(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電線保持手段を構成し、前記電線の先端部に固着された端子金具に係止することで前記電線を移動規制する端子係止手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の回路基板に対する電線の位置決め装置。
前記電線保持手段を構成し、前記電線の先端部を突き当てることで前記電線を移動規制する電線突当手段を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回路基板に対する電線の位置決め装置。
前記電線保持手段を構成し、前記電線を収容することで、前記電線の長さ方向と交差する方向への移動を規制する保持溝を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の回路基板に対する電線の位置決め装置。
前記電線保持手段を構成し、前記保持溝内に収容されている前記電線に当接することで、前記電線が前記保持溝外へ離脱するのを規制可能な電線用規制部材を備えていることを特徴とする請求項4記載の回路基板に対する電線の位置決め装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回路基板を充電用コネクタの近傍に配置する場合は、回路基板からハウジングに至る電線の配索経路が短い。そのため、回路基板から充電用端子金具までの電線の長さにバラツキがあった場合、長い電線を曲げて充電用端子金具の位置を全ての電線で揃える、という長さ調整をすることは難しい。特に、充電用コネクタでは、電力線として線径の太い曲げ難い電線が用いられるので、電線を曲げて充電用端子金具の位置を揃えることは、より困難である。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、回路基板に対し、電線の長さ方向における所定の接続部を確実に接続できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、回路基板の表面に実装した基板用端子金具に接続される複数本の電線を、前記回路基板に対して位置決めするための装置であって、装置本体と、前記装置本体に形成され、前記回路基板を移動規制した状態で保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段を構成し、前記装置本体の上面を凹ませた形態であって、前記回路基板を収容可能な基板収容部と、前記基板保持手段を構成し、上下方向の軸を支点として係止位置と退避位置との間で回動可能であり、前記係止位置では、前記基板収容部内の前記回路基板の外周縁部に係止することで前記回路基板の浮き上がりを規制し、前記退避位置では前記回路基板への係止を解除する基板用規制部材と、前記装置本体に形成され、前記複数本の電線を移動規制した状態で保持する電線保持手段
と、前記電線保持手段を構成し、前記端子金具を付勢することで前記電線と前記端子金具を移動規制するコイルバネとを備えているところに特徴を有する。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記電線保持手段を構成し、前記電線の先端部に固着された端子金具に係止することで前記電線を移動規制する端子係止手段を備えているところに特徴を有する。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記電線保持手段を構成し、前記電線の先端部を突き当てることで前記電線を移動規制する電線突当手段を備えているところに特徴を有する。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記電線保持手段を構成し、前記電線を収容することで、前記電線の長さ方向と交差する方向への移動を規制する保持溝を備えているところに特徴を有する。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記電線保持手段を構成し、前記保持溝内に収容されている前記電線に当接することで、前記電線が前記保持溝外へ離脱するのを規制可能な電線用規制部材を備えているところに特徴を有する。
【0013】
請求項6の発明は、回路基板の表面に実装した基板用端子金具に接続される複数本の電線を、前記回路基板に対して位置決めするための方法であって、
