(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判断部は、前記特定の機能に関する前記必須能力が複数存在する場合には、当該複数の必須能力のなかから必須能力を1つ判断することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載された画像処理装置。
前記判断部は、前記特定の機能に関する複数の必須能力のいずれもが、当該特定の機能とは異なる他の種類の機能に関する必須機能と重複しない場合には、前記特定の機能に関する複数の必須能力のなかから必須能力を1つ判断することを特徴とする請求項4に記載された画像処理装置。
前記判断部は、前記特定の機能に関する複数の必須能力のうち、当該特定の機能とは異なる他の種類の機能に関する必須能力と重複する必須能力が1つのみ存在する場合には、前記他の種類の機能と重複しない必須能力のなかから必須能力を1つ判断することを特徴とする請求項4に記載された画像処理装置。
前記判断部は、前記特定の機能に関する複数の必須能力のうち、当該特定の機能とは異なる他の種類の機能に関する必須能力と重複する必須能力が複数存在する場合には、前記他の種類の機能と重複する数が最も少ない必須能力を1つ判断することを特徴とする請求項4に記載された画像処理装置。
前記通知部は、前記能力通知を行う場合には、前記プリンターコントローラーが搭載する能力のうち、少なくとも前記判断部が判断した必須能力を除く能力を、対応可能な能力として通知することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載された画像処理装置。
前記通知部は、前記能力通知を行う場合には、少なくとも前記判断部が判断した必須能力を、非対応な能力として通知することを特徴とする請求項1から10のいずかに記載された画像処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の印刷システムでは、様々な機能(AirPrintやGoogleCloud Print等)を備える端末装置について印刷可能な環境となるため、プリンター側では、全ての機能を有効として扱うのではなく、一定の機能(端末装置の機能)については無効として扱いたいという要求も生じる。例えば、ある機能には有効として扱い対応プリンターとして認識させたいが、別の機能については無効として扱い対応プリンターとして認識させたくない、といった如くである。
【0007】
また、この印刷システムでは、端末装置に搭載される各機能は同一の通信プロトコルを使って実現されており、どの機能から能力要求が送信されたかを判断することができないため、単純に各機能について有効・無効を切り替えることができないという問題がある。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、同一の通信プロトコルを使って実現され各機能のなかで特定の機能のみを無効化することができる画像処理装置、画像処理装置の制御方法及びコンピュータープログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するために、第1の発明は、印刷データを送信する機能を具備した端末装置と通信するための通信インターフェース部と、印刷データを処理するための1つ以上の能力を搭載するプリンターコントローラーと、を有する画像処理装置を提供する。このプリンターコントローラーは、端末装置から送信される能力要求を取得する取得部と、能力要求を送信した端末装置に、プリンターコントローラーが対応可能な能力を通知する能力通知を行う通知部と、種類の異なる複数の機能のなかから無効にすることを設定した特定の機能に関して、当該機能が必須で利用する能力である必須能力を判断する判断部と、を有し、通知部は、判断部が判断した必須能力については、プリンターコントローラーが搭載する能力であっても非対応の能力であるとして能力通知を行う。
【0010】
また、第2の発明は、印刷データを送信する機能を具備した端末装置と通信するための通信インターフェース部と、印刷データを処理するための1つ以上の能力を搭載するプリンターコントローラーと、を有する画像処理装置を提供する。このプリンターコントローラーは、端末装置から送信される能力要求を取得する取得部と、能力要求を送信した端末装置に、プリンターコントローラーが対応可能な能力を通知する能力通知を行う通知部と、種類の異なる複数の機能のなかから無効にすることを設定した特定の機能に関して、当該機能が必須で利用する能力である必須能力を判断する判断部と、を有し、通知部は、能力通知において、判断部が判断した必須能力については、プリンターコントローラーが搭載する能力であっても対応可能な能力として通知しない。
【0011】
ここで、第1の発明又は第2の発明は、種類の異なる複数の機能毎に、当該機能と必須能力とを関連付けて記憶する記憶部をさらに有していてもよい。この場合、判断部は、記憶部を参照して必須能力を判断することが好ましい。
【0012】
また、第1の発明又は第2の発明において、判断部は、特定の機能に関する必須能力が複数存在する場合には、当該複数の必須能力のなかから必須能力を1つ判断することが好ましい。
