって開始される。
【0033】
仏壇装置10の起動が実行されると、システム制御部110によって、あらかじめ設定されている手順や条件に従って映像出力部180A,180Bや音声出力部190、香り発生駆動部220が制御され、ディスプレイ30A,30Bでの映像表示やスピーカー50からの音の発生、香り発生装置60からの香りの発生等が実行される。
【0034】
映像出力部180A,180Bによる映像の表示は、以下のように実行される。すなわち、システム制御部110からの指示に従って、映像出力部180A,180Bは、データ記憶部150に記憶されている映像データ、あるいは、メディアリーダー140にセットされているメモリカードに記憶されている映像データ、を読み出して再生し、ディスプレイ30A,30Bに再生した映像信号を出力する。また、映像出力部180A,180Bは、外部のメディアプレーヤーからI/F部120を介して供給された映像信号を、ディスプレイ30A,30Bに出力する。ディスプレイ30A,30Bでは、映像出力部180A,180Bから出力された映像信号に応じた映像を表示する。なお、外部のコンピユーターやメディアプレーヤーとI/F部120とは、例えば、DVI、HDMI等の映像の信号規格に対応したコネクタおよびケーブルを介して接続される。また、メディアプレーヤーとしては、DVDプレーヤーや、ブルーレイプレーヤー、メモリプレーヤー、スマートフォン等が適用される。
【0035】
図3は、2つのディスプレイで表示される映像の例を示す説明図である。利用者は、後側ディスプレイ30Aで表示される映像(図3(A))の前に、前側ディスプレイ30Bで表示される映像(図3(B)が重ね合わされた映像(図3(C))を視ることができる。2つのディスプレイ30A,30Bで映像を重ね合わせて表示することにより、映像を立体的に表示することができる。なお、いずれか一方のディスプレイにのみ映像を表示させることも可能である。
【0036】
ディスプレイ30A,30Bで表示される映像としては、CG(コンピューターグラフィック)映像や実写映像等の種々の映像が考えられる。例えば、前側ディスプレイ30Bには仏像(本尊)の実写映像を主たる映像として表示し、後側ディスプレイ30Aには本尊の映像に対する背景や本尊の両脇に配置される仏像(脇侍仏)の実写映像を表示することができる。また、遺影や位牌、お花、等の種々の映像を単独あるいは複数の組み合わせで表示することもできる。また、例えば、砂で描かれた曼荼羅が、風で消されてなくなっていく映像のように、アート性を持たせたCG映像や抽象的なCG映像を表示することも可能である。
【0037】
音声出力部190による音声の出力は、以下のように実行される。すなわち、システム制御部110からの指示に従って、音声出力部190は、2つのディスプレイ30A,30Bで表示されている映像に合わせて、データ記憶部150に記憶されている音声データ、あるいは、メディアリーダー140を介してメモリカードに格納されている音声データ、を読み出して再生し、スピーカー50に音声信号を出力する。また、音声出力部190は、外部のメディアプレーヤーからI/F部120を介して供給された音声信号をスピーカー50に出力する。スピーカー50では、音声出力部190から出力された音声信号に応じた音声を出力する。例えば、スピーカー50からお経や木魚の音、りんの音等を発し、ディスプレイ30A,30Bに、本堂内でお経を唱えるお坊様の映像や、出力されたお経の文字を示す映像、お経に対するイメージ映像、お経の現代語訳を示す影像、などを表示することが可能である。
【0038】
ディスプレイ30A,30Bで表示される映像や、スピーカー50から発せられる音声、香り発生装置60から発せられる香りは、例えば、以下のようにして、あらかじめ選択設定される。すなわち、システム制御部110は、コンテンツ選択機能を有しており、データ記憶部150やメディアリーダー140にセットされたメモリカードに記憶されている種々の映像や音声、香りの情報を選択するためのコンテンツ選択画面を表示する。利用者は、コンテンツ選択画面の中から、後側ディスプレイ30Aで表示させたい映像や、前側ディスプレイ30Bで表示させたい映像、発生させた音声、発生させたい香り等を、リモコン12を操作して選択設定する。これにより、ディスプレイ30A,30Bで表示される映像や、スピーカー50から発せられる音、香り発生装置60から発せられる香りを、あらかじめ動作情報として設定することができる。また、システム制御部110は、スケジュール機能を有しており、映像の表示や音の発生、香りの発生を種々組み合わせで実行するように設定することも可能である。
【0039】
なお、システム制御部110は模擬対話機能を有しており、故人の遺影と模擬的に対応することができる。すなわち、システム制御部110は、映像出力部180A,180B制御して、前側ディスプレイ30Bに故人の遺影を表示する。このとき、システム制御部110は、および音声出力部190および音声入力部210を制御して、マイクロフォン52を介して入力された音声の内容を認識し、これに応じた内容の回答を、例えば、あらかじめ用意されているデータの中から選択して、音声合成による故人の声を模した音声でスピーカー50から発する。これにより、故人との模擬的な会話を実現することが可能である。なお、このような模擬対話機能としては、アップル社のSiri等の音声認識秘書機能アプリケーションを利用するようにしてもよい。
【0040】
また、システム制御部110はブラウザー機能を有しており、菩提寺のサーバー90に接続されたカメラ92で撮影された本堂内の映像やカメラ94で撮影されたお墓の映像を、インターネットINTを介して取得し、単独、あるいは、他の映像と組み合わせてディスプレイ30A,30Bに表示することも可能である。これにより、仏壇装置の前に居ながら、墓参りが可能であり、菩提寺において行われる法要等に参加することが可能である、また、カメラ54で撮影した映像およびマイクロフォン52から入力した音声を、インターネットINTを介して送信するとともに、送信先の映像および音声を受信して、対話をすることも可能である。
【0041】
