特許第5967087号(P5967087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967087
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】丸み状酸化亜鉛粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 15/047 20060101AFI20160728BHJP
   C01G 9/02 20060101ALI20160728BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20160728BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20160728BHJP
   C09K 5/08 20060101ALI20160728BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   C01B15/047
   C01G9/02 B
   A61K8/27
   A61Q17/04
   C09K5/08
   H01L23/36 M
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-519539(P2013-519539)
(86)(22)【出願日】2012年6月8日
(86)【国際出願番号】JP2012064777
(87)【国際公開番号】WO2012169611
(87)【国際公開日】20121213
【審査請求日】2015年2月6日
(31)【優先権主張番号】特願2011-130580(P2011-130580)
(32)【優先日】2011年6月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000174541
【氏名又は名称】堺化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120019
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 敏安
(72)【発明者】
【氏名】末田 学
(72)【発明者】
【氏名】寺部 敦樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 充央
(72)【発明者】
【氏名】真柄 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 恵太
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/043207(WO,A1)
【文献】 特開平01−290509(JP,A)
【文献】 特開2003−026422(JP,A)
【文献】 特開昭57−047702(JP,A)
【文献】 特開2009−249226(JP,A)
【文献】 特開平07−025614(JP,A)
【文献】 特開2007−084354(JP,A)
【文献】 N. UEKAWA et al.,Synthesis of ZnO Nanoparticles by Decomposition of Zinc Peroxide,Chemistry Letters,2001年 7月 5日,Vol.30, No.7,p.606-607
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B15/00−23/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化亜鉛粒子を過酸化水素で処理する工程(1)と、工程(1)により得られた過酸化亜鉛を220〜700℃で焼成することにより熱分解する工程(2)を含み、
工程(1)は、原料の酸化亜鉛に対しモル数として0.7倍以上の過酸化水素で処理するものである
平均粒子径が0.04μm以上、アスペクト比が2.0以下の丸み状酸化亜鉛粒子の製造方法。
【請求項2】
丸み状酸化亜鉛粒子は、粒度分布におけるD90/D10が3.0以下である請求項1に記載の丸み状酸化亜鉛粒子の製造方法。
【請求項3】
丸み状酸化亜鉛粒子は、比表面積が30m/g以下である請求項1又は2に記載の丸み状酸化亜鉛粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、丸み状酸化亜鉛粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化亜鉛は、ニトリルゴム製造時のカルボキシル基の架橋剤、消臭剤、殺菌剤、漂白剤、硬化剤、光触媒等として利用される。酸化剤として、花火などに添加される場合もある。更に、焼成すると、酸化亜鉛となることから、酸化亜鉛製造の中間原料として使用することもできる。このような過酸化亜鉛粒子の製造方法としては、亜鉛塩を含有する溶液に塩基性溶液を加えて得られる水酸化亜鉛の沈澱物を過酸化水素水中に分散して加熱処理することで酸化亜鉛の微粒子分散ゾルを得る方法が特許文献1に記載されている。
【0003】
しかし、当該製法では高比表面積の微細な過酸化亜鉛粒子となり、平均粒子径が0.04μm以上の丸み状形状の過酸化亜鉛粒子を得ることはできない。粒子径が小さい微細な過酸化亜鉛粒子は、微粒子であるほど凝集力が強くなり、熱分解で酸化亜鉛粒子にする際に粒子同士の融着が進み易くなるため、過酸化亜鉛粒子の形状・サイズを維持したまま酸化亜鉛粒子とすることが難しいという問題を有する。このような問題を改善するため、より大きな粒子径を有する過酸化亜鉛粒子が求められている。しかし、このような大きな粒子径を有する過酸化亜鉛粒子や、その製造方法については知られていない。また、過酸化亜鉛の酸化力や光触媒活性等の反応性を任意に制御するには、例えば粒子径を制御することで粒子の表面積を制御し、過酸化亜鉛の反応性をコントロールする方法が考えられる。しかし、粒子径が0.04μm以上の領域において、過酸化亜鉛粒子の粒子径を高い精度でコントロールする方法は知られていない。
【0004】