【0013】
この場合、判断部は、特定の機能に関する複数の必須能力のいずれもが、当該特定の機能とは異なる他の種類の機能に関する必須機能と重複しない場合には、特定の機能に関する複数の必須能力のなかから必須能力を1つ判断することが好ましい。
【0014】
また、判断部は、特定の機能に関する複数の必須能力のうち、当該特定の機能とは異なる他の種類の機能に関する必須能力と重複する必須能力が1つのみ存在する場合には、他の種類の機能と重複しない必須能力のなかから必須能力を1つ判断することが望ましい。
【0015】
また、判断部は、特定の機能に関する複数の必須能力のうち、当該特定の機能とは異なる他の種類の機能に関する必須能力と重複する必須能力が複数存在する場合には、他の種類の機能と重複する数が最も少ない必須能力を1つ判断することが望ましい。
【0016】
さらに、第1の発明又は第2の発明において、判断部は、ユーザーにより指定される情報に基づいて特定の機能を設定することが好ましい。あるいは、第1の発明において、判断部は、特定の機能を自動的に設定することが好ましい。
【0017】
また、第1の発明又は第2の発明において、能力は、ファイルフォーマットであることが好ましい。
【0018】
また、第1の発明又は第2の発明において、通知部は、能力通知を行う場合には、プリンターコントローラーが搭載する能力のうち、少なくとも判断部が判断した必須能力を除く能力を、対応可能な能力として通知することが好ましい。
【0019】
さらに、第1の発明又は第2の発明において、通知部は、能力通知を行う場合には、少なくとも判断部が判断した必須能力を、非対応な能力として通知することが好ましい。
【0020】
また、第3の発明は、印刷データを処理するための1つ以上の能力を搭載する画像処理装置の制御方法を提供する。この制御方法は、印刷データを送信する機能を備えた端末装置から送信される能力要求を取得する第1のステップと、種類の異なる複数の機能のなかから無効にすることを設定した特定の機能に関して、当該機能が必須で利用する能力である必須能力を判断する第2のステップと、能力要求を送信した端末装置に、画像処理装置が対応可能な能力を通知する能力通知を行う第3のステップと、を有している。この場合、第3のステップは、第2のステップで判断した必須能力については画像処理装置が搭載する能力であっても非対応の能力であるとして能力通知を行うことを特徴とする。
【0021】
さらに、第4の発明は、コンピューターを、印刷データを処理するための1つ以上の能力を搭載する画像処理装置として動作させるためのコンピュータープログラムを提供する。このコンピュータープログラムは、印刷データを送信する機能を備えた端末装置から送信される能力要求を取得する第1のステップと、種類の異なる複数の機能のなかから無効にすることを設定した特定の機能に関して、当該機能が必須で利用する能力である必須能力を判断する第2のステップと、能力要求を送信した端末装置に能力通知を行う第3のステップと、をコンピューターに実行させるものである。この場合、第3のステップは、第2のステップで判断した必須能力については画像処理装置が搭載する能力であっても非対応の能力であるとして能力通知を行う。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、無効にすることを設定した特定の機能に関する必須能力については、プリンターコントローラーが搭載する能力であっても、対応可能な能力として通知しない。つまり、非対応の能力であるとして能力通知が行われる。このため、無効にすることを設定された特定の機能では、対応する能力がないものとして認識されることとなる。これにより、同一の通信プロトコルを使って実現され各機能のなかで特定の機能のみを無効化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本実施形態に係る印刷システムの全体構成を模式的に示す説明図である。印刷システムは、画像形成装置としてのMFPと端末装置とで構成されており、MFP及び端末装置はそれぞれ1つ以上設けられている。本実施形態では、3つのMFP100,101,102と、2つの端末装置200,201で構成されている。3つのMFP100,101,102と、2つの端末装置200,201とは、同一のネットワーク10にそれぞれ接続されており、互いに通信可能に構成されている。
【0025】
ネットワーク10は、例えば、構内情報通信網(LAN)である。各MFP100,101,102は、いわゆる有線LANでネットワーク10に接続されている。一方、各端末装置200,201は、いわゆる無線LANでネットワーク10に接続されている。ネットワーク10には、無線LANアクセスポイントである中継装置300が接続されている端末装置200,201は、中継装置300に無線接続することで、中継装置300を介して、ネットワーク10に接続されている。
【0026】
個々のMFP100,101,102は、原稿を読み取る原稿読取機能、画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成機能等を備えている。ここで、MFP100,101,102は、構成が同じであるため、以下の説明では特に言及しない限りMFP100を例に説明を行う。
