特許第5967214号(P5967214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967214
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】バッテリ温調装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/663 20140101AFI20160728BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/6565 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/637 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/6571 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20160728BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20160728BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20160728BHJP
   B60K 11/06 20060101ALI20160728BHJP
   B60K 1/04 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   H01M10/663
   H01M10/613
   H01M10/625
   H01M10/6565
   H01M10/6551
   H01M10/615
   H01M10/637
   H01M10/6571
   H01M10/633
   H01M10/617
   H01M10/6557
   H01M10/647
   H01M2/10 S
   B60L11/18 Z
   B60K11/06
   B60K1/04 Z
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-544439(P2014-544439)
(86)(22)【出願日】2013年10月21日
(86)【国際出願番号】JP2013078455
(87)【国際公開番号】WO2014069270
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2015年1月19日
(31)【優先権主張番号】特願2012-243400(P2012-243400)
(32)【優先日】2012年11月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(74)【代理人】
【識別番号】100180068
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 怜史
(72)【発明者】
【氏名】八田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】楊 チイ曄
【審査官】 稲葉 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−116321(JP,A)
【文献】 特開2004−288527(JP,A)
【文献】 特開2010−129392(JP,A)
【文献】 特開2012−23141(JP,A)
【文献】 特開2011−134615(JP,A)
【文献】 特開2011−41357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K1/00−1/04,
B60K11/00−15/10,
B60L1/00−3/12,
B60L7/00−13/00,
B60L15/00−15/42,
H01M10/52−10/667,
H05K7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールの温度を調整する温調ユニットと、
前記バッテリモジュール及び前記温調ユニットを収納するバッテリパックケースと、
を備えたバッテリ温調装置において、
前記温調ユニットは、風流れ方向の上流側から、車室内エアコンの冷媒を用いて熱交換を行うエバポレータと、パックケース内気を循環させる送風機と、フィン部材と、前記バッテリモジュールへ風を送るダクトと、を有する
ことを特徴とするバッテリ温調装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたバッテリ温調装置において、
前記フィン部材は、網状フィンを有するPTCヒータである
ことを特徴とするバッテリ温調装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたバッテリ温調装置において、
前記バッテリパックケースは、車両の床下位置に配置されている
ことを特徴とするバッテリ温調装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか1項に記載されたバッテリ温調装置において、
前記送風機は、防水構造によるブロアファンである
ことを特徴とするバッテリ温調装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか1項に記載されたバッテリ温調装置において、
