特許第5967212号(P5967212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967212
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】ガラス板の研削方法及び研削装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 53/00 20060101AFI20160728BHJP
   B24B 53/007 20060101ALI20160728BHJP
   B24B 53/12 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B24B53/00 A
   B24B53/007
   B24B53/12
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-543117(P2014-543117)
(86)(22)【出願日】2013年1月21日
(86)【国際出願番号】JP2013000262
(87)【国際公開番号】WO2014064855
(87)【国際公開日】20140501
【審査請求日】2015年5月1日
(31)【優先権主張番号】特願2012-233332(P2012-233332)
(32)【優先日】2012年10月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000174220
【氏名又は名称】坂東機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098095
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 武志
(72)【発明者】
【氏名】坂東 和明
【審査官】 大山 健
(56)【参考文献】
【文献】 実開平01−143350(JP,U)
【文献】 特開平11−179657(JP,A)
【文献】 特開2011−189456(JP,A)
【文献】 特開2009−095952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 53/00−53/14
B24B 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削ヘッド自体に、ドレッサを保持したドレッシング装置を設け、ドレッシング装置は、研削ホイールにおいて、ガラス板の研削を行う研削作業位置と異なる位置に設けられており、ドレッシング装置は、研削ホイールの研削面に向って弾性押圧力を受け、該研削ホイールの研削面に対して進退するように設けられており、更に上記ドレッシング装置には、上記研削ホイールの研削面に対して水噴出、水噴出の停止を行う水噴出口が備えられており、上記水噴出口からの水噴出の停止のときは、上記弾性押圧力によってドレッシング装置を研削面に接近させ、上記ドレッサを研削面に押し付けてドレッシング作業を進行し、水噴出のときはその水噴出反力によってドレッサを上記弾性押圧力に逆って研削面から後退させ、ドレッシング装置を研削面から離間させドレッシング作業を停止させるようにしたガラス板の研削装置。
【請求項2】
研削ヘッド自体に、ドレッサを保持したドレッシング装置を設け、ドレッシング装置は、研削ホイールにおいて、ガラス板の研削を行う研削作業位置と異なる位置に設けられており、ドレッシング装置は、研削ホイールの研削面に対してドレッサの押し付け及び離間を行うようにしたガラス板の研削装置において、上記ドレッシング装置は、ドレッサを研削面に押し付けるように常に作用している押し付け手段と研削面に対面して設けられた水噴出口とを備えており、ON・OFFの指令信号による水噴出口からの水噴出の作用と、その水噴出の停止とにより研削面に対するドレッサの離間と押し付けを行うようにしたガラス板の研削装置。
【請求項3】
