特許第5967413号(P5967413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5967413車両用熱回収装置、エンジンフードおよび車両用吸収式ヒートポンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967413
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】車両用熱回収装置、エンジンフードおよび車両用吸収式ヒートポンプ
(51)【国際特許分類】
   F25B 15/00 20060101AFI20160728BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   F25B15/00 301E
   B60H1/32 621J
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-47487(P2012-47487)
(22)【出願日】2012年3月5日
(65)【公開番号】特開2013-181720(P2013-181720A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】梅田 倫宏
(72)【発明者】
【氏名】坪内 修
【審査官】 鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−370528(JP,A)
【文献】 特開昭57−169548(JP,A)
【文献】 特開2004−278837(JP,A)
【文献】 実開昭59−145676(JP,U)
【文献】 特開2010−249347(JP,A)
【文献】 実開昭54−032842(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 15/00,27/00
B60H 1/32
F24J 2/10,2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエンジンルームを覆うエンジンフードに搭載され、
前記エンジンフード外部の光を透過可能な採光窓部と、
前記採光窓部よりも前記エンジンルーム側に配置され、光を反射し集光する反射面を有する集光部を有する受光室と、
前記受光室よりも前記エンジンルーム側に配置され、内部に熱伝導媒体を収容している伝熱室と、
熱伝導可能であり、前記受光室に配置されて前記集光部が反射した光を受ける第1回収部と、前記熱伝導媒体に熱的に連絡している第2回収部と、を有する受熱部と、を具備し、
前記第1回収部は前記受光室に配置され、前記第2回収部は前記伝熱室に配置され、
前記第1回収部と前記第2回収部とは、熱的に連絡可能であり、且つ熱的に遮断可能である車両用熱回収装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記反射面は、曲面状をなし内側に向けて光を反射し、
前記第1回収部は前記受光室における前記反射面の前記内側に配置されている車両用熱回収装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記受光室内は真空である車両用熱回収装置。
【請求項4】
請求項1〜の何れか一項に記載の車両用熱回収装置を有するエンジンフード。
【請求項5】
請求項1〜の何れか一項に記載の車両用熱回収装置を有する車両用吸収式ヒートポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジンフード(所謂ボンネットフード)に搭載される車両用熱回収装置、および車両用熱回収装置を搭載したエンジンフード、ならびに車両用熱回収装置を搭載した吸収式ヒートポンプ(吸収式冷凍機)に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用空気調和装置等、車両搭載用装置の熱源として、車両のエンジンで生じる廃熱を利用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に紹介されている技術によると、排気マニホールドの外壁面から放射される輻射熱を回収し、吸収式ヒートポンプの再生器の熱源として利用している。この技術によると、燃料や電気等の使用量を低減できる可能性がある。しかし、排気マニホールドの外壁面から回収できる熱量は小さく、また、エンジン停止時やエンジン負荷が小さいときには回収できる熱量は大きく低減する。
【0003】