更に、酸化亜鉛粒子は化粧料への紫外線遮蔽剤、放熱性フィラー等の多くの用途に使用されている。これらの用途において、粒子径0.1μm以下の微粒子の酸化亜鉛(例えば、特許文献2、3)や、1.0μmを超えるような粒子径の酸化亜鉛粒子は多く検討されているが、粒子径が0.04〜1.0μm程度の丸み状形状の酸化亜鉛粒子はあまり検討されておらず、その製造方法も充分に確立されていない。しかし、近年、紫外線遮蔽性の改善、可視光透明性の改善、大粒子径の放熱性フィラーと併用することで充填率を高めるような中間的なサイズの粒子の放熱性フィラーへの使用等の観点から、このような粒子径を有する酸化亜鉛粒子が、化粧料や放熱性フィラーの用途において要求されつつある。
【0005】
また、このような0.04〜1.0μmの粒子径を有する丸み状酸化亜鉛粒子は、放熱性フィラーとして、粒子径が大きい粒子と併用して熱伝導を高める目的で用いた場合、アスペクト比が小さく球状形状に近いことから、同様の粒子サイズの丸み状形状ではない酸化亜鉛粒子を配合するよりも効率良く熱伝導を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−26422号公報
【特許文献2】特開平11−302015号公報
【特許文献3】特開平3−183620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記に鑑み、平均粒子径が0.04μm以上であり、アスペクト比が2.0以下と小さく、球状形状に近い丸み状の形状を有するという点で優れた性能を有する、従来の過酸化亜鉛粒子よりも粒子径の大きい丸み状過酸化亜鉛粒子、それを焼成して得られる丸み状酸化亜鉛粒子、それらの製造方法、及び、そのような丸み状酸化亜鉛粒子を配合した、化粧料、並びに、そのような丸み状酸化亜鉛粒子からなる放熱性フィラーを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
酸化亜鉛粒子を過酸化水素で処理する工程(1)と、工程(1)により得られた過酸化亜鉛を220〜700℃で焼成することにより熱分解する工程(2)を含み、
工程(1)は、原料の酸化亜鉛に対しモル数として0.7倍以上の過酸化水素で処理するものである
平均粒子径が0.04μm以上、アスペクト比が2.0以下の丸み状酸化亜鉛粒子の製造方法である。
上記丸み状酸化亜鉛粒子は、粒度分布におけるD90/D10が3.0以下であることが好ましい。
上記丸み状酸化亜鉛粒子は、比表面積が30m/g以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子は、粒子径が大きく、平均粒子径が0.04μm以上であり、アスペクト比が2.0以下と小さく、球状形状に近い丸み状形状であり、過酸化亜鉛の反応性が適宜制御されているため、各種用途において優れた効果を有するものである。
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、優れた紫外線遮蔽性を有し、透明性においても優れることから、化粧料の紫外線遮蔽剤として好適に使用することができる。更に、粒子径及び形状の均一性に優れるものであるという利点も有する。また、放熱性フィラーとして使用した場合には、特に、粒子径が大きい他の放熱性フィラーとの併用において優れた放熱性能を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1によって得られた本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
図2】実施例1によって得られた本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
図3】実施例1によって得られた本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子のX線回折のスペクトルである。
図4】実施例2によって得られた本発明の丸み状酸化亜鉛粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
図5】実施例2によって得られた本発明の丸み状酸化亜鉛粒子の走査型電子顕微鏡写真である。
図6】実施例2によって得られた本発明の丸み状酸化亜鉛粒子のX線回折のスペクトルである。
図7】実施例3によって得られた本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
図8】実施例5によって得られた本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
図9】実施例6によって得られた本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
図10】比較例1で使用した酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 SF−15)の透過型電子顕微鏡写真である。
図11】比較例2で使用した酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 微細酸化亜鉛)の透過型電子顕微鏡写真である。
図12】比較例3で使用した酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 酸化亜鉛1種)の透過型電子顕微鏡写真である。
図13】比較例4で使用した酸化亜鉛粒子(堺化学工業社製 FINEX−50)の透過型電子顕微鏡写真である。
図14】比較例5によって得られた粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
図15】比較例5によって得られた粒子のX線回折のスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の過酸化亜鉛粒子は、平均粒子径が0.04μm以上、アスペクト比が2.0以下の丸み状過酸化亜鉛粒子である。従来の過酸化亜鉛粒子は、微粒子になり易く、0.04μm未満の粒子径を有するものは容易に製造できるが、それを超えた任意の粒子径のものを製造することはできなかった。
【0014】
本発明においては、このような問題を解決し、平均粒子径が0.04μm以上の丸み状過酸化亜鉛粒子を提供することを目的とするものである。
上記平均粒子径は、0.045μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることが更に好ましい。上記平均粒子径の上限は特に限定されるものではないが、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。
【0015】
