特許第5966982号(P5966982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5966982
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】共焦点計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/00 20060101AFI20160728BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   G01B11/00 B
   G01C3/06 120P
   G01C3/06 140
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-54037(P2013-54037)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-178287(P2014-178287A)
(43)【公開日】2014年9月25日
【審査請求日】2015年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒川 正行
(72)【発明者】
【氏名】松井 優貴
(72)【発明者】
【氏名】早川 雅之
(72)【発明者】
【氏名】太田 潤
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−47743(JP,A)
【文献】 特開2006−58056(JP,A)
【文献】 特開2011−17552(JP,A)
【文献】 特開昭60−73405(JP,A)
【文献】 特開2007−40714(JP,A)
【文献】 特開2012−208102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
9/02
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の波長の光を出射する光源と、
前記光源から出射する光に軸上色収差を生じさせ、当該軸上色収差を生じさせた光を計測対象物に照射するとともに、前記計測対象物において合焦する光を通過させる複数の共焦点光学部と、
光を波長ごとに分光する1つの分光部と、
前記複数の共焦点光学部を通過した光を前記分光部に入光させる導光部と、
前記分光部で分光した光を受光する受光素子を、前記分光部による分光方向に1次元に配列した受光部と、
前記受光部が受光した光から前記複数の共焦点光学部ごとに対応したピーク波長を求める制御部とを備える、共焦点計測装置。
【請求項2】
前記複数の共焦点光学部は、互いに異なる波長帯域を透過または遮光する光学部材を含み、
前記共焦点光学部は、前記光学部材によって透過または遮光された光を前記計測対象物に照射し、
前記制御部は、前記受光部のうち前記各光学部材を透過または遮光する波長帯域に対応する領域ごとにピーク波長を求める、請求項1に記載の共焦点計測装置。
【請求項3】
前記光学部材は、前記光源から前記共焦点光学部へ光が入射する位置に設けられている、請求項2に記載の共焦点計測装置。
【請求項4】
前記光源は、前記複数の共焦点光学部ごとに設けられ、前記各光源は互いに異なる波長帯域の光を出射し、
前記制御部は、前記受光部のうち前記各光源が出射する光の波長帯域に対応する領域ごとにピーク波長を求める、請求項1に記載の共焦点計測装置。
【請求項5】
前記光源は、前記複数の共焦点光学部ごとに設けられ、
前記制御部は、前記光源が順次発光するように前記各光源の発光するタイミングを制御し、かつ、前記各光源が発光するタイミングに合わせて、当該発光した前記光源に対応した前記ピーク波長を求める、請求項1に記載の共焦点計測装置。
【請求項6】
前記光源は、前記複数の共焦点光学部ごとに設けられ、
前記複数の共焦点光学部は、互いに異なる波長帯域を透過または遮光する光学部材をそれぞれ含み、
前記共焦点光学部は、前記光学部材によって透過または遮光された光を前記計測対象物に照射し、
前記制御部は、前記光源が順次発光するように前記各光源の発光するタイミングを制御し、かつ、前記各光源が発光するタイミングに合わせて、当該発光した前記光源に対応した前記ピーク波長を、前記受光部のうち前記各光学部材を透過または遮光する波長帯域に対応する領域ごとに求める、請求項1に記載の共焦点計測装置。
【請求項7】
前記受光部の前記受光素子は、1次元に配列する方向の長さよりも1次元に配列する方向に対して直交する方向の長さの方が長い形状である、請求項5または請求項6に記載の共焦点計測装置。
【請求項8】
前記共焦点光学部は、
前記光源から出射する光に軸上色収差を生じさせる回折レンズと、
前記回折レンズより前記計測対象物側に配置され、前記軸上色収差を生じさせた光を前記計測対象物に集光する対物レンズと、
前記対物レンズで集光した光のうち、前記計測対象物において合焦する光を通過させるピンホールとを含む、請求項1に記載の共焦点計測装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で計測対象物の変位を多点計測する計測装置であって、共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を多点計測する共焦点計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触で計測対象物の変位を多点計測する計測装置のうち、共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を多点計測する共焦点計測装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されている共焦点計測装置は、複数のプローブと、一つの検出部と、一つのモニタで構成されている。プローブは光ファイバと色収差をもつレンズで構成されている。プローブからの検知光が、紙面の垂直方向に1列に整列された光ファイバから出射される。この検知光はコリメートレンズで平行光化され、回折格子により分光され、集光レンズにより2次元撮像素子面上に複数集光される。
【0003】
回折格子により色に応じた角度に変換されるので2次元撮像素子面上の集光位置は色によって位置が変わることになる。よって各プローブの検知した変位に従ってモニタ上の光点の上下の高さが変わることになり、計測対象物の変位を多点計測することができる。
【0004】
また、共焦点光学系を利用して計測対象物の変位を多点計測する別の共焦点計測装置が特許文献2に開示されている。特許文献2に開示されている共焦点計測装置は、光学ペンと電子機器部分とを含んでいる。光学ペンは、光ファイバコネクタと、筐体と、光学系部分とを含んでいる。光ファイバコネクタは、筐体の端部に取り付けられており、光ファイバコネクタは、入出力光ファイバを覆う光ファイバケーブルを通じて、その入出力光ファイバを受け入れている。入出力光ファイバは、ファイバ開口部(共焦点開口部)を通して光源光を出射するとともに、ファイバ開口部を通して測定信号の反射光を受光する。
【0005】
さらに、特許文献2に開示されている共焦点計測装置には、2光束アッセンブリが取り付けられている。2光束アッセンブリは、第1測定光束を第1測定軸に沿って出射し、第2測定光束を第2測定軸に沿って出射することができる。そのため、特許文献2に開示されている共焦点計測装置は、第1測定光束により計測対象物の変位を計測することができるとともに、第2測定光束により計測対象物の変位も計測することができる。
【0006】
2光束アッセンブリは、光学ペンの光源光束の光路に第1反射要素が配置され、この第1反射要素が、光源光束を2つの第1測定光束と第2測定光束とに効果的に分割している。つまり、第1反射要素は、光学ペンの光源光束を分割するビームスプリッタである。そのため、特許文献2に開示されている共焦点計測装置は、ビームスプリッタを用いることにより、計測対象物の変位を多点計測することができる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−017552号公報
