特許第5967359号(P5967359)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967359
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/79 20110101AFI20160728BHJP
【FI】
   H01R12/79
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-110566(P2012-110566)
(22)【出願日】2012年5月14日
(65)【公開番号】特開2013-239294(P2013-239294A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083909
【弁理士】
【氏名又は名称】神原 貞昭
(72)【発明者】
【氏名】福元 康昭
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−029065(JP,A)
【文献】 特開2011−108500(JP,A)
【文献】 実開昭59−031784(JP,U)
【文献】 特開2000−030784(JP,A)
【文献】 実開平06−017164(JP,U)
【文献】 特開平07−335342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材装着部が形成されて配線基板の部品搭載面に配されるハウジングと、
各々が弾性導電材料で形成されて、上記配線基板の部品搭載面に設けられた配線端子接続される接続端子部と上記板状部材装着部に装着された配線板状部材における接触端子部に接触接続される接点部とを有し、上記ハウジングに配列配置されて設けられた複数のコンタクトと、
上記ハウジングを少なくとも板状部材装着部の大部分を除いて部分的に覆うシェル部材と、
を備えて成り、
上記板状部材装着部が、上記配線基板の部品搭載面に直交する方向に開口するものとされるとともに、上記複数のコンタクトの夫々の接点部が、上記配線基板の部品搭載面に直交する方向に弾性変位可能とされて上記板状部材装着部に装着された配線板状部材を上記板状部材装着部から離隔する方向に押圧し、
上記板状部材装着部に、該板状部材装着部に装着された配線板状部材を係止し、係止された配線板状部材について上記配線基板の部品搭載面に直交する方向の移動及び上記配線基板の部品搭載面に沿う第1の向きの移動を阻止して該配線板状部材の上記板状部材装着部からの離脱を防止する係止部が設けられ、
上記シェル部材に、上記板状部材装着部に装着された配線板状部材に当接し該配線板状部材を上記第1の向きとは逆の第2の向きの移動を許す状態をもって上記係止部に向かう方向に押圧する弾性付勢部と、上記配線基板の部品搭載面に直交する方向に弾性変位可能とされ、上記板状部材装着部に装着された配線板状部材に当接して該配線板状部材を上記板状部材装着部に向かう方向に押圧して抑える弾性抑え部とが形成されていること
を特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
上記係止部が、上記板状部材装着部に装着された配線板状部材に設けられた係合孔部に係合して該配線板状部材を係止することを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記係止部が、上記板状部材装着部における上記複数のコンタクトの配列方向の中央部分に設けられていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記板状部材装着部における上記複数のコンタクトの配列方向の両端部分に、上記板状部材装着部に装着された配線板状部材に設けられた位置決め係合部に係合して該配線板状部材の位置決めを行う係合部が設けられていることを特徴とする請求項記載のコネクタ装置。
【請求項5】
上記係止部が、上記ハウジングの一部を成すものとして形成されていることを特徴とする請求項記載のコネクタ装置。
【請求項6】
上記係止部及び上記係合部の夫々が、上記ハウジングの一部を成すものとして形成されていることを特徴とする請求項記載のコネクタ装置。
【請求項7】
上記係止部が、上記シェル部材の一部を成すものとして形成されていることを特徴とする請求項記載のコネクタ装置。
【請求項8】
上記係止部及び上記係合部の夫々が、上記シェル部材の一部を成すものとして形成されていることを特徴とする請求項記載のコネクタ装置。
【請求項9】
上記弾性付勢部が、上記板状部材装着部に臨む位置に配された片持ち弾性片によって形成されていることを特徴とする請求項記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)やフレキシブル平板状ケーブル(FFC)等の配線板状部材が装着されるもとで、装着された配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続されるコンタクトと装着された配線板状部材に対する係止を行う係止手段とを備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、種々の電気部品が取り付けられる主配線基板への取付けが、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板状部材の主配線基板への取付けにあたって用いられるコネクタ装置は、配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接触端子部を主配線基板に設けられた配線端子に電気的に連結する。
