特許第5967409号(P5967409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967409
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】バンドカッター装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20160728BHJP
   B23D 15/00 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B65B69/00 102
   B23D15/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-25568(P2012-25568)
(22)【出願日】2012年1月23日
(65)【公開番号】特開2013-147291(P2013-147291A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2015年1月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】597008120
【氏名又は名称】ワシノ機工株式會社
(72)【発明者】
【氏名】上野 佳祐
【審査官】 佐野 健治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−080129(JP,A)
【文献】 特開平11−130026(JP,A)
【文献】 特開2011−235428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
B23D 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された板材やコイル状に巻かれた板材に巻き付けられた結束バンドを切断するバンドカッター装置において、前記板材にライナーを介して巻回され前記板材から部分的に離間される部位が形成される前記結束バンドと交差して当接される固定刃と、前記板材から離間された前記結束バンドと交差する方向に進退自在とされ前記板材に接触せずに前記固定刃と協働して前記結束バンドを切断可能な可動刃と、前記可動刃の結束バンド切断推力に対抗して結束バンドを支持可能な反力受け手段とが備えられたことを特徴とするバンドカッター装置
【請求項2】
積層された板材やコイル状に巻かれた板材に巻き付けられた結束バンドを切断するバンドカッター装置において、前記板材にライナーを介して巻回され前記板材から部分的に離間される部位が形成される前記結束バンドと交差して当接される固定刃と、前記板材から離間された前記結束バンドと交差する方向に進退自在とされ前記板材に接触せずに前記固定刃と協働して前記結束バンドを切断可能な可動刃と
前記可動刃の結束バンド切断推力に対抗して結束バンドを支持可能な反力受け手段と
前記板材と前記結束バンドとの空隙部に挿入され結束バンド切断時に結束バンドの座屈を防止可能な座屈防止手段とを備え前記可動刃の進行によって前記反力受け部に押圧される結束バンドを切断可能とされることを特徴とするバンドカッター装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された板材やコイル状に巻かれた板材に巻き付けられた結束バンドを切断するバンドカッターに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の外板パネル等プレス成形品の材料は、薄い金属板がコイル状に巻かれ、その外円周にライナーを介して細幅の結束バンドが巻回された姿で鋼板メーカーからプレス成形メーカーに納入されている。そして、この結束バンドはプレス成形の前工程で切断される。
【0003】
結束バンドを切断するバンドカッターは、特開2007−50925号に鋼板メーカーで使用される例が記載されている。
ここでの構成によれば、「下刃75は先端を中央方向に向けて下刃ピン75aによりスライドブロック70底部に枢着されている。下刃75の中間部には前記グリッパー構成と同じく、下刃スプリング75bが下刃75を下方(金属コイル表面方向)に押すように取り付けられ下刃先端をバンド51下(コイルとバンドの隙間)に確実に挿入する働きをする。他方の上刃85は先端を中央方向に向けて上刃ピン85aにより駆動スライドブロック80の底部に枢着されている。上刃85は上刃スプリング85bにより下方(金属コイル表面方向)に押され、上刃先端85cがバンド51を確実に上から押さえ浮かせない働きをする。」とされ
【0004】
その作用によれば、「バンド51は両側から上下刃により挟まれて中央部で下刃75はバンド下に侵入し始める。さらに、上刃は先端の切欠部でバンドをおさえたまま、進行して両刃の先端の一部が交叉する状態となり、図6(c)に示すようにバンドは切断される。」とされ、結束バンドが自動的に切断されている。
【0005】
また、特開2003−220517号には大型のハサミを使って人力で切断する例が紹介されている。
