(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)を、図面を参照しながら説明する。なお、
図9においては図面を見易くするため、後述する入出力基板70及び制御基板80に実装される電子部品の図示を省略している。
図1は、本発明に係る一実施形態の車両に搭載される電動パワーステアリング装置を示すものである。
【0013】
図1の符号1は、ステアリングホイールであり、このステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力がステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aと出力軸2bとを有する。入力軸2aの一端はステアリングホイール1に連結され、他端は操舵トルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
そして、出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで車幅方向の直進運動に変換している。
【0014】
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した例えばウォームギヤ機構で構成される減速ギヤ11と、この減速ギヤ11に連結された操舵補助力を発生する例えば3相ブラシレスモータで構成される電動モータ12とを備えている。
操舵トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するものである。操舵トルクセンサ3は、例えば、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介挿したトーションバー(図示せず)の振れ角変位に変換し、この振れ角変位を入力軸2a側に配置した入力側角度センサ(図示せず)と出力軸2b側に配置した出力側角度センサ(図示せず)との角度差に変換して検出する。
【0015】
また、電動モータ12は、例えば3相ブラシレスモータで構成され、
図2に示すように、ステータのスロットに、3相を構成するA相、B相、及びC相の各相モータ巻線La、LbおよびLcが巻相されている。各相モータ巻線La、LbおよびLcは、一端が互いに接続されてスター結線とされ、他端がモータ制御装置20に接続されてモータ駆動電流Ia、Ib及びIcが供給される。
【0016】
電動モータ12には、
図2に示すように、モータの回転位置を検出する回転位置センサ13aが設けられ、この回転位置センサ13aからの検出値がモータ回転角検出回路13に供給されてこのモータ回転角検出回路13でモータ回転角θmを検出するようになっている。
また、モータ制御装置20には、直流電源としてのバッテリ22から直流電流が入力される。
【0017】
ここで、モータ制御装置20は、
図2に示すように、3相の電圧指令値V1
*、V2
*を演算する制御演算装置31と、制御演算装置31から出力される3相の電圧指令値V1
*およびV2
*が入力される第1および第2のモータ駆動回路32Aおよび32Bと、第1および第2のモータ駆動回路32Aおよび32Bと電動モータ12の多相モータ巻線La、LbおよびLcとの間に介挿された第1および第2のモータ電流遮断回路33Aおよび33Bとを備えている。
【0018】
制御演算装置31には、操舵トルクセンサ3で検出した操舵トルク、車速センサ21で検出した車速、モータ回転角検出回路13から出力されるモータ回転角θm、モータの角速度、及びモータの角加速度が入力される。また、制御演算装置31には、電流検出回路39Aおよび39Bから出力される、電動モータ12の各相モータ巻線La、LbおよびLcに通電されるモータ駆動電流I1a〜I1cおよびI2a〜I2cが入力される。そして、制御演算装置31は、操舵トルク、車速、モータ回転角θm、モータの角速度、及びモータの角加速度に基づいて第1および第2のモータ駆動回路32Aおよび32Bに対する3相の電圧指令値V1
*およびV2
*を算出し、算出した3相の電圧指令値V1
*およびV2
*を第1および第2のモータ駆動回路32Aおよび32Bの後述するゲート駆動回路41Aおよび41Bに出力する。
【0019】
また、制御演算装置31には、後述する第1および第2のインバータ回路42Aおよび42Bを構成するスイッチング素子としての電界効果トランジスタ(FET)Q1〜Q6の上側アームのオープン故障および下側アームのショート故障と電動モータ12の各相モータ巻線La、LbおよびLcのコイル部の断線異常とを検出する異常検出部31aが設けられている。この異常検出部31aでは、電界効果トランジスタ(FET)Q1〜Q6のオープン故障およびショート故障を検出しないときには、論理値“0”(正常)の異常検出信号SAaおよびSAbをモータ駆動回路32Aおよび32Bのゲート駆動回路41Aおよび41Bに対して出力し、電界効果トランジスタ(FET)Q1〜Q6のオープン故障およびショート故障を検出したときには、論理値“1”(異常)の 異常検出信号SAa又はSAbを異常検出したモータ駆動回路32A又は32Bのゲート駆動回路41A又は41Bに対して出力するようになっている。
【0020】
第1および第2のモータ駆動回路32Aおよび32Bのそれぞれは、制御演算装置31から出力される3相の電圧指令値V1
*およびV2
*が入力されてゲート信号を形成するとともに、異常時電流制御部を兼ねるゲート駆動回路41Aおよび41Bと、これらゲート駆動回路41Aおよび41Bから出力されるゲート信号が入力される第1および第2のインバータ回路42Aおよび42Bとを備えている。
【0021】
ここで、ゲート駆動回路41Aは、制御演算装置31から入力される異常検出信号SAaが論理値“0”(正常)のときには、モータ電流遮断回路33Aに対してハイレベルの3つのゲート信号を出力するとともに、電源遮断回路44Aに対してハイレベルのゲート信号を出力する。また、ゲート駆動回路41Aは、異常検出信号SAaが論理値“1”(異常)のときには、モータ電流遮断回路33Aに対してローレベルの3つのゲート信号を同時に出力し、モータ駆動電流I1a〜I1cを遮断するとともに、電源遮断回路44Aに対してローレベルのゲート信号を出力し、バッテリ電流を遮断するようになっている。
【0022】
同様に、ゲート駆動回路41Bは、制御演算装置31から入力される異常検出信号SAaが論理値“0”(正常)のときには、モータ電流遮断回路33Bに対してハイレベルの3つのゲート信号を出力するとともに、電源遮断回路44Bに対してハイレベルのゲート信号を出力する。また、ゲート駆動回路41Bは、異常検出信号SAaが論理値“1”(異常)のときには、モータ電流遮断回路33Bに対してローレベルの3つのゲート信号を同時に出力し、モータ駆動電流I2a〜I2cを遮断するとともに、電源遮断回路44Bに対してローレベルのゲート信号を出力し、バッテリ電流を遮断するようになっている。
【0023】
また、第1および第2のインバータ回路42Aおよび42Bのそれぞれには、ノイズフィルタ43および電源遮断回路44Aおよび44Bを介してバッテリ22のバッテリ電流が入力され、入力側に平滑用の電解コンデンサCAおよびCBが接続されている。
