(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記塩基性化合物の塩基性度が、上記[A]重合体の酸解離性基の解離により生成する酸性基の共役塩基の塩基性度より大きい請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のダブルパターン形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明のダブルパターン形成方法について
図1及び
図2を用いて詳述する。
【0027】
<ダブルパターン形成方法(A)>
図1に示すように、ダブルパターン形成方法(A)は、第1レジストパターンを形成する工程、及び第2レジストパターンを形成する工程を有する。第1レジストパターンを形成する工程は、(1a)工程〜(1c)工程を含み、第2レジストパターンを形成する工程は、(2a)工程〜(2c)工程を含む。また、ダブルパターン形成方法(A)は、(3)工程を有することが好ましく、(1c’)工程等を含んでいてもよい。以下、各工程を詳述する。
【0028】
[(1a)工程]
(1a)工程は、第1フォトレジスト組成物を用い、基板上に第1レジスト膜を形成する工程である。ここでは、第1フォトレジスト組成物を基板1に塗布し、
図1(A)に示すように第1レジスト膜2を形成する。上記第1フォトレジスト組成物としては、形成されるレジスト膜の現像液に対する溶解性が、露光により変化するものであれば用いることができ、例えば露光により、有機溶媒を含有する現像液に対しては溶解性が低下し、アルカリ現像液に対しては溶解性が増大する組成物等が挙げられる。
【0029】
基板1としては、例えばシリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の従来公知の基板を使用できる。また、例えば有機系又は無機系の反射防止膜を基板上に形成してもよい。
【0030】
第1フォトレジスト組成物の塗布方法としては、例えば回転塗布(スピンコーティング)、流延塗布、ロール塗布等が挙げられる。なお、形成されるレジスト膜の膜厚としては、通常10nm〜1,000nmであり、10nm〜500nmが好ましい。
【0031】
第1フォトレジスト組成物を塗布した後、必要に応じてソフトベーク(SB)によって塗膜中の溶媒を揮発させてもよい。SBの温度としては、用いるフォトレジスト組成物の配合組成によって適宜選択されるが、通常30℃〜200℃であり、50℃〜150℃が好ましい。SBの時間としては、通常10秒〜600秒であり、20秒〜300秒が好ましい。
【0032】
環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するために、例えば保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。また、液浸プロセスにおいては、レジスト膜からの酸発生剤等の流出を防止するために、例えば液浸用保護膜をレジスト膜上に設けることもできる。なお、これらの技術は併用できる。
【0033】
[(1b)工程]
(1b)工程は、上記第1レジスト膜を露光する工程である。ここでは、
図1(B)に示すように、(1a)工程で形成した第1レジスト膜2の所望の領域に特定パターンのマスク及び必要に応じて液浸液を介して、露光光3を縮小投影等することにより露光する。例えば所望の領域にアイソラインパターンを有するマスクを介して縮小投影露光を行うことにより、第1レジストパターンとしてアイソトレンチパターンを形成できる。
【0034】
なお、液浸露光の際に用いられる液浸液としては水やフッ素系不活性液体等が挙げられる。液浸液は露光波長に対して透明であり、かつ膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましい。露光光3がArFエキシマレーザー光(波長193nm)である場合、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水が好ましく、蒸留水がより好ましい。液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させると共に、界面活性力を増大させる添加剤を添加してもよい。
【0035】
露光光3としては、第1フォトレジスト組成物に含有される酸発生体等の種類に応じて適宜選択されるが、例えば紫外線、遠紫外線、極端紫外線、X線、γ線等の電磁波;電子線、α線等の荷電粒子線等が挙げられる。これらのうち、遠紫外線が好ましく、ArFエキシマレーザー光、KrFエキシマレーザー光(波長248nm)がより好ましく、ArFエキシマレーザー光がより好ましい。露光量等の露光条件は、用いるフォトレジスト組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選択される。
【0036】
露光は複数回行ってもよく、複数回の露光には異なる露光光3を用いても良いが、1回目の露光光3としては、ArFエキシマレーザー光が好ましい。
【0037】
上記露光後にポストエクスポージャーベーク(PEB)を行なうことが好ましい。PEBを行なうことにより、レジスト膜中の重合体における酸解離性基の解離反応等を円滑に進行させることができる。PEBの温度としては、通常30℃〜200℃であり、50℃〜170℃が好ましい。PEBの時間としては、通常10秒〜600秒であり、20秒〜300秒が好ましい。
【0038】
[(1c)工程]
(1c)工程は、上記露光された第1レジスト膜を第1現像液を用いて現像する工程である。本工程により、
図1(C)のように第1レジストパターン4が形成される。上記第1現像液は、有機溶媒を含有することが好ましい。上記第1現像液を上記特定の現像液とすることで、レジスト膜における極性の比較的低い部分を除去することができ、第2現像液に不溶又は難溶の第1レジストパターンを簡便に形成することができる。
【0039】
上記有機溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0040】
上記アルコール系溶媒としては、例えば
メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、tert−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール系溶媒;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,4−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール部分エーテル系溶媒等が挙げられる。
【0041】
上記エーテル系溶媒としては、例えば
ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のジ脂肪族エーテル;
ジフェニルエーテル、ジトリルエーテル等のジ芳香族エーテル;
アニソール、フェニルエチルエーテル等の芳香族−脂肪族エーテル等が挙げられる。
【0042】
上記ケトン系溶媒としては、例えば
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−iso−ブチルケトン、メチルアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−iso−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン等の脂肪族ケトン系溶媒;
アセトフェノン、プロピオフェノン、トリルメチルケトン等の脂肪族−芳香族ケトン系溶媒;
ベンゾフェノン、トリルフェニルケトン、ジトリルケトン等の芳香族ケトン系溶媒等が挙げられる。
【0043】
上記アミド系溶媒としては、例えば
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
【0044】
上記エステル系溶媒としては、例えば
酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸iso−アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル等のモノエステル系溶媒;
ジ酢酸グリコール、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等のジエステル系溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールモノエーテルアセテート系溶媒;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン系溶媒;
ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶媒等が挙げられる。