【0003】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置は、配線板状部材が装着される板状部材装着部が形成されて主配線基板に配される、例えば、絶縁材料によって形成されたハウジングを有している。そして、そのハウジングに配列配置されて設けられて主配線基板に設けられた配線端子に連結され、配線板状部材が板状部材装着部に装着されるとき、その配線板状部材に設けられた複数の接続端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトを備えている。
【0004】
斯かる従来のコネクタ装置にあっては、配線板状部材がハウジングに形成された板状部材装着部に装着されるとき、自動的に、ハウジングに設けられた複数のコンタクトが装着された配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続され、配線板状部材が板状部材装着部に装着されるだけで、配線板状部材が主配線基板との電気的連結状態におかれる。
【0005】
このような従来提案されているコネクタ装置にあっては、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に配されたハウジングに形成された板状部材装着部に装着されて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、板状部材装着部に装着された配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的連結状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングに形成された板状部材装着部から不所望に離脱するような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトが板状部材装着部に装着された配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、板状部材装着部に装着された配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、板状部材装着部から不所望に離脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【0006】
そのため、上述のような、主配線基板に配されるハウジングを有し、ハウジングに配された複数のコンタクトを備えたコネクタ装置に属するものであって、ハウジングに形成された板状部材装着部に装着された配線板状部材に係合して、当該配線板状部材の板状部材装着部からの不所望な離脱の阻止に関与する係止手段を備えたコネクタ装置が従来提案されている(例えば、特許文献1または特許文献2参照。)。
【0007】
特許文献1に示されるコネクタ装置(コネクタ本体(11)) にあっては、ハウジング(12)に、配列配置された複数のコンタクト(13)が臨む、ハウジングの上方に向かって開口した板状部材装着部 (開口(18)) が形成されており、この板状部材装着部に、配線板状部材( FPC基板(26)と裏打ち板(27)とからなる平板状接続部材(25)) が、ハウジングの上方から装着される。そして、板状部材装着部には、複数の係止手段(樹脂ロック部(31)及びロック爪部(32a))が設けられている。これらの係止手段は、配線板状部材がハウジングの上方から板状部材装着部に装着されるとき、配線板状部材によって一旦配線板状部材の装着を妨げない位置に移動せしめられ、その後配線板状部材の板状部材装着部への装着が完了すると、元の位置に戻って、板状部材装着部に装着された配線板状部材をハウジングの上方から係止し、それにより、配線板状部材の板状部材装着部からの不所望な離脱を阻止する。
【0008】
また、特許文献2に示されるコネクタ装置(フレキシブル導体用コネクタ)にあっては、ハウジング(1) に、配列配置された複数のコンタクト(コンタクトピン(2))が臨む、ハウジングの上方に向かって開口する板状部材装着部(差込み口(8))が形成されており、この板状部材装着部に配線板状部材(フレキシブル導体(5))の差込み端部(7) がハウジングの斜め上方から差し込まれて、配線板状部材が板状部材装着部に装着される。板状部材装着部には、板状部材装着部に装着された配線板状部材に設けられた嵌合凹部(19)に嵌合する嵌合突起(20)と、板状部材装着部に装着された配線板状部材に対する複数の可動係止手段(ラッチ(9))とが設けられている。複数の可動係止手段は、配線板状部材の差込み端部がハウジングの斜め上方から板状部材装着部に差し込まれるとき、配線板状部材によって一旦配線板状部材の差込み端部の差込みを妨げない位置に移動せしめられ、その後配線板状部材の差込み端部の板状部材装着部への差込みが完了して配線板状部材が板状部材装着部に装着されると元の位置に戻って、板状部材装着部に差し込まれた配線板状部材の差込み端部をハウジングの上方から係止し、それにより、配線板状部材の板状部材装着部からの不所望な離脱を阻止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平6−17164号公報(5〜7頁,図1〜3)
【特許文献1】特開平7−335342号公報(5及び6頁,図1〜4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のような、ハウジングに形成された板状部材装着部に装着されたフレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材の板状部材装着部からの不所望な離脱の阻止に関与する係止手段を備えた、配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置として従来提案されているものにあっては、板状部材装着部に装着された配線板状部材を係止する係止手段が、配線板状部材が板状部材装着部に装着される過程において当該配線板状部材によって変位せしめられる複数の可動係止手段を成すものとされている。そして、斯かる複数の可動係止手段は、板状部材装着部に装着された配線板状部材に対する係止を解除するにあたっては、配線板状部材から外れる位置に変位せしめられることが必要とされる。