そして、これら第1および第2のインバータ回路42Aおよび42Bのそれぞれは、6個のスイッチング素子としての電界効果トランジスタ(FET)Q1〜Q6を有し、2つの電界効果トランジスタを直列に接続した3つのスイッチングアームSAa、SAbおよびSAcを並列に接続した構成を有する。そして、第1のインバータ回路42Aを構成する電界効果トランジスタQ1〜Q6にゲート駆動回路41Aから出力されるゲート信号が入力されることにより、各スイッチングアームSAa、SAbおよびSAcの電界効果トランジスタ間からA相のモータ駆動電流I1a、B相のモータ駆動電流I1bおよびC相のモータ駆動電流I1cがモータ電流遮断回路33Aを介して電動モータ12の各相モータ巻線La、LbおよびLcに通電される。また、第2のインバータ回路42Bを構成する電界効果トランジスタQ1〜Q6にゲート駆動回路41Bから出力されるゲート信号が入力されることにより、各スイッチングアームSAa、SAbおよびSAcの電界効果トランジスタ間からA相のモータ駆動電流I2a、B相のモータ駆動電流I2bおよびC相のモータ駆動電流I2cがモータ電流遮断回路33Bを介して電動モータ12の各相モータ巻線La、LbおよびLcに通電される。
【0024】
なお、モータ電流遮断回路33Aは、3つの電流遮断用の電界効果トランジスタQA1〜QA3を備えて構成され、モータ電流遮断回路33Bは、3つの電流遮断用の電界効果トランジスタQB1〜QB3を備えて構成されている。
次に、モータ制御装置20としての電子制御ユニット50の構成について、
図3乃至
図9を用いて説明する。
【0025】
ここで、本実施形態において、同一平面内で互いに直交する第1及び第2の方向をX方向及びY方向と呼ぶこともある。また、X方向及びY方向と直交する第3の方向をZ方向と呼ぶこともある。
電子制御ユニット50は、
図3に示すように、主に、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bと、入出力基板70と、制御基板80と、これらを収納する筐体90とを備えている。
【0026】
第1のパワーモジュール60Aには、主に、モータ電流遮断回路33A、複数のスイッチング素子からなる第1のインバータ回路42A、電源遮断回路44Aなどが搭載されている。第2のパワーモジュール60Bには、主に、モータ電流遮断回路33B、複数のスイッチング素子からなる第2のインバータ回路42B、電源遮断回路44Bなどが搭載されている。すなわち、本実施形態の電子制御ユニット50は、2系統のパワーモジュール60A,60Bを有し、何れか一方のパワーモジュールに不具合が生じた場合においても他方のパワーモジュールで電動モータ12を駆動制御することができる構成になっている。
【0027】
入出力基板70には、電源入力用コネクタ71及び3相出力用コネクタ100が実装され、さらに電解コンデンサ(CA,CB)、ノイズフィルタ43を構成するコイル73a及び73b、抵抗体、3端子レギュレータなどの電子部品(ディスクリート部品)73も実装されている。
ここで、電源入力用コネクタ71及び3相出力用コネクタ100は、本発明の入力用コネクタ及び出力用コネクタに対応している。
【0028】
制御基板80には、
図3に示すように、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの出力電流を制御する制御装置としての制御演算装置31、ゲート駆動回路41Aを搭載したゲート駆動装置82A、ゲート駆動回路41Bを搭載したゲート駆動装置82Bなどが実装され、さらにコンデンサ、抵抗体、信号入力用コネクタ81などの電子部品も実装されている。制御基板80及び入出力基板70は、例えば表裏面、若しくは表裏面及び内層に配線層が設けられた多層配線構造になっている。
【0029】
筐体90は、ケース91及びカバー92を主体に構成され、このケース91及びカバー92で形成される収納部に第1及び第2のパワーモジュール60A,60B、入出力基板70、制御基板80などを収納している。ケース91及びカバー92は、導電性及び熱伝導性が良好な金属材料、例えばアルミダイキャスト(ADC)で形成されている。
ケース91及びカバー92は、
図3乃至
図6及び
図9に示すように、平面視したときの平面形状が方形状で形成されている。ケース91は、天井部91xと、この天井部91xの中央を囲むようにして天井部91xの縁に一体的に設けられた4つの側壁部91a,91b,91c,91dと、天井部91xとは反対側に設けられた開口部とを有する凹形状からなり、この開口部を覆うようにしてカバー92が取り付けられるようになっている。4つの側壁部91a,91b,91c,91dのうち、2つの側壁部91a及び91bの各々はX方向において互いに離間して対向し、残りの2つの側壁部91c及び91dの各々はX方向と直交するY方向において互いに離間して対向している。
【0030】
カバー92は平面形状で形成されている。また、カバー92の下面には、後述する電動モータ12にネジ部材によってネジ止め固定されるボス部92bが形成されている。
ここで、ケース91の天井部91xは筐体90の天井部90xを構成し、ケース91の4つの側壁部91a,91b,91c,91dの各々は筐体90の4つの側壁部90a,90b,90c,90dを構成する。また、カバー92は筐体90の装着部90yを構成する。すなわち、筐体90は、その厚さ方向(Z方向)に互いに離間して対向する天井部90x及び装着部90yと、この天井部90xと装着部90yとの間に位置する4つの側壁部90a,90b,90c,90dとを有し、この天井部90x、装着部90y及び4つの側壁部90a,90b,90c,90dで囲まれた収納部に、第1及び第2のパワーモジュール60A,60B、入出力基板70及び制御基板80などを収納する構成になっている。
【0031】
図3に示すように、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々は、ケース91の互いに離間して対向する2つの側壁部91a,91bに個別にその内側からネジ部材65によってネジ止め固定されている。
また、入出力基板70は、ケース91の天井部91xにその内側からネジ部材75によってネジ止め固定されている。
【0032】
また、制御基板80は、ケース91の天井部91xに、その内側からネジ部材85によってネジ止め固定されている。また、カバー92は、ケース91の側壁部91a,91b,91c,91dに、その内側からネジ部材96によってネジ止め固定されている。入出力基板70及び制御基板80は、電子制御ユニット50の厚さ方向(Z方向)に所定の間隔を置いて互いに対向して配置されている。
【0033】
入出力基板70の3相出力用コネクタ100は、
図4及び
図5に示すように、ケース91の側壁部91dから外部に露出している。また、入出力基板70の電源入力用コネクタ71及び制御基板80の信号入力用コネクタ81は、
図6に示すように、ケース91の側壁部91cから外部に露出している。
図7及び
図8に示すように、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々は、封止体61と、複数の第1のリード63と、複数の第2のリード64とを有している。この第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々は、2方向リード配列型のパッケージ構造になっている。