研削ヘッド自体に、ドレッサを保持したドレッシング装置を設け、ドレッシング装置は、研削ホイールにおいて、ガラス板の研削を行う研削作業位置と異なる位置に設けられており、ドレッシング装置は、研削ホイールの研削面に対してドレッサの押し付け及び離間を行うようにしたガラス板の研削装置において、上記ドレッシング装置は、ドレッサを研削面に押し付けるように常に作用している押し付け手段と研削面に対面して設けられた水噴出口とを備えており、ON・OFFの指令信号による水噴出口からの水噴出の作用と、その水噴出の停止とにより研削面に対するドレッサの離間と押し付けを行うようにしたガラス板の研削方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研削ホイールを備えた研削ヘッドによりガラス板の端面を研削するガラス板の研削方法及び研削装置に関する。
【0002】
また、本発明は、研削ヘッドの研削ホイールをドレッシングするドレッシング装置を備えたガラス板の研削装置に関する。
【0003】
更に、本発明は、研削ヘッドとドレッシング装置を一体として移動させながら、ガラス板の端面の研削を行うに適する研削方法及び研削装置に係る。
【0004】
更にまた、本発明は、ガラス板の端面をペンシルエッヂタイプ等の研削ホイールにより研削するに適する研削方法及び研削装置に係る。
【0005】
更に、本発明は、自動車の窓ガラスとして使用するガラス板の外周端面を研削生産するに適するガラス板の研削方法及び研削装置に係る。
【背景技術】
【0006】
従来、ガラス板の端面の研削作業において、研削ホイールのドレッシング作業は、別工程として行われていた。即ち、ドレッシング作業は、研削作業を一時中断したうえで、研削ホイールの研削面にスティック状のドレッサをエアシリンダ装置又は作業者の手作業により行われている。
【0007】
また、ドレッシング作業を作業者の手作業によらず、ドレッサを保持したエアシリンダ装置等からなるドレッシング装置であっても、研削ヘッドが移動して、ガラス板の周囲を研削するところのガラス板の研削装置等においては、ドレッシング装置は研削ヘッドから分離され、別体として、研削ヘッドの復帰位置等に配置されている。
【0008】
研削ヘッドが研削作業の移動から原点等に復帰し、停止したとき、余分の時間を執ってドレッシング作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平6−134669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、従来のドレッシング作業は、研削作業とは別工程において行われているため、研削作業を一時中断して行われなければならないため、中断分の時間がロスし、全体として研削作業の能率が悪くなっている。
【0011】
また、作業者の手作業によるドレッシング作業は安全面から問題がある。
【0012】
更に、研削ヘッドが移動して研削作業を行う研削装置にあっては、研削ヘッドが原点等に復帰、停止してのドレッシング作業にあっては、ドレッシング装置の動作のうえにドレッシング作業時間を要し、ロス時間となり、全体としての研削作業、能率が悪い。
【0013】
そこで、本発明は、頻繁にドレッシング作業が行われても、研削作業に全くロス時間を与えることのないガラス板の研削方法及び研削装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明は、研削ヘッドが、ガラス板の研削作業中、研削作業の中断中、研削作業を行わない移動中(原点復帰中、ガラス板への接近中)、停止中等のいずれの状態を問わず、かつ何時でも、研削ホイールの研削面のドレッシング作業を行い得、またドレッシング作業の中断が自由にできるガラス板の研削装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のガラス板の研削装置は、研削ヘッド自体に、ドレッサを保持したドレッシング装置を設け、ドレッシング装置は、研削ホイールにおいて、ガラス板の研削を行う研削作業位置と異なる位置に設けられており、上記ドレッシング装置は研削ホイールの研削面に向って弾性押圧力を受け、該研削ホイールの研削面に対して進退するように設けられ、更に上記ドレッシング装置には、上記研削ホイールの研削面に対して水噴出、水噴出の停止を行う水噴出口を備え、上記水噴出口からの水噴出の停止のときは、上記弾性押圧力によってドレッシング装置を研削面に接近させ、上記ドレッサを研削面に押し付けてドレッシング作業を進行し、水噴出のときはその水噴出反力によってドレッシング装置を上記弾性押圧力に逆って研削面から後退させ、ドレッサを研削面から離間させ、ドレッシング作業を停止させるようにしたものである。
