(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、
図1〜
図4を参照して、この発明を腕時計に適用した第1実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、ケース本体2とベゼル3とを有している。ケース本体2は、ステンレスやチタンなどの金属でほぼ円筒状に形成されている。ベゼル3は、ケース本体2と同じ金属でほぼリング状に形成されている。
【0011】
このベゼル3は、
図1に示すように、ケース本体2の上端部に配置されるベゼル本体部4と、このベゼル本体部4の内周縁に設けられた足部5と、を有している。この場合、ベゼル本体部4は、その外周がケース本体2の外周よりも大きく形成されている。また、このベゼル本体部4は、その内周がケース本体2の内周よりも大きく、かつケース本体2の外周よりも小さく形成されている。足部5は、その外周がケース本体2の内周と同じ大きさで形成されている。
【0012】
これにより、ベゼル3は、
図1に示すように、足部5がケース本体2内に圧入により嵌め込まれて、ベゼル本体部4の下面がケース本体2の上面に圧接することにより、ケース本体2の上部に取り付けられるように構成されている。この場合、ケース本体2の上面とベゼル本体部4の下面との間には、防水リング6が配置されている。これにより、腕時計ケース1が構成されている。
【0013】
この腕時計ケース1の上部開口部であるベゼル3の内部には、
図1に示すように、時計ガラス7および見切り板8が取り付けられている。この場合、見切り板8は、リング状に形成され、ベゼル3内に見切りパッキン8aを介して嵌め込まれ、ベゼル3内の底部上に配置されている。時計ガラス7は、円板状に形成され、ベゼル3内にガラスパッキン7aを介して嵌め込まれ、見切りパッキン8a上に配置されている。
【0014】
また、この腕時計ケース1の内部、つまりケース本体2の内部には、
図1に示すように、時計モジュール10が組み込まれている。この時計モジュール10は、図示しないが、時計ムーブメント、アンテナ、回路基板などの時計機能に必要な各種の電子部品を備えている。この場合、アンテナは、GPS用のアンテナ、または標準時刻電波を受信する長波用のアンテナなどである。
【0015】
ところで、この腕時計ケース1の下部、つまりケース本体2の下部には、
図1および
図2に示すように、裏蓋11が裏蓋パッキン12を介して取り付けられている。この場合、ケース本体2の内周面における下部には、嵌合部13がケース本体2の内周面に沿って環状に設けられている。この嵌合部13は、
図3(a)に示すように、ケース本体2の内周面側に開放されていると共に、下部がケース本体2の下端部から下側に開放され、かつ上部がケース本体2の内周面に向けて次第に上昇する傾斜面13aに形成されている。
【0016】
裏蓋11は、ケース本体2と同様、ステンレスやチタンなどの金属で形成され、
図1および
図2に示すように、ケース本体2の下端部に配置されてケース本体2を塞ぐ蓋本体部14と、ケース本体2の嵌合部13に配置される筒状部15と、を有し、これらが一体に形成されている。蓋本体部14は、ほぼ円板状に形成され、その外周がケース本体2の嵌合部13の内周よりも大きく、かつケース本体2の外周よりも小さく形成されている。
【0017】
裏蓋11の筒状部15は、
図2および
図3(b)に示すように、蓋本体部14の上面に一体に形成され、その内周がケース本体2の内周とほぼ同じ大きさで、かつ外周がケース本体2の嵌合部13の内周よりも小さく形成されている。これにより、筒状部15は、その径方向の肉厚がケース本体2の嵌合部13の深さ、つまり嵌合部13の径方向の長さよりも短く形成されている。
【0018】
裏蓋パッキン12は、ポリアミド樹脂(PA)などの合成樹脂で形成され、
図1および
図2に示すように、ほぼリング状に形成されている。この裏蓋パッキン12は、
図2および
図3(c)に示すように、ケース本体2の嵌合部13の内周面と裏蓋11の筒状部15の外周面との間に配置されるパッキン本体部16と、ケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間Sを形成するスペーサ部17と、を有し、これらが一体に形成されている。
【0019】
この場合、裏蓋11の筒状部15の外周側に位置する蓋本体部14の上面には、
図2および
図3(b)に示すように、裏蓋パッキン12の下端部、つまりパッキン本体部16とスペーサ部17との各下端部が嵌合する嵌合溝18が、蓋本体部14の外周に沿って環状に設けられている。また、筒状部15の外周面における下部には、逃し凹部15aが筒状部15の外周に沿って環状に設けられている。
【0020】