【特許文献2】特開2012−047743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に開示されている共焦点計測装置は、計測対象物の変位を多点計測するために、受光部に2次元撮像素子を用いなければならない。2次元撮像素子は、1次元撮像素子に比べて高価であり、2次元撮像素子を採用した共焦点計測装置の製造コストが高くなるという問題があった。
【0009】
また、2次元撮像素子は、1次元撮像素子に比べて測定点が多く測定信号を取得するための処理が遅くなる。そのため、2次元撮像素子を採用した共焦点計測装置は、計測対象物の変位を高速に多点計測することが難しい。さらに、2次元撮像素子は、1次元撮像素子に比べて構成サイズが大きく、2次元撮像素子を採用した共焦点計測装置の装置サイズが大きくなるという問題があった。
【0010】
一方、特許文献2に開示されている共焦点計測装置は、計測対象物の変位を多点計測するために、ビームスプリッタを含む2光束アッセンブリを用いている。この2光束アッセンブリは、光源からの光束をビームスプリッタで単純に2つに分割しているだけであるため、第1測定光束による第1測定信号と第2測定光束による第2測定信号とを分離するのが難しく、第1測定信号と第2測定信号とが分離できるように、計測対象物の変位を計測する都度、光学素子の位置を調整する必要があった。
【0011】
また、光源からの光束をビームスプリッタで単純に2つに分割しているだけであるため、2光束アッセンブリは、第1測定光束および第2測定光束の光の強度(光量)が光源の光の強度の約半分となる。そのため、特許文献2に開示されている共焦点計測装置は、第1測定信号および第2測定信号のS/N比が低下し、計測精度を維持することが難しい。なお、計測時間を長くすることでS/N比を改善できるが、計測対象物の変位を高速に多点計測することが難しくなる。
【0012】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、特に、高速に計測することが可能で、装置サイズを小さくすることが可能な、計測対象物の変位を多点計測する共焦点計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に従った共焦点計測装置は、複数の波長の光を出射する光源と、光源から出射する光に軸上色収差を生じさせ、当該軸上色収差を生じさせた光を計測対象物に照射するとともに、計測対象物において合焦する光を通過させる複数の共焦点光学部と、光を波長ごとに分光する1つの分光部と、複数の共焦点光学部を通過した光を分光部に入光させる導光部と、分光部で分光した光を受光する受光素子を、分光部による分光方向に1次元に配列した受光部と、受光部が受光した光から複数の共焦点光学部ごとに対応したピーク波長を求める制御部とを備える。
【0014】
また、本発明の共焦点計測装置では、好ましくは、複数の共焦点光学部は、互いに異なる波長帯域を透過または遮光する光学部材を含み、共焦点光学部は、光学部材によって透過または遮光された光を計測対象物に照射し、制御部は、受光部のうち各光学部材を透過または遮光する波長帯域に対応する領域ごとにピーク波長を求める。
【0015】
また、本発明の共焦点計測装置では、好ましくは、光学部材は、光源から共焦点光学部へ光が入射する位置に設けられている。
【0016】
また、本発明の共焦点計測装置では、好ましくは、光源は、複数の共焦点光学部ごとに設けられ、各光源は互いに異なる波長帯域の光を出射し、制御部は、受光部のうち各光源が出射する光の波長帯域に対応する領域ごとにピーク波長を求める。
【0017】
また、本発明の共焦点計測装置では、好ましくは、光源は、複数の共焦点光学部ごとに設けられ、制御部は、光源が順次発光するように各光源の発光するタイミングを制御し、かつ、各光源が発光するタイミングに合わせて、当該発光した光源に対応したピーク波長を求める。
【0018】
また、本発明の共焦点計測装置では、好ましくは、光源は、複数の共焦点光学部ごとに設けられ、複数の共焦点光学部は、互いに異なる波長帯域を透過または遮光する光学部材をそれぞれ含み、共焦点光学部は、光学部材によって透過または遮光された光を計測対象物に照射し、制御部は、光源が順次発光するように各光源の発光するタイミングを制御し、かつ、各光源が発光するタイミングに合わせて、当該発光した光源に対応したピーク波長を、受光部のうち各光学部材を透過または遮光する波長帯域に対応する領域ごとに求める。
【0019】
また、本発明の共焦点計測装置では、好ましくは、受光部の受光素子は、1次元に配列する方向の長さよりも1次元に配列する方向に対して直交する方向の長さの方が長い形状である。
【0020】
また、本発明の共焦点計測装置では、好ましくは、共焦点光学部は、光源から出射する光に軸上色収差を生じさせる回折レンズと、回折レンズより計測対象物側に配置され、軸上色収差を生じさせた光を計測対象物に集光する対物レンズと、対物レンズで集光した光のうち、計測対象物において合焦する光を通過させるピンホールとを含む。
【発明の効果】
【0021】
上記構成によれば、本発明に従った共焦点計測装置は、複数の共焦点光学部で、軸上色収差を生じさせた光を計測対象物に照射するとともに、計測対象物において合焦する光を通過させ、導光部で複数の共焦点光学部を通過した光を1つの分光部に入光させる。さらに、本発明に従った共焦点計測装置は、分光した光を、分光部による分光方向に1次元に配列した受光部で受光して、制御部で、受光部が受光した光から複数の共焦点光学部ごとに対応したピーク波長を求める。そのため、本発明に従った共焦点計測装置は、受光素子を2次元に配列した受光部が必要ではなく、受光素子を1次元に配列した受光部を用いることができ、測定信号を取得するための処理が速く、計測対象物の変位を高速に多点計測することができる。また、本発明に従った共焦点計測装置は、受光素子を1次元に配列した受光部を備えるので、受光素子を2次元に配列した受光部を備える装置に比べて、装置サイズを小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。
図2】分岐光ファイバの構成を示す概略図である。
図3】光学フィルタの透過率特性を説明するためのグラフである。
図4】本発明の実施の形態1に係る撮像素子のチャンネル構成を説明する概略図である。
図5】本発明の実施の形態1の変形例1に係るヘッド部の構成を示す模式図である。
図6】本発明の実施の形態1の変形例2に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。
図7】本発明の実施の形態1の変形例3に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。
図8】本発明の実施の形態1の変形例3に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。
図9】本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。
図10】本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置の動作を説明するための模式図である。
図11】複数の光ファイバを束ねて分光器に入射した光が、撮像素子で測定される様子を示した模式図である。
図12】本発明の実施の形態3に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。図1に示す共焦点計測装置100は、複数のヘッド部(図1の場合は2つ)の共焦点光学系を利用して計測対象物200の変位を多点(図1の場合は2点)計測する計測装置である。共焦点計測装置100で計測する計測対象物200には、たとえば液晶表示パネルのセルギャップなどがある。
【0024】
