(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
熱を利用して作動するスターリングエンジンと、前記スターリングエンジンに連結された発電機と、前記発電機に接続されたインバータ・コンバータと、前記インバータ・コンバータを制御するインバータ・コンバータ制御手段と、前記スターリングエンジンを起動・停止制御するスターリングエンジン起動・停止手段と、前記インバータ・コンバータ制御手段と前記スターリングエンジン起動・停止手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記スターリングエンジン起動・停止手段による前記スターリングエンジンの起動前に、前記インバータ・コンバータ制御手段による前記インバータ・コンバータへの通電を開始するとともに、前記インバータ・コンバータの準備が完了したか否かを判断して前記スターリングエンジンの起動開始シーケンスに移行することを特徴とするスターリングエンジン制御システム。
前記制御手段は、前記スターリングエンジン起動・停止手段による前記スターリングエンジンの停止後に、前記インバータ・コンバータ制御手段による前記インバータ・コンバータへの通電を停止することを特徴とする請求項1に記載のスターリングエンジン制御システム。
前記スターリングエンジン起動・停止手段は、前記スターリングエンジンの起動時又は停止時に、前記圧力調整手段により前記圧縮空間の圧力変動を小さくすることを特徴とする請求項3に記載のスターリングエンジン制御システム。
前記制御手段は、前記スターリングエンジンの起動時に前記インバータ・コンバータを介して前記発電機にて前記スターリングエンジンを起動させることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システム。
前記制御手段は、前記スターリングエンジンの膨張空間の温度が所定温度を超えたことを判断して前記発電機による発電運転モードに移行させることを特徴する請求項1から請求項5のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システム。
前記制御手段は、前記発電機による発電出力が所定値となるように、前記インバータ・コンバータ制御手段を介して前記インバータ・コンバータを制御することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システム。
前記制御手段は、前記スターリングエンジンの入口温度及び膨張空間温度がそれぞれの所定値を下回った場合、又は前記スターリングエンジン制御システムの異常を検出した場合に前記スターリングエンジン起動・停止手段を介して前記スターリングエンジンの運転を停止することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システム。
前記制御手段は、前記スターリングエンジンの停止時に前記インバータ・コンバータ制御手段を介して前記インバータ・コンバータの回転数を零に設定することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システム。
前記スターリングエンジンの回転数を検出する回転数検出手段をさらに備え、前記スターリングエンジンの停止時に前記回転数検出手段で前記スターリングエンジンの回転停止を検出することを特徴とする請求項11に記載のスターリングエンジン制御システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排熱を利用したスターリングエンジン制御システムは、スターリングエンジンの運転開始を安定して始めること、適切な発電出力が安定して得られること、ユーザがシステムを停止させたい場合やシステムに異常が生じた場合には確実かつ速やかにスターリングエンジンを停止できることが要求される。
そして、スターリングエンジンの運転開始を安定して始めることができ、かつ運転開始から適切な発電出力が安定して得られるためには、運転開始に先立って運転準備を行う必要がある。
また、スターリングエンジンの停止を確実かつ速やかに行うためには、スターリングエンジンと発電機の停止を確実に行う必要がある。
しかし、特許文献1から特許文献5には、これらの具体的な手段は示されていない。
【0005】
そこで、本発明は、スターリングエンジンの運転開始を安定して始めることができるとともにスターリングエンジンの停止を確実かつ速やかに行うことができるスターリングエンジン制御システム及びスターリングエンジン搭載船舶を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明に対応したスターリングエンジン制御システムにおいては、熱を利用して作動するスターリングエンジンと、スターリングエンジンに連結された発電機と、発電機に接続されたインバータ・コンバータと、インバータ・コンバータを制御するインバータ・コンバータ制御手段と、スターリングエンジンを起動・停止制御するスターリングエンジン起動・停止手段と、インバータ・コンバータ制御手段とスターリングエンジン起動・停止手段を制御する制御手段とを備え
