特許第5967452号(P5967452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967452
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】プレス装置及びインサーキットテスタ
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/28 20060101AFI20160728BHJP
   B30B 9/00 20060101ALI20160728BHJP
   B30B 1/18 20060101ALI20160728BHJP
   B30B 15/04 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   G01R31/28 K
   B30B9/00 Z
   B30B1/18 A
   B30B15/04 A
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-262985(P2014-262985)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-121963(P2016-121963A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2015年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】598117366
【氏名又は名称】株式会社日本マイクロシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】齊鹿 勉
【審査官】 續山 浩二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−053067(JP,U)
【文献】 特開平11−094906(JP,A)
【文献】 実開昭63−145180(JP,U)
【文献】 特開2012−071905(JP,A)
【文献】 特開平09−304466(JP,A)
【文献】 特開2003−322670(JP,A)
【文献】 特開平07−273158(JP,A)
【文献】 実開平03−081294(JP,U)
【文献】 特開2011−173145(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第01004361(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/28
B30B 1/18
B30B 9/00
B30B 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象に荷重を加えるプレス装置であって、
上下方向に昇降可能なベースと、
前記ベースを昇降させる動力手段と、
少なくとも上端から下方に所定範囲が前記ベースの移動方向に平行なガイド部と、
上下方向にスライド可能に構成され、下降して対象の上面に荷重を加えるプレス部と、
前記プレス部に揺動可能に固定されており、前記ガイド部に案内される揺動部と、
を備え、
前記プレス部は前記ベースの上面に接触及び離反可能に当接し、前記ベースは上昇時に当該プレス部を上方向に押し上げ可能であり、
前記ガイド部は、その下端に、前記揺動部を前記ベースから離れる傾斜方向に案内する傾斜ガイドを有し、
前記ベースは、前記下方に移動することによって、前記揺動部を前記傾斜ガイドに押し込み可能な傾斜側面を有するとともに、前記揺動部を傾斜ガイドに押し込んだ状態に維持する鉛直側面を有することを特徴とするプレス装置。
【請求項2】
前記動力手段は、モータと、該モータの回転運動を前記ベースの昇降運動に変換して、前記ベースに動力を伝達する動力伝達手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
前記対象は回路基板であり、
当該回路基板が載置されるプローブピンと、
前記回路基板を上方からプレスする請求項1又は請求項2に記載のプレス装置と、
を備えることを特徴とするインサーキットテスタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象に荷重を加えるプレス装置、及び検査対象である回路基板に荷重を加えて、プローブピンと回路基板とを確実に接触させるインサーキットテスタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路基板の検査方法として、インサーキットテスタを用いて、検査対象の回路基板の必要な測定点に適宜複数のプローブピンの先端を接触させて、回路基板に実装された各部品や回路パターンの各部の抵抗、その他の特性値を電気的に測定し、得られた電気信号をコンピュータで判定して、当該回路基板の良否の判別を行っている(例えば特許文献1)。