裏蓋パッキン12のパッキン本体部16は、
図2および
図3(c)に示すように、その上下方向の長さである高さが嵌合溝18の底部から裏蓋11の筒状部15の上端面までの高さと同じ長さに形成され、パッキン本体部16の径方向の長さである厚みが筒状部15の肉厚よりも少し短い長さで形成されている。
【0021】
すなわち、パッキン本体部16は、
図2および
図3(c)に示すように、ケース本体2の嵌合部13内に裏蓋11の筒状部15と共に配置された際に、筒状部15の内周面がケース本体2の内周面とほぼ同一面になるように、パッキン本体部16の径方向の厚みが設定されている。
【0022】
また、パッキン本体部16の外周面における上部には、
図2および
図3(c)に示すように、呼び込み部16aが設けられている。この呼び込み部16aは、パッキン本体部16の上部外周を斜めに削り取った傾斜面であり、パッキン本体部16が筒状部15と共にケース本体2の嵌合部13に嵌め込まれる際に、パッキン本体部16を嵌合部13内に向けて呼び込むように構成されている。
【0023】
裏蓋パッキン12のスペーサ部17は、
図2に示すように、その外周が裏蓋11の嵌合溝18の外径方向に位置する内周と同じ大きさに形成されている。また、このスペーサ部17は、
図3(b)および
図3(c)に示すように、その上下方向の長さである厚みT1が裏蓋11の嵌合溝18の深さD1よりも、少し厚く(T1>D1)形成されている。
【0024】
すなわち、スペーサ部17は、
図2に示すように、蓋本体部14の嵌合溝18内に配置された際に、スペーサ部17の上面が蓋本体部14の上面よりも上方に位置し、この状態でケース本体2の下端面がスペーサ部17の上面に圧接するように形成されている。これにより、スペーサ部17は、
図2に示すように、ケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間S(=T1−D1)を形成するように構成されている。この隙間Sは、約0.1mmである。
【0025】
ところで、裏蓋11の筒状部15の外周側に位置する蓋本体部14の9時側の上面には、
図4(a)および
図4(b)に示すように、工具Kが挿入する切込部19が設けられている。この切込部19は、蓋本体部14の外周端部に向けて傾斜する傾斜面であり、蓋本体部14の外周における一部、つまり9時側の個所に設けられている。これにより、切込部19は、ケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間の隙間Sが外周側に向けて次第に広くなるように構成されている。
【0026】
この場合、裏蓋パッキン12のスペーサ部17の一部つまり9時側に位置する個所のスペーサ部17には、
図4(a)および
図4(b)に示すように、切取部17aが切込部19に対応して設けられている。これにより、工具Kは、裏蓋11の筒状部15が裏蓋パッキン12を介してケース本体2の嵌合部13に圧入により嵌め込まれて嵌着した状態で、切込部19に差し込まれた際に、工具Kの先端がスペーサ部17の切取部17aに到達しても、スペーサ部17に接触しないように構成されている。
【0027】
すなわち、この工具Kは、
図4(b)に示すように、その先端部の傾斜角部が蓋本体部14の切込部19の傾斜角度よりも大きく形成されている。これにより、工具Kは、その先端部が切込部19に差し込まれてスペーサ部17の切取部17aに到達する際に、ケース本体2の下面に対して蓋本体部14の上面を押し広げることにより、裏蓋11をケース本体2から取り外せるように構成されている。
【0028】
次に、腕時計ケース1のケース本体2に裏蓋11を取り付ける場合について説明する。
この場合には、まず、裏蓋11に裏蓋パッキン12を取り付ける。このときには、裏蓋11の筒状部15の外周に裏蓋パッキン12のパッキン本体部16を装着すると共に、筒状部15の外周側に位置する蓋本体部14の上面に環状に設けられた嵌合溝18に裏蓋パッキン12の下端部を装着する。
【0029】
この状態では、裏蓋パッキン12のパッキン本体部16の下端部とスペーサ部17の下端部とが、蓋本体部14の嵌合溝18内に嵌合した状態で、スペーサ部17の上面が蓋本体部14の上面から上方に突出して配置される。また、このときには、裏蓋パッキン12のパッキン本体部16の上端部が裏蓋11の筒状部15の上端部と同じ高さで配置される。
【0030】
そして、裏蓋パッキン12が装着された裏蓋11をケース本体2の下部に取り付ける。このときには、裏蓋11の筒状部15を裏蓋パッキン12と共にケース本体2の嵌合部13内に下側から圧入によって嵌め込む。この場合には、裏蓋パッキン12のパッキン本体部16における外周面の上端部に呼び込み部16aが設けられているので、この呼び込み部16aによってパッキン本体部16が裏蓋11の筒状部15と共にケース本体2の嵌合部13内に円滑に嵌め込まれる。