、制御手段は、スターリングエンジン起動・停止手段によるスターリングエンジンの起動前に、インバータ・コンバータ制御手段によるインバータ・コンバータへの通電を開始するとともに、インバータ・コンバータの準備が完了したか否かを判断してスターリングエンジンの起動開始シーケンスに移行することを特徴とする。請求項1に記載の本発明によれば、インバータ・コンバータ制御手段とは別にスターリングエンジン起動・停止手段とを備えることで、運転開始シーケンスに先立って運転準備シーケンスを行うことができる。従って、例えば、自動運転が開始されると、はじめに待機モードとなり、インバータ・コンバータの運転準備が整った後に運転開始シーケンスを始め、適切な温度条件で発電が開始したことを確認した後に発電運転モードに移行することができる。
また、インバータ・コンバータの運転準備が整わない状態では、スターリングエンジンの運転開始シーケンスが始まることはない。従って、スターリングエンジンの運転開始シーケンスを安定して始めることができる。
【0007】
請求項
2記載の本発明は、請求項
1に記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、制御手段は、スターリングエンジン起動・停止手段によるスターリングエンジンの停止後に、インバータ・コンバータ制御手段によるインバータ・コンバータへの通電を停止することを特徴とする。請求項
2に記載の本発明によれば、スターリングエンジンを確実かつ速やかに停止することができる。
【0008】
請求項
3記載の本発明は、請求項1
又は請求項
2に記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、スターリングエンジン起動・停止手段は、スターリングエンジンの圧縮空間の圧力を調節する圧力調整手段を有することを特徴とする。請求項
3に記載の本発明によれば、スターリングエンジンにかかる負荷を調整し、スターリングエンジンの運転開始及び運転停止を速やかに行うことができる。
【0009】
請求項
4記載の本発明は、請求項
3に記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、スターリングエンジン起動・停止手段は、スターリングエンジンの起動時又は停止時に、圧力調整手段により圧縮空間の圧力変動を小さくすることを特徴とする。請求項
4に記載の本発明によれば、スターリングエンジンの起動時には立ち上げ時間を短縮できるとともに、スターリングエンジンの停止時には、停止までの時間を短縮できる。
【0010】
請求項
5記載の本発明は、請求項1から請求項
4のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、制御手段は、スターリングエンジンの起動時にインバータ・コンバータを介して発電機にてスターリングエンジンを起動させることを特徴とする。請求項
5に記載の本発明によれば、発電機を始動モータとして利用できる。
【0011】
請求項
6記載の本発明は、請求項1から請求項
5のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、制御手段は、スターリングエンジンの膨張空間の温度が所定温度を超えたことを判断して発電機による発電運転モードに移行させることを特徴とする。請求項
6に記載の本発明によれば、確実に発電出力を得ることができるとともに、スターリングエンジンでの異常発生を防ぐことができる。
【0012】
請求項
7記載の本発明は、請求項1から請求項
6のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、制御手段は、発電機による発電出力が所定値となるように、インバータ・コンバータ制御手段を介してインバータ・コンバータを制御することを特徴とする。請求項
7に記載の本発明によれば、安定した発電出力を得ることができるとともに、スターリングエンジンでの異常発生を防ぐことができる。
【0013】
請求項
8記載の本発明は、請求項
7に記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、制御手段は、発電機の回転数が所定の回転数となるように制御することを特徴とする。請求項