【0034】
封止体61は、平面視したときの平面形状が方形状で形成され、本実施形態では例えば2つの長辺61a,61b及び2つの短辺61c,61dを有する長方形で形成されている。封止体61は、例えば絶縁性樹脂若しくはセラミックスで形成されている。第1のパワーモジュール60Aの封止体61は、主に、第1のインバータ回路42Aを構成するスイッチング素子などを内蔵し封止している。第2のパワーモジュール60Bの封止体61は、主に、第2のインバータ回路42Bを構成するスイッチング素子などを内蔵し封止している。
【0035】
複数の第1及び第2のリード63,64の各々は、詳細に図示していないが、封止体61の内外に亘って延在し、封止体61の内部に位置する内部リード部と封止体61の外部に位置する外部リード部とを有している。
複数の第1のリード63の各々は、封止体61の外部に位置する外部リード部において、封止体61の2つの長辺61a,61bのうちの一方の長辺61aに沿って配置されている。複数の第2のリード64の各々は、封止体61の外部に位置する外部リード部において、封止体61の2つの長辺61a,61bのうちの他方の長辺61bに沿って配置されている。
【0036】
複数の第1及び第2のリード63,64の各々は、封止体61の外部に位置する外部リード部において、複数段に折り曲げ成形されている。
複数の第1のリード63の各々の外部リード部は、例えば3段に折り曲げ成形され、封止体61の一方の長辺61a側から突出する第1の部分63aと、この第1の部分63aから封止体61の厚さ方向に折れ曲がる第2の部分63bと、この第2の部分63bから封止体61の裏面側に折れ曲がる第3の部分63cとを有している。
【0037】
複数の第2のリード64の各々の外部リード部は、例えば2段に折り曲げ成形され、封止体61の他方の長辺61b側から突出する第1の部分64aと、この第1の部分64aから封止体61の裏面側に傾斜するように折れ曲がる第2の部分64bとを有している。
封止体61は、互いに反対側に位置する2つの短辺61c,61d側にそれぞれ切り欠き部62を有している。この切り欠き部62は、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bをケース91の内側にネジ止め固定するときのネジ部材65(
図1参照)を通すためのものである。
【0038】
第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bにおいて、複数の第1のリード63の各々は、入出力基板70の配線に例えば半田付けされ、電気的にかつ機械的に接続されている。また、複数の第2のリード64の各々は、制御基板80の配線に例えば半田付けされ、電気的にかつ機械的に接続されている。
ここで、複数のリード63においては、入出力基板70の配線を介して、電源入力用コネクタ71の端子に電気的に接続されるリード63や、3相出力用コネクタ100の端子に電気的に接続されるリード63を含んでいる。また、複数のリード64においては、制御基板80の配線を介して、信号入力用コネクタ81の端子に電気的に接続されるリード64を含んでいる。
【0039】
また、第1のパワーモジュール60Aの複数のリード63は、封止体61の内部において、スイッチング素子と電気的に接続されるリード63を含んでいる。また、第2のパワーモジュール60Bの複数のリード63も、封止体61の内部において、スイッチング素子と電気的に接続されるリード63を含んでいる。
また、第1のパワーモジュール60Aの複数のリード63は、3相出力用コネクタ100の端子に電気的に接続されるリード63を含み、このリード63は第1のパワーモジュール60Aの出力端子66A(
図10参照)を構成する。
【0040】
また、第2のパワーモジュール60Bの複数のリード63は、3相出力用コネクタ100の端子に電気的に接続されるリード63を含み、このリード63は第2のパワーモジュール60Bの出力端子66B(
図10参照)を構成する。
第1のパワーモジュール60Aと第2のパワーモジュール60Bは、各々の第1のリード63と第2のリード64とが各々の短辺(61c,61d)の方向において互いに反対側に位置する鏡面対称構造になっている。
【0041】
なお、複数の第1及び第2のリード63,64の各々は、例えば熱伝導性及び電気導電性が良好な鉄、鉄−ニッケル合金、若しくは銅、或いは銅合金等の金属製材料で形成されている。
一方、電動モータ12は、
図3に示すように、3相コイルを巻装したモータステータ(不図示)と、モータロータ(不図示)と、前述した回転位置センサ13aが内蔵されている円筒形状のモータフレーム12dと、モータステータに連結してモータフレーム12dから外部に突出しているモータ出力軸12aと、モータ出力軸12aに対応して反対側に位置するモータフレーム12dの天板12e近くに設けた第1取付フランジ12bと、モータ出力軸12aが突出しているモータフレーム12dの開口端部側に形成され、減速ギヤ11を内蔵したギヤボックス(不図示)側に装着される第2取付フランジ12cと、を備えている。
【0042】
そして、電子制御ユニット50は、筐体90のカバー92(装着部90y)が電動モータ12の天板12eにカバー92を当接した状態で配置され、カバー92に設けたボス部95bを第1取付フランジ12bに対応させ、ネジ部材(不図示)によってネジ止め固定することで、電動モータ12に装着される。
次に、電子制御ユニット50の組み立て手順について、
図3及び
図9を用いて説明する。
【0043】
まず、第1及び第2のパワーモジュール60A,60B、入出力基板70、制御基板80、ケース91及びカバー92を準備する。入出力基板70は、電源入力用コネクタ71、3相出力用コネクタ100、電解コンデンサCA,CB、ノイズフィルタ43を構成するコイル73a及び73b、抵抗体、3端子レギュレータなどの電子部品(ディスクリート部品)73が実装されている。制御基板80には、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの出力電流を制御する制御装置(制御演算装置31)やゲート駆動装置(ゲート駆動回路41A,41B)などの電子部品が実装され、さらにコンデンサ、抵抗体、信号入力用コネクタ81などの電子部品が実装されている。入出力基板70には、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々のリード63の第3の部分63cを挿通するためのスルーホール電極70s(
図9参照)が配線と共に形成されている。また制御基板80には、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々のリード64の第2の部分64bを挿通するためのスルーホール電極80s(
図9参照)が配線と共に形成されている。
【0044】
次に、ケース91の側壁部91a,91bに、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bを個別にその内側からネジ部材65によってネジ止め固定する。このネジ部材65によるネジ止め固定は、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々の封止体61に設けられた切り欠き部62を通して行われる。
