(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、首や肩、背中が張る、凝る、痛む、時には頭痛や吐き気が伴う「肩こり」を訴える人間が増加している。厚生労働省の平成22年国民生活基盤調査によれば、肩こりは男性で有訴率が第2位、女性では第1位となっている。増加の要因にはスマートフォンの急速な普及や職場などでのパソコン作業の増加による猫背や前かがみなどの姿勢不良、運動不足、首や肩が緊張する姿勢での作業、連続して同じ姿勢をとり続けるなどの他に、冷房や精神的なストレスが考えられる。
【0003】
上記のような「肩こり」の姿勢にあるとき、背部にある肩甲骨は適正な位置から上方及び外方にずれている場合が多い。肩甲骨は人体の背面に左右で2枚ある掌大の薄い骨である。肩甲骨は肋骨の背面に宙に浮いた状態にある為、肩甲骨の上下、左右、表面、裏面に付着した多数の筋肉が肩甲骨を支えている。肩甲骨に付着する筋肉は腕や肩を動かすのに使われるだけでなく、肋骨に繋がって呼吸を助ける、頭を支える、首を動かすなど、体の様々な動きに関わっている。肩甲骨は肩甲骨につながる筋肉の緊張や弛緩などによる筋バランスの変化によって、その位置を容易に変化させている。腕を伸ばす、頭を傾けただけでも肩甲骨の位置は変化しているのである。
【0004】
肩甲骨はどの骨とも密着せず肋骨の背面にあり宙に浮いた状態にある為、体を動かしていない状態でも、肩甲骨の位置は肩甲骨に付着する筋肉群の緊張状態に左右される。姿勢が悪い状態では肩甲骨周囲の筋肉群が過度な緊張や必要以上に弛緩した状態になるので、筋肉同士のバランスが崩れて、肩甲骨は適正な位置からずれてしまうのである。特に肩こりと言われる状態では、肩甲骨は適正な位置から上方・外方にずれ、上方回旋(肩甲骨上部が脊柱に寄り、下部が脊柱から離れるように回転した状態)している場合が多い。
【0005】
日本整形外科学会は「肩こり」に関係する筋肉として僧帽筋、肩甲挙筋、大・小菱形筋、棘上筋、頭半刺筋、頭・頸板状筋を挙げている。特に僧帽筋と肩甲挙筋は肩こり筋とも呼ばれ、この筋肉の緊張が肩こりの原因になる事が多い。肩こり状態のときの肩甲骨は僧帽筋と肩甲挙筋の緊張によって上方に引き上げられ、菱形筋の弛緩によって外方にずれて上方回旋の状態になっているのである。
【0006】
肩こりの改善方法としてマッサージ療法、温熱療法、運動療法、安静・薬物療法、鍼灸などの代替医療などがある。こうした改善方法によって肩甲骨周囲の筋肉群の筋緊張が緩和されて肩甲骨が適正な位置に戻ると、猫背や前かがみなどの肩こり姿勢が改善し肩こりの諸症状が改善する。上記の肩こり改善方法は整形外科、リハビリテーション、整骨院、鍼灸院、あんま・マッサージ師などの国家資格保有者による施術の他に、スポーツクラブ、トレーナー、整体などの各種民間施設でも行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、医療、民間のどの分野においても、治療効果を肩甲骨の位置測定を行って提示するという考えがないのが現状である。整形外科においても肩こりの診断は触診での僧帽筋の圧痛や筋緊張の有無の確認、肩関節可動域のチェック、頸椎疾患のチェックが一般的である。ゆえに肩甲骨の状態改善を客観的な数値で提示することが望まれている。
【0008】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであり、肩甲骨の位置異常によっておこる肩こりや姿勢不良に対する治療効果を客観的な数値で測定する肩甲骨位置測定器具および肩甲骨位置測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、高さ方向に延びる態様の本体部と、前記本体部の少なくとも右方向または左方向に延びる態様で設けられるバー部と、前記本体部が被験者の脊柱に沿って配置されるとともに、前記バー部が当該バー部に対応する右または左の肩甲骨の2つの所定箇所のそれぞれの高さ位置に合うように前記本体部において変位され、前記バー部に対する前記所定箇所の位置が計測されることにより、前記所定箇所の水平方向のX軸上での位置が測定されるとともに、前記本体部に対する前記バー部の位置が計測されることにより、前記所定箇所の高さ方向のY軸上での位置が測定され、前記所定箇所のX軸・Y軸上での位置変化が前記2つの所定箇所のそれぞれについて測定されることによって、前記肩甲骨の水平方向および高さ方向の位置変化が測定されることを特徴とする。