ここでの構成によれば、「一対の切れ刃を持つハサミ態様」とされ
その作用によれば、「刃先(6)を、切断したい場所にあわせて固定し、グリップ(9)とグリップ(5)を手で持ち、スライドする柄の(4)をスライドさせ、鉄芯(2)に鉄芯(3)をぶつけて、刃先(6)をスチィールバンド(10)と材料との間に刺し込んで切断を容易にする」とされ、結束バンドを人力により切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】 特開2007−50925号
【特許文献2】 特開2003−220517号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記先行技術には共通する欠点がある。すなわち、密接する結束バンドとコイル(板材)との間に強引に刃物を侵入させるので刃物によってコイル(板材)が押圧されて塑性変形し圧痕が生じる。圧痕が生じると該材料は廃棄するしかないので自ら廃棄材料を造り材料ロスを発生させるという問題がある。この問題は、金属板の厚さが薄いほど影響が大きい。すなわち、板材が重なっているが故に板厚が薄いほど圧痕が残る枚数が多くなり廃棄材料の枚数が増加するからである。
【0008】
以上のような背景のもとになされたもので、反力受け手段で結束バンドを支持して結束バンドと材料との間に形成される間隙を材料に触れずに、結束バンドと交差し反力受け手段の方向に可動刃を移動させて結束バンドを切断するようにして結束バンド切断時の材料への傷付を防止するバンドカッター装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0010】
請求項1に示す工具交換装置は、コイル状に巻かれた(積層された)板材にライナーを介して巻回され前記板材から部分的に離間される部位が形成される結束バンドと交差して当接する固定刃と
前記板材から離間された前記結束バンドと交差する方向に進退自在とされ前記板材に接触せずに前記固定刃と協働して前記結束バンドを切断可能な可動刃と
前記可動刃の結束バンド切断推力に対抗して結束バンドを支持可能な反力受け手段とが備えられたものである。
請求項2に示す工具交換装置は、コイル状に巻かれた(積層された)板材にライナーを介して巻回され前記板材から部分的に離間される部位が形成される結束バンドと交差して当接する固定刃と
前記板材から離間された前記結束バンドと交差する方向に進退自在とされ前記板材に接触せずに前記固定刃と協働して前記結束バンドを切断可能な可動刃と
前記可動刃の結束バンド切断推力に対抗して結束バンドを支持可能な反力受け手段と
前記板材と前記結束バンドとの空隙部に挿入され結束バンド切断時に結束バンドの座屈を防止可能な座屈防止手段とが備えられたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
1、反力受け手段で結束バンドを支持して結束バンドと板材との間に形成される間隙を板材に触れずに結束バンドと交差し反力受け手段の方向に可動刃を移動させて結束バンドを切断するようにしたので結束バンド切断時に板材を傷付けない。
2、結束バンドと交差して結束バンドに当接する固定刃を用いると、反力受け手段で結束バンドを支持して結束バンドと板材との間に形成される間隙を板材に触れずに結束バンドと交差し反力受け手段の方向に可動刃を移動させて前記固定刃と協働して前記結束バンドを切断するようにしたので結束バンド切断時に板材を傷付けない。
3、結束バンド座屈防止手段を設けたので結束バンドの張力や剛性の影響を受けずに安定切断できる。
4、結束バンド切断部の必須構成を可動刃と反力受けまたは可動刃と反力受けと固定刃等簡素にしたので小型・軽量化が実現し、片手で持てる操作桿を設けた。これにより、結束バンドの切断が片手操作でできる。
5、反力受けに結束バンドの側面を当接させるようにしたので反力受け手段の構成が簡素になると共に幅の異なる複数種類の結束バンドに対して利用できる。
6、バンドカッター装置をライナーに載置できるようにしたので結束バンド切断時のバンドカッター装置を支持する筋力負担が激減する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】 本発明のバンドカッター装置の第1実施例を示す要部断面図である。(図2のA−A断面図)
図2】 本発明のバンドカッター装置の第1実施例を示す平面図である。
図3図1のB−B断面視図である。
図4図2のC−C断面視の拡大図である。
図5】 本発明のバンドカッター装置の第2実施例を示す要部側面図である。
図6図5のD矢視図である。
図7】 本発明のバンドカッター装置の第3実施例を示す要部断面図である。
図8図7のE−E断面視図である。
図9】 ライナー端面係止手段の別の実施例を示す要部側面図である。
図10】 反力受け手段の別の実施例を示す要部正面図である。
図11】 ロール状金属板の荷姿例を示す斜視図である。
図12】 本発明のバンドカッター装置の第4実施例を示す要部平面図である。
図13】 結束バンド外れ防止手段を示す要部平面図である。
