(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部が、前記電力経路を表示する際に、前記電源シーケンスの順に配置表示した電力系統ツリー内の電源入力部、及び電源部と、前記電源シーケンスの所定のタイミング箇所とを線で接続して表示する請求項1に記載の電力系統ツリー表示システム。
前記表示部が、前記電力経路を表示する際に、前記電源シーケンスの順に配置表示した電力系統ツリー内の電源入力部、及び電源部に、投入、切断の順番を表示する請求項1または請求項2に記載の電力系統ツリー表示システム。
前記表示部が、前記電源シーケンスを表示する際に、各電圧において立ち上がり時間、及び立ち下がり時間を考慮して電源シーケンスの表示を行う請求項1から請求項3の何れか1項に記載の電力系統ツリー表示システム。
前記表示部が、電力系統ツリー内の電源入力部としてコネクタを表示すると共に、コネクタ挿抜のシーケンスを含めた配線基板全体のシーケンスを表示する請求項1から請求項5の何れか1項に記載の電力系統ツリー表示システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る複数の実施形態の電力系統ツリー表示システム、電力系統ツリー表示装置、電力系統ツリー設計方法及び電力系統ツリー表示プログラムについて図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、電源やデバイス等の電子部品が配線基板(プリント配線基板)に搭載される場合について説明する。このとき、配線基板に搭載される電子部品を総称して搭載部品と記載する。
【0014】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態の電力系統ツリー表示システム1は、電力系統ツリー表示プログラムを実行する電力系統ツリー表示装置2を有する。
電力系統ツリー表示装置2は、仕様情報記憶ユニット3と、ツリー情報作成部4と、表示部5とを備えている。
【0015】
仕様情報記憶ユニット3は、デバイスに関するデバイス情報、電源に関する電源情報、プリント配線基板(
図2参照)28に関する基板情報等の仕様情報6を記憶している。
ツリー情報作成部4は、ユーザにより指定された設計情報7に基づき、仕様情報記憶ユニット3から必要な仕様情報6を抽出する。そして、抽出した仕様情報6に基づき電力の供給路をなす電力経路(
図2参照)23a〜23j等からなる系統ツリー情報と、この電力経路23a〜23jを流れる電流値等の特性値情報と、各電源の投入、切断シーケンス情報を生成する。
表示部5は、生成された系統ツリー情報を表示すると共に、この系統ツリー情報に重ねて特性値情報、及び各電源の投入、切断シーケンス情報を表示する。
【0016】
電力系統ツリー表示装置2は、表示部5が電力経路23a〜23jを表示する際に、電力系統ツリー、特性値情報、電源シーケンスを同時に表示すると共に、電力系統ツリー内の電源入力部(
図2参照)29、及び電源部(
図2参照)21(21a、21b、21c)は、電源シーケンスと関連付けて配置表示し、電源シーケンスの順番に電源入力部29、電源部を表示して、電子機器におけるプリント配線基板28に搭載した搭載部品間の電力経路23a〜23jを表示する。
ここで、系統ツリー情報と特性値情報と各電源の投入、切断シーケンス情報は同一画面に表示される。従って、ユーザは、電力系統ツリーを視認した際に、特性値情報や各電源の投入、切断シーケンス情報も視覚的に認識できるようになり、電子機器の設計作業や設計検証作業が効率よく行うことができる。
【0017】
次に、電力系統ツリー表示装置2が表示する電力系統ツリーの第1の表示例について説明する。
図2に示すように、電力系統ツリー表示装置2が表示する第1の表示例では、電力系統ツリー表示部20と電源シーケンス表示部26とを表示しており、直流電圧(以下DC)12V、電流10Aの電力が、外部から電力経路23aを介して供給され、分岐点24aで電力経路23b、23cに分岐する。
この第1の表示例において、分岐点24aと電源部21aとは、電力経路23bにより接続され、分岐点24aと電源部21bとは、電力経路23cにより接続している。この電力経路23bに流れる電流は8Aであり、電力経路23cに流れる電流は2Aである。
【0018】