又、本発明は、高さ方向に延びる態様の本体部と、前記本体部の右方向に延びる態様で設けられる右側バー部と、前記本体部の左方向に延びる態様で設けられる左側バー部と、前記本体部が被験者の脊柱に沿って配置されるとともに、前記右側バー部が右肩甲骨の2つの所定箇所のそれぞれの高さ位置に合うように前記本体部において変位され、前記左側バー部が左肩甲骨の2つの所定箇所の高さ位置に合うように前記本体部において変位され、前記右側バー部に対する前記右肩甲骨の所定箇所の位置が計測されることにより、前記右肩甲骨の所定箇所の水平方向のX軸上での位置が測定されるとともに、前記本体部に対する前記右側バー部の位置が計測されることにより、前記右肩甲骨の所定箇所の高さ方向のY軸上での位置が測定され、前記左側バー部に対する前記左肩甲骨の所定箇所の位置が計測されることにより、前記左肩甲骨の所定箇所の水平方向のX軸上での位置が測定されるとともに、前記本体部に対する前記左側バー部の位置が計測されることにより、前記左肩甲骨の所定箇所の高さ方向のY軸上での位置が測定され、前記右肩甲骨および前記左肩甲骨の所定箇所のX軸・Y軸上での位置変化が前記2つの所定箇所のそれぞれについて測定されることによって、前記右肩甲骨および前記左肩甲骨の水平方向および高さ方向の位置変化が測定されることを特徴とする。
これによれば、右肩甲骨または左肩甲骨の水平方向の位置と高さ方向の位置を簡単かつ確実に測定することができる。
また、本発明は、前記バー部に、水平方向に摺動されることにより測定位置を指示するバー部用指示部材が設けられる。
【0010】
前記本体部に高さ方向の目盛りが設けられるとともに、前記バー部に右方向または左方向の目盛りが設けられ、前記バー部に対する右肩甲骨または左肩甲骨の所定箇所の位置が該バー部の目盛りで計測されることにより、右肩甲骨または左肩甲骨の水平方向の位置が測定されるとともに、前記本体部に対する前記バー部の位置が該本体部の目盛りで計測されることにより、右肩甲骨または左肩甲骨の高さ方向の位置が測定されてもよい。これによれば、簡易な構成にして、右肩甲骨または左肩甲骨の水平方向の位置と高さ方向の位置とを客観的な数値で簡単に測定することができる。
【0011】
前記本体部または前記バー部に位置測定手段が設けられ、前記バー部に対する右または左の肩甲骨の所定箇所の位置が前記位置測定手段で計測されることにより、前記肩甲骨の所定箇所の水平方向のX軸上での位置が測定されるとともに、前記本体部に対する前記バー部の位置が前記位置測定手段で計測されることにより、前記肩甲骨の所定箇所の高さ方向のY軸上での位置が測定されてもよい。なお、この位置測定手段とは、レーザや超音波などを利用して距離を計測するものなど、電気的、光学的または超音波的な方法により位置を測定するものである。これによれば、電気的、光学的または超音波方法により、右肩甲骨または左肩甲骨の水平方向の位置と高さ方向の位置を客観的な数値で精度良く測定することができる。
【0012】
前記位置測定手段により測定された測定値または当該測定値に基づいて測定された前記肩甲骨の水平方向および高さ方向の位置を表示する測定値表示部が設けられてもよい。これによれば、ユーザは、位置測定手段の測定値表示部を確認することにより、右肩甲骨または左肩甲骨の水平方向の位置と高さ方向の位置を容易に把握することができる。
【0013】
また、前記バー部は、前記本体部の高さ方向に摺動可能に設けられるのが好ましい。これによれば、バー部を本体部の高さ方向に摺動させて右肩甲骨および/または左肩甲骨の所定箇所の高さ位置に合うように変位させることができる。
【0014】
また、前記バー部は、前記本体部または前記バー部に設けられた高さ方向に延びる凸条が、前記バー部または前記本体部に設けられた高さ方向に延びる溝と嵌合されることによって、前記本体部の高さ方向に摺動可能に設けられたのが好ましい。これによれば、簡素な構成でバー部を本体部の高さ方向に摺動させて右肩甲骨および/または左肩甲骨の所定箇所の高さ位置に合うように変位させることができる。
【0015】
また、前記本体部は、前記バー部が摺動する際に前記バー部を係止することにより、前記バー部が脱落することを防止する脱落防止部が前記本体部に設けられるのが好ましい。これによれば、バー部が摺動する際に本体部の端部から脱落することを防止することができる。
【0016】
また、前記バー部は、前記本体部に脱着可能に設けられるのが好ましい。これによれば、肩甲骨位置測定器具は、各構成部品に分解でき、コンパクトに収納することや携帯することが可能となる。
【0017】
また、前記バー部は、前記本体部に磁力により脱着可能に設けられるのが好ましい。これによれば、バー部を本体部から容易に脱着することができ、肩甲骨位置測定器具を容易に組み立ておよび分解することが可能となる。
【0018】
前記バー部は、右方向または左方向に摺動するバー部用指示部材が設けられ、該バー部用指示部材が右肩甲骨または左肩甲骨の所定箇所に変位され、前記バー部に対する前記バー部用指示部材の位置が計測されることにより、右肩甲骨または左肩甲骨の水平方向の位置が測定されてもよい。これによれば、右肩甲骨および/または左肩甲骨の水平方向の位置を正確に測定することができる。