次に、入出力基板70をケース91の天井部91xの内側に近接する位置にネジ部材75によってネジ止め固定する。入出力基板70には、複数のネジ用貫通孔70cが形成されており、ネジ止め固定する際には、ネジ部材75をネジ用貫通孔70cに挿通させる。また、入出力基板70をケース91の天井部91xにネジ止め固定する際には、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々の複数のリード63の先端部分(第3の部分63c)を、入出力基板70の配線に形成されているスルーホール電極70sに挿通させる。
【0045】
次に、制御基板80をケース91の天井部91xの内側から離間する位置に、入出力基板70に対して平行となるようにネジ部材85によってネジ止め固定する。制御基板80には、複数のネジ用貫通孔80eが形成されており、ネジ止め固定の際には、ネジ部材85をネジ用貫通孔80aに挿通させる。また、制御基板80をケース91の天井部91xにネジ止め固定する際には、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの複数の第2のリード64の先端部分(第2の部分64b)を、制御基板80の配線に形成されているスルーホール電極80sに挿通させる。
【0046】
次に、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの複数の第1のリード63の先端部分(第3の部分63c)を入出力基板70の配線に形成されているスルーホール電極70sに半田によって電気的にかつ機械的に接続すると同時に、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの複数の第2のリード64の先端部分(第2の部分64b)を制御基板80の配線に形成されているスルーホール電極80sに半田によって電気的にかつ機械的に接続する。
【0047】
次に、ケース91の開口部を覆うようにしてカバー92を取り付け、ケース91の側壁部91a,91b,91c,91dにカバー92の外側からネジ部材96によってネジ止め固定する。カバー92には、複数のネジ用貫通孔92aが形成されており、ネジ止め固定の際には、ネジ部材96をネジ用貫通孔92aに挿通させる。これにより、本実施形態の電子制御ユニット50の組立てがほぼ完了する。
【0048】
この電子制御ユニット50は、
図9に示すように、入出力基板70及び制御基板80が、電子制御ユニット50の厚さ方向(Z方向)に所定の間隔を置いて互いに対向して配置されている。本実施形態において、入出力基板70は制御基板80よりもケース91の天井部91x側に配置され、制御基板80は入出力基板70よりもカバー92側に配置されている。
【0049】
入出力基板70は、制御基板80の平面サイズより小さい平面サイズで形成されている。入出力基板70は互いに反対側に位置して対向する2つの辺70a,70bを有し、制御基板80は互いに反対側に位置して対向する2つの辺80aa,80bbを有している。
入出力基板70の一方の辺70aは、制御基板80の一方の辺80aaと同一側に位置し、この一方の辺80aaよりも内側に位置している。入出力基板70の他方の辺70bは、制御基板80の他方の辺80bbと同一側に位置し、この他方の辺80bbよりも内側に位置している。
【0050】
第1のパワーモジュール60Aは、入出力基板70及び制御基板80の各々の一方の辺70a,80aa側に入出力基板70の一方の辺70aを横切るようにして配置されている。第2のパワーモジュール60Bは、入出力基板70及び制御基板80の各々の他方の辺70a,80aa側に入出力基板70の他方の辺70bを横切るようにして配置されている。
【0051】
次に、本実施形態の電子制御ユニット50の構成について更に説明する。
筐体90は、前述したように、4つの側壁部90a,90b,90c,90dを有している。この4つの側壁部90a,90b,90c,90dのうち、X方向において互いに対向して反対側に位置する2つの側壁部90a,90bの各々は、装着部90yに対して鋭角をなす角度θで内側に傾斜している。この装着部90yに対して鋭角をなす角度θで内側に傾斜する2つの側壁部90a,90bは、本発明の傾斜側壁部に対応する。
【0052】
第1のパワーモジュール60Aは、封止体61が側壁部(傾斜側壁部)90aに沿うようにして配置されている。また、第2のパワーモジュール60Bは、封止体61が側壁部(傾斜側壁部)90bに沿うようにして配置されている。
第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々は、3段に折り曲げ成形された複数の第1のリード63の各々の第3の部分63cが入出力基板70に設けられたスルーホール電極70sに挿入され、半田によって電気的にかつ機械的に接続されている。
【0053】
また、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々は、2段に折り曲げ成形された複数の第2のリード64の各々の第2の部分64bが制御基板80に設けられたスルーホール電極80sに挿入され、半田によって電気的にかつ機械的に接続されている。
第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々のリード63は、第1及び第2のパワーモジュール60Aを傾斜させるために、第3の部分63cが入出力基板70の電子部品実装面に対して略垂直となるように折り曲げ成形されている。
【0054】
また、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々のリード64は、第1及び第2のパワーモジュール60Aを傾斜させるために、第2の部分64bが制御基板80の電子部品実装面に対して略垂直となるように折り曲げ成形されている。
第1のパワーモジュール60Aは、封止体61が筐体90の側壁部(傾斜側壁部)90aに直に、若しくは熱伝導性部材を介して連結されている。また、第2のパワーモジュール60Bは、封止体61が筐体90の側壁部(傾斜側壁部)90bに直に、若しくは熱伝導性部材を介して連結されている。熱伝導性部材としては、例えば、サーマルグリス、サーマルペースト、シリコングリス、ヒートシンクコンパウンドなどのペースト状の熱伝導性物質やシート状に加工された熱伝導物質を用いることができる。
【0055】
第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々の封止体61は、互いに離間し、かつ入出力基板70及び制御基板80から離間している。第1のパワーモジュール60Aは、入出力基板70及び制御基板80の各々の一方の辺70a,80aa側に配置されている。第2のパワーモジュール60Bは、入出力基板70及び制御基板80の各々の他方の辺70b,80bb側に配置されている。
【0056】
