(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施例を詳細に説明する。この過程で図面に示された構成要素のサイズや形状などは、説明の明瞭性および便宜性のために誇張して図示されることもある。また、本発明の構成および作用を考慮して特に定義された用語は、ユーザや運用者の意図または慣例によって変わり得る。このような用語に対する定義は本明細書全般にわたっての内容に基づいて下されるべきである。
【0021】
図1は本発明のシミュレーション装置を示すブロック図、
図2は対象物210の流動状態を示す概略図である。
図1に示したシミュレーション装置は、設定部110および追跡部130の少なくとも一つを含むことができる。
【0022】
不要な資源浪費を防止するために、対象物210の塑性加工状態をシミュレーションする必要がある。シミュレーションによれば、圧力などの様々な加工環境を自由に変更させながら対象物210の塑性加工状態を把握することができる。
また、シミュレーション過程で対象物210の流動状態を把握することができる。
対象物210の応力状態が降伏規準に到達すると、材料には塑性変形が発生する。このような塑性変形の発生を塑性流動(plastic flow)という。塑性理論において、塑性変形ベクトルの方向は塑性ポテンシャル関数による流動法則によって定義できる。
【0023】
塑性変形ベクトルの方向は、塑性加工された対象物210の耐久度など製品の特徴を決定するので、塑性加工において非常に重要な要素である。言い換えれば、同一の対象物210を塑性加工して同一形状の製品を生産しても、塑性変形ベクトルの方向が異なると、耐久度などにおいて差異を示す。
【0024】
図2において、(a)には円筒状の対象物210が開示され、(b)には(a)の対象物210が加圧された状態が開示されている。(c)には加圧された状態の対象物210の側部を示す断面が開示され、(d)には(c)の流動線図が開示されている。
【0025】
本明細書に記載された対象物210の流動状態は、対象物210の塑性変形ベクトルの方向を含むことができる。よって、塑性変形ベクトルの方向が延長された(d)の流動線図は対象物210の流動状態を示すことができる。
【0027】
流動状態の把握は流動状態図を生成することである。流動状態図は、対象物210の流動状態を線で表示した流動線図、または対象物210の流動状態を面で表示した流動面図を含むことができる。
【0028】
追跡部130は流動状態図を生成することができる。例えば、追跡部130は、シミュレーションの対象物210に設定された節点を追跡して対象物210の流動状態図を生成することができる。この際、対象物210の節点は設定部110によって設定されたものであってもよい。
【0029】
対象物210に節点が設定されると、各節点で連結される特定のサイズを有する限られた数の要素に、連続体(continuum)たる対象物210を離散化させることができる。
【0030】
設定された加工環境で塑性加工される対象物210の塑性変形を変形部150によってシミュレーションするとき、追跡部130は、各節点の位置変化を変形部150の駆動が完了するまで持続的に監視し、駆動完了時点で各節点を把握することにより、流動状態図を生成することができる。
【0031】
図3は本発明のシミュレーション装置で生成された流動状態図を示す概略図である。
【0032】
図3の(a)には、設定部110によって対象物210に5つの節点iが設定された状態を示す。
図3の(b)は変形部150によって塑性加工が行われている対象物210を示す。変形部150は、
図3の矢印方向に加えられた圧力をシミュレーションして(a)状態の対象物210を(c)状態の対象物210に変形させる。
【0033】
追跡部130は、塑性加工により位置が変更される5つの節点iを
図3の(a)の状態から
図3の(b)を経て
図3の(c)の状態まで追跡した後、塑性加工完了状態で各節点iを表示することができる。
図3の(c)のように表示された節点自体を流動状態図とすることができる。ところが、可読性に劣るので、
図3の(d)のように各節点iを連結する仮想線で流動線図kを形成することができる。この際の流動線図kが対象物210の流動状態図になる。流動線図kは、塑性加工によって