【0027】
図2は、MFP100の構成を示すブロック図である。MFP100は、メイン回路110と、自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130と、画像形成部140と、給紙部150と、操作パネル160とを有している。自動原稿搬送装置120は、原稿を原稿読取部130に搬送する。原稿読取部130は、搬送された原稿を読み取り、画像データを出力する。画像形成部140は、画像データに基づいて用紙に画像を形成する。給紙部150は、画像形成部140に用紙を供給する。
【0028】
操作パネル160は、MFP100の上面に設けられ、表示部161と操作部163とで構成されている。表示部161は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD(Electro−LuminescenceDisplay)等の表示装置であり、ユーザーに対する指示メニューや画像データに関する情報等を表示する。操作部163は、複数のキーを備え、ユーザーの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける。また、操作部163は、表示部161上に設けられたタッチパネルをさらに含む。
【0029】
メイン回路110は、CPU111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM113と、RAM114と、ハードディスクドライブ(HDD)115と、外部記憶装置117と、を有している。
【0030】
CPU111は、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150及び操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0031】
通信I/F部112は、MFP100をネットワーク10に接続するためのインターフェースである。CPU111は、通信I/F部112を介して、MFP101,102又は端末装置200,201との間で通信を行うことができる。データの送受信に用いられるプロトコルは、任意のプロトコルを用いることが可能であり、例えばBonjour等が用いられる。また、通信I/F部112は、ネットワーク10を介してインターネットに接続されたコンピュータ(図示せず)と通信を行うことができる。
【0032】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、又はそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域である。また、RAM114は、原稿読取部130から出力される画像データを一時的に記憶する。
【0033】
外部記憶装置117には、CD−ROM118が装着される。CPU111は、外部記憶装置117を介してCD−ROM118にアクセスすることができる。CPU111は、CD−ROM118に記録されたプログラムをRAM114にロードして実行する。
【0034】
なお、CPU111が実行するプログラムを記憶する媒体としては、CD−ROM118に限られず、光ディスク(MO(MagneticOptical Disc/MD(MiniDisc)/DVD(Digital VersatileDisc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(ElectricallyEPROM)などの半導体メモリであってもよい。
【0035】
また、CPU111が実行するプログラムは、CD−ROM118に記録されたプログラムに限られず、大容量記憶装置としてのHDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードして実行するようにしてもよい。この場合、ネットワーク10に接続された他のコンピューターが、MFP100のHDD115に記憶されたプログラムを書換える、又は、新たなプログラムを追加して書き込むようにしてもよい。さらに、MFP100が、ネットワーク10に接続された他のコンピューターからプログラムをダウンロードして、そのプログラムをHDD115に記憶するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0036】
ここで、本実施形態との関係において、CPU111は、これを機能的に捉えた場合、プリンターコントローラー111Aと、エンジン制御部111Bとで構成されている。
【0037】
プリンターコントローラー111Aは、端末装置200,201から送信された印刷データを画像データ(ラスターデータ)に変換し、画像データをエンジン制御部111Bに出力する。プリンターコントローラー111Aは、印刷データを処理するための1つ以上の能力を搭載している。ここで、能力とは、PDF、PWG−Raster、TIFF、URFといったファイルフォーマットに該当し、個々の端末装置200,201は、所定の能力に準拠した印刷データを送信する機能(AirPrintやGoogleCloud Print等)を具備している。