前記エバポレータは、パックケース内側面と略平行かつ対面するように一方のコア面を配置し、
前記送風機は、前記エバポレータの他方のコア面とサクション側が略平行かつ対面するように配置した
ことを特徴とするバッテリ温調装置。
【請求項6】
請求項3に記載されたバッテリ温調装置において、
前記バッテリパックケースは、車両前後方向の略中央の床下位置に配置し、
前記温調ユニットは、前記バッテリパックケース内のうち、車両前方のモータルームに配置したエアコンコンプレッサに近い側の位置に配置した
ことを特徴とするバッテリ温調装置。
【請求項7】
請求項6に記載されたバッテリ温調装置において、
前記エバポレータは、前記送風機よりも車両前方位置に配置した
ことを特徴とするバッテリ温調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリパックケースに収容されたバッテリモジュールの温度調整を行うバッテリ温調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エバポレータで発生する凝縮水を排水させるために、エバポレータを傾け排水ドレンを設けた構造が開示された車両用バッテリ冷却システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−54379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の車両用バッテリ冷却システムにあっては、排水ドレンを設けた構造としているため、排水ドレンから水、埃、泥等の異物が入ってしまい、バッテリ電極に到達すると電極短絡が発生するおそれがある、という問題があった。また、このような問題を回避するために、排水ドレンを設けない場合には、エバポレータで発生した凝縮水がバッテリモジュールの電極まで届いてしまう、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、温調ユニットのエバポレータで発生した凝縮水が、バッテリモジュールの電極まで届いてしまうのを防止するバッテリ温調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のバッテリ温調装置は、バッテリモジュールと、前記バッテリモジュールの温度を調整する温調ユニットと、前記バッテリモジュール及び前記温調ユニットを収納するバッテリパックケースと、を備える。
前記温調ユニットは、風流れ方向の上流側から、車室内エアコンの冷媒を用いて熱交換を行うエバポレータと、パックケース内気を循環させる送風機と、フィン部材と、前記バッテリモジュールへ風を送るダクトと、を有する。
【発明の効果】
【0007】
よって、エバポレータにて凝縮水が発生した場合においては、エバポレータの下流位置に送風機とフィン部材を配置しているため、エバポレータから送られる細粒状の凝縮水が、送風機やフィン部材に付着して蒸発することによりブロックされる。また、エバポレータの下流位置に送風機とフィン部材とダクトとを設けることで、エバポレータからバッテリ電極までの距離が確保されるため、凝縮水がバッテリの電極に届きにくくなる。
すなわち、凝縮水ブロック作用に凝縮水の電極付着遅延作用が加わることで、凝縮水がフィン部材の下流位置に配置されたバッテリモジュールに到達することがない。
この結果、温調ユニットのエバポレータで発生した凝縮水が、バッテリモジュールの電極まで届いてしまうのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPが搭載された電気自動車を示す概略側面図である。
図2】実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPが搭載された電気自動車を示す概略底面図である。
図3】実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPを示す全体斜視図である。
図4】実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPを示すバッテリパックケースアッパーカバーを外した斜視図である。
図5】実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPのケース内部空間の領域区分構成を示す平面図である。
図6】実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPの内部構成と温調風の流れを示すバッテリパックケースアッパーカバーを外した平面図である。
図7】温調ユニット周囲における温調構成と温調風の流れを示す図6のA部拡大図である。
図8】実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPに搭載された温調ユニットのPTCヒータの一例を示す図である。
図9】実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPに搭載された温調ユニット及び配風ダクトを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のバッテリ温調装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0010】
まず、構成を説明する。