また、第1の表示例において、電源部21aはDC12VからDC5Vへの電圧変換を行い、DC5V、電流15Aの電力が電力経路23dに出力する。電力経路23dは、分岐点24bで電力経路23e、23fに分岐する。電力経路23eは、分岐点24bと分岐点24cとを接続する経路で、DC5V、10Aの電力を分岐点24cに供給する。また、電力経路23fは、分岐点24bと電源部21cを接続する経路で、DC5V、5Aの電力を電源部21cに供給する。
【0019】
そして、第1の表示例において、分岐点24cとデバイス22a間を接続する電力経路23hは、デバイス22aにDC5V、2Aを供給する。また分岐点24cとデバイス22bを接続する電力経路23iは、デバイス22bにDC5V、8Aを供給する。デバイス22は、例えばLSI、メモリー、機能モジュール等の電子部品である。
【0020】
さらに、第1の表示例において、電源部21cではDC5VからDC1.8Vへの電圧変換を行い、DC1.8V、電流12Aの電力を電力経路23jに出力する。電力経路23jは、デバイス22bにDC1.8V、電流12Aを供給する。また、電源部21bではDC12VからDC3.3Vへの電圧変換を行い、DC3.3V、電流6Aの電力を電力経路23gに出力する。電力経路23gは、デバイス22cにDC3.3V、電流6Aを供給する。
【0021】
加えて、第1の表示例において、電源を投入するタイミングを示す電源シーケンス表示部26は、DC12Vがタイミングt0で立ち上がる波形26a、DC5Vがタイミングt1で立ち上がる波形26b、DC3.3Vがタイミングt2で立ち上がる波形26c、DC1.8Vがタイミングt3で立ち上がる波形26dで構成する。電源を投入するタイミングは、電圧波形において、各電圧が所定の電圧値まで到達する立ち上がり時間210を考慮してタイミングの逆転が無きよう表示する。
【0022】
このとき、電力系統ツリー表示部20では、プリント配線基板28の外部から電力を得る電源入力部29、およびプリント配線基板28上に構成する各電源部21a、21b、21cは、電源を投入するタイミング順に配置して表示する。すなわち、本実施例では図面の横方向において、最も左側のタイミングt0の位置に電源入力部29を、タイミングt1の位置に電源部21aの出力部を、タイミングt2の位置に電源部21bの出力部を、タイミングt3の位置に電源部21cの出力部を配置して表示する。また、電源入力部29、及び各電源部21a、21b、21cには投入する順番S0、S1、S2、S3を電源シーケンス順番211とする。
【0023】
第1の表示例は、電源シーケンス表示部26において、各電源を投入するタイミングを示すt0、t1、t2、t3の位置と、電力系統ツリー表示部20内における電源入力部29、及び各電源部21a、21b、21cの位置関係の関連性を容易に認識可能とするために両者を点線で結んでいる。
なお、第1の表示例では、電源シーケンス表示部26において、各電源を投入するタイミングを示すt0、t1、t2、t3は、各電圧波形の立ち上がり開始部としているが、これに限られず、タイミングを示すt0、t1、t2、t3の位置は、各電圧波形が立ち上がる過程において任意に設定することができる。例えば、各電圧においてロー/ハイが切り替わるスレッショルド電圧をタイミング表示の位置としても良い。
【0024】
このように、第1の表示例は、電力系統ツリーと電源投入シーケンスとを同時に表示すると共に、電力系統ツリー内の電源入力部29、及び各電源部21a、21b、21cを投入するタイミング順に配置して、どの電源がどのタイミング立ち上がるのかを明確に表示することで、各電源部21a、21b、21cの投入シーケンスを視覚的に把握することが可能になり、給電設計が容易になると共に、設計検証を容易に、かつ正確に行うことが可能になる。
【0025】
次に、電力系統ツリー表示装置2が表示する第2の表示例の電力系統ツリーについて説明する。
図3に示すように、電力系統ツリー表示装置2が表示する第2の表示例は、以下の点を除いて、第1の表示例と同様の構成である。
電源電圧の投入、切断シーケンスにおいては、必ず遵守する必要のある時間が存在する場合がある。この時間は電源情報の中の電源シーケンス情報に含まれている。
【0026】
第2の表示例では、シーケンス上にこの時間を表示しており、電源シーケンス表示部26において、DC12Vが立ち上がるタイミングとDC5Vが立ち上がるタイミングの間隔50が、100msec必要なことを表示している。このとき、各電圧波形において、立ち上がり時間を考慮して投入時間の間隔が設定され表示される。