【0038】
プリンターコントローラー111Aは、これを機能的に捉えた場合、取得部111aと、判断部111bと、通知部111cとを備えている。
【0039】
取得部111aは、端末装置200,201から送信される能力要求を取得する。判断部111bは、後述するように無効化設定されている機能に関して当該機能が必須で利用する能力(必須能力)を判断する。通知部111cは、能力要求を送信した端末装置200,201に、プリンターコントローラー111Aが対応可能な能力を通知する能力通知を行う。
【0040】
通知部111cは、基本的には、プリンターコントローラー111Aが搭載する全ての能力を対応可能な能力であるとして能力通知を行う。ただし、本実施形態においては、通知部111cは、判断部111bが判断した必須能力については、プリンターコントローラー111Aが搭載する能力であっても対応可能な能力として通知しない。つまり、非対応の能力であるとして能力通知を行うこととしている。
【0041】
エンジン制御部111Bは、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150及び操作パネル160をそれぞれ制御し、画像データに基づいて画像形成を行う。
【0042】
図3乃至
図5は、MFP100が保有する参照テーブル116の一例を示す説明図である。本実施形態において、MFP100のHDD115には、参照テーブル116が格納されている。この参照テーブル116は、CPU111により参照される。参照テーブル116は、複数の機能毎に、当該機能と、必須能力とを関連付けて記憶したテーブルである。
図3乃至
図5には、3つのパターンの参照テーブル116a,116b,116cがそれぞれ例示されている。
【0043】
図3乃至
図5に示す各参照テーブル116a,116b,116cにおいて、「○」は必須能力を示し、「△」は必須能力以外の任意の能力(任意能力)を示している。例えば、
図6の参照テーブル116aに示す例では、機能αは、PDF、PWG−Rasterを必須能力とし、TIFF、URFを任意能力としている。すなわち、機能αについては、その必須能力であるPDF、PWG−Rasterを搭載するMFPのみが対応プリンターとなる。
【0044】
再び
図1を参照するに、個々の端末装置200,201は、例えば携帯電話やスマートフォンであり、携帯電話用基地局(図示せず)と無線で通信することにより携帯電話網に接続し、通話することができる。また、端末装置200は、無線LAN機能を備えている。なお、端末装置200は、必ずしも通話機能を備える必要はなく、ネットワーク10に接続する機能を備えていればよく、PDA(PersonalDigital Assistants)等であってもよい。ここで、端末装置200,201は構成が同じであるため、以下の説明では特に言及しない限り端末装置200を例に説明を行う。
【0045】
図6は、端末装置200の構成を示すブロック図である。端末装置200は、CPU210と、カメラ220と、フラッシュメモリ230と、無線通信部240と、表示部260と、操作部270と、無線LANI/F部280とを有している。
【0046】
CPU210は、端末装置200の全体を制御する。
【0047】
カメラ220は、レンズ及び光電変換素子を備え、レンズで集光した光を光電変換素子に結像し、光電変換素子は受光した光を光電変換して画像データをCPU210に出力する。光電変換素子は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ、CCD(ChargeCoupled Device)センサ等である。
【0048】
フラッシュメモリ230は、データを不揮発的に記憶する。フラッシュメモリ230は、CPU210が実行するプログラム、又はそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。CPU210は、フラッシュメモリ230に記録されたプログラムを、CPU210が備えるRAMにロードして実行する。
【0049】
なお、CPU210が実行するプログラムとして、フラッシュメモリ230に記録されたプログラムは、ネットワーク10に接続された他のコンピューターが、フラッシュメモリ230に記憶されたプログラムを書換えたプログラム、又は、追加して書き込んだ新たなプログラムであってもよい。さらに、端末装置200が、ネットワーク10に接続された他のコンピューターからダウンロードしたプログラムでもよい。ここでいうプログラムは、CPU210が直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0050】
また、CPU210が実行するプログラムを記憶する媒体としては、フラッシュメモリ230に限られず、光ディスク(MO(MagneticOptical Disc/MD(MiniDisc)/DVD(Digital VersatileDisc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(ElectricallyEPROM)などの半導体メモリであってもよい。
