特許第5967360号(P5967360)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967360
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】排気ガス還流装置
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/17 20160101AFI20160728BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   F02M26/17
   F02M35/10 311E
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-118262(P2012-118262)
(22)【出願日】2012年5月24日
(65)【公開番号】特開2013-245572(P2013-245572A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000176811
【氏名又は名称】三菱自動車エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】前原 和人
(72)【発明者】
【氏名】石井 肇
(72)【発明者】
【氏名】志和池 博史
(72)【発明者】
【氏名】木村 洋之
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−62822(JP,A)
【文献】 実開昭63−63570(JP,U)
【文献】 特開2011−21595(JP,A)
【文献】 特開平10−141113(JP,A)
【文献】 特表2002−506160(JP,A)
【文献】 実開平3−17263(JP,U)
【文献】 特開2010−163937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 26/17
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンへ吸気を導く、途中に吸気スロットルを有する吸気通路と、前記エンジンの排気ガスの一部をEGRガスとして前記吸気通路の吸気スロットル下流側へ導くEGR通路と、前記吸気スロットルの下流側を流れる吸気と前記EGRガスとを混合させる混合部とを有する排気ガス還流装置であって、
前記混合部は、
前記吸気スロットルの下流側を流れる吸気の一部を吸気通路外へ導く導入路と、
前記吸気通路の外部に設けられ、前記EGR通路からのEGRガスと前記導入路からの吸気を受け、前記吸気通路外で前記EGRガスと前記吸気とを混合させる混合室と、
前記混合室内で混合した混合ガスを前記吸気通路へ戻す戻し路と
を有して形成され
前記吸気スロットルは、開閉可能なバタフライ弁を有してなり、
前記混合室は、前記吸気通路の外周面のうち、前記バタフライ弁が開閉する開閉方向側に配置され、内部に混合流を誘起する誘起空間を有した室を有して構成され、
前記EGR通路は前記誘起空間につながり、
前記導入路は、前記誘起空間の一部を前記吸気通路の壁部に開口させた入口を有して形成され、
前記戻し路は、前記誘起空間の一部を前記吸気通路の壁部に開口させた戻し路を有して形成される
ことを特徴とする排気ガス還流装置。
【請求項2】
前記入口路は、前記吸気通路の壁部に開口する開口部の縁部のうち、前記バタフライ弁に近い側の開口縁部分が、前記吸気通路の内面沿いに流れる吸気の層流を前記入口路内へ引き寄せるコアンダ面で形成してあることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス還流装置。
【請求項3】
前記誘起空間は、前記混合室へ導入されるEGRガス流、吸気流により、旋回流を誘起する空間で形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の排気ガス還流装置。
【請求項4】
前記混合室から下流側の吸気通路には、前記EGRガスと前記吸気とが混合した混合ガスの空燃比を検知するA/Fセンサが設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の排気ガス還流装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気ガスの一部をEGRガスとして、エンジンの吸気側へ戻す排気ガス還流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンでは、排気ガス中のNOxを低減させる手法として、排気ガス還流装置が用いられている。排気ガス還流装置は、エンジンから排出された排気ガスの一部をEGRガス(不活性ガス)として、エンジンの吸気側へ戻し、燃焼温度を低下させるものである。
