(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記報知動作制御手段は、前記電波受信手段が捕捉して追尾中の前記測位衛星の機数に係る捕捉情報を所定の時間間隔で前記電波受信手段から取得して、前記捕捉された測位衛星の機数が前記必要な機数に満たない場合には、前記捕捉情報の取得タイミングから前記データ受信時間が前記所要時間に含まれるように当該所要時間を再設定し、当該再設定された所要時間の経過時間に応じたタイミングまで前記指針に前記報知動作を行わせることを特徴とする請求項3記載のアナログ電子時計。
前記報知動作制御手段は、前記報知動作に係る前記指針の移動速度よりも、前記取得対象データに基づく結果表示を行うための前記指針の移動速度を速く設定することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のアナログ電子時計
測位衛星からの電波を受信して、当該受信された電波に基づいて予め設定された取得対象データを取得して出力する電波受信手段と、回動自在に設けられた指針とを備えたアナログ電子時計の制御手段による指針動作制御方法であって、
前記電波受信手段に前記電波の受信命令が入力されてから前記取得対象データが前記制御手段に出力されるまでの所要時間を算出する時間算出ステップ、
前記電波の受信時に、前記指針に所定の報知動作を行わせ、前記所要時間が経過するタイミングで前記報知動作を終了させる報知動作制御ステップ、
を含むことを特徴とするアナログ電子時計の指針動作制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態のアナログ電子時計の正面図である。
このアナログ電子時計1は、内部に各構成を収めるケーシング2と、ケーシング2内で一方の面(露出面)が外部に露出される文字盤3と、文字盤3の露出面を覆う図示略の透明部材(風防ガラス)と、文字盤3の略中心を回転軸として文字盤3の略全面に亘って回転動作し、文字盤3の外縁付近に設けられた標識や目盛を指し示す3本の時刻指針61、62、63と、文字盤3の3時位置に設けられた小窓4及び小窓4の内部で回転動作するモード指針65(指針)と、文字盤3の8時位置に設けられた小窓5及び小窓5の内部で回転動作する機能指針66、67と、文字盤3の10時位置に設けられた小窓6及び小窓6の内部で回転する24時間指針68と、文字盤3の露出面側とは反対側に当該文字盤3に平行に設けられ、回転動作に応じて文字盤3の4時30分位置に設けられた開口部7から一の標識が露出される日車64と、ケーシング2における文字盤3の露出面側に対して側面側に設けられたりゅうずC1及び押しボタンスイッチB1、B2、B3などを備える。
【0013】
時刻指針61〜63は、それぞれ、秒針61、分針62及び時針63であり、通常、時刻を表示する場合に、それぞれ、時刻の時、分、秒を指し示す。日車64は、その周縁部に日付を表す標識が順番に等間隔で設けられて、これらの標識のうちの一つが開口部7から露出されることで日付を示す。また、本実施形態のアナログ電子時計1では、秒針61が各種機能に係る表示や設定に用いられる。
【0014】
モード指針65は、小窓4内部の3時側に設けられた7つの標識の何れかを指し示すことで曜日を示し、小窓4内部の9時側に設けられた標識の何れかを指し示すことで、実行中の機能モードを示す。機能モードとしては、ストップウォッチモード、アラームモード及びタイマーモードがあり、また、時刻表示モードに関して夏時間の実施中であるか否かについて示される。また、これらの各種機能モードと平行して、通信に係る電波送受信を禁止する機内モードの設定が可能となっている。更に、小窓4の3時側半分には、罫線が設けられた半球状の図が表示され、モード指針65の指し示す方向と3時方向(水平方向)とのなす角度により緯度が表示される。
【0015】
機能指針66、67は、それぞれ、小窓5の内部において、上述の各種機能モードの実行に係る表示に用いられる。即ち、機能指針66、67は、ストップウォッチやタイマにおける計測時間、アラーム設定時刻や通常の時刻表示モードにおける他の地点での時刻(世界時計)の表示を行う。
【0016】
24時間指針68は、小窓6の内部で一周することにより時刻指針61〜63による表示時刻と対応した24時間表示での時刻を指し示し、ユーザに午前又は午後の何れであるかを示す。
【0017】
りゅうずC1及び押しボタンスイッチB1〜B3は、それぞれ、ユーザからの入力操作を受け付ける。りゅうずC1は、ケーシング2から2段階の引き出しが可能であり、引き出された状態で回転操作が行われることにより各種設定に用いられる。押しボタンスイッチB1〜B3は、それぞれ、押下されることで機能モードの種別変更を行い、また、機能モードごとに割り当てられた動作命令を受け付ける。
【0018】
図2は、アナログ電子時計1の内部構成を示すブロック図である。
アナログ電子時計1は、CPU41(Central Processing Unit)(時間算出手段、報知動作制御手段)と、ROM42(Read Only Memory)と、RAM43(Random Access Memory)(履歴記憶手段)と、発振回路44と、分周回路45と、計時回路46と、操作部47と、標準電波受信部48及びそのアンテナ49と、GPS受信処理部50(電波受信手段)及びそのアンテナ51と、駆動回路52と、電源部54と、上述の時刻指針61〜63、日車64、モード指針65、機能指針66、67及び24時間指針68と、輪列機構71〜75と、ステッピングモータ81〜85などを備える。
【0019】
CPU41は、各種演算処理を行い、また、アナログ電子時計1の全体動作を統括制御する。CPU41は、日時の表示に係る指針動作を制御すると共に、標準電波受信部48を動作させて受信データを取得して日時を算出したり、GPS受信処理部50を動作させて日時情報を取得したりする。また、CPU41は、得られた日時データに基づいて、計時回路46の計数する日時を修正する。
【0020】