図3の(a)の流動線図jが変形した状態を示すことができる。流動状態図の最終結果物が
図3の(d)の流動線図kであれば、追跡部130が流動線図jを追跡すると判断することもできる。
【0034】
変形部150は、設定部110によって設定された対象物210の節点を用いて対象物210の塑性加工をシミュレーションすることができる。この際のシミュレーションは数値解析技法による各節点の変化を計算したものであって、このような計算は
図3の(a)から(b)の過程まで繰り返し行われる。
【0035】
一方、信頼性のある流動状態図の獲得のために追跡部130で使用される節点は、変形部150で使用される節点とは別個に設けられてもよい。すなわち、一つの対象物210に二重の節点が形成できる。この中でも、設定部110によって生成された節点が追跡部130の追跡対象になれる。変形部150は、追跡部130の追跡対象に該当しない節点を用いて対象物210を変形させることができる。変形部150で使用される節点は、設定部110で設定されてもよく、変形部150で自体的に設定されてもよい。
【0036】
図3では説明の便宜のために節点を簡略化させて示したが、設定部110は非常に多い個数の節点を設定することができる。
【0037】
対象物210で各節点が設定された部位の特性などは各節点に特性情報として含まれることが可能である。塑性加工が行われると、節点が設定された該当部位の特性が変更され、これにより各節点に含まれた特性情報はシミュレーション過程で随時変更できる。また、変形が行われる過程で、初期設定された節点が不適切な場合が頻繁に発生しうる。この場合、対象物210に対する節点が新しく設定できる。このように特性情報の変更や節点の再設定過程が繰り返し行われるので、追跡部130は、初期に選択された流動線図j以外には他の流動線図hを持続的に追跡することが困難である。
【0038】
よって、変形部150によるシミュレーションの際に流動線図jを追跡して流動線図kを獲得した後、流動線図gを獲得しようとする場合、
図3の(a)の流動線図hを追跡するように追跡部130をセットした状態で
図3の(a)から
図3の(d)までの過程をさらに行わなければならない。これによれば、様々な流動線図を得るために多くの時間がかかりうる。
【0039】
また、節点に含まれた特性情報の変更や節点の再設定過程が繰り返し行われる過程で発生する数学的誤りにより、
図3の(d)の流動線図fのように対象物210の外郭線を外れる流動線図が発生することもある。
【0040】
これに対する対策として、特性情報を利用することができる。
【0041】
節点には、対象物210における節点に対応する部位の特性情報が含まれうる。特性情報には、該当節点の座標、該当対象物210の弾性特性、塑性特性、温度などが含まれうる。このような特性情報は、変形部150による塑性加工のシミュレーション過程で随時変更できる。
【0042】
本発明の他のシミュレーション装置を構成する設定部110は、各節点の特性情報に第1時点の該当節点の座標情報である第1座標を固定値として含ませることができる。
【0043】
図4は本発明の他のシミュレーション装置で生成された流動線図を示す概略図、
図5は本発明の他のシミュレーション装置によって設定された節点の情報を示す概略図、
図6は第1座標が生成される第1時点を示す概略図である。
【0047】
第1座標は節点の初期座標であってもよい。これによれば、第1時点は変形部150の駆動前または駆動開始時点である。勿論、第1時点は変形部150の駆動中の一時点であっても構わない。
【0048】
一方、各節点には複数の第1座標が含まれうる。この場合、各第1座標の第1時点は、
図6に示したt
1a、t
1b、t
1c、t
1d、t
1eのように互いに異なる時点であってもよい。
図6の場合、第1時点が合計5つ存在するので、5つの第1座標が各節点に含まれうる。
【0049】
第2時点で追跡部130によって生成される流動状態図は、第2時点以前の第1時点の対象物210が第2時点でどのように変形したかを示すものなので、第1時点が複数設定された場合、例えばt
1aから第2時点までの流動状態図、t
1bから第2時点までの流動状態図、t
1cから第2時点までの流動状態図、t
1dから第2時点までの流動状態図、t
1eから第2時点までの流動状態図などを獲得することができる。
【0050】