近時のディーゼルエンジンでは、こうしたEGRガスの還流が効率良く行えるよう、吸気通路に吸気スロットルを設け、この吸気スロットルの下流側へEGRガスを導入させることが行われつつある(最適な混合比率でEGRガスと吸気とを混合させるため)。
【0003】
こうした排気ガス還流装置では、EGRガスと吸気とを十分に混合させるため、混合構造部(混合部)を用いて、EGRガスと吸気との混合を促進させることが求められる。
ところで、吸気スロットルを搭載したディーゼルエンジンは、EGR制御性(応答性)の要求から、インテークマニホルドから近い位置に吸気スロットルを配置させている。このため、この短い区間で、EGRガスと吸気とを混合することが求められる。
【0004】
従来、EGRガスと吸気の混合を促進させる技術は、特許文献1のような吸気通路内を流れる吸気流に、多くの噴出孔からEGRガスを当てたり、特許文献2のような吸気通路内に導入されたEGRガスと吸気通路内の吸気とを、吸気通路内の流通方向に複数重に設置した撹拌部材で混合したりするなど、吸気通路内にEGRガスを導入した後で、吸気と混合させる技術がほとんどである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−319900号公報
【特許文献2】特開2000− 8967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、こうした技術で、EGRガスと吸気との混合の促進を十分に果たすためには、混合部をなす、EGRガスを当たる距離を長くしたり(特許文献1)、混合部をなす、撹拌部材を複数重、配置したり(特許文献2)して、混合に費やす距離と時間を稼ぐことが必要となる。
このため、特許文献1,2のような技術だと、吸気スロットルをエンジンから遠ざけるという変更をしないと、EGRガスと吸気とを十分に混合させるのは難しく、ディーゼルエンジンの吸気側(インテークマニホルド廻り)のコンパクト性が損なわれやすい。
【0007】
そこで、本発明の目的は、エンジンから吸気スロットルまでが短い吸気通路で、十分にEGRガスと吸気とが混合される排気ガス還流装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の排気ガス還流装置は、吸気スロットルの下流側を流れる吸気とEGRガスとを混合させる混合部として、吸気スロットルの下流側を流れる吸気の一部を吸気通路外へ導く導入路と、吸気通路の外部に設けられ、EGR通路からのEGRガスと導入路からの吸気とを受け、吸気通路外でEGRガスと吸気とを混合させる混合室と、混合室内で混合した混合ガスを吸気通路へ戻す戻し路とを有して構成される外部混合構造を用い、さらにコンパクトな構造で、バタフライ弁が開いたときには、空気流の抵抗になるのが抑えられ、バタフライ弁が閉じたときでも、EGRガスとの混合が果たせるよう、吸気スロットルは、開閉可能なバタフライ弁を有し、混合室は、吸気通路の外周面のうち、バタフライ弁が開閉する開閉方向側に配置され、内部に混合流を誘起する誘起空間を有した室を有し、EGR通路は、誘起空間につながり、導入路は、誘起空間の一部を吸気通路の壁部に開口させた入口路を有し、戻し路は、誘起空間の一部を吸気通路の壁部に開口させた戻し路を有して形成されるものとした。
【0009】
同構成により、EGRガスと吸気とは、吸気通路外で混合されてから、再び吸気通路に戻るから、混合に求められる距離や時間は、吸気通路の外部で稼げる。このため、エンジンから吸気スロットルまでの配置はそのままに、十分なEGRガスと吸気との混合が行える
【0010】
請求項2に記載の排気ガス還流装置は、さらにバタフライ弁の閉じたとき、バタフライ弁を通過する吸気が効果的に混合室へ導入されるよう、吸気通路の壁部に開口する入口路の開口部の縁部のうち、バタフライ弁に近い側の開口縁部分を、吸気通路の内面に沿う層流を前記入口路内へ引き寄せるコアンダ面で形成することとした。
請求項3に記載の排気ガス還流装置は、さらにできる限り占有スペースを抑えた構造でEGRガスと吸気との混合が行えるよう、誘起空間は、混合室へ導入されるEGRガス流、吸気流により、旋回流を誘起する空間で形成されるものとした。
【0011】