第1のパワーモジュール60Aの封止体61は、X方向において筐体90の互いに離間して対向する2つの側壁部90a,90bのうちの一方の側壁部90aに直に若しくは熱伝導性部材を介して連結されている。第2のパワーモジュール60Bの封止体61は、X方向において筐体90の互いに離間して対向する2つの側壁部90a,90bのうちの他方の側壁部90bに直に若しくは熱伝導性部材を介して連結されている。
【0057】
第1のパワーモジュールの出力端子66Aは、
図10に示すように、電動モータ12のA相、B相及びC相のそれぞれに対応する第1A相出力端子66Aa、第1B相出力端子66Ab及び第1C相出力端子66Acを備えている。また、第2のパワーモジュール60Bの出力端子66Bは、
図10に示すように、電動モータ12のA相、B相及びC相のそれぞれに対応する第2A相出力端子66Ba、第2B相出力端子66Bb及び第2C相出力端子66Bcを備えている。
【0058】
また、入出力基板70には、
図10に示すように、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bのそれぞれの出力端子66A,66Bに接続されて互いに独立して延びる第1及び第2の導体パターン76A,76Bが形成されている。
ここで、第1及び第2の導体パターン76A,76Bは、入出力基板70の平面から視て線対称に配線されている。
【0059】
そして、第1の導体パターン76Aは、第1のパワーモジュール60Aの第1A相出力端子66Aaに接続されて延びる第1A相導体パターン76Aaと、第1のパワーモジュール60Aの第1B相出力端子66Abに接続されて延びる第1B相導体パターン76Abと、第1のパワーモジュール60Aの第1C相出力端子66Acに接続されて延びる第1C相導体パターン76Acとを備えている。
【0060】
ここで、第1A相導体パターン76Aaは、入出力基板70の上面において、第1A相出力端子66Aaから3相出力用コネクタ100のA相端子121の第1の基板接続部121Caに向けて延びている。
また、第1B相導体パターン76Abは、入出力基板70の上面において、第1B相出力端子66Abから3相出力用コネクタ100のB相端子122の第1の基板接続部122Caに向けて延びている。
【0061】
更に、第1C相導体パターン76Acは、入出力基板70の上面70dにおいて、第1C相出力端子66Acから延び、第1B相導体パターン76Abに干渉しないように、第1スルーホール77aを介して入出力基板70の上面70dとは反対側に位置する下面70e(
図9参照)まで延び、更に入出力基板70の下面70eを第2スルーホール77bまで延び、また、第2スルーホール77bを介して入出力基板70の上面70dまで延び、更に入出力基板70の上面70dを3相出力用コネクタ100のC相端子123の第1の基板接続部123Caに至るまで延びている。
【0062】
また、第2の導体パターン76Bは、第2のパワーモジュール60Bの第1A相出力端子66Baに接続されて延びる第2A相導体パターン76Baと、第2のパワーモジュール60Bの第2B相出力端子66Bbに接続されて延びる第2B相導体パターン76Bbと、第2のパワーモジュール60Bの第2C相出力端子66Bcに接続されて延びる第2C相導体パターン76Bcとを備えている。
【0063】
ここで、第2A相導体パターン76Baは、入出力基板70の上面70dにおいて、第2A相出力端子66Baから3相出力用コネクタ100のA相端子121の第2の基板接続部121Cbに向けて延びている。
また、第2B相導体パターン76Bbは、入出力基板70の上面70dにおいて、第2B相出力端子66Bbから3相出力用コネクタ100のB相端子122の第2の基板接続部122Cbに向けて延びている。
【0064】
更に、第2C相導体パターン76Bcは、入出力基板70の上面70dにおいて、第2C相出力端子66Bcから延び、第2B相導体パターン76Bbに干渉しないように、第3スルーホール77cを介して入出力基板70の上面70dとは反対側に位置する下面70eまで延び、更に入出力基板70の下面70eを第4スルーホール77dまで延び、また、第4スルーホール77dを介して入出力基板70の上面70dまで延び、更に入出力基板70の上面70dを3相出力用コネクタ100のC相端子123の第2の基板接続部123Cbに至るまで延びている。
【0065】
そして、3相出力用コネクタ100は、第1のパワーモジュール60Aの出力電流であるA相のモータ駆動電流I1a、B相のモータ駆動電流I1bおよびC相のモータ駆動電流I1cを、電動モータ12の各相モータ巻線La、LbおよびLcに通電し、また、第2のパワーモジュール60Bの出力電流であるA相のモータ駆動電流I2a、B相のモータ駆動電流I2bおよびC相のモータ駆動電流I2cを、電動モータ12の各相モータ巻線La、LbおよびLcに通電するために用いられる。このため、電動モータ12の各相モータ巻線La、LbおよびLcに接続されている電線(図示せず)に結線されたコネクタ(図示せず)が3相出力用コネクタ100に嵌合するようになっている。
【0066】
この3相出力用コネクタ100は、
図10に示すように、絶縁性のハウジング110と、ハウジング110に固定された端子120とを備えている。端子120は、電動モータ12のA相、B相及びC相のそれぞれに対応する、A相端子121、B相端子122およびC相端子123を備えている。A相端子121、B相端子122およびC相端子123は、ハウジング110を成形する際に、詳細に図示していないが、下からA相端子121、C相端子123、B相端子122の順に互いに絶縁されて重ね合わせるようにインサート成形される。
【0067】
ここで、A相端子121は、詳細に図示していないが、上下方向に延びる略矩形形状の、電動モータ12への出力端子部と、出力端子部の上端から折り曲げられて前方及び左方向に延びる略矩形状の連結部と、連結部の左右両端の前縁(出力端子部が延びる縁と反対側の縁)から下方に延びる第1及び第2の基板接続部121Ca,121Cbとを備えている。A相端子121の第1及び第2の基板接続部121Ca,121Cbは、3相出力用コネクタ100の平面から視て線対称に配置されている。A相端子121は、導電性金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。
【0068】
また、B相端子122は、詳細に図示していないが、上下方向に延びる略矩形形状の、電動モータ12への出力端子部と、この出力端子部の上端から折り曲げられて前方向に延びる略矩形状の連結部122bと、この連結部122bの左右両端の前縁から下方に延びる第1及び第2の基板接続部122Ca,122Cbとを備えている。B相端子122は、導電性金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。第1及び第2の基板接続部122Ca,122Cbは、3相出力用コネクタ100の平面から視て線対称に配置されるとともに、
図10に示すように、A相端子121の第1及び第2の基板接続部121Ca,121Cbよりも内側に配置される。
【0069】
