(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のデスミア処理装置の実施の形態について説明する。
図1は、本発明のデスミア処理装置によるデスミア処理の処理対象となる配線基板材料の一例における要部の構成を示す説明用断面図である。この配線基板材料1は、第1絶縁層2と、この第1絶縁層2の表面上に積層された、所要のパターンの導電層(配線層)3と、この導電層3を含む第1絶縁層2上に積層された第2絶縁層4とにより構成されている。第2絶縁層4には、その厚み方向に伸びる、例えばビアホールなどの貫通孔5が形成されており、この貫通孔5によって、導電層3の一部が露出した状態とされている。
【0014】
第1絶縁層2および第2絶縁層4の各々は、無機物質よりなる粒状のフィラーが含有された樹脂によって構成されている。
第1絶縁層2および第2絶縁層4を構成する樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。
第1絶縁層2中および第2絶縁層4中に含有されるフィラーを構成する材料としては、シリカ、アルミナ、マイカ、珪酸塩、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、酸化チタンなどを用いることができる。フィラーの平均粒子径は、例えば0.1〜3μmである。
第1絶縁層2および第2絶縁層4の各々におけるフィラーの割合は、例えば20〜60質量%である。
導電層3を構成する材料としては、銅、ニッケル、金などを用いることができる。
第1絶縁層2の厚みは、例えば20〜800μm、第2絶縁層4の厚みは、例えば10〜50μmである。導電層3の厚みは、例えば10〜100μmである。また、貫通孔5の径は、例えば30〜100μmである。
【0015】
このような配線基板材料1は、例えば以下のようにして得られる。
先ず、
図2(a)に示すように、第1絶縁層2の表面上に、所要のパターンの導電層3を形成する。次いで、
図2(b)に示すように、導電層3を含む第1絶縁層2の表面上に第2絶縁層4を形成する。そして、
図2(c)に示すように、第2絶縁層4における所要の箇所に、当該第2絶縁層4の厚み方向に貫通して伸びる貫通孔5を形成する。
【0016】
以上において、導電層3を形成する方法としては、特に限定されず、サブトラクティブ法、セミアディティブ法などの種々の方法を利用することができる。
第2絶縁層4を形成する方法としては、液状の熱硬化性樹脂中にフィラーが含有されてなる絶縁層形成材料を、導電層3を含む第1絶縁層2の表面上に塗布した後、当該絶縁層形成材料を硬化処理する方法や、導電層3を含む第1絶縁層2の表面上に、フィラーが含有された絶縁シートを熱圧着等によって貼り合わせる方法を利用することができる。
第2絶縁層4に貫通孔5を形成する方法としては、ドリル加工による方法、レーザ加工による方法を利用することができる。レーザ加工によって貫通孔5を形成する場合には、炭酸ガスレーザ装置やYAGレーザ装置などを用いることができる。
このようにして得られる配線基板材料1においては、第2絶縁層4における貫通孔5の内壁面、第2絶縁層4の表面における貫通孔5の周辺領域、および貫通孔5の底部すなわち導電層3における貫通孔5によって露出した部分などには、貫通孔5を形成する際に生じたスミア6が残留している。
【0017】
図3は、本発明のデスミア処理装置の第1の例における構成を示す説明図である。このデスミア処理装置は、配線基板材料1に対して、波長220nm以下の紫外線を照射する紫外線照射処理部30を有する。この紫外線照射処理部30の下流側には、当該紫外線照射処理部30によって紫外線照射処理された配線基板材料1に物理的振動を与える物理的振動処理部40が設けられている。この物理的振動処理部40の下流側には、当該物理的振動処理部40によって振動処理された配線基板材料1に水を噴射するリンス処理部50が設けられている。このリンス処理部50の下流側には、当該リンス処理部50によってリンス処理された配線基板材料1を乾燥処理する乾燥処理部60が設けられている。
【0018】
この第1の例のデスミア処理装置においては、紫外線照射処理部30は、その他の処理部から独立した筐体31を有する。
また、物理的振動処理部40、リンス処理部50および乾燥処理部60は、共通の筐体65内に、配線基板材料1の搬送方向に沿って並ぶよう設けられている。この筐体65は、その内部に物理的振動処理部40において用いられる水を貯蔵するタンク67と、リンス処理部50において用いられる水を貯蔵するタンク68とを有する。また、筐体65には、乾燥処理部60側の側面に、排気口65Hが設けられている。
紫外線照射処理部30と物理的振動処理部40との間には、紫外線照射処理部30から物理的振動処理部40に配線基板材料1を運搬する運搬ロボット25が設けられている。この運搬ロボット25は、配線基板材料1を吸着して保持する吸着アーム26を有する。 また、筐体65の内部には、配線基板材料1を、物理的振動処理部40、リンス処理部50および乾燥処理部60にこの順で搬送する搬送機構66が設けられている。
【0019】
紫外線照射処理部30における筐体31内には、複数のエキシマランプ10が収容されたランプ収容室S1が設けられている。また、筐体31の下面には、例えば合成石英ガラスよりなる紫外線透過窓部材32が設けられている。そして、ランプ収容室S1の下方には、紫外線透過窓部材32を介して、配線基板材料1が搬入される処理室S2が設けられている。