請求項4に記載の排気ガス還流装置は、さらに混合ガスを用いて、高い精度でEGR制御が行えるよう、混合室から下流側の吸気通路には、EGRガスと吸気とが混合した混合ガスの空燃比を検知するA/Fセンサを設けるものとした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、EGRガスと吸気とは、吸気通路外で混合されてから、再び吸気通路に戻るから、混合に求められる距離や時間は、吸気通路の外部で稼げ、エンジンから吸気スロットルまでの配置を変更せずに、十分にEGRガスと吸気との混合が行える。
それ故、エンジンから吸気スロットルまでが短い吸気通路で、十分にEGRガスと吸気とを混合させることができる。
【0013】
そのうえ、吸気通路の外周面に混合室を設けるというコンパクトな構造ですむ。しかも、バタフライ弁が開いたときは、空気流の抵抗になるのを抑えながら、吸気を混合室内へ導け、バタフライ弁が閉じたときは、バタフライ弁の端と吸気通路の壁面との間(隙間)を通過する吸気流を混合室へ導けるから、どのようなバタフライ弁でも、バタフライ弁の開度に応じた十分な混合が約束できる。
【0014】
請求項2の発明によれば、さらに入口路の開口縁部に形成されたコアンダ面により、バタフライ弁の閉じたとき、バタフライ弁を通過する吸気は、コアンダ効果により、十分に混合室へ導入させることができ、バタフライ弁が閉じたときでも、十分なEGRガスと吸気との混合が約束できる。
請求項3の発明によれば、旋回流を誘起する空間により、EGRガスと吸気とを混合させるため、占有スペースを抑えた構造で、混合に求められる距離、時間が十分に確保でき、コンパクトな構造で、EGRガスと吸気との混合が行える。
【0015】
請求項4の発明によれば、混合したガスを用い、高い精度でEGR制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態に係るエンジンの排気ガス還流装置の概略を示す構成図。
図2図1中のA部の要部の構造を、バタフライ弁が閉じたときの状態と共に示す断面図。
図3図2中のB−B線に沿う断面図。
図4】バタフライ弁が開いたときの状態を示す断面図。
図5図4中のC−C線に沿う断面図。
図6】本発明の第2の実施形態の要部を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図1図5に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1は、本発明を適用したエンジン、例えば多気筒のディーゼルエンジンの周辺を示していて、図中1は同エンジンのエンジン本体、2は同エンジン本体1の吸気側に装着されたインテークマニホルド、3は同エンジン本体1の排気側に装着されたエキゾーストマニホルドを示している。5は、インテークマニホルド2に接続された吸気管(本願の吸気通路に相当)、6は、エキゾーストマニホルド3に接続された排気管(本願の排気通路に相当)であり、吸入空気たる外気(新気)が、吸気管5およびインテークマニホルド2を通じ、エンジン本体1の各気筒(図示しない)へ導入されたり、各気筒から排出された排気ガスが、エキゾーストマニホルド3、排気管6を通じ、外部へ排出される構造となっている。
【0018】
吸気管5の途中には、吸気スロットル7が設けられている。吸気スロットル7は、例えば中央の回動軸線を支点に開閉するバタフライ弁で構成してある(図2図5に図示)。このバタフライ弁(吸気スロットル7)は、応答性の確保のため、インテークマニホルド2から近い位置に配置してある。
一方、図中10は、気筒内の燃焼温度を下げるため(排気ガス中のNOxの低減)に用いられる排気ガス還流装置を示している。排気ガス還流装置10は、エンジン本体1から排気管6へ排出された排気ガスの一部を排気管6から分岐したEGR通路11へ導き、同排気ガスをガスEGRガスとして吸気スロットル7の下流側の吸気管部分からディーゼルエンジンへ還流させる装置である。ちなみに11aは、EGRガス流量を制御するEGRバルブを示す。排気ガス還流装置10は、これらEGRガスと吸気(新気)とを混合させる混合部13を有している。
【0019】
混合部13は、エンジン本体1の近くに配置してある吸気スロットル7の位置を変更させずに、EGRガスと吸気(新気)とを十分に混合させることが求められる(コンパクト性の確保のため)。
そのため、排気ガス還流装置10の混合部13には、吸気管5(吸気通路)の外部でEGRガスと吸気とを混合させてから、吸気管5の下流側へ戻す外部混合構造が用いられている。この混合部13には、吸気管5の外部に混合室15を設け、この混合室15にEGR通路11を接続し、さらに混合室15に、吸気の一部を導く導入路18を設けて、外部の混合室15内でEGRガスと吸気とを混合させる構造とし、さらに混合室15に戻し路19を設けて、混合を終えた混合ガスを吸気スロットル7の下流側の吸気管部分へ戻す構造が用いられる。