【0027】
第2の表示例は、第1の表示例と同様の効果を得ることができる。さらに、第2の表示例は、電圧投入間の時間を細かく表現することで、電源シーケンスにおけるスペック違反を引き起こす危険性を低減し、より詳細な設計検証が行うことができる。
【0028】
次に、電力系統ツリー表示装置2が表示する第3の表示例の電力系統ツリーについて説明する。
図4に示すように、電力系統ツリー表示装置2が表示する第3の表示例は、電力系統ツリー表示部60と電源シーケンス表示部66とを表示しており、以下の点を除いて、第1の表示例と同様の構成である。
この第3の表示例では、プリント配線基板28に外部から電力を入力する電源入力部29において、コネクタ64を表示している。コネクタ64の情報は、コネクタ64の挿抜時のシーケンス情報と共に電源情報に含まれる。第3の表示例では、電源入力部29のコネクタ64を含んだプリント配線基板28において、投入シーケンスを表示する。
【0029】
また、第3の表示例では、コネクタ64は、長さの異なる複数のコンタクト61aを備えている。そして、長いコンタクト61aがグランド(以下GND)、短いコンタクト61bがDC12Vにアサインされ、各々プリント配線基板28内のGNDパターン、DC12Vパターンに接続している。このようなコネクタ64は、設計対象のプリント配線基板28が活線挿抜仕様の場合等に用いられるものである。
【0030】
そして、第3の表示例において、投入シーケンスは、電源入力部29のコネクタ64を含んだプリント配線基板28において表示される。タイミングt0でGND、タイミングt1でDC12V、タイミングt2で電源部21a、タイミングt3で電源部21b、タイミングt4で電源部21cが立ち上がるシーケンスになっている。この時、GNDの波形66aとDC12Vの波形66b間の立ち上がり間隔は、コネクタ64の特性に依存するところが大きく、所望のシーケンスを得るために、コネクタ64の選択が重要になってくる。
【0031】
さらに、第3の表示例は、第1の表示例と同様の効果を得ることができる。さらに、第3の表示例は、電源入力部29のコネクタ64の情報まで含めた電源シーケンスを表現することで、より詳細な設計検証が行うことができる。
【0032】
次に、電力系統ツリー表示装置2が表示する第4の表示例の電力系統ツリーについて説明する。
図5に示すように、電力系統ツリー表示装置2が表示する第4の表示例は、以下の点を除いて、第2の表示例と同様の構成である。
この第4の表示例は、電源シーケンス表示部26において、DC12Vが立ち上がるタイミングとDC5Vが立ち上がるタイミングの間隔50、DC5Vが立ち上がるタイミングとDC3.3Vが立ち上がるタイミングの間隔50、及びDC3.3Vが立ち上がるタイミングとDC1.8Vが立ち上がるタイミングの間隔50が、それぞれ50msec必要なことを表示している。
【0033】
このとき、各電圧波形においては、立ち上がり時間を考慮してt0からt3までの投入時間の間隔が設定され表示される。各電圧波形の立ち上がり時間と、それに対応する電力系統ツリー表示部の電源入力部29、及び電源部21a、21b、21cは関連付け線70で関連づけられるが、関連付け線70は直線である必要は無い。例えば、タイミングt1と電源部21aを接続する関連付け線、及びタイミングt3と電源部21cを接続する関連付け線のように直線ではない。
【0034】
また、第4の表示例は、第2の表示例と同様の効果を得ることができる。さらに、第4の表示例は、直線以外の線で電源シーケンスにおけるタイミングと電力系統ツリー表示部の電源入力部29、及び電源部21a、21b、21cを関連付けて表現することで、より詳細な設計検証が行うことができる。
【0035】
次に、電力系統ツリー表示装置2が表示する第5の表示例の電力系統ツリーについて説明する。
図6に示すように、電力系統ツリー表示装置2が表示する第5の表示例は、電力系統ツリー表示部80と電源シーケンス表示部86とを表示しており、以下の点を除いて、第1の表示例と同様の構成である。
この第5の表示例は、第1の表示例が電源の投入シーケンスを表示しているのに対して、電源の切断シーケンスを表示している。
また、第5の表示例は、タイミングt0で電源部21c、タイミングt1で電源部21b、タイミングt2で電源部21a、タイミングt3でDC12Vが立ち下がる切断シーケンスである。この時、各電圧波形において立ち下がり時間810を考慮した基に、切断シーケンスは表示される。