実施例1のバッテリ温調装置における構成を、「バッテリパックBPの車載構成」、「バッテリパックBPの全体詳細構成」、「パックケース内部空間の領域区分構成」、「バッテリ温調装置の詳細構成」に分けて説明する。
【0011】
[バッテリパックBPの車載構成]
図1及び図2は、実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPが搭載された電気自動車を示す。以下、図1及び図2に基づき、バッテリパックBPの車載構成を説明する。
【0012】
前記バッテリパックBPは、図1に示すように、フロアパネル100の下部である床下のホイールベース中央部位置に配置される。フロアパネル100は、モータルーム101と車室102を画成するダッシュパネル104との接続位置から車両後端位置まで設けられ、車両前方から車両後方までのフロア面凹凸を抑えたフラット形状としている。車室102には、インストルメントパネル105と、センターコンソールボックス106と、エアコンユニット107と、乗員シート108と、を有する。なお、車両前方のモータルーム101には、エアコンユニット107で用いる冷媒を圧縮するエアコンコンプレッサ103が配置される。
【0013】
前記バッテリパックBPは、図2に示すように、車体強度部材である車体メンバに対して8点支持される。車体メンバは、車両前後方向に延びる一対のサイドメンバ109,109と、一対のサイドメンバ109,109を車幅方向に連結する複数のクロスメンバ110,110,…と、を有して構成される。バッテリパックBPの両側は、一対の第1サイドメンバ支持点S1,S1と一対の第1クロスメンバ支持点C1,C1と一対の第2サイドメンバ支持点S2,S2により6点支持される。バッテリパックBPの後側は、一対の第2クロスメンバ支持点C2,C2により2点支持されている。
【0014】
前記バッテリパックBPは、図1に示すように、ダッシュパネル104に沿って車両前後方向に配索した充放電ハーネス111を介し、モータルーム101に配置されている強電モジュール112(DC/DCコンバータ+充電器)と接続される。このモータルーム101には、強電モジュール112以外に、インバータ113と、モータ駆動ユニット114(走行用モータ+減速ギヤ+デファレンシャルギヤ)と、を有する。また、車両前面位置には、充電ポートリッドを有する充電ポート115(急速充電/普通充電)が設けられ、充電ポート115は、充電ハーネス117により強電モジュール112に接続される。
【0015】
前記バッテリパックBPは、図外のCANケーブル等の双方向通信線を介し、外部の電子制御システムと接続されるとともに、インストルメントパネル105内に配置されているエアコンユニット107を備えた車載空調システムと接続される。すなわち、バッテリ放電制御(力行制御)やバッテリ充電制御(急速充電制御・普通充電制御・回生制御)等が行われるとともに、バッテリパックBPの内部温度(バッテリ温度)が、冷風及び温風による温調風によって管理制御される。
【0016】
[バッテリパックBPの全体詳細構成]
図3及び図4は、実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPの詳細を示す。以下、図3及び図4に基づき、バッテリパックBPの全体詳細構成を説明する。
【0017】
実施例1のバッテリパックBPは、図3及び図4に示すように、バッテリパックケース1と、バッテリスタック2と、温調ユニット3と、サービス・ディスコネクト・スイッチ4(強電遮断スイッチ:以下、「SDスイッチ」という。)と、ジャンクションボックス5と、リチウムイオン・バッテリ・コントローラ6(以下、「LBコントローラ」という。)と、を備えていている。
【0018】
前記バッテリパックケース1は、図3及び図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11とバッテリパックアッパーカバー12の2部品によって構成される。そして、バッテリパックロアフレーム11とバッテリパックアッパーカバー12の外周縁に沿って連続する環状のシール部材を介装し、2部品をボルト締結により固定することで、外部からの水浸入を阻止する水密構造とされている。
【0019】
前記バッテリパックロアフレーム11は、図4に示すように、車体メンバに対し支持固定されるフレーム部材である。このバッテリパックロアフレーム11には、バッテリスタック2や他のパック構成要素3,4,5,6を搭載する方形凹部空間を有する。このバッテリパックロアフレーム11のフレーム前端縁には、冷媒管コネクタ端子13と充放電コネクタ端子14と強電コネクタ端子15(車室内空調用)と弱電コネクタ端子16とが取り付けられている。
【0020】
前記バッテリパックアッパーカバー12は、図3に示すように、バッテリパックロアフレーム11を水密状態で覆うカバー部材である。このバッテリパックアッパーカバー12には、バッテリパックロアフレーム11に搭載される各パック構成要素2,3,4,5,6のうち、特にバッテリスタック2の凹凸高さ形状に対応した凹凸段差面形状によるカバー面を有する。
【0021】
前記バッテリスタック2(=バッテリモジュール群)は、図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11に搭載され、第1バッテリスタック21と第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23との3分割スタックにより構成される。各バッテリスタック21,22,23は、二次電池(リチウムイオンバッテリ等)によるバッテリモジュール(=バッテリ単位)を複数積み重ねた積層体構造である。各バッテリスタック21,22,23の詳しい構成は、下記の通りである。
