(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967411
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】自立運転可能電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20160728BHJP
H02H 9/02 20060101ALI20160728BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20160728BHJP
H02M 7/06 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
H02M7/12 N
H02H9/02 D
H02J1/00 309Q
H02M7/06 N
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-37208(P2012-37208)
(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2013-172633(P2013-172633A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智彦
(72)【発明者】
【氏名】矢井 克典
【審査官】
鈴木 重幸
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−131056(JP,A)
【文献】
実開平05−004786(JP,U)
【文献】
特開2008−289305(JP,A)
【文献】
特開平09−261962(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0080022(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00− 7/98
H02J 1/00− 1/16
H02H 9/00− 9/08
H02P 9/00− 9/48
B60L 1/00− 3/12
B60L 7/00−13/00
B60L15/00−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン駆動式空調装置の内部負荷に並列接続された平滑コンデンサと、
商用電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する第一電力変換器と、
前記第一電力変換器と平滑コンデンサを並列接続させる第一電源ラインと、
前記第一電源ライン上に配置され、前記平滑コンデンサへの突入電流を抑制する第一突入電流抑制回路と、
前記エンジン駆動式空調装置のコンプレッサを駆動させるエンジンと、
前記商用電源から供給される電力に基づいて前記エンジンを起動させるスタータと、
前記エンジンにより駆動される発電機と、
前記発電機で発電された交流電圧を直流電圧に変換する第二電力変換器と、
前記第二電力変換器と前記内部負荷とを並列接続させる第二電源ラインと、
を備え、
前記スタータは、前記商用電源以外の外部電源が接続されることで前記外部電源により作動可能に構成され、
前記第二電源ラインは、前記第一電力変換器と前記内部負荷との間で、前記第一電源ラインに接続され、
前記第二電源ライン上には、前記平滑コンデンサへの突入電流を抑制する第二突入電流抑制回路が配置されている、前記エンジン駆動式空調装置用の自立運転可能電源装置。
【請求項2】
前記第二電力変換器と前記第二突入電流抑制回路は、1つのコンバータ内に配置され、
前記コンバータは、前記第二電力変換器に並列接続された出力用の出力コンデンサを有し、
前記第二突入電流抑制回路は、前記第二電力変換器と前記出力コンデンサとの間に配置されて前記第二電力変換器と前記出力コンデンサとに接続されている請求項1に記載の自立運転可能電源装置。
【請求項3】
エンジン駆動式空調装置の内部負荷に並列接続された平滑コンデンサと、
商用電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する第一電力変換器と、
前記第一電力変換器と平滑コンデンサを並列接続させる第一電源ラインと、
前記第一電源ライン上に配置され、突入電流を抑制する突入電流抑制回路と、
前記エンジン駆動式空調装置のコンプレッサを駆動させるエンジンと、
前記商用電源から供給される電力に基づいて前記エンジンを起動させるスタータと、
前記エンジンにより駆動される発電機と、
前記発電機で発電された交流電圧を直流電圧に変換する第二電力変換器と、
前記第二電力変換器の出力を、前記第一電源ライン上における前記第一電力変換器と前記内部負荷との間に供給する第二電源ラインと、
を備え、
前記スタータは、前記商用電源以外の外部電源が接続されることで前記外部電源により作動可能に構成され、
