特許第5967346号(P5967346)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967346
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 23/00 20150101AFI20160728BHJP
   F21S 8/08 20060101ALI20160728BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160728BHJP
【FI】
   F21V23/00 113
   F21S8/08 100
   F21V23/00 150
   F21Y115:10
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-274228(P2011-274228)
(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公開番号】特開2013-125674(P2013-125674A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】古閑 隆一
(72)【発明者】
【氏名】戸田 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 浩司
【審査官】 杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−034856(JP,A)
【文献】 特開平09−259613(JP,A)
【文献】 特開2004−200134(JP,A)
【文献】 特開平10−083709(JP,A)
【文献】 特開2009−064636(JP,A)
【文献】 特開2006−313731(JP,A)
【文献】 特開2004−006134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 23/00
F21S 8/08
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
採光孔を有し、下側が開口された金属製の筐体と;
前記筐体の前記採光孔を閉塞する透光部材と;
前記筐体の下側の開口に配設され、前記筐体との間に収容空間を形成する金属製の取付板と;
前記取付板の下側に取り付けられた光源と;
前記収容空間に収容され、前記採光孔から前記透光部材を通じて入射する外光を検出する照度センサと;
上面を実装面とするとともに下面を配線パターン面とする基板およびこの基板に実装された複数の電気部品を有し、前記基板の前記実装面にリード線を有する前記電気部品が実装されるとともに、前記基板の前記実装面の外縁近傍に前記照度センサが実装され、これら基板電気部品および照度センサが前記筐体および前記取付板に対して所定の絶縁距離をあけた状態で前記収容空間に収容され、前記照度センサによる検出に基づいて前記光源を点灯させる点灯回路と;
を具備していることを特徴とする照明装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、照度センサを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばLED素子などの光源を用いた防犯灯や街路灯などの照明装置では、光源とともに照度センサおよび点灯回路を樹脂製の透光性カバー内に収容した構造がある。この照明装置では、透光性カバーを通じて周囲の明るさを照度センサで検出し、検出した明るさに応じて光源を自動的に点灯、消灯させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−34856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の照明装置は、照度センサによって周囲の明るさを検出可能とするために、樹脂製の透光性カバーで光源とともに照度センサおよび点灯回路を覆う構造となっているので、延焼防止構造を採れない問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、周囲の明るさに応じた点灯制御ができる延焼防止構造の照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の照明装置は、採光孔を有し、下側が開口された金属製の筐体を備える。筐体の採光孔を透光部材で閉塞する。筐体の下側の開口に金属製の取付板を配設し、筐体と取付板との間に収容空間を形成する。取付板の下側に光源を配置する。収容空間には、採光孔から透光部材を通じて入射する外光を検出する照度センサを配置するとともに、照度センサによる検出に基づいて光源を点灯させる点灯回路を配置する。点灯回路は、上面を実装面とするとともに下面を配線パターン面とする基板およびこの基板に実装された複数の電気部品を有し、基板の実装面にリード線を有する電気部品が実装されるとともに、基板の実装面の外縁近傍に照度センサが実装され、これら基板電気部品および照度センサが筐体および取付板に対して所定の絶縁距離をあけた状態で収容空間に収容される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、採光孔を設けた金属製の筐体と金属製の取付板との間に形成された収容空間に照度センサおよび点灯回路を収容したため、周囲の明るさに応じた点灯制御ができる延焼防止構造の照明装置を提供することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態を示す照明装置の断面図である。
図2】同上照明装置の断面図である。
図3】同上照明装置の分解状態の斜視図である。