【0020】
詳しくは、図2および図3に示されるように例えば混合室15は、吸気スロットル7と直近となる吸気管部分の外周面のうち、吸気スロットル7を構成するバタフライ弁が開閉する開閉方向側の外周面にそれぞれ取着された一対の箱形室16a,16bをもつ。各箱形室16a,16b内には、例えば充填物20を利用して形成された、例えば吸気管5の軸心方向と交差する方向を軸心とした円筒形の空間21が設けられている。これら箱形室16a,16bのうちの、吸気管部分と向き合う壁部21aには、それぞれ円筒形空間21の接線方向に沿って開口させたEGRガス入口23が設けられている。これら各EGR入口23に上記EGR通路11の端部がそれぞれ接続され、EGR通路11からのEGRガスがそれぞれ円筒形空間21へ導出されるようにしている。
【0021】
また各箱形室16a,16b内のうち、例えば各円筒形空間21と隣接する上流側の部分には、上記導入路18が設けられている。導入路18は、吸気管部分内を流れる吸気流の一部を円筒形空間21へ取り込む通路で、例えば入口24a(一端)が吸気管部分の上流側の壁部に開口し、出口24b(他端)が円筒形空間21の接線方向で開口したL形の入口路24から形成してある。
【0022】
これで、EGRガス入口23から円筒形空間21へ導入されるEGRガス、入口路24から円筒室空間21へ導入される吸気(新気)により、円筒形空間21内で旋回流を誘起させて、円筒形空間21内で、EGRガスと吸気とが混合されるようにしている。すなわち、円筒形空間21を、混合流(旋回流)を誘起させる誘起空間として、EGRガスと吸気(新気)との混合が十分に行える構造にしている。特に吸気スロットル7(バタフライ弁)が閉じたときでも(全閉)、EGRガスと吸気(新気)との混合が果たせるよう、図2に示されるように入口24aの開口縁部のうち、吸気スロットル7(バタフライ弁)と近い上流側の開口縁部分には、例えば大きな円弧形の曲面でなるコアンダ面25が形成されている。つまり、コアンダ面25がもたらすコアンダ効果により、吸気管5の内面に沿って流れる層流aが入口路24内へ引き寄せられるようにしている。これで、吸気スロットル7(バタフライ弁)閉じたとき、吸気スロットル7(バタフライ弁)と吸気管5との隙間αを通過する吸気流(新気)が、十分に入口路24へ取り込めるようにしている。
【0023】
また各箱形室16a,16b内のうち、例えば吸気管部分と円筒形空間21との境界部には、上記戻し路19が設けられている。戻し路19は、円筒形空間21内で旋回している流体(混合ガス)を円筒形空間21外へ導くガイド路26を上記境界部に形成し、このガイド路26の出口を吸気管5の壁部に形成した戻し口、具体的には入口24aよりも下流側の地点に形成した戻し口27に連通させた構造が用いられる。これで、円筒形空間21内で混合したEGRガスと吸気(新気)との混合ガスを、入口24aより下流側の地点から、吸気管5へ戻す構造にしている。
【0024】
特に高い精度でEGR制御が行えるよう、混合室15から下流側、具体的にはインテークマニホルド2までの吸気管部分には、EGRガスと吸気(新気)との混合した混合ガスの空燃比を検知するA/Fセンサ28が設けられ、EGRガスと吸気(新気)との混合比率を正確に検知して、高い精度で、EGR制御(導入量の制御)や燃料噴射量や噴射時期などといった制御が行える構造としている。
【0025】
このように構成された排気ガス還流装置10によると、例えばディーゼルエンジンの運転条件により、EGRバルブ11aが開かれると、図2,4に示されるようにエンジン本体1から排出された排気ガスの一部がEGRガスとして、EGR通路11を通じて、それぞれ吸気スロットル7の両側の混合室15内へ導出される。
このとき、EGRガスは円筒形空間21へ導入される。具体的にはEGRガスは、接線方向から円筒形空間21へ導入される。これにより、EGRガスは、円筒形空間21を旋回し、円筒形空間21内で旋回流を誘起する。
【0026】
一方、吸気スロットル7(バタフライ弁)を通過した吸気(新気)の一部は、入口24aから入口路24(導入路18)を通じて、円形空間21内へ導出される。具体的には吸気は、接線方向から円筒形空間部21内へ導入される。これにより、吸気(新気)は、円筒形空間21内で、旋回流により、EGRガスとの混合が行われる。この混合は、吸気管5外で行われるから、吸気管5の長さや吸気スロットル7の位置はそのままに、混合に求められる距離、時間の双方を稼ぎながら十分に行われる。