本発明において、丸み状過酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)写真の2000〜100000倍の視野での定方向径(粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔;画像上のどのような形状の粒子についても、一定方向で測定した)で定義される粒子径(μm)であって、TEM写真内の粒子250個の定方向径を計測し、その累積分布の平均値を求めたものである。
【0016】
本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子は、アスペクト比が2.0以下であることが好ましい。アスペクト比が2.0以下である丸み状過酸化亜鉛粒子を、焼成等の熱分解によって丸み状酸化亜鉛粒子にすることによって、特に化粧料に使用した場合に、可視光透明性に特に優れたものとすることができるという点で好ましいものである。上記アスペクト比は、1.8以下であることがより好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。
【0017】
なお、本発明において「丸み状」とは、その形状において全体に丸みを帯びた形状を指し、球状、楕円球状等の形状を指すものである。
【0018】
本発明において、丸み状過酸化亜鉛粒子のアスペクト比は、透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)写真の2000〜100000倍の視野において、丸み状過酸化亜鉛粒子の長径と、長径の中心を通る短径の長さの比;長径/短径であって、TEM写真内の粒子250個のアスペクト比を計測し、その累積分布の平均値を求めたものである。
【0019】
このような平均粒子径を有する丸み状過酸化亜鉛粒子は、その製造方法を特に限定するものではないが、例えば、原料となる酸化亜鉛粒子(以下、「原料酸化亜鉛粒子」と記す)を過酸化水素水溶液中で処理することによって得ることができる。原料酸化亜鉛粒子を過酸化水素水溶液中で処理する方法は特に限定されず、例えば、原料酸化亜鉛粒子を水にリパルプして調製した、酸化亜鉛としての濃度が10〜2000g/lの原料酸化亜鉛粒子のスラリーに、過酸化水素としての濃度が1〜500g/lの過酸化水素水溶液を添加し、攪拌する方法等を挙げることができる。原料酸化亜鉛粒子のスラリーに、過酸化水素水溶液を添加して処理する場合、スラリー全量に対して原料酸化亜鉛粒子の濃度が10〜1500g/lであることが好ましい。また、過酸化水素の処理量は、原料の酸化亜鉛に対しモル数として0.7倍以上であることが好ましく、当量以上であることがより好ましい。
【0020】
上述したような丸み状過酸化亜鉛粒子の製造においては、原料酸化亜鉛粒子を使用する。上記原料酸化亜鉛粒子としては特に限定されるものではないが、粒子径が0.01μm以上であることが好ましい。上記原料酸化亜鉛粒子の粒子径は、BET法によって求められる比表面積と同一の表面積を有する球の直径に相当する。すなわち、原料酸化亜鉛粒子の粒子径は、全自動BET比表面積測定装置Macsorb(Mountech社製)により測定して求めた比表面積:Sgと、酸化亜鉛の真比重:ρから、下記計算式により求めた値である。
粒子径(μm)=[6/(Sg×ρ)]
(Sg(m/g):比表面積、ρ(g/cm):粒子の真比重)
なお、粒子の真比重:ρは、酸化亜鉛の真比重の値である5.6を上記計算に用いた。
【0021】
原料として使用することができる原料酸化亜鉛粒子としては特に限定されず、公知の方法によって製造された酸化亜鉛を使用することができる。市販のものとしては、堺化学工業社製FINEX−75、FINEX−50、FINEX−30、微細酸化亜鉛、SF−15、酸化亜鉛1種等を挙げることができる。
上記原料酸化亜鉛粒子を過酸化水素処理することによって得られる丸み状過酸化亜鉛粒子は、原料酸化亜鉛粒子よりも粒子形状や粒径分布の均一性が高くなることから、使用する原料としての酸化亜鉛粒子は、粒子形状や粒径分布において均一性が低いものであってもよい。
【0022】
原料酸化亜鉛粒子の、粒子径や形状等も特に限定されるものではなく、目的とする過酸化亜鉛の物性に応じて、適宜選択すればよい。粒子形状としては、例えば、針状、棒状、板状、球状等を挙げることができる。すなわち、本発明の製法によれば、原料酸化亜鉛粒子がいかなる形状のものであっても、アスペクト比が2.0以下の丸み状の過酸化亜鉛粒子を得ることができる。
【0023】
原料酸化亜鉛粒子の粒子径は、特に限定されるものではないが、本発明の平均粒子径が0.04μm以上である丸み状過酸化亜鉛粒子を得るためには、粒子径が、0.01μm以上である原料酸化亜鉛粒子を使用することが好ましい。また、本発明の製法においては、原料酸化亜鉛粒子の粒子径により、過酸化水素処理後に得られる丸み状過酸化亜鉛粒子の平均粒子径を任意に制御することができる。
【0024】
本発明の過酸化水素処理の処理温度や処理時間は、特に限定されず、例えば、処理温度:10〜100℃、処理時間:0.5〜12時間という条件を挙げることができる。また、上記処理に際しては、必要に応じて、分散剤等の添加剤を発明の目的を損なわない範囲内で添加してもよい。
【0025】
このようにして得られた丸み状過酸化亜鉛粒子は、必要に応じて、濾過、水洗、乾燥等の後処理を行ってもよい。また、必要に応じて篩による分級を行うものであっても良い。篩による分級方法としては、湿式分級、乾式分級を挙げることができる。また、湿式粉砕、乾式粉砕等の処理を行ってもよい。
【0026】
本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子は、丸み状酸化亜鉛粒子の原料として使用することもできる。すなわち、上述したような丸み状過酸化亜鉛粒子を220〜700℃で焼成することによって熱分解し、丸み状酸化亜鉛粒子とすることができる。このような製造方法によって得られた丸み状酸化亜鉛粒子は、原料として使用した原料酸化亜鉛粒子よりも、粒子形状及び粒子サイズが均一になり、更に、粒子間の凝集を生じにくいという性質を有するものである。このため、化粧料や放熱性フィラーとして好適に使用することができる。このような丸み状酸化亜鉛粒子も本発明の一つである。
【0027】