ROM42は、CPU41により実行される各種制御用のプログラム42aや設定データを格納する。プログラム42aには、例えば、各種機能モードの動作制御に係るプログラムが含まれている。
【0021】
RAM43は、CPU41に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。RAM43には、また、日時情報及び位置情報取得の履歴、都市設定や指針位置を示すデータなどが記憶されている。
【0022】
発振回路44は、所定の周波数信号を生成して出力する。発振回路44は、例えば、水晶発振器を備える。
分周回路45は、発振回路44から出力された周波数信号をCPU41や計時回路46により利用される周波数の信号に分周して出力する。出力される周波数は、CPU41からの制御信号により変更可能に設定されていても良い。
【0023】
計時回路46は、所定の日時を示す初期値に分周回路45から入力される分周信号を計数して加算していくことにより現在の日時を計数する。この計時回路46により計数される日時は、発振回路44の精度に応じた誤差(歩度)、例えば、一日に0.5秒程度、を有する。この計時回路46の計数する日時は、CPU41からの制御信号により修正されることが可能となっている。
【0024】
操作部47は、ユーザからの入力操作を受け付ける。操作部47には、上述の押しボタンスイッチB1〜B3やりゅうずC1が含まれる。押しボタンスイッチB1〜B3がそれぞれ押下されたり、りゅうずC1が引き出され、押し戻され、また、回転動作がなされたりした場合には、動作種別に応じた電気信号がCPU41に出力される。
【0025】
標準電波受信部48は、アンテナ49を用いて長波長帯の電波を受信して、振幅変調された標準電波の時刻信号出力(TCO)を復調し、CPU41に出力する。標準電波受信部48による長波長帯の同調周波数は、CPU41の制御により受信対象の標準電波送信局からの送信周波数に応じて変更される。また、標準電波受信部48は、受信感度を向上させるための各種処理を行い、アナログ信号を所定のサンプリング周波数でデジタル化してCPU41に出力する。
【0026】
GPS受信処理部50は、アンテナ51を用いてL1帯(1.57542GHz)の電波を受信し、測位衛星、ここでは例えば、GPS(Global Positioning System)に係る測位衛星(GPS衛星)からのスペクトラム拡散された送信電波を復調して信号(航法メッセージデータ)を復号、解読する。解読された航法メッセージデータの内容に対して、更に、必要に応じて各種演算処理が行われ、CPU41からの要求に応じたデータ(取得対象データ)が予め設定されたフォーマットでCPU41に出力される。これらの受信、解読、演算及び出力に係る動作制御は、GPS受信処理部50に設けられた制御部50a(マイコン)によりなされる。これらのGPS受信処理部50における受信処理に係る各構成は、まとめて一つのモジュールとしてチップ上に形成され、CPU41と接続される。GPS受信処理部50の動作は、CPU41により、アナログ電子時計1の他の各部の動作とは独立にオンオフの制御がなされる。アナログ電子時計1では、GPS受信処理部50を動作させる必要が無い場合には、GPS受信処理部50への電力供給を中断することで省電力化が図られている。
【0027】
また、GPS受信処理部50は、記憶部を備える。この記憶部には、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)といった不揮発性メモリが用いられ、GPS受信処理部50への電力供給状態に依らず記憶された内容が保持される。記憶部には、各種動作制御プログラム、各GPS衛星の予測軌道情報や日時を取得する際の設定値、例えば、うるう秒補正値などを記憶させておくことが出来る。なお、予測軌道情報をアナログ電子時計1のRAM43に記憶させ、必要に応じて制御部50aがCPU41から情報を受け取る構成であっても良い。また、動作制御プログラムは、専用のROMに格納されて、起動時に読み出されて制御部50aのRAMにロードされても良い。
【0028】
電源部54は、各部の動作に係る電力を所定電圧で供給する。電源部54は、バッテリを有し、このバッテリとしては、例えば、ソーラバッテリと二次電池とを備える。或いは、バッテリとして交換可能なボタン型の乾電池を用いても良い。また、電源部54から複数の異なる電圧が出力される場合には、例えば、スイッチング電源などを用いて所望の電圧に変換して出力可能な構成とすることが出来る。
【0029】
ステッピングモータ81は、複数の歯車の配列である輪列機構71を介して秒針61を回転動作させる。ステッピングモータ81が一回駆動されると、秒針61は、1ステップ6度回転し、ステッピングモータ81の60回の動作により文字盤3上で一周する。
ステッピングモータ82は、輪列機構72を介して分針62、時針63及び24時間指針68を回転動作させる。輪列機構72は、分針62、時針63及び24時間指針68を連動して回転させる構成であり、分針62を1度ずつ回転移動させると共に時針63を1/12度ずつ回転移動させ、また、24時間指針68を1/24度ずつ回転移動させる。従って、分針62
、時針63及び24時間指針68が10秒に1回ずつ回転移動される
場合、分針62は、1時間で文字盤3上を一周し、これにより時針63が文字盤3上で30度移動すると共に24時間指針68が小窓6内で15度移動する。即ち、時針63は、12時間で文字盤3上を一周し、24時間指針68は、24時間で小窓6内を一周する。
【0030】
ステッピングモータ83は、輪列機構73を介して日車64を回転動作させる。ステッピングモータ83が一回駆動されると、日車64は、1ステップ分の角度回転移動し、150ステップの回転移動により360/31度の回転が生じて、開口部7から露出される日付標識が1日分変化する。そして、日車64が31日分回転移動すると、再び最初の日付を示す日付標識が開口部7から露出されることになる。
【0031】
