(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
溶剤系が、ジクロロメタン、1−クロロペンタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン及び1,4−ジオキサンから選択される溶剤又は溶剤混合物を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
基材が、ガラス、シリコンウエハー、金属板、プラスチックフィルム、織布又は不織布、及びガラス基材又はシリコンウエハーにコーティングされたプラスチックフィルムから選択される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に従ったホモポリマー1(ジブロックコポリマーの前駆体)、ジブロックコポリマー前駆体2及びジブロックコポリマー3の多角度レーザー光散乱(MALS)ゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)の重ね合わせトレースである。
【
図2A】本発明の実施形態に従った、スプレーコーティング後でアニーリングなしの薄層フィルムの表面の高さのAFMトポグラフィック画像である。
【
図2B】薄層フィルムの表面相のAFMトポグラフィック画像である。
【
図3A】
図2Aに示した薄層フィルムから調製した多孔性膜のアニーリング後の表面の高さのAFMトポグラフィック画像である。
【
図3B】膜の表面の相のAFMトポグラフィック画像である。
【
図4A】ガラス表面上にスプレーコーティングされた薄層フィルムの断面のAFM画像である。
【
図4B】
図4Aに示した薄層フィルムの高倍率AFM画像である。
【0008】
[発明の詳細な説明]
[0011]一実施形態において、本発明は、式(I)又は(II)
【化2】
(式中、R
1は、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
1〜C
22アルキル基、又はアルキル、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
3〜C
11シクロアルキル基であり、
R
2は、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
6〜C
20アリール基又はヘテロアリール基であり、
R
3及びR
4の一方は、ヒドロキシ、ハロ、アミノ及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
6〜C
14アリール基であり、R
3及びR
4の他方は、カルボキシ、アミノ、メルカプト、アルキニル、アルケニル、ハロ、アジド及びヘテロシクリルから選択される置換基により任意選択で置換されたC
1〜C
22アルコキシ基であり、
n及びmは、独立して、約10〜約2000である)
のブロックコポリマーを含む多孔性膜を提供する。
【0009】
[0012]式(II)において、破線は、部分水素化を表す。xは0.1〜nであることが好ましく、yは0.1〜mであることが好ましい。x=nのとき、対応するブロックは完全水素化されている。同様に、y=mのとき、対応するブロックは完全水素化されている。実施形態によれば、x/n及びy/mは、独立して、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1である。
【0010】
[0013]一実施形態において、本発明は、式(I)又は(II)
【化3】
(式中、R
1は、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
1〜C
22アルキル基、又はアルキル、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
3〜C
11シクロアルキル基であり、
R
2は、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
6〜C
20アリール基又はヘテロアリール基であり、
R
3及びR
4の一方は、ヒドロキシ、ハロ、アミノ及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
6〜C
14アリール基であり、R
3及びR
4の他方は、カルボキシ、アミノ、メルカプト、アルキニル、アルケニル、ハロ、アジド及びヘテロシクリルから選択される置換基により任意選択で置換されたC
1〜C
22アルコキシ基であり、
n及びmは、独立して、約10〜約2000である)
のブロックコポリマーを含む多孔性膜を調製する方法であって、
(i)ジブロックコポリマーを溶剤系に溶解してポリマー溶液を得るステップ、
(ii)ポリマー溶液を基材にスプレーコーティングするステップ、
(iii)(ii)において得られたコーティングを、溶剤又は溶剤混合物を含む蒸気中でアニーリングして、自己組織化構造を得る工程、及び任意選択で
(iv)(iii)において得られた自己組織化構造を、溶剤若しくは溶剤混合物中でアニーリングして又は溶剤若しくは溶剤混合物中に浸漬して、多孔性膜を得るステップ
を含む、方法を提供する。
【0011】
[0014]一実施形態によれば、上記のジブロックコポリマーは、モノマーがエキソ異性体である式(Ia)のジブロックコポリマーである。
【化4】
【0012】
[0015]上記の実施形態のいずれにおいても、R
1は、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
6〜C