前記第二電力変換器の出力は、前記第二電源ラインを介して前記第一電源ライン上における前記第一電力変換器と前記突入電流抑制回路との間に供給される、前記エンジン駆動式空調装置用の自立運転可能電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電機を備えた自立運転機能付きの自立運転可能電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷に電力を供給する電源装置の中には、商用電源からの電力と自身の発電機からの電力とを利用し、災害などの非常時には発電機からの電力のみで負荷に電力を供給する自立運転可能電源装置がある。その中でも、商用電源の交流電圧を直流電圧に変換して電力供給を行う電源装置では、負荷に供給する前に平滑コンデンサにより直流電圧を平滑している。ここで、平滑コンデンサが充電されていない場合、平滑コンデンサに電圧を印加すると突入電流が流れるおそれがある。このため、平滑コンデンサに対して突入電流抑制回路が配置されている。
【0003】
平滑コンデンサを有する上記電源装置において、発電機は商用電源の交流電圧によって平滑コンデンサが充電された後に駆動されていた。つまり、発電機が発電した電圧は、充電された平滑コンデンサに印加されていた。これにより、発電機からの電圧印加に対しても、突入電流は発生しなかった。このように、通常運転のエンジン起動時において、発電機から負荷への電流はほとんど流れず、エンジンからみた発電機負荷は小さく、エンジン起動トルクにほとんど影響を与えない。発電機を備えた自立運転可能電源装置としては、例えば特開2009−131056号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−131056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、災害時などの非常時において、商用電源からの電力供給が停止した場合、発電機を駆動するエンジンを起動させる電力を外部から供給されなければならない。自立運転(自立起動)では、外部電源からエンジンのスタータに電力が供給され、エンジンが起動して発電機が駆動する。
【0006】
この際、商用電源からの電力供給が遮断されているため、平滑コンデンサには電荷がチャージされておらず、突入電流が流れるおそれがある。発電機から平滑コンデンサに突入電流が流れた場合、発電機起動トルク及びエンジン起動トルクが過大となり、ピーククランキング電力が過大となってしまう。特に大きなエンジンを備えるエンジン駆動式空調装置においては、上記エンジン起動トルクの過大が大きな問題となる。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、外部電源による自立起動であっても、平滑コンデンサへの突入電流を抑制することができる自立運転可能電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
エンジン駆動式空調装置用の自立運転可能電源装置であって、
エンジン駆動式空調装置の内部負荷に並列接続された平滑コンデンサと、商用電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する第一電力変換器と、前記第一電力変換器と平滑コンデンサを並列接続させる第一電源ラインと、前記第一電源ライン上に配置され、
前記平滑コンデンサへの突入電流を抑制する第一突入電流抑制回路と、
前記エンジン駆動式空調装置のコンプレッサを駆動させるエンジンと、前記商用電
源から供給される電力に基づいて前記エンジンを起動させるスタータと、前記エンジンにより駆動される発電機と、前記発電機で発電された交流電圧を直流電圧に変換する第二電力変換器と、前記第二電力変換器と前記
内部負荷とを並列接続させる第二電源ラインと、を備え、
前記スタータは、前記商用電源以外の外部電源が接続されることで前記外部電源により作動可能に構成され、前記第二電源ラインは、
前記第一電力変換器と前記内部負荷との間で、前記第一電源ラインに接続され、前記第二電源ライン上には、前記平滑コンデンサへの突入電流を抑制する第二突入電流抑制回路
が配置されている。
【0009】
請求項
3に記載の発明は、
エンジン駆動式空調装置用の自立運転可能電源装置であって、
エンジン駆動式空調装置の内部負荷に並列接続された平滑コンデンサと、商用電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換する第一電力変換器と、前記第一電力変換器と平滑コンデンサを並列接続させる第一電源ラインと、前記第一電源ライン上に配置され、突入電流を抑制する突入電流抑制回路と、
前記エンジン駆動式空調装置のコンプレッサを駆動させるエンジンと、前記商用電
源から供給される電力に基づいて前記エンジンを起動させるスタータと、前記エンジンにより駆動される発電機と、前記発電機で発電された交流電圧を直流電圧に変換する第二電力変換器と、前記第二電力変換器の出力を、前記第一電源ライン上における前記第一電力変換器と前記