ステッピングモータ84は、輪列機構74を介してモード指針65を回転動作させる。ステッピングモータ84が一回駆動されると、モード指針65は、1ステップ1度回転移動する。従って、ステッピングモータ84が360回回転駆動されることで、モード指針65が小窓4内を一周する。
【0032】
ステッピングモータ85は、輪列機構75を介して機能指針66、67を回転動作させる。輪列機構75は、機能指針66及び機能指針67を連動して回転させる構成であり、機能指針66を6度ずつ回転移動させると共に機能指針67を1/2度ずつ回転移動させる。従って、機能指針66及び機能指針67が1分に1回ずつ回転移動されると、機能指針66は、1時間で小窓5内を一周し、また、機能指針67が小窓5内で30度移動する。即ち、機能指針67は、12時間で小窓5内を一周する。
【0033】
時刻指針61〜63、日車64、モード指針65、機能指針66、67及び24時間指針68は、特には限られないが、正転方向(時刻が進む方向)に90pps(pulse per second)で回転移動可能であり、また、逆転方向に32ppsで回転移動可能となっている。従って、ステッピングモータが1回駆動動作されるごとに1度移動する指針(分針62及びモード指針65)は、正転方向への回転では4秒、逆転方向への回転では11.25秒で一周する。
【0034】
駆動回路52は、CPU41からの制御信号に従ってステッピングモータ81〜85に所定電圧の駆動パルスを出力する。駆動回路52は、アナログ電子時計1の状態などに応じて駆動パルスの長さ(パルス幅)を変更させることが出来る。また、複数の指針を同時に駆動させる制御信号が入力された場合に、負荷を低減させるために僅かに駆動パルスの出力タイミングをずらしたりすることが出来る。
【0035】
次に、GPS受信処理部50による日時又は位置の取得について説明する。
【0036】
図3は、GPS受信処理部50における日時取得処理の動作手順を示すフローチャートである。
この日時取得処理は、CPU41がGPS受信処理部50を起動させることで開始される。
【0037】
日時取得処理が開始されると、GPS受信処理部50の制御部50aは、起動動作に係る初期設定を行う(ステップS101)。制御部50aは、CPU41から受信対象や受信に係る設定情報などを取得して、GPS衛星から電波を受信して必要な情報を取得するためのプログラムを実行する。
【0038】
制御部50aは、GPS衛星からの送信電波の受信を開始し、送信電波に同調、検出する動作することで当該電波を捕捉する処理を行う(ステップS102)。必要な数のGPS衛星からの電波が捕捉されると、制御部50aは、捕捉されたGPS衛星から必要なデータの受信を行う(ステップS103)。制御部50aは、受信されたデータに基づいて日時を算出し、設定されたフォーマットでCPU41に出力する(ステップS104)。
【0039】
そして、制御部50aは、GPS衛星からの送信電波の受信を停止し、CPU41に電源をオフする要求を送信して(ステップS105)、日時取得処理を終了する。
【0040】
位置情報を取得する処理(位置情報取得処理)の場合、ステップS104の処理で、日時と共に現在位置が算出、出力される点を除いて日時取得処理と動作手順は同一である。
【0041】
ここで、日時取得処理及び位置情報取得処理の各ステップにおける処理に要する時間について、説明する。
ステップS101の処理において、GPS衛星からの電波を受信する場合、先ず、オフされているGPS受信処理部50を起動する処理が必要になる。この処理に要する時間(起動時間)は、アナログ電子時計1でほぼ一定の時間であると考えることが出来る。
【0042】
次に、ステップS102の処理において、GPS受信処理部50は、GPS衛星からの電波を捕捉する。GPS衛星から送信される航法メッセージは、各GPS衛星に対して各々個別に定められているC/Aコードを用いてスペクトラム拡散がなされ、搬送波により変調されて送信されている。従って、GPS衛星からの電波を捕捉してこの航法メッセージを受信するには、受信可能なGPS衛星からの送信電波の周波数に同調し、当該GPS衛星のC/Aコードを用いて受信電波信号に対して逆スペクトラム拡散処理を行う必要がある。
【0043】
GPS衛星は、地球を周回する軌道上を高速で公転しているので、受信地点に対する距離方向の速度によりドップラー効果が生じて受信周波数が送信周波数から変化する。従って、GPS衛星の位置が分からない場合には、ドップラー効果によって変化しうる受信周波数内で周波数スキャンを行う必要がある。
同様に、GPS衛星の位置が分からない場合には、どのGPS衛星からの電波が受信地点で受信可能な状態(可視状態)であるかが分からない。従って、全てのGPS衛星のC/Aコードにより逆スペクトラム拡散処理を試みて信号の検出有無を判別する必要がある。
よって、GPS受信処理部50が衛星位置(予測軌道データ)を参照可能な状態であるか否かにより、GPS衛星からの電波を捕捉するために必要な時間(捕捉時間)が定められる。実際には、受信環境などに応じて電波を受信可能なGPS衛星の数が少ない場合や受信電波強度が低い場合などに、定められた時間より長い時間が必要とされる場合がある。
【0044】
ここで、GPS衛星から日時情報のみを取得する場合には、1衛星のみから電波が受信されれば、当該GPS衛星と受信地点との距離が同定出来ないことにより生じる誤差の範囲内で日時情報を取得することが出来る。GPS衛星を用いて測位を行う場合(日時の取得の際に上述の誤差を生じさせないための測位も含む)には、4衛星からの電波受信が必要になる。従って、必要な数のGPS衛星(必要な機数)からの電波を捕捉するのに必要な時間は、衛星数に応じて変化する。
【0045】
GPS衛星からの電波が捕捉されると、GPS受信処理部50は、日時を取得するために必要な部分の航法メッセージを受信して復号、解読する(ステップS103)。
【0046】
図4は、GPS衛星から送信される航法メッセージのフォーマットについて説明する図である。