【0022】
前記第1バッテリスタック21は、図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち車両後部領域に搭載される。この第1バッテリスタック21は、厚みが薄い直方体形状のバッテリモジュールを構成単位とし、複数個のバッテリモジュールを厚み方向に積み重ねたものを用意しておく。そして、バッテリモジュールの積み重ね方向と車幅方向を一致させて搭載する縦積み(例えば、20枚縦積み)により構成している。
【0023】
前記第2バッテリスタック22と前記第3バッテリスタック23のそれぞれは、図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち、第1バッテリスタック21より前側の車両中央部領域に車幅方向に左右分かれて一対搭載される。この第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23は、全く同じパターンによる平積み構成としている。すなわち、厚みが薄い直方体形状のバッテリモジュールを構成単位とし、複数枚(例えば、4枚と5枚)のバッテリモジュールを厚み方向に積み重ねたものを複数個(例えば、4枚積みを1組、5枚積みを2組)用意しておく。そして、バッテリモジュールの積み重ね方向と車両上下方向を一致させた平積み状態としたものを、例えば、車両後方から車両前方に向かって順に4枚平積み・5枚平積み・5枚平積みというように、車両前後方向に整列させることで構成している。第2バッテリスタック22は、図4に示すように、前側バッテリスタック部22a,22bと、前側バッテリスタック部22a,22bより高さ寸法がさらに1枚分低い後側バッテリスタック部22cと、を有する。第3バッテリスタック23は、図4に示すように、前側バッテリスタック部23a,23bと、前側バッテリスタック部23a,23bより高さ寸法がさらに1枚分低い後側バッテリスタック部23cと、を有する。
【0024】
前記温調ユニット3は、図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち車両前側空間の右側領域に配置され、バッテリパックBPの後述する配風ダクト9に温調風(冷風、温風)を送風する。
【0025】
前記SDスイッチ4は、図3及び図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち車両前側空間の中央部領域に配置され、手動操作によりバッテリ強電回路を機械的に遮断するスイッチである。バッテリ強電回路は、内部バスバーを備えた各バッテリスタック21,22,23と、ジャンクションボックス5と、SDスイッチ4と、を互いにバスバーを介して接続することで形成される。このSDスイッチ4は、強電モジュール112やインバータ113等の点検や修理や部品交換等を行う際、手動操作によりスイッチ入とスイッチ断が切り替えられる。
【0026】
前記ジャンクションボックス5は、図3及び図4に示すように、バッテリパックロアフレーム11のうち車両前側空間の左側領域に配置され、リレー回路により強電の供給/遮断/分配を集中的に行う。このジャンクションボックス5には、温調ユニット3の制御を行う温調用リレー51と温調用コントローラ52が併設されている。ジャンクションボックス5と外部の強電モジュール112は、充放電コネクタ端子14と充放電ハーネス111を介して接続される。ジャンクションボックス5と外部の電子制御システムは、弱電ハーネスを介して接続される。
【0027】
前記LBコントローラ6は、図4に示すように、第1バッテリスタック21の左側端面位置に配置され、各バッテリスタック21,22,23の容量管理・温度管理・電圧管理を行う。このLBコントローラ6は、温度検出信号線からの温度検出信号、バッテリ電圧検出線からのバッテリ電圧検出値、バッテリ電流検出信号線からのバッテリ電流検出信号に基づく演算処理により、バッテリ容量情報やバッテリ温度情報やバッテリ電圧情報を取得する。そして、LBコントローラ6と外部の電子制御システムは、リレー回路のオン/オフ情報やバッテリ容量情報やバッテリ温度情報等を伝達する弱電ハーネスを介して接続される。
【0028】
[パックケース内部空間の領域区分構成]
図5は、実施例1のバッテリ温調装置を採用したバッテリパックBPのケース内部空間の領域区分構成を示す。以下、図5に基づき、パックケース内部空間の領域区分構成を説明する。
【0029】
実施例1のバッテリパックBPは、図5に示すように、バッテリパックケース1の内部空間を、車幅方向に引かれる境界線Lを隔てて、車両後方側のバッテリモジュール搭載領域7と車両前方側の電装品搭載領域8の2つの車両前後方向領域に分けている。バッテリモジュール搭載領域7は、車両後方端から車両前方寄りの境界線Lまでのケース内部空間の大半の領域を占有する。電装品搭載領域8は、車両前方端から車両前方寄りの境界線Lまでのバッテリモジュール搭載領域7より狭い領域を占有する。
【0030】