【0011】
従って、ハウジングに形成された板状部材装着部に装着されて、複数の可動係止手段により係止された配線板状部材を、複数の可動係止手段による係止を解除して板状部材装着部から離脱させる際には、先ず、複数の可動係止手段をそれが係止している配線板状部材から外れる位置に変位させる操作を行い、その後、配線板状部材を板状部材装着部から抜き出す操作を行うことが必要とされる。しかも、複数の可動係止手段をそれが係止している配線板状部材から外れる位置に変位させる操作は、通常、操作者が片手で行うことは困難であって、操作者が両手を用いて行うものとされる。
【0012】
その結果、板状部材装着部に装着された配線板状部材に対する係止手段を備えたものとして従来提案されているコネクタ装置は、係止手段により係止された配線板状部材を板状部材装着部から離脱させる際に極めて煩わしい二段構えの操作が要求されるという不都合を伴っていることになる。
【0013】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板への取付けに用いられる、板状部材装着部が形成されたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトとを備えたコネクタ装置であって、従来提案されているコネクタ装置が備えるような複数の可動係止手段を備えることが不要とされるもとで、ハウジングに設けられた板状部材装着部に装着された配線板状部材に対する係止を確実に行うことができるとともに、単純で容易に行うことができる操作によって、ハウジングに設けられた板状部材装着部に装着されて被係止状態におかれた配線板状部材を、それに対する係止から解放して板状部材装着部から意図的に離脱させることができることになるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、板状部材装着部が形成されて配線基板の部品搭載面に配されるハウジングと、各々が弾性導電材料で形成されて配線基板の部品搭載面に設けられた配線端子接続される接続端子部と板状部材装着部に装着された配線板状部材における接触端子部に接触接続される接点部とを有するものとされ、ハウジングに配列配置されて設けられた複数のコンタクトと、ハウジングを少なくとも板状部材装着部の大部分を除いて部分的に覆うシェル部材とを備えて構成される。そして、板状部材装着部が、配線基板の部品搭載面に直交する方向に開口するものとされるとともに、複数のコンタクトの夫々の接点部が、配線基板の部品搭載面に直交する方向に弾性変位可能とされて板状部材装着部に装着された配線板状部材を板状部材装着部から離隔する方向に押圧し、板状部材装着部に、それに装着された配線板状部材を係止し、係止された配線板状部材についての配線基板の部品搭載面に直交する方向の移動及び配線基板の部品搭載面に沿う第1の向きの移動を阻止して当該配線板状部材の上記板状部材装着部からの離脱を防止する係止部が設けられ、シェル部材に、板状部材装着部に装着された配線板状部材に当接して当該配線板状部材を第1の向きとは逆の第2の向きの移動を許す状態をもって係止部に向かう方向に押圧する弾性付勢部と、配線基板の部品搭載面に直交する方向に弾性変位可能とされ、板状部材装着部に装着された配線板状部材に当接して配線板状部材を板状部材装着部に向かう方向に押圧して抑える弾性抑え部とが形成されていることを特徴とするものとされる。
【0015】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、板状部材装着部に設けられた係止部が、ハウジングの一部を成すものとして形成されている。
【0016】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、板状部材装着部に設けられた係止部が、シェル部材の一部を成すものとして形成されている。
【0017】
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、配線板状部材が配線基板の部品搭載面上のハウジングに形成された板状部材装着部に装着されると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトの接点部が、装着された配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続されるとともに、装着された配線板状部材を板状部材装着部から離隔する方向に押圧し、また、シェル部材に形成された弾性付勢部が、装着された配線板状部材を板状部材装着部に設けられた係止部に向かう方向に押圧するとともに、シェル部材に形成された弾性抑え部が、装着された配線板状部材に当接して当該配線板状部材を板状部材装着部に向かう方向に押圧して抑え、さらに、係止部が、複数のコンタクトの接続部及び弾性付勢部により押圧された配線板状部材を係止し、係止された配線板状部材の配線基板の部品搭載面に直交する方向の移動及び配線基板の部品搭載面に沿う第1の向きの移動を阻止して、当該配線板状部材の板状部材装着部からの離脱を防止する。その際、配線板状部材が板状部材装着部に装着されるにあたっては、配線板状部材の先端部がシェル部材に形成された弾性付勢部に当接し、一旦、弾性付勢部による押圧力に抗して配線基板の部品搭載面に沿う第2の向きに移動せしめられ、その後、弾性付勢部により係止部に向かう方向に押圧されて係止部により係止される状態に置かれる。係止部による配線板状部材の係止は、例えば、係止部が配線板状部材に設けられた係合孔部に係合することにより行われる。
【0018】