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、0.04μm以上であることが好ましい。上記平均粒子径は、0.045μm以上であることがより好ましく、0.05μm以上であることが更に好ましい。上記丸み状酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、粒子径の上限を特に限定するものではないが、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
【0028】
本発明において、丸み状酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)写真の2000〜100000倍の視野での定方向径(粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔;画像上のどのような形状の粒子についても、一定方向で測定した)で定義される粒子径(μm)であって、TEM写真内の粒子250個の定方向径を計測し、その累積分布の平均値を求めたものである。
【0029】
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、アスペクト比が2.0以下であることが好ましい。アスペクト比を2.0以下にすることによって、特に化粧料に使用した場合に、分散性及び透明性において特に優れたものとすることができるという点で好ましいものである。また、放熱性フィラーに使用した場合に、フィラーの充填率を高めることができるという点でも好ましいものである。上記アスペクト比は、1.8以下であることがより好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。
【0030】
本発明において、丸み状酸化亜鉛粒子のアスペクト比は、透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)写真の2000〜100000倍の視野において、丸み状酸化亜鉛粒子の長径と、長径の中心を通る短径の長さの比;長径/短径であって、TEM写真内の粒子250個のアスペクト比を計測し、その累積分布の平均値を求めたものである。
【0031】
更に、本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、BET法によって測定された比表面積が30m/g以下であることが好ましい。上記比表面積は、28m/g以下であることがより好ましく、27m/g以下であることが更に好ましい。比表面積を上記範囲内とすることで、平均粒子径が0.04μm以上の丸み状酸化亜鉛粒子が主に得られるという点で好ましい。
【0032】
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、粒度分布におけるD90/D10が3.0以下となることが好ましい。
上記パラメータにおいて、D10とは体積基準での10%積算粒径、D90とは体積基準での90%積算粒径であることを意味する。すなわち、D90/D10が3.0以下であるとは、平均粒子径に対して粒子径が極端に大きい粗大粒子と極端に小さい微細粒子の数が少ないことを意味するものである。
上記D90/D10が3.0以下である丸み状酸化亜鉛粒子は、平均粒子径に対して極端に大きい粗大粒子や極端に小さい微細粒子が少なく粒度分布が非常にシャープなものであるため、優れた可視光透明性を安定して得ることができるという点で化粧料への使用に際して特に好ましいものである。
【0033】
上記丸み状酸化亜鉛粒子のD10及びD90は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−750(堀場製作所社製)によって測定した値である。上記丸み状酸化亜鉛粒子0.5g、ヘキサメタりん酸ナトリウムとしての濃度が0.025重量%のヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液20ml、φ0.3mmのジルコニアビーズ(東レ社製 粉砕ボール)88gを容積75mlのマヨネーズ瓶に入れ、良くかき混ぜた後、ペイントコンディショナー5410型(RED DEVIL社製)に固定し、45分間振動を与えて分散処理することにより、スラリーを調製し、そのスラリーを用いて測定を行った。相対屈折率を1.5として測定を行った。
【0034】
上記焼成を行う方法・装置は特に限定されず、公知の任意の方法によって行うことができる。例えば、静置炉や回転炉で焼成する方法等を挙げることができる。
【0035】
各種用途において酸化亜鉛を使用する場合、表面をシリカ処理、アルミナ処理、ジルコニア処理等の表面被覆を施したものであってもよい。このような表面被覆処理を本発明の丸み状酸化亜鉛粒子に対して行う場合、過酸化亜鉛粉体に対してケイ素化合物、アルミニウム化合物、ジルコニウム化合物等による表面被覆を行い、表面被覆後の粒子を、焼成することによって、表面被覆丸み状酸化亜鉛粒子を得ることが好ましい。このようにして得られた表面被覆丸み状酸化亜鉛粒子は、粒子同士の凝集が生じにくく、粒子径や粒子分布がコントロールされたものである点で好ましい。又、表面処理を行っていない丸み状過酸化亜鉛粒子を焼成して得られる丸み状酸化亜鉛粒子に対しても、表面処理したものとすることができる。
【0036】
丸み状過酸化亜鉛粒子、又は丸み状過酸化亜鉛粒子を焼成して得られる丸み状酸化亜鉛粒子の表面処理方法は特に限定されず、例えば、以下に詳述するような方法によって行うことができる。
【0037】
本発明による表面処理に際してシリカ皮膜を形成する場合、丸み状過酸化亜鉛粒子、又は丸み状過酸化亜鉛粒子を焼成して得られる丸み状酸化亜鉛粒子に対して0.1〜20重量%、好ましくは、0.2〜15重量%の範囲でケイ素酸化物からなる高密度の被覆層を有する。ケイ素酸化物は、限定されるものではないが、好ましくは、含水ケイ素酸化物である。丸み状過酸化亜鉛粒子組成物、又は丸み状過酸化亜鉛粒子を焼成して得られる丸み状酸化亜鉛粒子組成物におけるケイ素酸化物の割合が0.1重量%よりも少ないときは、丸み状過酸化亜鉛粒子、又は丸み状酸化亜鉛粒子の表面活性を充分に抑えることができず、他方、20重量%を越えるときは、得られる丸み状過酸化亜鉛粒子組成物を焼成して丸み状酸化亜鉛粒子組成物とした際の丸み状酸化亜鉛粒子組成物における酸化亜鉛の含有量が低下し、充分な紫外線遮蔽性が得られなくなる。アルミナ処理、ジルコニア処理等を施す場合も同様の方法で行うことができる。
【0038】
上記表面処理を施した丸み状過酸化亜鉛粒子の焼成は、上述した丸み状過酸化亜鉛粒子の焼成と同様の方法によって行うことができる。