装置本体の上面を凹ませた形態の基板収容部内に前記回路基板を収容し、前記回路基板を、上下方向の軸を支点として回動可能な基板用規制部材によって浮き上がり規制状態にするとともに、前記装置本体に対して移動規制状態に保持し、前記複数本の電線の先端部に固着された端子金具をコイルバネで付勢することにより、前記電線と前記端子金具を前記装置本体に対して移動規制状態で保持するところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
<請求項1の発明>
基板保持手段において回路基板を移動規制状態に保持し、電線保持手段において複数本の電線を移動規制状態に保持すれば、回路基板と複数本の電線とが所定の位置関係となるように位置決めされる。これにより、回路基板に対し、電線の長さ方向における所定の接続部を確実に接続できる。
また、基板収容部内に収容された回路基板は、基板用規制部材の係止により、確実に基板収容部内に保持される。基板用規制部材を係止位置から退避位置へ変位させれば、基板収容部に対する回路基板の着脱を容易に行うことができる。
【0015】
<請求項2の発明>
電線は、その先端部に固着された端子金具に端子係止手段を係止させることによって、位置決めされた状態に保持される。
【0016】
<請求項3の発明>
電線は、その先端部を電線突当手段に突き当てることによって、位置決めされた状態に保持される。
【0017】
<請求項4の発明>
電線は、保持溝に収容することにより、長さ方向と交差する方向において位置決めされた状態に保持される。
【0018】
<請求項5の発明>
保持溝内の電線に電線用規制部材を当接させることにより、電線を保持溝内に収容した状態に確実に保持することができる。
【0020】
<
請求項6の発明>
装置本体に回路基板を移動規制状態で保持し、同じく装置本体に複数本の電線を移動規制状態で保持すれば、回路基板と複数本の電線とが所定の位置関係となるように位置決めされる。これにより、回路基板に対し、電線の長さ方向における所定の接続部を確実に接続できる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を
図1〜
図13を参照して説明する。本実施形態の位置決め装置30は、充電用コネクタ(図示省略)から後方へ導出されたワイヤーハーネス20を、充電用コネクタの後方近傍位置に配される基板ユニット10に対して位置決めするためのものである。詳細には、位置決め装置30は、ワイヤーハーネス20を構成する複数本の電線22L,22R,23,24L,24Rの長さ方向における所定位置に設定した接続部25を、基板ユニット10を構成する回路基板11に対して位置決めする。尚、以下の説明において、便宜上、
図5〜11,13における左方を「前方」とする。また、前後方向と、回路基板11の近傍における電線21,22L,22R,23,24L,24Rの長さ方向(配索方向)は、同義で用いる。
【0023】
<充電用コネクタ>
充電用コネクタは、車外に設置した給電装置(図示省略)から、車両に搭載したバッテリ(図示省略)へ電力供給するために、車両に設けられたコネクタである。充電用コネクタは、車体に取り付けられたハウジング(図示省略)と、ハウジング内に後方から挿入される3つの充電用端子金具26(本発明の構成要件である端子金具)とを備えて構成されている。
【0024】
<基板ユニット10>
図3,9,11〜13に示すように、基板ユニット10は、回路基板11と、回路基板11の表面(つまり、上面)に実装された複数の基板用端子金具12と、回路基板11の表面に実装された複数の回路構成部材13とから構成されている。ワイヤーハーネス20を構成する電線22L,22R,23,24L,24Rは、基板用端子金具12を介して回路基板11に接続される。基板ユニット10にワイヤーハーネス20を接続すると、車両と給電装置との間で充電制御用の情報を送受信するための電力線送信手段(Power Line Communication)を構成する。
【0025】
<ワイヤーハーネス20>
図7,13に示すように、ワイヤーハーネス20は、1本のアース線21と、アース線21より細い一対の電力線22L,22R(本発明の構成要件である電線)と、電力線22L,22Rより細い1本の第1信号線23(本発明の構成要件である電線)と、電力線22L,22Rより細い2本の第2信号線24L,24R(本発明の構成要件である電線)とを備えて構成されている。一対の電力線22L,22Rのうち左側の電力線22Lは、前側導電路22LFと後側導電路22LRとに分断されている。3本の信号線23,24L,24Rのうち第1信号線23は、その前端部においてアース線21の前端部近くに接続されている。これらの電線21,22L,22R,23,24L,24Rは、いずれも、撚り線からなる導体と、導体の外周を包囲する合成樹脂製の絶縁被覆とから構成されている。