20アルキル基、又はアルキル、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
3〜C
11シクロアルキル基である。
【0013】
[0016]一実施形態において、R
1は、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
10〜C
18アルキル基である。
【0014】
[0017]特定の一実施形態において、R
1はC
16アルキル基である。
【0015】
[0018]上記の実施形態のいずれにおいても、R
2は、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
6〜C
10アリール基である。
【0016】
[0019]一実施形態において、R
2は、ヒドロキシ、アミノ、ハロ、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アミド及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたフェニル基である。
【0017】
[0020]上記の実施形態のいずれにおいても、R
3は、ヒドロキシ、ハロ、アミノ及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたC
6〜C
14アリール基であり、R
4は、カルボキシ、アミノ、メルカプト、アルキニル、アルケニル、ハロ、アジド及びヘテロシクリルから選択される置換基により任意選択で置換されたC
1〜C
22アルコキシ基である。
【0018】
[0021]一実施形態において、R
3は、ヒドロキシ、ハロ、アミノ及びニトロから選択される置換基により任意選択で置換されたフェニルであり、R
4は、カルボキシ、アミノ、メルカプト、アルキニル、アルケニル、ハロ、アジド及びヘテロシクリルから選択される置換基により任意選択で置換されたC
1〜C
6アルコキシ基である。
【0019】
[0022]一実施形態において、R
3は、モノマーの重合のために採用されたROMP触媒によってもたらされる。
【0020】
[0023]一実施形態において、R
4は、重合の停止のために採用されたビニルエーテル化合物によってもたらされた基である。
【0021】
[0024]本発明によれば、用語「アリール」は、1つ、2つ又は3つの芳香環を有する単環、二環又は三環の炭素環系、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル又はビフェニルを指す。用語「アリール」は、当技術分野において通常理解されるように、置換されていない又は置換されている芳香族炭素環部分を指し、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、ピレニル等の単環及び多環の芳香族化合物を含む。アリール部分は、一般に、例えば、6〜30個の炭素原子、好ましくは6〜18個の炭素原子、より好ましくは6〜14個の炭素原子、最も好ましくは6〜10個の炭素原子を含有する。用語アリールは、ヒュッケル則に従って、平面であり、4n+2個(n=1、2又は3)のπ電子を含む炭素環部分を含むことが理解される。
【0022】
[0025]本発明によれば、用語「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの原子がO、S又はNであり、残りの原子が炭素である、5〜10個の環原子を有する環状芳香族基を指す。ヘテロアリール基の例には、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル及びイソキノリニルが含まれる。本明細書において用いる用語「ヘテロアリール」は、単環ヘテロアリール又は二環ヘテロアリールを意味する。単環ヘテロアリールは、5又は6員環である。5員環は、2つの二重結合と、1つの硫黄、窒素又は酸素原子とからなる。或いはまた、5員環は、2つの二重結合と、1つ、2つ、3つ又は4つの窒素原子と、酸素又は硫黄から選択される任意選択の追加の1つのヘテロ原子を有し、その他が炭素原子である。6員環は、3つの二重結合と、1つ、2つ、3つ又は4つの窒素原子とからなり、その他が炭素原子である。二環ヘテロアリールは、フェニルに縮合した単環ヘテロアリール、又は単環シクロアルキルに縮合した単環ヘテロアリール、又は単環シクロアルケニルに縮合した単環ヘテロアリール、又は単環ヘテロアリールに縮合した単環ヘテロアリールからなる。単環及び二環ヘテロアリールは、単環又は二環ヘテロアリール中に含有される任意の置換可能な原子を介して親分子部分に連結する。本発明の単環及び二環ヘテロアリール基は、置換されていても又は置換されていなくてもよい。加えて、窒素ヘテロ原子は、四級化されていても、されていなくてもよく、酸化されてN−オキシドになっていても、なっていなくてもよい。また、窒素含有環は、N保護されていても、されていなくてもよい。単環ヘテロアリールの代表例には、限定されるものではないが、フラニル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、ピリジニル、ピリジン−N−オキシド、ピリダジニル、ピリムニジニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピロリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、及びトリアジニルが含まれる。二環ヘテロアリール基の代表例には、限定されるものではないが、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、6,7−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾリル、イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、インダゾリル、1H−インダゾール−3−イル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、ピリドイミダゾリル、キノリニル、キノリン−8−イル、及び5,6,7,8−テトラヒドロキノリン−5−イルが含まれる。