更に、C相端子123は、詳細に図示していないが、上下方向に延びる略矩形形状の、電動モータ12への出力端子部と、この出力端子部の上端から折り曲げられて前方及び右方向に延びる略矩形状の連結部123bと、この連結部123bの左右両側の前縁(出力端子部が延びる縁と反対側の縁)から下方に延びる第1及び第2の基板接続部123Ca,123Cbとを備えている。C相端子123は、導電性金属板を打ち抜き及び曲げ加工することによって形成される。第1及び第2の基板接続部123Ca,123Cbは、3相出力用コネクタ100の平面から視て線対称に配置されるとともに、
図10に示すように、A相端子121の第1及び第2の基板接続部121Ca,121Cbよりも内側かつB相端子122の第1及び第2の基板接続部122Ca,122Cbよりも外側に配置される。
【0070】
そして、A相端子121の第1の基板接続部121Ca、B相端子122の第1の基板接続部122Ca及びC相端子123の第1の基板接続部123Caは、入出力基板70の第1の導体パターン76Aに接続される。また、A相端子121の第2の基板接続部121Cb、B相端子122の第2の基板接続部122Cb及びC相端子123の第2の基板接続部123Cbは、入出力基板70の第2の導体パターン76Bに接続される。
【0071】
具体的に述べると、A相端子121の第1の基板接続部121Caは、第1A相導体パターン76Aaに半田接続され、B相端子122の第1の基板接続部122Caは、第1B相導体パターン76Abに半田接続され、C相端子123の第1の基板接続部123Caは、第1C相導体パターン76Acに半田接続される。
また、A相端子121の第2の基板接続部121Cbは、第2A相導体パターン76Baに半田接続され、B相端子122の第2の基板接続部122Cbは、第2B相導体パターン76Bbに半田接続され、C相端子123の第2の基板接続部123Cbは、第2C相導体パターン76Bcに半田接続される。
【0072】
そして、この3相出力用コネクタ100は、左右一対の取り付けネジ部材111を用いて、ケース91の側壁部91dに取り付けられる。
第1のパワーモジュール60Aの第1A相出力端子66Aa、第1B相出力端子66Ab、第1C相出力端子66Acは、X方向において、第2のパワーモジュール60Bの第2A相出力端子66Ba、第2B相出力端子66Bb、第1C相出力端子66Bcとそれぞれ対向している。すなわち、第1パワーモジュール60Aの複数のリード63と、第2のパワーモジュール60Bの複数のリード63とは、少なくとも、同一機能のリード同士がX方向において互いに向かい合うミラー反転配置のリード63(66Aaと66Ba,66Abと66Bb,66Acと66Bc)を含んでいる。
【0073】
ここで、第1のパワーモジュール60Aは、第1のインバータ回路42Aで電力変換された出力電流を出力端子66Aから出力する。この出力電流は入出力基板70の第1の導体パターン76Aを介して入出力基板70に設けられた3相出力用コネクタ100の端子120に供給される。また、第2のパワーモジュール60Bは、第2のインバータ回路42Bで電力変換された出力電流を出力端子66Bから出力する。この出力電流は入出力基板70の第2の導体パターン76Bを介して入出力基板70に設けられた3相出力用コネクタ100の端子120に供給される。すなちわ、本実施形態の電子制御ユニット50は、入出力基板70において、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々の出力端子66A,66Bと3相出力用コネクタ100の端子120とが電気的に接続されているので、入出力基板70と制御基板80との間において出力電流を流すためのワイヤーハーネスなどの個別部品を不用にすることができる。
【0074】
図10及び
図11において、電源入力用コネクタ71は、絶縁性のハウジング72と、ハウジング72に固定された第1及び第2の端子74a,74bとを備えている。第1の端子74aは第1の基板接続部74aaを有し、第2の端子74bは第2の基板接続部74bbを有している。第1の基板接続部74aaは、後述する入出力基板70の第1の電源用導体パターン78aに例えば半田を介して電気的にかつ機械的に接続されている。また、第2の基板接続部74bbは、後述する入出力基板70の第2の電源用導体パターン78bに例えば半田を介して電気的にかつ機械的に接続されている。
【0075】
第1のパワーモジュール60Aの複数のリード63は、電源入力用コネクタ71から電源が供給される電源入力用リードとして、第1及び第2の電源入力用リード67Aa,67Abを含んでいる。また、第1のパワーモジュール60Aの複数のリード64は、封止体61の内部で電源入力用リードと電気的に接続された電源出力用リードとして、第1の電源入力用リード67Aaと電気的に接続された第1の電源出力用リード68Aaと、第2の電源入力用リード67Abと電気的に接続された第2の電源出力用リード68Abとを含んでいる。
【0076】
第2のパワーモジュール60Bの複数のリード63は、電源入力用コネクタ71から電源が供給される電源入力用リードとして、第1及び第2の電源入力用リード67Ba,67Bbを含んでいる。また、第2のパワーモジュール60Bの複数のリード64は、封止体61の内部で電源入力用リードと電気的に接続された電源出力用リードとして、第1の電源入力用リード67Baと電気的に接続された第1の電源出力用リード68Baと、第2の電源入力用リード67Bbと電気的に接続された第2の電源出力用リード68Bbとを含んでいる。
【0077】
入出力基板70は、第1のパワーモジュール60Aの第1の電源入力用リード67Aa及び第2のパワーモジュール60Bの第1の電源入力用リード67Baと、電源入力用コネクタ71の第1の基板接続部74aaとを電気的に接続するように引き回された第1の電源用導体パターン78aを有している。第1の電源入力用リード67Aa、67Ba及び第1の基板接続部74aaは、第1の電源用導体パターン78aを介して互いに電気的に接続されている。
【0078】
また、入出力基板70は、第1のパワーモジュール60Aの第2の電源入力用リード67Ab及び第2のパワーモジュール60Bの第2の電源入力用リード67Bbと、電源入力用コネクタ71の第2の基板接続部74bbとを電気的に接続するように引き回された第2の電源用導体パターン78bを有している。第2の電源入力用リード67Ab、67Bb及び第2の基板接続部74bbは、第2の電源用導体パターン78bを介して互いに電気的に接続されている。第1及び第2の電源用導体パターン78a,78bは、互いに電気的に絶縁分離されている。
【0079】
第1の電源用導体パターン78aは、入出力基板70の上面70dにおいて、電源入力用コネクタ71の第1の基板接続部74aaから延び、途中分岐して2つの第1の電源入力用リード67Aa及び67Baに至るまで延びている。
第2の電源用導体パターン78bは、入出力基板70の上面70dにおいて、電源入力用コネクタ71の第2の基板接続部74bbから延び、第1の電源用導体パターン78aと干渉しないように、第5スルーホール77eを介して入出力基板70の下面70eまで延び、更に入出力基板70の下面70eを第6スルーホール77fまで延び、また、第6スルーホール77fを介して入出力基板70の上面まで延び、更に途中分岐して2つの第2の電源入力用リード67Aa,67Bbに至るまで延びている。
【0080】