【0003】
プローブピンの先端と回路基板の測定点とは、互いに確実に接触している必要があるので、プローブピンは例えばコイルばねを有しており、常時回路基板方向に付勢されている。したがって、プローブピンの先端と回路基板とを互いに接触させた状態で、プローブピンのストロークの範囲内でプローブピンまたは回路基板を押圧して、プローブピン及び回路基板の確実な接続を図っている(例えば特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−41979号公報
【特許文献2】特開平11−344539号公報
【特許文献3】特開平11−94906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、プローブピン及び回路基板には互いに接近する方向に所定の力で押圧する必要があるが、過度な力が加わると、回路基板又はプローブピンが破損する恐れがある。
【0006】
そこで、本発明は、回路基板などの対象に荷重を加える装置であって、対象の破損を防止しつつ、対象を確実にプレスすることができるプレス装置及びインサーキットテスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のプレス装置は、対象に荷重を加えるプレス装置であって、上下方向に昇降可能なベースと、前記ベースを昇降させる動力手段と、少なくとも上端から下方に所定範囲が前記ベースの移動方向に平行なガイド部と、上下方向にスライド可能に構成され、下降して対象の上面に荷重を加えるプレス部と、前記プレス部に揺動可能に固定されており、前記ガイド部に案内される揺動部と、を備え、前記プレス部は前記ベースの上面に接触及び離反可能に当接し、前記ベースは上昇時に当該プレス部を上方向に押し上げ可能であり、前記ガイド部は、その下端に、前記揺動部を前記ベースから離れる傾斜方向に案内する傾斜ガイドを有し、前記ベースは、前記下方に移動することによって、前記揺動部を前記傾斜ガイドに押し込み可能な傾斜側面を有するとともに、前記揺動部を傾斜ガイドに押し込んだ状態に維持する鉛直側面を有することを特徴としている。
【0010】
また、本発明のプレス装置は、前記動力手段は、モータと、該モータの回転運動を前記ベースの昇降運動に変換して、前記ベースに動力を伝達する動力伝達手段とを備えることが好ましい。
【0011】
そして、本発明のインサーキットテスタは、前記対象は回路基板であり、当該回路基板が載置されるプローブピンと、前記回路基板を上方からプレスする請求項1から請求項4のいずれかに記載のプレス装置と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプレス装置によると、動力手段によりベースが上昇するときには、プレス部がベースの上面に当接して、言い換えれば、プレス部がベースの上面に載置された状態で押し上げられるので、プレス部はベースの上昇に従って上昇する。そして、動力手段によりベースが下降するときには、プレス部がベースの上面に載置された状態でプレス部自身の自重により対象の上面に接触するまで下降する。そして、プレス部が対象の上面に接触すると、ベースは動力手段によりさらに下降するが、プレス部はベースから離反して下降を停止する。したがって、プレス部が対象に過度な荷重を加えることを防止することができる。
【0013】
また、本発明の好ましい形態のプレス装置によると、ガイド部の下端には、プレス部に揺動可能に固定される揺動部をベースから離れる傾斜方向に案内する傾斜ガイドを有しているので、揺動部がその下死点近傍において、傾斜ガイドにより、傾斜方向に案内されるので、プレス装置の下降が緩やかになり、プレス装置が対象に当接する際に、ソフトランディングすることができる。
【0014】
より好ましい形態のプレス装置によると、ベースには、下方に移動することによって、揺動部を傾斜ガイドに押し込み可能な傾斜側面を有するとともに、揺動部を傾斜ガイドに押し込んだ状態に維持する鉛直側面を有するので、ベースの下降に従って、傾斜側面によって揺動部が傾斜ガイドに押し込まれることにより、プレス部が対象を確実に押圧するとともに、その後、ベースの鉛直側面によって揺動部が傾斜ガイドに押し込まれた状態に維持するので、プレス部が対象を押圧した状態を維持することができる。