内部負荷との間に供給する第二電源ラインと、を備え
、前記スタータは、前記商用電源以外の外部電源が接続されることで前記外部電源により作動可能に構成され、前記第二電力変換器の出力は、前記第二電源ラインを介して前記第一電源ライン上における前記第一電力変換器と前記突入電流抑制回路との間に供給される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、第二突入電流抑制回路が発電機から平滑コンデンサへの突入電流を抑制する。これにより、外部電源による自立起動であっても、平滑コンデンサへの突入電流を抑制することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、1つの突入電流抑制回路で、外部電源による自立起動における平滑コンデンサへの突入電流を抑制することができる。つまり、請求項1の効果に加えて、部品点数の削減及び製造コストの削減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一実施形態の自立運転可能電源装置の構成を示す構成図である。
【
図2】第二実施形態の自立運転可能電源装置の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。実施形態では、コンプレッサCを有するガスエンジン駆動式空調装置の電源装置を例にしている。つまり、ガス燃料のエンジン6によりコンプレッサC及び発電機7が駆動されるシステムであって、コンプレッサCが空調の冷媒循環における圧縮機を構成し、発電機7と商用電源Zの電力が負荷に対して系統連系したマルチエネルギーシステムを構成している。このように、以下の実施形態では、ガスヒートポンプのハイパワーシステムにおける自立運転可能電源装置を例にしている。
【0014】
<第一実施形態>
図1は第一実施形態の自立運転可能電源装置の構成を示す構成図である。第一実施形態の自立運転可能電源装置1は、主に、整流器2と、平滑コンデンサ3と、第一電源ライン4と、第一突入電流抑制回路41と、スタータ5と、エンジン6と、発電機7と、コンバータ8と、第二電源ライン9と、第二突入電流抑制回路91と、降圧トランスAと、整流器Bと、を備えている。
【0015】
整流器(「第一電力変換器」に相当する)2は、複数の整流素子21からなるダイオードブリッジであり、商用電源Z及び第一電源ライン4に接続されている。整流器2は、商用電源Zから供給される三相の交流電圧を直流電圧に変換して第一電源ライン4に出力する。
【0016】
平滑コンデンサ3は、内部負荷Yと並列接続されているとともに、第一電源ライン4により整流器2と並列接続されている。平滑コンデンサ3は、供給される電力を平滑して内部負荷Yに供給する。内部負荷Yは、例えば、マイコン、バルブ、室外機補機、又は自立出力インバータである。一般に、内部負荷Yに加わる電圧(平滑コンデンサ3に加わる電圧)は、直流中間電圧と称される。
【0017】
第一電源ライン4は、整流器2と平滑コンデンサ3とを並列接続させる配線である。第一電源ライン4の一方(ハイサイド)のライン4aが平滑コンデンサ3の一方端子に接続され、他方(ローサイド)のライン4bが平滑コンデンサ3の他方端子に接続されている。
【0018】
第一突入電流抑制回路41は、平滑コンデンサ3への突入電流を抑制するための回路であり、第一電源ライン4のライン4a上に配置されている。具体的に、第一突入電流抑制回路41は、抵抗411とスイッチ412とが並列接続されて構成されている。スイッチ412は、直流中間電圧が所定値以上となると、図示しないマイコン等からオン指令を受けてオンされる。つまり、直流中間電圧が所定値まで上がるまでは、抵抗411を介して平滑コンデンサ3が充電される。これにより、突入電流は抑制される。
【0019】
スタータ5は、エンジン6を起動させる装置であって、降圧トランスA及び整流器Bを介して商用電源に接続されている。降圧トランスAは電圧を下げるものであり、整流器Bは交流電圧を直流電圧に変換するものである。つまり、スタータ5は、商用電源から供給される電力(降圧されたDC)により作動し、エンジン6を起動させる。また、スタータ5は、バッテリ等の外部電源Xが接続されると、当該外部電源Xから電力が供給される構成となっている。なお、実施形態ではバッテリ等の直流電源を外部電源Xとして使用しているが、独立したエンジン式発電機等の交流電源でもよい。交流電源を使用する場合は整流器を介して接続する。場合によっては、交流電源の整流器として整流器Bを使用しても良い。その場合は交流電源の電力を降圧トランスAと整流器Bとの間に接続する。交流電源の電圧が高い場合には降圧トランスで降圧してから整流器に接続する。交流電源の電圧が商用電源に近い場合は降圧トランスAと整流器Bを使用しても良い。その場合は交流電源の電力を降圧トランスAと商用電源との間に接続する。
【0020】