GPS衛星から送信される航法メッセージは、30秒単位のフレーム25個で構成されている。各フレームには、6秒単位のサブフレームが5個含まれており、更に、各サブフレームには、0.6秒単位のワード(WORD)が10個含まれている。
【0047】
各ワードは、30ビットで構成されている。このうち、各サブフレームの先頭から2つのワードであるWORD1及びWORD2のフォーマットは、全てのサブフレームで共通である。WORD1の先頭の22ビットは、テレメトリワード(TLM)を表し、このうち更に先頭の8ビットは、毎回固定されたプリアンブル(Preamble)である。また、WORD2の先頭の22ビットは、ハンドオーバワード(HOW)を表し、このうち更に先頭の17ビットは、曜日以下の日時(週内経過時間)を示すTOW−Count(Time of Week)である。
【0048】
一方、WORD3以降の各ワードは、サブフレームごとに異なる内容を示している。先頭のサブフレーム(サブフレーム1)のWORD3では、先頭の10ビットが週番号WNを示す。また、サブフレーム2及びサブフレーム3のWORD3以降には、当該GPS衛星の軌道データ(エフェメリスデータ)が含まれている。サブフレーム4のWORD3以降には、位置や日時を求めるための各種補正パラメータが含まれ、サブフレーム5のWORD3以降には、全てのGPS衛星の予測軌道データ(アルマナックデータ)が含まれている。
【0049】
これらのうち、週番号WNと週内経過時間TOW−Countの組み合わせにより、日時情報が得られる。従って、サブフレーム1のデータが受信されることで、日時データの出力が可能になる。
一方、位置情報を取得するには、4衛星以上の日時に係るデータ及びエフェメリスデータが取得される必要がある。また、このとき、通常では、併せて補正パラメータやアルマナックデータも取得される。従って、1フレーム分のデータが取得されることで、位置データの算出及び出力が可能になる。なお、本実施形態のアナログ電子時計1では、複数衛星からのデータを並列に取得することが可能となっている。
即ち、データ受信期間は、取得対象のデータが日付又は位置の何れであるかによって異なる。
【0050】
本実施形態のアナログ電子時計1では、GPS受信処理部50は、外部、ここでは、CPU41から、日時の一部分を示す情報、例えば、日付データを取得しておくことが出来る。GPS受信処理部50は、日付データを保持した状態で週内経過時間TOW−Countを取得すると、当該週内経過時間TOW−Countの時刻部分と保持している日付とに基づいて日時を算出して出力することが出来る。或いは、GPS受信処理部50は、これらの週内経過時間TOW−Count及び保持している日付データから週番号WNを逆算して、当該週番号WNと週内経過時間TOW−Countから得られる日時を算出しても良い。
なお、日付データを保持している状態で週番号WNと週内経過時間TOW−Countの両方が受信、取得された場合には、保持している日時データをこれらの値で得られる日付で上書きする構成とすることが出来る。
【0051】
従って、RAM43にGPS受信処理部50や標準電波受信部48により日時情報が取得された履歴を記憶させておき、計時回路46が計数する日時に大きなずれがあると想定されない場合、例えば、前回の日時の取得から1ヵ月が経過していない場合には、CPU41からGPS受信処理部50に日付データを出力し、週番号WNを取得せずに週内経過時間TOW−Countのみを受信するように変更することが出来る。このように、取得対象データである日時データを取得する方法(取得方法)を変更することで、GPS衛星から必要な航法メッセージを受信するために必要な時間(データ受信時間)を短縮することが出来る。
【0052】
具体的には、何れかのサブフレームが1つ、又は、更には、何れかのサブフレームにおけるWORD2が取得されることで、週内経過時間TOW−Countが取得される。上述のように、サブフレーム1つの長さは6秒であるが、サブフレームの先頭を同定するためにプリアンブルを受信する必要があるので、完全なサブフレーム1つのデータを取得するには、最短のデータ受信時間が6秒であるのに対し、受信開始タイミングに応じて最長12秒程度のデータ受信時間が必要になる場合がある。同様に、WORD2を受信してデータを取得するために、プリアンブルを先に受信する必要があり、
WORD1及びWORD2の2ワードの受信に要する最短のデータ受信時間が1.2秒であるのに対し、受信開始のタイミングによっては、
12ワード分の最長約7.2秒のデータ受信時間が必要になる。これらのうち何れの受信方法が用いられるかについては、計時回路46の計数する日時の精度(歩度)や前回の修正からの経過時間により選択されても良いし、一律に1サブフレーム程度の受信を行う設定であっても良い。航法メッセージにおけるデータ位置が分からない場合には、データ受信時間としては、最短のデータ受信時間が設定される。データ位置を見積もることが可能な場合には、見積もり誤差の影響を考慮した最短の待機時間をデータ受信時間に加算することが出来る。
【0053】
一方、測位用にデータを1フレーム分受信する場合、一のフレームの先頭から最後まで受信するのに必要な最短のデータ受信時間は30秒であり、最長では、60秒弱のデータ受信時間が必要となる。
但し、一のフレームの途中のサブフレームから次のフレームにおける当該サブフレームの一つ前のサブフレーム
までの受信を行って1フレーム分のデータとする場合には、最長で36秒弱となる。
なお、計時回路46の計数する日時のずれが小さいサブフレームの長さ(6秒)に比して十分短いと想定される場合、GPS衛星からの電波が捕捉された後、制御部50aの制御により、当該電波の受信周波数とC/Aコード(衛星番号)を記憶した状態で、WORD1の送信タイミングであると想定されるタイミング直前まで一度電波受信を中断することとしても良い。この中断時間は、データ受信時間に加算されても良い。
【0054】