前記バッテリモジュール搭載領域7は、T字通路(中央通路36と横断通路37)により第1分割矩形領域71と第2分割矩形領域72と第3分割矩形領域73の三つの分割矩形領域に区分される。第1分割矩形領域71には、一側面にLBコントローラ6を有する第1バッテリスタック21が搭載される。第2分割矩形領域72には、第2バッテリスタック22が搭載される。第3分割矩形領域73には、第3バッテリスタック23が搭載される。
【0031】
前記電装品搭載領域8は、車幅方向に分けられた第1区分領域81と第2区分領域82と第3区分領域83の三つの区分領域に分けられる。第1区分領域81から第2区分領域82の下部にかけては、温調ユニット3が搭載される。第2区分領域82の上部には、SDスイッチ4が搭載される。第3区分領域83には、ジャンクションボックス5が搭載される。
【0032】
前記バッテリパックBPのバッテリモジュール搭載領域7には、温調ユニット3に接続される配風ダクト9(図6及び図9参照)の配置を確保するとともに、温調風の内部循環を確保する温調風通路を形成している。この温調風通路は、各バッテリスタック21,22,23を分割矩形領域に搭載したときの隙間を利用したもので、車両前後方向の中央通路36と、該中央通路36に交差する車幅方向の横断通路37と、流れ込んできた温調風を温調ユニット3に戻す環状通路38と、を有する。中央通路36は、第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23の対向面に隙間を持たせることで形成される。横断通路37は、第1バッテリスタック21と第2,第3バッテリスタック22,23の対向面に隙間を持たせることで形成される。環状通路38は、バッテリパックロアフレーム11と各パック構成要素2,3,4,5,6との間に隙間余裕を持たせることで形成される。なお、温調風通路としては、中央通路36と横断通路37と環状通路38以外に、ケース内部空間にパック構成要素2,3,4,5,6を搭載することにより形成される隙間や間隔や空間も含まれる。
【0033】
[バッテリ温調装置の詳細構成]
図6図9は、バッテリパックBPに搭載された実施例1のバッテリ温調装置の詳細を示す。以下、図6図9に基づき、バッテリ温調装置の詳細構成を説明する。
【0034】
前記バッテリ温調装置は、図6に示すように、第1バッテリスタック21と、第2バッテリスタック22と、第3バッテリスタック23と、温調ユニット3と、配風ダクト9と、を備える。
【0035】
前記第1バッテリスタック21は、バッテリパックケース1の内部空間の車両後方領域に収納配置される。前記第2,第3バッテリスタック22,23は、バッテリパックケース1の内部空間のうち、第1バッテリスタック21よりも車両前方領域に収納配置されるとともに、スタックの高さ寸法が第1バッテリスタック21よりも低く設定される。
【0036】
前記温調ユニット3は、図7に示すように、ユニットケース31の内部に、風流れ方向の上流側から、エバポレータ32と、ブロアファン33(送風機)と、PTCヒータ34(フィン部材)と、を有して構成される。この温調ユニット3は、車両前後方向の略中央の床下位置に配置されたバッテリパックケース1の内部空間のうち、車両前方のモータルーム101に配置されたエアコンコンプレッサ103に近い側の位置に配置される。
【0037】
前記ユニットケース31は、電装品搭載領域8のうち、隅部の第1区分領域81に配置され、その吐出口にユニットダクト35が接続される。このユニットダクト35は、車幅方向から車両前後方向へと曲がるL字形状とされ、中央通路36に臨む端部位置に、配風ダクト9が接続される配風口35aを有する。
【0038】
前記エバポレータ32は、エアコンユニット107(車室内エアコン)の冷媒を用いて熱交換を行い、通過する空気から熱を奪って冷風を作り出す。エアコンユニット107からの冷媒は、フレーム前端縁に取り付けられた冷媒管コネクタ端子13を介して、エバポレータ32に導入される。このエバポレータ32は、図7に示すように、ブロアファン33よりも車両前方位置に配置され、車両前方のフレーム内側面11a(パックケース内側面)と略平行かつ対面するように一方のコア面32aを配置している。
【0039】
前記ブロアファン33は、パックケース内気を循環させるもので、ブロアモータを水から隔離する防水構造を有する。このブロアファン33は、図7に示すように、エバポレータ32の他方のコア面32bとサクション側33a(=吸込み側)が略平行かつ対面するように配置している。
【0040】
前記PTCヒータ34は、PTCサーミスタ(Positive Temperature Coefficient Thermistor)と呼ばれるセラミック素子(PTC素子)を用い、PTC素子に電流を流すと発熱し、通過する空気に熱を与えて温風を作り出す。このPTCヒータ34は、PTC素子の発熱量を大きくするための放熱用フィンを備えたフィンタイプPTCヒータであり、例えば、図8に示すように、ヒータフレーム34aと、PTC素子34bと、網状フィン34cと、を有して構成される。
【0041】
前記配風ダクト9は、図6に示すように、一端がユニットダクト35の配風口35aに接続され、T字隙間スペース域に配置された等幅ダクト部92と拡幅ダクト部93を介して、他端に車両後方に向けて温調風を吹き出す吹き出し開口91が形成される。
【0042】
前記吹き出し開口91は、第2,3バッテリスタック22,23の上面よりも車両上方に突出した第1バッテリスタック21のスタック正面上部域21a(図4参照)に沿って車幅方向に延在して対向配置される。
【0043】