エンジン6は、スタータ5、発電機7、及びコンプレッサCに接続されている。エンジン6は、スタータ5により起動し、コンプレッサCを駆動させ、駆動力に余力があるときに発電機7を駆動させる。本実施形態のエンジン6は、ガス燃料で駆動するガスエンジンであって、空調負荷に対応するための大きなエンジン(空調用エンジン)である。エンジン6は、例えば最高出力56kW程度(又はそれ以上)のものである。発電機7は、エンジン6により駆動し発電する。
【0021】
コンバータ8は、スイッチング回路部(「第二電力変換器」に相当する)81と、ダイオード82と、出力コンデンサ83とで構成されている。スイッチング回路部81は、発電機7及び第二電源ライン9に接続され、発電機7から供給される三相の交流電圧を直流電圧に変換する。スイッチング回路部81は、複数のスイッチング素子(ここではトランジスタ)811と、複数のダイオード812で構成されている。スイッチング素子811は、マイコン等からの信号により制御(オン/オフ)される。
【0022】
ダイオード82は、第二電源ライン9のライン9a上に配置されている。ダイオード82のアノード端子はスイッチング回路部81の出力端(ハイサイド)に接続され、ダイオード82のカソード端子は第二突入電流抑制回路91に接続されている。出力コンデンサ83は、スイッチング回路部81に並列接続されたコンバータ出力用のコンデンサである。出力コンデンサ83は、コンバータ8内に配置されている。出力コンデンサ83の一方端子は第二電源ライン9のライン9aに接続され、他方端子はライン9bに接続されている。出力コンデンサ83は、コンバータ8の出力電圧を平滑している。
【0023】
第二電源ライン9は、スイッチング回路部81と、内部負荷Y及び平滑コンデンサ3とを並列接続させる配線である。第二電源ライン9の一方(ハイサイド)のライン9aが平滑コンデンサ3の一方端子に接続され、他方(ローサイド)のライン9bが平滑コンデンサ3の他方端子に接続されている。さらに具体的に、ライン9aは、第一突入電流抑制回路41と内部負荷Yの間に接続され、ライン9bは、整流器2と内部負荷Yの間に接続されている。ライン9aはライン4aと接続し、ライン9bはライン4bと接続しているともいえる。なお、ライン9aは、内部負荷Yのハイサイド端子に直接接続されても良く、ライン9bは、内部負荷Yのローサイド(例えばGND)端子に直接接続されても良い(すなわち、スイッチング回路部81と内部負荷Yとを並列接続させる)。
【0024】
第二突入電流抑制回路91は、第二電源ライン9のライン9a上に配置されている。具体的に、第二突入電流抑制回路91は、抵抗911とスイッチ912とが並列接続されて構成されている。スイッチ912は、第一突入電流抑制回路91同様、直流中間電圧が所定値以上となると、図示しないマイコン等からオン指令を受けてオンされる。つまり、直流中間電圧が所定値まで上がるまでは、抵抗911を介して平滑コンデンサ3が充電される。第二突入電流抑制回路91は、平滑コンデンサ3及び出力コンデンサ83への突入電流を抑制することができる。
【0025】
(通常時)
通常時の電源供給について説明する。自立運転可能電源装置1を起動させると、整流器2は、商用電源Zの電力を直流にして出力する。この際、平滑コンデンサ3には電荷がチャージされていない(充電されていない)状態であり、そのまま電圧を印加すると平滑コンデンサ3に突入電流が流れる。しかし、第一突入電流抑制回路4が機能し、平滑コンデンサ3が充電されるまでは抵抗411で電圧降下させて平滑コンデンサ3に電圧を印加するため、突入電流の発生が抑制される。そして、平滑コンデンサ3が充電されると、平滑コンデンサ3から内部負荷Yに平滑された直流電力が供給される。
【0026】
平滑コンデンサ3が充電された後に、商用電源から降圧トランスA及び整流器Bを介して供給された電力によりスタータ5が作動する。スタータ5は、商用電源Zからの電力に基づいてエンジン6を起動させる。エンジン6によりコンプレッサC及び発電機7が駆動する。発電機7で発電された電力は、スイッチング回路部81で直流に変換され、出力コンデンサ83により平滑されて内部負荷Y及び平滑コンデンサ3に供給される。つまり、商用電源Z及び発電機7により直流中間電圧が形成される。エンジン6が起動する際、平滑コンデンサ3はすでに充電されているため、第二突入電流抑制回路91のスイッチ912はオン(接続)となっている。
【0027】
(非常時)
次に非常時における電源供給について説明する。災害時など、商用電源Zからの電力供給が絶たれた場合(以下、非常時の場合と称する)、自立運転可能電源装置1にバッテリ等の外部電源Xを接続すると、スタータ5に対して電力が供給される。つまり、本実施形態では、商用電源Zなしに自立運転可能電源装置1を起動させることができる。非常時の場合、平滑コンデンサ3は、充電されない状態で電荷を放出して自立運転可能電源装置1の起動前の状態となる。つまり、非常時の場合、平滑コンデンサ3は、電荷がない状態となっている。
【0028】