【0019】
また、 前記本体部は、高さ方向に摺動する本体部用指示部材が設けられ、該本体部用指示部材が前記バー部の位置に変位され、前記本体部に対する前記本体部用指示部材の位置が計測されることにより、右肩甲骨または左肩甲骨の高さ方向の位置が測定されてもよい。これによれば、右肩甲骨および/または左肩甲骨の高さ方向の位置を正確に測定することができる。
【0020】
また、前記本体部は、厚み方向に撓む可撓性部材からなるものであってもよい。これによれば、被験者が交通事故などで背中が曲がった者であっても、本体部を撓ませて脊柱に沿わせることができる。このため、被験者が背中が曲がった者であっても、肩甲骨の所定箇所の位置を正確に測定することができる。
【0021】
また、本発明に係る肩甲骨位置測定方法は、高さ方向に延びる態様の本体部と、前記本体部の右方向または左方向に延びる態様で設けられるバー部とを備える肩甲骨位置測定器具を用いた肩甲骨
位置測定方法であって、前記肩甲骨
位置測定器具の本体部を被験者の脊柱に沿って配置するとともに、前記バー部を当該バー部に対応する右または左の肩甲骨の2つの所定箇所のそれぞれの高さ位置に合うように前記本体部において変位させ、前記バー部に対する前記所定箇所の位置を計測することにより、前記所定箇所の水平方向のX軸上での位置を測定するとともに、前記本体部に対する前記バー部の位置を計測することにより、前記所定箇所の高さ方向のY軸上での位置を測定し、前記所定箇所のX軸・Y軸上での位置変化を前記2つの所定箇所のそれぞれについて測定することによって、前記肩甲骨の水平方向および高さ方向の位置変化を測定することを特徴とする。
また、本発明に係る肩甲骨位置測定方法は、高さ方向に延びる態様の本体部と、前記本体部の右方向に延びる態様で設けられる右側バー部と、前記本体部の左方向に延びる態様で設けられる左側バー部とを備える肩甲骨位置測定器具を用いた肩甲骨位置測定方法であって、前記肩甲骨位置測定器具の本体部を被験者の脊柱に沿って配置するとともに、前記右側バー部を右肩甲骨の2つの所定箇所のそれぞれの高さ位置に合うように前記本体部において変位させ、前記左側バー部を左肩甲骨の2つの所定箇所の高さ位置に合うように前記本体部において変位させ、前記右側バー部に対する前記右肩甲骨の所定箇所の位置を計測することにより、前記右肩甲骨の所定箇所の水平方向のX軸上での位置を測定するとともに、前記本体部に対する前記右側バー部の位置を計測することにより、前記右肩甲骨の所定箇所の高さ方向のY軸上での位置を測定し、前記左側バー部に対する前記左肩甲骨の所定箇所の位置を計測することにより、前記左肩甲骨の所定箇所の水平方向のX軸上での位置を測定するとともに、前記本体部に対する前記左側バー部の位置を計測することにより、前記左肩甲骨の所定箇所の高さ方向のY軸上での位置を測定し、前記右肩甲骨および前記左肩甲骨の所定箇所のX軸・Y軸上での位置変化を前記2つの所定箇所のそれぞれについて測定することによって、前記右肩甲骨および前記左肩甲骨の水平方向および高さ方向の位置変化を測定することを特徴とする。
【0022】
これによれば、右肩甲骨または左肩甲骨の所定箇所の水平方向の位置と高さ方向の位置とを簡単かつ確実に測定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、肩甲骨の水平方向、高さ方向の位置変化を測定でき、肩甲骨の周囲筋の緊張および/または弛緩状態を客観的な数値で提示する事が可能になる。これによって肩甲骨周囲筋への現在の主観的な感覚でしかない治療効果が客観的な数値によって現されることになり、具体的な治療効果を患者や顧客に提示する事が可能になる。
【0024】
また、本発明は、各部品に分解でき、コンパクトに収納することや携帯することが可能となる。
【0025】
また、肩甲骨の位置変化を測定する肩甲骨位置測定器具は治療分野だけでなく、例えばスポーツ、エステなどの他分野への積極的な応用も可能である。肩甲骨の可動域の増加および/または減少を測定することは、スポーツにおいてはパフォーマンスの低下、美容分野においては若く見える姿勢などの客観的な測定に応用できる。その応用範囲は推測するだけでも広大な裾野を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1の実施形態>
次に、本発明に係る肩甲骨位置測定器具の第1の実施形態について
図1〜
図3を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、人の体に対して水平方向をX軸とし、高さ方向(鉛直方向)をY軸とする。