図14】 可動刃の刃先の一例を示す断面図である。
図15】 ライナーの形状種類を示す平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
【実施例1】
【0014】
図1図4を用いて本発明に係るバンドカッター装置の第1実施例について説明する。
1は固定刃部材であり、一側が開口される蟻溝状の案内溝2が刻設されると共に結束バンド100の正面に当接される固定刃3(実施例では切断すべき結束バンドの最大幅32mmに対応可能に刃長45mmである)と結束バンド100の側面に当接される反力受け手段としての反力受け部4が形成されている。
【0015】
5は案内溝2を塞ぐエンドキャップであり、固定刃部材1の案内溝開口端に図示しないボルトを介して取付けられて後述のストッパー8と同軸とされ該ストッパー8の外径より大径の内径とされる孔5aが貫通されている。
6はプロテクターであり、エンドキャップ5からL字状に突設され結束バンド100との対向面が結束バンド100から適宜離間されて配設されると共にL字状長辺の固定刃部材1との対向面は仮想線の2点鎖線で示され前進端到達の可動刃10から適宜離間するように配設されている。
【0016】
7は案内溝2内を進退自在とされるスライダであり、案内溝2の底面と平行な軸を有す雌ねじ7aと該軸と同軸の軸を有す逃がし穴7bが連通して側面に貫通されている。
また、案内溝2の底面との摺接面と対向する表面には可動刃案内部材7cが突設されると共に隣接して断面三角形の溝9が軸を案内溝の軸と平行にされて複数条刻設されている。また、エンドキャップ5と対向する側面から筒状のストッパー8が前記雌ねじ7aと同軸とされて突設されている。
【0017】
10は可動刃であり、図2から分かるように平面視で平行四辺形とされ、前記反力受け部4との対向面側に鋭利な刃先(実施例は刃先線の法線方向断面視45°)が形成されると共に刃先線10bは結束バンド100の板材との対向面100aと成す角度が鋭角(以下シヤー角と記す。実施例は65°)とされる一方、対向する端面は可動刃案内部材7に当接されている。また、図4から分かるように、スライダ7との対向面の一部に前記溝9と係合される断面三角形の凸条10aが適数条突設されている。また、長孔11が貫設され内面平面部が前記可動刃案内部材7に当接される端面と平行面とされている。
そして、長孔11に挿通されるボルト12によってスライダ7に着脱可能に取付けられている。
なお、刃先角(実施例では45°)及びシヤー角(実施例では65°)は小さいほど切断抵抗が小さくなるが刃先の強度は低下するので結束バンドの強度に対抗して許容可能な耐久性を確保できる角度にすることが好ましい。
【0018】
13は駆動手段取付け部材であり、L字状の長辺側が固定刃部材1に図示しないボルトによって取付けられ、短片側に孔13aが貫通されている。
14はスライダ7を進退させる駆動手段であると共にバンドカッター装置を手で持って操作する主操作桿であり、チャック部が孔13aに挿通されてフランジを介して駆動手段取付け部材13に取付けられて該駆動手段のチャック部に雄ネジ棒16が連結されて駆動手段14のスイッチ15を入れると雄ネジ棒16が回転するようにされている。
雄ネジ棒16の先端部は前記雌ねじ7aと螺合されている。
17は固定刃部材1の固定刃3側と対向する側面に凸設され先端が膨出端とされるL字状の補助操作桿である。
【0019】
以上の構成においてその作用を説明する。
コイル状に巻き重ねられた板材102は厚さ5mmの樹脂製ライナー101を介して厚さ0.9mm、幅32mm乃至12mmの結束バンド100が巻回されて板材の弾力により解れないようにされている。(図11
なお、ライナー形状は図15に示すように(a)正方形、(b)長方形、(c)ロ字状形、(d)コ字状形とあり、その外形大きさも様々ある。
【0020】
前準備として、柔軟性を有す磁石板をコイル状に巻かれた板材の先端に被せて磁着させる。これにより、結束バンド100が切断された際、板材の先端の解れを防止できる。
結束バンド切断作業は、まず、操作桿(駆動手段)14を片手で持ち固定刃3が形成される切欠部内に結束バンド100を入れた後、図3に示すように、可動刃10の固定刃部材1との対向面をライナー101の天側端面に当接させて固定刃3を結束バンド100の正面に当接させると共に反力受け部4を結束バンド100の側面に当接させる。
【0021】
可動刃10をライナー101の天側端面に当接させることによりバンドカッター装置の重量の一部を支持させるので手で支える筋肉負担を軽減できる効果がある。
また、様々な形状があるライナーの共通項としての端面を利用して結束バンドを切断する構成にしたので複数形状のライナーに対して汎用性を有す効果がある。
【0022】
また、幅寸法が複数種類存する結束バンドの共通項としての側面を反力受け部4に当接させる構成にしたので幅の異なる結束バンドに対して汎用性を有す効果がある。
【0023】