【0016】
また、本発明のガラス板の研削装置は、研削ヘッド自体に、ドレッサを保持したドレッシング装置を設け、ドレッシング装置は、研削ホイールにおいて、ガラス板の研削を行う研削作業位置と異なる位置に設けられており、ドレッシング装置は、研削ホイールの研削面に対してドレッサの押し付け及び離間を行うようにしたガラス板の研削装置において、上記ドレッシング装置は、ドレッサを研削面に押し付けるように常に作用している押し付け手段と研削面に対面して設けられた水噴出口とを備えており、ON・OFFの指令信号による水噴出口からの水噴出の作用と、その水噴出の停止とにより研削面に対するドレッサの離間と押し付けを行うようにしたものである。
【0017】
更に、また本発明は、研削ヘッド自体に、ドレッサを保持したドレッシング装置を設け、ドレッシング装置は、研削ホイールにおいて、ガラス板の研削を行う研削作業位置と異なる位置に設けられており、ドレッシング装置は、ON・OFFの指令信号に基づいて、研削ホイールの研削面に対してドレッサの押し付け及び離間を行うようにしたガラス板の研削装置において、研削ヘッドがガラス板の研削作業中、研削作業の中断中、研削作業を行っていない移動中、停止中等のいずれの状態を問わず、ON・OFFの指令信号に基づいて、ドレッサを研削ホイールの研削面に対して押し付け及び離間を行い、研削面のドレッシング作業の進行及びドレッシング作業の中断をドレッシング装置により行わせるようにしたガラス板の研削方法である。
【0018】
更に、本発明は、研削ヘッド自体に、ドレッサを保持したドレッシング装置を設け、ドレッシング装置は、研削ホイールにおいて、ガラス板の研削を行う研削作業位置と異なる位置に設けられており、ドレッシング装置は、研削ホイールの研削面に対してドレッサの押し付け及び離間を行うようにしたガラス板の研削装置において、上記ドレッシング装置は、ドレッサを研削面に押し付けるように常に作用している押し付け手段と研削面に対面して設けられた水噴出口とを備えており、ON・OFFの指令信号による水噴出口からの水噴出の作用と、その水噴出の停止とにより研削面に対するドレッサの離間と押し付けを行うようにしたガラス板の研削方法である。
【0019】
尚、ドレッサは、ドレッシング用砥石のことである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、研削ホイールの研削面に対するドレッサの押し付け、離間の動作が、ドレッサを保持するドレッシング装置からの水噴出、水噴出停止によるため、水噴出量の調整により、ドレッサの押し付け力が調整できる。また、研削面に対するドレッサの押し付け、離間の動作距離が小さく、動作が確実となるように滑らかになる。
【0021】
また、本発明によれば、研削ヘッド自体にドレッシング装置を設け、ドレッシング装置は、研削ホイールにおいて、ガラス板の研削を行う研削作業位置と異なる位置に設けられており、ドレッシング装置は、ON・OFFの指令信号に基づいて、研削ホイールの研削面に対して接近及び離間を行い、接近によって研削面のドレッシング作業を、離間によってドレッシング作業を中断、中止を行うようにしたものであるため、研削ヘッドがガラス板の研削作業中、研削作業の中断中、研削作業を行わないで移動中(原点復帰中、ガラス板への接近中)、停止中等のいずれの状態を問わず、かつ何時でも自由に研削ホイールの研削面のドレッシング作業の進行を行い得、またドレッシング作業の停止ができる。
【0022】
このため、ドレッシング作業を別工程として行う必要なく、ガラス板の研削作業とドレッシング作業とが共存した状態にでき、従って、研削作業の一時中断等の時間ロスがなく、研削作業の効率が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、ガラス板の研削装置の全体正面説明図である。