板状部材装着部に設けられた係止部は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、ハウジングの一部を成すものとして、あるいは、本願の特許請求の範囲における請求項に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、シェル部材の一部を成すものとして形成される。
【0019】
ハウジングに形成された板状部材装着部に装着されて板状部材装着部に設けられた係止部により係止された配線板状部材を、係止部による係止から解放するにあたっては、当該配線板状部材を、それに係止部に向かう方向の押圧力を作用させているシェル部材に形成された弾性付勢部側へと押圧移動させることで足りる。そして、係止部による係止から解放された配線板状部材は、直ちに板状部材装着部から意図的に離脱せしめられ得る状態におかれる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るコネクタ装置においては、上述のように、ハウジングに形成された板状部材装着部に配線板状部材が装着されると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが、装着された配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続され、さらに、装着された配線板状部材が、板状部材装着部に設けられた係止部により確実に係止されて板状部材装着部からの離脱が防止される状態が自動的に得られる。そして、板状部材装着部に設けられた係止部は、変位を生じる必要がないものとされるので、板状部材装着部に対して固定されたものとすることができ、従って、従来提案されているコネクタ装置が備えるような複数の可動係止手段を備えることは不要とされる。
【0021】
また、板状部材装着部に装着されて係止部により係止された配線板状部材を、係止部による係止から解放するにあたっては、当該配線板状部材を、それに係止部に向かう方向の押圧力を作用させているシェル部材に形成された弾性付勢部側へと押圧移動させることで足りるので、極めて単純で容易に行うことができる操作によって、配線板状部材を、係止部による係止から解放して、直ちに板状部材装着部から意図的に離脱せしめられ得る状態におくことができる。
【0022】
これよりして、本発明に係るコネクタ装置によれば、従来提案されているコネクタ装置が備えるような複数の可動係止手段を備えることが不要とされるもとで、ハウジングに設けられた板状部材装着部に装着された配線板状部材に対する係止を確実に行うことができるとともに、極めて単純で容易に行うことができる操作によって、板状部材装着部に装着されて係止部により係止された配線板状部材を、係止部による係止から解放して板状部材装着部から意図的に離脱させることができることになる。また、複数のコンタクトの接点部が装着された配線板状部材を板状部材装着部から離隔する方向に押圧するのに対して、シェル部材に形成された弾性抑え部が装着された配線板状部材を板状部材装着部に向かう方向に押圧して抑えるので、装着された配線板状部材において、複数のコンタクトの接点部による押圧力とシェル部材に形成された弾性抑え部による押圧力とが相殺され、複数のコンタクトの接点部が装着された配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続された状態が良好に維持される。
【0023】
さらに、本願の特許請求の範囲における請求項に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、板状部材装着部に設けられた係止部がハウジングの一部を成すものとして形成され、また、本願の特許請求の範囲における請求項に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、板状部材装着部に設けられた係止部がシェル部材の一部を成すものとして形成されるので、いずれの場合にも、係止部を形成する格別の部材を設けることが不要とされ、コネクタ装置の構成の簡略化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係るコネクタ装置の第1の例を示す正面側から見た斜視図である。
図2】本発明に係るコネクタ装置の第1の例を示す背面側から見た斜視図である。
図3】本発明に係るコネクタ装置の第1の例を示す平面図である。
図4図3におけるIV−IV線断面を示す断面図である。
図5図3における V−V 線断面を示す断面図である。
図6図3におけるVI−VI線断面を示す断面図である。
図7】本発明に係るコネクタ装置の第1の例を、そのハウジングを部分的に覆うシェル部材を除去したものとして示す正面側から見た斜視図である。
図8】本発明に係るコネクタ装置の第1の例を、そのハウジングを部分的に覆うシェル部材を除去したものとして示す背面側から見た斜視図である。
図9】本発明に係るコネクタ装置の第1の例に装着されるフレキシブル印刷配線基板を示す表面図である。
図10】本発明に係るコネクタ装置の第1の例に装着されるフレキシブル印刷配線基板示す裏面図である。
図11】本発明に係るコネクタ装置の第1の例に装着されたフレキシブル印刷配線基板が係止部によって係止される過程を示す断面図である。
図12】本発明に係るコネクタ装置の第1の例に装着されたフレキシブル印刷配線基板が係止部によって係止される過程を示す断面図である。
図13】本発明に係るコネクタ装置の第1の例に装着されたフレキシブル印刷配線基板が係止部によって係止された状態を示す断面図である。
図14】本発明に係るコネクタ装置の第2の例を示す正面側から見た斜視図である。
図15】本発明に係るコネクタ装置の第2の例を示す背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明を実施するための形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【実施例1】