なお、第5の表示例では、電源シーケンス表示部86において、各電源を切断するタイミングを示すt0、t1、t2、t3は、各電圧波形の立ち下がり開始部としているが、これに限られず、タイミングを示すt0、t1、t2、t3の位置は、各電圧波形が立ち下がる過程において任意に設定することができる。例えば、各電圧においてハイ/ローが切り替わるスレッショルド電圧をタイミング表示の位置としても良い。
【0036】
そして、第5の表示例は、第1の表示例と同様の効果を得ることができる。さらに、第5の表示例は、投入シーケンスと切断シーケンスとの両方を表現することで、より詳細な設計検証を行うことができる。
【0037】
以上、説明したように、本発明の第1実施形態の電力系統ツリー表示システム1によれば、表示部5が、電力経路23a〜23jを表示する際に、電力系統ツリー、特性値情報、電源投入シーケンスを同時に表示すると共に、電力系統ツリー内の電源入力部29、及び電源部21は、電源シーケンスと関連付けて配置表示し、投入の順番に前記電源入力部、前記電源部を表示して、電子機器におけるプリント配線基板28に搭載した搭載部品間の電力経路を表示する。
従って、電力系統ツリー表示システム1によれば、設計作業や設計検証作業を効率的に行うことができる。
【0038】
また、電力系統ツリー表示システム1によれば、表示部5が、電力経路23a〜23jを表示する際に、電源シーケンス順に配置表示した電力系統ツリー内の電源入力部29、及び電源部21と、電源シーケンスの所定のタイミング箇所とを、線で接続して表示することにより、両者の位置関係の関連性を容易に認識することができる。
【0039】
また、電力系統ツリー表示システム1によれば、表示部5が、電力経路23a〜23jを表示する際に、電源シーケンス順に配置表示した電力系統ツリー内の電源入力部29、及び電源部21に、電源シーケンスの順番を表示する。
従って、電力系統ツリー表示システム1によれば、各電源部21a、21b、21cの投入シーケンスを視覚的に把握することが可能になり、給電設計が容易になると共に、設計検証を容易に、かつ正確に行うことが可能になる。
【0040】
そして、電力系統ツリー表示システム1によれば、表示部5が、電源シーケンスを表示する際に、各電圧において立ち上がり時間、及び立ち下がり時間を考慮して電源シーケンスの表示を行う。
従って、電力系統ツリー表示システム1によれば、電圧投入間の時間を細かく表現することで、電源シーケンスにおけるスペック違反を引き起こす危険性を低減し、より詳細な設計検証が行うことができる。
【0041】
そしてまた、電力系統ツリー表示システム1によれば、電源シーケンス情報に、各電圧の立ち上がりのタイミング間の間隔を定義する所定の時間を備え、表示部5が、電源シーケンスとして所定の時間を表示する。
従って、電力系統ツリー表示システム1によれば、電圧投入間の時間を細かく表現することで、電源シーケンスにおけるスペック違反を引き起こす危険性を低減し、より詳細な設計検証が行うことができる。
【0042】
さらに、電力系統ツリー表示システム1によれば、表示部5が、電力系統ツリー内の電源入力部としてコネクタ64を表示すると共に、コネクタ64の挿抜のシーケンスを含めたプリント配線基板28全体のシーケンスを表示する。
従って、電力系統ツリー表示システム1によれば、電源入力部29のコネクタ64の情報まで含めた電源シーケンスを表現することで、より詳細な設計検証が行うことができる。
【0043】
加えて、電力系統ツリー表示システム1によれば、表示部5は、電源シーケンスが電源投入シーケンス、電源切断シーケンスである。
従って、電力系統ツリー表示システム1によれば、ユーザが電力系統ツリーを視認した際に、特性値情報や各電源の投入、切断シーケンス情報も視覚的に認識できるようになり、電子機器の設計作業や設計検証作業を効率よく行えることができる。
【0044】
さらに、電力系統ツリー表示装置2によれば、表示部5が、電力経路23a〜23jを表示する際に、電力系統ツリー、特性値情報、電源シーケンスを同時に表示すると共に、電力系統ツリー内の電源入力部29、及び電源部21は、電源シーケンスと関連付けて配置表示し、電源シーケンスの順番に前記電源入力部、前記電源部を表示して、電子機器におけるプリント配線基板28に搭載した搭載部品間の電力経路23a〜23jを表示する。