一方、太陽光から熱回収する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。引用文献2には、太陽光をレンズで集中させ、このレンズの焦点に熱伝導媒体の流通する熱媒管を配置している。熱伝導媒体はレンズで集光された太陽光により加熱される。しかし、太陽光から多量の熱を回収するためには、太陽の動きに合わせてレンズの受光面を移動させる必要があるが、この場合には日照センサやレンズを動かすための移動装置等が必要であり、高コストであった。また、単に太陽光を利用するだけでは、日照量の小さい環境(夜間や曇天時、雨天時等)下で熱回収を望めない問題もあった。つまり従来の車両用熱回収装置は、車両の使用環境によっては回収できる熱量が低下し、かつ、高コストであるため、現状では満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−301004
【特許文献2】特開平10−306946
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、車両の使用環境に起因する熱回収量の低下を抑制でき、かつ、安価に製造できる車両用熱回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用熱回収装置は、車両のエンジンルームを覆うエンジンフードに搭載され、
前記エンジンフード外部の光を透過可能な採光窓部と、
前記採光窓部よりも前記エンジンルーム側に配置され、光を反射し集光する反射面を有する集光部を有する受光室と、
前記受光室よりも前記エンジンルーム側に配置され、内部に熱伝導媒体を収容している伝熱室と、
熱伝導可能であり、前記受光室に配置されて前記集光部が反射した光を受ける第1回収部と、前記熱伝導媒体に熱的に連絡している第2回収部と、を有する受熱部と、を具備するものである。
【0007】
以下、本発明の車両用熱回収装置を、単に本発明の熱回収装置と呼ぶ。また、本発明の車両用吸収式ヒートポンプを、単に本発明の吸収式ヒートポンプと呼ぶ。
【0008】
本発明の熱回収装置は、エンジンフードに搭載されるものであり、エンジンフード外部から透過した光(主として太陽光)を熱として第1回収部で回収し、かつ、エンジンルームの熱(主としてエンジンで生じた燃焼熱)を熱伝導媒体を介して第2回収部で回収する。このため本発明の熱回収装置は、(I)日照量が多い場合、または、(II)車両の走行時等、エンジン負荷が大きい場合、の少なくとも一方を満たす場合に熱回収可能である。このため車両の使用環境に起因する熱回収量の低下を抑制できる。また、特殊なセンサや駆動装置等を必要としないため、安価に製造できる。
【0009】
また、エンジンルームはエンジン近傍に位置するため、例えば排気マニホールド等に比べて回収可能な熱量は大きい利点もある。
【0010】
本発明の熱回収装置は、下記の(1)〜(5)の何れかを備えるのが好ましく、複数を備えるのがより好ましい。
(1)前記反射面は、曲面状をなし内側に向けて光を反射し、前記第1回収部は前記受光室における前記反射面の前記内側に配置されている。
(2)前記第1回収部は前記受光室に配置され、前記第2回収部は前記伝熱室に配置されている。
(3)前記第1回収部と前記第2回収部とは、熱的に連絡可能である。
(4)前記第1回収部と前記第2回収部とは、熱的に連絡可能であり、且つ熱的に遮断可能である。
(5)前記受光室内は真空である。
【0011】
また、本発明のエンジンフードは、本発明の熱回収装置を有するものである。
【0012】
また、本発明の吸収式ヒートポンプは、記載の車両用熱回収装置を有するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の熱回収装置は、2つの経路(第1回収部および第2回収部)で熱回収するため、車両の使用環境の多様性に対応可能であり、熱回収量の低下を抑制できる。また、本発明の熱回収装置は、比較的高価な部品を必要としないため、安価に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の熱回収装置、エンジンフードおよび吸収式ヒートポンプの概念を模式的に表す説明図である。
図2】実施形態1の熱回収装置の断面を模式的に表す図である。
図3】実施形態1の熱回収装置を模式的に表す要部拡大斜視図である。
図4】実施形態1の熱回収装置における第1経路および第2経路の位置関係を模式的に説明する図である。
図5】実施形態1の吸収式ヒートポンプの概念を模式的に説明する図である。
図6】実施形態2の熱回収装置の断面を模式的に表す図である。