【0023】
[0026]「アルキル」基は、直鎖又は分岐であり得る。一実施形態によれば、アルキル基は、好ましくはC
1〜C
22アルキルである。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、ヘキサデシル等が含まれる。この定義は、「アルキル」が、ヒドロキシアルキル、モノハロアルキル、ジハロアルキル及びトリハロアルキル等において出現する場合にも常に当てはまる。C
1〜C
22アルキル基は、シクロアルキル基、例えばC
3〜C
11シクロアルキル基によりさらに置換され得る。
【0024】
[0027]「シクロアルキル」基は、単環又は二環であり得る。単環シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルが含まれる。二環シクロアルキル基の例には、スピロオクタン、スピロノナン、スピロデカン及びスピロウンデカン等の1つの共通の環炭素原子を有するもの、ビシクロオクタン、ビシクロノナン、ビシクロデカン及びビシクロウンデカン等の2つの共通の環炭素原子を有するものが含まれる。いずれのシクロアルキル基も、1つ又は複数のアルキル基、例えばC
1〜C
6アルキル基によって任意選択で置換され得る。
【0025】
[0028]一実施形態によれば、「アルコキシ」基は、好ましくはC
1〜C
22アルコキシである。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、イソペントキシ、n−ヘキソキシ、ヘキサデシロキシ等が含まれる。
【0026】
[0029]用語「ハロ」は、フッ素、塩素、ホウ素及びヨウ素からなる群から選択されるハロゲン、好ましくは塩素又はホウ素を指す。
【0027】
[0030]本明細書で用いる用語「ヘテロ環(heterocycle)」又は「ヘテロ環(heterocyclic)」は、単環ヘテロ環又は二環ヘテロ環を意味する。単環ヘテロ環は、O、N、N(H)及びSからなる群から独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含有する3員、4員、5員、6員又は7員環である。3員又は4員環は、0又は1つの二重結合と、O、N、N(H)及びSからなる群から選択される1つのヘテロ原子とを含有する。5員環は、0又は1つの二重結合と、O、N、N(H)及びSからなる群から選択される1つ、2つ又は3つのヘテロ原子とを含有する。6員環は、0、1つ又は2つの二重結合と、O、N、N(H)及びSからなる群から選択される1つ、2つ又は3つのヘテロ原子とを含有する。7員環は、0、1つ、2つ又は3つの二重結合と、O、N、N(H)及びSからなる群から選択される1つ、2つ又は3つのヘテロ原子とを含有する。単環ヘテロ環は、置換されていなくても又は置換されていてもよく、単環ヘテロ環中に含有される任意の置換可能な炭素原子又は任意の置換可能な窒素原子を介して親分子部分に連結する。単環ヘテロ環の代表例には、限定されるものではないが、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、[1,4]ジアゼパン−1−イル、1,3−ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジチオラニル、1,3−ジチアニル、ホモモルホリニル、ホモピペラジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾーニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、及びトリチアニルが含まれる。二環ヘテロ環は、フェニル基に縮合した単環ヘテロ環、又は単環シクロアルキルに縮合した単環ヘテロ環、又は単環シクロアルケニルに縮合した単環ヘテロ環、単環ヘテロ環に縮合した単環ヘテロ環、又は単環ヘテロアリールに縮合した単環ヘテロ環である。二環ヘテロ環は、二環ヘテロ環中に含有される任意の置換可能な炭素原子又は任意の置換可能な窒素原子を介して親分子部分に連結し、置換されていなくても又は置換されていてもよい。二環ヘテロ環の代表例には、限定されるものではないが、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、チオクロマニル、2,3−ジヒドロインドリル、インドリジニル、ピラノピリジニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、チオピラノピリジニル、2−オキソ−1,3−ベンゾオキサゾリル、3−オキソ−ベンゾオキサジニル、3−アザビシクロ[3.2.0]ヘプチル、3,6−ジアザビシクロ[3.2.0]ヘプチル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、ヘキサヒドロ−1H−フロ[3,4−c]ピロリル、オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロリル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−7−イル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−3−イル、及び3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−4−イルが含まれる。