従って、電力系統ツリー表示装置2によれば、設計作業や設計検証作業を効率的に行うことができる。
【0045】
加えて、電力系統ツリー設計方法によれば、表示部5が、電力経路23a〜23jを表示する際に、電力系統ツリー、特性値情報、電源シーケンスを同時に表示すると共に、電力系統ツリー内の電源入力部29、及び電源部21は、電源シーケンスと関連付けて配置表示し、電源シーケンスの順番に前記電源入力部、前記電源部を表示して、電子機器におけるプリント配線基板28に搭載した搭載部品間の電力経路23a〜23jを表示する。
従って、電力系統ツリー表示方法によれば、設計作業や設計検証作業を効率的に行うことができる。
【0046】
そして、電力系統ツリー表示プログラムによれば、表示部5が、電力経路23a〜23jを表示する際に、電力系統ツリー、特性値情報、電源シーケンスを同時に表示すると共に、電力系統ツリー内の電源入力部29、及び電源部21は、電源シーケンスと関連付けて配置表示し、電源シーケンスの順番に前記電源入力部、前記電源部を表示して、電子機器におけるプリント配線基板28に搭載した搭載部品間の電力経路23a〜23jを表示する。
従って、電力系統ツリー表示プログラムによれば、設計作業や設計検証作業を効率的に行うことができる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の電力系統ツリー表示システム、電力系統ツリー表示装置、電力系統ツリー設計方法及び電力系統ツリー表示プログラムについて説明する。
なお、以下の各実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0048】
図7に示すように、本発明に係る第2実施形態の電力系統ツリー表示システム8は、電力系統ツリー設計方法の電力系統ツリー表示プログラムを実行する電力系統ツリー表示装置9を有する。
この電力系統ツリー表示装置9は、仕様情報記憶ユニット3と、ツリー情報作成部4と、表示部5とを備えている。
【0049】
仕様情報記憶ユニット3は、デバイス情報を記憶しているデバイス情報記憶部3a、電源情報を記憶している電源情報記憶部3b、基板情報を記憶している基板情報記憶部3cを備えている。
ツリー情報作成部4は、ユーザにより指定された設計情報7に基づき、仕様情報記憶ユニット3から必要な仕様情報を抽出する。そして、ツリー情報作成部4は、抽出した仕様情報に基づき電力経路23a〜23j等の系統ツリー情報と、電力系統ツリーを流れる電流値等の特性値情報と、各電源の投入、切断シーケンス情報を生成する。
表示部5は、生成された系統ツリー情報を表示すると共に、この系統ツリー情報に特性値情報、各電源の投入、切断シーケンス情報を重ねて表示する。
なお、ここで、「重ねて表示」とは、特性値情報が系統ツリー情報を隠すことなく表示される状態を言う。
【0050】
デバイス情報としては、各デバイス22の物理的大きさ(寸法)、電圧の種類(交流、直流いずれの電圧か、電圧値や電流値)、消費電力密度等である。なお、電流値、電圧値、消費電力密度等は、最大値、最小値、平均値、製品仕様値等の少なくとも1つの形式である。
【0051】
電源情報記憶部3bに記憶されている電源情報としては、例えば電源は、入力仕様がDC12V、電流10Aで、出力仕様がDC3.3V、電流30A、電源の立ち上がり時間20msec、立ち下がり時間20msecである。また、この電源情報には、電源がコンバータやレギュレータ等の電子部品を含み、これらの電子部品の入出力値や電力変換効率等を表す情報も含めることができる。なお、この場合の数値は例示である。
【0052】
基板情報記憶部3cに記憶されている基板情報は、プリント配線基板28の基板厚、配線パターン厚さ(電力経路23a〜23jを形成する銅箔等の導体の厚さ)、配線パターン同士を接続等に用いられるスルーホールの形状が例示される。基板情報の具体例は、配線パターンは厚み35μmの銅箔であり、スルーホール径0.3mmφ、スルーホールめっき厚20μm、基板厚1.6mm等である。
【0053】
次に、電力系統ツリー表示システム8の処理手順についてフローチャートに従い説明する。
図8に示すように、ステップS1において、先ず、ユーザは設計情報を分析して構成するデバイス22を抽出し、抽出されたデバイス22毎に必要な電源情報(電圧種類、消費電力、サイズ、投入切断シーケンス等)を整理する。