【0026】
<充電用端子金具26>
図7,12に示すように、アース線21の前端部と一対の電力線22L,22Rの前端部には、夫々、充電用端子金具26が導通可能に固着されている。充電用端子金具26は、その前端部が前後方向に細長い円柱形の接触部27となっている。この接触部27は、図示しない給電側の相手側端子と導通をとるための手段として機能する。したがって、接触信頼性の観点から、接触部27の表面が傷付けられることは避けなければならない。充電用端子金具26の後端部には、後端面が開放された円筒形をなすクローズバレルタイプの電線圧着部(図示省略)が形成されている。電線圧着部には、絶縁被覆を皮剥して露出させた導体の前端部が導通可能に且つ同軸状に固着されている。電線圧着部の後半部分から絶縁被覆の前端部に亘る領域には、防水用の熱収縮チューブ28が液密状に外嵌されている。
【0027】
充電用端子金具26には、接触部27及び電線圧着部よりも外径が大きく、接触部27と同心の円板状(フランジ状)をなす係止部29が形成されている。係止部29の前面は接触部27の後端に繋がっており、係止部29の後面は電線圧着部の前端に繋がっている。つまり、係止部29は接触部27よりも後方に配置されている。アース線21に固着された充電用端子金具26の係止部29は、位置決め装置30にセットしたアース線21とアース線21から分岐した第1信号線23を、前後方向において位置決めするための手段として機能する。電力線22L,22Rに固着された充電用端子金具26の係止部29は、位置決め装置30にセットした電力線22L,22Rを、前後方向において位置決めするための手段として機能する。
【0028】
図13に示すように、ワイヤーハーネス20における基板用端子金具12との接続部25は、絶縁被覆が皮剥されて導体が露出されている。左側の電力線22Lを構成する前側導電路22LFは、その長さ方向における後端部に接続部25が設定されている。左側の電力線22Lを構成する後側導電路22LRは、その長さ方向における前端部に接続部25が設定されている。右側の電力線22Rは、その長さ方向における中間部に接続部25が設定されている。3本の信号線23,24L,24Rのうちアース線21から分岐した第1信号線23は、その長さ方向における中間部に接続部25が設定されている。2本の第2信号線24L,24Rは、その長さ方向における前端部に接続部25が設定されている。
【0029】
<位置決め装置30>
図1,2,7に示すように、位置決め装置30は、装置本体31と、電線保持手段32と、基板保持手段33とを備えて構成されている。電線保持手段32は、端子係止手段34と、複数の保持溝41,42L,42R,43L,43R,44と、左右一対のストッパ45L,45R(本発明の構成要件である電線突当手段と、押さえ板50(本発明の構成要件である電線用規制部材)とを備えて構成されている。
【0030】
<端子係止手段34>
端子係止手段34は、装置本体31の前端部に配されており、端子収容部35と、左右一対の板収容溝36と、左右一対のバネ収容部37と、保持板38と、一対のコイルバネ39とを備えて構成されている。
【0031】
端子収容部35は、装置本体31の左右方向(幅方向)中央部の上面を凹ませた形態である。端子収容部35内には、3つの充電用端子金具26の接触部27と係止部29が収容されるようになっている。一対の板収容溝36は、端子収容部35を左右から挟むように配され、端子収容部35の後端部に連通している。板収容溝36には保持板38が収容されるようになっている。保持板38は、電線21,22L,22R,23,24L,24Rの配索方向(前後方向)と直角方向に細長い形状である。
図1に示すように、保持板38の上端縁には、保持板38を装置本体10に対して着脱操作するための手段として、幅方向中央部から突出する摘み部38Aが形成されている。保持板38には、充電用端子金具26の接触部27との干渉を回避するための手段として、下端縁を切欠した形態の3つの逃がし溝38Bが形成されている。
【0032】
一対のバネ収容部37は、板収容溝36の前方において端子収容部35を左右から挟むように配され、バネ収容部37の後端が板収容溝36に連通している。各バネ収容部37内には、夫々、コイルバネ39が収容されるようになっている。バネ収容部37に収容されたコイルバネ39は、保持板38を後方へ付勢するようになっている。
【0033】
<保持溝41,42L,42R,43L,43R,44>