【0051】
無線通信部240は、電話通信網に接続された携帯電話用基地局と無線通信する。無線通信部240は、端末装置200を電話通信網に接続し、通話部250を用いた通話を可能とする。無線通信部240は、携帯電話用基地局から受信した無線信号を復調した音声信号を復号して通話部250に出力する。また、無線通信部240は、通話部250から入力される音声を符号化し、携帯電話用基地局に送信する。通話部250は、図示しないマイク及びスピーカを備え、無線通信部240から入力される音声をスピーカから出力し、マイクから入力される音声を無線通信部240に出力する。さらに、無線通信部240は、CPU210により制御され、端末装置200を電子メールサーバに接続し、電子メールを送受信することができる。
【0052】
表示部260は、液晶表示装置(LCD)、有機ELD等の情報を表示する表示装置であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。
【0053】
操作部270は、ユーザーの操作の入力を受け付けるものである。操作部270は、表示部260上に設けられたタッチパネル、或いは、複数のキーを備え、ユーザーの操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付ける。
【0054】
無線LANI/F部280は、中継装置300と通信し、端末装置200をネットワーク10に接続するためのインターフェースである。端末装置200は、MFP100,101,102と通信することができる。
【0055】
なお、本実施形態では、端末装置200が無線LANI/F部280を用いて、MFP100,101,102と通信する場合を例に説明するが、他の通信方法を用いて通信するようにしてもよい。具体的には、端末装置200、MFP100,101,102が、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離無線装置を搭載する場合には、端末装置200が、MFP100,101,102のいずれかと、1対1で通信するようにしてもよい。また、端末装置200を、MFP100,101,102のいずれかと、例えばUSB(UniversalSerial Bus)ケーブル等の有線で接続するようにし、端末装置200が、MFP100,101,102のいずれかと、1対1で通信するようにしてもよい。
【0056】
ここで、本実施形態との関係において、個々の端末装置200は、所定の能力に準拠した印刷データを送信する機能(AirPrintやGoogleCloud Print等)を具備している。端末装置200が具備する機能には、その機能が必須で利用する能力(必須能力)と、これ以外の能力(任意能力)とが設定されている。これにより、ある機能に対しては、その機能が必須能力とする能力を搭載するMFP100,101,102のみが対応プリンターとなる。
【0057】
端末装置200,201が備える各機能は、同一の通信プロトコルにより実現されている。また、データの送受信に用いられるプロトコルは、任意のプロトコルを用いることが可能であり、例えばBonjour等が用いられる。
【0058】
図7は、印刷システムにおける動作を説明するための概念図である。以下、本実施形態に係る印刷システムにおいて、MFP100,101,102及び端末装置200,201の各動作について説明する。
【0059】
ここで、MFP100は、例えばPDF、TIFF、PWG−Rasterからなる3つの能力(ファイルフォーマット)を搭載しており、MFP101は、例えばPDF、URF、PWG−Rasterからなる3つの能力を搭載している。また、MFP102は、例えばPDF、JPEG、URF、PWG−Rasterからなる4つの能力を搭載している。
【0060】
また、端末装置200と端末装置201は、種類の異なる機能α,βをそれぞれ備えている。端末装置200が備える機能αは、例えばPDF、PWG−Rasterを必須能力とし、これらの必須能力の全てを搭載するMFPを対応プリンターとする。
図7に示す例では、MFP100の能力は、PDF、PWG−Rasterの両方を含むものであるため、MFP100は対応プリンターとなり得る。同様に、MFP101,102も対応プリンターとなり得る。一方、端末装置201が備える機能βは、例えばURF、TIFFを必須能力とし、これらの必須能力の全てを搭載するMFPを対応プリンターとする。
図7に示す例では、MFP100の能力は、URF、TIFFの両方を含むものではないため、MFP100は対応プリンターとなり得ない。同様に、MFP101,102も対応プリンターとなり得ない。なお、
図7に示す各機能α,βの必須能力は、説明上の例示として、
図3と対応させたものであるが、各機能α,βの必須能力は、
図4又は
図5に示すものであっても、これ以外のものであってもよい。
【0061】
なお、MFP側の動作説明では、特に言及しない限りMFP100を例に説明を行うこととする。MFP100の動作は、ROM113に記憶されたプログラムをCPU111が実行することにより実現される。一方、端末装置側の動作説明では、特に言及しない限り端末装置200を例に説明を行うこととする。端末装置200の動作は、フラッシュメモリ230に記憶されたプログラムをCPU210が実行することにより実現される。