【0028】
肩甲骨位置測定器具1は、
図1に示すように、高さ方向の目盛り11a、11bを有する本体部10と、本体部10の右側に設けられ、水平方向の第一の目盛り21a、21bを有する右側バー部20と、本体部10の左側に設けられ、水平方向の第二の目盛り31a、31bを有する左側バー部30とを備える。
【0029】
本体部10は、高さ方向に延びた矩形の柱状部材である。本体部10は、右側面部12および左側面部13に本体部10の高さ方向(本体部10の長さ方向)に延びる溝14が設けられている。この溝14は、本体部10の上部から下部に亘って一定の幅、一定の深さで直線的に設けられている。本体部10は、正面15の右側に高さ方向の目盛り11aが設けられ、正面15の左側に高さ方向の目盛り11bが設けられている。この目盛り11a、11bは、長さが一般人の肩甲骨の高さ方向の長さより長く設けられている。具体的には、目盛り11a、11bは、長さが20cm〜50cm程度に設けられている。
【0030】
右側バー部20は、本体部10の右方向に水平に延びる態様で設けられた矩形の柱状部材である。右側バー部20は、左端部22が本体部10の溝14に嵌合して高さ方向に摺動可能な大きさ・形状に設けられている。また、右側バー部20は、正面23の上側に水平方向の目盛り21aが設けられ、正面23の下側に水平方向の目盛り21bが設けられている。この目盛り21a、21bは、長さが一般人の脊柱Bから肩甲骨K1の所定箇所(上角、下角)までの長さより長く設けられている。具体的には、目盛り21a、21bは、長さが20cm〜50cm程度に設けられている。また、右側バー部20は、長さが一般人の背幅(左右の腕の付け根の間の幅)の半分までの長さより長く設けられている。具体的には、右側バー部20は、長さが30cm〜60cm程度に設けられている。
【0031】
また、右側バー部20は、
図2に示すように、左端部22が溝14に嵌合して上方向に摺動され、右側バー部20の上面25が右肩甲骨K1の上角の高さ位置に合うように変位される。そして、右肩甲骨K1の上角の位置が目盛り21aで計測されることにより右肩甲骨K1の上角のX軸上での位置が測定され、右側バー部20の高さ方向の位置が本体部10の目盛り11aで計測されることにより右肩甲骨K1の上角のY軸上での位置が測定される。
【0032】
また、右側バー部20は、左端部22が溝14に嵌合して下方向に摺動され、右側バー部20の底面24が右肩甲骨K1の下角の高さ位置に合うように変位される。そして、右肩甲骨K1の下角の位置が目盛り21bで計測されることにより右肩甲骨K1の下角のX軸上での位置が測定され、右側バー部20の高さ方向の位置が本体部10の目盛り11aで計測されることにより右肩甲骨K1の下角のY軸上での位置が測定される。
【0033】
一方、左側バー部30は、本体部10の左方向に水平に延びる態様で設けられた矩形の柱状部材である。左側バー部30は、右端部32が本体部10の溝14に嵌合して高さ方向に摺動可能な大きさ・形状に設けられている。左側バー部30は、正面33の上側に水平方向の目盛り31aが設けられ、正面33の下側に水平方向の目盛り31bが設けられている。この目盛り31a、31bは、長さが一般人の脊柱Bから肩甲骨K2の所定箇所(上角、下角)までの長さより長く設けられている。具体的には、目盛り31a、31bは、長さが20cm〜50cm程度程度に設けられている。また、左側バー部30は、長さが一般人の背幅(左右の腕の付け根の間の幅)の半分までの長さより長く設けられている。具体的には、左側バー部30は、30cm〜60cm程度に設けられている。
【0034】
左側バー部30は、
図2に示すように、右端部32が溝14に嵌合して上方向に摺動され、左側バー部30の上面35が左肩甲骨K2の上角の高さ位置に合うように変位される。そして、上角の位置が目盛り31aで計測されることにより左肩甲骨K2の上角のX軸上での位置が測定され、左側バー部30の高さ方向の位置が本体部10の目盛り11bで計測されることにより左肩甲骨K2の上角のY軸上での位置が測定される。
【0035】
同様に、左側バー部30は、右端部32が溝14に嵌合して下方向に摺動され、左側バー部30の底面34が左肩甲骨K2の下角の高さ位置に合うように変位される。そして、下角の位置が目盛り31bで計測されることにより左肩甲骨K2の下角のX軸上での位置が測定され、 左側バー部30の高さ方向の位置が本体部10の目盛り11bで計測されることにより左肩甲骨K2の下角のY軸上での位置が測定される。
【0036】
次に、肩甲骨位置測定器具1の使用方法について説明する。
【0037】
まず、ユーザは、