次いで、補助操作桿17を他方の片手で待って固定刃3を結束バンド100に押し付けた状態でスイッチ15を指で押すと駆動手段14が起動され雄ねじ棒16が回転される。これにより、雌ねじ7aとの摺接作用によりスライダ7が雄ねじ棒16の基端側(駆動手段側)に移動する。スライダ7に取付けられて一体化された可動刃10も移動され板材102に触れることなく結束バンド100に向かって移動し、結束バンド100に押し付けられても尚移動を続ける。この際、可動刃10の鋭利な刃先による楔効果及び可動刃10と固定刃3とのせん断作用による相乗効果によって板材102に触れることなく移動する可動刃10と固定刃3との協働によって結束バンド100が切断される。(結束バンドの張力が高いとシヤー角90°でも切断できるので可動刃を安価にできる。この際は固定刃を省略できる)
【0024】
結束バンド100の切断が完了したらスイッチ15から指を離すと駆動手段14の動作が停止され雄ネジ棒16の回転が停止されて可動刃10の移動が停止される。なお、ストッパ8の先端が駆動手段取付け部材13の短片表面に当接されるとスライダ7の移動が機械的に停止され可動刃10の移動も停止される。
【0025】
結束バンド100が切断された瞬間に切断端が跳ねるがプロテクター6によりブロックされて補助操作桿17を握る手などに危害を加えることはない。
【0026】
次いで、駆動手段14の図示しない正逆切り換えスイッチを逆転側に切り替えてスイッチ15を押してスライダ7を原位置に戻し、次の切断作業に備える。
【0027】
なお、刃先が摩耗して切れ味が低下した場合は、可動刃10の板材102の対向面10cを案内溝2の軸と平行に適宜削除した後、削除後の前記対向面10cを板材102に触れない範囲で出来る限り板材102に接近させるべく凸条10aを板材102に近い三角溝9に係合させて可動刃10の刃先と対向する端面を可動刃案内部材7cに当接させボルト12によって可動刃10をスライダ7に再取付けすると刃先の位置が当初の位置に復元され、当初同様に結束バンド100切断できる。
【0028】
上記、新刃の繰り出しは図2における長孔11の下側円弧内面にボルト12が当接するまで可能である。これにより、可動刃の交換費を削減できる。
【実施例2】
【0029】
本実施例の特徴とするところは、固定刃部材にライナーの端面に当接可能な顎部を形成させた点にある。
【0030】
図5図6を用いて本発明に係るバンドカッター装置の第2実施例について説明する。
なお、実施例1で使用した部位には同一符号を付し詳細説明を省略する。
21は固定刃部材であり、実施例1と同様に可動刃10が取付けられるスライダ7が進退自在に配設され一側が開口される蟻溝状の案内溝が刻設されると共に結束バンド100の正面に当接される固定刃3と結束バンド100の側面に当接される反力受け手段としての反力受け部24が形成され、さらに、固定刃3の両側にライナー101の端面に当接可能な顎部22が形成されている。
【0031】
以上の構成においてその作用を説明する。
実施例1と同様に、操作桿(駆動手段)14を片手で持ち固定刃3が形成される切欠部内に結束バンド100を入れた後、顎部22をライナー101の天側端面に当接させて固定刃3を結束バンド100の正面に当接させると共に反力受け部24を結束バンド100の側面に当接させる。
以下第1実施例と同様に操作して結束バンド100を切断する。
顎部22と隣接される反力受け部を板材102に接近させて顎部22と隣接される反力受け部24を第1実施例より増加させたので結束バンド100の端面に反力受け部24を当接させる作業性が向上する効果がある。また、図13に示すような外れ防止28を突設すると、その作業の確実性が向上する効果がある。
【実施例3】
【0032】
本実施例の特徴とするところは、可動刃10の外表面をライナーの天側端面に載置するようにして、反力受け部34を板材102に接近させた点にある。
【0033】
図7図8を用いて本発明に係るバンドカッター装置の第3実施例について説明する。
なお、実施例1で使用した部位には同一符号を付し詳細説明を省略する。
31は固定刃部材であり、実施例1と同様に可動刃10が取付けられるスライダ7が進退自在に配設され一側が開口される蟻溝状の案内溝が刻設されると共に結束バンド100の正面に当接される固定刃3と結束バンド100の側面に当接される反力受け手段としての反力受け部34が板材102に接近されて突設されている。
【0034】
以上の構成においてその作用を説明する。
実施例1と同様に、操作桿(駆動手段)14を片手で持ち固定刃3が形成される切欠部内に結束バンド100を入れた後、可動刃10の外表面をライナー101の天側端面に当接させて固定刃3を結束バンド100の正面に当接させると共に反力受け部34を結束バンド100の側面に当接させる。
以下第1実施例と同様に操作して結束バンド100を切断する。
反力受け部を板材102に接近させて結束バンド100の側面からオーバーラップする面を第2実施例よりさらに増加させたので結束バンド100の端面に反力受け部34を当接させる作業性が向上する効果がある。また、図13に示すような外れ防止28を突設すると、その作業の確実性が向上する効果がある。
【実施例4】