【0031】
このようにして、裏蓋11がケース本体2の下部に取り付けられた状態では、パッキン本体部16が裏蓋11の筒状部15とケース本体2の嵌合部13との間に圧入された状態で嵌め込まれ、裏蓋11の筒状部15の内周面がケース本体2の内周面とほぼ同一面になる。このため、裏蓋11の筒状部15は、パッキン本体部16によってケース本体2に接触することがなく、ケース本体2の嵌合部13に嵌め込まれる。
【0032】
また、この状態では、裏蓋パッキン12のスペーサ部17が蓋本体部14の嵌合溝18内に嵌合されて、スペーサ部17の上面が蓋本体部14の上面よりも上方に位置し、この状態でケース本体2の下端面がスペーサ部17の上面に圧接する。これにより、スペーサ部17は、
図2に示すように、ケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間S(約0.1mm)を形成する。このため、裏蓋11の蓋本体部14は、スペーサ部17によってケース本体2に接触することがなく、ケース本体2の下部に取り付けられる。
【0033】
このように、裏蓋11がケース本体2に接触することなくケース本体2の下部に取り付けられた状態では、裏蓋パッキン12によって裏蓋11とケース本体2との間の防水性が確保されると共に、耐衝撃性が確保されるほか、ケース本体2と裏蓋11とが接触することがないので、ケース本体2と裏蓋11とが金属で形成されていても、腕時計ケース1全体を電気的に安定な状態を確保することができる。
【0034】
このため、この腕時計ケース1内に組み込まれた時計モジュール10がアンテナ(図示せず)を備えていても、そのアンテナのチューニングや受信感度に支障が生じることがなく、電気的に安定した状態でアンテナのチューニングをすることができるので、チューニング作業がし易く、簡単にかつ正確にアンテナのチューニングをすることができる。
【0035】
ところで、裏蓋11をケース本体2から取り外す場合には、裏蓋11の9時側に設けられた切込部19に工具Kを差し込む。これにより、裏蓋11の筒状部15が裏蓋パッキン12を介してケース本体2の嵌合部13に圧入により嵌め込まれて嵌着した状態であっても、簡単に裏蓋11をケース本体2から取り外すことができる。
【0036】
すなわち、工具Kの先端部を切込部19に差し込むことにより、工具Kの先端部がスペーサ部17の切取部17aに到達する際に、工具Kによってケース本体2の下面から蓋本体部14の上面が離れる方向に押し広げられる。このため、簡単にかつ容易に裏蓋11をケース本体2から取り外すことができる。
【0037】
このように、この腕時計によれば、内周面の下部に嵌合部13が環状に設けられた金属製のケース本体2と、このケース本体2の下端部に配置される蓋本体部14、およびケース本体2の嵌合部13に配置される筒状部15を有する金属製の裏蓋11と、ケース本体2の嵌合部13と裏蓋11の筒状部15との間に配置されるパッキン本体部16、およびケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間Sを形成するスペーサ部17を有する合成樹脂製の裏蓋パッキン12と、を備えていることにより、防水性を確保し、かつ電気的に安定した状態を保持することができる。
【0038】
すなわち、この腕時計では、合成樹脂製の裏蓋パッキン12のパッキン本体部16によってケース本体2の嵌合部13と裏蓋11の筒状部15との間の防水性を確保できると共に、裏蓋パッキン12のスペーサ部17によってケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間の防水性を確保できるほか、このスペーサ部17によってケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間Sを確保できる。
【0039】
これにより、この腕時計では、合成樹脂製の裏蓋パッキン12によって金属製のケース本体2と金属製の裏蓋11との接触を防ぐことができるので、電気的に安定した状態を保持することができる。このため、ケース本体2内に組み込まれた時計モジュール10がアンテナ(図示せず)を備えていても、そのアンテナのチューニングや受信感度に支障が生じることがなく、電気的に安定した状態でアンテナのチューニングをし易くすることができる。
【0040】
この場合、裏蓋11の蓋本体部14には、裏蓋パッキン12の下端部が嵌合する嵌合溝18が、蓋本体部14の外周に沿って環状に設けられ、裏蓋パッキン12のスペーサ部17は、その厚みT1が嵌合溝18の深さD1よりも厚く(T1>D1)形成されているので、ケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間S(=T1−D1)を確実に形成することができ、これによりケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との接触を確実に防ぐことができる。