ここで、外部電源Xから電力供給を受けたスタータ5がエンジン6を起動し、発電機7を駆動した場合、発電機7が発電した電力が平滑コンデンサ3に供給される。この際、オン指令を受けていない第二突入電流抑制回路9では、スイッチ912がオフ(遮断)状態であるため、抵抗911を介して平滑コンデンサ3及び出力コンデンサ83に電圧が印加される。これにより、非常時の場合に外部電源Xの電力によりエンジン6が起動した場合でも、平滑コンデンサ3への突入電流の発生は抑制される。また、本実施形態によれば、第二突入電流抑制回路91がスイッチング回路部81と出力コンデンサ83の間に配置されているため、出力コンデンサ83への突入電流発生も抑制できる。
【0029】
発電機7により発電された電力により平滑コンデンサ3が充電されると、内部負荷Yに電力が供給され、作動したマイコン等からスイッチ912にオン指令が送信される。なお、コンプレッサCの駆動は空調を作動させない場合は不要であるため、非常時に空調を用いなければ、エンジン6の駆動力を発電機7に集中させることができる。また、直流中間電圧には、内部負荷Yだけでなく外部負荷(図示せず)も接続することができる。例えば、第一電源ライン4からインバータ及び出力端子を介して外部負荷に接続する。つまり、自立運転可能電源装置1は、発電機7で発電した電力を外部負荷に供給することができる。
【0030】
このように、本実施形態によれば、非常時における外部電源Xからの電力によりエンジン6を起動する場合であっても、平滑コンデンサ3への突入電流の発生を抑制することができる。そして、エンジン6起動時において、発電機7から直流中間電圧への電流はほとんど流れず、エンジン6からみた発電機7の負荷は小さく、エンジン6の起動トルクへの影響を確実に抑えることができる。
【0031】
<第二実施形態>
図2は第二実施形態の自立運転可能電源装置の構成を示す構成図である。第二実施形態の自立運転可能電源装置10は、第一実施形態とは主に第二電源ライン9の接続先が異なっている。これにより、第二実施形態は、第二突入電流抑制回路91及び出力コンデンサ83を省いた構成となっている。したがって、両者の異なっている部分のみを説明し、他の部分は同符号を付して説明を省略する。
【0032】
第二電源ライン9のライン9aは、第一電源ライン4における整流器2と第一突入電流抑制回路41との間に接続されている。ライン9bは、平滑コンデンサ3の他方端子に接続されている。ライン9bは、第一電源ライン4のライン4b、平滑コンデンサ3の他方端子と内部負荷の間、又は内部負荷のローサイド(例えばGND)端子に接続されても良い。
【0033】
上記接続状態によれば、第一突入電流抑制回路41が第二突入電流抑制回路91の役割を兼ねることとなり、第二突入電流抑制回路91を配置する必要がなくなる。また、上記接続状態によれば、平滑コンデンサ3が出力コンデンサ83の役割をも兼ねるため、出力コンデンサ83も省くことができる。
【0034】
第二実施形態において、非常時の場合、スイッチング回路部81からの直流電圧が、電荷がない状態の平滑コンデンサ3に印加するまでに、第一突入電流抑制回路41を介すこととなり、第一突入電流抑制回路41により突入電流が抑制される。また、スイッチング回路部81から出力された直流電圧は、平滑コンデンサ3で平滑された後に内部負荷Yに印加されるため、コンバータ8内に出力コンデンサ83を配置する必要もなくなる。
【0035】
このように、第二実施形態の自立運転可能電源装置10によれば、第一実施形態と同様の効果が発揮される上、部品点数削減が可能となり、製造コストの削減が可能となる。
【0036】
なお、本発明は、上記第一実施形態及び第二実施形態に限られない。例えば、整流器2は、コンバータでもスイッチング素子を用いたものでも良い。また、突入電流抑制回路41、91のスイッチ412、912は、スイッチング素子を用いて構成しても良い。この場合、スイッチング素子は、直流中間電圧が所定値以上となった場合にオン指令を受けてオンする。
【0037】
また、上記実施形態では、直流中間電圧がおよそ300Vであり、内部負荷Yには12〜15V程度にまで降圧されて供給される。また、例えばウォータポンプ等の外部負荷には、インバータを介して交流電圧が提供される。また、外部電源Xが自立運転可能電源装置1、10に常時接続されている構成であっても良い。この場合、災害時に、手動でスタータ5の電源ライン(図示せず)を商用電源Zから外部電源Xに切り替えることで上記同様の作用が発揮される。
【符号の説明】
【0038】
1、10:自立運転可能電源装置、
2:整流器(第一電力変換器)、 3:平滑コンデンサ、
4:第一電源ライン、 41:第一突入電流抑制回路(突入電流抑制回路)、
5:スタータ、 6:エンジン、 7:発電機、
8:コンバータ、 81:スイッチング回路部(第二電力変換器)、
82:ダイオード、 83:出力コンデンサ、
9:第二電源ライン、 91:第二突入電流抑制回路、
X:外部電源、 Y:内部負荷、 Z:商用電源