【0045】
炭化水素系溶媒としては、例えば
n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、iso−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、iso−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、iso−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−iso−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
【0046】
これらのうち、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒が好ましい。エーテル系溶媒としては、芳香族−脂肪族エーテル系溶媒がより好ましく、アニソールが特に好ましい。ケトン系溶媒としては、脂肪族ケトン系溶媒がより好ましく、メチルアミルケトンが特に好ましい。エステル系溶媒としては、モノエステル系溶媒がより好ましく、酢酸ブチルが特に好ましい。これらの有機溶媒は2種以上を併用してもよい。
【0047】
第1現像液中の有機溶媒の含有量としては80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上が特に好ましい。有機溶媒含有現像液中の有機溶媒を上記特定範囲とすることで、レジスト膜中の極性が比較的低い部分を効果的に溶解、除去させることができ、より解像性に優れたパターンを形成することができる。なお、現像液に含有される有機溶媒以外の成分としては例えば水、シリコーンオイル等が挙げられる。また第1現像液には、必要に応じて界面活性剤を適当量添加することができる。界面活性剤としては例えばイオン性や非イオン性のフッ素系界面活性剤及び/又はシリコーン系界面活性剤等を用いることができる。
【0048】
(1c)工程における現像方法としては、例えば現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
【0049】
[(1c’)工程]
(1c)工程の後に、(1c’)工程として、現像後のレジストパターンをリンス液により洗浄して乾燥してもよい。このリンス液としては、有機溶媒を含有する液を使用することができ、発生したスカムを効率よく洗浄することができる。含有される有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒等が挙げられる。これらのうち、アルコール系溶媒、エステル系溶媒が好ましく、炭素数6〜8の1価のアルコール系溶媒がより好ましい。
【0050】
上記リンス液としては、2種以上を併用してもよい。リンス液中の含水率は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が特に好ましい。含水率を上記特定範囲とすることで、良好な現像特性を得ることができる。なお、リンス液には界面活性剤を添加することができる。
【0051】
リンス液による洗浄処理の方法としては、例えば一定速度で回転している基板上にリンス液を塗出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
【0052】
[(2a)工程]
(2a)工程は、上記第1レジストパターンの少なくともスペース部分に、第2フォトレジスト組成物を用い、第2レジスト膜を形成する工程である。ここでは、
図1(D)に示すように、第1レジストパターン4の少なくともスペース部分に、第2フォトレジスト組成物を塗布し、第2レジスト膜5を形成する。(2a)工程は、上記(1a)工程と同様である。上記第2フォトレジスト組成物は、(1a)工程の第1フォトレジスト組成物と同一であってもよく、異なっていてもよい。ダブルパターン形成のプロセスを簡便とする観点から、同一の組成物を用いることが好ましい。なお、同一であるとは、両組成物中の全ての成分の種類及び配合量が同一であることを意味し、両組成物が異なるとは、両組成物中のいずれかの成分の種類又は配合量が異なることを意味する。
【0053】
(2a)工程の第2フォトレジスト組成物は、第1レジストパターン4のスペース部分にのみ塗布してもよく、第1レジストパターン4のスペース部分とパターン上の両方に塗布してもよい。第2レジスト膜5の膜厚としては、第1レジスト膜2の膜厚に関わらず、独立して設定することができる。
【0054】
[(2b)工程]
(2b)工程は、上記第2レジスト膜を露光する工程である。ここでは、
図1(E)に示すように、(2a)工程で形成した第2レジスト膜5を露光光3の照射により露光する。(2b)工程は、上記(1b)工程と同様である。
【0055】
[(2c)工程]
(2c)工程は、上記露光された第2レジスト膜を、有機溶媒を含有する第2現像液を用いて現像する工程である。(2c)工程は、上記(1c)工程と同様である。本工程により、
図1(F)に示すように、第2レジストパターン6が形成される。上記第2現像液としては、例えば(1c)工程において第1現像液として例示した有機溶媒含有現像液等が適用できる。ダブルパターン形成方法(A)において、第2現像液の極性は、上記第1現像液の極性より低いことが第1レジストパターンの変形、溶解等を抑える観点から好ましい。なお、現像液の極性は、例えば溶解度パラメーター値(SP値)等により表される。
【0056】
当該ダブルパターン形成方法において、第1レジストパターンは、第2現像液に不溶又は難溶である。第1レジストパターンが、第2現像液に不溶又は難溶であることで、第1レジストパターンが、第2レジストパターン形成時に変形、溶解等せず、形成されるダブルパターンの形状を良好なものとできる。なお、「不溶又は難溶」とは、レジストパターンの形状が実質的に保持される程度に現像液への溶解性が小さいことを意味する。
【0057】
第2レジストパターン6の高さと、第1レジストパターン4の高さの差は、レジスト膜2の(1c)工程における膜減り量と、レジスト膜5の(2c)工程における膜減り量との関係から、レジスト膜5の適切な膜厚を算出して調整することができる。パターン形成後の基板の加工性の面からも、第1レジストパターン4の高さと第2レジストパターン6の高さとは同じであることが好ましい。
【0058】
<ダブルパターン形成方法(B)>
図2に示すように、ダブルパターン形成方法(B)は、上記第1現像液が、アルカリ現像液であり、上記第1レジストパターンを形成する工程が、(1c)工程の後に、(1d)現像後の第1レジスト膜を露光する工程をさらに含む点で
図1に示すダブルパターン形成方法とは異なる。以下、異なる工程について詳述する。
【0059】
[(1b)工程]
(1b)工程は、上記第1レジスト膜を露光する工程である。ここでは、
図2(B)に示すように、(1a)工程で形成した第1レジスト膜2の所望の領域に特定パターンのマスク及び必要に応じて液浸液を介して、露光光3を縮小投影等することにより露光する。例えば所望の領域にアイソラインパターンを有するマスクを介して縮小投影露光を行うことにより、第1レジストパターンとしてアイソラインパターンを形成できる。
【0060】
[(1c)工程]
図2の(1c)工程では、上記第1現像液としてアルカリ現像液を用いて現像する。アルカリ現像液を用いることで、極性が比較的高い部分が溶解、除去され、
図2(C’)に示すように現像後の第1レジスト膜4’が形成される。
【0061】
アルカリ現像液としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ水溶液が挙げられる。アルカリ水溶液の濃度としては、通常10質量%以下である。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超えると、未露光部が現像液に溶解するおそれがある。なお、アルカリ水溶液を用いて現像した後は、水で洗浄して乾燥することが好ましい。
【0062】
上記アルカリ現像液には、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、アセトニルアセトン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;フェノール、ジメチルホルムアミド等の有機溶媒を2種以上含有してもよい。
【0063】
有機溶媒の含有量としては、アルカリ現像液100体積部に対して100体積部以下が好ましく、50体積部以下がより好ましく、25体積部以下が特に好ましく、10体積部以下が最も好ましい。有機溶媒の添加量がアルカリ現像液100体積部に対して100体積部を超えると、アルカリ現像性が低下し、現像残りが多くなる場合がある。なお、上記アルカリ現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