【0027】
この混合したEGRガスと吸気(新気)との混合ガスが、ガイド路26を経て、戻し口27から、すなわち入口24よりも下流の地点から、吸気管5内へ戻される。これにより、同混合ガスが、A/Fセンサ28を経て、各気筒へ供給される。
このとき、図2および図3に示されるように吸気スロットル7(バタフライ弁)が閉じられている状態(例えば全閉)であれば、入口24aに形成したコアンダ面25によって、例えば図2中の矢印に示されるように吸気スロットル7(バタフライ弁)の開閉方向側の端と吸気管5の内面との隙間αを通過する吸気管5の内面に沿う層流aが、入口路24内(導入路18)へ引き寄せられて、混合室15内へ供給される。
【0028】
また図4および図5に示されるように吸気スロットル7(バタフライ弁)が開かれている状態(例えば全開)であれば、吸気の流れの抵抗とはならずに、吸気(新気)が混合室15内へ供給される。
こうした排気ガス還流装置10の構造、すなわち吸気管5外でEGRガスと吸気(新気)とを混合してから吸気管5に戻す排気ガス還流装置10だと、EGRガスと吸気(新気)との混合に求められる距離や時間は、吸気管5の外部で十分に稼げるから、ディーゼルエンジンから吸気スロットル7(バタフライ弁)までの配置はそのまま、すなわちエンジンから吸気スロットルまでの配置を変更せずに、十分にEGRガスと吸気(新気)とを混合させることができる。
【0029】
したがって、ディーゼルエンジンから吸気スロットル7(バタフライ弁)までが短い吸気管7(吸気通路)でも、十分にかつ良好にEGRガスと吸気を混合させることができる。
しかも、混合構造には、吸気管5(吸気通路)の外周面に、混合を促す円筒形空間21(誘起空間)を形成し、円筒形空間21に、EGR通路11や入口路24(導入路)や戻し路19を設ける構造を採用したので、コンパクトな構造で、十分にEGRガスと吸気(新気)とを混合させることができる。加えて、吸気スロットル7(バタフライ弁)が開いたときは、空気流の抵抗になるのが抑えられ、吸気スロットル7(バタフライ弁)が閉じたときは、吸気スロットル7(バタフライ弁)の端と吸気管5の壁面との間(隙間)を通過する吸気流が混合室15へ導けるから、どのような吸気スロットル7(バタフライ弁)の状態でも、吸気スロットル7(バタフライ弁)の開度に応じた十分な混合ができる。特に入口路24の入口24aにコアンダ面25を形成すると、吸気スロットル7(バタフライ弁)が閉じた状態のとき、コアンダ効果により、混合に用いる吸気が十分に確保され、良好なるEGRガスとの混合が約束できる。
【0030】
そのうえ、混合室15は、旋回流を誘起する室、すなわち円筒形空間21を用いたことで、占有スペースを抑えた誘起空間で、混合に求められる距離、時間を十分に確保することができ、コンパクトな構造ですむ。
特に、混合室15の下流直近にA/Fセンサ28を設けると、混合されたEGRガスと吸気(新気)との混合比率を正確に検知でき、高い精度で各種制御(EGR制御、燃料噴射量、噴射時期など)ができる。
【0031】
図6は、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、入口24aの、コアンダ面25とは反対の下流側の開口縁部に、同開口縁部から吸気管5内へ突き出る円弧形のガイド部30を設けて、吸気管5を流れる吸気を取り込むようにしたものである。
ガイド部30を設ける構造は、吸気スロットル27(バタフライ弁)の全開時、多くの吸気量が取り込めるので、多くのEGRガスと混合させる場合には有効である。
【0032】
但し、図6において、第1の実施形態と同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略した。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、円筒形空間で誘起される旋回流で、EGRガスと吸気(新気)とを混合させたが、これに限らず、他の構造や手段でEGRガスと吸気(新気)とを混合させても構わない。また上述の実施形態では、一対の混合室を用いた例を挙げたが、これに限らず、一つの混合室でも環状の混合室でもよく、その構造には限定されるものではない。
【符号の説明】
【0033】
1 エンジン本体
2 インテークマニホルド
3 エキゾーストマニホルド
5 吸気管(吸気通路)
6 排気管(排気通路)
7 吸気スロットル(バタフライ弁)
11 EGR通路
15 混合室
18 導入路
19 戻し路
図1
図2
図3
図4
図5
図6