8に記載の本発明によれば、起動時のモータリングを所定回転数で運転することで発電運転モードまでの制御を確実に安定して行え、例えば、モータリング時の回転数と発電時の回転数を異ならせ確実に起動を行うことや安定した発電出力を得ることができる。
【0014】
請求項
9記載の本発明は、請求項
7に記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、制御手段は、発電機のトルクが所定のトルクとなるように制御することを特徴とする。請求項
9に記載の本発明によれば、起動運転や発電運転を所定トルクで行うことでも、確実な起動や安定した発電出力を得ることができる。
【0015】
請求項
10記載の本発明は、請求項1から請求項
9のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、制御手段は、スターリングエンジンの入口温度及び膨張空間温度がそれぞれの所定値を下回った場合、又はシステムの異常を検出した場合にスターリングエンジン起動・停止手段を介してスターリングエンジンの運転を停止することを特徴とする。請求項
10に記載の本発明によれば、スターリングエンジンから十分な発電電力を得られない場合、又はシステムの異常時には速やかにスターリングエンジンを停止することができる。また、利用する熱の供給停止時に、熱を最大限利用することができる。
【0016】
請求項
11記載の本発明は、請求項1から請求項
10のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、制御手段は、スターリングエンジンの停止時にインバータ・コンバータ制御手段を介してインバータ・コンバータの回転数を零に設定することを特徴とする。請求項
11に記載の本発明によれば、インバータ・コンバータによってスターリングエンジンを停止することができる。
【0017】
請求項
12記載の本発明は、請求項
11に記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、スターリングエンジンの回転数を検出する回転数検出手段をさらに備え、スターリングエンジンの停止時に回転数検出手段でスターリングエンジンの回転停止を検出することを特徴とする。請求項
12に記載の本発明によれば、インバータ・コンバータ制御手段やインバータ・コンバータ等に故障があっても確実にスターリングエンジンを停止することができる。
【0018】
請求項
13記載の本発明は、請求項1から請求項
12のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、インバータ・コンバータにより、発電出力を交流ラインに系統連系させることを特徴とする。請求項
13に記載の本発明によれば、スターリングエンジンの起動・停止をすることや発電出力を得ることができるとともに、得られた発電出力を交流ラインに系統連系させることで電力を利用することができる。
【0019】
請求項
14記載の本発明は、請求項1から請求項
13のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システムにおいて、熱として、エンジンの排ガスを用いることを特徴とする。請求項
14に記載の本発明によれば、エンジンの排ガスによって電力を得ることができる。
【0020】
請求項
15記載の本発明に対応したスターリングエンジン搭載船舶においては、請求項1から請求項
14のいずれかに記載のスターリングエンジン制御システムを備えたことを特徴とする。請求項
15に記載の本発明によれば、船舶のエンジン排熱を利用して船舶内で用いる電力を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、インバータ・コンバータ制御手段とは別にスターリングエンジン起動・停止手段とを備えることで、運転開始シーケンスに先立って運転準備シーケンスを行うことができる。従って、例えば、自動運転が開始されると、はじめに待機モードとなり、インバータ・コンバータの運転準備が整った後に運転開始シーケンスを始め、適切な温度条件で発電が開始したことを確認した後に発電運転モードに移行することができる。
【0022】
また制御手段が、スターリングエンジン起動・停止手段によるスターリングエンジンの起動前に、インバータ・コンバータ制御手段によるインバータ・コンバータへの通電を開始する
ので、インバータ・コンバータの運転準備が整った後に運転開始シーケンスを始め、インバータ・コンバータの運転準備が整わない状態では、スターリングエンジンの運転開始シーケンスが始まることはない。従って、スターリングエンジンの運転開始シーケンスを安定して始めることができる。
【0023】
また、制御手段が、スターリングエンジン起動・停止手段によるスターリングエンジンの停止後に、インバータ・コンバータ制御手段によるインバータ・コンバータへの通電を停止する場合には、スターリングエンジンを確実かつ速やかに停止することができる。