図2図2は、図1に示す研削装置II−II線断面説明図である。
図3図3は、図1に示す研削ヘッドの要部の拡大縦断面説明図である。
図4図4は、図3に示す研削ヘッドの要部の水平断面説明図である。
図5図5は、図3に示す研削ヘッドの要部の拡大垂直断面説明図である。
図6図6は、図3に示す研削ヘッドのドレッシング装置の断面説明図である。
図7図7は、図6に示すドレッシング装置の平面説明図である。
図8図8は、一部を断面で示した図6及び図7のドレッシング装置の背面説明図である。
図9図9は、本発明の第2実施例のガラス板の研削装置を示す一部断面平面説明図である。
図10図10は、本発明の第3実施例のガラス板の研削装置において、研削ヘッド部の平図説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施例)
図1から図8において、研削ヘッド2を備えたガラス板5の研削装置1は、素板ガラスの入込み、切線形成、切線の通りの折割、折割されたガラス板外周の研削、外周研削されたガラス板5の取出しをひとつづきで行うようになっている。
【0025】
研削ヘッド2は、ガラス板5と共に数値制御されて平面座標系を移動し、研削ホイール3がガラス板5の外形ラインの法線方向を向くように角度制御されつつ、ガラス板5の外周を回り、ガラス板5の外周の端面の研削を行う。
【0026】
本研削装置1は、右側端のガラス板5の入込みポジション7から切線形成ポジション8、折割ポジション9、研削作業ポジション6、取出しポジション10が定間隔をおいて設けられている。各ポジション7、8、9、6、10の上方を直線に貫いてガラス板搬送装置11が設けられ、ガラス板搬送装置11によって、ガラス板5は入込みポジション7から各ポジション8、9、6、10に次々に順送りされる。
【0027】
切線形成ポジション8には、カッターヘッド69とガラス板5の支持テーブル68を備え、折割ポジション9には折割ヘッド67を備え、研削作業ポジション6には研削ヘッド2とガラス板5の吸着テーブル装置15とを備える。研削装置1は、正面において各ポジション7、8、9、6、10の上方を直線に貫いてX軸架台71が架設され、このX軸架台71の前面にX軸移動手段12が設けられている。X軸移動手段12は前面に数値制御されてX軸移動を行うと移動台13を備えている。移動台13には、切線形成ポジション8に対応してカッターヘッド69が、更に研削作業ポジション6に対応して研削ヘッド2が、夫々角度制御手段17、17を介して吊下げ的に取付けられている。
【0028】
従って、カッターヘッド69と研削ヘッド2とは、X軸移動する移動台13、延いてはX軸移動手段12を共用し、一体としてX軸移動を行う。
【0029】
カッターヘッド69と研削ヘッド2とは、夫々角度制御手段17、17を介して移動台13に取付けられており、夫々の角度制御手段17は同期制御されて角度制御運転され、カッターヘッド69と研削ヘッド2は同期、並行して角度制御回動を行う。
【0030】
切線形成ポジション8には、X軸移動手段12に直交して、Y軸移動手段14が機台72に配設され、Y軸移動手段14にガラス板5の支持テーブル68が取付けられ、Y軸移動する。研削作業ポジション6には、同じくY軸移動手段14がX軸移動手段12に直交して機台72に配設され、Y軸移動手段14にガラス板5を吸着する吸着テーブル装置15が取付けられ、Y軸移動する。切線形成ポジション8のY軸移動手段14と研削作業ポジション6のY軸移動手段14とは、同期制御駆動され、その結果、切線形成ポジションの支持テーブル68、延いては支持されたガラス板5と研削作業ポジション6の吸着テーブル装置15、延いては吸着されたガラス板5とは同期、並行してY軸移動を行う。
【0031】
切線形成ポジション8のカッターヘッド69及びガラス板5と、研削作業ポジション6の研削ヘッド2及びガラス板5とは、同時並行して数値制御された平面座標系移動と、カッターヘッド69及び研削ヘッド2の角度制御回動とが行われ、切線形成ポジション8ではガラス板5の輪郭切線の形成が、研削作業ポジション6では、ガラス板5の外周の端面の研削が行われる。