共焦点計測装置100は、共焦点の光学系を有する第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10b、光ファイバ11を介して光学的に接続されたコントローラ部20、コントローラ部20から出力される信号を表示するモニタ部30を備えている。
【0025】
第1ヘッド部10aは、計測対象物200のある位置での変位を計測するためのヘッド部である。第1ヘッド部10aは、回折レンズ1、回折レンズ1より計測対象物200側に配置された対物レンズ2、光ファイバ11から入射した光のある特定の波長帯域を透過する第1光学フィルタ3a、第1光学フィルタ3aを透過した光を回折レンズ1に集光する集光レンズ4を備えている。回折レンズ1の焦点距離は、回折レンズから対物レンズまでの距離と、対物レンズの焦点距離との差より大きくしてある。
【0026】
ここで、回折レンズ1は、光源(たとえば、白色光源)から出射する光に、軸上色収差を生じさせる光学素子である。回折レンズ1は、レンズの表面に、たとえばキノフォーム形状あるいはバイナリ形状(ステップ形状、階段形状)などの微細な起伏形状を周期的に形成するか、光の透過率を周期的に変更する振幅型のゾーンプレートを形成している。なお、回折レンズ1の構成は、上記の記載の構成に限定されるものではない。
【0027】
対物レンズ2は、回折レンズ1で色収差を生じさせた光を計測対象物200に集光する光学素子であり、凸レンズなどが用いられる。
【0028】
第1光学フィルタ3aは、光ファイバ11から入射した光のある特定の波長帯域を透過させる光学素子である。この第1光学フィルタ3aは、光ファイバ11と第1ヘッド部10aとを接続する位置の近傍に設けている。図1に示す第1光学フィルタ3aは、第1ヘッド部10aの内部で、かつ光ファイバ11と集光レンズ4との間の位置に設けている。たとえば、第1光学フィルタ3aは、光源に白色光源を用いる場合、光ファイバ11から入射した光の波長(可視光領域の400nm〜800nm程度)のうち、400nm〜600nmの波長の光を透過させる。具体的に、第1光学フィルタ3aは、ある特定の波長帯域を透過させるダイクロイックフィルタなどである。
【0029】
集光レンズ4は、第1ヘッド部10aに入射した光を回折レンズ1に効率よく通過させるために、入射した光を集光する光学素子であり、凸レンズなどが用いられる。
【0030】
一方、第2ヘッド部10bは、計測対象物200の別の位置での変位を計測するためのヘッド部である。第2ヘッド部10bは、回折レンズ1、回折レンズ1より計測対象物200側に配置された対物レンズ2、光ファイバ11から入射した光のある特定の波長帯域を透過する第2光学フィルタ3b、第2光学フィルタ3bを透過した光を回折レンズ1に集光する集光レンズ4を備えている。なお、第2ヘッド部10bは、第1ヘッド部10aと同じ構成に同じ符号を付して詳細な説明を繰返さない。
【0031】
第2光学フィルタ3bは、光ファイバ11から入射した光のうち第1光学フィルタ3aと異なる波長帯域を透過させる光学素子である。この第2光学フィルタ3bは、光ファイバ11と第2ヘッド部10bとを接続する位置の近傍に設けている。図1に示す第2光学フィルタ3bは、第2ヘッド部10bの内部で、かつ光ファイバ11と集光レンズ4との間の位置に設けている。たとえば、第2光学フィルタ3bは、光源に白色光源を用いる場合、光ファイバ11から入射した光の波長(可視光領域の400nm〜800nm程度)のうち、600nm〜800nmの波長の光を透過させる。具体的に、第2光学フィルタ3bは、第1光学フィルタ3aと異なる波長帯域を透過させるダイクロイックフィルタなどである。
【0032】
ここで、共焦点計測装置100は、第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10bの2つのヘッド部を有しているが、以下の説明において、第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10bについて共通に説明する場合、第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10bをヘッド部10と総称して記載することがある。また、ヘッド部10は、光源から出射する光に軸上色収差を生じさせるとともに、計測対象物200において合焦する光を通過させる共焦点光学部である。
【0033】
光源から出射した光は、光ファイバ11を介してヘッド部10に導かれている。光ファイバ11は、ヘッド部10からコントローラ部20までの光路であるとともに、ピンホールとしても機能している。つまり、対物レンズ2で集光した光のうち、計測対象物200で合焦する光が、光ファイバ11の開口部で合焦することになる。そのため、光ファイバ11は、計測対象物200で合焦しない波長の光を遮光し、計測対象物200で合焦する光を通過させるピンホールとして機能することになる。ヘッド部10からコントローラ部20までの光路に光ファイバ11を用いることで、ピンホールが不要となる。
【0034】
共焦点計測装置100は、ヘッド部10からコントローラ部20までの光路に光ファイバ11を用いない構成であっても良いが、当該光路に光ファイバ11を用いることで、ヘッド部10をコントローラ部20に対してフレキシブルに移動することが可能になる。また、共焦点計測装置100は、ヘッド部10からコントローラ部20までの光路に光ファイバ11を用いない構成の場合、ピンホールを備える必要があるが、光ファイバ11を用いる構成の場合、共焦点計測装置100は、ピンホールを備える必要がない。
【0035】
コントローラ部20は、白色光源である白色LED(Light Emitting Diode)21、分岐光ファイバ22、分光器23、撮像素子24、制御回路部25を備えている。白色光源として白色LED21を用いているが、白色光を出射することができる光源であれば他の光源であってもよい。また、光源としては、白色光に限定されず、ある程度の波長帯域を有する光源であればよい。
【0036】
分岐光ファイバ22は、第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10bから延出する2本の光ファイバ11と接続する側に2本の光ファイバ22a、22dを有し、反対側に2本の光ファイバ22b、22cを有している。なお、光ファイバ22bは白色LED21に、光ファイバ22cは分光器23にそれぞれ接続している。分岐光ファイバ22は、2本の光ファイバを接触させた状態で加熱して融着させ、さらに両光ファイバを加熱した状態で引き伸ばすことにより製作される。図2は、分岐光ファイバ22の構成を示す概略図である。図2に示す分岐結合部22eにおいて、光は2つの光路に分岐されるか、または2つの光路の光が1つに結合される。そのため、分岐光ファイバ22は、白色LED21から出射する光を2本の光ファイバ11に導くとともに、光ファイバ11を介してヘッド部10から戻る光を分光器23に導くことができる。光ファイバ11および分岐光ファイバ22は、複数のヘッド部10を通過した光を分光器23に入光させる導光部である。
【0037】
分光器23は、ヘッド部10を通過した光を波長ごとに分光する分光部である。分光器23は、ヘッド部10から戻る光を反射して平行光とする凹面ミラー23a、凹面ミラー23aで反射した光が入射する回折格子23b、回折格子23bから出射する光を集光する集光レンズ23cを有している。分光器23は、ヘッド部10から戻る光を波長ごとに分けることができれば、ツェルニターナ型、リトロー型などのいずれの構成であってもよい。
【0038】
撮像素子24は、分光器23から出射する光の強度を測定するラインCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やラインCCD(Charge Coupled Device)である。つまり、撮像素子24は、分光器23で分光した光を受光する受光素子を1次元に配列した受光部である。なお、撮像素子24は、光の強度を測定するだけであるため、モノクロのラインCMOSやラインCCDである。もちろん、撮像素子24は、光の強度を測定することができれば、カラーのラインCMOSやラインCCDであってもよい。