前記等幅ダクト部92は、ユニットダクト35の配風口35aに接続され、図9に示すように、車幅方向の寸法が一定の縦長断面形状を持ち、車両前後方向に延設される。この等幅ダクト部92の配置には、ダクト断面形状と相似な形状を持つT字隙間スペース域の中央通路36による空間が利用される。
【0044】
前記拡幅ダクト部93は、等幅ダクト部92に接続され、図9に示すように、吹き出し開口91に向かって車幅方向寸法を徐々に拡大するのに合わせ車両上下方向寸法を徐々に縮小することで形成される。この拡幅ダクト部93の配置には、T字隙間スペース域の中央通路36と、前側バッテリスタック部22a,22bより高さ寸法がさらに1枚分低い後側バッテリスタック部22c,23cの上部に形成される隙間空間と、T字隙間スペース域の横断通路37の上部空間と、が利用される。
【0045】
次に、作用を説明する。
実施例1のバッテリ温調装置における作用を、「バッテリパックBPのバッテリ温度調整作用」、「凝縮水による電極の短絡防止作用」に分けて説明する。
【0046】
[バッテリパックBPのバッテリ温度調整作用]
バッテリは温度依存度が高く、バッテリ温度が高過ぎても、また、バッテリ温度が低過ぎてもバッテリ性能が低下する。したがって、低外気温時や高外気温時に高いバッテリ性能を維持するためには、バッテリ温度を最適温度域に調整することが好ましい。以下、図6及び図7に基づき、これを反映するバッテリパックBPのバッテリ温度調整作用を説明する。
【0047】
まず、LBコントローラ6により行われるバッテリパックBPの温調制御作用を述べる。例えば、バッテリ充放電負荷の継続や高い外気温度の影響を受けて、バッテリパックBPの内部温度が第1設定温度より高くなると、冷媒を温調ユニット3のエバポレータ32に導入し、ブロアファン33を回す。これによって、図7に示すように、エバポレータ32を通過する風から熱が奪われて冷風が作り出される。この冷風を、配風ダクト9を介して第1バッテリスタック21と第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23が搭載されているケース内部空間を循環させることにより、バッテリパックBPの内部温度(=バッテリ温度)を低下させる。
【0048】
これに対し、例えば、冷風循環や低い外気温度の影響を受けて、バッテリパックBPの内部温度が第2設定温度より低くなると、温調ユニット3のPTCヒータ34に通電し、ブロアファン33を回す。これによって、図7に示すように、PTCヒータ34を通過する風に熱が与えられて温風が作り出される。この温風を、配風ダクト9を介して第1バッテリスタック21と第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23が搭載されているケース内部空間を循環させることにより、バッテリパックBPの内部温度(=バッテリ温度)を上昇させる。
【0049】
このように、バッテリパックBPの温調制御を行うことで、バッテリパックBPの内部温度を、高いバッテリ性能が得られる第1設定温度〜第2設定温度の範囲内の温度に維持することができる。このとき、第1バッテリスタック21と第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23の温度分布が均等になるように、温調風を吹き出しながら循環させることが重要である。以下、温調風によるバッテリ温度調整作用を述べる。
【0050】
温調ユニット3の吹き出し口35aから吹き出される温調風(冷風、温風)は、配風ダクト9を通過して車両前方から車両後方に向かって流れる。そして、配風ダクト9の吹き出し開口91から、図6の矢印Bに示すように、第1バッテリスタック21のスタック正面上部域21aに沿って車幅方向の広い範囲で温調風を吹き出される。したがって、配風ダクト9の吹き出し開口91から吹き出される温調風と、第1バッテリスタック21との間で熱交換が行われる。
【0051】
そして、第1バッテリスタック21との間で熱交換した温調風は、図6の矢印C,Cに示すように、車幅方向の両側に分かれて環状通路38に流れ込む。この環状通路38に流れ込んできた温調風は、図6の矢印D,Dに示すように、環状通路38のうち、車両両側通路部をそれぞれ車両後方から車両前方に向かって流れる。この車両後方から車両前方に向かう温調風のうち、一部の温調風は、図6の矢印E,F,Gに示すように、横断通路37や第2バッテリスタック22と第3バッテリスタック23の隙間を経由し、中央通路36に向かって流れ、中央通路36にて合流する。したがって、中央通路36に向かって流れる車幅方向の温調風と、第2バッテリスタック22及び第3バッテリスタック23との間で熱交換が行われる。
【0052】
そして、第1バッテリスタック21との間で熱交換した後、環状通路38の車両両側通路部をそのまま車両後方から車両前方に向かって流れた温調風は、環状通路38の車両前方側通路部を経由し温調ユニット3の吸入側に戻される。加えて、第2バッテリスタック22及び第3バッテリスタック23との間で熱交換した後、合流して中央通路36を車両後方から車両前方に向かって流れた温調風は、車両前方側通路部にて合流し、温調ユニット3の吸入側に戻される。このように、熱交換後の温調風が温調ユニット3の吸入側に戻されると、戻された温調風を吸込み、温調ユニット3にて再び冷風または温風が作り出されるという内気循環により、上記温調作用が繰り返される。
【0053】