図3に示すように、本体部10の背面16を被験者の背中に当接させて本体部10を脊柱Bに沿って配置する。このとき、本体部10の上端部を所定箇所(例えば、脊柱Bの椎C7〜T7,8と呼ばれる部分)に合わせるなど、各測定とも本体部を脊柱Bに沿って同じ所定箇所に配置するのが好ましい。
【0038】
次に、ユーザは、右側バー部20を右肩甲骨K1の上角の高さ方向の位置へ変位させる。具体的には、右側バー部20を左端部22が溝14に嵌合した態様で上方向に摺動し、右側バー部20の上面25が右肩甲骨K1の上角の高さ位置に合うように変位させる。そして、上角の位置を目盛り21aで計測することにより右肩甲骨K1の上角のX軸上での位置を測定し、右側バー部20の高さ方向の位置を本体部10の目盛り11aで計測することにより右肩甲骨K1の上角のY軸上での位置を測定する。
【0039】
同様に、ユーザは、右側バー部20を右肩甲骨K1の下角の高さ方向の位置へ変位させる。具体的には、右側バー部20を、左端部22が溝14に嵌合した態様で下方向に摺動し、右側バー部20の底面24が右肩甲骨K1の下角の高さ位置に合うように変位させる。そして、下角の位置が目盛り21bで計測することにより右肩甲骨K1の下角のX軸上での位置を測定し、右側バー部20の高さ方向の位置を本体部10の目盛り11aで計測することにより右肩甲骨K1の下角のY軸上での位置を測定する。
【0040】
次に、ユーザは、左側バー部30を左肩甲骨K2の上角の高さ方向の位置へ変位させる。具体的には、左側バー部30を右端部32が溝14に嵌合した態様で上方向に摺動し、左側バー部30の上面35が左肩甲骨K2の上角の高さ位置に合うように変位させる。そして、上角の位置を目盛り31aで計測することにより左肩甲骨K2の上角のX軸上での位置を測定し、左側バー部30の高さ方向の位置を本体部10の目盛り11bで計測することにより左肩甲骨K2の上角のY軸上での位置を測定する。
【0041】
同様に、ユーザは、左側バー部30を左肩甲骨K2の下角の高さ方向の位置へ変位させる。具体的には、左側バー部30を、左端部32が溝14に嵌合した態様で下方向に摺動し、左側バー部30の底面34が左肩甲骨K2の下角の高さ位置に合うように変位させる。そして、下角の位置を目盛り31bで計測することにより左肩甲骨K2の下角のX軸上での位置を測定し、左側バー部30の高さ方向の位置を本体部10の目盛り11bで計測することにより左肩甲骨K2の下角のY軸上での位置を測定する。
【0042】
而して、脊柱BをY軸、脊柱に垂直なラインにX軸を置いて左右肩甲骨K1、K2の位置を測定することができる。測定地点は肩甲骨K1、K2の内側にある上角(肩甲骨内側上部の角)と、同じく肩甲骨内側下部にある下角(肩甲骨の下の角)を設定している。測定地点は肩甲骨K1、K2の他の場所(例えば、肩甲棘)を用いても問題はないが、上角と下角は触診しやすいだけでなく、測定に関わる筋肉の停止部でもあるので、これらを選んだ。
【0043】
肩甲骨K1、K2の内側の角である左右の上角または下角の脊柱Bからの水平方向の位置変化をX軸、左右肩甲骨K1、K2上角または下角の脊柱Bからの高さ方向の位置変化をY軸で測定する。これによって左右肩甲骨K1、K2のX軸、Y軸での変化が測定可能になる。またX軸、Y軸での肩甲骨K1、K2の回旋状態も確認が可能になる。
【0044】
X軸での変化を測定する理由は、背中が丸く前かがみの時に肩甲骨K1、K2が脊柱Bから離れて外方に広がるからである(肩甲骨の外転)。このとき肩こりに関わる大・小菱形筋は引き延ばされて肩甲骨K1、K2の脊柱Bからの距離が広くなっている。大・小菱形筋は肩甲骨K1、K2を脊柱Bに引き寄せる内転筋である。また肩こり筋である僧帽筋と逆の働きの肩甲骨K1、K2の下方回旋(下角を内側に近づけるように肩甲骨を回転させる動き)も行っているので、僧帽筋が緊張しているときは大・小菱形筋は弛緩し易い。小菱形筋は頸椎C6〜C7(頸椎C7?胸椎T1)の棘突起から始まり、肩甲骨内側縁上部で終わる。大菱形筋は胸椎T1〜T4の棘突起から始まり、肩甲骨内側縁下部で終わる。大・小菱形筋は、タンスの引き出しを手前に引く時などに使われており、大・小菱形筋が弛緩状態なら肩甲骨はかろうじて手が届く位置まで手を伸ばした時のように脊柱Bから離れ、外転位に位置している事になる。よって肩甲骨K1、K2の上角・下角のX軸上での位置変化は、大・小菱形筋、僧帽筋、肩甲挙筋の緊張および/または弛緩状態と肩甲骨K1、K2の内方(内転)および/または外方(外転)の変位を現している。
【0045】
Y軸での変化を測定する理由は、肩があがった(首をすくめている)状態や頭が前に落ちている状態のときに、肩甲骨上角が脊椎上を上昇しているからである。
【0046】