【0064】
[(1d)工程]
(1d)工程は、現像後の第1レジスト膜を露光する工程である。本工程により、
図2(C’’)に示すように、露光によって発生した酸の作用により、現像後の第1レジスト膜4’は、構成する重合体の酸解離性基が解離して極性基を生じること等により、有機溶媒を含有する第2現像液に不溶又は難溶な第1レジストパターン4に転換される。
【0065】
(1d)工程における露光は、上記(1b)工程における露光と同様である。露光は、第1レジストパターン4への転換をより確実に行う観点から、スペース部分を含む全露光が好ましい。また、露光量としては、上記第1レジストパターンへの転換が行われるのに十分な露光量であれば特に限定されず、通常、(1b)工程で用いられる露光量に対して0.01〜10倍である。
【0066】
上記露光後にPEBを行なうことが好ましい。PEBを行なうことにより、上記現像後のレジストパターン中の酸解離性基の解離反応等を確実に進行させ、第1レジストパターン4を確実に形成させることができる。PEBの温度としては、通常30℃〜200℃であり、50℃〜170℃が好ましい。PEBの時間としては、通常10秒〜600秒であり、20秒〜300秒が好ましい。
【0067】
当該ダブルパターン形成方法で得られるダブルパターンの形状としては特に限定されないが、第1レジストパターン及び第2レジストパターンが、それぞれラインアンドスペースパターンであり、第1レジストパターンのライン部と第2レジストパターンのライン部とを交互に配置することが好ましい。当該ダブルパターン形成方法によれば、よりピッチの狭いラインアンドスペースパターン等を好適に形成することができる。
【0068】
また、第1レジストパターン及び第2レジストパターンが、それぞれラインアンドスペースパターンであり、第1レジストパターンのライン部と第2レジストパターンのライン部とが直交するように配置することが好ましい。当該ダブルパターン形成方法によれば、高い解像度のコンタクトホールパターン等を好適に形成することができる。
【0069】
当該ダブルパターン形成方法は、第2レジストパターン形成後、第1レジストパターン及び第2のレジストパターンが形成された基板に対し、第2レジストパターン形成工程と同様の工程をさらに複数回繰り返して行うこともできる。上記工程をさらに行うことで、さらに解像度の高いレジストパターンを形成することができる。
【0070】
[(3)工程]
(3)工程は、上記(2a)工程以前に、現像後の第1レジスト膜の表面に塩基性化合物を接触させる工程である。当該ダブルパターン形成方法においては、(3)工程をさらに有することが好ましい。当該ダブルパターン形成方法は、(3)工程をさらに有することで、現像後の第1レジスト膜の表面と塩基性化合物とが相互作用すると考えられ、その結果、パターン高さ差がより小さく、パターン断面形状により優れ、かつ幅により広狭があるレジストパターンを形成することができる。
【0071】
(3)工程を行う態様としては、(2a)工程以前であれば特に限定されないが、例えば、以下の(3A)〜(3C)等が挙げられる。
【0072】
(3A)上記第1現像液が有機溶媒及び上記塩基性化合物を含有し、上記(3)工程を(1c)工程において行う。ここでは、ダブルパターン形成方法(A)において、第1現像液である有機溶媒含有現像液に塩基性化合物をさらに含有させたものを用いることにより、(1c)工程において生じる現像後の第1レジスト膜の表面に塩基性化合物を接触させる。
【0073】
(3B)第1レジストパターンを形成する工程が、(1c)工程の後に、
(1c’)上記現像後の第1レジスト膜をリンス液を用いてリンスする工程
をさらに有し、
上記リンス液が上記塩基性化合物を有し、上記(3)工程を(1c’)工程において行う。ここでは、ダブルパターン形成方法(A)において、(1c)工程の後に、塩基性化合物を含有したリンス液を用いてリンスすることにより、(1c)工程で形成された現像後の第1レジスト膜の表面に塩基性化合物を接触させる。
【0074】
(3C)上記第2フォトレジスト組成物が塩基性化合物を含有し、上記(3)工程を(2a)工程において行う。ここでは、(2a)工程において用いる第2フォトレジスト組成物中に塩基性化合物を含有したものを用いることにより、現像後の第1レジスト膜である第1レジストパターンの表面に塩基性化合物を接触させる。
【0075】
上記塩基性化合物としては、例えば、窒素原子含有化合物、塩基性を有するアニオンを含む化合物等が挙げられる。
上記窒素原子含有化合物としては、例えば、アミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
上記塩基性を有するアニオンとしては、ヒドロキシルアニオン、カルボキシレートアニオン、スルホネートアニオン、スルホンアミドアニオン等が挙げられる。
【0076】
上記塩基性化合物としては、例えば、後述するフォトレジスト組成物の[E]酸拡散制御剤として例示した化合物等が挙げられる。
【0077】
上記塩基性化合物の塩基性度としては、上記[A]重合体の酸解離性基の解離により生成する酸性基の塩基性度より大きいことが好ましい。上記塩基性化合物の塩基性度を上記酸性基の共役塩基の塩基性度より大きくすることで、上述の現像後の第1レジスト膜の表面と塩基性化合物との相互作用がより強くなると考えられ、その結果、ダブルパターンのパターン高さ差、パターン断面形状及びパターンの幅広さをさらに向上させることができる。上記酸性基の共役塩基とは、例えば、酸性基が−COOH基の場合は−COO
−E
+基(E
+は、対アニオンである)である。塩基性化合物及び酸性基の共役塩基の塩基性度は、例えば、塩基解離定数等により表される。
【0078】
塩基性度が上記酸性基の共役塩基より大きい塩基性化合物としては、例えば、上記酸性基がカルボキシル基の場合、アミン化合物、含窒素複素環化合物、ヒドロキシアニオンを含む化合物、カルボキシレートアニオンを含む化合物、スルホンアミドアニオンを含む化合物等が挙げられる。これらの中で、アミン化合物、含窒素複素環化合物、カルボキシレートアニオンを含む化合物、スルホンアミドアニオンを含む化合物が好ましく、3級アミン、環状アミノ基を含む化合物、スルホンアミドアニオンを含む化合物がより好ましく、トリアルキルアミン、ピペリジン環を有する化合物、スルホンアミドアニオンを含むオニウム塩がさらに好ましく、1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−オール、トリフェニルスルホニウムN−n−ブチルスルホンアミドが特に好ましい。
【0079】
第1現像液中の上記塩基性化合物の含有量としては、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜8質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%がさらに好ましく、0.3質量%〜3質量%が特に好ましい。
【0080】
上記リンス液中の上記塩基性化合物の含有量としては、0.001質量%〜10質量%が好ましく、0.01質量%〜8質量%がより好ましく、0.1質量%〜5質量%がさらに好ましく、0.3質量%〜3質量%が特に好ましい。
【0081】
上記第2フォトレジスト組成物中の上記塩基性化合物の含有量としては、第2フォトレジスト組成物中に含まれる重合体100質量部に対して、0.01質量部〜30質量部が好ましく、0.05質量部〜15質量部がより好ましく、0.1質量部〜10質量部がさらに好ましく、0.2質量部〜5質量部が特に好ましい。
【0082】
上記塩基性化合物の含有量を上記範囲とすることで、当該ダブルパターン形成方法で形成されるダブルパターンのパターン高さ差等をより向上させることができる。
【0083】
<フォトレジスト組成物>
本発明のダブルパターン形成方法に用いる上記第1フォトレジスト組成物及び第2フォトレジスト組成物は、形成されるレジスト膜の現像液に対する溶解性が、露光により変化するものであれば特に限定されず、例えば露光により、有機溶媒を含有する現像液に対しては溶解性が低下し、アルカリ現像液に対しては溶解性が上昇するもの等が挙げられる。レジスト膜の現像液に対する溶解性を露光により変化させる方法としては、例えば露光により極性が変化する重合体を含有させる方法等が挙げられる。
【0084】
フォトレジスト組成物としては、[A]重合体、[B]酸発生体及び[C]溶媒を含有することが好ましい。また、フォトレジスト組成物は、好適成分として[D][A]重合体よりもフッ素原子含有率が高い重合体(以下、「[D]重合体」とも称する)、[E]酸拡散制御体、[F]添加剤等を含有してもよい。以下、各成分を詳述する。
【0085】
<[A]重合体>