【0032】
X軸移動手段12は、X軸架台71の前面にX軸方向に沿って敷設されたガイドレール18とガイドレール18に保持されX軸方向に移動自在の移動台13とこの移動台13をX軸移動させる送りネジ19と送りネジ19を駆動するX軸サーボモータ20とよりなる。
【0033】
研削作業ポジション6でのY軸移動手段14は、図2に示すように機台72の上面にY軸方向に沿って敷設されたガイドレール21とガイドレール21に保持されY軸方向に移動自在の吸着テーブル装置15と吸着テーブル装置15をY軸移動させる送りネジ22と送りネジ22を駆動するY軸サーボモータ23とを備え、吸着テーブル装置15の上面に複数個の吸盤16が配置されている。研削作業ポジション6に搬入されたガラス板5は吸盤16の上面に水平に載置され、吸着され、吸着テーブル装置15と共にY軸移動する。
【0034】
X軸移動手段12の移動台13に取付けられ、研削ヘッド2を角度制御回動させる角度制御手段17は、回転軸24を備え、回転軸24を水平回動自在に保持する軸受装置25と、回転軸24の上端部において平歯車のかみ合わせを介して連結された角度制御サーボモータ26と、下端部27において研削ヘッド2を回転軸24と一体となって水平回動するように取付けるブラケット28とを備える。
【0035】
角度制御手段17は、軸受装置25において、X軸移動する移動台13に取付けられている。回転軸24はその軸心36がX−Y平面座標系に対して、即ち、ガラス板5の上面に対して直交して組込まれている。
【0036】
研削ヘッド2は、回転軸24の下端部27において、回転軸24を側方からつかみ固定するブラケット28に取付けられている。
【0037】
研削ヘッド2は、回転軸24の下端部27のブラケット28に吊下げ的に強固に取付けられたX方向ブラケット29と、X方向ブラケット29に取付けられたX方向スライド装置30と、X方向スライド装置30に取付けたY方向ブラケット31と、Y方向ブラケット31に設けたY方向スライド装置32と、Y方向スライド装置32に取付けた上下方向スライド装置33と、上下方向スライド装置33に上下方向に沿って取付けたスピンドルモータ34と、スピンドルモータ34の回転シャフト35に取付盤37を介して装着された研削ホイール3と、研削ホイール3をその研削作業部を除き囲むが如くスピンドルモータ34及び上下方向スライド装置33から突設されたガバーブラケット48とを備える。
【0038】
研削ヘッド2は、角度制御手段17の回転軸24に取付けられ、回転軸24と一体となって、かつ回転軸24の軸心36を中心として角度制御されて水平回動される。
【0039】
軸心36の延長線と研削ホイール3の研削面4との交わる部分が研削作業点Aである。研削ホイール3は研削作業点Aを中心に角度制御された回動(首振り)をされ、ガラス板5の外形ライン(プログラム輪郭ライン)での法線方向に研削ホイール3の回転心が位置するように、研削作業点Aをガラス板5の周線部を移動させてガラス板5の周囲を研削する。
【0040】
研削ヘッド2は、研削ホイール3において、ガラス板5を研削する研削作業点Aと反対側Bにおいて、研削ホイール3の研削面4のドレッシング作業を行うドレッシング装置40を備える。研削ヘッド2は、反対側Bにドレッシング装置40を備える代わりに、その他の位置、即ち研削作業点Aと異なる位置にドレッシング装置40を備えていてもよい。
【0041】
ドレッサ41を保持しているドレッシング装置40は、ONの指令信号に基づく作用によって、研削ホイール3の研削面4に接近し、接近しつづけ、OFFの指令信号に基づく作用によって研削面4から離れる。
【0042】
ドレッシング装置40は、研削ホイール3、延いては、研削面4への接近において、保持したドレッサ41を研削面4に押し付けドレッシング作業を進行し、研削面4からの離れにおいて、ドレッサ41を研削面4から離間し、ドレッシング作業を中断又は停止する。
【0043】
本実施例において、ドレッシング装置40を研削ホイール3の研削面4に接近及び離間させるとは、ドレッシング装置40のドレッサホルダ42及び本体43を接近及び離間させることである。これによってドレッサホルダ42に挟持されたドレッサ41を研削面4に対し押し付け及び離間させる。