このとき肩こりに関わる肩甲挙筋は、緊張状態にあり肩甲骨上角を引き上げて、肩甲骨K1、K2の脊柱B上の位置を上方に変化させている。肩甲挙筋は、僧帽筋と共に作用し肩甲骨を引き上げる作用(肩甲骨挙上)があるので、肩甲挙筋が緊張状態なら僧帽筋も同様に緊張している場合が多い。肩甲挙筋は、頸椎C1〜C4の棘突起の後結節から始まり、肩甲骨上角・内側縁上部で終わっている。肩甲挙筋は僧帽筋と共に物を持ち上げる時に肩をすくめるのに働いている。肩甲挙筋が緊張状態なら、肩甲骨K1、K2は肩をすくめた時のように引き上げられて脊柱B上を上方に移動する事になる。よって肩甲骨K1、K2の上角のY軸上での位置変化は、肩甲挙筋(及び僧帽筋上部)の緊張および/または弛緩状態と肩甲骨K1、K2の上方(挙上)および/または下方(下制)の変位を現している。
【0047】
さらに肩甲骨K1,K2の上角と下角のX軸・Y軸上での位置変化を測定することによって肩甲骨K1、K2の回旋状態の測定も可能になる。また肩甲骨K1、K2のX軸・Y軸上の変化を測定することは、上記の大・小菱形筋、僧帽筋、肩甲挙筋だけでなく、その協力筋や拮抗筋(逆の働きをする筋肉)の状態を推測する事を可能にする。肩甲骨K1、K2の上角・下角の変化を測定することで、肩甲骨K1、K2の位置を動かしている筋肉群全体の緊張および/または弛緩状態も分かるのである。
【0048】
以上のように、肩甲骨K1、K2の上角の位置と下角の位置を結んだ直線の延長線上とY軸の交点を求めることにより肩甲骨の位置を角度θで求めることが可能になるなど、肩甲骨K1、K2の周囲筋の緊張および/または弛緩状態を客観的な数値で計測することができ、これによって肩甲骨K1、K2の周囲筋への治療効果が客観的な数値によって現されることになり、具体的な治療効果を患者や顧客に提示する事が可能になるだけでなく、健康維持、運動、リハビリなどのコンピュータ・プログラムへの応用が可能になる。
【0049】
このような、肩甲骨位置測定器具1は、右側バー部20と左側バー部30が互いに独立して変位することができる。このため、右側バー部20と左側バー部30により右肩甲骨K1の位置と左肩甲骨K2の位置を同時に測定することができ、測定効率を向上させることが可能となる。
(第1の実施形態の変形例1)
【0050】
変形例1に係る肩甲骨位置測定器具1は、
図4(a)に示すように、本体部10の右側面部12および左側面部13に高さ方向に延びる突条17が本体部10の上部から下部に亘って設けられている。右側バー部20および左側バー部30には、突条17と嵌合する溝26、36が設けられている。
(第1の実施形態の変形例2)
【0051】
変形例2に係る肩甲骨位置測定器具1は、
図4(b)に示すように、本体部10の右側面部12および左側面部13に高さ方向に延びる鉤型の溝14’が本体部10の上部から下部に亘って設けられている。右側バー部20の左端部22および左側バー部30の右端部32には、鉤型の溝14’と嵌合する折曲部22a、32aが設けられている。
<第2の実施形態>
【0052】
次に、本発明に係る肩甲骨位置測定器具1の第2の実施形態について
図5、
図6を参照しつつ説明する。なお、以下では上記の実施形態と異なる構成についてのみ説明することとし、同一の構成については説明を省略して同一の符号を付すこととする。
【0053】
本実施形態に係る肩甲骨位置測定器具1は、
図5、
図6に示すように、溝14が本体部10の上端から下端に亘って設けられており、本体部10の上面18および底面19に溝14により開口された開口部18a、19aを有している。
【0054】
ユーザは、右側バー部20および左側バー部30を開口部18a、19aから挿入することにより、右側バー部20および左側バー部30を本体部10に容易に取り付けることができ、肩甲骨位置測定器具1を容易に組み立てることが可能となる。
【0055】
ユーザは、右側バー部20および左側バー部30を開口部18a、19aから脱出させることにより、右側バー部20および左側バー部30を本体部10に容易に取り外すことができ、肩甲骨位置測定器具1を容易に分解することが可能となる。
【0056】
なお、本実施形態は、上記したものに限られず、肩甲骨位置測定器具1が、例えば、
図4(a)や
図4(b)に示す横断面を有するものであってもよい。
(第2の実施形態の変形例)
【0057】
本変形例に係る肩甲骨位置測定器具1は、
図7(a)(b)に示すように、本体部10の下端部10aに右側バー部20および/または左側バー部30の脱落を防止する脱落防止部10bが設けられている。
【0058】
この脱落防止部10bは、溝14が下端部10aで閉塞するよう溝14を短く設けることにより設けられている。
【0059】
これによれば、右側バー部20および/または左側バー部30が重力により落下した場合であっても、右側バー部20の左端部22および/または左側バー部30の右端部32が本体部10の下端部10aに設けられた脱落防止部10bに係止される。したがって、右側バー部20および/または左側バー部30が本体部10の下端部10aから脱落することを防止することができる。