【0024】
また、スターリングエンジン起動・停止手段が、スターリングエンジンの圧縮空間の圧力を調節する圧力調整手段を有する場合には、スターリングエンジンにかかる負荷を調整し、スターリングエンジンの運転開始及び運転停止を速やかに行うことができる。
【0025】
また、スターリングエンジン起動・停止手段が、スターリングエンジンの起動時又は停止時に、圧力調整手段により圧縮空間の圧力変動を小さくする場合には、スターリングエンジンの起動時には立ち上げ時間を短縮できるとともに、スターリングエンジンの停止時には、停止までの時間を短縮できる。
【0026】
また、制御手段が、スターリングエンジンの起動時にインバータ・コンバータを介して発電機にてスターリングエンジンを起動させる場合には、発電機を始動モータとして利用できる。
【0027】
また、制御手段が、スターリングエンジンの膨張空間の温度が所定温度を超えたことを判断して発電機による発電運転モードに移行させる場合には、確実に発電出力を得ることができるとともに、スターリングエンジンでの異常発生を防ぐことができる。
【0028】
また、制御手段が、発電機による発電出力が所定値となるように、インバータ・コンバータ制御手段を介してインバータ・コンバータを制御する場合には、安定した発電出力を得ることができるとともに、スターリングエンジンでの異常発生を防ぐことができる。
【0029】
また、制御手段が、発電機の回転数が所定の回転数となるように制御する場合には、起動時のモータリングを所定回転数で運転することで発電運転モードまでの制御を確実に安定して行え、例えば、モータリング時の回転数と発電時の回転数を異ならせ、確実に起動を行うことや安定した発電出力を得ることができる。
【0030】
また、制御手段が、発電機のトルクが所定のトルクとなるように制御する場合には、起動運転や発電運転を所定トルクで行うことでも、確実な起動や安定した発電出力を得ることができる。
【0031】
また、制御手段は、スターリングエンジンの入口温度及び膨張空間温度がそれぞれの所定値を下回った場合、又はシステムの異常を検出した場合には、スターリングエンジン起動・停止手段を介してスターリングエンジンの運転を速やかに停止することができる。また、利用する熱の供給停止時に、熱を最大限利用することができる。
【0032】
また、制御手段が、スターリングエンジンの停止時にインバータ・コンバータ制御手段を介してインバータ・コンバータの回転数を零に設定する場合には、インバータ・コンバータによってスターリングエンジンを停止することができる。
【0033】
また、スターリングエンジンの回転数を検出する回転数検出手段をさらに備え、スターリングエンジンの停止時に回転数検出手段でスターリングエンジンの回転停止を検出する場合には、インバータ・コンバータ制御手段やインバータ・コンバータ等に故障があっても確実にスターリングエンジンを停止することができる。
【0034】
また、インバータ・コンバータにより、発電出力を交流ラインに系統連系させる場合には、スターリングエンジンの起動・停止をすることや発電出力を得ることができるとともに、得られた発電出力を交流ラインに系統連系させることで電力を利用することができる。
【0035】
また、熱として、エンジンの排ガスを用いる場合には、エンジンの排ガスによって電力を得ることができる。
【0036】
また、スターリングエンジン搭載船舶がスターリングエンジン制御システムを備えた場合には、船舶のエンジン排熱を利用して船舶内で用いる電力を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、本発明の実施形態によるスターリングエンジン制御システムについて説明する。
図1は本実施形態によるスターリングエンジン制御システムに用いるスターリングエンジンの設置状態を示す構成図である。
例えば船舶1には、船内で用いる電力供給のために、ディーゼル発電機2とディーゼルエンジン3からなるディーゼル発電装置が搭載されている。ディーゼルエンジン3から排気される排ガスは、排気ダクト4によって船舶1外に排出される。
本実施形態に用いるスターリングエンジン10は、排気ダクト4から排出される排ガスの熱を利用する。
なお、熱源として、船舶1の航行に用いるエンジンの排ガスを用いることもできる。また、ディーゼルエンジン3や航行に用いるエンジンの冷却水や循環オイル等も使用することができる。
【0039】
図2は、本実施形態に用いるスターリングエンジンの構成を示す断面図である。