図7】実施形態3の熱回収装置の断面を模式的に表す図である。
図8】実施形態4の熱回収装置の断面を模式的に表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態1)
図1図5は実施形態の概念を示す。実施形態1の熱回収装置1は、図1に概念を示すように、車両90のエンジンルーム91を覆うエンジンフード92に一体化されている。熱回収装置1は、吸収器110、蒸発器112、凝縮器102、分離器104および再生器132を含む吸収式ヒートポンプ100に接続されている。具体的には、熱回収装置1は吸収器110と再生器132との間に配置されている。
【0016】
<熱回収装置1の構成>
図2図4に示すように、熱回収装置1は、基体20、採光窓部21、集光部30、3つの第1流路部41、4つの第2流路部45、熱伝導媒体50、流入路60、流出路61、および開閉弁62を有する。
【0017】
基体20は、熱伝導材料(実施形態ではアルミニウム)製であり、図1中上方に開口する略箱状をなす。採光窓部21は、光透過材料(実施形態ではアクリル樹脂)製であり、略平板状をなし、基体20の蓋を構成している。集光部30は採光窓部21よりも下方、つまり、気体の内部に固定されている。集光部30は鏡面加工したガラスまたは樹脂に金属蒸着してなる鏡製であり、略波板状をなす。具体的には、集光部30は、円筒を軸方向に二分割してなる半割筒状の集光分体31を3つ図2〜4前後方向に並べたものであり、隣り合う集光分体31同士は気密に一体化されている。
【0018】
各集光分体31の内部には略管状をなす第1流路部41がそれぞれ一つずつ配置されている。また、集光部30の下方において、各集光分体31の間には略管状をなす第2流路部45がそれぞれ一つずつ配置されている。さらに第2流路部45は、最前部に位置する集光分体31の前側、および、最後部に位置する集光分体31の後側にもそれぞれ一つずつ配置されている。各第2流路部45は略等間隔に配列している。また、各第2流路部45は各第1流路部41よりも下側に配置されている。図4に示すように、3つの第1流路部41の両端部は第1連結管41a、bで一体化されている。4つの第2流路部45の両端部もまた第2連結管45a、bで一体化されている。そして、第1連結管41aおよび第2連結管45aは流入路60に接続されている。第1連結管41bおよび第2連結管45bは流入路60に接続されている。第1連結管41aと流入路60との間には、開閉弁62が接続されている。
【0019】
第1流路部41および第2流路部45には熱伝導流体55が流通している。実施形態において、熱伝導流体55は吸収式ヒートポンプ用の吸収液と水との混合液である。吸収液としては、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等のようにハロゲン元素とリチウムとの化合物が例示される。以下、この熱伝導流体55を希釈吸収液55と呼ぶ。希釈吸収液55は、図4に示す流入路60を経て第1連結管41aおよび第2連結管45aに流入する。第1連結管41aに流入した希釈吸収液55は、各第1流路部41に分岐して流入し、第1連結管41bで合流する。第2連結管45aに流入した希釈吸収液55は、各第2流路部45に分岐して流入し、第2連結管45bで合流する。そして、流出路61に流入し、さらに熱回収装置1の外部に流出する。
【0020】
受光室70は真空である。受光室70は、採光窓部21および集光部30で区画形成されている。第1流路部41は受光室70内に配置されている。或いは、第1流路部41は、採光窓部21および集光部30とともに受光室70を区画形成している。図2図3に示すように、各第1流路部41は各集光分体31の内面で形成される反射面31aの焦点付近に配置されている。したがってこの集光部30によると、車両に対する太陽の角度を問わず、太陽光を効率良く回収できる。
【0021】
伝熱室80には、熱伝導媒体50が収容されている。伝熱室80は、基体20、集光部30および採光窓部21で区画形成されている。第2流路部45は伝熱室80の内部に配置されている。或いは、第2流路部45は基体20、集光部30および採光窓部21とともに伝熱室80を区画形成している。熱伝導媒体50はクーラントであり、例えば水、エチレングリコールと水の混和液、プロピレングリコールと水の混和液等が例示される。熱伝導媒体50は伝熱室80内に収容されたまま伝熱室80外部には流出しない。このため熱伝導媒体50は熱伝導率の高いものであれば良く、流体であっても良いし、流体でなくても良い。
【0022】
