(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明による伝言メール送信機能を有する電話装置1(以下、本装置と略す)のブロック構成図の例である。
本装置1は、電話網4とIP(Internet Protocol)網5と接続され、電話網4またはIP網5と携帯電話網3を介して携帯電話機2と繋がる。特定サイト6は例えば自宅または会社のホームページの特定のページであり、本装置1に電話を掛けてきた相手等へ伝えるべき情報が掲載されている。
以下、携帯電話機2へURLまたは電子メールアドレスまたは電話番号を含む電子メール(以下、伝言メールと称すこともある)を送信する場合を例に説明する。なお、携帯電話機2は、携帯電話網3とIP網5を介して、電子メール通信が可能であると共に、特定サイト6へもアクセス可能とする。
【0009】
本装置1において、10は電話発着信やメール送受信に係る端末制御部、11は通知すべき電子メールアドレス,特定サイトのURL,電話番号等の通知データを登録する通知データ登録部111と、定型的な伝言文を登録する伝言文登録部112を含む伝言情報登録部、12は通知先の電子メールアドレスと電話番号が対応付けて登録されている通知先登録部、13は伝言情報を生成する伝言情報生成部、14は伝言メールの送信または一般的な電子メールを送受信する電子メール送受信部、15は電話番号抽出部151を含む電話回線対応部、16は音声を録音する録音部、17は音声メッセージ)送出部、18は送受話に係る通話部181,表示部182,操作部183を含む電話機部である。
【0010】
本装置1は、電話網4に繋がる固定電話機として図示しているが、携帯電話網3に繋がる携帯電話機であってもよい。その場合は電話回線対応部15を携帯電話網に繋がるための無線通信部に変更すればよい(詳細な説明は省略する)。
また、本装置1は、電話網4の複数の電話回線を収容するボタン電話主装置や構内交換機(PBX)またはSIP(Session Initiation Protocol)等の呼制御サーバやゲートウェイであってもよい。その場合は電話機部18を複数の内線電話機として分離すればよい。
また、電話網4とIP網5との接続を別回線として図示しているが、例えば、電話音声をIPパケット化して(VoIP)、光ファイバやXDSL等の広帯域なIP回線で統合してもよい。
【0011】
図2は、伝言情報登録部11に登録される内容の例であって、1120は伝言文のインデックス、1121は具体的な伝言文、1122は通知先の属性であり、これらは伝言文登録部112に登録されている。
1110は各伝言文の<>の部分に挿入される通知データの例であり、通知データの実体(URL,電子メールアドレス,電話番号)は通知データ登録部111に登録されている。
【0012】
通知先登録部12は電話発信用の電話帳と兼用可能であり、電子メールアドレスの他に、電話番号をアドレスとする簡易なメールであるSMS(Short Message Service)メールの通信の可否も登録されている(図示せず)。
さらに、この通知先登録部12には、前述の通知先の属性1122に対応する情報も登録されている(図示せず)。
【0013】
伝言情報登録部11や通知先登録部12へのデータ登録は、操作部183のテンキーやファンクションキーを操作してデータ入力してもよいし、パソコン等の外部入力機器から入力してもよいし、特定の電子メール受信によるリモート登録であってもよい(図示せず)。
【0014】
図3は本装置1の伝言メール送信に関わる動作フローチャートである。以下、
図1,
図2を併用しながら、本装置1の動作フローを説明する。
【0015】
本フローは、伝言情報登録部11と通知先登録部12に所定のデータが登録されている状態でスタートする(S301)。なお、一般的な電話機能に係る動作フローは省略している。
本装置の使用者が操作部183を操作して、伝言情報の送信を指示する特定操作が為されると(S302,YES)、当該特定操作に含まれる伝言文を指定する情報を抽出して、通知すべき伝言文を特定する(S315)。特定される伝言文は、例えば
図2の伝言文1121のいずれかである。そして、特定された伝言文に対応する通知先属性1122を検索し、当該属性に対応する具体的な通知先を通知先登録部12から検索し(S316)、S330に進む。S330以降については後述する。
【0016】
伝言情報の送信を指示する特定操作が為されず(S302,NO)、本装置1が留守番モードにセットされている状態で(S303,YES)、電話回線対応部15が電話網4からの電話着信を検出すると(S304,YES)、電話番号抽出部151は当該着信の発信元電話番号を抽出し(S305)、抽出した発信元電話番号と一致する電話番号の通知先への伝言情報の有無をチェックする(S306)。