【0026】
図1(正面側から見た斜視図),図2(背面側から見た斜視図)及び図3(平面図)は、本発明に係るコネクタ装置の第1の例を示す。また、図4図5及び図6は、夫々、図3におけるIV−IV線断面, V−V 線断面及びVI−VI線断面を示す。以下の第1の例についての説明においては、便宜上、図1において上方となる方向を上方もしくは上側というとともに、図1において下方となる方向を下方もしくは下側といい、さらに、図4〜6の夫々において右側となる側を正面側というとともに、図4〜6の夫々において左側となる側を背面側という。
【0027】
図1図6において、本発明に係るコネクタ装置の第1の例を成すコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成されたハウジング11を備えている。ハウジング11は、コネクタ装置10が実際の使用に供されるときには、図示が省略された配線基板の部品搭載面に配され、それにより、コネクタ装置10の全体が配線基板に固定されたものとされる。
【0028】
ハウジング11には、それが配される配線基板の部品搭載面に直交する方向となる上方に向かって開口する板状部材装着部12が形成されており、板状部材装着部12には、例えば、フレキシブル印刷配線基板が、配線板状部材を成すものとして装着される。また、ハウジング11には、その内部に、各々が弾性導電材料で形成された複数の第1のコンタクト13と複数の第2のコンタクト14とが、ハウジング11の長手方向(正面側から見て左右方向)に沿って、交互に配列配置されて設けられている。
【0029】
複数の第1のコンタクト13の夫々には、ハウジング11が配される配線基板の部品搭載面に設けられた配線端子部に接続される接続端子部13a と、板状部材装着部12に装着される配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板に配列配置された複数の接触端子部のうちの対応するものに夫々接触接続される接点部13bとが設けられている。同様に、複数の第2のコンタクト14の夫々には、ハウジング11が配される配線基板の部品搭載面に設けられた配線端子部に接続される接続端子部14a と、板状部材装着部12に装着される配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板に配列配置された複数の接触端子部のうちの対応するものに夫々接触接続される接点部14bとが設けられている。そして、複数の第1のコンタクト13の夫々の接点部13bと複数の第2のコンタクト14の夫々の接点部14bとは、図4図6に示されるように、上方に向かって開口する板状部材装着部12に配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板が装着されていないとき、板状部材装着部12の上方の空間内に位置するものとされる。
【0030】
また、コネクタ装置10には、ハウジング11をその上方から、少なくとも板状部材装着部12の大部分を除いて、部分的に覆うシェル部材15が備えられている。シェル部材15は、例えば、弾性金属板材に打抜き屈曲加工が施されて形成された導電性を具えるものとされる。そして、シェル部材15には、ハウジング11が配される配線基板の部品搭載面に設けられた接地接続部に接続される複数の基板取付部16と、板状部材装着部12の一部分を上方から覆うべく板状部材装着部12の上方に突き出た部分に設けられた一対の弾性抑え部17と、コネクタ装置10の背面側において板状部材装着部12の上方の空間内に伸びるものとして設けられた一対の弾性付勢部18とが形成されている。
【0031】
シェル部材15に形成された一対の弾性抑え部17の夫々は、板状部材装着部12に装着された配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板に上方から当接し、そのフレキシブル印刷配線基板をそれに上方からの弾性押圧力を作用させて板状部材装着部12に向けて押圧して抑える役割を果たす。また、シェル部材15に形成された一対の弾性付勢部18の夫々は、シェル部材15におけるコネクタ装置10の背面側となる部分から伸びる片持ち弾性片を成すものとされており、板状部材装着部12に装着された配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板の先端部にコネクタ装置10の背面側から当接し、そのフレキシブル印刷配線基板をコネクタ装置10の正面側に向かう方向の弾性押圧力を作用させて押圧する役割を果たす。
【0032】
コネクタ装置10をそれからシェル部材15を除去したものとして示す図7及び図8にも示されるように、ハウジング11に形成された板状部材装着部12にあっては、それにおける複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の中央部分の正面側端縁部に、そこから上方に向かって突出するものとされて板状部材装着部12に装着された配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板を係止する係止部20が設けられている。板状部材装着部12における複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の中央部分とは、板状部材装着部12における複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の両端部分に挟まれた部分であって厳密な意味での中央及びその周辺を含む。
【0033】