設定部110で対象物210に対して複数の節点を設定し、各節点に第1座標を固定値として含ませた場合、第2時点で、追跡部130は複数の節点の中から選択された第1座標を含む選択節点を抽出することができる。追跡部130は、抽出された選択節点を連結させて流動状態図を生成することができる。
【0051】
選択節点は、複数の節点のうち選択値または選択基準とマッチングされる第1座標を含む節点でありうる。選択値または選択基準は任意に設定できる。例えば、選択値が(x
2,y
1,?)であれば、追跡部130は、
図4の第1時点t
1後の第2時点t
2で対象物210に含まれた全ての節点を分析することができる。ここで、「?」は知らない値または全ての値を意味することができる。
【0054】
以上の構成によれば、追跡部130は、変形部150の駆動過程中、言い換えれば、塑性変形過程で各節点を追跡する必要がない。すなわち、追跡部130は、対象物210の変形過程で非駆動され、対象物210の変形完了後に駆動されても構わない。他の観点から、追跡部130が第1時点後の第2時点で駆動されるものと看做すこともできる。また、追跡部130は、第2時点の対象物210に含まれた全ての節点を分析し、選択値または選択条件にマッチングする選択節点を抽出すれば十分である。場合によっては、選択節点を連結する仮想線または仮想面を生成する機能を追跡部130に含ませることもできる。
【0055】
これによれば、追跡部130の構成を簡素化させることができ、追跡部130の負荷を大きく軽減させることができる。さらに、正確な流動状態図を獲得することができる。
また、変形部を再駆動させることなく、変形の完了した対象物の節点を分析することにより、様々な選択値または選択条件(
図8、
図9参照)を満足する多様な流動状態図を獲得することができる。
【0056】
第2時点の対象物210は、変形部150によって必ずしも変形する必要はないが、流動状態図の目的上、変形部150によって変形が行われた以後の対象物210であることが好ましい。
【0057】
以下では、実際に近い図面を参照して本発明のシミュレーション装置を説明する。
【0058】
図7は本発明の他のシミュレーション装置によって設定された節点を示す概略図である。
図8は本発明の他のシミュレーションによって設定された初期流動線図を示す概略図である。
【0059】
図7は塑性加工工程解析目的の初期要素網(以下、解析要素網)を示している。設定部110は、解析要素網を構成する節点iに節点の初期座標(x
i,y
i,z
i-)を含ませる。x座標、y座標およびz座標のいずれか一つの座標値が同じ等高線を描くと、
図8に示すような等高線、すなわち初期の塑性流動線図(流動状態図)を得る。この際、初期の塑性流動線図は前述した選択値または選択条件に該当することができる。
【0060】
2つの座標値が同じ線を描くと、3次元空間上の塑性流動線(仮想線)となり、同一の座標値を持つ面を描くと、すなわち、等高面を描くと、3次元塑性流動面(仮想面)となる。そして、
図9に示すように、任意の断面においても等高線を作成して所望の塑性流動線図を作成することもできる。参考として、r座標、θ座標、z座標(x=rcosθ,y=rsinθ,z=z)を基準として、塑性流動線図を描くこともでき、等高線数の変更は自由自在にすることができる。
【0061】
それだけでなく、初期の平面または曲面上で設定された点を中心とする円または曲線の変形過程も同一の方法で追跡可能である。
【0062】
等高線は、面上の線分を連結する直線および曲線だけでなく、平面上における円のような閉曲線も含む意味で使用できる。
【0063】
以下、等高線は3次元等高線と等高面を含む意味で使用される。
【0064】
一方、以上では、設定部110で設定された節点が選択値または選択条件を満足すると説明したが、実際はこれと異なることもある。
【0067】
図11は本発明の別のシミュレーション装置の動作を示す概略図である。
【0068】
図11には、(a)の元来の対象物210が加圧手段10によって加圧され、(b)のように変形した状態が開示される。
図11の(c)は元来の対象物210に設定された節点の一部を示し、
図11の(d)は(c)の節点が変形によって位置変更された状態を示す。加圧手段10による加圧は変形部150でシミュレーションできる。
【0069】