具体的には、抽出した発信元電話番号を検索キーとして通知先登録部12に登録されている通知先を検索し、検索した通知先の属性を抽出し、その属性に対応した伝言文が伝言文登録部112の1122のフィールドに登録されているか否かをチェックする。例えば、通知先登録部12を参照した結果、社員からの電話着信であることが判明した場合、
図2の社員宛であるインデックスAの伝言文が検索される。
【0017】
もし、相手側が発信元電話番号の通知を拒否していた場合は、相手を特定できないので伝言情報無し(S306,NO)として扱う。
【0018】
発信元電話番号に対応する伝言文が伝言文登録部112に登録されていれば(S306,YES)、音声メッセージ送出部17から音声メッセージ1を送出する(S310)。音声メッセージ1は、例えば、「ただ今、留守にしております。伝言メールを受信したい方は、暗証番号を入力して下さい。用件を録音したい方は○○を押して下さい」のような音声メッセージであり、○○の部分は特定のDTMF(Dial Tone Multi Frequency)信号に対応する数字キーである。
ただし、暗証番号を知っている特定少数のみを通知対象にする場合は、「ただ今、留守にしております。」のような単純なメッセージとして、伝言メールの送信が可能なことを開示せずに、暗証番号を知っている特定の者が、前記メッセージが流れている間に暗証番号を送出するようにしてもよい。
【0019】
S310で暗証番号を相手に求めるのは、当該発信元電話番号が登録された電話番号であっても、実際に電話を掛けてきた相手が伝言情報を送信してよい相手とは限らないためである。もし、伝言情報を送信すべき相手を特定する必要が無く、不特定多数に広く伝言情報の送信を許容したい場合は、音声メッセージ1で暗証番号の入力を求めず、S311とS312では全てYESと判定するようにすればよい。
【0020】
発信元電話番号に対応する伝言情報が伝言情報登録部11に登録されていない場合(S306,NO)、または用件録音を要求された場合(S311,YES)、または暗証番号を受信しない、または暗証番号が不一致の場合(S312,NO)、音声メッセージ送出部17から、「ただ今、留守にしております。30秒以内でご用件をお話し下さい。」のような音声メッセージ3を送出し(S360)、相手からの音声を録音し(S361)、回線切断(S362)後、S302に戻る。
【0021】
暗証番号が一致した場合(S312,YES)、音声メッセージ2を送出する(S313)。音声メッセージ2は、例えば、「後ほど、伝言メールを送信致します。」のようなメッセージである。
【0022】
音声メッセージ2を送出した後、通知先登録部12を参照して、S305で抽出した発信元電話番号またはS316で検索した通知先に対応する電子メールアドレスの有無(S330)、またはSMSメール通信の可否(S340)を検索する。
【0023】
電子メールアドレスが通知先登録部12に登録されておらず(S330,NO)、SMSメール通信も不可(S340,NO)であった場合は、伝言情報を音声に変換した音声メッセージ4を送出(S342)した後、回線切断し(S362)、S302に戻る。
【0024】
音声メッセージ4は、例えば、「伝言情報を送信できませんので、伝言情報を読み上げます。<伝言情報>」のようなメッセージであり、所定の伝言文に対応する通知データが挿入された文字データを、音声に変換したものである。
なお、フローには示さないが、相手に応じて音声メッセージ4の送出を省略するようにしても良い。
また、音声メッセージ4の送出後、相手からの要求により音声メッセージ4の送出を繰返しても良い。
【0025】
電子メールアドレスが登録されていれば(S330,YES)、端末制御部10は、その電子メールアドレスを電子メール送受信部14に通知し、電子メール送受信部14は、該アドレスをS355で送信する伝言メールの送信先アドレスとしてセットする(S331)。電子メールアドレスが登録されてなく(S330,NO)、SMSメール通信が可能な場合は(S340,YES)、通知先の電話番号をそのままSMSメールアドレスとしてセットする(S341)。
【0026】
S331またはS341でアドレスがセットされると、端末制御部10は電話回線対応部15を制御して電話回線を切断する(S352)。
【0027】
そして、伝言情報生成部13は、通知先登録部12を参照して通知先の属性を検索し、検索した属性に対応する伝言文を検索し、検索した伝言文に挿入されるべきURL、電子メールアドレス、電話番号の具体的な通知データを通知データ登録部111から検索する(S353)。
さらに、伝言情報生成部13は、検索した伝言文に検索した通知データを挿入して、伝言情報を生成する(S354)。
電子メール送受信部14は、S354で生成した伝言情報を含む伝言メールを電子メールまたはSMSメールにより送信する(S355)。送信後、S302に戻る。
【0028】
S354で生成する伝言情報のベースとなる伝言文は、