本明細書において定義される単環又は二環ヘテロ環は、N、N(H)、O若しくはSから選択されるヘテロ原子又は1〜3つのさらなる炭素原子のアルキレン架橋によって連結される、2つの非隣接炭素原子を有してもよい。このような2つの非隣接炭素原子間の連結を含有する単環又は二環ヘテロ環の代表例には、限定されるものではないが、2−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.2]オクチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.2]オクチル、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−オキサ−5−アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−アザビシクロ[2.1.1]ヘキシル、5−アザビシクロ[2.1.1]ヘキシル、3−アザビシクロ[3.1.1]ヘプチル、6−オキサ−3−アザビシクロ[3.1.1]ヘプチル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、3−オキサ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、1,4−ジアザビシクロ[3.2.2]ノニル、1,4−ジアザトリシクロ[4.3.1.1 3,8]ウンデシル、3,10−ジアザビシクロ[4.3.1]デシル、又は8−オキサ−3−アザビシクロ[3.2.1]オクチル、オクタヒドロ−1H−4,7−メタノイソインドリル、及びオクタヒドロ−1H−4,7−エポキシイソインドリルが含まれる。窒素ヘテロ原子は、四級化されていても、されていなくてもよく、酸化されてN−オキシドになっていても、なっていなくてもよい。加えて、窒素含有ヘテロ環は、N保護されていても、いなくてもよい。
【0028】
[0031]ヘテロシクリル基の例には、ピリジル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピロリジニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、プリニル、ピリミジニル、チアゾリル、チアゾリジニル、チアゾリニル、オキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、テトラジニル、ベンゾオキサゾリル、モルホリニル、チオホルホリニル、キノリニル、及びイソキノリニルが含まれる。
【0029】
[0032]ベンゾを有する及び有しない5員不飽和ヘテロ環:フラニル、チオフェンイル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ジチアゾリル、フラザニル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,4−トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、ホスホリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェンイル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリニル、及びベンゾチアゾリニル。
【0030】
[0033]構造中の原子の数の範囲が示されている場合(例えば、C
1−22、C
1−12、C
1−8、C
1−6又はC
1−4アルキル、アルコキシ等)は常に、示されている範囲内の任意の部分範囲又は個別の炭素原子数も用い得ることが具体的に企図されている。従って、例えば、本明細書において言及される任意の化学基(例えば、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノ等)に関して用いられる、1〜22個の炭素原子(例えばC
1〜C
22)、1〜20個の炭素原子(例えばC
1〜C
20)、1〜18個の炭素原子(例えばC
1〜C
20)、1〜16個の炭素原子(例えばC
1〜C
16)、1〜14個の炭素原子(例えばC
1〜C
14)、1〜12個の炭素原子(例えばC
1〜C
12)、1〜10個の炭素原子(例えばC
1〜C
10)、1〜8個の炭素原子(例えばC
1〜C
8)、1〜6個の炭素原子(例えばC
1〜C
6)、1〜4個の炭素原子(例えばC
1〜C
4)、1〜3個の炭素原子(例えばC
1〜C
3)、又は2〜8個の炭素原子(例えばC
2〜C