【0060】
なお、脱落防止部10bは、本体部10の下面19に矩形の板が取り付けられることにより設けられてもよい。
<第3の実施形態>
【0061】
次に、本発明に係る肩甲骨位置測定器具1の第3の実施形態について
図8を参照しつつ説明する。
【0062】
本体部10は、右側面部12および左側面部13に表面がN極のボンド磁石が貼着されている。
【0063】
また、右側バー部20は、左側面部27に表面がS極のボンド磁石が貼着されている。この右側バー部20は、左側面部27が本体部10の右側面部12とボンド磁石の磁力により引き合うことにより、本体部10の右側面部12に取り付けられる。
【0064】
また、左側バー部30は、右側面部37に表面がS極のボンド磁石が貼着されている。この左側バー部30は、右側面部37が本体部10の左側面部13とボンド磁石の磁力により引き合うことにより、本体部10の左側面部13に取り付けられる。
【0065】
これによれば、右側バー部20および左側バー部30を本体部10から容易に脱着することができ、肩甲骨位置測定器具1を容易に組み立ておよび分解することが可能となる。
(第3の実施形態の変形例1)
【0066】
変形例1に係る肩甲骨位置測定器具1は、
図9に示すように、本体部10の右側面部12および左側面部13に段差部14bが設けられている。
【0067】
また、右側バー部20は、左端部22に本体部10の段差部14bと嵌り合う段差部22bが設けられている。この右側バー部20は、段差部22bが本体部10の段差部14bと嵌り合うことで、本体部10に取り付けられたときの向きや位置が安定する。
【0068】
また、左側バー部30は、右端部32に本体部10の段差部14bと嵌り合う段差部32bが設けられている。この左側バー部30は、段差部32bが本体部10の段差部14bと嵌り合うことで、本体部10に取り付けられたときの向きや位置が安定する。
【0069】
これにより、右側バー部20および左側バー部30は、本体部10に取り付けられたときの向きや位置が安定するため、測定精度を向上させることができる。また、目盛り21a、21b、31a、31bが常にユーザの正面を向くため、ユーザは容易に目盛りを計測することができる。
(第3の実施形態の変形例2)
【0070】
変形例2に係る肩甲骨位置測定器具1は、
図10に示すように、本体部10の右側面部12および左側面部13に段差部14bが設けられている。
【0071】
また、右側バー部20は、矩形の柱状部材であって、左端部22の裏面部221が本体部10の段差部14bの正面141に当接している。この右側バー部20は、左端部22の裏面221が本体部10の段差部14bの正面141に当接することで、本体部10に取り付けられたときの向きや位置が安定する。
【0072】
また、左側バー部30は、矩形の柱状部材であって、右端部32の裏面部321が本体部10の段差部14bの正面141に当接している。この左側バー部30は、右端部32の裏面321が本体部10の段差部14bの正面141に当接することで、本体部10に取り付けられたときの向きや位置が安定する。
【0073】
これにより、右側バー部20および左側バー部30は、本体部10に取り付けられたときの向きや位置が安定するため、測定精度を向上させることができる。また、目盛り21a、21b、31a、31bが常にユーザの正面を向くため、ユーザは容易に目盛りを計測することができる。
<第4の実施形態>
【0074】
次に、本発明に係る肩甲骨位置測定器具1の第4の実施形態について
図11を参照しつつ説明する。
【0075】
右側バー部20および/または左側バー部30は、水平方向に摺動されることにより読取目盛りを指示するバー部用目盛指示部材40が設けられている。
【0076】
バー部用目盛指示部材40は、環状又は半環状の部材であって、環の内部に右側バー部20または左側バー部30を嵌合可能な形状・大きさに設けられている。バー部用目盛指示部材40は、裏面側に開口部40aが設けられており、開口部40aが広げられることにより水平方向滑らかに摺動させることができる。このバー部用目盛指示部材40は、幅(水平方向の長さ)が0.3cm〜1cm程度とされている。
【0077】
これによれば、バー部用目盛指示部材40を読取目盛りの位置に摺動させることで、右側バー部20および/または左側バー部30の目盛り21a、21b、31a、31bを容易に計測することができる。
(第4の実施形態の変形例1)
【0078】
変形例1に係る肩甲骨位置測定器具1は、