【0062】
まず、端末装置200のユーザーが所定の文書、画像等の印刷を前提に、プリンターの検索操作を行うと、この操作信号がCPU210に入力される。CPU210は、ネットワーク10上にある対応プリンターを検索する。具体的には、CPU210は、無線LANI/F部280を介して、能力要求を送信する。能力要求は、中継装置300を経由してMFP100,101,102に対してマルチキャスト送信される。
【0063】
MFP100のCPU111は、通信I/F部112を介して能力要求を受信すると、無効化設定されている機能に関して判断処理を行う。ここで、無効化設定されている機能とは、MFP100が対応プリンターとなることを避けるべく、種類の異なる複数の機能のなかから無効にすることを設定した特定の機能をいう。
【0064】
無効化設定は、例えば、MFP100のユーザー(管理者)が操作パネル160を操作し、特定の機能を指定することで行うことができる。ただし、無効化設定は、CPU111が自動的に行ってもよい。例えばセキュリティ上の脆弱性の観点から、CPU111がインターネット上の所定のサーバーに蓄積された情報に基づいて、特定の機能を無効に設定するといった如くである。また、MFP100は、すべての機能を有効とし、無効にする特定の機能がないものであってもよい。なお、本実施形態では、MFP100において無効化設定されている機能を「機能α」として説明を行う。
【0065】
図8は、判断処理の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS10において、CPU111は、能力要求があったか否かを判断する。CPU111が能力要求を取得した場合には、ステップS10において肯定判定されるので、ステップS11に進む。一方、CPU111が能力要求を取得していない場合には、ステップS10において否定判定されるので、再度ステップS10に戻る。
【0066】
ステップS11において、CPU111は、無効化設定されている機能があるか否かを判断する。無効化設定されている機能がある場合には、ステップS11において肯定判定されるので、後述するステップS13に進む。一方、無効化設定されている機能がない場合には、ステップS11において否定判定されるので、ステップS12に進む。
【0067】
ステップS12において、CPU111は、端末装置200に対して、MFP100が搭載する能力(例えばPDF、TIFF、PWG−Raster)が対応可能であるとして能力通知を行う。能力通知が行われると、本ルーチンは終了する(END)。
【0068】
ステップS13において、CPU111は、参照テーブル116に基づいて、無効化設定されている機能αについて必須能力が複数あるか否かを判断する。例えば、
図3乃至
図5に示す参照テーブル116では、機能αはPDF、PWG−Rasterの2つを必須能力としている。この場合、ステップS13において肯定判定されるので、後述するステップS15に進む。一方、機能αの必須能力が1つだけの場合には、ステップS13において否定判定されるので、ステップS14に進む。
【0069】
ステップS14において、CPU111は、機能αの必須能力については対応可能な能力として通知しない。つまり、非対応な能力であるものとして能力通知を行う。具体的には、CPU111は、MFP100が搭載する能力のうち、非対応となる能力(機能αの必須能力)を除く能力を通知することで、能力通知を行う。能力通知が行われると、本ルーチンは終了する(END)。
【0070】
ステップS15において、CPU111は、参照テーブル116に基づいて、無効化設定されている機能αの必須能力のうち、他の機能β、γでも必須能力とされている能力があるか否かを判断する。例えば
図3に示す参照テーブル116aでは、機能βの必須機能はTIFF,URFであり、機能γの必須機能はURFであるところ、機能αの必須能力であるPDF、PWG−Rasterは、他の機能β、γについては必須機能とされていない。この場合、ステップS15において否定判定されるので、ステップS16に進む。
【0071】
ステップS16において、CPU111は、無効化設定されている機能αの複数の必須能力のなかから必須能力を1つ判断する。例えば、
図3に示す例では、機能αはPDF、PWG−Rasterの2つを必須能力とするところ、CPU111は、PDF又はPWG−Rasterを1つ判断する。そして、CPU111は、判断した1つの必須能力については対応可能な能力として通知しない。つまり、非対応の能力であるものとして能力通知を行う。具体的には、CPU111は、MFP100が搭載する能力のうち、判断した1つの必須能力を除く能力を通知することで、能力通知を行う。能力通知が行われると、本ルーチンは終了する(END)。
【0072】
一方、例えば
図4に示す参照テーブル116bでは、機能αの必須能力の1つであるPDFは、機能βの必須能力の1つとされている。また、例えば