【0041】
また、この腕時計では、裏蓋11の筒状部15がケース本体2の嵌合部13内に裏蓋パッキン12を介して圧入により嵌め込まれていることにより、裏蓋パッキン12によって防水性を確保できると共に耐衝撃性を確保できるほか、裏蓋11をケース本体2に確実に取り付けることができる。このため、裏蓋11を複数のビスでケース本体2に取り付ける必要がないので、裏蓋11の形状が制約を受けることがなく、裏蓋11を自由な形状で形成することができ、デザイン性の向上を図ることができる。
【0042】
また、この腕時計では、ケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に工具Kが挿入する切込部19が設けられていることにより、裏蓋11の筒状部15が裏蓋パッキン12を介してケース本体2の嵌合部13に圧入により嵌め込まれて嵌着した状態であっても、ケース本体2と蓋本体部14との間の切込部19に工具Kを差し込むだけで、簡単にかつ容易に裏蓋11をケース本体2から取り外すことができる。
【0043】
この場合、裏蓋パッキン12のスペーサ部17には、切取部17aが切込部19に対応して設けられていることにより、ケース本体2と蓋本体部14との間の切込部19に工具Kを差し込んで、裏蓋11をケース本体2から取り外す際に、切込部19に差し込まれた工具Kの先端がスペーサ部17に当接しないように、工具Kの先端を切取部17aによって逃すことができ、これによりスペーサ部17が工具Kによって傷付かないようにすることができる。
【0044】
なお、上述した第1実施形態では、パッキン本体部16とスペーサ部17とを有する裏蓋パッキン12が断面L字形状に形成されている場合について述べたが、これに限らず、例えば
図5に示す第1変形例のように、パッキン本体部16の下端部に補助パッキン部20をスペーサ部17よりも下側に突出させた状態で、パッキン本体部16と同じ円周に沿って環状に形成した構成であっても良い。
【0045】
この場合には、
図5に示すように、裏蓋11の嵌合溝18の底部に補助パッキン部20が嵌る環状溝21を形成すれば良い。このような第1変形例では、補助パッキン部20によって裏蓋パッキン12を裏蓋11に確実に装着させることができるので、裏蓋11の筒状部15をケース本体2の嵌合部13に嵌め込む際に、裏蓋パッキン12が位置ずれせずに、確実にかつ良好に嵌め込んで嵌着させることができると共に、より一層、耐衝撃性を確保することができる。
【0046】
また、上述した第1実施形態では、パッキン本体部16とスペーサ部17とを有する裏蓋パッキン12が単純な断面L字形状に形成されている場合について述べたが、これに限らず、例えば
図6に示す第2変形例のように、裏蓋パッキン12の下端部に複数の突起部22を円周方向に沿って所定間隔で設けた構成であっても良い。この場合、複数の突起部22は、半球状に形成されていることが望ましいが、必ずしも半球状である必要なく、自由な形状で形成されていても良い。
【0047】
このような第2変形例では、裏蓋11の蓋本体部14に設けられた嵌合溝18に裏蓋パッキン12のスペーサ部17を嵌め込んだ際に、複数の突起部22が嵌合溝18の底部に押し付けられ、この状態で裏蓋11の筒状部15をケース本体2の嵌合部13に嵌め込んだ際に、複数の突起部22を嵌合溝18の底部に押し付けて圧接させることができるので、第1実施形態よりも、耐衝撃性を高めることができる。
【0048】
さらに、上述した第1実施形態では、工具Kを差し込む切込部19を蓋本体部14の上面に設けた場合について述べたが、必ずしも切込部19を蓋本体部14の上面に設ける必要はなく、例えば切込部19をケース本体2の下面に設けても良く、また蓋本体部14の上面とケース本体2の下面との両方に設けても良い。
【0049】
(第2実施形態)
次に、
図7および
図8を参照して、この発明を腕時計に適用した第2実施形態について説明する。なお、
図1〜
図4に示された第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明する。
この腕時計は、
図7に示すように、ケース本体2の嵌合部13に嵌合凹部25を設け、これに伴って裏蓋パッキン12に第1実施形態と異なる形状のスペーサ部26を設けた構成であり、これ以外は第1実施形態とほぼ同じ構成になっている。
【0050】
すなわち、ケース本体2の嵌合部13には、
図7および