図12(a)に示すように、本体部10の正面15に高さ方向に延びる溝15aが設けられ、溝15aに本体部用目盛指示部材50が嵌め込まれている。本体部用目盛指示部材50は、溝15aを高さ方向に摺動されて読取目盛りを指示する。
(第4の実施形態の変形例2)
【0079】
変形例2に係る肩甲骨位置測定器具1は、
図12(b)に示すように、右側バー部20の正面23に水平方向に延びる溝28が設けられ、溝28にバー部用目盛指示部材40’が嵌め込まれている。バー部用目盛指示部材40’は、溝28を水平方向に摺動されて読取目盛りを指示する。なお、左側バー部30についても同様のバー部用目盛指示部材40’が設けられるのが好ましい。
<第5の実施形態>
【0080】
次に、本発明に係る肩甲骨位置測定器具1の第5の実施形態について
図13を参照しつつ説明する。
【0081】
本体部10は、厚み方向に撓む可撓性部材により形成されている。
【0082】
これによれば、被験者が交通事故などで背中が曲がった者であっても、本体部10を撓ませて脊柱Bに沿わせることができる。このため、被験者が背中が曲がった者であっても、肩甲骨の所定箇所の位置を正確に測定することができる。
<第6の実施形態>
【0083】
次に、本発明に係る肩甲骨位置測定器具1の第6の実施形態について
図14を参照しつつ説明する。
【0084】
本実施形態に係る肩甲骨位置測定器具1は、
図14に示すように、本体部10の下端部に位置測定手段としてのレーザー距離計60を備えている。レーザー距離計60は、本体部10から右側および左側の両側に突出することにより、本体部10の右側および左側に上面61a、61bを形成し、右側の上面61aに右側センサ部62a、左側の上面61bに左側センサ部62bを有するとともに、正面に測定値表示部63を備えている。
【0085】
右側バー部20および/または左側バー部30は、水平方向に摺動されることにより測定位置を指示するバー部用指示部材70が設けられている。
【0086】
レーザー距離計60は、まず、右側センサ部62aが右側バー部20の高さ方向の位置Hを計測し、右肩甲骨の所定箇所の高さ方向の位置を測定するとともに、右側バー部20のバー部用指示部材70までの距離Lを計測する。次に、レーザー距離計60は、距離Lと位置Hに基づいて三平方の定理から、右側センサ部62aからバー部用指示部材70までの水平方向の距離Wを算出し、あらかじめ記憶していた本体部10の右側面部12からの距離Dと距離Wを加算又は減算することにより、右肩甲骨の所定箇所の水平方向の位置を測定する。
【0087】
同様に、レーザー距離計60は、まず、左側センサ部62bが左側バー部30の高さ方向の位置Hを計測し、左肩甲骨の所定箇所の高さ方向の位置を測定するととに、左側バー部30のバー部用指示部材70までの距離Lを測定する。次に、レーザー距離計60は、距離Lと位置Hに基づいて三平方の定理から、左側センサ部62bからバー部用指示部材70までの水平方向の距離Wを算出し、あらかじめ記憶していた本体部10の左側面部13からの距離Dと距離Wを加算又は減算することにより、左肩甲骨の所定箇所の水平方向の位置を測定する。
【0088】
最後に、レーザー距離計60は、測定した右肩甲骨の所定箇所の高さ方向の位置および水平方向の位置と、左肩甲骨の所定箇所の高さ方向の位置および水平方向の位置の測定値を測定値表示部63に表示する。
【0089】
なお、レーザー距離計60は、計測した測定値を図示略のコンピュータに送信して分析・管理してもよい。
【0090】
また、レーザ距離計60は、本体部10に固定されてもよいし、本体部10に脱着可能な状態で設けられてもよい。特に本体部10にレーザ距離計60が脱着可能に設けられている場合、測定現場で組み立てることができ、コンパクトに収納、携帯することができ便利である。
【0091】
また、レーザ距離計60は、上述の各数値に基づいて肩甲骨の回旋状態の角度θも測定し、その肩甲骨の角度θを測定値表示部63に表示させてもよい。
【0092】
また、位置測定手段は、前記レーザ距離計60に限定されるものではなく、その他の電気的、光学的あるいは超音波的に距離等を測定することにより、右肩甲骨または左肩甲骨の所定箇所の水平方向の位置や高さ方向の位置を測定してもよい。
【0093】
なお、以上の実施形態では、本体部10の両側にそれぞれ右側バー部20と左側バー部30を設けるものとしたが、本体部10のいずれか一方側に一つのバー部を設けるものとしてもよい。この場合、本体部10の右側にバー部を変位させて右肩甲骨の所定箇所の水平方向及び高さ方向の位置を測定したあと、本体部10の左側に同バー部を変位させて左肩甲骨の所定箇所の水平方向及び高さ方向の位置を測定する方法などが挙げられる。
【0094】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。