図5に示す参照テーブル116cでは、機能αの必須能力であるPDFは、機能γの必須能力とされている。この場合には、ステップS15において否定判定されるので、ステップS17に進む。
【0073】
ステップS17において、CPU111は、参照テーブル116に基づいて、無効化設定されている機能αの必須能力のうち、別の必須能力であるPWG−Rasterについても他の機能β、γと重複するか否かを判断する。例えば
図4に示す参照テーブル116bでは、機能βの必須機能はPDF,PWG−Rasterであり、機能αの別の必須能力であるPWG−Rasterについても機能αと機能βとは重複している。この場合、ステップS17において肯定判定されるので、ステップS18に進む。一方、例えば
図5に示す参照テーブル116cでは、機能γの必須機能はPDFのみであり、機能αの別の必須能力であるPWG−Rasterとは重複していない。この場合には、ステップS17において否定判定されるので、ステップS19に進む。
【0074】
ステップS18において、CPU111は、他の機能β,γと重複する数が最も少ない必須能力を1つ判断する。例えば
図4に示す参照テーブル116bでは、機能αの必須機能の1つであるPDFは、機能β,γの必須機能とそれぞれ重複している。一方、機能αの他の必須機能であるPWG−Rasterは、機能βの必須機能とのみ重複している。この場合、2つの機能β,γと重複せずに、機能γとのみ重複する必須能力であるPWG−Rasterが1つ判断される。そして、CPU111は、判断した1つの必須能力については対応可能な能力として通知しない。つまり、非対応の能力であるものとして能力通知を行う。具体的には、CPU111は、MFP100が搭載する能力のうち、判断した1つの必須能力を除く能力を通知することで、能力通知を行う。能力通知が行われると、本ルーチンは終了する(END)。
【0075】
ステップS19において、CPU111は、他の機能β,γと重複しない必須能力を1つ判断する。例えば
図5に示す参照テーブル116cでは、機能αの必須能力のうち、機能γと重複しない必須能力であるPWG−Rasterを1つ判断する。そして、CPU111は、判断した1つの必須能力については対応可能な能力として通知しない。つまり、非対応の能力であるものとして能力通知を行う。具体的には、CPU111は、MFP100が搭載する能力のうち、判断した1つの必須能力を除く能力を通知することで、能力通知を行う。能力通知が行われると、本ルーチンは終了する(END)。
【0076】
再び
図7を参照するに、端末装置200のCPU210は、無線LANI/F部280を介して能力通知を受信すると、自己の必須能力と、各MFP100,101,102からの能力通知とを比較する。そして、CPU210は、能力通知がなされたMFP100,101,102のなかから、自身の機能αに係る必須能力の全てを含む能力について能力通知を行ったMFPを対応プリンターと判断する。そして、CPU210は、
図9に示すように、対応プリンターに該当するMFPを検索結果として表示する。
【0077】
このように本実施形態において、画像形成装置たるMFP100は、印刷データを送信する機能を具備した端末装置200,201と通信するための通信I/F部112と、印刷データを処理するための1つ以上の能力を搭載するプリンターコントローラー111A(CPU111)と、を有している。ここで、プリンターコントローラー111Aは、端末装置200,201から送信される能力要求を取得する取得部111aと、能力要求を送信した端末装置200,201に能力通知を行う通知部111cと、種類の異なる複数の機能のなかから無効にすることを設定した特定の機能に関して必須能力を判断する判断部111bと、を有している。この場合、通知部111cは、判断部111bが判断した必須能力については、プリンターコントローラー111Aが搭載する能力であっても非対応の能力であるとして能力通知を行うこととしている。
【0078】
かかる構成によれば、無効化設定されている機能に関する必須能力については、プリンターコントローラー111Aが搭載する能力であっても非対応の能力であるとして能力通知が行われる。そのため、無効化設定されている機能では、その必須能力を備えるMFP100,101,102から能力通知がなされたとしても、対応プリンターとして認識されなくなる。これにより、同一の通信プロトコルを使って実現される各機能のうち特定の機能のみを無効化することができる。
【0079】
また、本実施形態において、MFP100は、種類の異なる複数の機能毎に、当該機能と必須能力とを関連付けて記憶するHDD115(記憶部)をさらに有している。そして、判断部111bは、HDD115を参照して必須能力を判断している。
【0080】
かかる構成によれば、MFP100自身が、機能と必須能力との関係を保持しているので、無効化設定されている機能についての必須能力を適切に判断することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、参照テーブル116をHDD115に格納しているが、必ずしもMFP100がこれを保持する必要はなく、外部装置が保有する情報を参照して、必須能力を判断してもよい。