処理室S2内には、配線基板材料1が載置されるステージ33が設けられている。このステージ33には、処理室S2内に処理用ガスを供給するガス供給口34aおよび処理室S2からガスを排出するガス排出口34bが形成されている。
また、ステージ33には、ヒータが内蔵されている。このヒータによって、ステージ33上に載置された配線基板材料1を、例えば80〜200℃に加熱することができる。
【0020】
エキシマランプ10としては、波長220nm以下、好ましくは190nm以下の紫外線を放射するものが用いられる。紫外線の波長が220nmを超える場合には、樹脂などの有機物質に起因するスミア(以下、「有機物スミア」ともいう。)を分解除去することが困難となる。波長220nm以下の紫外線を放射するエキシマランプ10としては、キセノンエキシマランプ(ピーク波長172nm)を用いることができる。
【0021】
図4は、波長220nm以下の紫外線の光源として用いられるエキシマランプの一例における構成の概略を示す説明用断面図であって、(a)放電容器の長手方向に沿った断面を示す横断面図、(b)(a)におけるA−A線断面図である。
このエキシマランプ10は、両端が気密に封止されて内部に放電空間Sが形成された、断面矩形状の中空長尺状の放電容器11を備えており、この放電容器11の内部には、放電用ガスとして、例えばキセノンガスや、アルゴンと塩素とを混合したガスが封入されている。
放電容器11は、真空紫外光を良好に透過するシリカガラス、例えば合成石英ガラスよりなり、誘電体としての機能を有する。
【0022】
放電容器11における長辺面の外表面には、一対の格子状の電極、すなわち、高電圧供給電極として機能する一方の電極15および接地電極として機能する他方の電極16が長尺な方向に伸びるよう対向して配置されており、これにより、一対の電極15,16間に誘電体として機能する放電容器11が介在された状態とされている。
このような電極は、例えば、金属よりなる電極材料を放電容器11にペースト塗布することにより、あるいは、プリント印刷や蒸着することによって形成することができる。
【0023】
このエキシマランプ10においては、一方の電極15に点灯電力が供給されると、誘電体として機能する放電容器11の壁を介して両電極15,16間に放電が生成され、これにより、エキシマ分子が形成されると共にこのエキシマ分子から真空紫外光が放射されるエキシマ放電が生ずるが、このエキシマ放電によって発生する真空紫外光を効率良く利用するために、放電容器11の内表面に、シリカ粒子とアルミナ粒子とからなる紫外線反射膜20が設けられている。ここに、放電用ガスとしてキセノンガスを用いた場合は、波長172nmにピークを有する真空紫外線が放出され、放電用ガスとしてアルゴンと塩素とを混合したガスを用いた場合には、波長175nmにピークを有する真空紫外線が放出される。
【0024】
紫外線反射膜20は、例えば、放電容器11における長辺面の、高電圧供給電極として機能する一方の電極15に対応する内表面領域とこの領域に連続する短辺面の内表面領域の一部にわたって形成されており、放電容器11における長辺面の、接地電極として機能する他方の電極16に対応する内表面領域において紫外線反射膜20が形成されていないことによって光出射部(アパーチャ部)18が構成されている。
紫外線反射膜20の膜厚は、例えば10〜100μmであることが好ましい。
【0025】
紫外線反射膜20は、シリカ粒子およびアルミナ粒子それ自体が高い屈折率を有する真空紫外光透過性を有するものであることから、シリカ粒子またはアルミナ粒子に到達した真空紫外光の一部が粒子の表面で反射されると共に他の一部が屈折して粒子の内部に入射され、さらに、粒子の内部に入射される光の多くが透過され(一部が吸収)、再び、出射されるに際して屈折される、このような反射、屈折が繰り返し起こる「拡散反射」させる機能を有する。
また、紫外線反射膜20は、シリカ粒子およびアルミナ粒子、すなわちセラミックスにより構成されていることにより、不純ガスを発生させず、また、放電に耐えられる特性を有する。
【0026】
紫外線反射膜20を構成するシリカ粒子は、例えばシリカガラスを粉末状に細かい粒子としたものなどを用いることができる。
シリカ粒子は、以下のように定義される粒子径が例えば0.01〜20μmの範囲内にあるものであって、中心粒径(数平均粒子径のピーク値)が、例えば0.1〜10μmであるものが好ましく、より好ましくは0.3〜3μmであるものである。
また、中心粒径を有するシリカ粒子の割合が50%以上であることが好ましい。
【0027】
紫外線反射膜20を構成するアルミナ粒子は、数平均粒子径が例えば0.1〜10μmの範囲内にあるものであって、中心粒径(数平均粒子径のピーク値)が、例えば0.1〜3μmであるものが好ましく、より好ましくは0.3〜1μmであるものである。
また、中心粒径を有するアルミナ粒子の割合が50%以上であることが好ましい。
【0028】
この第1の例のデスミア処理装置における物理的振動処理部40は、配線基板材料1に対して液体を振動媒体として超音波振動処理を施すことによって、具体的には、例えば水中において配線基板材料1に超音波振動処理を施すことによって、配線基板材料1に対する物理的振動処理を行うものである。