また、本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子及び丸み状酸化亜鉛粒子がこのような表面処理を施したものである場合も、粒子径、粒度分布等の各種パラメータは、上述した丸み状過酸化亜鉛粒子及び丸み状酸化亜鉛粒子についての値の範囲内のものであることが好ましい。
【0039】
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子(上記表面被覆丸み状酸化亜鉛粒子を含む)は、焼成後に表面処理を施すものであってもよい。表面処理としては特に限定されず、有機ケイ素化合物、有機アルミ化合物、有機チタン化合物、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、金属石ケン、多価アルコール又はアルカノールアミンから選ばれる表面処理剤による表面処理等を挙げることができる。このような表面処理剤は、上記丸み状酸化亜鉛粒子、又は表面被覆丸み状酸化亜鉛粒子の粒子径に応じて、適宜処理量を設定することができる。
【0040】
このような本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、化粧料の配合成分として使用することができる。このような化粧料も本発明の一部である。本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、アスペクト比が小さいために透明性に優れ、更に、紫外線遮蔽性においても優れた性能を有するものであるから、化粧料において好適に使用することができる。
本発明の化粧料としては、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、サンスクリーン剤等を挙げることができる。本発明の化粧料は、油性化粧料、水性化粧料、O/W型化粧料、W/O型化粧料の任意の形態とすることができる。なかでも、特にサンスクリーン剤において特に好適に使用することができる。
【0041】
本発明の化粧料は、上記混合物を構成する成分以外に、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、無機及び有機顔料、無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体、金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤等の成分を含有するものであってもよい。具体的には、以下に列挙した配合成分の1種又は2種以上を任意に配合して常法により目的の化粧料を製造することが可能である。これらの配合成分の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
【0042】
上記油分としては特に限定されず、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。
【0043】
上記親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α´−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0044】
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE
脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POE ノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0045】
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0046】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イサイヨバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0047】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0048】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0049】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
【0050】
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0051】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等を挙げることができる。
【0052】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
【0053】
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等を挙げることができる。
【0054】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アルコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0055】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグルマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる
【0056】
上記各種粉体としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等を挙げることができる。好ましくは、官能特性向上、化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理して使用される。また、本発明に該当しない他の酸化亜鉛粒子を混合して使用するものであってもよい。
【0057】
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、放熱性フィラーとして使用することもできる。本発明の丸み状酸化亜鉛粒子を放熱性フィラーとして使用する場合、単独での使用、他の放熱性フィラーとの併用のいずれの方法とすることもできる。単独での使用、他の放熱性フィラーとの併用使用に関わらず、本発明の放熱性フィラーを樹脂組成物、グリース組成物等の放熱性組成物の全量に対して、10〜90体積%の割合で使用することが好ましい。