【0039】
制御回路部25は、白色LED21や撮像素子24などの動作を制御したり、撮像素子24の出力信号を処理する電子回路を備える制御部である。制御回路部25は、撮像素子24の出力信号である光のスペクトル波形から強度のピーク値を求める。これにより、計測対象物200において合焦している光の波長(ピーク波長)を特定することができる。合焦する光の波長と計測対象物200の変位との関係を予め得ておくことで、計測対象物200の変位を計測することができる。また、図示していないが、制御回路部25には、白色LED21や撮像素子24などの動作を調整するための信号を入力する入力インターフェース、撮像素子24の信号を出力する出力インターフェースなどを有している。
【0040】
モニタ部30は、撮像素子24が出力した信号を表示する。たとえば、モニタ部30は、ヘッド部10から戻る光のスペクトル波形を描画し、第1ヘッド部10aで計測した計測対象物の変位が0μmで、第2ヘッド部10bで計測した計測対象物の変位が123.45μmであることを表示する。
【0041】
共焦点計測装置100は、1つの撮像素子24で、第1ヘッド部10aで計測対象物200のある位置での変位を計測するとともに、第2ヘッド部10bで計測対象物200の別の位置での変位を計測するために、軸上色収差を生じさせる光の波長をヘッド部10ごとに波長帯域が異なっている。つまり、第1ヘッド部10aは、ある波長帯域の光を軸上色収差を生じさせ、第2ヘッド部10bは、第1ヘッド部10aと異なる波長帯域の光を軸上色収差を生じさせている。
【0042】
共焦点計測装置100は、波長帯域を分割するために、前述したように第1ヘッド部10aに第1光学フィルタ3aを設け、第2ヘッド部10bに第2光学フィルタ3bを設けている。具体的に、光源に白色光源を用いる場合、第1光学フィルタ3aおよび第2光学フィルタ3bの透過率特性について以下に説明する。
【0043】
図3は、光学フィルタの透過率特性を説明するためのグラフである。なお、図3に示すグラフは、横軸を波長[nm]、縦軸を透過率[%]としている。図3に示す第1光学フィルタ3aの波形は、第1光学フィルタ3aの透過率特性を示し、400nm〜600nmの波長の光を約100%透過させ、600nm〜800nmの波長の光を遮光している様子を示している。一方、図3に示す第2光学フィルタ3bの波形は、第2光学フィルタ3bの透過率特性を示し、600nm〜800nmの波長の光を約100%透過させ、400nm〜600nmの波長の光を遮光している様子を示している。
【0044】
なお、図3の波形が示すように、600nm近傍の波長の光は、第1光学フィルタ3aおよび第2光学フィルタ3bのみでは波長帯域を分割するのが困難であるが、制御回路部25やそれに繋がるコンピュータなどにおいて、ソフトウェアを用いた演算処理で波長帯域を分割することは可能である。
【0045】
共焦点計測装置100は、第1光学フィルタ3aおよび第2光学フィルタ3bにより波長帯域を分割することで、撮像素子24を第1ヘッド部10aが利用する領域(チャンネル1)と第2ヘッド部10bが利用する領域(チャンネル2)とに分けることができる。図4は、本発明の実施の形態1に係る撮像素子24のチャンネル構成を説明する概略図である。図4に示す撮像素子24は、光の強度を検出する受光素子24aが図中縦方向にY個1列に配列されている。撮像素子24は、分光器23により分光された光のうち波長の短い光を図4の上側の受光素子24aで受光し、波長の長い光を図4の下側の受光素子24aで受光する。そのため、第1光学フィルタ3aを透過した光は、図4の上側の受光素子24aで受光され、チャンネル1の測定信号となる。一方、第2光学フィルタ3bを透過した光は、図4の下側の受光素子24aで受光され、チャンネル2の測定信号となる。なお、波長帯域を分割しない共焦点計測装置では、図4に示す受光素子24aのすべてを1つのヘッド部が利用することになるので、複数のヘッド部を利用するのであれば、受光素子を2次元に配列した撮像素子が必要となる。
【0046】
図4に示すように、第1ヘッド部10aからの光と、第2ヘッド部10bからの光とが領域は異なるが同じ撮像素子24に受光される。そのため、撮像素子24で得られるスペクトル波形は、第1光学フィルタ3aまたは第2光学フィルタ3bを透過または遮光した波長帯域に対応する領域ごとに強度のピーク値を持つ波形となる。制御回路部25は、当該スペクトル波形から強度のピーク値のそれぞれの波長を読取り、予め得られている光の波長と計測対象物200の変位との関係から、それぞれの計測対象物200の変位を計測する。たとえば、制御回路部25は、チャンネル1が400nm〜600nmの波長帯域、チャンネル2が600nm〜800nmの波長帯域として分割した場合、400nm〜600nmの波長内の強度のピーク値の波長がチャンネル1のピーク波長、600nm〜800nmの波長内の強度のピーク値の波長がチャンネル2のピーク波長とする。そして、制御回路部25は、予め得られている光の波長と計測対象物200の変位との関係から、チャンネル1の波長に基づいて第1ヘッド部10aで測定した計測対象物200の変位を、チャンネル2の波長に基づいて第2ヘッド部10bで測定した計測対象物200の変位をそれぞれ計測する。
【0047】
共焦点計測装置100は、チャンネル1の測定信号に基づいて第1ヘッド部10aから戻る光のスペクトル波形をモニタ部30に描画し、第1ヘッド部10aで計測した計測対象物200の変位が0μmであることを出力する。また、共焦点計測装置100は、チャンネル2の測定信号に基づいて第2ヘッド部10bから戻る光のスペクトル波形をモニタ部30に描画し、第2ヘッド部10bで計測した計測対象物200の変位が123.45μmであることを出力する。
【0048】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100は、計測対象物200の変位を多点計測するために、ヘッド部10が、光学フィルタによって透過または遮光された光を計測対象物200に照射し、制御回路部25で、撮像素子24のうち各光学フィルタが透過または遮光する波長帯域に対応する領域ごとにピーク波長を求めるので、受光素子を2次元に配列した撮像素子が必要ではなく、受光素子24aを1次元に配列した撮像素子24を用いることができる。そのため、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100は、受光素子を2次元に配列した撮像素子を用いる場合に比べて、測定信号を取得するための処理が速く、計測対象物200の変位を高速に多点計測することができる。また、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100は、受光素子24aを1次元に配列した撮像素子24を備えるので、受光素子を2次元に配列した撮像素子を備える装置に比べて、装置サイズを小さくすることができる。
【0049】
さらに、受光素子24aを1次元に配列した撮像素子24は、受光素子を2次元に配列した撮像素子に比べて安価であり、共焦点計測装置100の製造コストを低減することができる。また、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100は、波長帯域を分割するので、撮像素子24においてヘッド部10ごとに測定信号のチャンネルを分けることができる。さらに、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100は、波長帯域を分割しているだけで、光の強度(光量)を分割している訳ではないため、測定信号のS/N比を低下させることなく、計測精度を維持することができる。
【0050】
(変形例1)