物理的振動処理部40は、水槽41を有する。水槽41内には、振動板42が設けられている。また、水槽41には、排水口41Hが設けられている。
水槽41には、ポンプ43によって、タンク67内に貯蔵された水が、フィルター44を介して供給される。また、排水口41Hから排出された水は、タンク67に回収される。これにより、水槽41内の水を、フィルター44を介して循環させることができる。
【0029】
振動板42の表面から水面までの距離は、30〜300mmであることが好ましい。この距離が30mm未満である場合には、超音波の反射によって、振動板42自体の寿命が短くなることがある。一方、この距離が300mmを超える場合には、電力密度が低下するために、無機スミアが除去されにくくなることがある。
【0030】
物理的振動処理部40において、配線基板材料1に対する物理的振動処理は、当該配線基板材料1を、搬送機構66によって搬送しながら行うことができる。配線基板材料1の搬送速度は、処理時間や水槽41の寸法などを考慮して設定されるが、例えば0.5m/minである。
【0031】
物理的振動処理部40の仕様の一例を示すと、以下の通りである。
水槽41の縦横の寸法が、700mm×800mmである。
振動板42の縦横の寸法が500mm×600mmで、振動板42の駆動電力が2kWである。
【0032】
リンス処理部50においては、配線基板材料1に水を噴射することにより、当該配線基板材料1のリンス処理が行われる。このリンス処理は、搬送機構66によって配線基板材料1を搬送しながら行うことができる。
リンス処理部50は、配線基板材料1に水を噴射するスプレーノズル56を有する。このスプレーノズル56には、ポンプ57によって、タンク68に貯蔵された水がフィルター58を介して供給される。スプレーノズル56から噴射された水は、タンク68に回収される。これにより、リンス処理に用いられる水を、フィルター58を介して循環して使用することができる。
また、スプレーノズル56から噴射される水の水圧は、例えば0.1〜0.5MPaである。
【0033】
乾燥処理部60においては、配線基板材料1にエアーを噴射することにより、当該配線基板材料1の乾燥処理が行われる。この乾燥処理は、搬送機構66によって配線基板材料1を搬送しながら行うことができる。
乾燥処理部60は、配線基板材料1にエアーを噴射するスリットノズル61を有する。このスリットノズル61には、ブロワー62によって、フィルター63を介してエアーが供給される。スリットノズル61から噴射されたエアーは、排気口65Hを介して、筐体65の外部に排出される。
【0034】
上記のデスミア処理装置においては、紫外線照射処理部30の処理室S2におけるステージ33上に、配線基板材料1が載置される。また、ガス供給口34aから酸素を含む処理用ガスが処理室S2内に供給される。そして、エキシマランプ10によって配線基板材料1にから紫外線を照射することにより、配線基板材料1に対する紫外線照射処理が行われる。
紫外線照射処理部30において、配線基板材料1に照射される紫外線の照度は、例えば10〜1000mW/cm
2 である。また、配線基板材料1に対する紫外線の照射時間は、紫外線の照度やスミアの残留状態などを考慮して適宜設定されるが、例えば30秒間〜180分間である。
【0035】
紫外線照射処理された配線基板材料1は、運搬ロボット25および搬送機構66によって物理的振動処理部40に搬送される。そして、物理的振動処理部40の水槽41内において、配線基板材料1が水中に浸漬される。そして、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、水を超音波振動させることにより、当該配線基板材料1に対する物理的振動処理が行われる。
超音波振動処理における超音波の周波数は、20〜70kHzであることが好ましい。この周波数が70kHzを超える場合には、無機物質に起因するスミア(以下、「無機物スミア」ともいう。)を破壊して配線基板材料から離脱させることが困難となる。
また、超音波振動処理の処理時間は、例えば10〜600秒間である。
【0036】
振動処理された配線基板材料1は、搬送機構66によってリンス処理部50に搬送される。そして、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、リンス処理部50のスプレーノズル56から配線基板材料1に水が噴射されることにより、当該配線基板材料1に対するリンス処理が行われる。
リンス処理された配線基板材料1は、搬送機構66によって乾燥処理部60に搬送される。そして、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、乾燥処理部60のスリットノズル61から配線基板材料1にエアーが噴射されることにより、当該配線基板材料1に対する乾燥処理が行われる。
【0037】
図5は、本発明のデスミア処理装置の第2の例における構成を示す説明図である。このデスミア処理装置は、配線基板材料1に対して、波長220nm以下の紫外線を照射する紫外線照射処理部30を有する。この紫外線照射処理部30の下流側には、当該紫外線照射処理部30によって紫外線照射処理された配線基板材料1に物理的振動を与える物理的振動処理部40が設けられている。この物理的振動処理部40の下流側には、当該物理的振動処理部40によって振動処理された配線基板材料1に水を噴射するリンス処理部50が設けられている。このリンス処理部50の下流側には、当該リンス処理部50によってリンス処理された配線基板材料1を乾燥処理する乾燥処理部60が設けられている。