上記のように、温調ユニット3からの温調風を、配風口35aから配風ダクト9を経由し、配風ダクト9の吹き出し開口91から、第1バッテリスタック21のスタック正面上部域21aに対し車両後方に向けて吹き出す構成を採用した。
【0054】
例えば、走行中、温度が上昇したバッテリスタックを監視すると、走行風による冷却作用は、車両前方側バッテリスタックに対する冷却作用が大きく、車両後方側バッテリスタックに対する冷却作用が小さい。このため、ケース内のバッテリスタックの温度分布をみると、車両前方側バッテリスタックより車両後方側バッテリスタックの温度が高い温度分布を示す。この温度分布状態で車両前方側バッテリスタックに対し先に冷却風を吹き出すと、車両後方側バッテリスタックに冷却風が届くのが遅れ、車両後方側バッテリスタックが、高温のままの時間が続き、温度落差が大きな温度分布状態が長く維持されることになる。
【0055】
これに対し、第1バッテリスタック21に対し先に冷却風を吹き出すと、温度が高い第1バッテリスタック21の温度が応答良く低下し、その後、バッテリパックケース1の内部空間の雰囲気温度が低下し、第2、第3バッテリスタック22,23を冷却するという作用を示す。このため、第1バッテリスタック21と第2,3バッテリスタック22,23の温度落差が短時間にて小さく抑えられ、効率的に各バッテリスタック21,22,23の温度均一化が図られる。
【0056】
[凝縮水による電極の短絡防止作用]
上記のように、エアコンユニット107の冷媒をエバポレータ32に導入して冷風を作り出すと、冷媒温度と雰囲気温度の差によりエバポレータ32の熱交換部(コア部)で凝縮水が発生する。この凝縮水が発生した場合、凝縮水を下流のバッテリ電極に届かないようにする工夫が要求される。以下、これを反映する凝縮水による電極の短絡防止作用を説明する。
【0057】
バッテリパックを床下にレイアウトする際には、冠水路走行や前走車からのスプラッシュ水、泥、埃がバッテリパック内部に入り、電気機器へ影響を与えることを考慮して、バッテリパックケースは水密構造を採用する。バッテリパックケースを水密構造とした場合に、ケース内にエバポレータを設けると、水密構造ではない(開放構造の)バッテリパックよりもエバポレータのコアで発生する凝縮水は減少するものの、凝縮水を、ドレン配管等を用いて積極的に外部に排出することができない。
【0058】
そこで、実施例1では、エバポレータ32で発生した凝縮水が、バッテリスタック2にある電極まで届いてしまうのを防ぐために、ブロアファン33の下流に網状フィン34cを有する空気加熱式のPTCヒータ34を設置する構成を採用した。
【0059】
このように、バッテリパックケース1を水密構造にしたため、水や泥等の異物が外部からケース内に入らないとともに、エバポレータ32で発生する凝縮水を低減することができる。加えて、エバポレータ32にて凝縮水が発生した場合においては、エバポレータ32の下流位置にブロアファン33と網状フィン34cを配置しているため、エバポレータ32から送られる細粒状の凝縮水が、ブロアファン33や網状フィン34cに付着して蒸発することによりブロックされる。また、エバポレータ32の下流位置にブロアファン33と網状フィン34cとユニットダクト35とを設けることで、エバポレータ32からバッテリ電極までの距離が確保されるため、凝縮水がバッテリスタック2の電極に届きにくくなる。
すなわち、エバポレータ32で発生する凝縮水を低減する凝縮水低減作用に、凝縮水ブロック作用と凝縮水の電極付着遅延作用が加わることで、凝縮水が網状フィン34cの下流位置に配置されたバッテリスタック2に到達することがない。
この結果、温調ユニット3のエバポレータ32で発生した凝縮水が、バッテリスタック2の電極まで届いてしまうのが防止される。
【0060】
そして、エバポレータ32と網状フィン34cを有するPTCヒータ34との間にブロアファン33を配置している。このため、エバポレータ32にて凝縮水が発生した場合、先にブロアファン33に付着して蒸発し、残った凝縮水が網状フィン34cに付着して蒸発するというように、ブロアファン33+網状フィン34cによる凝縮水のダブルブロック(付着&蒸発)ができる。
【0061】
さらに、エバポレータ32→ブロアファン33→網状フィン34c(ユニットダクト35)の順の構成にすることで、エバポレータ32からバッテリスタック2(電極)までの距離が確保される。このため、エバポレータからバッテリスタックまでの距離が短い場合に比べ、凝縮水がバッテリスタック2の電極に届かなくなる。特に、ユニットダクト35には、吹き出し開口91を車両後方の第1バッテリスタック2まで延ばした配風ダクト9を接続しているため、エバポレータ32からバッテリスタック2までの距離が十分に確保される。
【0062】
実施例1では、フィン部材として、網状フィン34cを有するPTCヒータ34を用いる構成を採用している。
これにより、空気を加熱するPTCヒータ34に凝縮水の飛散防止機能を兼用させることができるため、新たに網状フィンをつける必要が無くなりコスト的に有利になる。また、PTCヒータ34の加熱により、凝縮水の蒸発を促すことができる。
【0063】
次に、効果を説明する。
実施例1のバッテリ温調装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0064】
(1) バッテリモジュール(バッテリスタック2)と、
前記バッテリモジュール(バッテリスタック2)の温度を調整する温調ユニット3と、