8)という範囲の記載は、適切であれば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又は22個の炭素原子を包含し且つ具体的に説明するものであり、さらには、適切であればその任意の部分範囲、例えば、1〜2個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、1〜5個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜7個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜9個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜11個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜13個の炭素原子、1〜14個の炭素原子、1〜15個の炭素原子、1〜16個の炭素原子、1〜17個の炭素原子、1〜18個の炭素原子、1〜19個の炭素原子、1〜20個の炭素原子、1〜21個の炭素原子及び1〜22個の炭素原子、並びにその間の任意のもの、例えば、2〜3個の炭素原子、2〜4個の炭素原子、2〜5個の炭素原子、2〜6個の炭素原子、2〜7個の炭素原子、2〜8個の炭素原子、2〜9個の炭素原子、2〜10個の炭素原子、2〜11個の炭素原子、2〜12個の炭素原子、2〜12個の炭素原子、2〜13個の炭素原子、2〜14個の炭素原子、2〜15個の炭素原子、2〜16個の炭素原子、2〜17個の炭素原子、2〜18個の炭素原子、2〜19個の炭素原子、2〜20個の炭素原子、2〜21個の炭素原子及び2〜22個の炭素原子、3〜4個の炭素原子、3〜5個の炭素原子、3〜6個の炭素原子、3〜7個の炭素原子、3〜8個の炭素原子、3〜9個の炭素原子、3〜10個の炭素原子、3〜11個の炭素原子、3〜12個の炭素原子、3〜13個の炭素原子、3〜14個の炭素原子、3〜15個の炭素原子、3〜16個の炭素原子、3〜17個の炭素原子、3〜18個の炭素原子、3〜19個の炭素原子、3〜20個の炭素原子、3〜21個の炭素原子及び3〜22個の炭素原子並びに4〜5個の炭素原子、4〜6個の炭素原子、4〜7個の炭素原子、4〜8個の炭素原子、4〜9個の炭素原子、4〜10個の炭素原子、4〜11個の炭素原子、4〜12個の炭素原子、4〜13個の炭素原子、4〜14個の炭素原子、4〜15個の炭素原子、4〜16個の炭素原子、4〜17個の炭素原子、4〜18個の炭素原子、4〜19個の炭素原子、4〜20個の炭素原子、4〜21個の炭素原子、4〜22個の炭素原子を包含し且つ具体的に説明するものである。
【0031】
[0034]上記の実施形態において、「n」及び「m」は、それぞれのモノマーの平均重合度を表す。
【0032】
[0035]本発明の実施形態によれば、nは、約10〜約1000、約10〜約500、約10〜約250、約20〜約1000、約20〜約500、約20〜約250、約30〜約1000、約30〜約500、約30〜約250、約40〜約1000、約40〜約500、約40〜約250、約50〜約1000、約50〜約500、約50〜約250、約60〜約1000、約60〜約500、又は約60〜約250である。
【0033】
[0036]上記の実施形態のいずれにおいても、mは、約50〜約2000、約50〜約1500、約50〜約1000、約100〜約2000、約100〜約1500、約100〜約1000、約150〜約2000、約150〜約1500、約150〜約1000、約200〜約2000、約200〜約1500、又は約200〜約1000である。
【0034】
[0037]上記の実施形態のいずれにおいても、nは、典型的には約10〜約200、好ましくは約20〜約190、より好ましくは約30〜約140、より一層好ましくは105である。
【0035】
[0038]ブロックコポリマーの上記の実施形態のいずれにおいても、mは、典型的には約50〜約2000、好ましくは約675〜約1525、より好ましくは約675〜約1120、より一層好ましくは870である。
【0036】
[0039]一実施形態において、nは約10〜約200であり、mは約80〜約160である。
【0037】
[0040]ブロックコポリマー、例えばジブロックコポリマーは、任意の適した総分子量、例えば、約50kDa〜約1000kDaの数平均分子量(M
n)を有することができ、ある実施形態において、ブロックコポリマーは、約100kDa〜約600kDaのM
nを有し、ある別の実施形態において、ブロックコポリマーは、約180kDa〜約500kDaのM
nを有し、さらなる実施形態において、ブロックコポリマーは、約195kDa〜約441kDaのM
nを有する。ある実施形態において、ブロックコポリマーは、約250kDa〜500kDaのM
nを有する。
【0038】
[0041]実施形態によれば、ブロックコポリマー中に二重結合が存在する場合、二重結合は、任意の適したシス、トランス配向を有することができ、シス及びトランス形は、ランダムな様式で分布し得る。
【0039】
[0042]ブロックコポリマー、特にジブロックコポリマーは、任意の適した形態、例えば、限定されるものではないが、円柱形態、ラメラ形態又は二重ジャイロイド形態に、自己組織化してもよい。コポリマーが自己組織化するナノ構造のタイプは、とりわけ、ブロックコポリマー中の2つのブロックの体積分率、及び溶剤系の性質に依存する。
【0040】
[0043]例えば、ジブロックコポリマーにおいて、2つのモノマーのポリマー体積分率比の範囲(f
A:f
B)が37〜50:63〜50であると、均等なドメインサイズの層の重なりを伴うラメラ形態の形成に有利であり、体積分率比の範囲が15〜70:85〜30であると、多い方のポリマーブロック構成成分のマトリックス中で少ない方のポリマー構成成分が円柱を形成する円柱形態の形成に有利であり、体積分率比の範囲が7〜15:83〜85であると、多い方のポリマーブロック構成成分のマトリックス中で少ない方のポリマー構成成分が球を形成する体心立方相の形成に有利である。体積分率比の範囲が33〜37:67〜33であると、二重ジャイロイド形態の形成に有利である。
【0041】