第1流路部41、および、第1流路部41の内部を流通する希釈吸収液55は、本発明の熱回収装置1における第1回収部に相当する。第2流路部45、および、第2流路部45内部を流通する希釈吸収液55は、本発明の熱回収装置1における第2回収部に相当する。そして、第1流路部41、第2流路部45、希釈吸収液55、流入路60、流出路61および開閉弁62(すなわち、第1回収部、第2回収部、流出路61、流入路60および開閉弁62)は本発明の熱回収装置1における受熱部に相当する。
【0023】
<熱回収装置1の動作>
第1流路部41を流通する希釈吸収液55は太陽光によって加熱される。また、第2流路部45を流通する希釈吸収液55は、エンジンの燃焼熱(輻射熱)によって加熱される。具体的には、晴天時等には、反射面31aが太陽光を反射して第1流路部41に集光する。すると、第1流路部41が加熱され、第1流路部41を流通する希釈吸収液55が熱伝導により加熱される。車両90の運転時等、エンジン駆動時には、エンジンの燃焼熱がエンジンルーム、基体20、クーラント、第2流路部45を経て第2流路部45を流通する希釈吸収液55に熱伝導する。よって希釈吸収液55は加熱される。第1流路部41および第2流路部45で加熱された希釈吸収液55は合流し、流出路61から熱回収装置1の外部に流出し、図1に示す再生器132に供給される。
【0024】
実施形態1の熱回収装置1では、太陽光と車両90のエンジンとの異なる2系統から熱回収しているため、夜間やエンジン停止時にも熱回収可能である。また、湾曲状の反射面31aを有する集光部30を用いて光を反射および集光しているため、太陽の角度に応じて反射面31aを移動させる必要はなく、効率良くかつ安価に熱回収可能である。
【0025】
さらに、異なる2系統の回収経路を設けたことで、装置温度の過剰な上昇を抑制できる。つまり、炎天下で駐車する場合等には、エンジンフード92が加熱される。特に熱回収装置1においては、集光部30によって太陽光を第1流路部41に集光するため、第1流路部41、および、その内部の希釈吸収液55の温度は大きく上昇する。駐車時には人や物が熱回収装置1に触れる可能性があるため、熱回収装置1の温度は低い方が好ましい。実施形態1の熱回収装置1は、伝熱室80内に熱伝導媒体50を収容している。駐車時にはエンジンの温度は低く、熱伝導媒体50の温度も低い。このため、熱回収装置1のなかで高温の部分(第1流路部41およびその内部の希釈吸収液55)が低温の熱伝導媒体50と熱交換し、熱回収装置1全体の温度は過剰に高温になり難い。つまりこの場合には、熱回収装置1の過剰な昇温を熱伝導媒体50によって緩衝できる。
【0026】
なお、開閉弁62を閉じると、第1流路部41を閉鎖できる。このとき希釈吸収液55は第2流路部45のみを流通し、第1流路部41には流通しない。つまり開閉弁62は、第2流路部45に流通する希釈吸収液55と第1流路部41に流通する希釈吸収液55との熱交換を遮断するものである。例えば夜間や悪天候時等に走行する場合には、エンジンからの熱を回収することはできるが、太陽光からの熱回収は望めない。また冬季等、外気温が低い場合には、外気により冷却された第1流路部41を希釈吸収液55が流通することで、希釈吸収液55の温度が低下する場合もある。このような場合には開閉弁62を閉じることで、希釈吸収液55の温度低下を抑制しつつ効率良く熱回収できる。
【0027】
ところで、車両90のエンジンルーム91やエンジンフード92に配設可能な装置の大きさは限られている。実施形態1の熱回収装置1においては、各第2流路部45を各集光分体31の間に配置したことで熱回収装置1を高さ方向に小型化した。このため、実施形態1の熱回収装置1は配設の自由度に優れる。
【0028】
採光窓部21は光を透過可能な材料からなれば良く、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ガラス、ガラス繊維強化樹脂(FRP)、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エチレンテトラフルオロエチレン樹脂等を材料とするのが好ましい。
【0029】
採光窓部21は熱回収装置1の最外面に配置され、車両90のエンジンフード92の露出面を構成する部分である。このため採光窓部21の材料としては、耐候性に優れる材料を用いるのが好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂等である。また、車両90の意匠性を考慮すると、光の透過を許すとともにする車体外方(すなわちエンジンフード92の外側)から熱回収装置1が視認され難いのが好ましい。例えば、採光窓部21を偏光ガラスで構成したり、反射膜等を形成したりするのが好ましい。