前記バッテリモジュール(バッテリスタック2)及び前記温調ユニット3を収納するバッテリパックケース1と、
を備えたバッテリ温調装置において、
前記温調ユニット3は、風流れ方向の上流側から、車室内エアコン(エアコンユニット107)の冷媒を用いて熱交換を行うエバポレータ32と、パックケース内気を循環させる送風機(ブロワファン33)と、フィン部材(PTCヒータ34)と、前記バッテリモジュール(バッテリスタック2)へ風を送るダクト(ユニットダクト35)と、を有する(図7)。
このため、温調ユニット3のエバポレータ32で発生した凝縮水が、バッテリモジュール(バッテリスタック2)の電極まで届いてしまうのを防止することができる。
【0065】
(2) 前記フィン部材は、網状フィン34cを有するPTCヒータ34である(図8)。
このため、(1)の効果に加え、新たにフィン部材を追加して設ける必要が無くなりコスト的に有利になるとともに、PTCヒータ34の加熱により、凝縮水の蒸発を促すことができる。
【0066】
(3) 前記バッテリパックケース1は、車両の床下位置に配置されている(図1及び図2)。
このため、(1)又は(2)の効果に加え、バッテリパックBPを床下にレイアウトすることで、車室内の居住空間やラゲッジルームが広く取れ、乗員の快適性・利便性を向上させることができる。
【0067】
(4) 前記送風機は、防水構造によるブロアファン33である(図7)。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、凝縮水を吸い込んでも、ブロアモータが水分と隔離されているので、ブロアファン33が故障するのを防止することができる。
【0068】
(5) 前記エバポレータ32は、パックケース内側面(フレーム内側面11a)と略平行かつ対面するように一方のコア面32aを配置し、
前記送風機(ブロアファン33)は、前記エバポレータ32の他方のコア面32bとサクション側33aが略平行かつ対面するように配置した(図7)。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、エバポレータ32と送風機(ブロアファン33)を搭載するために必要とする長さ寸法が短く抑えられ、温調ユニット3をコンパクトにすることができる。
【0069】
(6) 前記バッテリパックケース1は、車両前後方向の略中央の床下位置に配置し、
前記温調ユニット3は、前記バッテリパックケース1内のうち、車両前方のモータルーム101に配置したエアコンコンプレッサ103に近い側の位置に配置した(図6)。
このため、(3)の効果に加え、エアコン冷媒を導く配管長さが短くなるので、配管のコスト・重量を低減できる。加えて、配管の長さによる冷媒の圧力損失も低減できるので、効率よくエバポレータ32を冷却することができる。
【0070】
(7) 前記エバポレータ32は、前記送風機(ブロアファン33)よりも車両前方位置に配置した(図7)。
このため、(6)の効果に加え、エバポレータ32のコア部からバッテリパックBPの外へ取り出す冷媒管コネクタ端子13までの配管が短くなる。このため、バッテリパックBP内の温調ユニット3を小型化できるとともに、配管によって温調空気の流れが邪魔されることを防止することができる。
【0071】
以上、本発明のバッテリ温調装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0072】
実施例1では、バッテリパックBPを車両の床下に配置する例を示した。しかし、バッテリパックを車両のラゲージルーム等に配置するような例としても良い。
【0073】
実施例1では、バッテリモジュールとして、バッテリモジュールが複数積層されたバッテリスタック2(バッテリモジュール群)の例を示した。しかし、バッテリモジュールとしては、複数積層されることなく配置されたバッテリモジュールも含まれる。
【0074】
実施例1では、フィン部材として、網状フィン34cを有するPTCヒータ34を用いる例を示した。しかし、フィン部材としては、凝縮水をブロック(付着&蒸発)するフィン機能のみを有するものであっても良い。また、フィン形状も網状に限らず、凝縮水をブロック(付着&蒸発)できる形状であれば、ハニカム状や波状等であっても良い。
【0075】
実施例1では、温調ユニット3として、冷風と温風を作り出すユニットの例を示した。しかし、温調ユニットとしては、エバポレータを有し、冷風のみを作り出すユニットの例としても良い。この場合、フィン機能のみを有するフィン部材が用いられる。
【0076】
実施例1では、バッテリパックケース1の内部空間に、温調ユニット3と配風ダクト9を配置する例を示した。しかし、バッテリパックケースの内部空間に温調ユニットのみを配置し、ユニットダクトからバッテリスタックの隙間を経由してバッテリスタックに配風するような配風ダクト無しの例としても良い。
【0077】
実施例1では、本発明のバッテリ温調装置を走行用駆動源として走行用モータのみを搭載した電気自動車に適用する例を示した。しかし、本発明のバッテリ温調装置は、走行用駆動源として走行用モータとエンジンを搭載したハイブリッド車に対しても適用することができる。
【関連出願の相互参照】
【0078】
本出願は、2012年11月5日に日本国特許庁に出願された特願2012−243400に基づいて優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9