本実施形態によるスターリングエンジン10は、ヒータ管11を排気ダクト4内に設置する。スターリングエンジン10は、ディスプレーサピストン12とパワーピストン13とを有している。ディスプレーサピストン12及びパワーピストン13は、それぞれクランクシャフト14に連結されている。クランクシャフト14の一端側には発電機20が接続され、他端側にはエンコーダ(回転数検出手段)31を設けている。
【0040】
ヒータ管11の一端側端部11Aは、ディスプレーサピストン12の膨張空間10Aに連通している。またヒータ管11の他端側端部11Bは、再生器15と連通し、再生器15はクーラ16と連通し、クーラ16はディスプレーサピストン12の圧縮空間10Bに連通している。クランクシャフト14を有するケース内には、バッファ空間10Cが形成されている。
【0041】
本実施形態によるスターリングエンジン10は、圧縮空間10Bとバッファ空間10Cとをバイパス管41で接続し、バイパス管41には均圧バルブ42を備えている。バイパス管41と均圧バルブ42によって、圧力調整手段40を構成している。
【0042】
上記構成において、スタート時には発電機20を動力源としてディスプレーサピストン12を動作させることで、ディスプレーサピストン12の膨張空間10Aと圧縮空間10B内の作動ガスが移動する。作動ガスは、ヒータ管11で加熱・膨張して膨張空間10Aに導入され、クーラ16で冷却・収縮して圧縮空間10Bに導入されることで、膨張空間10A及び圧縮空間10B内に圧力変動が生じる。この作動空間内の圧力変動によってパワーピストン13が動作することで出力を得る。
圧力調整手段40は、均圧バルブ42を開放して、圧縮空間10Bとバッファ空間10Cとを連通させることで、圧縮空間10Bの圧力変動を小さくする。
【0043】
図3は本実施形態によるスターリングエンジン制御システムのブロック図である。
本実施形態によるスターリングエンジン制御システムは、熱を利用して作動するスターリングエンジン10と、スターリングエンジン10に連結された発電機20と、発電機20に接続された第1のインバータ・コンバータ51と、第1のインバータ・コンバータ51を制御するインバータ・コンバータ制御手段52と、スターリングエンジン10を起動・停止制御するスターリングエンジン起動・停止手段53と、インバータ・コンバータ制御手段52とスターリングエンジン起動・停止手段53を制御する制御手段54とを備えている。
なお、ここで使用するインバータ・コンバータ51は、機能的に逆使用できるものである。また、インバータ・コンバータ51は機能を分離して独立して設けてもよい。
スターリングエンジン起動・停止手段53は、第1のインバータ・コンバータ51を介して発電機20を動作させてスターリングエンジン10を起動、停止する。
【0044】
スターリングエンジン起動・停止手段53は、スターリングエンジン10の圧縮空間10Bの圧力を調節する圧力調整手段40を有する。
圧力調整手段40における均圧バルブ42の開閉動作は、スターリングエンジン起動・停止手段53によって行われる。
同スターリングエンジン制御システムは、第2のインバータ・コンバータ55を備えている。第2のインバータ・コンバータ55は、例えば、単相100Vと3相200Vのように、別種の出力を得る用途に用いられる。この場合、第1のインバータ・コンバータ51と第2のインバータは
図3は直列に接続して示しているが、並列に接続してもよい。第2のインバータ・コンバータ55は、第1のインバータ・コンバータ51による発電出力を船内電力の交流ライン60に系統連系させる。第2のインバータ・コンバータ55は、フィルタ56、連系トランス57を介して交流ライン60に接続されている。第2のインバータ・コンバータ55は、インバータ・コンバータ制御手段52によって制御される。なお、複数種の出力を必要としない場合は、インバータ・コンバータ51だけでも系統連系は可能である。
【0045】
第1のインバータ・コンバータ51から第2のインバータ・コンバータ55に至るラインには、制動ユニット58を設けている。この制動ユニット58は、制動抵抗器61が接続されている。第2のインバータ・コンバータ55から交流ライン60への系統連系が無効になる場合には、第1のインバータ・コンバータ51からの発電電力は、制動抵抗器61で消費される。
制動抵抗器61での発電電力の消費時間が所定時間を超えると、制動抵抗器61が高温になるため、制御手段54は、スターリングエンジン起動・停止手段53によってスターリングエンジン10の運転を停止する。
表示・操作手段59では、各種入力操作を行えるとともに、動作状態をモニターすることができる。
表示・操作手段59は、制御手段54からの制御内容を表示し、また制御手段54に対する入力操作を行う。
【0046】
スターリングエンジン10には、回転数を検出する回転数検出手段31、膨張空間10Aの温度を検出する第1の温度検出手段32、排ガス入口温度を検出する第2の温度検出手段35、及びスターリングエンジン10の冷却水の温度や水量の異常を検出する異常検出手段36を設けている。