【0038】
この第2の例のデスミア処理装置においては、紫外線照射処理部30は、その他の処理部から独立した筐体31を有する。
また、物理的振動処理部40、リンス処理部50および乾燥処理部60は、共通の筐体65内に、配線基板材料1の搬送方向に沿って並ぶよう設けられている。物理的振動処理部40、リンス処理部50、乾燥処理部60および筐体65の構成は、第1の例のデスミア処理装置と同様である。
【0039】
紫外線照射処理部30における筐体31内には、波長220nm以下の紫外線を放射する複数のエキシマランプ10が収容されたランプ収容室S1が設けられている。また、筐体31の下面には、例えば合成石英ガラスよりなる紫外線透過窓部材32が設けられている。そして、ランプ収容室S1の下方には、紫外線透過窓部材32を介して、配線基板材料1が搬入される処理室S2が設けられている。この処理室S2は、筐体31の下面および箱型の処理室形成材35によって形成されている。具体的には、処理室形成材35は上面に開口を有し、この開口を塞ぐよう筐体31が配置されている。
処理室形成材35には、処理室S2内に処理用ガスを導入する複数のガス導入口36aおよび処理室S2からガスを排出する複数のガス排出口36bが形成されている。処理室形成材35の内部および筐体65の内部には、配線基板材料1を、紫外線照射処理部30、物理的振動処理部40、リンス処理部50および乾燥処理部60にこの順で搬送する共通の搬送機構66が設けられている。配線基板材料1に対する紫外線照射処理は、当該配線基板材料1を、搬送機構66によって搬送しながら行うことができる。
【0040】
上記のデスミア処理装置においては、配線基板材料1が搬送機構66によって紫外線照射処理部30の処理室S2内に搬送される。また、ガス導入口36aから酸素を含む処理用ガスが処理室S2内に供給される。そして、処理室S2内において、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、エキシマランプ10によって配線基板材料1にから紫外線を照射することにより、配線基板材料1に対する紫外線照射処理が行われる。
紫外線照射処理された配線基板材料1は、運搬ロボット25および搬送機構66によって物理的振動処理部40に搬送される。そして、物理的振動処理部40の水槽41内において、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、当該配線基板材料1に対する物理的振動処理が行われる。
振動処理された配線基板材料1は、搬送機構66によってリンス処理部50に搬送される。そして、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、リンス処理部50のスプレーノズル56から配線基板材料1に水が噴射されることにより、当該配線基板材料1に対するリンス処理が行われる。
リンス処理された配線基板材料1は、搬送機構66によって乾燥処理部60に搬送される。そして、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、乾燥処理部60のスリットノズル61から配線基板材料1にエアーが噴射されることにより、当該配線基板材料1に対する乾燥処理が行われる。
【0041】
図6は、本発明のデスミア処理装置の第3の例における構成を示す説明図である。このデスミア処理装置は、配線基板材料1に対して、波長220nm以下の紫外線を照射する紫外線照射処理部30を有する。この紫外線照射処理部30の下流側には、当該紫外線照射処理部30によって紫外線照射処理された配線基板材料1に物理的振動を与える物理的振動処理部40が設けられている。この物理的振動処理部40の下流側には、当該物理的振動処理部40によって振動処理された配線基板材料1を水中に浸漬する第1リンス処理部50aおよび第2リンス処理部50bが、配線基板材料1の搬送方向に沿ってこの順に設けられている。第2リンス処理部50bの下流側には、当該第2リンス処理部50bによってリンス処理された配線基板材料1を乾燥処理する乾燥処理部60が設けられている。
【0042】
この第3の例のデスミア処理装置においては、紫外線照射処理部30は、第1の例のデスミア処理装置の紫外線照射処理部30と同様の構成である。
また、物理的振動処理部40、第1リンス処理部50a、第2リンス処理部50bおよび乾燥処理部60は、共通の筐体65内に、配線基板材料1の搬送方向に沿って並ぶよう設けられている。筐体65には、乾燥処理部60側の上面に、排気口65Hが設けられている。
紫外線照射処理部30と物理的振動処理部40との間には、紫外線照射処理部30から後述する搬送用かご69内に配線基板材料1を運搬する運搬ロボット25が設けられている。この運搬ロボット25は、配線基板材料1を吸着して保持する吸着アーム26を有する。
【0043】