係止部20は、ハウジング11の一部を成すものとして形成されており、例えば、板状部材装着部12に装着された配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板に設けられた係合孔部に係合して、そのフレキシブル印刷配線基板を係止し、それにより、当該フレキシブル印刷配線基板のハウジング11が配された配線基板の部品搭載面に沿う背面側から正面側に向かう向き(第1の向き)の移動を阻止する。さらに、係止部20の先端部分は、背面側に向かって突出する屈曲部を形成しており、それにより、板状部材装着部12に装着されたフレキシブル印刷配線基板に設けられた係合孔部に係合した係止部20は、当該フレキシブル印刷配線基板のハウジング11が配された配線基板の部品搭載面に直交する上方に向かう方向の移動も阻止する。このようにして板状部材装着部12に装着された配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板を係止する係止部20は、当該フレキシブル印刷配線基板の板状部材装着部12からの不所望な離脱を防止する。
【0034】
さらに、ハウジング11に形成された板状部材装着部12にあっては、その複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の両端部分に、板状部材装着部12に装着された配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板に設けられた位置決め係合部に係合してそのフレキシブル印刷配線基板の位置決めを行う係合部21が設けられている。この係合部21も、ハウジング11の一部を成すものとして形成されている。
【0035】
図9及び図10は、夫々、コネクタ装置10のハウジング11に形成された板状部材装着部12に装着される配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板の一例を成すフレキシブル印刷配線基板30の表面側及び裏面側を示す。フレキシブル印刷配線基板30の表面31は、絶縁皮膜によって全面的に覆われており、また、フレキシブル印刷配線基板30の裏面32には、その一端部に、複数の第1の接触端子部35と複数の第2の接触端子部36とが、交互に配列配置されて設けられていて、裏面32における複数の第1及び第2の接触端子部35及び36が配列配置された一端部以外の部分は、絶縁皮膜によって覆われている。
【0036】
そして、フレキシブル印刷配線基板30における複数の第1及び第2の接触端子部35及び36の配列方向の中央部分に、係合孔部37が透孔を成すものとして形成されており、また、フレキシブル印刷配線基板30における複数の第1及び第2の接触端子部35及び36の配列方向の両端部分には、位置決め係合部38が段部を成すものとして形成されている。
【0037】
このようなフレキシブル印刷配線基板30がコネクタ装置10のハウジング11に形成された板状部材装着部12に装着されたときには、板状部材装着部12に設けられた係止部20が、フレキシブル印刷配線基板30に形成された係合孔部37に嵌合して係合し、それによりフレキシブル印刷配線基板30を係止するとともに、板状部材装着部12に設けられた係合部21が、フレキシブル印刷配線基板30に形成された位置決め係合部38に係合して、フレキシブル印刷配線基板30の位置決めを行う。そして、コネクタ装置10のハウジング11に配列配置された複数の第1のコンタクト13の接点部13bが、フレキシブル印刷配線基板30の裏面32に配列配置された複数の第1の接触端子部35に接触接続され、また、コネクタ装置10のハウジング11に配列配置された複数の第2のコンタクト14の接点部14bが、フレキシブル印刷配線基板30の裏面32に配列配置された複数の第2の接触端子部36に接触接続される。
【0038】
フレキシブル印刷配線基板30がコネクタ装置10のハウジング11に形成された板状部材装着部12に装着される際には、先ず、フレキシブル印刷配線基板30が、表面31が上方に向けられて裏面32が下方に向けられる姿勢をとるものとされ、図11に示されるように、フレキシブル印刷配線基板30における裏面32の複数の第1及び第2の接触端子部35及び36が配列配置された部分(以下、接触端子配列部という。)を先頭にして、ハウジング11に形成された板状部材装着部12にその斜め上方から近接せしめられる。その際、コネクタ装置10のシェル部材15に設けられた弾性抑え部17が、フレキシブル印刷配線基板30の接触端子配列部によって一旦上方に弾性変位せしめられ、その接触端子配列部が弾性抑え部17の下方に差し込まれる。
【0039】
続いて、フレキシブル印刷配線基板30の接触端子配列部の先端部分が、コネクタ装置10のシェル部材15に形成された弾性付勢部18に当接し、弾性付勢部18を背面側へと押圧する状態におかれる。このとき、弾性付勢部18は、フレキシブル印刷配線基板30のハウジング11が配された配線基板の部品搭載面に沿う正面側から背面側に向かう向き(第1の向きとは逆の第2の向き)の移動を許し、フレキシブル印刷配線基板30は、接触端子配列部の先端部分によって弾性付勢部18を押圧しつつ正面側から背面側に向かう向きに移動せしめられる。その結果、図12に示されるように、フレキシブル印刷配線基板30に設けられた係合孔部37にハウジング11に形成された板状部材装着部12に設けられた係止部20が嵌合する状態がとられ、フレキシブル印刷配線基板30がその裏面32を板状部材装着部12に対接させて板状部材装着部12上に載置される。その際、複数の第1のコンタクト13の接点部13b及び複数の第2のコンタクト14の接点部14bが、フレキシブル印刷配線基板30の裏面32により下方、即ち、配線基板の部品搭載面に向かう方向に弾性変位せしめられて、フレキシブル印刷配線基板30を上方、即ち、板状部材装着部12から離隔する方向に押圧し、また、コネクタ装置10のシェル部材15に設けられた弾性抑え部17が自らの弾性によって元の位置に戻り、フレキシブル印刷配線基板30の表面31に当接してフレキシブル印刷配線基板30を上方から板状部材装着部12側へと押圧する。