【0030】
実施形態1においては、第1流路部41および第2流路部45に同じ熱伝導媒体50が流通しているが、第1流路部41と第2流路部45とに流通する熱伝導媒体50は異なっていても良い。この場合、第1流路部41を流通する熱伝導媒体50と、第2流路部45を流通する熱伝導媒体50とを熱交換する経路を設けることで、2系統の熱回収経路を設けたことによる熱の補完効果が得られる。また、熱回収装置1によって回収した熱の用途によっては、第1回収部および/または第2回収部に流体を用いなくても良い。この場合、回収した熱は、熱を使用する装置に対して、第1回収部および/または第2回収部からの熱伝導によって供給すれば良い。
【0031】
集光部30は、光を反射可能でありかつ集光可能であれば良く、その形状や材料は特に限定しない。例えば、ガラス、アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂から選ばれる少なくとも一種からなるのが好ましい。また、集光部30は湾曲面(曲面)を有するのが好ましいが、それ以外の形状であっても良く、例えば集光部30の一部が平面状をなすとともに他の一部が曲面状をなしていても良い。或いは、複数の平面鏡を略曲面状に配置しても良い。集光部30は、実施形態1の集光部30のように、断面半円状であるのが特に好ましい。また、熱回収効率を考慮すると、上述したように、第1回収部は集光部30の焦点近傍に配置するのが好ましい。
【0032】
実施形態1においては、第1流路部41および希釈吸収液55からエンジンフード92外部に向けた熱伝導を抑制し、熱回収効率を向上するために、受光室70内を真空にしているが、これに限定されない。
【0033】
また、熱回収装置1の用途によっては、第1流路部41として光透過材料製のものを用い、集光部30で反射した光が第1流路部41を透過するようにし、かつ、熱伝導流体55に集光されるようにしても良い。この場合の熱伝導流体55としては、有色のもの等、光のエネルギによる熱を生じ易いものを用いることも考えられる。この場合、熱伝導流体は明度の低い色であるのが好ましく、黒色に近い色であるのがより好ましい。
【0034】
<吸収式ヒートポンプ100の動作>
図1および図5を用いて実施形態1の吸収式ヒートポンプ100を説明する。実施形態1の吸収式ヒートポンプ100は一般的な吸収式ヒートポンプと同様に構成されている。
【0035】
吸収式ヒートポンプ(吸収式冷凍機)100は、凝縮室101を有する凝縮器102と、高真空状態に維持されている蒸発室111を有する蒸発器112と、処理室120を有する吸収器110と、分離室144を有する分離器104と、再生室131を有する再生器132とを有する。更に、再生器132の再生室131と吸収器110の処理室120とを繋ぐ吸収液供給路142が設けられている。蒸発器112の蒸発室111と吸収器110の処理室120とを繋ぐ水蒸気供給路140が設けられている。
【0036】
図5に示すように、凝縮器102は冷水が流通する冷却パイプ103を有する。凝縮器102では、再生器132から流路151を介して供給された水蒸気を、冷却パイプ103で冷却し凝縮させて液相水に相変化させるとともに、凝縮潜熱を得る。凝縮器102で形成された凝縮水(すなわち液相水)は、流路152を介して蒸発器112に移動する。流路152にはバルブ192が設けられ、蒸発器112に供給する液相水の流量を調整可能である。蒸発器112では、流路152の孔から液相水が蒸発室111に滴下する。滴下された液相水は、熱交換器113に付着する。熱交換器113には、冷水(クーラント)が流通している。蒸発器112の内部は真空雰囲気であるため低温であり、熱交換器113を流通する冷水は、これに比べると温かい。このため、熱交換面25は冷水により温められている。熱交換面25に付着した液相水は、高真空状態の蒸発室111において熱交換器113に温められて水蒸気となる。このように蒸発器112では、凝縮器101で形成された凝縮水である液相水を蒸発させて水蒸気に相変化させるとともに、気化潜熱(吸熱作用)を得る。この気化潜熱によって熱交換器113が冷却され、熱交換器113を流通する冷水もまた冷却される。冷却された水(冷却水)は、熱交換器113により空調器190に輸送され、外気と熱交換(冷房作用)して温められ、熱交換器113に戻される。蒸発器112で蒸発した水蒸気は、水蒸気供給路140を介して吸収器110の吸収処理室120に供給される。