図1,4に示すように、複数本の保持溝41,42L,42R,43L,43R,44は、いずれも、装置本体31の上面を凹ませた形態であって、前後方向に細長く延びている。
図5,7に示すように、装置本体31の幅方向中央部には、アース線21の前端部と第1信号線23の前端部を収容して左右方向(電線21,22L,22R,23,24L,24Rの長さ方向と交差し、且つ回路基板11の表面と平行な方向)に位置決めした状態で保持する第1保持溝41が形成されている。
【0034】
第1保持溝41の左右両側には左右一対の第2保持溝42L,42Rが形成されている。
図7に示すように、左側の第2保持溝42Lには、左側の電力線22Lの前側導電路22LFが収容される。右側の第2保持溝42Rには、右側の電力線22Rの前端部が収容される。第1保持溝41と一対の第2保持溝42L,42Rは、装置本体31の前端側領域に配されており、これらの保持溝41,42L,42Rの前端は、端子収容部35の後面壁に開口(つまり、端子収容部35内に連通)している。
【0035】
装置本体31の後半側領域には、左右一対の第3保持溝43L,43Rが形成されている。左側の第3保持溝43Lには、左側の電力線22Lの後側導電路22LRが収容されて左右方向に位置決めした状態で保持される。右側の第3保持溝43Rには、右側の電力線22Rが収容されて、左右方向に位置決めした状態で保持される。一対の第3保持溝43L,43Rの間には、3本の第4保持溝44が形成されている。この3本の第4保持溝44には、夫々、1本の第1信号線23と一対の第2信号線24L,24Rがが収容されて、左右方向に位置決めした状態で保持される。第3保持溝43L,43Rの後端と第4保持溝44の後端は、いずれも、装置本体31の後端面に開放されている。
【0036】
<ストッパ45L,45R>
図1,2に示すように、左右一対のストッパ45L,45Rは、装置本体31に対して着脱可能である。
図1に示すように、左側のストッパ45Lには、被支持部46Lと、被支持部46Lから右方へ延出する突当部47Lが形成されており、右側のストッパ45Rには、被支持部46Rと、被支持部46Rから左方へ延出する突当部47Rが形成されている。
【0037】
図1,4,5に示すように、装置本体31の上面には、ストッパ45L,45Rを装着状態に保持するために左右一対の支持凹部48が形成されている。支持凹部48に被支持部46L,46Rを嵌合すると、ストッパ45L,45Rは、装置本体31に取り付けられる。この時のストッパ45L,45Rの位置は、第1保持溝41の後端及び第2保持溝42L,42Rの後端よりも後方であり、且つ第3保持溝43L,43Rの前端及び第4保持溝44の前端よりも前方である。
【0038】
図7に示すように、一対のストッパ45L,45Rのうち左側のストッパ45Lを支持凹部48に嵌合して装置本体31にセットした状態では、左側の第3保持溝43Lに収容された後側導電路22LRの前端と、3本の第4保持溝44のうち左側の第4保持溝44に収容された第2信号線24Lの前端とが、左側のストッパ45Lの突当部47Lに対して後方から突き当たる。この突き当てにより、後側導電路22LRと、左側の第4保持溝44に収容された第2信号線24Lが、前後方向において位置決めされる。
【0039】
また、右側のストッパ45Rを支持凹部48に嵌合して装置本体31にセットした状態では、3本の第4保持溝44のうち右側の第4保持溝44に収容された第2信号線24Rの前端が、右側のストッパ45Rの突当部47Rに対して後方から突き当たる。この突き当てにより、右側の第4保持溝44に収容された第2信号線24Rが、前後方向において位置決めされる。
【0040】
<押さえ板50>
図1,2に示すように、押さえ板50は、装置本体31に対して着脱可能である。押さえ板50は、全体として左右方向に長い形状である。押さえ板50の下端縁には、その左右両端部から下方へ突出する一対の脚部51と、左右方向中央部を凹ませた形態の逃がし凹部52とが形成されている。装置本体31の上面には、押さえ板50を装着状態に保持するための手段として左右一対の支持溝53が形成されている。支持溝53に脚部51を嵌合させることで、押さえ板50は、第3保持溝43L,43R及び第4保持溝44の前端よりも少し後方に位置した状態に保持される。
【0041】
図3に示すように、押さえ板50を装置本体31にセットした状態では、アース線21が逃がし凹部52に嵌合されて左右方向に位置決めされるとともに、上方(つまり、電線21,22L,22R,23,24L,24Rの長さ方向と交差し、且つ回路基板11の表面と直角な方向)への浮き上がり(回路基板11から離間する方向への変位)を規制された状態に位置決めされる。また、