[A]重合体が有する酸の作用により解離して酸性基を生成する酸解離性基とは、カルボキシル基、ヒドロキシル基等の酸性基の水素原子を置換する基であって、露光により[B]酸発生体から発生する酸等の作用により解離する基をいう。フォトレジスト組成物は、[A]重合体が酸解離性基を有することで、露光部における酸解離性基が解離して酸性基が生成して極性が増大し、有機溶媒を含有する現像液に対する溶解度が減少し、アルカリ現像液に対する溶解度が増大する。酸解離性基を有する態様としては、[A]重合体が酸解離性基を含む構造単位(I)を含むことが好ましい。また、[A]重合体は、ラクトン含有基又は環状カーボネート含有基を含む構造単位(II)、親水性官能基を有する構造単位(III)を含んでいてもよい。なお、[A]重合体は、各構造単位を2種以上含んでいてもよい。以下、各構造単位を詳述する。
【0086】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、下記式(1)で表される構造単位である。
【0088】
上記式(1)中、R
1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
pは、酸解離性基である。
【0089】
上記R
pで表される酸解離性基としては、下記式(i)で表される基が好ましい。
【0091】
上記式(i)中、R
p1、R
p2及びR
p3は、それぞれ独立して炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。但し、R
p2及びR
p3は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と共に炭素数4〜20の2価の脂環式炭化水素基を形成してもよい。
【0092】
上記R
p1、R
p2及びR
p3で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0093】
上記R
p1、R
p2及びR
p3で表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばアダマンタン骨格、ノルボルナン骨格等の有橋式骨格を有する多環の脂環式基;シクロペンタン骨格、シクロヘキサン骨格等のシクロアルカン骨格を有する単環の脂環式基等が挙げられる。また、これらの基は、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基の1種以上で置換されていてもよい。
【0094】
これらのうち、R
p1が炭素数1〜4のアルキル基であり、R
p2及びR
p3が互いに結合してそれらが結合している炭素原子と共にアダマンタン骨格又はシクロアルカン骨格を有する2価の基を形成することが好ましい。
【0095】
構造単位(I)としては、例えば下記式(1−1)〜(1−4)で表される構造単位等が挙げられる。
【0097】
上記式(1−1)〜(1−4)中、R
1は、上記式(1)と同義である。R
p1、R
p2及びR
p3は、上記式(i)と同義である。n
pは、1〜4の整数である。
【0098】
上記式(1)又は(1−1)〜(1−4)で表される構造単位としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0101】
上記式中、R
1は、上記式(1)と同義である。
【0102】
構造単位(I)を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル等が挙げられる。
【0103】
[A]重合体における構造単位(I)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%〜70モル%が好ましい。構造単位(I)の含有割合を上記特定範囲とすることで、フォトレジスト組成物のリソグラフィー特性が向上し、その結果、得られるダブルパターンの形状をより良好にできる。
【0104】
[構造単位(II)]
[A]重合体は、ラクトン含有基又は環状カーボネート含有基を含む構造単位(II)を含むことが好ましい。[A]重合体が構造単位(II)を有することで、形成されるレジストパターンの基板への密着性、及びレジストパターン同士の密着性を向上できる。ラクトン含有基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を表す。また、環状カーボネート含有基とは、−O−C(O)−O−で表される結合を含むひとつの環(環状カーボネート環)を含有する環式基を表す。ラクトン環又は環状カーボネート環を1つめの環として数え、ラクトン環又は環状カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
【0105】
構造単位(II)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0108】
上記式中、R
L1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0109】
構造単位(II)を与える単量体としては、例えば下記式(L−1)で表される単量体等が挙げられる。
【0111】
上記式(L−1)中、R
L1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
L2は、単結合又は2価の連結基である。R
L3は、ラクトン構造又は環状カーボネート構造を有する1価の有機基である。
【0112】
上記R
L2で表される2価の連結基としては、例えば炭素数1〜20の2価の直鎖状又は分岐状の炭化水素基等が挙げられる。
【0113】
上記R
L3で表されるラクトン構造を有する1価の有機基としては、例えば下記式(L3−1)〜(L3−6)で表される基が挙げられる。環状カーボネート構造を有する1価の有機基としては、例えば下記式(L3−7)及び(L3−8)で表される基等が挙げられる。
【0115】
上記式中、R
Lc1は、酸素原子又はメチレン基である。R
Lc2は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。n
Lc1は、0又は1である。n
Lc2は、0〜3の整数である。n
C1は、0〜2の整数である。n
C2〜n
C5は、それぞれ独立して0〜2の整数である。「*」は、上記式(L−1)のR
L2に結合する部位を示す。なお、式(L3−1)〜(L3−8)で表される基は置換基を有していてもよい。
【0116】
[A]重合体における構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%〜60モル%が好ましい。構造単位(II)の含有割合を上記特定範囲とすることで、形成されるレジストパターンの基板への密着性及びレジストパターン同士の密着性がより向上し、形成されるダブルパターンの強度をより向上させることができる。
【0117】
[構造単位(III)]
[A]重合体は、親水性官能基を有する構造単位(III)を有してもよい。[A]重合体が構造単位(III)を有することで、第1レジストパターン及び第2レジストパターンの有機溶媒を含有する現像液に対する溶解耐性が向上する。結果として、得られるダブルパターンの形状をより良好にすることができる。親水性官能基としては、例えばヒドロキシル基、アミノ基、ケトン性カルボニル基、スルホンアミド基等が挙げられる。
【0118】
構造単位(III)としては、例えば下記式で表される構造単位等が挙げられる。
【0120】
上記式中、R
2は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0121】
[A]重合体における構造単位(III)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、通常30モル%以下であり、0モル%〜20モル%が好ましい。
【0122】
なお、[A]重合体は、構造単位(I)〜(III)以外のその他の構造単位をさらに含んでいてもよい。その他の構造単位としては、例えばシアノ基等の極性基を含む構造単位等が挙げられる。シアノ基を含む構造単位を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−シアノメチルアダマンチル、(メタ)アクリル酸2−シアノエチル等が挙げられる。
【0123】
[A]重合体におけるその他の構造単位の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、通常30モル%以下であり、0モル%〜20モル%が好ましい。
【0124】
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば各構造単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより合成することができる。
【0125】
ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等が挙げられる。これらのうち、AIBN、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましい。これらのラジカル開始剤は、2種以上を用いてもよい。
【0126】
重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種又は2種以上を用いてもよい。
【0127】
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃であり、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間であり、1時間〜24時間が好ましい。
【0128】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)としては、1,000〜100,000が好ましく、1,000〜50,000がより好ましく、1,000〜30,000が特に好ましい。[A]重合体のMwを上記特定範囲とすることで、形成されるダブルパターンの断面形状の良好性を向上させることができる。また、ドライエッチング耐性を向上させることができる。
【0129】
[A]重合体のMwと数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)としては、通常1〜3であり、好ましくは1〜2である。
【0130】
重合体のMw及びMnは、GPCにより東ソー社製のGPCカラム(「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、「G4000HXL」1本)を使用し、以下の条件により測定した。
溶離液:テトラヒドロフラン(和光純薬工業製)
流量:1.0mL/分
試料濃度:1.0質量%
試料注入量:100μL
検出器:示差屈折計
標準物質:単分散ポリスチレン
【0131】
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、露光により酸を発生し、その酸により[A]重合体中に存在する酸解離性基を解離させる等により、[A]重合体の現像液に対する溶解度を変化させる。フォトレジスト組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような低分子化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」とも称する)でも、酸発生基として重合体に組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0132】
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、N−スルホニルオキシイミド化合物等が挙げられる。
【0133】
オニウム塩化合物としては、例えばスルホニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
【0134】
スルホニウム塩としては、例えばトリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムカンファースルホネート、トリフェニルスルホニウム1,1,2,2−テトラフルオロ−6−(1−アダマンタンカルボニロキシ)ヘキサン−1−スルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート等が挙げられる。
【0135】
テトラヒドロチオフェニウム塩としては、例えば1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムカンファースルホネート等が挙げられる。
【0136】
ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ジフェニルヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムカンファースルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムカンファースルホネート等が挙げられる。
【0137】
N−スルホニルオキシイミド化合物としては、例えばN−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0138】
[B]酸発生剤としては、オニウム塩化合物が好ましく、スルホニウム塩がより好ましく、トリフェニルスルホニウム2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1−ジフルオロエタンスルホネート、トリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネートが特に好ましい。[B]酸発生剤は、2種以上を用いてもよい。
【0139】
[B]酸発生体が酸発生剤である場合の含有量としては、フォトレジスト組成物の感度及び現像性を確保する観点から、[A]重合体100質量部に対して、通常0.1質量部以上20質量部以下であり、0.5質量部以上15質量部以下が好ましい。[B]酸発生剤の含有量が上記下限未満であると、フォトレジスト組成物の感度及び現像性が低下する場合がある。一方、[B]酸発生剤の含有量が上記上限を超えると、露光光に対する透明性が低下して、所望のレジストパターンを得られない場合がある。
【0140】
<[C]溶媒>
[C]溶媒は、[A]重合体、[B]酸発生体及び好適成分を溶解できる溶媒であれば特に限定されない。[C]溶媒としては、例えばアルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒及びその混合溶媒等が挙げられる。
【0141】
[C]溶媒としては、例えば上記第1現像液(上記(1c)工程における現像液)が含有できる有機溶媒として例示した溶媒が適用できる。[C]溶媒としては、ケトン系溶媒、エステル系溶媒が好ましく、脂肪族ケトン系溶媒、多価アルコールモノエーテルアセテート系溶媒、ラクトン系溶媒がより好ましく、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンが特に好ましい。
【0142】
第2フォトレジスト組成物の[C]溶媒としては、第1レジストパターンが不溶又は難溶となるものが好ましい。第1レジストパターンが第2フォトレジスト組成物に不溶又は難溶であることで、パターン高さ差がより小さく、パターン断面形状により優れ、かつ幅により広狭があるレジストパターンを形成することができる。
【0143】
<[D]重合体>
[D]重合体は、[A]重合体よりフッ素原子含有率が高い重合体である。上記フォトレジスト組成物が[D]重合体を含有することで、レジスト膜を形成した際に[D]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表層に偏在化する傾向がある。結果として、液浸露光を行う場合、酸発生剤や酸拡散制御剤等が液浸媒体に溶出することを抑制でき好ましい。また、この[D]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角が所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角が高くなり、水滴が残らずに高速でのスキャン露光が可能となる。なお、フッ素原子含有率(質量%)は、重合体の構造を
13C−NMR、
1H−NMR、IRスペクトル等を測定することにより求め、算出することができる。
【0144】
[D]重合体としては、[A]重合体よりフッ素原子含有率が高い限り特に限定されないが、フッ素化アルキル基を有することが好ましい。[D]重合体は、フッ素原子を構造中に含む単量体を少なくとも1種以上用いて重合することにより形成される。フッ素原子を構造中に含む単量体としては、主鎖にフッ素原子を含む単量体、側鎖にフッ素原子を含む単量体、主鎖と側鎖とにフッ素原子を含む単量体が挙げられる。
【0145】
主鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えばα−フルオロアクリレート化合物、α−トリフルオロメチルアクリレート化合物、β−フルオロアクリレート化合物、β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、α,β−フルオロアクリレート化合物、α,β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、1種類以上のビニル部位の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基等で置換された化合物等が挙げられる。
【0146】
側鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えばノルボルネン等の脂環式オレフィン化合物の側鎖がフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基であるもの、アクリル酸又はメタクリル酸のフルオロアルキル基又はその誘導基を有するエステル化合物、1種類以上のオレフィンの側鎖(二重結合を含まない部位)がフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基である単量体等が挙げられる。
【0147】
主鎖と側鎖とにフッ素原子を含む単量体としては、例えばα−フルオロアクリル酸、β−フルオロアクリル酸、α,β−フルオロアクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、β−トリフルオロメチルアクリル酸、α,β−トリフルオロメチルアクリル酸等のフルオロアルキル基又はその誘導基を有するエステル化合物、1種類以上のビニル部位の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基等で置換された化合物の側鎖をフッ素原子又はフルオロアルキル基若しくはその誘導基で置換した単量体、1種類以上の脂環式オレフィン化合物の二重結合に結合している水素原子をフッ素原子又はトリフルオロメチル基等で置換し、かつ側鎖がフルオロアルキル基又はその誘導基である単量体等が挙げられる。なお、この脂環式オレフィン化合物とは環の一部が二重結合である化合物を示す。
【0148】
[D]重合体がフッ素原子を有する態様としては、下記式で表される構造単位(IV)を含むことが好ましい。
【0150】
上記式(F1)中、R
3は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R
4は、少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基である。kは、1〜3の整数である。但し、R
4が複数の場合、複数のR
4はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。Aは、単結合又は(k+1)価の連結基である。
【0151】
上記Aで表される(k+1)価の連結基としては、例えば酸素原子、硫黄原子、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミド基、スルホニルアミド基、ウレタン基、カルボニルオキシ−ジ(オキシカルボニル)エタンジイル基、カルボニルオキシ−ジ(オキシカルボニル)プロパンジイル基、トリ(カルボニルオキシ)エタンジイル基、カルボニルオキシ−トリ(オキシカルボニル)エタンジイル基、カルボニルオキシ−トリ(オキシカルボニル)プロパンジイル基、テトラ(カルボニルオキシ)エタンジイル基等が挙げられる。
【0152】
構造単位(IV)を与える単量体としては、トリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)(メタ)アクリル酸エステル、2,2−ジ(2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル)エチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2−ジ(2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル)エチル(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2−ジ(2,2,2−トリフルオロエチルオキシカルボニル)エチル(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
【0153】
[D]重合体は、構造単位(IV)を2種以上有してもよい。構造単位(IV)の含有割合としては、[D]重合体における全構造単位に対して、通常5モル%以上であり、10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましい。構造単位(IV)の含有割合が5モル%未満であると、70°以上の後退接触角を達成できなかったり、レジスト膜からの酸発生剤等の溶出を抑制できないおそれがある。
【0154】
[D]重合体には、構造単位(IV)以外にも、現像液に対する溶解速度をコントールするために酸解離性基を含む上記構造単位(I)、ラクトン含有基又は環状カーボネート含有基を含む上記構造単位(II)、脂環式基を有する構造単位等の他の構造単位を1種以上含有することができる。
【0155】
上記脂環式基を含有する構造単位としては、例えば下記式(F2)で表される構造単位等が挙げられる。
【0157】
上記式(F2)中、R
5は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Xは、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。
【0158】
上記Xで表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカン、テトラシクロ[6.2.1.1
3,6.0
2,7]ドデカン、トリシクロ[3.3.1.1
3,7]デカン等のシクロアルカン類に由来する脂環族環からなる炭化水素基が挙げられる。
【0159】
他の構造単位の含有割合としては、[D]重合体を構成する全構造単位に対して、通常、90モル%以下であり、80モル%以下が好ましい。
【0160】
フォトレジスト組成物における[D]重合体の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して、0.1質量部〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。[D]重合体の含有量を上記特定範囲とすることで、フォトレジスト組成物の液浸露光におけるパターン形成性をより向上することができる。結果として、得られるダブルパターンの形状をより良好にすることができる。
【0161】
<[D]重合体の合成方法>
[D]重合体の合成方法としては、例えば[A]重合体の合成方法と同様の方法に従って合成することができる。[D]重合体のMwとしては、1,000〜50,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましく、1,000〜10,000が特に好ましい。[D]重合体のMwが1,000未満の場合、十分な前進接触角を得ることができない場合がある。
【0162】
<[E]酸拡散制御体>
[E]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から発生する酸等のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏する。また、[E]酸拡散制御体は、これを含有するフォトレジスト組成物の貯蔵安定性を向上させる効果も奏する。[E]酸拡散制御体のフォトレジスト組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態(以下、適宜「[E]酸拡散制御剤」とも称する)でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0163】
[E]酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0164】
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0165】
アミド基含有化合物としては、例えばN−(t−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、N−(t−ペンチルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン等のN−t−ペンチルオキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0166】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0167】
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0168】
[E]酸拡散制御剤としては、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物がある。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(K1)で表されるスルホニウム塩化合物、下記式(K2)で表されるヨードニウム塩化合物等が挙げられる。