【0037】
吸収器110では、高濃度の吸収液が、吸収処理室120において水蒸気(希釈剤)を吸収し、希釈吸収液となる。希釈吸収液は、実施形態1の熱回収装置1を通過して加熱(予熱)された後に、流路146のポンプ180を介して再生器132の再生室131に移動する。再生室131に移動した希釈吸収液559は、排気ガス或いは燃焼バーナや電気ヒータ等の熱源160により加熱され、吸収液と水蒸気とに分離する。これにより希釈吸収液559cは再生室131において濃縮されて高濃度の吸収液となる。再生された高濃度の吸収液は、再生室131から吸収液供給路142を介して再び吸収器110に戻される。
【0038】
このように吸収式ヒートポンプ100では、凝縮器102で生じる凝縮熱により加熱作用が得られる。また、蒸発器112で生じる気化潜熱により吸熱作用(冷却作用)が得られる。
【0039】
(実施形態2)
実施形態2の熱回収装置1は、集光部30の底面30aが基体20の底面20aに接触していること、つまり、基体20の深さと集光部30の深さとがほぼ同じであること以外は、実施形態1とほぼ同じものである。
【0040】
実施形態2の熱回収装置1においては、集光部30の底面30aが基体20の底面20aに接触する程度にまで、伝熱室80の容積を小さくしたため、熱回収装置1を薄型化できる。このため、エンジンフード92に対する熱回収装置1の配設の自由度が向上する。なお、実施形態1においては、集光部30の深さが基体20の深さよりも浅いため、伝熱室80の容積を大きくできる。このため、上述した炎天下の駐車時等にも熱交換媒体によって熱回収装置1を充分に冷却でき、熱回収装置1の過剰な昇温を緩衝できる。
【0041】
(実施形態3)
実施形態3の熱回収装置1は、集光部30の底面が基体20の底面に接触していること、および、集光部30の集光分体31が互いに離間していること、および、第1流路部41および第2流路部45の上下方向の距離(熱回収装置1の厚さ方向の距離)を短くしたこと以外は、実施形態1とほぼ同じものである。集光分体31を互いに離間させたことで、隣り合う集光分体31の間に形成される隙間が大きくなる。このため、熱回収装置1を薄肉化しつつ、第2流路部45の形状や位置の自由度が高まる。例えば、第2流路部45を大径にでき、希釈吸収液55(熱伝導流体)の流量を多くすることができる。
【0042】
(実施形態4)
実施形態4の熱回収装置1は、管状の流路を一つのみ(第3流路部48)持ち、第3流路部48および集光部30が伝熱室80内に配置されたものである。受光室70は伝熱室80内に区画形成され、第3流路部48の上半分は伝熱室80内に配置されて熱伝導媒体50と熱的に連絡し、第3流路部48の下半分には集光部30が反射した光が集光される。第3流路部48と集光部30との間は、光透過材料(実施形態4ではアクリル樹脂)製の採光内窓部28で気密に閉じられている。つまり、実施形態4の熱回収装置1における受光室70は、第3流路部48、集光部30および採光内窓部28で区画形成されている。受光室70の内部は真空である。光は、採光窓部21、熱伝導媒体50、採光内窓部28の順に透過し、集光部30で反射して第1流路部41に集光される。
【0043】
実施形態4の熱回収装置1においては、第3流路48の下半分(集光部30が反射した光を受ける側)が第1回収部の一部を構成し、第3流路48の上半分(熱伝導媒体50と熱的に連絡している側)が第2回収部の一部を構成している。第3流路48を流通する希釈吸収液55は、第1回収部の他の一部を構成するとともに、第2回収部の他の一部を構成している。
【0044】
実施形態4の熱回収装置1は、管状の流路を一つだけ有する(第3流路部48)ために、実施形態1のように管状の流路を複数有する(第1流路部41、第2流路部45)場合に比べて薄型化にできる。また、流路の数が少ない分、伝熱室80の容積を大きくでき、炎天下の駐車時等における熱回収装置1の過剰な昇温を充分に緩衝できる。
【0045】
(その他)本発明は上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。
【符号の説明】
【0046】
1は熱回収装置、20は基体、21は採光窓部、30は集光部、31aは反射面、50は熱伝導媒体、70は受光室、80は伝熱室、41,55は第1回収部、45,55は第2回収部、41,45,55,60,61,62は受熱部、90は車両、91はエンジンルーム、92はエンジンフードを示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8