【0058】
また、本発明の丸み状酸化亜鉛粒子を放熱性フィラーとして使用する場合、粒子径が異なる放熱性フィラーと組み合わせて使用することもできる。組み合わせて使用することができる放熱性フィラーとしては特に限定されず、例えば、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属シリコン、ダイヤモンド等を挙げることができる。更に、上述した丸み状酸化亜鉛粒子以外の酸化亜鉛と組み合わせて使用することもできる。組み合わせて使用する放熱性フィラーは、球状、針状、棒状、板状等の任意の形状を有するものであってよい。
【0059】
上記丸み状酸化亜鉛粒子を放熱性フィラーとして使用する場合、樹脂と混合した放熱性樹脂組成物として使用することができる。この場合、使用する樹脂は、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良く、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、フッ素樹脂、ポリメタクリル酸メチル、エチレン・アクリル酸エチル共重合体(EEA)樹脂、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)樹脂、液晶樹脂(LCP)、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を挙げることができる。
【0060】
本発明の放熱性樹脂組成物は、(1)熱可塑性樹脂と上記丸み状酸化亜鉛粒子とを溶融状態で混練することによって得られた熱成型用の樹脂組成物、(2)熱硬化性樹脂と上記丸み状酸化亜鉛粒子とを混練後、加熱硬化させることによって得られた樹脂組成物、(3)樹脂溶液又は分散液中に上記丸み状酸化亜鉛粒子を分散させた塗料用の樹脂組成物であっても良い。
【0061】
本発明の放熱性樹脂組成物が熱成型用の樹脂組成物である場合、用途によって樹脂成分を自由に選択することができる。例えば、熱源と放熱板に接着し密着させる場合には、シリコーン樹脂やアクリル樹脂のような接着性が高く硬度の低い樹脂を選択すれば良い。
【0062】
本発明の放熱性樹脂組成物が塗料用の樹脂組成物である場合、樹脂は硬化性を有するものであっても、硬化性を有さないものであっても良い。塗料は、有機溶媒を含有する溶剤系のものであっても、水中に樹脂が溶解又は分散した水系のものであっても良い。
【0063】
上記丸み状酸化亜鉛粒子を放熱性フィラーとして使用する場合、鉱油又は合成油を含有する基油と混合した放熱性グリースとして使用することもできる。このような放熱性グリースとして使用する場合は、合成油としてα−オレフィン、ジエステル、ポリオールエステル、トリメリット酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル等が使用できる。また、シリコーンオイルと混合した放熱性グリースとして使用することもできる。
【0064】
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、放熱性フィラーとして使用する場合、その他の成分を併用して使用することもできる。併用して使用することができるその他の成分としては、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化チタン、金属シリコン、ダイヤモンド等の酸化亜鉛以外の放熱性フィラー、樹脂、界面活性剤等を挙げることができる。
【0065】
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、より粒子径が小さい酸化亜鉛粒子及び他の放熱性フィラーと組合わせて使用することで、より優れた放熱性能を得ることができる。組み合わせて使用する粒子径が小さい酸化亜鉛粒子は、球状、針状、棒状、板状等の形状を有するものであることが好ましい。
【0066】
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、上述した化粧料や放熱性フィラーの他に、ゴムの加硫促進剤、塗料・インキ用顔料、フェライトやバリスタ等の電子部品、医薬品等の分野においても使用することができる。
【実施例】
【0067】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0068】
(実施例1)
SF−15(堺化学工業社製 粒子径0.08μm)16.28gを水にリパルプし、酸化亜鉛としての濃度が0.4mol/lとなるよう500mlのスラリーを調製した。続いて、過酸化水素水(和光純薬工業社製 過酸化水素の含有量:30.0〜35.5重量%)20.77gを水に添加し、過酸化水素としての濃度が0.4mol/lとなるよう500mlの過酸化水素水溶液を調製した。続いて、上記SF−15のスラリー500mlを攪拌し、そこへ上記過酸化水素水溶液500mlを添加し、処理温度を25℃に設定して6時間攪拌処理した。攪拌処理後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、平均粒子径が0.11μmの丸み状過酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を図1に示した。また、走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−7000F、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を図2に示した。また、得られた粒子のX線回折のスペクトルを図3に示した。また、得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0069】
(実施例2)
実施例1で得られた丸み状過酸化亜鉛粒子10gを、アルミナ製るつぼ(縦・横・高さ=100mm・100mm・35mm)に入れ、電気マッフル炉(東洋製作所社製)で500℃で2時間静置焼成することにより、平均粒子径が0.10μmの丸み状酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を図4に示した。また、走査型電子顕微鏡(SEM、JSM−7000F、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を図5に示した。また、得られた粒子のX線回折のスペクトルを図6に示した。また、得られた粒子の物性、及び塗膜の物性の評価結果を表1に示した。