本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100では、計測対象物200の変位を多点計測するために、軸上色収差を生じさせる光の波長をヘッド部10ごとに波長帯域を分割している。しかし、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100では、ヘッド部10の内部で、かつ光ファイバ11と集光レンズ4との間の位置に第1光学フィルタ3aおよび第2光学フィルタ3bを設ける構成を説明したが、これに限定されるものではなく、ヘッド部10ごとに波長帯域を分割することができれば、いずれの構成であってもよい。以下に、本発明の実施の形態1に係る共焦点計測装置100の変形例として、ヘッド部10ごとに波長帯域を分割する構成の一例を示す。なお、以下の説明において、第1光学フィルタ3aおよび第2光学フィルタ3bについて共通に説明する場合、第1光学フィルタ3aおよび第2光学フィルタ3bを光学フィルタ3と総称して記載することがある。
【0051】
図5は、本発明の実施の形態1の変形例に係るヘッド部10の構成を示す模式図である。図5(a)は、回折レンズ1と対物レンズ2との間の位置に光学フィルタ3を設けたヘッド部10の構成を示す。図5(b)は、ヘッド部10の外部で、かつ対物レンズ2と計測対象物200との間の位置に光学フィルタ3を設けたヘッド部10の構成を示す。
【0052】
図5(a)に示す位置に光学フィルタ3を設けた場合、回折レンズ1により平行光となった光が光学フィルタ3を透過するので、波長帯域を分割する精度が良くなるメリットがある。一方、図5(b)に示す位置に光学フィルタ3を設けた場合、光学フィルタ3をヘッド部10に対して着脱可能に構成することができるので、1つのヘッド部10で計測対象物200の変位を1点計測するときと、複数のヘッド部10で計測対象物200の変位を多点計測するときとで同じヘッド部10を利用することができる。
【0053】
なお、図1に示す位置に光学フィルタ3を設けた場合、入射する光の径が小さくなるので、他の位置に設ける場合に比べて光学フィルタ3のサイズを小さくすることができ、製造コストを低減することができる。
【0054】
(変形例2)
次に、ビームスプリッタを用いる変形例を説明する。図6は、本発明の実施の形態1の変形例2に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。図6に示す共焦点計測装置100aは、ヘッド部10ごとに光学フィルタ3に設ける構成に代えて、ビームスプリッタ5を設ける構成である。なお、図6に示す共焦点計測装置100aは、図1に示す共焦点計測装置100と同じ構成に同じ符号を付して詳細な説明を繰返さない。また、図6に示す共焦点計測装置100aでは、図1の共焦点計測装置100で図示している構成であっても、以下の説明に用いない構成については図示を省略している。さらに、図6に示す共焦点計測装置100aでは、凹面ミラー23aに代えてコリメートレンズ23dを用いる分光器23を備えた構成として説明する。
【0055】
ビームスプリッタ5は、光ファイバ11と分岐光ファイバ22との間に設けられている。ビームスプリッタ5は、分岐光ファイバ22の一端から延びる光ファイバ22aより出射される光(光ファイバ22bにより導かれる白色LED21の光)を波長帯域ごとに分割して、一方の波長帯域の光を第1ヘッド部10aに接続された光ファイバ11に、他方の波長帯域の光を第2ヘッド部10bに接続された光ファイバ11にそれぞれ入射する。
【0056】
ビームスプリッタ5は、光ファイバ22aより出射される光を集光する集光レンズ5aと、集光レンズ5aで集光した光を透過する光と反射する光に分ける光学ミラー5bとを含んでいる。光学ミラー5bは、たとえば400nm〜600nmの波長の光を反射し、600nm〜800nmの波長の光を透過することで、光を波長帯域ごとに分割している。光学ミラー5bで反射した光は、第1光学フィルタ3aを透過した光と同等であり、400nm〜600nmの波長の光である。一方、光学ミラー5bを透過した光は、第2光学フィルタ3bを透過した光と同等であり、600nm〜800nmの波長の光である。
【0057】
共焦点計測装置100aは、ビームスプリッタ5で波長帯域を分割した後の光を、回折レンズ1で軸上色収差を生じさせるとともに、色収差が生じた光を対物レンズ2で計測対象物200に集光する。共焦点計測装置100aは、計測対象物200で合焦した光を光ファイバ22cからコリメートレンズ23dを介して回折格子23bに導き、当該回折格子23bで分光した光を集光レンズ23cで撮像素子24に入射する。共焦点計測装置100aは、撮像素子24に入射した光のスペクトル波形をモニタ部30に描画し、ヘッド部10で計測した計測対象物200の変位を出力する。これにより、共焦点計測装置100aは、図1に示した共焦点計測装置100と同様に、計測対象物200の変位を多点計測することができる。
【0058】
(変形例3)
次に、複数の光源を用いる変形例を説明する。図7は、本発明の実施の形態1の変形例3に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。図7に示す共焦点計測装置100bは、ヘッド部10ごとに光学フィルタ3に設ける構成に代えて、ヘッド部10ごとに光源を設ける構成である。なお、図7に示す共焦点計測装置100bは、図1に示す共焦点計測装置100と同じ構成に同じ符号を付して詳細な説明を繰返さない。また、図7に示す共焦点計測装置100bでは、図1の共焦点計測装置100で図示している構成であっても、以下の説明に用いない構成については図示を省略している。さらに、図7に示す共焦点計測装置100bでは、凹面ミラー23aに代えてコリメートレンズ23dを用いる分光器23を備えた構成として説明する。
【0059】
光源は、ある波長帯域の光を発光する光源21aと、光源21aと異なる波長帯域の光を発光する光源21bとを設けている。光源21aは、たとえば400nm〜600nmの波長の光を発光し、光源21bは、600nm〜800nmの波長の光を発光する。そして、光源21aの光は、分岐光ファイバ22および光ファイバ11を介して第1ヘッド部10aに入射する。一方、光源21bの光は、分岐光ファイバ22および光ファイバ11を介して第2ヘッド部10bに入射する。
【0060】
共焦点計測装置100bは、発光する光の波長帯域が異なる光源21aおよび光源21bを、第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10bにそれぞれ対応して設けることで、第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10bごとに波長帯域を分割している。つまり、第1ヘッド部10aは、白色光源の白色LED21からの光を第1光学フィルタ3aで波長帯域を分割する代わりに、光源21aの光を用いている。また、第2ヘッド部10bは、白色光源の白色LED21からの光を第2光学フィルタ3bで波長帯域を分割する代わりに、光源21bの光を用いている。
【0061】
共焦点計測装置100bは、光源21aおよび光源21bの光を、回折レンズ1で軸上色収差を生じさせるとともに、色収差が生じた光を対物レンズ2で計測対象物200に集光する。共焦点計測装置100bは、計測対象物200で合焦した光を光ファイバ22cからコリメートレンズ23dを介して回折格子23bに導き、当該回折格子23bで分光した光を集光レンズ23cで撮像素子24に入射する。共焦点計測装置100bは、撮像素子24に入射した光のスペクトル波形をモニタ部30に描画し、ヘッド部10で計測した計測対象物200の変位を出力する。これにより、共焦点計測装置100bは、図1に示した共焦点計測装置100と同様に、計測対象物200の変位を多点計測することができる。
【0062】
以上のように、本変形例3に係る共焦点計測装置100は、計測対象物200の変位を多点計測するために、複数のヘッド部10ごとに設けられた各光源21a,21bが互いに異なる波長帯域の光を出射し、各光源が出射する光の波長帯域に対応する領域ごとにピーク波長を求めても、図1に示した共焦点計測装置100と同様に計測対象物200の変位を多点計測することができる。