物理的振動処理部40、第1リンス処理部50a、第2リンス処理部50bおよび乾燥処理部60の各々は、複数の配線基板材料1を搬送用かご69内に収納した状態で、各配線基板材料1に対する処理を行うものである。また、筐体65の内部には、配線基板材料1が収容された搬送用かご69を、物理的振動処理部40、第1リンス処理部50a、第2リンス処理部50bおよび乾燥処理部60にこの順で搬送する搬送用レール66aが設けられている。
【0044】
物理的振動処理部40においては、搬送用かご69内に収納された配線基板材料1に対して、液体例えば水を振動媒体として超音波振動処理を施すことによって、配線基板材料1に対する物理的振動処理が行われる。
物理的振動処理部40は、配線基板材料1が収納された搬送用かご69を収容する水槽41を有する。水槽41内には、2つの振動板42がそれぞれ垂直な姿勢で互いに対向するよう配置されている。水槽41内の水は、ポンプ43によって、フィルター44を介して循環される。
【0045】
第1リンス処理部50aおよび第2リンス処理部50bにおいては、搬送用かご69内に収納された配線基板材料1を水に浸漬することにより、当該配線基板材料1のリンス処理が行われる。
第1リンス処理部50aおよび第2リンス処理部50bの各々は、配線基板材料1が収納された搬送用かご69を収容する水槽51a,51bを有する。水槽51a,51b内の水は、ポンプ57a,57bによって、フィルター58a,58bを介して循環される。
【0046】
乾燥処理部60には、2つのヒータ64が互いに離間して対向するよう配置されている。乾燥処理部60においては、配線基板材料1が収納された搬送用かご69が、2つのヒータ64の間に配置される。そして、搬送用かご69内に収納された配線基板材料1がヒータ64によって加熱されることにより、当該配線基板材料1に対する乾燥処理が行われる。
【0047】
上記のデスミア処理装置においては、紫外線照射処理部30の処理室S2におけるステージ33上に、配線基板材料1が載置される。また、ガス供給口34aから酸素を含む処理用ガスが処理室S2内に供給される。そして、エキシマランプ10によって配線基板材料1にから紫外線を照射することにより、配線基板材料1に対する紫外線照射処理が行われる。
紫外線照射処理された配線基板材料1は、運搬ロボット25によって搬送用かご69内に搬送されて収納される。配線基板材料1が収納された搬送用かご69は、搬送用レール66aに沿って搬送され、物理的振動処理部40の水槽41内に収容される。そして、水槽41内において配線基板材料1に対する物理的振動処理が行われる。
次いで、配線基板材料1が収納された搬送用かご69は、搬送用レール66aに沿って搬送され、第1リンス部50aの水槽51a内の水中に浸漬される。その後、配線基板材料1が収納された搬送用かご69は、搬送用レール66aに沿って搬送され、第2リンス部50bの水槽51b内の水中に浸漬される。このようにして、配線基板材料1に対するリンス処理が行われる。
次いで、配線基板材料1が収納された搬送用かご69は、搬送用レール66aに沿って搬送され、乾燥処理部60における2つのヒータ64の間に配置される。そして、配線基板材料1がヒータ64によって加熱されることにより、当該配線基板材料1に対する乾燥処理が行われる。
【0048】
図7は、本発明のデスミア処理装置の第4の例における構成を示す説明図である。このデスミア処理装置は、配線基板材料1に対して、波長220nm以下の紫外線を照射する紫外線照射処理部30を有する。この紫外線照射処理部30は、第1の例のデスミア処理装置の紫外線照射処理部30と同様の構成である。紫外線照射処理部30の下流側には、当該紫外線照射処理部30によって紫外線照射処理された配線基板材料1に物理的振動を与える物理的振動処理部40が設けられている。紫外線照射処理部30と物理的振動処理部40との間には、紫外線照射処理部30から物理的振動処理部40に配線基板材料1を運搬する運搬ロボット25が設けられている。この運搬ロボット25は、配線基板材料1を吸着して保持する吸着アーム26を有する。
【0049】
この第4の例のデスミア処理装置における物理的振動処理部40は、配線基板材料1に対して空気を振動媒体として超音波振動処理を施すことによって、配線基板材料1に対する物理的振動処理を行うものである。具体的には、圧縮空気を超音波振動させながら配線基板材料1に吹きつけることにより、当該配線基板材料1に対する物理的振動処理が行われる。
この物理的振動処理部40は、筐体45を有する。この筐体45には、当該筐体45内に配置された配線基板材料1に、超音波振動させた圧縮空気を噴射する圧縮空気噴射口46と物理的振動処理によって配線基板材料1から離脱したスミアを吸引するスミア吸引口47とが形成されている。また、筐体45の内部には、配線基板材料1を搬送する搬送機構48が設けられている。超音波振動させた圧縮空気を供給する手段としては、実開平5−80573号公報、特開平7−60211号公報、特開平7−68226号公報等に記載された手段を用いることができる。
【0050】
上記のデスミア処理装置においては、紫外線照射処理部30の処理室S2におけるステージ33上に、配線基板材料1が載置される。また、ガス導入口34aから酸素を含む処理用ガスが処理室S2内に供給される。そして、エキシマランプ10によって配線基板材料1にから紫外線を照射することにより、配線基板材料1に対する紫外線照射処理が行われる。