【0070】
(実施例3)
微細酸化亜鉛(堺化学工業社製 粒子径0.11μm)16.28gを水にリパルプし、酸化亜鉛としての濃度が0.4mol/lとなるよう500mlのスラリーを調製した。続いて、過酸化水素水(和光純薬工業社製 過酸化水素の含有量:30.0〜35.5重量%)20.77gを水に添加し、過酸化水素としての濃度が0.4mol/lとなるよう500mlの過酸化水素水溶液を調製した。続いて、上記微細酸化亜鉛のスラリー500mlを攪拌し、そこへ上記過酸化水素水溶液500mlを添加し、処理温度を25℃に設定して6時間攪拌処理した。攪拌処理後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、平均粒子径が0.13μmの丸み状過酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を図7に示した。得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0071】
(実施例4)
実施例3で得られた丸み状過酸化亜鉛粒子10gを、アルミナ製るつぼ(縦・横・高さ=100mm・100mm・35mm)に入れ、電気マッフル炉(東洋製作所社製)で500℃で2時間静置焼成することにより、平均粒子径が0.12μmの丸み状酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子の物性、及び塗膜の物性の評価結果を表1に示した。
【0072】
(実施例5)
酸化亜鉛1種(堺化学工業社製 粒子径0.31μm)16.28gを水にリパルプし、酸化亜鉛としての濃度が0.4mol/lとなるよう500mlのスラリーを調製した。続いて、過酸化水素水(和光純薬工業社製 過酸化水素の含有量:30.0〜35.5重量%)20.77gを水に添加し、過酸化水素としての濃度が0.4mol/lとなるよう500mlの過酸化水素水溶液を調製した。続いて、上記酸化亜鉛1種のスラリー500mlを攪拌し、そこへ上記過酸化水素水溶液500mlを添加し、処理温度を25℃に設定して6時間攪拌処理した。攪拌処理後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、平均粒子径が0.36μmの丸み状過酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を図8に示した。得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0073】
(実施例6)
FINEX−50(堺化学工業社製 粒子径0.02μm)16.28gを水にリパルプし、酸化亜鉛としての濃度が0.4mol/lとなるよう500mlのスラリーを調製した。続いて、過酸化水素水(和光純薬工業社製 過酸化水素の含有量:30.0〜35.5重量%)20.77gを水に添加し、過酸化水素としての濃度が0.4mol/lとなるよう500mlの過酸化水素水溶液を調製した。続いて、上記FINEX−50のスラリー500mlを攪拌し、そこへ上記過酸化水素水溶液500mlを添加し、処理温度を25℃に設定して6時間攪拌処理した。攪拌処理後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、平均粒子径が0.05μmの丸み状過酸化亜鉛粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を図9に示した。得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0074】
(比較例)
(比較例1)
SF−15(堺化学工業社製 粒子径0.08μm)について実施例と同様の評価を行った。電子顕微鏡写真を図10に示した。また、粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0075】
(比較例2)
微細酸化亜鉛(堺化学工業社製 粒子径0.11μm)について実施例と同様の評価を行った。電子顕微鏡写真を図11に示した。また、粒子の物性、及び塗膜の物性の評価結果を表1に示した。
【0076】
(比較例3)
酸化亜鉛1種(堺化学工業社製 粒子径0.31μm)について実施例と同様の評価を行った。電子顕微鏡写真を図12に示した。また、粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0077】
(比較例4)
FINEX−50(堺化学工業社製 粒子径0.02μm)について実施例と同様の評価を行った。電子顕微鏡写真を図13に示した。また、粒子の物性の評価結果を表1に示した。
【0078】
(比較例5)
SF−15(堺化学工業社製 粒子径0.08μm)16.28gを水にリパルプし、酸化亜鉛としての濃度が0.4mol/lとなるよう500mlのスラリーを調製した。続いて、過酸化水素水(和光純薬工業社製 過酸化水素の含有量:30.0〜35.5重量%)10.38gを水に添加し、過酸化水素としての濃度が0.2mol/lとなるよう500mlの過酸化水素水溶液を調製した。続いて、上記SF−15の水スラリー500mlを攪拌し、そこへ上記過酸化水素水溶液500mlを添加し、処理温度を25℃に設定して6時間攪拌処理した。攪拌処理後、ろ過、水洗し、110℃で12時間乾燥することにより、粒子を得た。得られた粒子のサイズ・形態を透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)で観察した。得られた電子顕微鏡写真を図14に示した。また、得られた粒子のX線回折のスペクトルを図15に示した。また、得られた粒子の物性の評価結果を表1に示した。電子顕微鏡写真から、得られた粒子は丸み状粒子と不定形粒子とが混在しており、X線回折のスペクトルからは酸化亜鉛と過酸化亜鉛との混合物であることがわかった。これらの結果より、上記条件においては、原料酸化亜鉛粒子であるSF−15と過酸化水素との反応が充分に進行せず、原料酸化亜鉛粒子が残っているものと考えられる。
【0079】
(平均粒子径)