【0063】
(変形例4)
次に、ヘッド部10と分光器23との間の導光部に光ファイバを用いない変形例を説明する。図8は、本発明の実施の形態1の変形例4に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。図8に示す共焦点計測装置100cは、分岐光ファイバ22および光ファイバ11に代えて、コリメートレンズ221〜224、ハーフミラー225およびミラー226を設ける構成である。なお、図8に示す共焦点計測装置100cは、図1に示す共焦点計測装置100と同じ構成に同じ符号を付して詳細な説明を繰返さない。また、図8に示す共焦点計測装置100cでは、図1の共焦点計測装置100で図示している構成であっても、以下の説明に用いない構成については図示を省略している。さらに、図8に示す共焦点計測装置100cでは、凹面ミラー23aに代えてコリメートレンズ23dを用いる分光器23を備えた構成として説明する。
【0064】
光源21からの光は、コリメートレンズ221で平行光となり、ハーフミラー225でミラー226に向かう経路と、第2光学フィルタ3bに向かう経路とに分けられる。ミラー226で反射された光は、第1光学フィルタ3aを透過し、コリメートレンズ222により第1ヘッド部10aのピンホール6aに集光される。一方、第2光学フィルタ3bを透過した光は、コリメートレンズ223により第2ヘッド部10bのピンホール6bに集光される。
【0065】
第1ヘッド部10aを通過した光のうち、計測対象物200で合焦した光がピンホール6aを通ってコリメートレンズ222に戻る。コリメートレンズ222に戻った光は、第1光学フィルタ3a、ミラー226、ハーフミラー225およびコリメートレンズ224を介して分光器23に入力される。一方、第2ヘッド部10bを通過した光のうち、計測対象物200で合焦した光がピンホール6bを通ってコリメートレンズ223に戻る。コリメートレンズ223に戻った光は、第2光学フィルタ3b、ハーフミラー225およびコリメートレンズ224を介して分光器23に入力される。すなわち本変形例においては、コリメートレンズ222またはコリメートレンズ223、およびミラー226、ハーフミラー225およびコリメートレンズ224が、複数のヘッド部10を通過した光を分光器23に入光させる銅鉱部を構成する。
【0066】
以上のように、本変形例4に係る共焦点計測装置100cは、分岐光ファイバ22および光ファイバ11に代えて、コリメートレンズ221〜224、ハーフミラー225およびミラー226を設けても、図1に示した共焦点計測装置100と同様に計測対象物200の変位を多点計測することができる。さらに、共焦点計測装置100cは、分岐光ファイバ22および光ファイバ11を用いる場合に比べて、ヘッド部10と分光器23との間に光学フィルタを配置する構成とし易い。
【0067】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置は、計測対象物の変位を多点計測するために、軸上色収差を生じさせる光の波長をヘッド部ごとに波長帯域を分割する構成ではなく、光源が発光するタイミングに合わせて、当該発光したヘッド部に対応したピーク波長を求める構成である。
【0068】
図9は、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。図9に示す共焦点計測装置101は、複数のヘッド部(図9の場合は2つ)の共焦点光学系を利用して計測対象物200の変位を多点(図9の場合は2点)計測する計測装置である。共焦点計測装置101で計測する計測対象物200には、たとえば液晶表示パネルのセルギャップなどがある。なお、図9に示す共焦点計測装置101は、図1に示す共焦点計測装置100と同じ構成に同じ符号を付して詳細な説明を繰返さない。
【0069】
共焦点計測装置101は、光源が発光するタイミングに合わせて、当該発光したヘッド部10に対応したピーク波長を求めることができるように、第1光源21Aおよび第2光源21Bの2つの光源を設けている。共焦点計測装置101では、第1光源21Aから出射する光を光ファイバ11に導くとともに、光ファイバ11を介してヘッド部10から戻る光を分光器23に導くため、および第2光源21Bから出射する光を光ファイバ11に導くとともに、光ファイバ11を介してヘッド部10から戻る光を分光器23に導くために、それぞれ分岐光ファイバ22を設けてある。分岐光ファイバ22は、ヘッド部10から延出する光ファイバ11と接続する側に1本の光ファイバ22aを有し、反対側に2本の光ファイバ22b、22cを有している。なお、光ファイバ22bは白色LED21に、光ファイバ22cは分光器23にそれぞれ接続している。また、複数のヘッド部10ごとに設けた光ファイバ11および分岐光ファイバ22は、それぞれのヘッド部10を通過した光を分光器23に入光させる導光部である。
【0070】
そして、共焦点計測装置101は、第1光源21Aを点灯(第2光源21Bは非点灯)して第1ヘッド部10aに光を通過させ、t秒後に第2光源21Bを点灯(第1光源21Aは非点灯)して第2ヘッド部10bに光を通過させることで、光を通過させるタイミングをヘッド部10ごとにずらせている。つまり、共焦点計測装置101は、第1光源21Aまたは第2光源21Bが発光するタイミングに合わせて、当該発光したヘッド部10に対応したピーク波長を求めている。
【0071】
図9に示す共焦点計測装置101では、第1光源21Aを点灯して第1ヘッド部10aで計測対象物200の変位を計測したチャンネル1の結果と、第2光源21Bを点灯して第2ヘッド部10bで計測対象物200の変位を計測したチャンネル2の結果とがモニタ部30に表示している。
【0072】
次に、共焦点計測装置101の動作について、さらに詳しく説明する。図10は、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置101の動作を説明するための模式図である。特に、図10(a)は、共焦点計測装置101において、第1光源21Aを点灯(第2光源21Bは非点灯)した場合の動作を説明するための模式図である。一方、図10(b)は、共焦点計測装置101において、第2光源21Bを点灯(第1光源21Aは非点灯)した場合の動作を説明するための模式図である。なお、図10に示す共焦点計測装置101では、図9の共焦点計測装置101で図示している構成であっても、以下の説明に用いない構成については図示を省略している。さらに、図9に示す共焦点計測装置101では、凹面ミラー23aに代えてコリメートレンズ23dを用いる分光器23を備えた構成として説明する。
【0073】
まず、図10(a)のように第1光源21Aを点灯(第2光源21Bは非点灯)した場合、第1ヘッド部10aは光が通過するが、第2ヘッド部10bは光が通過しない。つまり、共焦点計測装置101は、第1ヘッド部10aのみを利用して計測対象物200の変位を計測することと同じ構成となる。
【0074】
共焦点計測装置101は、第1光源21Aの光を、第1ヘッド部10aの回折レンズ1で軸上色収差を生じさせるとともに、色収差が生じた光を第1ヘッド部10aの対物レンズ2で計測対象物200に集光する。共焦点計測装置101は、計測対象物200で合焦した光を光ファイバ22cからコリメートレンズ23dを介して回折格子23bに導き、当該回折格子23bで分光した光を集光レンズ23cで撮像素子24に入射する。制御回路部25は、撮像素子24の出力信号である光のスペクトル波形から強度のピーク値を求め、計測対象物200において合焦している光の波長を特定する。さらに、制御回路部25は、予め得てある合焦する光の波長と計測対象物200の変位との関係から、第1ヘッド部10aでの計測対象物200の変位を計測する。さらに、共焦点計測装置101は、撮像素子24に入射した光のスペクトル波形をモニタ部30に描画し、第1ヘッド部10aで計測した計測対象物200の変位を出力する。