また、発電機20には、発電出力を検出する発電出力検出手段33とトルクを検出するトルク検出手段34を設けている。
回転数検出手段31、第1の温度検出手段32、発電出力検出手段33、トルク検出手段34、第2の温度検出手段35、及び異常検出手段36は、検出信号を制御手段54に送る。制御手段54では、これらの信号によって判断を行い、スターリングエンジン起動・停止手段53及びインバータ・コンバータ制御手段52に対して制御信号を出力する。
【0047】
スターリングエンジン起動・停止手段53は、スターリングエンジン10の起動時又は停止時に、圧力調整手段40により圧縮空間10Bの圧力変動を小さくする。
制御手段54は、スターリングエンジン起動・停止手段53によるスターリングエンジン10の起動前に、インバータ・コンバータ制御手段52による第1のインバータ・コンバータ51への通電を開始する。
制御手段54は、スターリングエンジン10の起動時には、スターリングエンジン起動・停止手段53により第1のインバータ・コンバータ51を介して発電機20にてスターリングエンジン10を起動させる。
【0048】
制御手段54は、スターリングエンジン10の起動後には、スターリングエンジン10の膨張空間10Aの温度が所定温度を超えたことを判断して発電機20による発電運転モードに移行させる。膨張空間10Aの温度は、第1の温度検出手段32で検出する。
制御手段54は、発電運転モードに移行後には、発電機20による発電出力が所定値となるように、インバータ・コンバータ制御手段52を介して第1のインバータ・コンバータ51を制御する。発電出力は、発電出力検出手段33によって検出する。
【0049】
制御手段54は、発電機20の回転数が所定の回転数となるように制御してもよい。発電機20の回転数は、図示しない発電機回転数検出手段にて検知してもいが、回転数検出手段31にて検出することもできる。
制御手段54は、発電機20のトルクが所定のトルクとなるように制御してもよい。発電機20のトルクは、トルク検出手段34にて検出する。
【0050】
発電運転モードにおいて、スターリングエンジン10の入口温度及び膨張空間温度がそれぞれの所定値を下回った場合には、制御手段54は、スターリングエンジン起動・停止手段53を介してスターリングエンジン10の運転を停止する。スターリングエンジン10の入口温度は、排気ダクト4を流れる排ガス温度であり、第2の温度検出手段35によって、ヒータ管11における排ガス入口温度を検出する。
また、発電運転モードにおいて、スターリングエンジン制御システムの異常を検出した場合には、制御手段54は、スターリングエンジン起動・停止手段53を介してスターリングエンジン10の運転を停止する。
【0051】
また、発電運転の停止、すなわちスターリングエンジン10の停止時には、制御手段54は、インバータ・コンバータ制御手段52を介して第1のインバータ・コンバータ51の回転数を零に設定する。
また、発電運転の停止、すなわちスターリングエンジン10の停止時には、制御手段54は、回転数検出手段31でスターリングエンジン10の回転停止を検出する。
【0052】
また、制御手段54は、スターリングエンジン起動・停止手段53によるスターリングエンジン10の停止後に、インバータ・コンバータ制御手段52による第1のインバータ・コンバータ51への通電を停止する。
【0053】
図4は本実施形態によるスターリングエンジン制御システムの自動運転シーケンスを示すフローチャートである。
自動運転開始のスイッチがONされると(ステップ1)、待機モードによって所定時間の経過を待って(ステップ2)、排ガス入口温度が設定値より高いか否かを判断する(ステップ3)。
排ガス入口温度は、第2の温度検出手段35によって検出し、ステップ3における判断は制御手段54によって行われる。排ガス入口温度と比較する設定値は、あらかじめ記憶されており、表示・操作手段59によって設定値を変更することもできる。
【0054】
ステップ3において、排ガス入口温度が設定値以下であると制御手段54で判断された場合には、ステップ2における待機モードに戻る。そして、所定時間経過後に再びステップ3において、排ガス入口温度が設定値より高いか否かを判断する。
ステップ3において、排ガス入口温度が設定値を超えたことを制御手段54が判断すると、運転準備シーケンスに入る(ステップ4)。
運転準備シーケンスに入ると、第1のインバータ・コンバータ51をONする。すなわち、制御手段54は、インバータ・コンバータ制御手段52による第1のインバータ・コンバータ51への通電を開始する。
【0055】
ステップ4において、第1のインバータ・コンバータ51をONにした後インバータ・コンバータ51の準備が完了したか否かを制御手段54が判断する(ステップ5)。