必要な航法メッセージが取得されると、制御部50aにより日時が算出される(ステップS104)。日時は、保持されている日付データや取得されたWNの値と週内経過時間TOW−Countの値とにより容易に得られるので、処理時間は、他の処理に要する時間と比較してほぼ無視可能な程度に短い。測位処理における位置の算出に要する計算時間は、日時の算出時間よりは長くなるが、やはり、他の処理に要する時間との比較では、ほぼ無視可能な長さである。
従って、GPS受信処理部50の起動処理が開始されてから、CPU41がGPS受信処理部50から日時又は位置の情報を取得するまでに要する時間は、少なくとも、起動時間、捕捉時間及びデータ受信時間の合計時間となる。本実施形態の電子時計1では、日時又は位置情報の取得に係る電波受信をGPS受信処理部50に開始させる前に、CPU41は、取得データ、受信タイミング、計時回路46の保持する日時データや受信条件などを考慮して、この合計時間として見積もり得る範囲の中で最も短い時間(所要時間)を最短所要時間として算出する。
【0055】
次に、GPS受信処理部50による日時又は位置情報の取得に係る処理の実行中における指針動作について説明する。
【0056】
上述のように、位置情報の表示は、モード指針65により行われる。そこで、このモード指針65を用いて、位置情報の取得中に、当該取得中の状態であることを示す早送り動作(報知動作)を所定のパターン(パターン動作)の繰り返しで行わせる。しかしながら、このモード指針65の早送り動作により、CPU41から駆動回路52に対して頻繁に制御信号が送られることになるので、GPS受信処理部50から日時情報を受け取るための割込み処理が制御信号の出力と重なった場合に、割込み処理の挿入タイミングが遅れて、取得された日時の同期点にずれが発生する。従って、本実施形態のアナログ電子時計1では、日時情報を受け取るための割込み処理が最速で発生するタイミングまでにモード指針65の早送り動作を終了させる。ここで、時刻指針61〜63及び24時間針68についても同様にこのタイミング以降指針動作を中止させる。或いは、これらの時刻指針61〜63及び24時間針68の動作は、日時取得処理が開始された時点で停止されても良い。
【0057】
図5は、アナログ電子時計1において、位置情報の取得中に小窓4内で実行される指針動作の例を示す図である。また、
図6は、モード指針65の位置、移動方向及び移動速度を示す図である。
【0058】
図5(a)に示すように、通常の状態では、時刻表示モードにおいて、モード指針65は、曜日を指し示す。ここでは、標識「SU」が指し示されており、即ち、日曜日であることが示されている。
【0059】
図5(b)に示すように、CPU41により測位処理が開始されて、GPS受信処理部50に位置情報の取得に係る命令が送信されると(
図6のタイミングt0)、モード指針65は、真上向き、即ち、北緯90度の位置を指すように移動される。この移動動作は、小窓4内の3時側半分の180度範囲(角度範囲)で行われるので、モード指針65は、逆転方向への移動になる。従って、このときの移動速度(動作速度)は、最高で32ppsとなる。
【0060】
モード指針65が北緯90度の位置を指し示すと、このモード指針65の移動方向が反転されて、
図5(c)に示すように、今度は正転方向に真下向き、即ち、南緯90度の位置を指し示すように移動される。この移動速度は、逆転方向の移動速度と同一とすることが好ましく、従って、最高で32ppsとなる。
【0061】
モード指針65が南緯90度の位置を指し示すと、モード指針65の移動方向が再度反転されて再び逆転方向に移動させ、
図5(d)に示すように、北緯90度の位置を指し示すように移動される。このときの移動速度も同様に、これまでの移動速度と同一とすることが好ましい。
【0062】
図6に示すように、このような北緯90度の位置(位置N)及び南緯90度の位置(位置S)の間でのモード指針65の動作は、上述の最短所要時間が経過するまで(タイミングt1)行われる。このとき、最短所要時間が経過する時点でモード指針65が途中の位置にあり、この位置で停止されると、当該位置が計測された緯度と誤認される虞が生じるので、所定の位置(基準位置)、ここでは、北緯90度の位置で停止するように移動速度が設定される。例えば、
図6(a)に示すように、最短所要時間が32秒間の場合、モード指針65を32ppsで位置Nに移動させた後、モード指針65を24ppsの均一速度で2回位置Sとの間で往復させるように動作させることが出来る。
【0063】
或いは、
図6(b)に示すように、途中までは、常にモード指針65を32ppsで移動させ、モード指針65の移動動作が停止される一回前の移動の際に、位置Sまで移動させず、途中(ここでは、南緯30度の位置(S30))で移動方向を反転させることで、最短所要時間が経過したタイミングでモード指針65が北緯90度の位置に到達するようにしても良い。
【0064】
また、
図6(c)に示すように、途中までは、常にモード指針65を32ppsで移動させ、モード指針65の移動動作が停止される一回前の移動の際にのみ、最短所要時間が経過したタイミングでモード指針65が北緯90度の位置に到達するように移動速度を低下させても良い(ここでは、18pps)。
【0065】
図6に示すように、モード指針65が停止された後、GPS受信処理部50から位置情報がCPU41に入力されると(タイミングt2)、
図5(e)に示すように、CPU41は、当該求められた位置情報に係る緯度を示す位置(ここでは、例えば、北緯36度の位置(N36))にモード指針65を移動させる。このときのモード指針65は、最速の90ppsで移動されることで、結果表示を行うことをユーザに知得させることが出来る。
【0066】
図7は、GPS衛星の捕捉に時間を要した場合におけるモード指針65の位置、移動方向及び移動速度を示す図である。
【0067】