【0044】
ドレッシング装置40は、スティック状のドレッサ41をホイール3の研削面4に向って突出された状態でその元部を挟持するドレッサホルダ42と、ドレッサホルダ42が先端にボルト固定された本体43と、本体43においてドレッサホルダ42を研削ホイール3の研削面4に対して水平に進退自在のスイング回動するように保持する枢支装置44と、ドレッサホルダ42のドレッサ41を研削ホイール3の研削面4に弾性押し付けするように、本体43とスピンドルモータ34に固定のカバーブラケット48との間に掛け渡された引張りコイルバネ45と、研削ホイール3の研削面4に押し付けられたドレッサ41を引張りコイルバネ45の引張りバネ力に逆って引き離すためにドレッサホルダ42に設けられた水噴出口46から研削ホイール3の外周に対して水噴出を行うドレッサ41の引き離し装置47と、引き離し装置47における水噴出と水噴出の停止とを切り換えする切換バルブ(図示せず)と、この切換バルブを開閉すON・OFFの指令信号を出力する出力装置(図示せず)とよりなる。切換バルブは、ONの指令信号により「閉」の状態となり、OFFの指令信号により「開」の状態となるようにしてある。
【0045】
ONの指令信号の出力の状態で、ドレッサホルダ42のコ字形室56の内からの水噴出が止み、引張りコイルバネ45の引張りバネ力によりドレッサホルダ42が研削ホイール3に引き寄せられて接近し、ドレッサ41が研削面4に押し付けられる。
【0046】
OFFの指令信号の出力状態で、コ字形室56内からの水噴出が起き、水噴出の反力水圧によりドレッサホルダ42が、引張りコイルバネ45の引張力に逆って研削ホイール3から離され、ドレッサ41は研削面4から離間される。
【0047】
ボルト固定により一体となったドレッサホルダ42及び本体43をスイング回動自在に保持する枢支装置44は、スピンドルモータ34に固定されたカバーブラケット48から下向に突設されたシャフト49を備え、シャフト49の下端部に滑りブッシュ又はベアリングを介して本体43を取付けたものである。ストッパー50は、ドレッサホルダ42及び本体43の研削ホイール3への接近し過ぎを防止するように、本体43に接触して本体43のそれ以上の回転を阻止するようになっている。
【0048】
ドレッサホルダ42は、互いに合体された上下の段付押え体51からなる。ドレッサ41の挟持は、上下の段付押え体51と51の間にそのドレッサ41の元部を差入れ、上下の段付押え体51のボルト締結による。
【0049】
段付押え体51の夫々は、L字形状であって、外側面は平面となり、内方は低い段面部52と高い段面部53とに形成され、高い段面部53にスティック状のドレッサ41の巾に沿った凹み段54が形成されている。
【0050】
ドレッサ41を挟持しての上下の段付押え体51の合体は、ドレッサ41を夫々の段付押え体51の凹み段54にドレッサ41の元部を差入れ、夫々高い段面部53どうしを対面合体して行う。形成されたドレッサホルダ42には、正面側に上下に壁体55を有し、正面に開口したコ字形室56が形成される。コ字形室56を形成する上下の壁体55は段付押え体51の夫々の低い段面部52から形成されている。
【0051】
コ字形室56の底壁57は、段付押え体51の夫々の高い段面部53及び53の前面により形成される。
【0052】
コ字形室56には、上下の壁体55と平行し、かつ上下の壁体55から中間位置において、底壁57から突設してドレッサ41が位置する。
【0053】
上下の段付押え体51との内向対面しての締結によって形成されたコ字形室56の底壁57には、水が噴出する水噴出口46が開口している。
【0054】
水噴出口46は、一方の段付押え体51内に設けられた通穴58から本体43内に設けた通穴59に通じている。
【0055】
本体43内の通穴59は、本体43の上面に開口し、開口部に螺着した管継手60及び管継手60に接続のホース61を介して研削ヘッド2外に設置された切換バルブ(図示せず)を経て水送りポンプ(図示せず)に接続されている。
【0056】