【0035】
本実施例の特徴とするところは、実施例3の変形例であり、結束バンドを支持する反力受け手段と該反力受け部材に支持される結束バンドを切断可能な刃先線のシヤー角が90°とされる可動刃とを備えた点にある。
【0036】
図12を用いて本発明に係るバンドカッター装置の第4実施例について説明する。
なお、実施例1で使用した部位には同一符号を付し詳細説明を省略する。
上記実施例の固定刃部材に相当する案内部材41に刻設される案内溝2内を進退自在とされるスライダ7に図示しないボルトによって可動刃40が取付けられている。該可動刃40のシヤー角(結束バンド100の板材102との対向面と刃先線の成す角度)は90°とされている。案内部材41の結束バンド100と対向する側面から座屈防止手段としてのL字状のアーム45が突設され長辺部と案内部材側面との間隔は該間隔内に進入される結束バンドの板厚より約0.5mmほど大きくされている。該アーム45の可動刃40との対向面は可動刃40から0.1mm程離間されている。
また、アーム45の先端側の案内部材41に前記刃先線と平行な軸を有す断面矩形の案内孔42が貫通されアーム45側一部が可動刃40との対向面に開口されている。該孔42に頭部付き反力受け部材44が進退自在に取付けられ先端膨出部が案内部材41の可動刃40との対向面と同一乃至0.05mm程度低くされた反力受け部44aとされている。
【0037】
以上の構成においてその作用を説明する。
実施例3と同様に、操作桿(駆動手段)14を片手で持ち可動刃40の外表面を地側に向けてアーム45の長辺部を結束バンド100と板材102との間隙に進入させて結束バンドの側面をアーム45の短片部に当接させた後、可動刃の外表面をライナー101の天側端面に当接させる。
次いで、反力受け部材44を頭部が案内部材に当接するまで前進させると座屈防止アーム45と案内部材41とで形成される開口部が閉塞される。この後、反力受け部材44に結束バンド100の側面を当接させる。
上記実施例と同様にスイッチ15を入れると可動刃40が板材102と接触することなく前進して反力受け部材44に支持される結束バンド100が切断される。
この際、ロール状板材に巻回された結束バンドの張力が低い。あるいは、結束バンドの剛性が低くて座屈しようとする断面長方形の結束バンドの長辺が座屈防止アーム45及び案内部材41に当接されて座屈が防止される。これにより、安定した小さい切断抵抗で切断できるという効果がある。
【0038】
なお、上記実施例ではライナー101の天側で結束バンド100を切断したがこれに限定されるものではない。すなわち、図9に示すように、長さ調整手段26を介して固定刃部材1にライナー係止手段25を取付けても良い。これにより、ライナー101の地側結束バンドを切断できる。
【0039】
また、上記実施例では可動刃を含む固定刃部材をライナーに載置させたがこれに限定されるものではない。すなわち、バンドカッター装置を手に保持して固定刃部材をライナーから離間させた状態でも結束バンドを切断できることは言うまでもない。
【0040】
また、反力受け部は固定刃部材のみに設けたがこれに限定されるものではない。すなわち、図10に示すように、例えばエンドキャップ5等から延出される突部27の先端に反力受け部27aを形成させて反力受け部4との2箇所にしても良い。
【0041】
また、上記実施例ではチャック部に取着される部材が回転される駆動手段を使用したがこれに限定されるものではない。すなわち、エアシリンダ等のように進退する出力軸とスライダを連結させて可動刃を進退させても良い。また、倍力機構を介してスライダと駆動手段を連結しても良い。要するに、固定刃部材に刻設される案内溝に案内されてスライダを手動又は適宜駆動手段と連結させて進行させて結束バンドを切断できればどのようなスライダ駆動方法でも良いのである。
【0042】
また、可動刃の先端は片刃でも良いが図14に示すように固定刃と対向する面から刃先までの距離Hが好ましくは0.05mm程度になるよう両刃にすると耐久性が増すので好ましい。
【0043】
また、上記実施例では固定刃は固定刃部材と一体的にしたがこれに限定されるものではない。すなわち、可動刃同様に別ピース化して交換可能にしても良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0044】
コイル状に巻回された圧延金属帯や定寸カットされて積重される板材を結束バンドにより結束させて購入する板材加工業界に利用される。
【0045】
【符号の説明】
【0046】
1、21、31 固定刃部材
2 案内溝
3 固定刃
4、24、34 反力受け部
5 エンドキャップ
6 プロテクター
7 スライダ
8 ストッパ
9 断面三角溝
10 可動刃
13 駆動手段取付け部材
14 操作桿(駆動手段)
16 雄ねじ棒
17 補助操作桿
22 顎部
44 反力受け部材
45 座屈防止アーム
100 結束バンド
101 ライナー
102 板材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15