図7に示すように、押さえ板50は、一対の第3保持溝43L,43Rと3本の第4保持溝44の上方を横切るように位置する。これにより、一対の第3保持溝43L,43Rに収容されている一対の電力線22L,22Rと、3本の第4保持溝44に収容されている3本の信号線23,24L,24Rは、いずれも、押さえ板50の下端縁により、上方への浮き上がりが規制された状態に位置決めされる。
【0042】
<基板保持手段33>
図4,5に示すように、基板保持手段33は、装置本体31に形成した基板収容部54と、装置本体31に取り付けられた左右一対の可動爪55(本発明の構成要件である基板用規制部材)とを備えて構成されている。基板収容部54は、装置本体31の上面を凹ませた形態である。基板収容部54の前後方向の寸法は、回路基板11と同じ寸法か、それよりも僅かに大きい寸法である。基板収容部54の前後方向における形成領域は、第1保持溝41及び第2保持溝42L,42Rの後端と、第3保持溝43L,43R及び第4保持溝44の前端との間の範囲である。
【0043】
したがって、第1保持溝41の後端と第2保持溝42L,42Rの後端は、基板収容部54の前端に連通し、第3保持溝43L,43Rと第4保持溝44の前端は基板収容部54の後端に連通している。基板収容部54の幅寸法は、回路基板11の最大幅よりも大きい寸法である。左右方向における基板収容部54の形成領域は、全ての保持溝41,42L,42R,43L,43R,44を含む範囲に亘っている。
【0044】
図5に示すように、ストッパ45L,45Rを保持する支持凹部48は、左右方向においては基板収容部54の左右両側に配置され、前後方向においては、基板収容部54の略中央部と対応する位置に配置されている。支持凹部48にストッパ45L,45Rを取り付けると、
図7に示すように、突当部47L,47Rが基板収容部54の開口領域内へ突出した状態となる。
【0045】
図4,5に示すように、基板収容部54の底面には、基板収容部54の前端に近い位置から上方へ突出する左右一対のリブ56と、リブ56よりも後方であって幅方向中央から上方へ突出する突起57とが形成されている。リブ56と突起57の突出端は、全て同一の高さに揃っている。このリブ56と突起57には、基板収容部54内に収容された回路基板11が載置された状態で支持される。つまり、回路基板11の裏面(下面)がリブ56の上端面と突起57の上端面とに当接する。これにより、回路基板11は、水平(装置本体31の上面と平行)な姿勢で上下方向において位置決めされる。
【0046】
基板収容部54には、その左右両内側壁の後端部から内側へ張り出した左右一対の台座部58が形成されている。台座部58の間隔は、回路基板11の後端部における幅寸法と同じ寸法か、それよりも僅かに大きい寸法とされている。この一対の台座部58の上面には、夫々、可動爪55が、上下方向の軸を支点として、回路基板11の表面に対して上から係止又は接近して対向する係止位置(
図6,7を参照)と、回路基板11の表面と被対応の退避位置(
図4,5を参照)との間で回動し得るように支持されている。
【0047】
台座部58の上面(つまり、可動爪55の下面)の高さは、リブ56と突起57の上端面と同じ高さである。したがって、可動爪55が係止位置に変位すると、可動爪55が、回路基板11の左右両側縁部(外周縁部)に対して上から係止した状態となる。すると、回路基板11は、リブ56及び突起57と、可動爪55との間で挟まれることにより、上下方向において位置決めされる。
【0048】
<位置決め工程>
次に、本実施形態の作用を説明する。回路基板11とワイヤーハーネス20とを位置決めする際には、まず、可動爪55を退避位置へ退避させた状態で、基板ユニット10を基板収容部54内に落とし込むようにしてセットする。すると、基板ユニット10(回路基板11)は、前後方向及び左右方向に位置決めされる。そして、可動爪55を手作業で係止位置へ変位させると、基板ユニット10は、更に上下方向においても位置決めされる。以上により、基板ユニット10が装置本体31に対し、三次元方向(つまり、前後方向、左右方向及び上下方向の全ての方向)において位置決めされる。
【0049】
基板ユニット10をセットしたら、一対のストッパ45L,45Rを装置本体31に取り付ける。この後、予め、皮剥により導体を露出させた接続部25が形成されている電線22L,22R,23,24L,24Rを、夫々、対応する保持溝41,42L,42R,43L,43R,44に収容し、装置本体31に対して左右方向に位置決めするとともに、各電線22L,22R,23,24L,24Rの接続部25を、夫々、対応する基板用端子金具12に嵌合させる。接続部25を有しないアース線21は、装置本体31の上面に載置する。また、左側の電力線22Lの後側導電路22LRと、左右一対の第2信号線24L,24Rは、その前端をストッパ45L,45Rに当接させることにより、装置本体31に対し前後方向に位置決めする。