ステップ5において、第1のインバータ・コンバータ51から準備完了の信号が制御手段54に送られると運転開始シーケンスに移行する。(ステップ6)
このように、第1のインバータ・コンバータ51の運転準備が整ってからスターリングエンジン10の起動運転を始めるため、第1のインバータ・コンバータ51の立ち上がり時間も考慮して、安定して運転開始シーケンスを始めることができる。
ステップ6において、運転開始シーケンスに移行すると、所定時間の経過状態を判断する。(ステップ7)。
【0056】
ステップ7において、タイマーによって所定時間が経過したことを判断すると、均圧バルブ42を開放する(ステップ8)。
なお、ステップ7におけるタイマーによる所定時間の経過判断は、頻繁な運転開始シーケンスの繰り返しを防ぐためのものであるため、タイマーを
図4における右側のループ(例えば、ステップ19の後)に入れ、所定時間の経過を待つことなく、ステップ8、ステップ9以降の起動動作に移行することも可能である。また、ステップ10、ステップ12のタイマーを適宜設定することにより、同様な効果を得ることも可能である。
ステップ8では、スターリングエンジン起動・停止手段53が、圧力調整手段40により圧縮空間10Bの圧力変動を小さくして、スターリングエンジン10の起動を容易にする。
そして、モータリングを例えば所定の回転数として400min
-1で開始する(ステップ9)。
ステップ9におけるモータリングは、スターリングエンジン起動・停止手段53が第1のインバータ・コンバータ51を介して発電機20にてスターリングエンジン10を起動させる。
モータリング開始後、所定時間の経過状態を判断する(ステップ10)。
【0057】
ステップ10において、タイマーによって所定時間が経過したことを判断すると、均圧バルブ42を閉塞する(ステップ11)。
ステップ11における均圧バルブ42を閉塞した後、所定時間の経過状態を判断する(ステップ12)。
【0058】
ステップ12において、タイマーによって所定時間が経過したことを判断すると、膨張空間10Aのガス温度が設定値より高いか否かを判断する(ステップ13)。
膨張空間10Aのガス温度は、第1の温度検出手段32によって検出し、ステップ13における判断は制御手段54によって行われる。膨張空間10Aのガス温度と比較する設定値は、あらかじめ記憶されており、表示・操作手段59によって設定値を変更することもできる。
【0059】
ステップ13において、膨張空間10Aのガス温度が設定値以下であると制御手段54で判断された場合には、均圧バルブ42を開放し(ステップ16)、モータリング停止を行う(ステップ17)。
ステップ17におけるモータリング停止は、スターリングエンジン起動・停止手段53が第1のインバータ・コンバータ51に速度零の信号を出力させることで発電機20によりスターリングエンジン10を停止させる。
【0060】
ステップ18では、スターリングエンジン10の回転が零速度になっているか否かを判断する。スターリングエンジン10の回転は、回転数検出手段31からの検出に基づいて制御手段54が判断する。
ステップ18において、スターリングエンジン10の停止が確認されると、均圧バルブ42を閉塞する(ステップ19)。
ステップ19における均圧バルブ42の開放後は、再びステップ6における運転開始シーケンスに戻る。
【0061】
ステップ13において、膨張空間10Aのガス温度が設定値を超えたことを制御手段54が判断すると、インバータ・コンバータ51のインバータ発電出力が設定値を超えているか否かが判断される(ステップ14)。
ステップ14において、インバータ・コンバータ51のインバータ発電出力が設定値以下であると制御手段54で判断された場合には、均圧バルブ42を開放し(ステップ16)、モータリング停止を行う(ステップ17)。
【0062】
ステップ14において、インバータ・コンバータ51のインバータ発電出力が設定値を超えたことを制御手段54が判断すると、発電運転モードに移行する(ステップ15)。
ステップ15における発電運転モードは、所定の設定回転数(例えば600min
-1)による定回転数運転で行うことが好ましいが、定トルク運転で行うこともできる。
設定回転数による定回転数運転は、インバータ・コンバータ制御手段52から第1のインバータ・コンバータ51に対して所定回転数を出力する。このとき、回転数検出手段31によって所定回転数での運転を監視する。
定トルク運転は、トルク検出手段34からの検出値に応じて、制御手段54でトルクと回転数のテーブルを参照して、インバータ・コンバータ制御手段52から第1のインバータ・コンバータ51に対して回転数を出力する。
【0063】
図5は本実施形態によるスターリングエンジン制御システムの運転停止シーケンスを示すフローチャートである。