必要数のGPS衛星の捕捉が順調に行かず、時間がかかった場合、最短所要時間が経過した後、即座にGPS受信処理部50において受信結果の日時や測位結果が得られない場合がある。この場合、モード指針65は、停止状態が継続されるが、停止状態が長引くことでユーザにアナログ電子時計1の動作トラブルなどを疑わせる虞がある。そこで、本実施形態のアナログ電子時計1では、GPS受信処理部50の起動から所定時間が経過するごとに、GPS受信処理部50から捕捉されているGPS衛星の数(捕捉情報)を取得し、必要期間のデータ受信(ステップS103)に移行済みであるか否かを判別する(タイミングt0a、t0b、t0c)。そして、捕捉されているGPS衛星数が必要数に到達していないままモード指針65の動作残り時間が最短のデータ受信時間より短くなった場合には(タイミングt0a、t0b)、この残り時間を最短のデータ受信時間まで延長させる。その結果、モード指針65の動作が停止してから(タイミングt1b)、受信結果の入力(タイミングt2a)までの間隔を短くすることが出来る。
この
図7では、所定時間が3秒として図示しているが、この値は、適宜、例えば、1ワードに対応する0.6秒や、1サブフレームに対応する6秒などに設定される。
【0068】
図8は、アナログ電子時計1で実施されるGPS受信表示処理のCPU41による制御手順を示すフローチャートである。この処理は、日時を取得する場合には、所定の条件で自動的に呼び出されて又はユーザによる所定の入力操作に応じて起動され、位置を取得する場合には、ユーザによる所定の入力操作に応じて起動される。
【0069】
GPS受信表示処理が開始されると、CPU41は、先ず、日時の取得又は測位といった動作内容とGPS受信処理部に出力するパラメータの設定を行い、また、これらの設定に基づいて最短所要時間を算出する(ステップS201)。CPU41は、算出された最短所要時間に基づいて、モード指針65に行わせる動作のパターンを決定する(ステップS202)。
【0070】
CPU41は、GPS受信処理部50を起動させ、設定データ(パラメータ)をGPS受信処理部50に出力する(ステップS203)と共に、駆動回路52に制御信号を出力してモード指針65の動作を開始させる(ステップS204)。この制御信号の出力は、最短所要時間に亘り、GPS受信表示処理に係る各制御動作と並列に実行された後に終了する。
【0071】
CPU41は、GPS受信処理部50から正常な受信結果が入力されたか否かを判別する(ステップS205)。入力されたと判別された場合には(ステップS205で“YES”)、入力結果に基づいて駆動回路52に制御信号を出力し、指針に結果表示を行わせる(ステップS206)。そして、GPS受信表示処理を終了する。
【0072】
GPS受信処理部50から正常な受信結果が入力されていないと判別された場合には(ステップS205で“NO”)、CPU41は、GPS受信処理部50からGPS衛星の捕捉に失敗した旨を示すタイムアウト信号を受信したか、又は、信号を受信しないまま予め設定された上限時間が経過したか否かを判別する(ステップS211)。何れかに該当すると判別された場合には(ステップS211で“YES”)、CPU41は、GPS受信表示処理を終了する。
なお、このタイムアウト信号は、最短所要時間の経過前に入力される場合があり得るが、この信号の入力タイミングが遅延しても問題は生じない。
【0073】
何れにも該当しないと判別された場合には(ステップS211で“NO”)、CPU41は、更に、GPS受信表示処理が開始されてから、又は、前回の所定時間経過後に予め定められた所定時間が経過したか否かを判別する(ステップS212)。所定時間が経過していないと判別された場合には(ステップS212で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS205に移行する。
【0074】
所定時間が経過したと判別された場合には(ステップS212で“YES”)、CPU41は、GPS受信処理部50に対して捕捉したGPS衛星数の情報を送信するよう要求する(ステップS213)。そして、GPS受信処理部50からの情報を待ち受ける。
【0075】
GPS受信処理部50から情報が入力されると、CPU41は、捕捉されたGPS衛星数が動作内容に必要なGPS衛星の数未満であるか否かを判別する(ステップS214)。必要なGPS衛星の数未満ではないと判別された場合には(ステップS214で“NO”)、CPU41の処理は、ステップS205に戻る。
【0076】
捕捉されているGPS衛星の数が必要なGPS衛星の数未満であると判別された場合(ステップS214で“YES”)、CPU41は、モード指針の動作残り時間を参照し、この動作残り時間が最短のデータ取得時間未満の場合には、最短のデータ取得時間まで延長する(ステップS215)。それから、CPU41の処理は、ステップS205に戻る。
【0077】
[変形例]
図9は、小窓4の変形例と、この小窓4内でのモード指針65の移動動作を示す図である。
この小窓4には、中心に緯度線と経度線が描かれた地球が円状に表示されている。モード指針65は、この地球の図の周囲全体360度の範囲で、緯度又は経度を表示させる。
【0078】
このモード指針65は、
図9(a)に示すように、当初、曜日の表示がなされており、ここでは、標識「SU」が指し示されることで、日曜日であることが示されている。
【0079】
GPS受信表示処理が開始されると、モード指針65は、先ず、
図9(b)に示すように、12時方向に逆転早送り(32pps)で移動される。それから、
図9(c)に示すように、モード指針65は、正転方向に360度32ppsで早送り回転移動されて、12時方向に戻る。次いで、
図9(d)に示すように、モード指針65は、逆転方向に360度32ppsで早送り回転移動されて、12時方向に戻る。この動作が最短所要時間の範囲内で繰り返された後に、モード指針65は停止され、その後、GPS受信処理部50から受信結果がCPU41に入力されると、
図9(e)に示すように、当該受信結果に応じた位置にモード指針65が移動される。このとき、モード指針65は、指し示す位置に依らず、常に90ppsで正転方向に回転移動させても良いし、最短時間で指し示す位置に到達可能な回転方向で当該回転方向への最大移動速度で回転移動させても良い。