図8(a)に示すように、嵌合凹部25がケース本体2の円周に沿って環状に形成されている。この嵌合凹部25は、断面四角形状の凹部であり、ケース本体2に設けられた嵌合部13の内周面側に開放されていると共に、下部がケース本体2の下端部から下側に開放されている。この場合、嵌合凹部25は、その内周が裏蓋11の嵌合溝18の外径方向に位置する内周と同じ大きさで形成されている。
【0051】
裏蓋パッキン12は、第1実施形態と同様、ポリアミド樹脂(PA)などの合成樹脂で形成され、全体がほぼリング状に形成されている。この裏蓋パッキン12は、
図7および
図8(c)に示すように、裏蓋11の筒状部15とケース本体2の嵌合部13との間に配置されるパッキン本体部16と、ケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間Sを形成するスペーサ部26と、を有し、これらが一体に形成されている。
【0052】
この場合にも、パッキン本体部16は、
図7および
図8(c)に示すように、その上下方向の長さである高さが、裏蓋11の嵌合溝18の底部から裏蓋11の筒状部15の上端面までの高さと同じ長さに形成され、パッキン本体部16の径方向の長さである厚みが筒状部15の肉厚よりも少し短い長さで形成されている。
【0053】
すなわち、このパッキン本体部16は、
図7および
図8(c)に示すように、ケース本体2の嵌合部13内に裏蓋11の筒状部15と共に配置された際に、筒状部15の内周面がケース本体2の内周面とほぼ同一面になるように形成されている。また、パッキン本体部16の外周面における上部には、呼び込み部16aが設けられている。
【0054】
この裏蓋パッキン12のスペーサ部26は、
図7および
図8(c)に示すように、その外周が、裏蓋11の嵌合溝18の外径方向に位置する内周と、ケース本体2の嵌合部13に設けられた嵌合凹部25の内周と、ほぼ同じ大きさに形成されている。また、このスペーサ部26は、その上下方向の長さである厚みT2が、蓋本体部14の嵌合溝18の上下方向の深さD1と、ケース本体2の嵌合凹部25の上下方向の高さF1と、を加算した長さ(D1+F1)よりも、少し厚く(T2>D1+F1)形成されている。
【0055】
すなわち、このスペーサ部26は、
図7に示すように、蓋本体部14の嵌合溝18内に配置されると共に、ケース本体2の嵌合凹部25内に配置された状態で、スペーサ部26の下面が蓋本体部14の嵌合溝18の底部に圧接し、スペーサ部26の上面がケース本体2の嵌合凹部25内の上面に圧接し、この状態でケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間S{=T2−(D1+F1)}を形成するように構成されている。この隙間Sは、第1実施形態と同様、約0.1mmである。
【0056】
このような腕時計によれば、ケース本体2の嵌合部13に嵌合凹部25がケース本体2の円周に沿って環状に設けられ、裏蓋パッキン12のスペーサ部26は、その外周がケース本体2の嵌合凹部25の内周とほぼ同じ大きさで、かつスペーサ部26の上下方向の厚みT1が、蓋本体部14の嵌合溝18の上下方向の深さD1と、ケース本体2の嵌合凹部25の上下方向の長さF1と、を加算した長さ(D1+F1)よりも、少し厚く(T1>D1+F1)形成されているので、ケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間Sを確実に形成することができ、これにより金属製のケース本体2の下端面と金属製の蓋本体部14の上面との接触を確実に防ぐことができる。
【0057】
この場合、裏蓋パッキン12のスペーサ部26は、蓋本体部14の嵌合溝18内に配置されると共に、ケース本体2の嵌合凹部25内にも配置された状態で、スペーサ部26の下面が蓋本体部14の嵌合溝18の底部に圧接し、スペーサ部26の上面がケース本体2の嵌合凹部25内の上面に圧接することにより、ケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間に隙間Sを形成しても、スペーサ部26によってケース本体2の下端面と蓋本体部14の上面との間の防水性を確保することができると共に、第1実施形態よりも、耐衝撃性を高めることができる。
【0058】
これにより、この第2実施形態の腕時計では、第1実施形態と同様、合成樹脂製の裏蓋パッキン12によって金属製のケース本体2と金属製の裏蓋11との接触を防ぐことができるので、電気的に安定した状態を保持することができる。このため、ケース本体2内に組み込まれた時計モジュール10がアンテナ(図示せず)を備えていても、そのアンテナのチューニングや受信感度に支障が生じることなく、電気的に安定した状態でアンテナのチューニングをし易くすることができる。
【0059】
なお、上述した第2実施形態においても、