図4】第2の実施形態を示す照明装置の筐体の採光孔の形状を示し、(a)は第2の実施形態の採光孔の断面図、(b)(c)は採光孔の比較例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1の実施形態を、図1ないし図3を参照して説明する。
【0010】
図において、照明装置10は、電柱やポールなどに取り付けられる防犯灯や街路灯などである。この照明装置10は、灯体11、およびこの灯体11を電柱やポールなどに取り付ける取付部12を有している。
【0011】
灯体11は、筐体15、この筐体15の下面を覆って筐体15との間に収容空間16を形成する取付板17、この取付板17の下面側に配置される光源ユニット18、この光源ユニット18を覆う透光性カバー19、および収容空間16に収容される点灯ユニット20を有している。
【0012】
また、筐体15は、例えばアルミニウムなどの金属製で、下面側が開口され、基端側には取付部12が一体に形成されており、その基端側から反対の先端側にかけての筐体長手方向の長さが長く、筐体長手方向に直交する筐体幅方向の長さが短い形状に形成されている。筐体15の下面周辺部の内側には、取付板17の周辺部が接触して取り付けられる環状の取付部27が形成されているとともに、この取付部27の周囲に環状の凹溝28が形成されている。この凹溝28には透光性カバー19との間に介在される環状のパッキング29が配置されている。さらに、筐体15の下面周辺部の四隅には透光性カバー19をねじ止めするためのボス30が形成されている。
【0013】
筐体15の上面の中央領域には、筐体15の下面周辺部および取付部27と平行となる平面部31が形成されている。この平面部31の周辺から筐体15の下面周辺部にかけては、湾曲した形状に形成されている。
【0014】
平面部31には、筐体15の先端側に寄った位置に、平面部31に対して垂直となる軸を中心とした円形の採光孔32が形成されている。この採光孔32の内周面は平面部31に対して垂直となる面に形成されている。平面部31の内面には、採光孔32に対して筐体幅方向の両側に一対の突起33が突設されているとともに、採光孔32に対して筐体長手方向の両側に一対のボス34が突設されている。
【0015】
採光孔32には、その採光孔32の内側から、環状のパッキング35を介して透光部材36が嵌め込まれ、採光孔32を閉塞している。パッキング35は、突起33が挿通する一対の挿通孔35aを有し、突起33が挿通孔35aに挿通した状態で筐体15に対して位置決め保持されている。透光部材36は、透光性を有する合成樹脂やガラスによって形成され、パッキング35を介して採光孔32に嵌め込まれるカップ状の透光部37、および筐体15のボス34にねじ止めされる一対の取付脚部38を有している。取付脚部38は、ボス34が挿通するように二股状に形成されている。
【0016】
筐体15の内側で周壁面には、取付板17をねじ止めするための複数のボス39が一体に形成されている。さらに、筐体15の内側で上壁面からは、点灯ユニット20をねじ止めするための複数のボス40が一体に形成されている。
【0017】
筐体15の基端側には点灯ユニット20に電源を供給するケーブル21が挿通する配線孔22が形成されている。配線孔22にはケーブル21が挿通するとともに配線孔22を閉塞するためのブッシング23が嵌め込まれ、このブッシング23が取付金具24によって筐体15にねじ止めされている。
【0018】
また、取付板17は、例えばアルミニウムなどの金属製で、筐体15の下面開口を閉塞するとともに筐体15の取付部27に当接可能とする長方形板状に形成されている。この取付板17は、取付板17の周辺部が筐体15の取付部27に当接した状態で複数のボス39にねじ止めされ、筐体15の取付部27に圧接されている。筐体15の内部と取付板17との間に閉塞された収容空間16を形成している。取付板17の一部には配線用の切欠部17aが形成されている。
【0019】
また、光源ユニット18は、発光モジュール42、およびレンズモジュール43を有している。
【0020】
発光モジュール42は、例えば金属製の基板44上に絶縁層を介して配線パターンが形成され、この配線パターン上に光源としての複数の半導体発光素子であるLED素子45およびコネクタ46が実装されている。LED素子45の実装方式は、SMD(Surface Mount Device)方式、およびCOB(Chip On Board)方式のいずれでもよい。なお、半導体発光素子としては、EL(Electro Luminescence)素子などを用いてもよい。
【0021】
レンズモジュール43は、例えば透光性を有する合成樹脂やガラスによって形成され、平板状の板部47、および各LED素子45の位置に対応して形成された複数のレンズ部48を有している。レンズ部48は、LED素子45が発生する光を所定の配光方向に向けて照射する。
【0022】
そして、取付板17とレンズモジュール43との間に発光モジュール42を挟み込んだ状態でレンズモジュール43および発光モジュール42が取付板17にねじ止めされ、発光モジュール42の基板44が取付板17の下面に圧接されている。
【0023】
また、透光性カバー19は、例えば透光性を有する合成樹脂やガラスによって形成され、周辺部には筐体15の凹溝28に侵入してパッキング29に接触する環状の接触部51を有している。そして、透光性カバー19の四隅が筐体15のボス30にねじ止めされ、接触部51が筐体15の凹溝28との間でパッキング29に圧接されている。
【0024】
また、点灯ユニット20は、筐体15のボス40にねじ止めされた絶縁性を有する支持板54、およびこの支持板54に絶縁性を有する複数のスペーサ55を介して支持された点灯回路56を有している。
【0025】
点灯回路56は、基板57、およびこの基板57上に実装された複数の電気部品58を有している。基板57は、プリント配線基板であり、上面がリード線を有する電気部品58を実装する実装面、下面が電気部品58をはんだ付けによって電気的に接続する配線パターン面に形成されている。そして、基板57は、スペーサ55を介して支持板54に保持され、これら絶縁性を有する支持板54およびスペーサ55により金属製の筐体15に対して絶縁状態に支持されている。