紫外線照射処理された配線基板材料1は、運搬ロボット25および搬送機構66によって物理的振動処理部40に搬送される。そして、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、配線基板材料1に圧縮空気噴射口46から超音波振動させた圧縮空気を噴射することにより、当該配線基板材料1に対する物理的振動処理が行われる。
圧縮空気の圧力は0.2MPa以上であることが好ましい。また、圧縮空気による超音波振動処理の処理時間は、例えば5〜60秒間である。
【0051】
第1〜第4の例のデスミア処理装置によれば、紫外線照射処理部30において、波長220nm以下の紫外線が酸素を含む雰囲気ガスに照射されることにより、オゾンや活性酸素が生成される。そして、配線基板材料1に残留する有機物スミアは、紫外線のエネルギーおよび紫外線の照射に伴って生ずるオゾンや活性酸素によって分解される。
紫外線照射処理部30においては、無機物スミアは分解されず、配線基板材料1に残留するが、当該無機物スミアは、紫外線が照射されることによって脆いものとなる。このため、物理的振動処理部40において、配線基板材料1に物理的振動を与えることにより、無機物スミアが破壊し、或いは無機物スミアと有機物スミアとのわずかな隙間から剥離して当該配線基板材料1から離脱する。
従って、第1〜第4の例のデスミア処理装置によれば、無機物スミアおよび有機物スミアのいずれであっても確実に配線基板材料1から除去することができる。
また、配線基板材料1に対して紫外線照射処理および物理的振動処理を行えばよいので、廃液処理が必要となる薬品を用いることが不要である。
【0052】
図8は、本発明のデスミア処理装置の第5の例における構成を示す説明図である。このデスミア処理装置は、配線基板材料1における被処理部分を湿潤する湿潤処理部70を有する。この湿潤処理部70の下流側には、湿潤処理された配線基板材料1に対して、波長220nm以下の紫外線を照射する紫外線照射処理部30が設けられている。この紫外線照射処理部30の下流側には、当該紫外線照射処理部30によって紫外線照射処理された配線基板材料1に物理的振動を与える物理的振動処理部40が設けられている。この物理的振動処理部40の下流側には、当該物理的振動処理部40によって振動処理された配線基板材料1に水を噴射するリンス処理部50が設けられている。このリンス処理部50の下流側には、当該リンス処理部50によってリンス処理された配線基板材料1を乾燥処理する乾燥処理部60が設けられている。この第5の例における紫外線照射処理部30から乾燥処理部60までの構成は、第1の例のデスミア処理装置と同様である。また、湿潤処理部70と紫外線照射処理部30との間には、湿潤処理部70から紫外線照射処理部30に配線基板材料1を運搬する運搬ロボット27が設けられている。この運搬ロボット27は、配線基板材料1を吸着して保持する吸着アーム28を有する。
【0053】
湿潤処理部70は、筐体75を有する。筐体75内には、配線基板材料1に対して湿潤処理を行う湿潤処理室S3と、湿潤処理された配線基板材料1から余剰の水分を除去する水分除去処理室S4が形成されている。また、筐体75の内部には、配線基板材料1を湿潤処理室S3から水分除去処理室S4に搬送する搬送機構74が設けられている。
【0054】
湿潤処理部70においては、配線基板材料1を水に浸漬し、この状態で、当該水を超音波振動させることにより、配線基板材料1に対する湿潤処理が行われる。超音波振動させることにより、配線基板材料における貫通孔内に水が短時間で進入するため、浸漬時間を短縮することができる。
湿潤処理部70における湿潤処理室S3内には、水槽71が設けられている。水槽71内には、振動板72が設けられている。また、水槽71には、排水口71Hが設けられている。また、水槽71の下方には、湿潤処理に用いられるタンク73が設けられている。 水槽71には、ポンプ76によって、タンク73内に貯蔵された水が、フィルター77を介して供給される。また、排水口71Hから排出された水は、タンク73に回収される。これにより、水槽71内の水を、フィルター77を介して循環させることができる。
水分除去処理室S4内には、配線基板材料1にエアーを噴射するスリットノズル78が設けられている。このスリットノズル78には、ブロワー79によって、フィルター80を介してエアーが供給される。スリットノズル78から噴射されたエアーは、筐体75に形成された排気口75Hを介して、筐体75の外部に排出される。
【0055】
上記のデスミア処理装置においては、配線基板材料1が搬送機構74によって湿潤処理部70の水槽71に搬送される。そして、水槽71内において、配線基板材料1が搬送機構74によって搬送されながら、当該水を超音波振動させることにより、当該配線基板材料1に対する湿潤処理が行われる。湿潤処理された配線基板材料1は、搬送機構74によって水分除去処理室S4に搬送される。そして、配線基板材料1が搬送機構74によって搬送されながら、スリットノズル78から配線基板材料1にエアーが噴射されることにより、当該配線基板材料1から余剰の水分が除去される。
以上において、配線基板材料1の浸漬時間は、例えば10〜60秒間である。
【0056】