図5に示された第1変形例のように、裏蓋パッキン12の下端部に補助パッキン部20をスペーサ部17よりも下側に突出させた状態で、パッキン本体部16と同じ円周に沿って環状に形成することにより、裏蓋11の筒状部15をケース本体2の嵌合部13に嵌め込む際に、裏蓋パッキン12が位置ずれせずに、確実にかつ良好に嵌め込んで嵌着させるようにしても良い。
【0060】
また、上述した第2実施形態においても、
図6に示された第2変形例のように、裏蓋パッキン12の下端部に複数の突起部22を円周方向に沿って所定間隔で設け、複数の突起部22を裏蓋11の嵌合溝18の底部に押し付けて圧接させることにより、裏蓋11の筒状部15をケース本体2の嵌合部13に確実に嵌め込むようにしても良い。このように構成すれば、第2実施形態よりも、更に耐衝撃性を高めることができる。
【0061】
また、上述した第2実施形態では、裏蓋11の蓋本体部14に嵌合溝18を設け、ケース本体2の嵌合部13に嵌合凹部25を蓋本体部14の嵌合溝18と対応させて設けた場合について述べたが、必ずしも蓋本体部14に嵌合溝18を設ける必要はなく、ケース本体2の嵌合部13に嵌合凹部25を設けた構成であっても良い。
【0062】
また、上述した第1、第2の各実施形態において、裏蓋11をケース本体2に下側から圧入によって嵌め込む構成に加え、さらに裏蓋11の複数個所をビス止めによりケース本体2に取り付ける構成であっても良い。
【0063】
さらに、上述した第1、第2の各実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の時計に適用することができる。また、必ずしも時計である必要はなく、携帯電話機や携帯情報端末機などの各種の電子機器にも広く適用することができる。
【0064】
以上、この発明のいくつかの実施形態について説明したが、この発明は、これらに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0065】
(付記)
請求項1に記載の発明は、内周面の下部に嵌合部が環状に設けられた金属製のケースと、前記ケースの下端部に配置されて前記ケースの下部を塞ぐ蓋本体部、および前記ケースの前記嵌合部に配置される筒状部を有する金属製の蓋体と、前記ケースの前記嵌合部と前記蓋体の前記筒状部との間に配置されるパッキン本体部、および前記ケースの下端面と前記蓋本体部の上面との間に隙間を形成するスペーサ部を有する合成樹脂製のパッキンと、を備えていることを特徴とするケース構造である。
【0066】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のケース構造において、前記蓋本体部には、前記パッキンの下端部が嵌合する嵌合溝が、前記蓋本体部の外周に沿って環状に設けられ、前記スペーサ部は、その厚みが前記嵌合溝の深さよりも厚く形成されていることを特徴とするケース構造である。
【0067】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のケース構造において、前記ケースの前記嵌合部には、嵌合凹部が前記ケースの内周に沿って環状に設けられ、前記スペーサ部は、その外周が前記嵌合凹部の内周とほぼ同じ大きさで、かつ前記スペーサ部の厚みが前記嵌合凹部の高さ方向の長さよりも長く形成されていることを特徴とするケース構造である。
【0068】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のケース構造において、前記パッキンには、前記蓋本体部に圧接する複数の突起部が円周方向に沿って所定間隔で設けられていることを特徴とするケース構造である。
【0069】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のケース構造において、前記蓋体の前記筒状部は、前記ケースの前記嵌合部内に前記パッキンを介して圧入により嵌め込まれていることを特徴とするケース構造である。
【0070】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のケース構造において、前記ケースの下端面と前記蓋本体部の上面との間には、工具が挿入する切込部が設けられていることを特徴とするケース構造である。
【0071】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のケース構造において、前記パッキンの前記スペーサ部には、切取部が前記切込部に対応して設けられていることを特徴とするケース構造である。
【0072】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれかに記載されたケース構造を備えていることを特徴とする時計である。