例えば、変形部150によるシミュレーションが行われた状態で元来の対象物210の目標節点x1、x2、x3がどのように変形したかを知りたい場合を仮定する。以下では、説明の便宜のためにx軸座標を主に説明する。
【0070】
本発明の追跡部130によれば、
図11の(b)のように対象物210に対するシミュレーションが完了した対象物210の節点を分析することにより、x1、x2、x3の変形、すなわち流動状態図を獲得することができる。
【0071】
x1、x2、x3のx軸座標は、
図11の(a)状態で同一の値65を有すると仮定する。
【0072】
各節点に含まれた第1座標は対象物210の変形前に与えられた値であるので、追跡部130は対象物210に設定された節点の第1座標を分析し、第1座標のx軸座標が65である節点を検索することができる。検索結果、第1座標のx軸座標が65である節点が検索されると、該当節点を選択節点にして前述のように流動状態図を生成することができる。
【0073】
ところが、検索結果、第1座標のx軸座標が65である節点が検索されないこともある。
【0074】
この場合、追跡部130は、複数の節点のうち、第1時点の目標節点x1、x2、x3を導出することが可能な第1座標が設けられた節点を選択節点として抽出することができる。
【0075】
例えば、
図11において、ユーザが選択値または選択条件として目標節点x1、x2、x3を選択し、対象物210に該当目標節点を満足する節点が存在しない場合、追跡部130は、目標節点を導出することが可能な節点P1、P2、P3、P4を選択節点として抽出することができる。
【0076】
この際の選択節点を用いて目標節点を導出する方案は様々である。
【0077】
一例として、選択節点P1、P2、P3、P4の座標が下記表1のとおりである場合を仮定する。P1−state(a)−2ndの座標が60、30と表記されているが、30はy軸座標であり、説明の便宜のためにy軸座標は排除して説明する。
【0079】
state(a)は、
図11の(a)の状態へ変形する前の状態である。この際、各選択節点の第1座標と第2座標は同一でありうる。
【0080】
state(b)は、
図11の(b)の状態へ変形した後の状態である。この際、各選択節点の第2座標は、現在座標に該当するので、その値が変わる。ところが、第1座標は、固定値であるので、state(a)と同一の値を維持する。
【0081】
この状態で、追跡部130は、state(b)の第1座標、第2座標のみで流動状態図を生成することができる。
【0082】
ユーザが選択値として選択した目標節点x1、x2、x3は、変形前の対象物を対象として設定されたものである。よって、目標節点x1、x2、x3は変形前の座標を用いて導出されるべきであるが、state(b)の節点の第1座標が変形前の座標として利用できる。
【0083】
追跡部130は、目標節点x1を横切る仮想の直線L1上に第1座標が位置する2つの節点P1、P4を選択節点として抽出することができる。また、目標節点x2を横切る仮想の直線L2上に第1座標が位置する2つの節点を選択節点として抽出することができる。この際、2つの節点のうちいずれか一方は、前記P1およびP4のいずれか一方であっても構わない。よって、目標節点x2に対してP1、P3を選択節点として抽出することができる。また、目標節点x3を横切る仮想の直線L3上に第1座標が位置する2つの節点P2、P3を選択節点として抽出することができる。
【0084】
結果として、追跡部130は、目標節点x1、x2、x3の導出のために選択節点P1、P2、P3、P4を抽出することができる。
【0086】
その後、追跡部130は、選択節点P1、P2、P3、P4の第2座標を用いて、第2時点で位置の変化した目標節点x1、x2、x3を獲得することができる。
第2時点は変形が完了した時点であるので、対象物210変形後の目標節点x1、x2、x3の座標はstate(b)の節点の第2座標から獲得できる。
例えば、state(a)からstate(b)への変形の際にx1座標の変化量をwとするとき、state(b)のx1座標はstate(a)のx1座標に変化量wを加算することにより獲得できる。
【0087】
変化量wは、各選択節点の第2座標と前述で算出された0.25、0.5、0.75から算出できる。このように算出されたstate(b)の目標節点の座標を表2に示す。