第1のパワーモジュール60Aの封止体61の内部において、第1の電源入力用リード67Aaは、第1の電源用導電経路69Aaを介して第1の電源出力用リード68Aaと互いに電気的に接続されている。また、第2の電源入力用リード67Abは、第2の電源用導電経路69Abを介して第2の電源出力用リード68Abと互いに電気的に接続されている。この第1及び第2の電源用導電経路69Aa,69Abには、第1のインバータ回路42Aの第1及び第2の電源入力用端子が電気的に接続されている。この第1及び第2の電源用導電経路69Aa,69Abは、互いに絶縁分離されている。
【0081】
第2のパワーモジュール60Bの封止体61の内部において、第1の電源入力用リード67Baは、第1の電源用導電経路69Baを介して第1の電源出力用リード68Baと互いに電気的に接続されている。また、第2の電源入力用リード67Bbは、第2の電源用導電経路69Bbを介して第2の電源出力用リード68Bbと互いに電気的に接続されている。この第1及び第2の電源用導電経路69Ba,69Bbには、第2のインバータ回路42Bの第1及び第2の電源入力用端子が電気的に接続されている。この第1及び第2の電源用導電経路69Ba,69Bbは、互いに絶縁分離されている。
【0082】
第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bにおいて、第1の電源出力用リード68Aa,68Baは、制御基板80に形成された第1の電源用導体パターン88aと電気的に接続されている。第2の電源出力用リード68Ab,68Bbは、制御基板80に形成された第2の電源用導体パターン88bと電気的に接続されている。
制御基板80において、第1及び第2の電源用導体パターン88a,88bには、制御演算装置31、ゲート駆動装置82A,82Bなどの第1及び第2の電源入力用端子が電気的に接続されている。
【0083】
なお、第1及び第2の電源用導体パターン88a,88bの経路には、内部電源に降圧させるレギュレータ89が配置されている。
電源入力用コネクタ71において、第1の端子74a(第1の基板接続部74aa)には第1の基準電位の電源として例えば12[V]の電源がバッテリ22から供給される。また、第2の端子74b(第2の基板接続部74bb)には第1の基準電位とは異なる第2の基準電位の電源として例えば0[V]の電源がバッテリ22から供給される。
【0084】
第1の端子74a(第1の基板接続部74aa)に供給された電源(例えば12[V])は、入出力基板70の第1の電源用導体パターン78aに供給され、更に第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々の第1の電源入力用リード67Aa,67Ba、第1の電源用導電経路69Aa,69Ba、第1の電源出力用リード68Aa,68Bbを介して、制御基板80の第1の電源用導体パターン88aに供給される。
【0085】
また、第2の端子74b(第2の基板接続部74bb)に供給された電源(例えば0[V])は、入出力基板70の第2の電源用導体パターン78bに供給され、更に第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々の第2の電源入力用リード67Ab,67Bb、第2の電源用導電経路69Ab,69Bb、第1の電源出力用リード68Ab,68Bbを介して、制御基板80の第2の電源用導体パターン88bに供給される。
【0086】
すなわち、本実施形態の電子制御ユニット50は、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々が、入出力基板70に供給された電源を制御基板80に供給する基板間電源経路を備えているので、入出力基板70と制御基板80との間において電源を供給するためのワイヤーハーネスなどの個別部品を不用にすることができる。
第1のパワーモジュール60Aの複数の第2のリード64は、第1のインバータ回路42Aと電気的に接続された複数の信号入力用リード68Acを含んでいる。この信号入力用リード68Acには、制御基板80に形成された信号用導体パターン88cを介してゲート駆動装置82Aなどから第1のインバータ回路42Aの動作制御に必要な制御信号が入力される。
【0087】
第2のパワーモジュール60Bの複数の第2のリード64は、第2のインバータ回路42Bと電気的に接続された複数の信号入力用リード68Bcを含んでいる。この信号入力用リード68Acには、制御基板80に形成された信号用導体パターン88cを介してゲート駆動装置82Bなどから第2のインバータ回路42Bの動作制御に必要な制御信号が入力される。
【0088】
すなわち、本実施形態の電子制御ユニット50は、第1のパワーモジュール60Aの第1のインバータ回路42Aと電気的に接続された複数の信号入力用リード68Ac及び第2のパワーモジュール60Bの第2のインバータ回路42Bと電気的に接続された複数の信号入力用リード68Bcと、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々のインバータ回路42A,42Bを動作制御するゲート駆動装置82A,82B、このゲート駆動装置82A,82Bを制御する制御演算装置31とが制御基板80において電気的に接続されているので、入出力基板70と制御基板80との間において制御信号を供給するためのワイヤーハーネスなどの個別部品を不用にすることができる。
【0089】
図10及び
図11に示すように、第1のパワーモジュール60Aの第1及び第2の電源入力用リード67Aa,67Abは、X方向において、第2のパワーモジュール60Bの第1及び第2の電源入力用リード67Ba,67Bbとそれぞれ対向している。すなわち、第1のパワーモジュール60Aの複数の第1のリード63と、第2のパワーモジュール60Bの複数の第1のリード63とは、少なくとも、同一機能同士のリードがX方向において互いに向かい合うミラー反転配置のリード63(67Aaと67Bb,67Abと67Bb)を含んでいる。
【0090】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態に係る電子制御ユニット50において、第1のパワーモジュール60Aの複数のリード63は、電源入力用コネクタ71から電源が供給される電源入力用リードとして、第1及び第2の電源入力用リード67Aa,67Abを含んでいる。また、第1のパワーモジュール60Aの複数のリード64は、封止体61の内部で電源入力用リードと電気的に接続された電源出力用リードとして、第1の電源入力用リード67Aaと電気的に接続された第1の電源出力用リード68Aaと、第2の電源入力用リード67Abと電気的に接続された第2の電源出力用リード68Abとを含んでいる。また、第2のパワーモジュール60Bの複数のリード63は、電源入力用コネクタ71から電源が供給される電源入力用リードとして、第1及び第2の電源入力用リード67Ba,67Bbを含んでいる。また、第2のパワーモジュール60Bの複数のリード64は、封止体61の内部で電源入力用リードと電気的に接続された電源出力用リードとして、第1の電源入力用リード67Baと電気的に接続された第1の電源出力用リード68Baと、第2の電源入力用リード67Bbと電気的に接続された第2の電源出力用リード68Bbとを含んでいる。
【0091】