【0015】
また、本発明のプレス装置は、動力手段が、モータと、該モータの回転運動をベースの昇降運動に変換して、ベースに動力を伝達する動力伝達手段とを備えている場合に、モータの動作によって、プレス部が対象を確実に押圧することができる。特に、ベースが傾斜側面及び鉛直側面を有するより好ましい形態の場合は、プレス部が下死点に至ったときに、モータを停止しても鉛直側面によって揺動部が傾斜ガイドに押し込まれた状態に維持するので、プレス部が対象を押圧した状態を維持することができ、省電力化することができる。
【0016】
そして、本発明のインサーキットテスタによると、プレス装置が回路基板及びプローブピンに過度な荷重を加えることを防止することができる。特に、プレス装置のベースが傾斜側面及び鉛直側面を有するより好ましい形態の場合は、プレス部が下死点に至ったときに、鉛直側面によって揺動部が傾斜ガイドに押し込まれた状態に維持するので、確実に回路基板とプローブピンとを接触させた状態を維持することができ、動力手段がモータ及び動力伝達手段である場合に、下死点でモータを停止させることができるので、回路基板の検査中にモータによって発生するノイズをなくすことができ、プローブピンへのノイズの侵入を抑制し、より精密な検査を行うことができる。特に微細な電流で検査を行うインサーキットテスタにおいて、ノイズを低減するで精度の高い検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ベース及びプレス部が上死点に位置しているときのインサーキットテスタの側面図。
図2】ベース及びプレス部が上死点に位置しているときのインサーキットテスタの正面図。
図3】揺動部の下端が傾斜ガイドに案内された状態のインサーキットテスタの側面図。
図4】揺動部の下端が傾斜ガイドに案内された状態のインサーキットテスタの正面図。
図5】揺動部の突出部の突出ローラがベース本体の傾斜側面に当接した状態を示すインサーキットテスタの側面図。
図6】揺動部の突出部の突出ローラがベース本体の傾斜側面に当接した状態を示すインサーキットテスタの正面図。
図7】ベースが下死点に至り、ベース本体の鉛直側面が揺動部の突出部の突出ローラに当接した状態を示すインサーキットテスタの側面図。
図8】ベースが下死点に至り、ベース本体の鉛直側面が揺動部の突出部の突出ローラに当接した状態を示すインサーキットテスタの正面図。
図9】サーボモータ及びベルトを示すインサーキットテスタの平面図。
図10】ベース、プレス部、及び揺動部の動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るプレス装置1及びインサーキットテスタ2の最良の実施形態について各図を参照しつつ説明する。本実施形態のプレス装置1は、インサーキットテスタ2が備えるものである。インサーキットテスタ2は、図示しない電子部品と回路基板3との接続信頼性を検査する装置であり,その手段として,回路基板3に実装された抵抗器やコンデンサなどの電子部品の定数,ダイオード特性などを測定することにより回路基板3の良否を判定する装置である。本実施形態のインサーキットテスタ2は、図1及び図2に示すように、プローブピン4と、プローブピン4に検査対象の回路基板3を押圧するためのプレス装置1と、プレス装置1を制御するとともに、プローブピン4を制御し電気検査を行う制御部5とを備える。
【0019】
なお、プレス装置1は、インサーキットテスタ2用のものに限定されるものではなく、対象を破損することなく、確実に押圧する必要がある様々な装置に用いることができる。
【0020】
プローブピン4は、予め平板状のピンボード6に設置し、当該ピンボード6をインサーキットテスタ2に固定することにより、検査対象である回路基板3の測定点に接触可能に配置している。プローブピン4は、図示しないが、例えばコイルバネなどの弾性体によって、先端が4mm以下のストロークで収縮するスプリングプローブであり、回路基板3に押し付けられて4mm以下の範囲で押し込まれることにより、その反発力で回路基板3とプローブピン4の先端とが密着する。
【0021】
プレス装置1は、上下方向に昇降可能なベース7と、ベース7を昇降させる動力手段8と、少なくとも上端から下方に所定範囲がベース7の移動方向に平行なガイド部9と、上下方向にスライド可能に構成され、下降して回路基板3の上面に荷重を加えるプレス部10と、プレス部10に揺動可能に固定されており、ガイド部9に案内される揺動部11と、を備えている。なお、ベース7及びガイド部9はインサーキットテスタ2の左右に対象に設けられている。本実施形態において、特に指定が無い場合は、インサーキットテスタ2の側面側をベース7及びガイド部9の正面として説明する。