このようにして湿潤処理された配線基板材料1は、運搬ロボット27によって、紫外線照射処理部30の処理室S2におけるステージ33上に載置される。また、ガス導入口34aから酸素を含む処理用ガスが処理室S2内に供給される。そして、エキシマランプ10によって配線基板材料1にから紫外線を照射することにより、配線基板材料1に対する紫外線照射処理が行われる。
紫外線照射処理された配線基板材料1は、運搬ロボット25および搬送機構66によって物理的振動処理部40に搬送される。そして、物理的振動処理部40の水槽41内において、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、当該配線基板材料1に対する物理的振動処理が行われる。
振動処理された配線基板材料1は、搬送機構66によってリンス処理部50に搬送される。そして、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、リンス処理部50のスプレーノズル56から配線基板材料1に水が噴射されることにより、当該配線基板材料1に対するリンス処理が行われる。
リンス処理された配線基板材料1は、搬送機構66によって乾燥処理部60に搬送される。そして、配線基板材料1が搬送機構66によって搬送されながら、乾燥処理部60のスリットノズル61から配線基板材料1にエアーが噴射されることにより、当該配線基板材料1に対する乾燥処理が行われる。
【0057】
第5の例のデスミア処理装置によれば、湿潤処理部70において配線基板材料1が湿潤され、紫外線照射処理部30において、配線基板材料1に波長220nm以下の紫外線が照射されることにより、OHラジカルなどが生成される。そして、有機物スミアは、紫外線のエネルギーおよび紫外線の照射に伴って生ずるOHラジカルなどによって分解される。OHラジカルはオゾンや活性酸素などに比べ、酸化力が高いため、有機物スミアは短時間で分解される。
紫外線照射処理部30においては、無機物スミアは分解されず、配線基板材料1に残留するが、当該無機物スミアは、紫外線が照射されることによって脆いものとなる。このため、物理的振動処理部40において、配線基板材料1に物理的振動を与えることにより、無機物スミアが破壊し、或いは無機物スミアと有機物スミアとのわずかな隙間から剥離して当該配線基板材料1から離脱する。
従って、第5の例のデスミア処理装置によれば、無機物スミアおよび有機物スミアのいずれであっても確実に配線基板材料1から除去することができる。
また、配線基板材料1に対して紫外線照射処理および物理的振動処理を行えばよいので、廃液処理が必要となる薬品を用いることが不要である。
【0058】
本発明のデスミア処理装置においては、上記の実施の形態に限定されず、以下のような種々の変更を加えることができる。
(1)紫外線処理部30において、エキシマランプ10の代わりに、低圧水銀灯(185nm輝線)、希ガス蛍光ランプなどを用いることもできる。
(2)第1の例、第3の例、第4の例および第5の例のデスミア処理装置においては、配線基板材料1の両面に対してデスミア処理を行うことが必要である場合には、紫外線照射処理部30によって配線基板材料1の一面に対して紫外線照射処理を行い、次いで、運搬ロボット25によって配線基板材料1を反転させた後、紫外線照射処理部30によって配線基板材料1の他面に対して紫外線照射処理を行うことができる。
(3)第2の例のデスミア処理装置においては、配線基板材料1の両面に対してデスミア処理を行うことが必要である場合には、紫外線照射処理部30における処理室S2の上方および下方の両方の位置に、エキシマランプ10を配置することにより、配線基板材料1の両面に対して同時に紫外線照射処理を行うことができる。
(4)第1の例、第2の例および第5の例のデスミア処理装置においては、物理的振動処理部40の水槽41内における配線基板材料1の上方および下方の両方の位置に、振動板42を配置することができる。このような構成によれば、超音波の電力密度を上げることができる。そのため、振動板42の長さを小さくすることができ、その結果、デスミア処理装置の全長を小さくすることができる。
【0059】
(5)第5の例のデスミア処理装置においては、配線基板材料1が湿潤処理部70に供される前に、配線基板材料1における被処理部分が湿潤していない状態で、当該被処理部分のぬれ性を改善するぬれ性改善処理部が設けられていてもよい。
ぬれ性改善処理部は、配線基板材料1における被処理部分に対して、当該被処理部分が湿潤していない状態で紫外線を照射する乾式紫外線照射処理部、大気圧プラズマ処理部、減圧プラズマ処理部、コロナ放電処理部などによって構成することができるが、乾式紫外線照射処理部が好ましい。乾式紫外線照射処理部としては、紫外線照射処理部30と同様の構成のものを用いることができる。
乾式紫外線照射処理部において、配線基板材料1に照射される紫外線の照度は、例えば10〜1000mW/cm
2 である。また、配線基板材料1に対する紫外線の照射時間は、紫外線の照度や配線基板材料1の材質などを考慮して適宜設定されるが、例えば10〜60秒間である。
このような構成によれば、乾式紫外線照射処理部によって配線基板材料1における被処理部分のぬれ性が改善されるので、湿潤処理部70において配線基板材料1における被処理部分を確実に湿潤することができる。
【0060】
(6)第5の例のデスミア処理装置においては、配線基板材料1が物理的振動処理部40に供される前に、湿潤処理部70および紫外線照射処理部30に交互に繰り返して供される構成であってもよい。