【0082】
また、本実施形態において、判断部111bは、無効化設定されている機能αに関する必須能力が複数存在する場合には、当該複数の必須能力のなかから必須能力を1つ判断することとしている。
【0083】
特に、無効化設定されている機能αに関する複数の必須能力のいずれもが、他の種類の機能β,γに関する必須機能と重複しない場合には、機能αに関する複数の必須能力のなかから必須能力を1つ判断することとしている。
【0084】
この構成によれば、いずれの必須能力を判断しても、他の種類の機能β,γを無効することがないため、必須機能を任意に選択することができる。
【0085】
また、無効化設定されている機能αに関する複数の必須能力のうち、他の種類の機能β,γに関する必須能力と重複する必須能力が1つのみ存在する場合には、他の種類の機能β,γと重複しない必須能力のなかから必須能力を1つ判断している。
【0086】
この構成によれば、機能同士で必須能力が重複する場合であっても、重複する必須能力が1つのみであるため、これ以外の必須能力を選択することができる。これにより、他の種類の機能β,γを無効とすることなく、機能αのみを無効とすることができる。
【0087】
また、無効化設定されている機能αに関する複数の必須能力のうち、他の種類の機能β,γに関する必須能力と重複する必須能力が複数存在する場合には、他の種類の機能β,γと重複する数が最も少ない必須能力を1つ判断している。
【0088】
異なる機能において必須能力が重複する場合には、一の機能のみを無効としたい場合であっても、それ以外の機能も道連れ的に無効とされてしまう。そのため、異なる機能において必須能力が重複する場合には、道連れ的に無効となる機能が最小となるように、重複する機能の数が最も少ない必須能力を選択することとしている。
【0089】
また、本実施形態において、判断部111bは、ユーザーにより指定される情報に基づいて無効化する機能を設定している。
【0090】
この構成によれば、ユーザーの操作に応じて無効化する機能を設定することができる。なお、上述したように、判断部111bは、特定の機能を自動的に設定することも可能である。
【0091】
また、本実施形態では、通知部111cは、判断部111bが判断した必須能力については、プリンターコントローラー111Aが搭載する能力であっても対応可能な能力として通知しないこととしている。つまり、通知部111cは、判断部111bが判断した必須能力については、プリンターコントローラー111Aが搭載する能力であっても非対応の能力であるとして能力通知を行っている。
【0092】
本実施形態では、このような通知を実現する方法として、対応可能な能力を通知することとしている。すなわち、通知部111cは、プリンターコントローラー111Aが搭載する能力のうち判断部111bが判断した必須能力を除く能力を、対応可能な能力として通知している。この構成によれば、端末装置200,201は、能力通知から、MFP100が対応可能な能力を容易に認識することができる。これにより、端末装置200,201が、対応プリンターとなるMFPを容易に検索することができる。
【0093】
また、通知を実現する方法としては、対応する能力を通知することに限らず、非対応となる能力を通知することでもよい。すなわち、通知部111cは、判断部111bが判断した必須能力を、非対応な能力として通知してもよい。これにより、端末装置200,201は、能力通知から、非対応となる能力と相反する関係にある対応可能な能力を間接的に認識することができる。
【0094】
さらに、通知部111cの機能は、少なくとも判断部111bが判断した必須能力、すなわち、少なくとも無効にしたい機能に対応する必須能力(当該機能に対応する必須能力が複数ある場合にはそのうち1つの必須能力)について、対応可能な能力として通知しなければよい。したがって、プリンターコントローラー111Aが搭載する能力のうち判断部111bが判断した必須能力以外の全ての能力を通知する必要はないのである。例えば、判断部111bが判断した必須能力以外の能力のうち少なくとも1つ(例えば、任意機能のうちの1つ)について通知しないことが可能である。
【0095】
以上、本発明の実施形態にかかる印刷システム及びこれに適用される画像形成装置について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0096】
例えば、本実施形態では、印刷データを処理して画像データを生成する画像処理装置と、この画像データに応じて画像を形成するプリントエンジンとを一体に備える画像形成装置について説明を行った。しかしながら、画像処理装置と、プリントエンジンとをそれぞれ独立のユニットで構成してもよく、この場合、画像処理装置が搭載する制御系が上述のプリンターコントローラーとして実現されてもよい。すなわち、画像形成装置そのものだけでなく、プリントエンジンと独立して構成される画像処理装置においても本発明の一部として機能する。また、この画像処理装置の制御方法や、コンピューターに上述の処理を実行させるコンピュータープログラム、及びこのコンピュータープログラムを記憶してコンピューター読取可能な情報記憶媒体も本発明の一部として機能する。