【0022】
ベース7は、図1及び図10に示すように、後述するボールネジ8aの回転によって、上下方向に移動するものである。ベース7は、両側の側面上部が鉛直側面7cを形成するとともに、側面下部が互いに接近する方向に傾斜する傾斜側面7dを形成し、いわゆる略ホームベース形に形成されたベース本体7aと、ベース本体7aの奥側に固定される直方体形状であり、ボールネジ8aが螺合するネジ孔を有するとともに、ボールネジ8aに並行な2本のサイドポール12に摺動する摺動孔を備えたベース背面部7bと、を備えている。ベース7は、インサーキットテスタ2の左右両側にそれぞれ設けられている。インサーキットテスタ2には、その左右両側にボールネジ8aがそれぞれ設けられるとともに、それぞれのボールネジ8aの両側に平行にサイドポール12が設けられている。すなわち、サイドポール12は、インサーキットテスタ2のほぼ四隅にそれぞれ立設されている。
【0023】
動力手段8は、図2及び図9に示すように、インサーキットテスタ2の上部に設けられたサーボモータ8bと、サーボモータ8bの回転力をインサーキットテスタ2の左右に設けられているボールネジ8aに伝達するベルト8cと、ベルト8cの方向を転換するプーリ8dと、インサーキットテスタ2の左右にそれぞれ立設されており、サーボモータ8bからベルト8cを介して伝達される回転力をベース7の昇降動作に変換するボールネジ8aとにより構成されている。本発明における「モータ」は本実施形態ではこのサーボモータ8bがこれに相当し、本発明における「動力伝達手段」は、ベルト8c及びボールネジ8aがこれに相当する。なお、動力手段8はサーボモータ8bなどのモータに限定されるものではなく、例えば手動で動作するものであってもよい。図示しないが、例えば手動で揺動可能なレバーと、このレバーの揺動動作をベース7の昇降動作に変換して伝達する動力伝達部とを有する構成であってもよい。
【0024】
ガイド部9は、図1及び図10に示すように、後述する揺動部11を案内するレールであり、矩形平板を上端縁から切欠いて、当該矩形平板の内側に設けられた溝の端縁である。ガイド部9は、ベース本体7aから距離を開けてベース本体7aの両側面に対向するように設けられている。ガイド部9は、その上端、すなわち、揺動部11の上死点から下方に所定範囲がベース本体7aの移動方向に平行な、鉛直方向に形成されている。ガイド部9の下端近傍は、揺動部11をベース本体7aから離れる傾斜方向に案内する傾斜ガイド9aを有する。傾斜ガイド9aの傾斜する角度は、ベース本体7aの傾斜側面7dに対して垂直となる角度である。
【0025】
プレス部10は、図1図2及び図10に示すように、略直方体で、インサーキットテスタ2の水平断面を見た場合に、ほとんどすべてを占める大きさであり、当該インサーキットテスタ2の四隅に設けられたサイドポール12に摺動可能な形状のプレス部本体10aと、プレス部本体10aの下面に複数設けられており、下降したときに検査対象の回路基板3の上面に荷重を加える押圧ピン10bとを備えている。プレス部本体10aは、その下面の両側端部が、インサーキットテスタ2の左右両側のベース背面部7bの上面に接触する位置に配置されており、2つのベース背面部7bに架け渡されるように、ベース背面部7bに載置されている。プレス部本体10aがベース背面部7bに載置されることで、プレス部10はベース7の昇降に従って昇降する。押圧ピン10bが設けられる位置は、回路基板3に実装されている部品に干渉することが無いように、適宜調整されている。なお、本実施形態のインサーキットテスタ2は、回路基板3の下面にプローブピン4を接触させ、回路基板3の上面をプレス部10の押圧ピン10bでプレスする構成であるが、これに限定されるものではなく、プレス部本体10aの下面にも押圧ピン10bに変えてプローブピン4が設けられる構成であってもよい。
【0026】
揺動部11は、図1及び図10に示すように、その上端が、プレス部本体10aに揺動可能に固定されており、ガイド部9に沿って移動可能に設けられている。揺動部11の下端には自転可能な下端ローラ11aがガイド部9に接触するように設けられており、プレス部10の昇降に従って下端ローラ11aが回転しつつ揺動部11がガイド部9に沿って昇降する。揺動部11は、ベース本体7a側に向かって突出する突出部11bを有しており、この突出部11bの先端にも突出ローラ11cが設けられている。この突出部11bの突出ローラ11cは、ベース本体7aの傾斜側面7dに接触可能な位置に配置されている。