【0089】
追跡部130は、このように導出されたstate(b)の目標節点x1、x2、x3を線で連結することにより、流動線図を生成することができる。
【0090】
図11の実施例をまとめると、本発明のシミュレーション装置で流動状態図の生成に用いられる選択節点は、選択値の導出が可能な第1座標を含むことができる。この際、シミュレーション装置は、選択値を連結する仮想線または仮想面で流動状態図を形成することができる。
【0091】
図12は本発明のシミュレーション方法を示す流れ図である。
まず、シミュレーション対象物210に複数の節点を設定し、各節点の座標情報を各節点に固定値として含ませる(S510)。設定部110で行われる動作により、設定部110は、変形部150で使用される節点とは別個に、追跡部130で使用される節点を設定することができる。この際、設定部110で設定された節点には、第1時点での節点の座標情報が固定値として含まれ得る。
【0092】
選択値または選択条件の入力の際に各節点を分析して選択値または選択条件にマッチングされる座標情報を有する選択節点を抽出することができる(S520)。
図11の実施例のように選択値または選択条件の導出が可能な座標情報が設けられた節点を選択節点として抽出することもできる。追跡部130で行われる動作により、選択節点を用いて流動状態図を生成することができる。
【0093】
一例として、選択節点または選択値を連結する仮想線または仮想面で塑性流動線図または塑性流動面図を生成することができる(S530)。
【0094】
節点の初期座標の初期値をそのまま維持した状態で各座標を有効変形率のような状態変数として取り扱って数値解析に適用させると、要素網の再構成(節点の再設定)に関係なく塑性流動線図の追跡が可能である。勿論、節点の初期座標が一定であるため、要素網の再構成が実施されていない解析ステップで節点の初期座標の変更および計算は不要である。
【0095】
ところが、要素網の再構成が実施された解析ステップでは、新しい節点に対する節点初期座標の写像(mapping)が必要である。この作業は、有効変形率のような状態変数の写像と同一であるので、計算時間の無視が可能であり、計算の効率性の観点から有利である。ユーザが別途の入力作業を行わなくてもよく、最終的に任意の面で塑性流動線図を自由に見ることができるので、ユーザの便利性および一般性も保障される。それだけでなく、2D/3D連携解析の際にも複雑な関連情報の入力が不要である。
【0096】
上述した技法は、解析要素網または塑性流動線追跡のための要素網(以下、塑性流動線要素網)それぞれに独立して使用できる。すなわち、補間による流動状態図生成技法は、解析要素網で計算されてもよく、塑性流動線要素網で計算されてもよい。
【0097】
一方、解析要素網と塑性流動線要素網を同時に利用する場合、解析要素網と塑性流動線要素網を分離して使用するが(すなわち、2つの要素網を使用するが)、2つの要素網の間には相互補完的機能を持つようにすることができる。解析過程において、シミュレーション装置は、解析要素網の節点での初期座標と塑性流動線要素網での初期位置座標を共に保存することができる。追跡部130は、解析要素網の初期座標または塑性流動線要素網の初期位置座標を保存する。
【0098】
解析要素網または塑性流動線要素網は、解析ステップごとに或いは必要時ごとに改善できる。解析要素網に対する初期位置座標は、解析結果の保存時にのみ最新の塑性流動線要素網から求めて保存できる。これとは逆に、塑性流動線要素網に対する初期位置座標は、解析要素網から求めて保存されても構わない。
【0099】
解析要素網または塑性流動線要素網の再構成(re−m
esh)を含む改善作業は、要素番号または局部座標値を活用してその計算負荷を大きく減らすことができる。すなわち、計算時間を最小化させるために、解析要素網または塑性流動線要素網の追跡は、解析結果の保存または出力直前と要素網の再構成の前後に実施できる。
【0100】
もし追跡中に解析要素網または塑性流動線要素網の品質が一定の水準以下になると、この解析要素網または塑性流動線要素網の再構成が要求されることもある。この場合には、解析要素網または塑性流動線要素網を再構成するが、新しい要素網での節点初期座標値が旧要素網の情報から計算できる。
【0101】