図2のような通知先の属性毎だけではなく、特定の通知先に対応したきめ細かい登録をしても良い。例えば、重要顧客であるA氏宛に、「A様、お電話有り難うございます。私は○時以降○○ホテルに居ます。急ぎの場合は携帯電話へご連絡下さい。携帯電話の番号は***です。」のようなA氏宛専用の内容であり、前記文中の*の部分が挿入される通知データの部位である。
さらに、動作フローには示さないが、前記のような特定の通知先に対しては、該通知先からの着信に対して、S354で生成する伝言情報を音声変換して、着信応答メッセージ(S310で送出する音声メッセージ1)として送出するようにしてもよい。これにより、重要顧客であるA氏へは、着信時にそのまま伝言情報を伝達できると共に、伝言メールをも送信するので、A氏は電話を掛けた段階で伝言情報を知ることができ、しかも後から伝言メールも受け取れるので、音声メッセージを聞きながらメモを書く必要もない。
【0029】
S304で電話着信でなく(NO)、録音メール送信要求または録音メールの送信タイミングであった場合(S320,YES)、録音部16で録音および蓄積された音声情報を添付ファイルに変換して所定の宛先へ電子メール(録音メール)として送信する(S321)。S320でNOの場合は、S302に戻る。
【0030】
S320で、録音メール送信要求か否かの判定は、例えば、予め登録された本装置1のユーザが所持する携帯電話機からの電話着信に応答し、録音メールの送信を要求する所定のDTMF信号を受信した場合がYESである。または、電子メール送受信部14が、前記ユーザが所持する携帯電話機からの電子メールまたはSMSメールを受信し、そのメールから録音メールの送信を要求する所定のコマンドを抽出した場合がYESである。
【0031】
録音メール送信タイミングか否かについては、定期的(例えば1時間程度)に録音メールを送信する設定になっていた場合、そのタイミングが到来する毎にYESと判定される。なお、動作フローチャートには示さないが、定期的に用件録音の有無または用件録音の日時,相手のみを電子メールで通知するようにしてもよい。その場合、その通知内容を見て、通常の留守番電話における遠隔操作による留守録再生と同じ手段で所望の用件録音をリモートで聞ける。
また、S321における所定の宛先としては、本装置1の使用者が所持する特定の携帯電話機に限定してもよいし、使用者が暗証番号付きで送信してきた電子メールへの返信であってもよい。
【0032】
この録音メールはS361で録音された音声情報を所定のファイルに変換して、メールに添付して所定宛先へ送信するものであり、本装置1のユーザは、自分の連絡先を通知した相手からのメールや電話着信に加え、S361で録音部16に録音された用件(音声)をメールで受信でき、いずれにしても、自分から電話する手間やメール発信する手間が省ける。
【0033】
以上説明した通り、本発明によれば、本装置1のユーザが指定する所定の宛先や、本装置1が着信に自動応答した場合の発信元へ、相手に応じたURL,電子メールアドレス,電話番号を含む伝言メールを自動的または効率よく送信できる。
例えば、発信元が
図1に示す携帯電話機2であった場合、送信されたメールは、IP網5と携帯電話網3を介して携帯電話機2に届く。そして、そのメールを受信した携帯電話機2の使用者は表示されている着信メールを開封するだけで伝言情報の内容が分かる。
【0034】
通常、電子メール通信機能を有する携帯電話機2はハイパーリンク機能を具備し、受信メールの本文中に電子メールアドレスがあれば、その表示された電子メールアドレスをポインティングすることにより、そのアドレス宛の電子メール作成画面に移行でき、伝えたい用件を電子メールで簡単に送信できる。これにより、電子メールアドレスを打ち直す必要が無く、効率的でミスも少ない。
【0035】
通知された内容が特定サイトのURLであれば、前記ハイパーリンク機能により、受信メールの本文中に表示された該URLをポインティングするだけで、当該サイトに簡単にアクセスでき、そのサイトに掲示されている当該留守者の移動先やスケジュール等に係る詳細情報を閲覧できる。さらに当該サイトが書き込み可能なサイトであれば、用件やメッセージを書き残すことも可能である。
【0036】
もし、前記サイトに用件やメッセージが書き残された場合、本装置1の利用者は所持している携帯電話機や移動先のパソコン等(図示せず)から前記の書き残された用件やメッセージを閲覧できる。また、当該サイトを定期的にアクセスして残された用件やメッセージを自動的にダウンロードするようにしてもよい。
【0037】
なお、本装置1は、複数の内線電話機から成るボタン電話装置であってもよい。この場合、
図1における、電話機部18を内線電話機に対応させ、電話機部18以外をボタン電話主装置に対応させればよい(図示せず)。
【0038】
さらに、前記ボタン電話主装置において、代表着信の場合には、通知する情報を特定サイト(例えば会社のホームページ)のURLに限定したり、登録された伝言情報の通知先は電話帳または許可データベースに登録された電話番号の相手に限定したりすることも可能である。