ドレッシング装置40のドレッサ41を研削面4から離し、ドレッシング作業を停止するとき、研削ホイール3の研削面4に押し付けされたドレッサ41、延いてはドレッサホルダ42を引張りコイルバネ45の引張りバネ力に逆って引き離す引き離し装置47は、ドレッサホルダ42の水噴出口46、一方の段付押え体51内に設けた通穴58、本体43内に設けた通口59、管継手60、ホース61、切換バルブ、水送りポンプよりからなる。
【0057】
ドレッサ41の研削面4からの離間及び離間状態の維持は、ドレッシング装置40自体から研削ホイール3に対して、水噴出当てによって行われる。また水噴出力を弱くすることにより、水フローティングでのドレッシング作業を行い得る。
【0058】
ガラス板5の研削作業側には、研削ホイール3の研削作業点Aへ研削液を供給する研削液供給装置62が設けられている。
【0059】
研削液供給装置62は、研削液スプレー部63を備え、研削液スプレー部63は、カバーブラケット48に取付けられている。もちろん、研削液スプレー部63は、ホース等を介してポンプ(図示せず)に連結されている。
【0060】
研削装置1によると、研削ヘッド2自体にドレッサを保持したドレッシング装置40を設け、ドレッシング装置40は、研削ホイール3において、ガラス板5の研削を行う研削作業点Aの反対側Bに設けられ、かつドレッシング装置40はON・OFFの指令信号に基づいて、研削ホイール3の研削面4に対してドレッサ41の押し付け及び離間を行うようになっているため、研削ヘッド2がガラス板5の研削作業中、研削作業を行わない移動中、停止中等のいずれの状態を問わず(に関係なく)、いつでも研削ホイール3の研削面4のドレッシング作業を進行させることができ、また、ドレッシング作業の中断、停止もできる。
【0061】
即ち、例えば、研削ホイール3の前部においてガラス板5の研削作業を進めながら、後方において、研削ホイール3の研削面4のドレッシング作業を並行して進めることができるため、ガラス板5の研削作業とドレッシング作業とを同時に共存状態におくことができる。一連の研削工程において必ず存在する研削ヘッド2の研削作業の途切れ時間中、研削ヘッド2の空移動中、停止中においても、自由にドレッシング作業が行えるため、別工程のドレッシング作業は不要となる。
【0062】
よって、研削作業を中断、その他の動作時間の延長等のロス時間がなくなり、研削効率が高くなる。また、ドレッシング作業の続行時間の調整、開始、中断のタイミングが、研削作業中、研削ヘッド2の移動中等にかかわらず、自由に、かつ、適切に行い得るため、常に研削面4がリフレッシュされ得、また、ドレッサ41の無駄な消耗を避けることができる。
【0063】
(第2実施例)
図9において、本発明に従う研削ヘッド102を備えた研削装置100は、上面にガラス板5を吸着して水平回転するテーブル装置80と、側方からテーブル装置80に対して直線進退移動を行う研削ヘッド102とを備えており、テーブル装置80は、数値制御されて水平回転し、研削ヘッド102は、数値制御されて直線的に進退移動して、研削ヘッド102の研削ホイール103の研削面104をガラス板5の周縁エッヂ101に追従させて、ガラス板5の端面の研削を行うようになっている。
【0064】
研削ヘッド102は、テーブル装置80の上方において、テーブル装置80の側方からテーブル装置80に至って架設されたフレーム89に設けられた直線移動手段83の移動台84に上下スライド装置88を介して取付けられている。
【0065】
直線移動手段83は、フレーム89に敷設したガイドレール85とガイドレール85に保持され直線移動自在の移動台84と移動台84を移動させる送りネジ86と送りネジ86を駆動するサーボモータ87とよりなる。
【0066】
テーブル装置80は、機台90に設置され、サーボモータに連結された回転装置81の出力軸に連結されている。
【0067】
研削ヘッド102は、スピンドルモータ106とスピンドルモータ106の回転シャフト(図示せず)の下端部にアダプター(図示せず)を介して装着された研削ホイール103とを備える。
【0068】