【0040】
このようにして、フレキシブル印刷配線基板30に設けられた係合孔部37にハウジング11に形成された板状部材装着部12に設けられた係止部20が嵌合した後、シェル部材15に形成された弾性付勢部18が、その弾性力によって、それに接触端子配列部の先端部分を当接させたフレキシブル印刷配線基板30を係止部20に向かう方向に押圧する。それによって、フレキシブル印刷配線基板30が板状部材装着部12上において、背面側から正面側に向かう向きに移動せしめられ、図13に示されるように、フレキシブル印刷配線基板30における係合孔部37の周囲部分のうちの接触端子配列部の先端部分側の部分が係止部20に係合し、フレキシブル印刷配線基板30が、板状部材装着部12に装着されて、係止部20により係止された状態におかれる。
【0041】
図13に示される状態をもって、板状部材装着部12に装着されたフレキシブル印刷配線基板30を係止する係止部20は、フレキシブル印刷配線基板30の、第1の向きである、ハウジング11が配された配線基板の部品搭載面に沿う背面側から正面側に向かう向きの移動を阻止し、さらに、背面側に向かって突出する屈曲部を形成しているその先端部分によって、フレキシブル印刷配線基板30のハウジング11が配された配線基板の部品搭載面に直交する上方に向かう方向の移動も阻止する。
【0042】
さらにこのとき、板状部材装着部12における複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の両端部分に設けられた係合部21が、フレキシブル印刷配線基板30における複数の第1及び第2の接触端子部35及び36の配列方向の両端部分に形成された位置決め係合部38に係合して、板状部材装着部12に装着されたフレキシブル印刷配線基板30についての位置決めを行う。
【0043】
上述のようにして、板状部材装着部12に装着されて係止部20により係止されるとともに係合部21により位置決めされたフレキシブル印刷配線基板30は、係止部20によって板状部材装着部12からの不所望な離脱が防止される状態におかれる。
【0044】
そして、斯かるもとにおいて、ハウジング11に配列配置された複数の第1のコンタクト13の接点部13bが、フレキシブル印刷配線基板30の裏面32に配列配置された複数の第1の接触端子部35に接触接続され、また、ハウジング11に配列配置された複数の第2のコンタクト14の接点部14bが、フレキシブル印刷配線基板30の裏面32に配列配置された複数の第2の接触端子部36に接触接続される状態が自動的に得られる。それにより、フレキシブル印刷配線基板30の裏面32に配列配置された複数の第1及び第2の接触端子部35及び36が、ハウジング11に配列配置された複数の第1及び第2のコンタクト13及び14を介して、ハウジング11が配された配線基板の部品搭載面に設けられた配線端子に電気的に連結される。
【0045】
板状部材装着部12に装着されて係止部20により係止されるとともに係合部21により位置決めされたフレキシブル印刷配線基板30を、意図的に板状部材装着部12から離脱させるにあたっては、フレキシブル印刷配線基板30を、その接触端子配列部の先端部分によってシェル部材15に形成された弾性付勢部18を押圧しつつ正面側から背面側に向かう方向に移動させて、フレキシブル印刷配線基板30における係合孔部37の周囲部分の係止部20との係合を解除させた後、フレキシブル印刷配線基板30に形成された係合孔部37をそれに嵌合した係止部20から外すべく上方に変位させ、さらに、フレキシブル印刷配線基板30の接触端子配列部を、シェル部材15に形成された弾性抑え部17の下方から引き抜く操作が行われる。このようなフレキシブル印刷配線基板30を意図的に板状部材装着部12から離脱させるための操作は、極めて単純で容易に行うことができるものである。
【0046】
上述のようなコネクタ装置10においては、ハウジング11に形成された板状部材装着部12にフレキシブル印刷配線基板30が装着されると、ハウジング11に配列配置された複数の第1及び第2のコンタクト13及び14が、装着されたフレキシブル印刷配線基板30の裏面32に配列配置された複数の第1及び第2の接触端子部35及び36に夫々接触接続され、さらに、装着されたフレキシブル印刷配線基板30が、板状部材装着部12に設けられた係止部20により確実に係止されて板状部材装着部12からの離脱が防止される状態が自動的に得られる。そして、板状部材装着部12に設けられた係止部20は、変位を生じる必要がないものとされるので、板状部材装着部12に対して固定されたものとすることができ、従って、従来提案されているコネクタ装置が備えるような複数の可動係止手段を備えることは不要とされる。
【0047】
また、板状部材装着部12に装着されて係止部20により係止されたフレキシブル印刷配線基板30を、係止部20による係止から解放するにあたっては、当該フレキシブル印刷配線基板30を、それに係止部20に向かう方向の押圧力を作用させているシェル部材15に形成された弾性付勢部18側へと押圧移動させることで足りるので、極めて単純で容易に行うことができる操作によって、フレキシブル印刷配線基板30を、係止部20による係止から解放して、直ちに板状部材装着部12から意図的に離脱せしめられ得る状態におくことができる。
【0048】