【0075】
t秒後、図10(b)のように第2光源21Bを点灯(第1光源21Aは非点灯)した場合、第2ヘッド部10bは光が通過するが、第1ヘッド部10aは光が通過しない。つまり、共焦点計測装置101は、第2ヘッド部10bのみを利用して計測対象物200の変位を計測することと同じ構成となる。
【0076】
共焦点計測装置101は、第2光源21Bの光を、第2ヘッド部10bの回折レンズ1で軸上色収差を生じさせるとともに、色収差が生じた光を第2ヘッド部10bの対物レンズ2で計測対象物200に集光する。共焦点計測装置101は、計測対象物200で合焦した光を光ファイバ22cからコリメートレンズ23dを介して回折格子23bに導き、当該回折格子23bで分光した光を集光レンズ23cで撮像素子24に入射する。制御回路部25は、撮像素子24の出力信号である光のスペクトル波形から強度のピーク値を求め、計測対象物200において合焦している光の波長を特定する。さらに、制御回路部25は、予め得てある合焦する光の波長と計測対象物200の変位との関係から、第2ヘッド部10bでの計測対象物200の変位を計測する。さらに、共焦点計測装置101は、撮像素子24に入射した光のスペクトル波形をモニタ部30に描画し、第2ヘッド部10bで計測した計測対象物200の変位を出力する。
【0077】
以上のように、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置101は、計測対象物200の変位を多点計測するために、各光源が発光するタイミングに合わせて、制御回路部25が、当該発光した光源に対応したピーク値の波長を求めるので、受光素子を2次元に配列した撮像素子が必要ではなく、受光素子24aを1次元に配列した撮像素子24を用いることができる。そのため、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置101は、受光素子を2次元に配列した撮像素子を用いる場合に比べて、測定信号を取得するための処理が速く、計測対象物200の変位を高速に多点計測することができる。また、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置101は、受光素子24aを1次元に配列した撮像素子24を備えるので、受光素子を2次元に配列した撮像素子を備える装置に比べて、装置サイズを小さくすることができる。
【0078】
さらに、受光素子24aを1次元に配列した撮像素子24は、受光素子を2次元に配列した撮像素子に比べて安価であり、共焦点計測装置101の製造コストを低減することができる。また、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置101は、波長帯域の分割を行なうので、撮像素子24においてヘッド部10ごとに測定信号のチャンネルを分けることができる。さらに、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置101は、光源が発光するタイミングに合わせて、当該発光したヘッド部10に対応したピーク波長を求めているだけで、光の強度(光量)を分割している訳ではないため、測定信号のS/N比を低下させることなく、計測精度を維持することができる。
【0079】
なお、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置101は、複数のヘッド部10それぞれに対応して第1光源21Aおよび第2光源21Bを設け、排他的に第1光源21Aおよび第2光源21Bを順次点灯することで、光を通過させるタイミングをヘッド部10ごとにずらせてある構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、共焦点計測装置101は、光源を1つ、またはある単位数のヘッド部10ごとに光源を1つ設け、光源からヘッド部10に入射する光をON/OFFすることができるシャッタをコントローラ部20またはヘッド部10に設けて、当該シャッタを制御して光を通過させるタイミングをヘッド部10ごとにずらせてある構成でもよい。
【0080】
さらに、本発明の実施の形態2に係る共焦点計測装置101のように、複数の光ファイバ22c(図9では2本)を束ねて分光器23に光を導く構成について説明する。図11は、複数の光ファイバ22cを束ねて分光器23に入射した光が、撮像素子24で測定される様子を示した模式図である。図11に示す2本の光ファイバ22cはV溝基板26により束ねられ、図中上下方向に1列に配置されている。この2本の光ファイバ22cから出射された光はコリメートレンズ23dを介して分光器23の回折格子23bに入射され、回折格子23bで分光され、集光レンズ23cで撮像素子24に集光される。2本の光ファイバ22cは、回折格子23bによる反射光の焦点が波長によって変化する方向を含む平面とは直交する方向に並べて配置されている。また、撮像素子24は、回折格子23bによる反射光の焦点が波長によって変化する方向に添って各受光素子24aが並ぶように配置されている。
【0081】
そこで、撮像素子24は、各受光素子24aの形状を、各受光素子24aが配列する方向(図中左右方向)に対して直交する方向(図中上下方向)に長い縦長形状にしてある。つまり、撮像素子24は、受光素子24aの配列する方向(図中左右方向)ではなく、受光素子24aの縦方向(図中上下方向)に光が並んで集光する場合でも、各受光素子24aの形状が集光した光を受光できる縦長形状とする。このようにすると、集光レンズ23cの通った光の焦点位置の、撮像素子24の受光面に直交する方向の変化量が、光ファイバ22cの数が増えても大きくならないため、撮像素子24のアライメントが容易になる。
【0082】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係る共焦点計測装置は、計測対象物の変位を多点計測するために、軸上色収差を生じさせる光の波長帯域ををヘッド部ごとに分割してピーク波長を求めることと、光源が発光するタイミングに合わせて、当該発光したヘッド部10に対応したピーク波長を求めることとを組合せて行なう構成である。
【0083】
図12は、本発明の実施の形態3に係る共焦点計測装置の構成を示す模式図である。図12に示す共焦点計測装置102は、複数のヘッド部(図12の場合は4つ)の共焦点光学系を利用して計測対象物200の変位を多点(図12の場合は4点)計測する計測装置である。共焦点計測装置102で計測する計測対象物200には、たとえば液晶表示パネルのセルギャップなどがある。なお、図12に示す共焦点計測装置102は、図1に示す共焦点計測装置100と同じ構成に同じ符号を付して詳細な説明を繰返さない。また、図12に示す共焦点計測装置102では、図1の共焦点計測装置100で図示している構成であっても、以下の説明に用いない構成については図示を省略している。さらに、図12に示す共焦点計測装置102では、凹面ミラー23aに代えてコリメートレンズ23dを用いる分光器23を備えた構成として説明する。
【0084】
共焦点計測装置102は、4つのヘッド部10に対して4つの光源を設けて、軸上色収差を生じさせる光の波長帯域をヘッド部10ごとに分割することと、光源が発光するタイミングずらせてあることとを組合せる構成を実現している。そのため、4つの光源は、ある波長帯域の光を発光する第1光源21Aaおよび第2光源21Baと、第1光源21Aaおよび第2光源21Baと異なる波長帯域の光を発光する第3光源21Abおよび第4光源21Bbとに分けている。具体的に、第1光源21Aaおよび第2光源21Baは、たとえば400nm〜600nmの波長の光を発光し、第3光源21Abおよび第4光源21Bbは、600nm〜800nmの波長の光を発光する。
【0085】
そして、第1光源21Aaの光は、分岐光ファイバ22および光ファイバ11を介して第1ヘッド部10aに入射する。第2光源21Baの光は、分岐光ファイバ22および光ファイバ11を介して第2ヘッド部10bに入射する。第3光源21Abの光は、分岐光ファイバ22および光ファイバ11を介して第3ヘッド部10cに入射する。第4光源21Bbの光は、分岐光ファイバ22および光ファイバ11を介して第4ヘッド部10dに入射する。