【0050】
また、アース線21と電力線22L,22Rをセットするときには、3つの充電用端子金具26を端子収容部35内に収容する。そして、保持板38とコイルバネ39を、夫々、板収容溝36とバネ収容部37内に組み付ける。すると、コイルバネ39の付勢により、保持板38が充電用端子金具26の係止部29を後方へ押し、係止部29が、保持板38と、端子収容部35の後面壁との間で前後に挟み付けられる。この挟み付けにより、3つの充電用端子金具26が、装置本体31に対して前後方向への移動を規制され、アース線21と左側の電力線22Lの前側導電路22LFと右側の電力線22Rが、装置本体31に対して前後方向において位置決めされる。
【0051】
全ての電線21,22L,22R,23,24L,24Rを装置本体31にセットしたら、押さえ板50を装置本体31に組み付ける。すると、左側の電力線22Lの前側導電路22LFを除いた電線21,22R,23,24L,24Rが、装置本体31に対し上方(基板収容部54内の回路基板11の表面から離間する方向)への移動を規制された状態に位置決めされる。以上により、全ての電線21,22L,22R,23,24L,24Rが装置本体31に対して三次元方向に位置決めされる。これにより、全ての電線21,22L,22R,23,24L,24Rと回路基板11とが、三次元方向において位置決めされる。この後、電線22L,22R,23,24L,24Rの接続部25と基板用端子金具12とを半田付け等により導通可能に接続する。
【0052】
上記のようにして回路基板11と電線22L,22R,23,24L,24Rを接続した後は、押さえ板50とストッパ45L,45Rと保持板38とコイルバネ39を装置本体31から外すとともに、可動爪55を係止位置から退避位置へ回動変位させる。このようにすれば、基板保持手段33による回路基板11の保持と、電線保持手段32による電線21,22L,22R,23,24L,24Rの保持が解除されるので、回路基板11(基板ユニット10)と電線21,22L,22R,23,24L,24R(ワイヤーハーネス20)を装置本体31から外すことができる。
【0053】
上述のように本実施形態の位置決め装置30は、装置本体31と、装置本体31に形成されて回路基板11を移動規制した状態で保持する基板保持手段33と、装置本体31に形成されて、複数本の電線21,22L,22R,23,24L,24Rを移動規制した状態で保持する電線保持手段32とを備えているので、回路基板11と電線21,22L,22R,23,24L,24Rとを確実に位置決めし、電線22L,22R,23,24L,24Rの長さ方向における所定の接続部25を、回路基板11に対して確実に接続させることができる。
【0054】
また、基板保持手段33は、装置本体31の上面を凹ませた形態であって回路基板11を収容可能な基板収容部54と、基板収容部54内の回路基板11の外周縁部に係止することで回路基板11の浮き上がりを規制する係止位置と、回路基板11への係止を解除する退避位置との間で変位可能な可動爪55とを備えている。この構成によれば、可動爪55を係止位置から退避位置へ変位させることによって、基板収容部54に対する回路基板11の着脱作業を容易に行うことができる。
【0055】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、電線用規制部材を相対本体に対して着脱可能としたが、電線用規制部材は、装置本体に回動可能に取り付けられていてもよい。
(2)上記実施形態では、端子係止手段を、保持板とコイルバネとを用いて構成したが、端子係止手段は、装置本体の上面を凹ませて溝幅が変化しない溝部としてもよい。
(3)上記実施形態では、電線突当手段を装置本体に対して着脱可能としたが、電線突当手段は、装置本体に一体形成又は装置本体に固定されていてもよい。
<参考例>
(1)上記実施形態では、基板用規制部材を装置本体に対して回動可能に取り付けたが、基板用規制部材を装置本体に対して着脱可能にすることも考えられる。
(2)上記実施形態では、回路基板を基板収容部内に収容することによって位置決め状態に保持したが、回路基板を、装置本体に突出形成した複数の突部や壁部で囲まれることによって位置決め状態に保持することも考えられる。