これよりして、コネクタ装置10によれば、従来提案されているコネクタ装置が備えるような複数の可動係止手段を備えることが不要とされるもとで、ハウジング11に設けられた板状部材装着部12に装着されたフレキシブル印刷配線基板30に対する係止を確実に行うことができるとともに、極めて単純で容易に行うことができる操作によって、板状部材装着部12に装着されて係止部20により係止されたフレキシブル印刷配線基板30を、係止部20による係止から解放して板状部材装着部12から意図的に離脱させることができることになる。また、複数の第1のコンタクト13の接点部13b及び複数の第2のコンタクト14の接点部14bがフレキシブル印刷配線基板30を板状部材装着部12から離隔する方向に押圧するのに対して、シェル部材15に形成された弾性抑え部17がフレキシブル印刷配線基板30を板状部材装着部12に向かう方向に押圧して抑えるので、フレキシブル印刷配線基板30において、複数の第1のコンタクト13の接点部13b及び複数の第2のコンタクト14の接点部14bによる押圧力とシェル部材15に形成された弾性抑え部17による押圧力とが相殺され、複数の第1のコンタクト13の接点部13b及び複数の第2のコンタクト14の接点部14bがフレキシブル印刷配線基板30における複数の第1の接触端子部35及び複数の第2の接触端子部36に接触接続された状態が良好に維持される。
【0049】
さらに、コネクタ装置10にあっては、板状部材装着部12に設けられた係止部20がハウジング11の一部を成すものとして形成されるので、係止部20を形成する格別の部材を設けることが不要とされ、コネクタ装置10の構成の簡略化が図られる。
【実施例2】
【0050】
図14(正面側から見た斜視図)及び図15(背面側から見た斜視図)は、本発明に係るコネクタ装置の第2の例を示す。この本発明に係るコネクタ装置の第2の例も、前述の図1図6に示される本発明に係るコネクタ装置の第1の例の場合と同様の見方をもって説明される。
【0051】
図14及び図15において、本発明に係るコネクタ装置の第2の例を成すコネクタ装置40は、図1図6に示される本発明に係るコネクタ装置の第1の例を成すコネクタ装置10と同様に構成された部分を多々有しており、それらの部分については、図14及び図15においてコネクタ装置10と共通の符号が付されて示されていて、重複説明は省略される。
【0052】
コネクタ装置40にあっては、ハウジング11に形成された板状部材装着部12における複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の中央部分の正面側端縁部に、コネクタ装置10における係止部20に代わる係止部41が設けられるとともに、板状部材装着部12における複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の両端部分に、コネクタ装置10における係合部21に代わる係合部42が設けられている。
【0053】
係止部41は、コネクタ装置10における係止部20と同様に、板状部材装着部12から上方に向かって突出して、その先端部分が背面側に向かって突出する屈曲部を形成しており、コネクタ装置10における係止部20と同様の役割を果たすものであるが、コネクタ装置10における係止部20がハウジング11の一部を成すものとして形成されているのに対して、シェル部材15の一部を成すものとして形成されている。即ち、ハウジング11に形成された板状部材装着部12における複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の中央部分の正面側端縁部に設けられた係止部41は、シェル部材15における複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の中央部分の背面側端部から板状部材装着部12の下方を通じて正面側へと伸びているのである。
【0054】
また、係合部42は、コネクタ装置10における係合部21と同様の役割を果たすものであるが、コネクタ装置10における係合部21がハウジング11の一部を成すものとして形成されているのに対して、シェル部材15の一部を成すものとして形成されており、シェル部材15における複数の第1及び第2のコンタクト13及び14の配列方向の両端部分の正面側端縁部から、背面側に突出するものとされている。
【0055】
このように、係止部41及び係合部42の夫々は、シェル部材15の一部を成すものとして形成されていることにより、その強度が向上せしめられることになる。
【0056】
コネクタ装置40における係止部41及び係合部42以外の部分は、コネクタ装置10における対応する部分と同様に構成されている。そして、斯かるコネクタ装置40によっても、前述されたコネクタ装置10により得られる作用効果と同様な作用効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上のような本発明に係るコネクタ装置は、フレキシブル印刷配線基板等とされる配線板状部材の他の配線基板への取付けに用いられる、板状部材装着部が形成されたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトとを備えたコネクタ装置であって、複数の可動係止手段を備えることが不要とされるもとで、ハウジングに設けられた板状部材装着部に装着された配線板状部材に対する係止を確実に行うことができるとともに、単純で容易に行うことができる操作によって、ハウジングに設けられた板状部材装着部に装着されて被係止状態におかれた配線板状部材を、それに対する係止から解放して板状部材装着部から意図的に離脱させることができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0058】
10,40・・・コネクタ装置, 11・・・ハウジング, 12・・・板状部材装着部, 13・・・第1のコンタクト, 14・・・第2のコンタクト, 15・・・シェル部材, 16・・・基板取付部, 17・・・弾性抑え部, 18・・・弾性付勢部, 20,41・・・係止部, 21,42・・・係合部, 30・・・フレキシブル印刷配線基板, 31・・・表面, 32・・・裏面, 35・・・第1の接触端子部, 36・・・第2の接触端子部, 37・・・係合孔部, 38・・・位置決め係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15