【0170】
上記式(K1)及び(K2)中、R
6〜R
10は、それぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシル基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子である。Z
−及びE
−は、OH
−、R
A−COO
−、R
A−SO
3−、R
A−N
−−SO
2−R
B又は下記式(K3)で表されるアニオンである。但し、R
Aは、アルキル基、アリール基又はアルカリール基である。R
Bは、フッ素原子を有していてもよいアルキル基である。
【0172】
上記式(K3)中、R
11は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは、0〜2の整数である。
【0173】
[E]酸拡散抑制体は、2種以上を併用してもよい。[E]酸拡散制御体の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して、5質量部未満が好ましい。[E]酸拡散制御体の含有量が5質量部を超えると、レジストとしての感度が低下する傾向にある。
【0174】
<[F]添加剤>
フォトレジスト組成物は、[F]添加剤として、例えば界面活性剤、増感剤等を含有していてもよい。
【0175】
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、一般的なフォトレジスト組成物に用いられるものと同様のものを用いることができる。
【0176】
[増感剤]
増感剤は、[B]酸発生体からの酸の生成量を増加する作用を表すものであり、フォトレジスト組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
【0177】
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらの増感剤は、2種以上を併用してもよい。
【0178】
<フォトレジスト組成物の調製方法>
フォトレジスト組成物は、例えば[A]重合体、[B]酸発生体、[C]溶媒及び好適成分を所定の割合で混合することにより調製できる。フォトレジスト組成物の全固形分濃度としては、通常、1質量%〜50質量%であり、1質量%〜25質量%が好ましい。
【実施例】
【0179】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0180】
<[A]重合体及び[D]重合体の合成>
[A]重合体及び[D]重合体の合成に用いた単量体を以下に示す。
【0181】
【化15】
【0182】
[合成例1]
上記化合物(M−1)50モル%、化合物(M−4)50モル%及び重合開始剤としてのAIBN2モル%を60gのメチルエチルケトンに溶解した単量体溶液を準備した。また、単量体化合物の合計質量は30gになるように調整した。一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mLの三口フラスコにメチルエチルケトン30gを加え、30分間窒素バージを行った。その後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。次いで、上記単量体溶液を三口フラスコ内に滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。その後、30℃以下になるまで冷却して重合溶液を得た。この重合溶液を600gのメタノール中へ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を2回、120gずつのメタノールでスラリー状にして洗浄した後、ろ別し、50℃で17時間乾燥し、白色粉末状の重合体(A−1)を得た(収量:23.5g、収率:78.3%)。
13C−NMR分析の結果、重合体(A−1)における化合物(M−1)由来の構造単位:化合物(M−4)由来の構造単位の含有割合(モル%)は、それぞれ47.8:52.2であった。重合体(A−1)のMwは11,800、Mw/Mnは、1.60であった。
13C−NMR分析は、日本電子製「JNM−EX400」を使用し、測定溶媒としてDMSO−d
6を使用して分析を行った。
【0183】
[合成例2〜4]
表1に示す種類及び仕込み量の単量体を用いたこと以外は、合成例1と同様に操作して各重合体を合成した。得られた重合体の各構造単位の含有割合、各重合体のMw、Mw/Mn、及び収率を表1に合わせて示す。なお、表1の「−」は、該当する構造単位を与える単量体を用いなかったことを示す。
【0184】
[合成例5]
上記化合物(M−8)35.8g(70モル%)、化合物(M−9)14.2g(30モル%)及び重合開始剤としてのジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート3.2g(8モル%)を100gのメチルエチルケトンに溶解し、単量体溶液を調製した。100gのメチルエチルケトンを入れた500mL三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、上記単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合反応液を水冷して30℃以下に冷却し、メタノール/メチルエチルケトン/ヘキサン=2/1/8(質量比)の混合溶液825gを用いて洗浄した後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで溶媒置換し、重合体(D−1)を含む溶液を得た(固形分換算で38.0g、収率76.0%)。
13C−NMR分析の結果、重合体(D−1)における化合物(M−8)由来の構造単位:化合物(M−9)由来の構造単位の含有比率(モル%)は、70.2:29.8であった。重合体(D−1)のMwは、7,000、Mw/Mnは、1.40であった。
【0185】
[合成例6]
単量体化合物として、化合物(M−1)27.3g(70モル%)及び化合物(M−10)22.7g(30モル%)を用いた以外は、合成例5と同様に操作して、重合体(D−2)を含む溶液を得た(固形分換算で35.9g、収率71.7%)。
13C−NMR分析の結果、重合体(D−2)における化合物(M−1)由来の構造単位:化合物(M−10)由来の構造単位の含有比率(モル%)は、67.9:32.1であった。重合体(D−2)のMwは、6,200、Mw/Mnは、1.52であった。
【0186】
【表1】
【0187】
<フォトレジスト組成物の調製>
フォトレジスト組成物の調製に用いた各成分の詳細を以下に示す。
【0188】
<[B]酸発生剤>
B−1:下記式(B−1)で表されるトリフェニルスルホニウム2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート
B−2:下記式(B−2)で表されるトリフェニルスルホニウム2−(1−アダマンチル)−1,1−ジフルオロエタンスルホネート
【0189】
【化16】
【0190】
<[C]溶媒>
C−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
C−2:シクロヘキサノン
C−3:γ−ブチロラクトン
【0191】
<[E]酸拡散制御剤>
E−1:下記式(E−1)で表されるN−(t−ペンチルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン
E−2:下記式(E−2)で表されるトリフェニルスルホニウムN−n−ブチル−トリフルオロメチルスルホンアミド
E−3:下記式(E−3)で表される1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン−4−オール
【0192】
【化17】
【0193】
[調製例1]
[A]重合体としての重合体(A−1)100質量部、[B]酸発生剤としての酸発生剤(B−1)7.8質量部、[C]溶媒としての(C−1)3,320質量部、(C−2)1,420質量部及び(C−3)30質量部、[D]重合体としての重合体(D−1)3質量部、並びに[E]酸拡散制御剤としての(E−1)1.0質量部を混合し、フォトレジスト組成物(J−1)を調製した。
【0194】
[調製例2〜6]
表2に示す種類及び配合量の各成分を用いた以外は、調製例1と同様に操作して、各フォトレジスト組成物を調製した。
【0195】
【表2】
【0196】
<ダブルパターンの形成>
<ダブルパターン形成方法(A)>
[実施例1]