したがって、本実施形態に係る電子制御ユニット50によれば、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々が、入出力基板70に供給された電源を制御基板80に供給する基板間電源経路を備えているので、入出力基板70と制御基板80との間において電源を供給するためのワイヤーハーネスなどの個別部品を不用にすることができる。この結果、部品点数を少なくすることができるので、電子制御ユニット50の小型化を図ることができる。これにより、小型化を図ることが可能な電子制御ユニット50、それを用いた電動パワーステアリング装置及びこの電動パワーステアリング装置を搭載した車両を提供することができる。
【0092】
また、本実施形態に係る電子制御ユニット50は、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々が、入出力基板70に供給された電源を制御基板80に供給する基板間電源経路を備えているので、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの何れか一方に基板間電源経路を備えた場合と比較して、制御基板80における電源の安定化を図ることができる。
【0093】
(2)本実施形態の電子制御ユニット50は、入出力基板70において、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々の出力端子66A,66Bと3相出力用コネクタ100の端子120とが電気的に接続されているので、入出力基板70と制御基板80との間において出力電流を流すためのワイヤーハーネスなどの部品を不用にすることができる。この結果、部品点数を更に少なくすることができるので、電子制御ユニット50の小型化を更に図ることができる。
【0094】
(3)本実施形態に係る電子制御ユニット50は、第1のパワーモジュール60Aの第1のインバータ回路42Aと電気的に接続された複数の信号入力用リード68Ac及び第2のパワーモジュール60Bのインバータ回路42Bと電気的に接続された複数の信号入力用リード68Bcと、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々のインバータ回路42A,42Bを動作制御するゲート駆動装置82A,82B、このゲート駆動装置82A,82Bを制御する制御演算装置31とが制御基板80において電気的に接続されているので、入出力基板70と制御基板80との間において制御信号を供給するためのワイヤーハーネスなどの部品を不用にすることができる。この結果、部品点数を更に少なくすることができるので、電子制御ユニット50の小型化を更に図ることができる。
【0095】
なお、前述の実施形態では、2つの第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bを備えた電子制御ユニット50について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ若しくは3つ以上のパワーモジュールを備えた電子制御ユニットに適用することができる。
また、本実施形態では、第1及び第2のパワーモジュール60A,60Bの各々が、入出力基板70に供給された電源を制御基板80に供給する基板間電源経路を備えた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1及び第2のパワーモジュールの何れか一方に基板間電源経路を備えるようにしてもよい。
【0096】
また、前述の実施形態では、パワーステアリング装置のステアリング操作を補助する操舵補助力を発生される電動モータを駆動制御する電子制御ユニットについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、電動ブレーキ装置の電動モータ、電気自動車の走行用電動モータなどを制御する電子制御ユニットに適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、2a…入力軸、2b…出力軸、3…操舵トルクセンサ、4…ユニバーサルジョイント、5…ロアシャフト、6…ユニバーサルジョイント、7…ピニオンシャフト、8…ステアリングギヤ、8a…ピニオン、8b…ラック、9…タイロッド
10…操舵補助機構、11…減速ギヤ、12…電動モータ、12a…駆動軸、13…モータ回転角検出回路
20…モータ制御装置、22…バッテリ
31…制御演算装置、32A,32B…モータ駆動回路、33A,33B…モータ電流遮断回路、39A,39B…電流検出回路
41A,41B…ゲート駆動回路、42A,42B…インバータ回路、43…ノイズフィルタ、44A,44B…電源遮断回路
50…電子制御ユニット(ECU)、60A,60B…パワーモジュール、61…封止体、61a,61b…長辺、61c,61d…短辺、62…切り込み部
63…第1のリード、63a…第1の部分、63b…第2の部分、63c…第3の部分
64…第2のリード、64a…第1の部分、64b…第2の部分
66Aa…第1A相出力端子、66Ab…第1B相出力端子、66Ac…第1C相出力端子、66Ba…第2A相出力端子、66Bb…第2B相出力端子、66Bc…第2C相出力端子
67Aa,67Bb…第1の電源入力用リード、67Ab,67Bb…第2の電源入力用リード、68Aa,68Ba…第1の電源出力用リード、68Ab,68Bb…第2の電源出力用リード、69Aa,69Ba…第1の電源用導電経路、69Ab,69Bb…第2の電源用導電経路
70…入出力基板、70a,70b…辺、73…電子部品(ディスクリート部品)、74a,74b…端子、74aa…第1の基板接続部、74bb…第2の基板接続部
78a…第1の電源用導体パターン、78b…第2の電源用導体パターン、
76A…第1の導体パターン、76Aa…第1A相導体パターン、76Ab…第1B相導体パターン、76Ac…第1C相導体パターン
76B…第2の導体パターン、76Ba…第2A相導体パターン、76Bb…第2B相導体パターン、76Bc…第2C相導体パターン
77a…第1スルーホール、77b…第2スルーホール、77c…第3スルーホール、77d…第4スルーホール、77e…第5スルーホール、77f…第6スルーホール
80…制御基板、80a…ネジ用貫通孔、80aa,80bb…辺、82A,82B…ゲート駆動装置、88a…第1の電源用導体パターン、88b…第2の電源用導体パターン、88c…信号用導体パターン、89…レギュレータ、
90…筐体(収納体)、90a,90b,90c,90d…側壁部、90x…天井部、90y…装着部
91…ケース、91a,91b,91c,91d…側壁部、91x…天井部、92…カバー
100…3相出力用コネクタ(出力用コネクタ)、110…ハウジング、120…端子、121…A相端子、121a…出力端子部、121b…連結部、121Ca…第1の基板接続部、121Cb…第2の基板接続部、122…B相端子、122a…出力端子部、122b…連結部、122Ca…第1の基板接続部、122Cb…第2の基板接続部、123…C相端子、123a…出力端子部、123b…連結部、123Ca…第1の基板接続部、123Cb…第2の基板接続部
Q1〜Q6,QA1〜QA3,QB1〜QB3…電界効果トランジスタ