【0054】
次に、ステップS2において、ツリー情報作成部4がデバイス情報を取得する。このとき、デバイス情報がデバイス情報記憶部3aにライブラリー化等して記憶されている場合は、ツリー情報作成部4はデバイス情報記憶部3aから該当するデバイス情報を取得する。もし、該当するデバイス情報がデバイス情報記憶部3aに記憶されていない場合は、ツリー情報作成部4は、ユーザに所定のデータフォーマットでデバイス情報を入力するように要求する。
【0055】
次に、ステップS3において、ツリー情報作成部4が電源情報を取得する。これにより、プリント配線基板28に入力される電源入力部29の情報や、プリント配線基板28の入力端子とデバイス22との間に配置される電源部21の情報が取得される。このとき、電源入力部29の情報や電源情報が電源情報記憶部3bにライブラリー化等されて記憶されている場合は、ツリー情報作成部4は、電源情報記憶部3bから該当する情報を取得する。もし、該当する情報が電源情報記憶部3bに記憶されていない場合は、ツリー情報作成部4は、ユーザに所定のデータフォーマットで電源入力部情報や電源情報を入力するように要求する。
【0056】
続いて、ステップS4において、ツリー情報作成部4が基板情報を取得する。基板情報が基板情報記憶部3cにライブラリー化等されて記憶されている場合は、ツリー情報作成部4は、基板情報記憶部3cから該当する基板情報を取得する。もし、該当する基板情報が基板情報記憶部3cに記憶されていない場合は、ツリー情報作成部4は、ユーザに所定のデータフォーマットで基板情報を入力するように要求する。
【0057】
さらに、ステップS5において、ツリー情報作成部4がデバイス22と電源部21、及び電源入力部29とを接続する電力経路23a〜23jを設定し、電力系統ツリーを完成させる。また、ツリー情報作成部4は、デバイス22と電源部21と電源入力部29とを接続する電力経路23a〜23jを設定して系統ツリー情報を作成すると、特性値情報を作成して所定の位置に特性値情報を表示させる。そして、ツリー情報作成部4は、ステップ1で整理した各電源の投入切断シーケンスやステップ3で取得した電源入力部情報、電源情報に基づき電源シーケンス情報を作成すると、電源シーケンスを所定の位置に表示させる。
【0058】
また、ツリー情報作成部4は、電源入力部情報、電源情報に基づき作成した電源シーケンス情報により、電力系統ツリー内の電源入力部29、及び電源部21を電源シーケンス順に配置表示し、電源シーケンス順番211を表示すると共に、電源シーケンスの所定のタイミング箇所と、前記電源入力部29、及び電源部21を関連付ける線を表示させる。
【0059】
そして、ステップS6において、ツリー情報作成部4は、表示内容が「OK」であるか否かの指示待ちとなる。表示内容が「OK」であるか否かの指示は、ユーザが表示画面を見て指示する。そして、設計通りであると判断した場合には、表示内容「OK」が指示されて処理は終了する。一方、設計を変更等する場合には、表示内容「NO」が指示される。これにより、処理はステップS1に戻り、これらのルーチンを繰り返し実行する。
【0060】
第2実施形態の電力系統ツリー表示システム8、電力系統ツリー表示装置9、電力系統ツリー設計方法及び電力系統ツリー表示プログラムによれば、表示部5が、生成された系統ツリー情報を表示すると共に、この系統ツリー情報に特性値情報、各電源の投入、切断シーケンス情報を重ねて表示する。
従って、電力系統ツリー表示システム8、電力系統ツリー表示装置9、電力系統ツリー設計方法及び電力系統ツリー表示プログラムによれば、表示部5の表示を、より一層詳細にでき、精度設計作業や設計検証作業を効率的に行うことができる。
【0061】
なお、本発明の電力系統ツリー表示システム、電力系統ツリー表示装置、電力系統ツリー設計方法及び電力系統ツリー表示プログラムは、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【0062】
以上述べたように、本発明の電力系統ツリー表示システム、電力系統ツリー表示装置、電力系統ツリー設計方法及び電力系統ツリー設計プログラムによれば、設計作業や設計検証作業を効率的に行うことができる。
【0063】
本願は、2012年3月30日に、日本に出願された特願2012−078516号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。