12インチシリコンウェハ上に、反射防止膜形成剤(ARC66、日産化学製)を、現像装置(CLEAN TRACK Lithius Pro i、東京エレクトロン製)を用いてスピンコートした後、205℃で60秒間ベークして、膜厚105nmの下層反射防止膜を形成した。この下層反射防止膜を形成した基板上に、現像装置(CLEAN TRACK ACT12、東京エレクトロン製)を用いて、フォトレジスト組成物(J−1)をスピンコートし、80℃で60秒間SBした後、23℃で30秒間冷却することにより膜厚60nmのレジスト膜を形成した。次いで、ArF液浸露光装置(NSR−S610C、ニコン精機カンパニー製)を用い、開口数(NA)=1.3、ダイポールXの光学条件にて、ラインアンドスペースパターンマスクを介して、28nmライン/112nmピッチのパターンが形成されるように縮小投影露光を行った。露光後、上記CLEAN TRACK Lithius Pro iのホットプレート上で、85℃で60秒間PEBを行った後、23℃で30秒間冷却させた。次に、現像液としてメチルアミルケトン(MAK)を用い、30秒間パドル現像を行い、続いてリンス液として4−メチル−2−ペンタノール(MPL)を用い、7秒間リンス処理を行った。その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、28nmライン/112nmピッチの第1レジストパターンを得た。
【0197】
上記形成した第1レジストパターン上に、上記CLEAN TRACK ACT12を用いて、フォトレジスト組成物(J−1)をスピンコートし、80℃で60秒間SBした後、23℃で30秒間冷却することにより膜厚60nmのレジスト膜を形成した。次いで、上記ArF液浸露光装置を用い、NA=1.3、ダイポールXの光学条件にて、ラインアンドスペースパターンマスクを介して縮小投影露光を行った。このとき、形成される28nmライン/112nmピッチの第2レジストパターンにおけるラインパターンが、第1レジストパターンのラインパターンと交互に配置されるようにした。露光後、上記CLEAN TRACK Lithius Pro iのホットプレート上で、85℃で60秒間PEBを行った後、23℃で30秒間冷却させた。次に、現像液としてMAKを用い、30秒間パドル現像を行い、続いてリンス液としてMPLを用い、7秒間リンス処理を行った。その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより、28nmライン/112nmピッチの第2レジストパターンを得た。以上の操作により28nmライン/56nmピッチのダブルパターンが得られた。
【0198】
[実施例2〜17]
表3に示すフォトレジスト組成物を使用し、各条件としたこと以外は、実施例1と同様に操作して、各ダブルパターンを形成した。なお、表3中の現像液はBAは酢酸ブチルを示し、ANSはアニソールを示し、「MAK+」は1質量%の上記式(E−2)で表される化合物を含有するMAKを示す。また、表中の「−」は、該当する操作を行わなかったことを示す。
【0199】
<ダブルパターン形成方法(B)>
[実施例12]
実施例1と同様に操作して、フォトレジスト組成物(J−1)を用いて膜厚60nmのレジスト膜を形成した。次いで、上記ArF液浸露光装置を用い、実施例1と同条件で露光、PEBを行い冷却した。次に、現像液として2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH)を用い、30秒間パドル現像を行い、続いてリンス液として水(超純水)を用いリンス処理を行った。その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライした。その後、上記ArF液浸露光装置を用い、NA=1.3、ダイポールXの光学条件にてマスクを介さず、20mJ/cm
2の露光量で全面露光を行った。露光後、CLEAN TRACK Lithius Pro iのホットプレート上で、85℃で60秒間PEBを行った後、23℃で30秒間冷却させることにより、28nmライン/112nmピッチの第1レジストパターンを得た。引き続き、実施例1と同様に操作して、第2レジストパターンを形成し、28nmライン/56nmピッチのダブルパターンが得られた。
【0200】
[実施例13]
第1及び第2レジストパターンの形成に用いるフォトレジスト組成物を(J−2)としたこと以外は、実施例12と同様に操作してダブルパターンを得た。
【0201】
[比較例1]
実施例12と同様に操作して、フォトレジスト組成物(J−1)をスピンコートし、膜厚60nmのレジスト膜を形成した。次いで、ArF液浸露光装置を用い実施例12と同条件で露光、PEB(但し比較例1では105℃)、現像、リンス処理を行った。その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライした。その後、特開2009−69817の実施例88に記載のパターン保護膜材料を、上記CLEAN TRACK ACT12を用い、形成される保護膜の膜厚が120nmとなるようにスピンコートし、160℃で60秒間ベークした後、23℃で30秒間冷却させた。次いで、CLEAN TRACK Lithius Pro iにて、2.38質量%TMAH水溶液により30秒間パドル現像を行い、続いて、リンス液として水(超純水)を用い、リンス処理を行った。その後、2,000rpm、15秒間振り切りでスピンドライすることにより余分な保護膜を除去してから、160℃で60秒間ベークを行い、パターン表面をさらに架橋させ、第1レジストパターンを得た。
【0202】
引き続き、現像液として2.38質量%TMAH水溶液を用い、リンス液として水(超純水)を用いたこと以外は、実施例1と同様に操作して、第2レジストパターンを形成し、28nmライン/56nmピッチのダブルパターンを得た。
【0203】
[比較例2]
第1及び第2レジストパターンの形成に用いるフォトレジスト組成物を(J−3)としたこと以外は、比較例1と同様に操作してダブルパターンを得た。
【0204】
<評価>
形成した各ダブルパターンについて、以下の評価をした。結果を表3にあわせて示す。
【0205】
[パターン高さ差(nm)]
56nmライン112nmピッチのマスクパターンを介して露光した部分が、28nmライン/112nmピッチのラインアンドスペースパターンを形成する露光量を、最適露光量とした。この最適露光量において、形成されたラインアンドスペースパターンの断面形状を、走査型電子顕微鏡(S−4800、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察した。第1レジストパターンの高さと第2レジストパターンの高さの差を測定し、パターン高さ差(nm)とした。パターン高さ差が、20nm未満である場合を「A」(良好と判断)、20nm以上である場合を「B」(不良と判断)とした。
【0206】
[パターン断面形状]
上記最適露光量において、形成されたラインアンドスペースパターンの断面形状を、上記走査型電子顕微鏡で観察した。パターン断面形状が矩形である場合を「A」(良好と判断)、山型や裾を引いた形状のように矩形でない場合を「B」(不良と判断)とした。
【0207】
[最大硬化寸法]
最大硬化寸法の評価に用いるレジストパターンとして、上記実施例において、第2レジストパターンの形成における露光を行わなかった以外は、上記実施例と同様にして得られるものを調製した。一方、上記比較例の場合は、第2レジストパターンの形成における露光として、露光量20mJ/cm
2で全面露光を行った以外は、上記比較例と同様にして得られるものを調製した。これらの調製により、形成された第1レジストパターン上に塗布されたフォトレジスト組成物は、第2レジストパターンの形成における現像に用いる現像液により除去される。なお、第1レジストパターンの形成における露光の露光量としては、42nmライン/84nmピッチを形成するのに最適な露光量とした。また、評価に用いるレジストパターンとして、ピッチは500nmとし、ライン幅が42nm、及び50nmから400nmまで10nm刻みのものを、同様の方法によりそれぞれ調製した。形成したレジストパターンにおいて、第2レジストパターン形成の処理を施した場合の第1レジストパターンの存在状況を観察し、ダメージを受けずに存在しているパターンのうち、ライン幅が最大であるもののライン幅を最大硬化寸法とした。最大硬化寸法が大きいほど、より広い幅の部分が混在するダブルパターンでも好適に形成することができる。最大硬化寸法が300nm以上である場合を「A」(良好と判断)、300nm未満である場合を「B」(不良と判断)とした。
【0208】
【表3】
【0209】
表3の結果から明らかなように、当該ダブルパターン形成方法によれば、形成される第1レジストパターンと第2レジストパターンの高さを同等にすることができると共に、パターンの断面形状を矩形にすることができる等、良好な形状のダブルパターンを形成することができることがわかった。また、形成するレジストパターンの最大硬化寸法を大きくすることができ、幅の広い部分が混在するレジストパターンの形成にも好適である。