発電運転モードでスターリングエンジン10を動作中に、自動運転スイッチがOFFされた場合(ステップ1)又は異常発生が生じた場合(ステップ2)には、運転停止シーケンスに移行する(ステップ5)。
また、排ガス入口温度が設定値以下であると判断され(ステップ3)、更に膨張空間温度が設定値以下であると判断された(ステップ4)場合には、運転停止シーケンスに移行する(ステップ5)。
なお、ディーゼルエンジン3が停止されても、排ガス入口温度が設定値を超えている範囲においては、スターリングエンジン10は動作でき、排熱を最大限利用することができる。
【0064】
ステップ5において運転停止シーケンスに移行すると、均圧バルブ42を開放する(ステップ6)。
そして、ステップ7において、スターリングエンジン起動・停止手段53が第1のインバータ・コンバータ51に速度零の信号を出力させることで発電機20からスターリングエンジン10を停止させる。
ステップ8では、スターリングエンジン10の回転が零速度になっているか否かを判断する。スターリングエンジン10の回転は、回転数検出手段31からの検出に基づいて制御手段54が判断する。
【0065】
ステップ8において、スターリングエンジン10の停止が確認されると、均圧バルブ42を閉塞する(ステップ9)。
その後に、第1のインバータ・コンバータ51をOFFして(ステップ10)、運転を停止する(ステップ11)。第1のインバータ・コンバータ51は、スターリングエンジン10の停止が確認されてから停止されるため、確実かつ速やかにスターリングエンジン10を停止する制御が行える。
【0066】
図6から
図10は、本実施形態によるスターリングエンジン制御システムを用いた実験による性能特性図である。
【0067】
図6は運転開始シーケンスの動作による性能特性図である。
図6では、約310℃の排ガスによってヒータ管が十分に暖められた状態で、スターリングエンジン10を起動したときの時系列データを示す。
モータリング時の設定回転数を400min
−1、発電運転時の設定回転数を600min
−1としている。これより、モータリング時に約5kWの負の電力、最大30A程度のインバータ・コンバータ51のインバータ電流を生じた後、スターリングエンジン10は発電運転を始め、約3kWの発電出力で系統連系運転が行われていることがわかる。
【0068】
図7は運転停止シーケンスの動作による性能特性図である。
図7では、発電モードで運転している状態から、自動運転OFFのスイッチを押してスターリングエンジン10を停止させたときの時系列データを示す。
均圧バルブ42を開くことで、約3kWの負の電力、最大25A程度のインバータ・コンバータ51のインバータ電流を生じながら、約15秒後にスターリングエンジン10は停止している。この際、エンジンが確実に停止したことを確認するため、制御手段54は回転数検出手段31の信号と第1のインバータ・コンバータ51による零速度信号の両方を監視している。なお、連系電源を喪失させる等、様々な異常停止条件を与えた場合でも、停止シーケンスが適切に機能することを確認している。
【0069】
図6及び
図7からわかるように、運転開始や停止のシーケンスは概ね意図した通りに機能している。しかし、運転開始・停止時のインバータ・コンバータ51のインバータ電流は通常の発電運転時の電流よりもかなり大きく、インバータ・コンバータや使用機器の選定には十分に留意する必要がある。
【0070】
次に、排熱回収システムの性能特性を示す。
図8は、実運航開始後の航路中、37時間の連続運転を行ったときのログデータである。ディーゼル発電機2の出力は650kW程度、排ガス温度は310℃程度であり、スターリングエンジン10は約2.5kWの発電出力で安定して運転を続けていることがわかる。
【0071】
図9は、船舶が着岸し、荷役・停泊中にスターリングエンジン10を運転したときのログデータである。このとき、ディーゼル発電機2の出力は600〜120kWの範囲で大きく変動している。スターリングエンジン10の設定回転数を700min
−1一定としているため回転数の変化はほとんどないが、発電出力は排ガス温度や排ガス流量に応じて大きく変化していることがわかる。
【0072】
図10は、
図8及び
図9の結果から、スターリングエンジン10が概ね定常状態で運転しているときのディーゼル発電機2の出力に対する各温度と発電出力をまとめたものである。これより、ディーゼル発電機2の出力が低い場合、膨脹空間ガス温度及び発電出力が大きく低下していることがわかる。これは、回転数を700min
−1一定として運転したため、排ガス熱量が小さい場合に膨脹空間ガス温度が十分に高められなかったためであり、排ガスの状態に合わせて設定回転数を決める制御を行うことで、低負荷運転時により高い発電出力が得られるものと考えられる。