本明細書において、平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EXII、日本電子社製)写真の2000〜100000倍の視野での定方向径(粒子を挟む一定方向の二本の平行線の間隔;画像上のどのような形状の粒子についても、一定方向で測定した)で定義される粒子径(μm)であって、TEM写真内の粒子250個の定方向径を計測し、その累積分布の平均値を求めたものである。
【0080】
(アスペクト比)
透過型電子顕微鏡(TEM、JEM−1200EX II、日本電子社製)写真の2000〜100000倍の視野において、過酸化亜鉛粒子、又は酸化亜鉛粒子の長径と、長径の中心を通る短径の長さの比;長径/短径であって、TEM写真内の粒子250個のアスペクト比を計測し、その累積分布の平均値を求めたものである。
【0081】
(D50、D90、D10、D90/D10)
本明細書において、D50、D90及びD10は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−750(堀場製作所社製)によって測定した値である。実施例、比較例の酸化亜鉛粒子0.5g、ヘキサメタりん酸ナトリウムとしての濃度が0.025重量%のヘキサメタりん酸ナトリウム水溶液20ml、φ0.3mmのジルコニアビーズ(東レ社製 粉砕ボール)88gを容積75mlのマヨネーズ瓶に入れ、良くかき混ぜた後、ペイントコンディショナー5410型(RED DEVIL社製)に固定し、45分間振動を与えて分散処理することにより、スラリーを調製し、そのスラリーを用いて測定を行った。相対屈折率を1.5として測定を行った。D50とは、体積基準での50%積算粒径、D90とは、体積基準での90%積算粒径、D10とは、体積基準での10%積算粒径を意味する。粒度分布のシャープさの指標として、D90/D10の比を算出する。この値が大きい程粒度分布がブロードであることを意味し、この値が小さい程粒度分布がシャープであることを意味する。すなわち、D90/D10の値が小さい程、粒子径が極端に大きい粒子の数が少なく、粒子径が極端に小さい粒子の数が少なく、粒子サイズが揃っていることを意味する。
【0082】
(塗膜の作成)
上記実施例、比較例の酸化亜鉛粒子2g、ワニス10g(アクリディック A−801−P DIC社製)、酢酸ブチル5g(試薬特級 和光純薬工業社製)、キシレン5g(純正特級 純正化学社製)、ガラスビーズ38g(1.5mm ポッターズ・バロティーニ社製)を容積75mlのマヨネーズ瓶に入れ、良くかき混ぜた後、ペイントコンディショナー5410型(RED DEVIL社製)に固定し、90分間振動を与えて分散処理することにより塗料を作成した。次に、作成した塗料をスライドガラス(縦・横・厚み=76mm・26mm・0.8〜1.0mm 松浪硝子工業社製)の上に少量滴下し、バーコーター(No.579 ROD No.6 安田精機製作所社製)で塗膜を作成した。作成した塗膜を20℃で12時間乾燥した後、全光線透過率1、全光線透過率2、全光線透過率3、平行光線透過率1、平行光線透過率2の測定に用いた。
【0083】
(全光線透過率1、全光線透過率2、全光線透過率3、平行光線透過率1、平行光線透過率2)
本明細書において、全光線透過率1(%)、全光線透過率2(%)、全光線透過率3(%)及び平行光線透過率1(%)、平行光線透過率2(%)は、作成した塗膜を分光光度計V−570(日本分光社製)で測定した値である。なお、全光線透過率1(%)の値は波長310nmにおける全光線透過率の値、全光線透過率2(%)の値は波長350nmにおける全光線透過率の値、全光線透過率3(%)の値は波長375nmにおける全光線透過率の値、平行光線透過率1(%)の値は波長500nmにおける平行光線透過率の値、平行光線透過率2(%)の値は波長700nmにおける平行光線透過率の値である。全光線透過率1(%)の値が小さい程、UVBの波長の紫外線に対する紫外線遮蔽効果が高いことを意味し、全光線透過率2(%)と全光線透過率3(%)の値が小さい程、UVAの波長の紫外線に対する紫外線遮蔽効果が高いことを意味する。特に、全光線透過率3(%)の値が小さい場合、UVAの波長の紫外線に対する遮蔽領域がより広域に渡っていることを意味する。また、平行光線透過率1(%)、平行光線透過率2(%)の値が大きい程、可視光透明性が高いことを意味する。
【0084】
(X線回折のスペクトル、得られた粒子の組成)
図3図6図15に示すX線回折のスペクトル、及び表1における得られた粒子の組成は、銅管球をもつX線回折装置UltimaIII(リガク社製)により分析した結果を示したものである。
【0085】
【表1】

【0086】
表1より、本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子は、原料酸化亜鉛粒子の形状が不定形であっても、丸み状形状の過酸化亜鉛粒子が得られることが明らかである。また、本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子、及び丸み状酸化亜鉛粒子は、アスペクト比が非常に小さいものとなることが明らかである。また、実施例の丸み状酸化亜鉛粒子は、比較例の酸化亜鉛粒子に比べて非常にシャープな粒度分布を有するものであることが示された。また、実施例2の平均粒子径が0.10μmの丸み状酸化亜鉛粒子、及び実施例4の平均粒子径が0.12μmの丸み状酸化亜鉛粒子は、比較例2に示した0.11μmの平均粒子径を有する従来の不定形の酸化亜鉛粒子に比べ優れた透明性が得られることも明らかである。更に実施例2、4の丸み状酸化亜鉛粒子は、全光線透過率3(%)が低く、375nmのUVAの波長領域においても優れた紫外線遮蔽性を有することが明らかである。一方、比較例1、3、4の従来の酸化亜鉛粒子は、全光線透過率3(%)が実施例2、4のものに比べて高くなっており、375nmのUVAの波長領域における紫外線遮蔽性を充分に得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の丸み状過酸化亜鉛粒子は、架橋剤、消臭剤、殺菌剤、漂白剤、酸化剤、光触媒等に使用することができる。
本発明の丸み状酸化亜鉛粒子は、化粧料、放熱性フィラー、放熱性樹脂組成物、放熱性グリース及び放熱性塗料組成物の成分として使用することができる。
図1
図2
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図4
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図15