【0080】
以上のように、本実施形態のアナログ電子時計1は、GPS衛星からの電波を受信して、受信された電波から復調、復号された航法メッセージに基づいて予め取得対象として設定された日時データや位置データを算出、取得してCPU41に出力するGPS受信処理部50と、回動自在に設けられたモード指針65と、を備える。CPU41は、GPS受信処理部50にCPU41から電波の受信命令が入力されてから取得対象のデータがCPU41に出力されるまでの所要時間を算出し、電波の受信時に、モード指針65に所定のパターンで動作を行わせ、算出された所要時間が経過するタイミングでモード指針65の動作を終了させる。
即ち、このアナログ電子時計1では、電波受信中にはモード指針65によるパターン動作を継続させてユーザに電波受信中であることを確実に知得させることが出来ると共に、GPS受信処理部50から日時情報や位置情報を取得するタイミングまでに当該モード指針65のパターン動作を終了させるので、電波受信により取得される日時データの精度を低下させない。
【0081】
また、モード指針65の所定パターンでの動作の終了時には、当該モード指針65を小窓4内での12時方向、即ち、北極を示す基準位置に停止させるので、位置の結果表示と混同させる虞がない。また、この後の位置測定結果の表示を12時から6時(3時側)で行わせることで、常に正転方向に高速で早送りして表示を行わせることが出来るので、ユーザを不要に待たせない。
【0082】
また、所要時間としては、GPS受信処理部50に電波の受信命令が入力されてからGPS受信処理部50で実際に受信動作が開始されるまでの起動時間、受信動作の開始からGPS受信処理部50により必要な数のGPS衛星の電波を捕捉されるまでに必要な捕捉時間、及び日時や位置情報といった取得対象のデータの種別とその取得方法に応じて定まるデータ受信時間が含まれる。所要時間として主要な割合を占めるこれらの値が的確に設定されることで、GPS受信処理部50からCPU41へのデータ入力時にモード指針65が未だ動作しているという事態を柔軟に避けられると共に、所要時間の経過後、結果の表示を行わせるまでの待ち時間を短縮することが出来る。
【0083】
また、CPU41は、GPS受信処理部50による電波受信中に、捕捉されて追尾中のGPS衛星の機数に係る捕捉情報を所定の時間間隔で当該GPS受信処理部50から取得して、捕捉されたGPS衛星の機数が、日時や位置のデータを取得するために必要な機数に満たない場合には、捕捉情報の取得タイミングからデータ受信時間が所要時間に含まれるように所要時間を再設定し、この再設定された所要時間の経過時間に応じたタイミングまでモード指針65にパターン動作を行わせる。従って、GPS衛星からの電波受信環境が悪く、GPS衛星の電波の捕捉に時間がかかる場合には、当該捕捉時間に応じて適切にモード指針65によるパターン動作を行わせる時間を延長するので、パターン動作が終了してから結果表示が行われるまでの待機時間を短縮することが出来、従って、ユーザにアナログ電子時計1がフリーズしたと疑わせない。
【0084】
また、RAM43には、過去の受信履歴が記憶されている。CPU41は、直近の電波受信、即ち、日時データの修正タイミングからの経過時間に基づいて適宜、計時回路46の計数する日時などを用いることで、GPS衛星からの受信データを削減しながら、日時や位置のデータを算出、取得する方法を用いることが出来る。この場合、CPU41は、必要な受信データに応じてデータ受信時間を短縮する設定を行い、GPS受信処理部50による消費電力を低減させ、また、ユーザの待機時間を短縮しつつ、当該待機時間の短縮に応じた適切な長さのパターン動作をモード指針65に行わせることが出来る。
【0085】
また、モード指針65が電波受信中に繰り返し行うパターン動作の途中で所要時間が経過すると見積もられる場合に、当該モード指針65の移動速度又は移動角度範囲のうち少なくとも一方を変更して、少なくとも一回のパターン動作に要する時間を短縮又は延長することで、所要時間の経過タイミングで最後のパターン動作を終了させるように調整する。これにより、中途半端な位置でモード指針65が停止した場合に、当該停止時間が短時間であってもユーザがアナログ電子時計1のフリーズと誤解したり、停止位置を結果表示位置と勘違いしたりする可能性をより確実に排除することが出来る。
【0086】
また、電波受信中のパターン動作に係るモード指針65の移動速度よりも、取得された日時や位置の結果表示を行わせるためのモード指針65の移動速度の方が速くなるようにモード指針65の移動速度を設定することで、結果表示であることをユーザに認識させると共に、結果表示に要する時間を短縮してユーザを不要に待たせない。
【0087】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、上述のように、受信対象となるフレームやサブフレームの先頭位置データを受信する受信開始タイミングが算出出来る場合には、最短所要時間として、当該タイミングまでの待機時間を追加することが出来る。また、最短所要時間に含まれる起動時間は、他の時間に対して十分短い場合には、最低所要時間の計算から省いてもモード指針65の動作終了タイミングに大きな影響を与えない。
【0088】
また、取得対象データとしては、GPS衛星からの航法メッセージに限られず、他の測位衛星、例えば、GLONASSに係る測位衛星の航法メッセージであっても良い。
【0089】
また、上記実施の形態では、モード指針65を用いて電波受信時の動作を行わせたが、他の指針であっても良く、また、指針の数は、一本に限られない。また、指針の早送り移動可能な速度や、1ステップ当たりの回転角度などに応じて、適宜動作パターンを変更することが出来る。
【0090】
また、上記実施の形態では、移動速度及び最後のタイミング調整を除き、同一の動作パターンを繰り返し行う例を挙げて説明したが、ユーザが容易に認識可能な動作パターンの範囲内において、動作パターンが毎回変更されても良い。