研削ヘッド102は、スピンドルモータ106において、上下スライド装置88を介して移動台84に取付けられている。スピンドルモータ106は、研削ホイール103を下に備え、上下方向に沿って取付けられ、研削ホイール103は、水平姿勢にして、ガラス板5と同一平面上に位置する。
【0069】
スピンドルモータ106には、カバーブラケット105が取付けられている。カバーブラケット105は、第1実施例の研削装置1において、スピンドルモータ34に取付けられたカバーブラケット48と略々同一構造となっている。
【0070】
研削ヘッド102は、研削ホイール103において、ガラス板5を研削する研削作業側Cの反対側Dにおいて、研削ホイール103の研削面104のドレッシング作業を行うドレッシング装置108を備える。
【0071】
ドレッサ109を保持しているドレッシング装置108は、ONの指令信号に基づく作用によって、研削ホイール103の研削面104に接近し、OFFの指令信号に基づく作用によって研削面104から離れる。
【0072】
ドレッシング装置108は研削面104への接近において、保持したドレッサ109を研削面104に押し付けてドレッシング作業を行い、研削面104からの離反において、ドレッサ109を研削面104から離間させて、ドレッシング作業を中断又は停止させる。
【0073】
ドレッシング装置108の機構及び動作は、第1実施例におけるドレッシング装置40の機構、動作と同一であり、ドレッシング装置108とカバーブラケット105との取付け関係もまた、第1実施例と同一である。
【0074】
(第3実施例)
図10において、本発明に従う研削ヘッド112を備えた研削装置110は、ガラス板5が上下からベルトコンベアにより挟持され、又は吸引する吸盤に下面が吸着されて直線搬送され、直線搬送中のガラス板5の側方において固定して配置された研削ヘッド112、延いては研削ホイール113により、ガラス板5の側端面を直線研削するようになっている。
【0075】
研削ヘッド112、延いては、研削ホイール113の前部Gをガラス板5の側端面が直進通過し、研削ホイール113が前部Gにおいてガラス板5の側端面を直線研削する。
【0076】
研削ヘッド112は、スピンドルモータ115と、スピンドルモータ115の回転シャフト(図示せず)の下端部(図示せず)に取付けた研削ホイール113とを備える。
【0077】
研削ヘッド112は、スピンドルモータ115において機台118から立設された立上り体119に切込みスライド装置111及び上下方向スライド装置116を介して取付けられている。
【0078】
スピンドルモータ115は、研削ホイール113を下にし、上下方向に沿って取付けられている。研削ホイール113は水平姿勢である。
【0079】
スピンドルモータ115には、カバーブラケット122が取付けられている。カバーブラケット122は、第1実施例の研削装置1において、スピンドルモータ34に取付けられたカバーブラケット48と略々同一構造となっている。
【0080】
研削ホイール113は、前部Gで直進するガラス板5の側端部と接し、前部Gは、研削作業を行っている点である研削作業点Eである。
【0081】
研削ヘッド112は、研削ホイール113において、ガラス板5を研削する研削作業点Eの反対側Fにおいて、研削ホイール113の研削面114に対してドレッシング作業を行うドレッシング装置120を備える。
【0082】
ドレッサ121を保持しているドレッシング装置120は、ONの指令信号に基づく作用によって、研削ホイール113の研削面114に接近し、OFFの指令信号に基づく作用によって研削面114から離れるようになっている。
【0083】
ドレッシング装置120は、研削面114への接近において、保持したドレッサ121を研削面114に押し付けドレッシング作業を行い、研削面114からの離間において、ドレッシング作業を中断又は停止させる。
【0084】
ドレッシング装置120の機構及び動作は、第1実施例におけるドレッシング装置40の機構、動作と同一であり、ドレッシング装置120とカバーブラケット122との取付け関係もまた第1実施例と同一である。
【符号の説明】
【0085】
1 研削装置
5 ガラス板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10