【0026】
したがって、点灯回路56は、収容空間16に、基板57および電気部品58が露出した状態に収容されているとともに、筐体15および取付板17に対して所定の絶縁距離をあけた状態に収容されている。
【0027】
基板57上には、筐体15の採光孔32に対向する位置に照度センサ60が実装されている。照度センサ60は、この照度センサ60の照度検出面の中心が採光孔32の中心と一致するように採光孔32に対向されているとともに、基板57の回路パターンに電気的に接続され、すなわち点灯回路56に接続されている。
【0028】
点灯回路56の電源入力側にケーブル21が接続され、点灯回路56の出力側に接続された図示しないコネクタ付き配線が取付板17の切欠部17aを通じて発光モジュール42のコネクタ46に接続されている。
【0029】
このように構成された照明装置10は、取付部12および別途用いられる取付金具によって例えば道路の脇に設置された電柱やポールなどに取り付けられる。照明装置10の取付状態では、灯体11の先端側が斜め上方に向けて傾斜し、光源ユニット18および透光性カバー19が道路の中心側に対向されている。
【0030】
そして、照明装置10では、外光が筐体15の上面に設けられた採光孔32およびこの採光孔32を閉塞する透光部材36を通じて筐体15内に入射し、照度センサ60で明るさを検出する。
【0031】
点灯回路56は、照度センサ60で検出する明るさが基準値より低くなることによりLED素子45を点灯させ、一方、照度センサ60で検出する明るさが基準値より高くなることによりLED素子45を消灯させる。
【0032】
LED素子45の点灯時に発生する熱は基板44から取付板17に熱伝導されるとともに取付板17から筐体15に熱伝導され、筐体15から大気中に効率よく放熱される。
【0033】
また、照明装置10は、金属製の筐体15と金属製の取付板17との間に形成された収容空間16に点灯回路56を収容したため、延焼防止構造に構成できる。
【0034】
延焼防止構造のために金属製の筐体15を用いても、この筐体15の上面に採光孔32を設け、この採光孔32を透光部材36で閉塞するため、収容空間16に配置した照度センサ60で周囲の明るさを検出し、周囲の明るさに応じた点灯制御ができる。
【0035】
採光孔32の大きさは、採光孔32から入射する外光を照度センサ60で正確に検出可能な大きさ以上で、延焼防止構造を維持するために必要な大きさ以下の範囲とし、例えば100mm2程度が好ましい。
【0036】
また、筐体15内に点灯回路56を配置する場合、一般に点灯回路56を金属製ケース内に収納しているが、本実施形態では、金属製ケースを用いず、収容空間16に、点灯回路56の基板57および電気部品58が露出する状態に収容しており、さらに、点灯回路56の基板57および電気部品58が筐体15および取付板17に対して所定の絶縁距離をあけた状態に収納している。このように、点灯回路56に金属製ケースを用いないことにより、筐体15を含めて照明装置10を小形化でき、さらに、点灯回路56の基板57および電気部品58と筐体15および取付板17との間に所定の絶縁距離を確保することにより、雷サージに対して点灯回路56を保護できる。
【0037】
以上のように、本実施形態の照明装置10は、採光孔32を設けた金属製の筐体15と金属製の取付板17との間に形成された収容空間16に照度センサ60および点灯回路56を収容したため、周囲の明るさに応じた点灯制御ができる延焼防止構造の照明装置10を提供できる。
【0038】
また、採光孔32を筐体15の平面部31に設けているため、例えば筐体15の湾曲部に設ける場合に比べて、所望の採光性を確保しながら採光孔32を小さくすることができ、延焼防止構造を維持できる。
【0039】
また、照度センサ60を点灯回路56の基板57上で採光孔32に対向する位置に実装したため、照度センサ60を照明装置10内に容易に組み込むことができるとともに、採光窓32を通じて照度センサ60による明るさの検出を正確にできる。
【0040】
次に、第2の実施形態を、図4を参照して説明する。
【0041】
図4(a)に示すように、筐体15に設ける採光孔32は、筐体15の外面側の面積が広く、内面側の面積が小さくなるように形成されている。すなわち、採光孔32の内周面が、照度センサ60の検出面またはその近傍を頂点とする円錐状の斜面に形成されている。
【0042】
そして、図4(b)および図4(c)は比較例を示し、図4(b)は採光孔32の内周面が垂直の場合で、外光が照度センサ60の周囲に照射されやすく、また、図4(c)は採光孔32の内周面が図4(a)とは反対向きの傾斜を有する場合で、外光が照度センサ60の周囲の広い範囲に照射されやすい。そのため、外光に含まれる紫外線が点灯回路56の基板57や他の電気部品58に照射され、劣化などの影響が発生しやすくなる。
【0043】
図4(a)に示すように、採光孔32の内周面が、照度センサ60の検出面またはその近傍を頂点とする円錐状の斜面に形成していることにより、外光が照度センサ60に集光されやすく、照度センサ60の周囲に照射されにくくなる。そのため、外光に含まれる紫外線が点灯回路56の基板57や電気部品58に照射されにくく、それらの劣化を防止できる。
【0044】
なお、本実施形態の採光孔32の形状の場合には、パッキング35および透光部材36を筐体15の外面側に嵌め込み、採光孔32を閉塞するようにすればよい。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10 照明装置
15 筐体
16 収容空間
17 取付板
31 平面部
32 採光孔
36 透光部材
45 光源としてのLED素子
56 点灯回路
57 基板
58 電気部品
60 照度センサ
図1
図2
図3
図4