例えば、捕捉衛星数によりモード指針65の動作パターンを変更することが出来る。例えば、
図6(a)において、モード指針65を32ppsで位置Nに移動させた後、捕捉衛星数が3であった場合に、移動速度を通常の半分(12pps)とし、また、移動角度範囲を半分(緯度0度との間を往復させる)として動作させた後、更に、24ppsの均一速度で位置Sとの間を往復させても良い。このように移動速度と移動角度範囲の少なくとも一方を変更することによる動作パターンの変化により、ユーザにGPS衛星が順調に捕捉されていることを認識させることが出来る。
【0091】
また、上記実施の形態では、最短所要時間の経過後、北緯90度位置でモード指針65を停止させたが、他の位置でも良い。但し、結果表示が行われる範囲内、ここでは、北緯90度位置から南緯90度位置(3時側)の途中の位置では、結果表示であるのか待機状態であるのか区別がしづらいので、両端の南北90度位置や9時側の何れかの位置であることがより好ましい。また、南緯90度位置よりも、北緯90度位置やその手前(逆転方向に若干移動させた位置)で停止させることで、正転方向への回転動作で高速に結果表示に係る位置へモード指針65を移動させることが出来る。或いは、南北90度位置のうち、最短所要時間に応じてモード指針65の動作を大きく変更せずに止めやすい位置を選択して停止させることとしても良い。
【0092】
また、上記実施の形態では、衛星からの電波受信中に捕捉情報を繰り返し取得することとしたが、捕捉後のロストを考慮しない場合、必要な数のGPS衛星の電波が捕捉された後には、当該捕捉情報の取得を中止しても良い。更には、過去の受信履歴などで衛星電波の捕捉に毎回成功している場合などには、捕捉情報の取得自体を省略しても良い。
【0093】
また、上記実施の形態では、GPS受信表示処理において受信中におけるモード指針65の早送り速度を32ppsとし、受信結果の表示に係る早送り速度を90ppsとして異ならせたが、同一であっても良い。また、モード指針65の早送り速度を正転早送り時と逆転早送り時で異ならせても良く、更には、同一方向への早送り中に捕捉衛星数や電波受信開始からの経過時間などに基づいて適宜設定される早送り速度に変化させても良い。
その他上記実施の形態で示した構成や制御手順などの具体的な内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
【0095】
[付記]
<請求項1>
測位衛星からの電波を受信して、当該受信された電波に基づいて予め設定された取得対象データを取得して出力する電波受信手段と、
回動自在に設けられた指針と、
前記電波受信手段に前記電波の受信命令が入力されてから前記取得対象データが出力されるまでの所要時間を算出する時間算出手段と、
前記電波の受信時に、前記指針に所定の報知動作を行わせ、前記所要時間が経過するタイミングで前記報知動作を終了させる報知動作制御手段と、
を備えることを特徴とするアナログ電子時計。
<請求項2>
前記報知動作制御手段は、前記報知動作の終了時に前記指針を所定の基準位置に停止させることを特徴とする請求項1記載のアナログ電子時計。
<請求項3>
前記所要時間には、
前記電波受信手段に受信命令が入力されてから当該電波受信手段が受信動作を開始するまでの所定の起動時間、
前記受信動作の開始から前記電波受信手段が前記取得対象データの取得に必要な機数の前記測位衛星の電波を捕捉するのに必要な捕捉時間、
及び前記取得対象データとその取得方法に応じて定まるデータ受信時間、
が含まれることを特徴とする請求項1又は2記載のアナログ電子時計。
<請求項4>
前記報知動作制御手段は、前記電波受信手段が捕捉して追尾中の前記測位衛星の機数に係る捕捉情報を所定の時間間隔で前記電波受信手段から取得して、前記捕捉された測位衛星の機数が前記必要な機数に満たない場合には、前記捕捉情報の取得タイミングから前記データ受信時間が前記所要時間に含まれるように当該所要時間を再設定し、当該再設定された所要時間の経過時間に応じたタイミングまで前記指針に前記報知動作を行わせることを特徴とする請求項3記載のアナログ電子時計。
<請求項5>
過去の受信履歴を記憶する履歴記憶手段を備え、
前記報知動作制御手段は、当該受信履歴に基づいた前記取得方法を設定して当該取得方法に応じた前記データ受信時間を定める
ことを特徴とする請求項3又は4記載のアナログ電子時計。
<請求項6>
前記報知動作に係る指針の動作は、所定のパターン動作の繰り返しであり、
前記報知動作制御手段は、前記パターン動作の途中で前記所要時間が経過する場合には、前記パターン動作に係る前記指針の動作速度及び前記パターン動作を行う角度範囲のうち少なくとも一方を変更して、少なくとも一回の前記パターン動作に要する時間を短縮又は延長することで、前記所要時間の経過タイミングで最後の前記パターン動作を終了させる
ことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のアナログ電子時計。
<請求項7>
前記報知動作制御手段は、前記報知動作に係る前記指針の移動速度よりも、前記取得対象データに基づく結果表示を行うための前記指針の移動速度を速く設定することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のアナログ電子時計
<請求項8>
測位衛星からの電波を受信して、当該受信された電波に基づいて予め設定された取得対象データを取得して出力する電波受信手段と、回動自在に設けられた指針とを備えたアナログ電子時計の指針動作制御方法であって、
前記電波受信手段に前記電波の受信命令が入力されてから前記取得対象データが出力されるまでの所要時間を算出する時間算出ステップ、
前記電波の受信時に、前記指針に所定の報知動作を行わせ、前記所要時間が経過するタイミングで前記報知動作を終了させる報知動作制御ステップ、
を含むことを特徴とするアナログ電子時計の指針動作制御方法。