【0027】
制御部5は、プレス装置1を制御するものであり、具体的には、サーボモータ8bを制御してベース7を昇降させ、また、計測ラインごとにプローブピン4に通電し、回路基板3の電気検査を行う。
【0028】
以上のように構成されるインサーキットテスタ2を用いて、回路基板3を検査する際には、図1図2及び図10(A)に示すように、予め回路基板3の測定点に応じた位置にプローブピン4を固定したピンボード6をインサーキットテスタ2に固定する。そして、サーボモータ8bを駆動して、ベルト8cを介して、ボールネジ8aを回転させる。ボールネジ8aが回転すると、ベース7は下方への移動を開始する。ベース7が下方に移動すると、ベース背面部7bの上面に架設されるように載置された状態となっているプレス部10はベース7の下降に従って、自重によってサイドポール12を摺動しつつ下降する。プレス部10が下降すると、プレス部本体10aの下面に設けられている押圧ピン10bがプローブピン4の上に配置されている回路基板3に接近する。
【0029】
プレス部10の下降に従って、揺動部11もガイド部9に沿って下降する。図3図4、及び図10(B)に示すように、揺動部11の下端がガイド部9の傾斜ガイド9aに至ると、揺動部11は傾斜ガイド9aに沿って揺動しながら下降する。そして、プレス部10の押圧ピン10bの先端が回路基板3に接触すると、図5図6、及び図10(C)に示すように、ベース7はさらに下降するが、プレス部10は下降を停止するため、ベース背面部7bからプレス部本体10aが離れる。
【0030】
このように、プレス部10の押圧ピン10bが回路基板3の上面に接触すると、ベース7はさらに下降するが、プレス部10はベース7から離反して下降を停止するので、プレス部10の押圧ピン10bが回路基板3や回路基板3の下のプローブピン4に過度な荷重を加えることを防止することができる。しかも、揺動部11がその下死点近傍において、傾斜ガイド9aにより、傾斜方向に案内されるので、プレス部10の下降が緩やかになり、プレス部10が回路基板3に当接する際に、ソフトランディングすることができる。
【0031】
そして、ベース7がさらに下降すると、揺動部11の突出部11bの先端に設けられた突出ローラ11cにベース本体7aの傾斜側面7dが接触し、さらにベース7が下降することにより、揺動部11の下端が傾斜ガイド9aに押し込まれる。これによって、プレス部10の押圧ピン10bは、4mm以内の範囲で、さらに回路基板3をプローブピン4の方向にプレスする。これにより、プローブピン4は、内蔵されたコイルバネによって先端が収縮し、その反発力により回路基板3に対してプローブピン4が確実に密着する。
【0032】
そして、ベース7は、図7図8、及び図10(D)に示すように、ベース本体7aの鉛直側面7cが揺動部11の突出部11bに設けられた突出ローラ11cに当接する位置まで下降する。このように、ベース7の鉛直側面7cによって揺動部11が傾斜ガイド9aに押し込まれた状態になると、揺動部11が上昇しようとしても、ベース本体7aの鉛直側面7cがストッパとなって上昇することができず、しかも揺動部11からベース本体7aの鉛直側面7cに加えられる力はベース7の上昇方向の力に変換されることがないので、揺動部11がその位置から上昇することはできない。したがって、サーボモータ8bの駆動を停止しても、揺動部11の位置が上昇することはなく、揺動部11が固定されているプレス部10も上昇することができない。
【0033】
したがって、サーボモータ8bを停止させても、回路基板3をプレスする状態を維持できるので、サーボモータ8bからノイズが発生することなく、精度の高い検査を行うことができる。
【0034】
なお、本発明の実施の形態は上述の形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明に係るプレス装置1及びインサーキットテスタ2は、回路基板3を検査する装置として、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 プレス装置
2 インサーキットテスタ
3 回路基板
4 プローブピン
7 ベース
8 動力手段
9 ガイド部
9a 傾斜ガイド
10 プレス部
11 揺動部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10