配線基板材料1が湿潤処理部70および紫外線照射処理部30に供される繰り返し回数は、紫外線照射処理部30における紫外線の照射時間などを考慮して適宜設定されるが、例えば1〜5回である。
このような構成によれは、配線基板材料1における被処理部分が湿潤した状態を確保することができるので、紫外線照射処理部30においては、有機物スミアが高い効率で分解される。その結果、紫外線照射処理部30における紫外線照射時間の合計を短縮することができる。
【0061】
(7)本発明のデスミア処理装置においては、配線基板材料1を紫外線照射処理部30および物理的振動処理部40に交互に繰り返して供する構成であってもよい。
配線基板材料1が紫外線照射処理部30および物理的振動処理部40に供される繰り返し回数は、紫外線照射処理部30における紫外線の照射時間などを考慮して適宜設定されるが、例えば1〜5回である。
【0062】
このような構成のデスミア処理装置においては、以下のようにして、配線基板材料1に対するデスミア処理が行われる。
図9(a)に示すように、デスミア処理前の配線基板材料1においては、配線基板材料1における被処理部分例えば導電層3上にはスミア6が残留している。このスミア6は、樹脂などの有機物スミア7と、この有機物スミア7中に含有された、無機物スミア8とよりなるものである。
このような配線基板材料1の被処理部分に対して、紫外線照射処理部において、酸素を含む雰囲気下において波長220nm以下の紫外線を照射することにより、雰囲気ガス中の酸素が反応してオゾンや活性酸素が生成される。そして、有機物スミア7の一部は、紫外線のエネルギーおよび紫外線の照射に伴って生ずるオゾンや活性酸素によって分解されてガス化される。また、配線基板材料1が、湿潤処理部によって湿潤した状態である場合には、配線基板材料1の被処理部分に対して、波長220nm以下の紫外線を照射することにより、水が反応してOHラジカルなどが生成される。そして、有機物スミア7の一部は、紫外線のエネルギーおよび紫外線が水に照射されることによって生ずるOHラジカルなどによって分解されてガス化される。
【0063】
その結果、
図9(b)に示すように、配線基板材料1から有機物スミア7の一部が除去される。このとき、無機物スミア8の一部は、有機物スミア7の一部が除去されることによって露出される。また、露出した無機物スミア8、例えばシリカやアルミナなどの無機物スミア8は、紫外線が照射されることによって脆いものとなる。これは、無機物スミア8が紫外線を受けることによって収縮することにより、当該無機物スミア8に歪みが生じるためと考えられる。
次いで、配線基板材料1に対して物理的振動処理を施すことにより、露出した無機物スミア8は、振動による機械的作用によって破壊されて当該配線基板材料1から離脱する。 また、無機物スミア8の収縮や、各スミアに紫外線を照射したときに発生する熱膨張の差などによって、有機物スミア7と無機物スミア8との間にわずかな隙間が生じることも考えられ、無機物スミア8は、物理的振動処理を施すことにより当該配線基板材料1から離脱する。
それらの結果、
図9(c)に示すように、配線基板材料1から無機物スミア8の一部が除去される。
【0064】
その後、配線基板材料1の被処理部分に波長220nm以下の紫外線を照射することにより、有機物スミア7の残部の大部分は、紫外線のエネルギーおよび紫外線の照射に伴って生ずるオゾンや活性酸素などによって分解されてガス化される。その結果、
図9(d)に示すように、配線基板材料1から有機物スミア7の残部の大部分が除去される。このとき、無機物スミア8の残部は、有機物スミア7の残部の大部分が除去されることによって露出される。また、露出した無機物スミア8は、紫外線が照射されることによって脆いものとなる。
次いで、配線基板材料1に対して物理的振動処理を施すことにより、露出した無機物スミア8や有機物スミア7の残部は、振動による機械的作用によって破壊されて当該配線基板材料1から離脱する。また、無機物スミア8の収縮や、各スミアに紫外線を照射したときに発生する熱膨張の差などによって、配線基板材料1と無機物スミア8との間にわずかな隙間が生じることも考えられ、物理的振動処理を施すことにより当該配線基板材料1から離脱する。それらの結果、
図9(e)に示すように、配線基板材料1から無機物スミア8の残部および有機物スミア7の残部が除去され、これにより、例えば導電層3の表面が露出した状態となる。
【0065】
このように、配線基板材料1が紫外線照射処理部および物理的振動処理部に交互に繰り返して供されることにより、紫外線照射処理部における紫外線照射時間の合計を、紫外線照射処理部に供される回数が1開の場合の紫外線照射時間よりも短くすることができる。これは、有機物スミア7が紫外線の照射によって分解されず残留しても、当該有機物スミア7は劣化するため、物理的振動処理によって配線基板材料1から離脱して除去されるためと考えられる。
また、配線基板材料1が湿潤した状態である場合には、OHラジカルおよびオゾンや活性酸素による分解が行われる。OHラジカルは、オゾンや活性酸素よりも分解速度が高いため、紫外線照射処理部に繰り返し供されることにより、OHラジカル反応が起こる時間を長く取ることでき、紫外線照射時間の合計を短くすることができる。