なお、上記したように、システム制御部110およびシステム制御部110に制御される各機能ブロック120〜220によって実行される映像表示や、音の発生、香りの発生等の種々の動作は、システム制御部110によって、各機能を実現するためのコンピュータープログラムがメモリ(不図示)から読み出されることにより実行可能となる。また、メモリカード等の媒体に格納されているコンピュータープログラムが対応するドライブを介して読み出されることにより実行可能とされるようにしてもよい。なお、メモリに格納されているコンピュータープログラムは、例えば、メモリカード等の媒体に格納されているコンピュータープログラムが対応するドライブを介して読み出されて、また、I/F部120を介して種々の通信により外部から供給されて、メモリに格納されるようにしてもよい。また、映像や音、香り等の情報は、スマートフォンやメディアプレーヤー等の外部機器から供給されて、映像出力部や音声出力部、香り発生駆動部で利用されるようにすることも可能である。
【0042】
以上説明した仏壇装置では、ご本尊や位牌、種々の仏具(燭台や、花立て、香炉等)に代えて、2台のフラットパネルディスプレイを備えて種々の映像を平面的、あるいは、立体的に表示させ、スピーカーから種々の音を発生させ、香り発生装置から香りを発生させる、等することにより、従来からある本来の仏壇を模擬的に実現することができる。これにより、この仏壇装置は、ディスプレイ等の電子機器を覆う筐体を、現代の人の思考や感覚に合致するように、新しい価値観を付加することや、室内の景観に合致した外観とすること省スペース化、使い勝手の向上等が可能である。
【0043】
図4は、他の実施形態としての仏壇装置の外観を示す概略斜視図である。図4(A)は、仏壇装置10Aが図1に示した仏壇装置10と同様にタンス等の上に配置された状態を示しており、図4(B)は、仏壇装置10Aが壁掛け配置された状態を示している。この仏壇装置10Aは、仏壇装置10(図1)と比較すればわかるように、扉を省略し、これに応じて開閉機構および開閉センサーを省略して、よりシンプルでモダンな形状を有する筐体20Aとしたものである。仏壇装置10Aは、扉、開閉機構、および、開閉センサーを省略しているので、図2に示したコントローラー40を構成する機能ブロックのうち、モーター駆動部170が省略される。
【0044】
なお、スピーカー50や香り発生装置60、マイクロフォン52、カメラ54、りん棒14、リモコン12は、それぞれ、適宜省略することが可能である。また、スピーカー50や香り発生装置60、マイクロフォン52、カメラ54を省略した場合には、これらに対応する音声出力部190や香り発生駆動部220、音声入力部210、映像入力部200も、それぞれ適宜省略することが可能である。
【0045】
また、ディスプレイ30A,30Bに単純に映像を表示し、音声を出力するだけの構成の場合には、システム制御部110で制御される映像出力部180A,180Bおよび音声出力部190や、メディアリーダー140、データ記憶部150は、後側ディスプレイ30Aおよび前側ディスプレイ30Bのそれぞれに対応するように、DVDプレーヤーや、ブルーレイプレーヤー、メモリプレーヤーに置き換えることが可能である。スマートフォンのような映像出力が可能な端末をメディアプレーヤーとして用いることも可能である。
【0046】
また、上記した実施形態や他の実施形態等の説明では、コントローラー40を筐体内に備えることを前提としたが、コントローラーを外部に備える構成としてもよい。また、コントローラーを省略することも可能である。なお、コントローラーを省略する場合には、外部のメディアプレーヤーから映像や音声を供給する構成とすればよい。なお、この場合は、映像や音声の選択は、メディアプレーヤーでの操作ボタンやリモコンを用いて実行される。従って、上記実施形態で説明したリモコン12は省略可能である。
【0047】
上記実施形態では、映像の表示、音の発生、および、香りの発生機能を備える構成を示したが、例えば、風を発生させる機能を備えるようにしてもよい。
【0048】
また、上記した実施形態や他の実施形態の仏壇装置は、2つのディスプレイを備える構成であったが、1つのディスプレイのみを有する構成としてもよい。例えば、前側ディスプレイ30Bを省略し、後側ディスプレイ30Aだけで図3(C)のような映像を表示しても良い。この場合に、前側ディスプレイ30Bをオプションとして任意に追加できるように構成されていても良い。コントローラーは2つのディスプレイが設置されているか否かを検出し、これに応じて、図3(C)の画像を1つのディスプレイのみで表示する第1のモードと、図3(A),(B)のように2つのディスプレイに分けて表示する第2のモードと、のいずれかを実行するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では仏壇装置を例として説明したが、これに限定されるものではなく、神棚や聖壇、聖卓等の種々の祭壇装置としても適用することが可能である。
【0050】
本発明は、上述の実施形態や実施例、変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、実施例、変形例中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10…仏壇装置
10A…仏壇装置
12…リモートコントローラー(リモコン)
14…りん棒
20…筐体
20A…筐体
22,24…化粧台部
26…扉
30A…後側ディスプレイ
30B…前側ディスプレイ
32A,32B…表示面
34A,34B…枠
40…コントローラー
50…スピーカー
52…マイクロフォン
54…カメラ
54a…レンズ
56…人感センサー
58…開閉センサー
60…香り発生装置
60a…発生口
70…開閉機構
80…ルーター
90…サーバー
92,94…カメラ
110…システム制御部
120…インタフェース(I/F)部
130…電源駆動部
140…メディアリーダー
150…データ記憶部
160…監視部
170…モーター駆動部
180A…映像出力部
180B…映像出力部
190…音声出力部
200…映像入力部
210…音声入力部
220…香り発生駆動部
INT…インターネット
図1
図2
図3
図4