【0086】
第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10bは、計測対象物200aにそれぞれ光を集光させ、集光させた光の位置での計測対象物200aの変位を計測する。また、第3ヘッド部10cおよび第4ヘッド部10dは、計測対象物200bにそれぞれ光を集光させ、集光させた光の位置での計測対象物200bの変位を計測する。なお、計測対象物200aは、計測対象物200bと同じ部材でも、異なる部材でもよく、たとえば、計測対象物200aが、計測対象物200bに対するリファレンス部材とする場合などが考えられる。
【0087】
共焦点計測装置102は、第1光源21Aaおよび第2光源21Baと、第3光源21Abおよび第4光源21Bbとで、軸上色収差を生じさせる光の波長をヘッド部10ごとに分割し、第1光源21Aaおよび第3光源21Abと、第2光源21Baおよび第4光源21Bbとで、光源が発光するタイミングをヘッド部10ごとにずらせてある。
【0088】
具体的に、共焦点計測装置102は、まず第1光源21Aaおよび第3光源21Abを点灯(第2光源21Baおよび第4光源21Bbは非点灯)して第1ヘッド部10aおよび第3ヘッド部10cに光を通過させる。
【0089】
共焦点計測装置102は、第1光源21Aaおよび第3光源21Abを点灯した場合、第1ヘッド部10aおよび第3ヘッド部10cに光が通過するが、第1ヘッド部10aを通過する光と第3ヘッド部10cを通過する光とは、波長帯域が分割されている。そのため、共焦点計測装置102は、図7の共焦点計測装置100bで説明したように、第1ヘッド部10aと第3ヘッド部10cとで、軸上色収差を生じさせる光の波長を分割した構成となる。
【0090】
つまり、共焦点計測装置102は、第1光源21Aaおよび第3光源21Abの光を、第1ヘッド部10aおよび第3ヘッド部10cの回折レンズ1で軸上色収差を生じさせるとともに、色収差が生じた光を対物レンズ2で計測対象物200aおよび計測対象物200bのそれぞれに集光する。共焦点計測装置102は、計測対象物200aおよび計測対象物200bのそれぞれで合焦した光を光ファイバ22cからコリメートレンズ23dを介して回折格子23bに導き、当該回折格子23bで分光した光を集光レンズ23cで撮像素子24に入射する。共焦点計測装置102は、撮像素子24に入射した光のスペクトル波形をモニタ部30に描画し、第1ヘッド部10aおよび第3ヘッド部10cで計測した計測対象物200aおよび計測対象物200bそれぞれの変位を出力する。たとえば、共焦点計測装置102は、第1ヘッド部10aで計測した計測対象物200aの変位が0μmであること、第3ヘッド部10cで計測した計測対象物200bの変位が123.45μmであることを出力する。
【0091】
次に、共焦点計測装置102は、t秒後、第2光源21Baおよび第4光源21Bbを点灯(第1光源21Aaおよび第3光源21Abは非点灯)して第2ヘッド部10bおよび第4ヘッド部10dに光を通過させる。
【0092】
共焦点計測装置102は、第2光源21Baおよび第4光源21Bbを点灯した場合、第2ヘッド部10bおよび第4ヘッド部10dに光が通過するが、第2ヘッド部10bを通過する光と第4ヘッド部10dを通過する光とは、波長帯域が分割されている。そのため、共焦点計測装置102は、図7の共焦点計測装置100bで説明したように、第2ヘッド部10bと第4ヘッド部10dとで、軸上色収差を生じさせる光の波長を分割した構成となる。
【0093】
つまり、共焦点計測装置102は、第2光源21Baおよび第4光源21Bbの光を、第2ヘッド部10bおよび第4ヘッド部10dの回折レンズ1で軸上色収差を生じさせるとともに、色収差が生じた光を対物レンズ2で計測対象物200aおよび計測対象物200bのそれぞれに集光する。共焦点計測装置102は、計測対象物200aおよび計測対象物200bのそれぞれで合焦した光を光ファイバ22cからコリメートレンズ23dを介して回折格子23bに導き、当該回折格子23bで分光した光を集光レンズ23cで撮像素子24に入射する。共焦点計測装置102は、撮像素子24に入射した光のスペクトル波形をモニタ部30に描画し、第2ヘッド部10bおよび第4ヘッド部10dで計測した計測対象物200aおよび計測対象物200bそれぞれの変位を出力する。たとえば、共焦点計測装置102は、第2ヘッド部10bで計測した計測対象物200aの変位が10μmであること、第4ヘッド部10dで計測した計測対象物200bの変位が132μmであることを出力する。
【0094】
これにより、共焦点計測装置102は、第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10bで計測対象物200aの変位を2点計測することができ、第3ヘッド部10cおよび第4ヘッド部10dで計測対象物200bの変位を2点計測することができる。つまり、共焦点計測装置102は、第1ヘッド部10a〜第4ヘッド部10dを用いて、計測対象物200aおよび計測対象物200bの変位を4点計測することができる。
【0095】
以上のように、本発明の実施の形態3に係る共焦点計測装置102は、計測対象物200の変位を多点計測するために、撮像素子24のうち分割した波長帯域に対応する領域ごとにピーク波長を求めることと、発光した光源に対応したピーク値の波長を求めることとを組合せて行なうので、さらに多くの計測対象物200の変位を計測することができる。なお、共焦点計測装置102は、前述した実施の形態1および実施の形態2に係る共焦点計測装置の効果と同様の効果を有している。
【0096】
なお、本発明の実施の形態3に係る共焦点計測装置102では、4つの光源を、ある波長帯域の光を発光する第1光源21Aaおよび第2光源21Baと、第1光源21Aaおよび第2光源21Baと異なる波長帯域の光を発光する第3光源21Abおよび第4光源21Bbとに分けて波長帯域分割を行なった。しかし、本発明の実施の形態3に係る共焦点計測装置102は、これに限られず、同じ波長帯域の光を発光する4つの光源を用いて、第1ヘッド部10aおよび第2ヘッド部10bに図1で示した第1光学フィルタ3aを、第3ヘッド部10cおよび第4ヘッド部10dに図1で示した第2光学フィルタ3bをそれぞれ設けることで波長帯域分割を行なってもよい。
【0097】
また、本発明の実施の形態1〜3に係る共焦点計測装置では、ヘッド部10において回折レンズ1で軸上色収差を光に生じさせる構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、本発明に係る共焦点計測装置では、回折レンズ1に代えて、軸上色収差を生じさせる1つのレンズ、または複数のレンズを組合せた光学系部品を用いてもよい。
【0098】
さらに、本発明の実施の形態1〜3に係る共焦点計測装置では、2本または4本のヘッド部10を含む構成について説明したが、これは例示であり、さらに多くのヘッド部10を含む構成であってもよい。
【0099】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0100】
1 回折レンズ、2 対物レンズ、3a 第1光学フィルタ、3b 第2光学フィルタ、4,23c 集光レンズ、5 ビームスプリッタ、10,10a〜10d ヘッド部、11,22a,22b,22c,22d 光ファイバ、20 コントローラ部、21 光源、22 分岐光ファイバ、23 分光器、23a 凹面ミラー、23b 回折格子、24 撮像素子、25 制御回路部、26 V溝基板、30 モニタ部、100,100a,100b,101,102 共焦点計測装置、200,200a,200b 計測対象物。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図12