具体的に、要素網の再構成によって新しく作成された現在の解析要素網または塑性流動線要素網には、旧要素網とは異なる節点が新しく設定できる。この際、新しく設定された現在の節点の初期座標値は知らない状態でありうる。
【0102】
図13は再構成された要素網の初期座標値の設定を説明する概念図である。
【0103】
以下、説明の便宜のために、要素網とは、解析要素網および塑性流動線要素網の少なくとも一つを含む。
【0104】
旧要素網(old)に節点1、2、3、4が定義された状態で要素網の再構成が行われうる。これにより、現在の要素網(new)に新しい節点5、6、7、8が定義できる。ところが、節点1、2、3、4の場合、初期座標値が与えられた状態であるが、これに対し、新しい節点5、6、7、8にはold時点での初期座標値が与えられていない状態であってもよい。
【0105】
現在要素網(new)の節点5、6、7、8で定義される初期座標値を求めるために、追跡部は、該当節点5、6、7、8が旧要素網(old)の何番目の要素に属するかを把握することができる。すなわち、要素番号を把握することができる。
【0106】
一例として、追跡部は、節点5を旧要素網(old)にマッピングさせることにより、節点1、2、3、4からなる四角形要素に節点5がマッピングされることを把握することができる。この際、1、2、3、4が形成する四角形要素には、設定部または追跡部によって何番目の要素に属するかに関する要素番号が与えられることがある。これによれば、一例として、節点5は要素番号1に該当する第1番目の要素に属するものと定義できる。
【0107】
このように現在の該当節点5が第1番目の要素に該当すると把握した後、局部座標を用いて旧要素網状態での節点5の座標、すなわち、節点5の初期座標を把握することができる。局部座標は、該当要素番号内で定義される座標系で算出された該当節点の位置座標を意味することができる。
【0108】
一例として、
図13を参照すると、第1番目の要素で節点3を基準としてx軸方向へx1だけ、y軸方向へy1だけ離隔した局部位置が節点5の初期位置として定義できる。
もし、節点3の初期座標が(x3,y3)である場合、節点5の初期座標は(x3+x1,y3+y1)になる。
【0109】
要するに、追跡部は、何番目の要素に該当するかに関する要素番号とその要素での局部座標を計算して、節点5の節点に既に与えられている初期座標値を補間して計算することができる。
【0110】
一方、要素網の再構成の際に数値的平滑化(numerical smoothing)が発生しうる。かかる問題を解決するために、前述した基本接近方法をそのまま使用しながら追加的に次の方法を使用することができる。
【0111】
すなわち、初期座標値の数値的平滑化が発生して結果の正確度を大きく毀損するおそれがあるので、塑性流動線図(鍛流線、metal flow line)の曲率を考慮して要素密度を与えることができる。
【0112】
前述した順方向の初期座標値追跡方法とは異なり、解析結果から獲得され、現在の座標のみ記録されている節点または流動状態図目的の要素網における節点の初期座標値を逆追跡して初期の座標値を予測し、同一の方法で現在の流動状態図を生成することができる。
【0113】
逆方向の場合、解析終了後の予測された解析要素網または塑性流動線要素網の節点に初期位置を与えることができる。
【0114】
最終的に、塑性流動線は、解析要素網の節点に保存された初期節点値情報を用いて様々な方式で可視化できる。
【0115】
図10は流動状態図を示す概略図である。
【0116】
図示の如く、全体の表面において塑性流動線図を可視化することができるうえ、断面においても塑性流動線図の追跡が可能である。この方法によって、既存の方法が抱えていた不正確性、非効率的計算時間、一般性の欠如などの問題を同時に解決することができる。そして、既存の節点追跡技法などでは等高線が素材領域の外側に位置する場合が発生するが、新技法ではこのような欠陥的要素が全くない。
【0117】
以上、本発明に係る実施例が説明されたが、これは例示的なものに過ぎない。当該分野における通常の知識を有する者であれば、これらの実施例から多様な変形および均等な範囲の実施が可能であることを理解するであろう。よって、本発明の真正な技術的保護範囲は特許請求の範囲によって定められるべきである。