[0044]円柱形態は、不連続の管又は円柱形を有する相ドメイン形態を含む。管又は円柱形は、六方格子に六方充填されていてもよい。実施形態において、円柱ドメインのサイズは、約5nm〜約100nmである。
【0042】
[0045] ラメラ形態は、概して互いに平行に配向した互い違いの構造の層を有する相ドメイン形態を含む。実施形態において、ラメラドメインのサイズは、約5nm〜約100nmである。
【0043】
[0046]二重ジャイロイド形態は、互いに貫通する2つの連続したネットワークを含む。実施形態において、二重ジャイロイドドメインのサイズは、約5nm〜約100nmである。
【0044】
[0047]一実施形態において、重合された第二のモノマー(R
2を有する)及び重合された第一のモノマー(R
1を有する)は、ジブロックコポリマー中に任意の適切な体積分率で存在する。例えば、第一のモノマーの%体積分率と第二のモノマーの%体積分率とは、約15:約85〜約30:約70の範囲、好ましくは約19:約81〜約25:約75の範囲、より好ましくは約20:約80の範囲であり得る。一実施形態において、第二のモノマーの体積分率はポリマー全体の約80%であり、質量分率はポリマー全体の約83%である。
【0045】
[0048]一実施形態において、第二のモノマーのポリマー体積分率と第一のモノマーのポリマー体積分率とは、約2.3〜約5.6:1であり、これは円柱形態の形成に有利である。好ましい実施形態において、第二のモノマーのポリマー体積分率と第一のモノマーのポリマー体積分率とは、約4:1である。
【0046】
[0049]具体的な一実施形態において、膜は、以下の構造を有する式(I)のジブロックコポリマー、特にnが105でmが870のものを含む。
【化5】
【0047】
[0050]一実施形態において、膜は、モノマーがエキソ立体配置である以下の構造を有する式(I)のジブロックコポリマー、特にnが105でありmが870であるものを含む。
【化6】
【0048】
[0051]上に記載したジブロックコポリマーは、
(i)式
【化7】
の2種のモノマーのうちの一方を、開環メタセシス重合(ROMP)触媒を用いて重合して、リビング鎖末端を有する開環ポリマーを得るステップ、
(ii)(i)で得られた開環ポリマーのリビング末端に、2種のモノマーのうちの他方を重合して、リビング末端を有するジブロックコポリマーを得るステップ、及び
(iii)(ii)で得られたジブロックコポリマーのリビング末端を、任意選択で置換されたアルキルビニルエーテルによって停止するステップ、並びに
(iv)(iii)で得られたジブロックコポリマーを水素化して、式(I)又は(II)のブロックコポリマーを得るステップ
を含む方法によって調製することができる。
【0049】
[0052]上記方法において、最初に重合されるモノマーは、式
【化8】
のものである。
【0050】
[0053]上記モノマーの重合の後、そこに重合される第二のモノマーは、式
【化9】
のモノマーである。
【0051】
[0054]第一のモノマー及び第二のモノマーは、エキソ又はエンド立体化学配置であり得る。一実施形態において、第一及び第二のモノマーは、エキソ配置のもの、例えばエキソ異性体が98%以上のモノマーである。
【0052】
[0055]第一及び第二のモノマーにおいて、R
1及びR
2は、式(I)のジブロックコポリマーについて上に説明したものと同じである。第一及び第二のモノマーは、(オキサ)ノルボルネン(ジ)カルボン酸イミド由来モノマーである。モノマーは、任意の適した方法、例えば、マレイミド及びフランから出発しDiels−Alder反応を経由する以下に例証する方法によって調製することができる。
【化10】
【0053】
[0056]第一のモノマーは、以下に例証する光延カップリング反応を経由して合成することができる。
【化11】
【0054】
[0057]或いはまた、第一のモノマーは、exo−7−オキサノルボルネン−5,6−ジカルボン酸無水物のヘキサデシルアミンとの反応、又はN−ヘキサデシル−マレイミドとフランとのDiels−Alder反応を経由した反応によって合成することができる。
【0055】
[0058]第二のモノマーは、以下に例証するように、アセトニトリル中でのN−フェニルマレイミドとフランとの間のDiels−Alder反応を経由して合成することができる。
【化12】
【0056】
[0059]モノマーの重合は、環状オレフィンモノマーが環状オレフィンモノマーの開環によって重合又は共重合される、開環オレフィンメタセシス重合(ROMP)によって実施される。典型的には、カルベン配位子を含有する遷移金属触媒が、メタセシス反応を媒介する。
【0057】
[0060]任意の適したROMP触媒を用いることができ、例えば、Grubbs第一世代、第二世代及び第三世代触媒、Umicore、Hoveyda−Grubbs、Schrock及びSchrock−Hoveyda触媒を採用することができる。そのような触媒の例には、以下のものが含まれる。
【化13】
【化14】
【化15】
【0058】
[0061]一実施形態において、Grubbs第三世代触媒は、空気中での安定性、複数の官能基に対する耐性、並びに/又は速やかな重合開始及び連鎖成長速度等のそれらの利点のために特に適している。加えて、Grubbs第三世代触媒を用いると、末端基が任意の親和性のある基を含むように操作され、触媒が容易にリサイクルされ得る。そのような触媒の好ましい例は、以下のものである。
【化16】
【0059】
[0062]上記の第三世代Grubbs触媒(G3)は、市販品として得ても、又はGrubbs第二世代触媒(G2)から以下のようにして調製してもよい。
【化17】
【0060】
[0063]第一のモノマー及び第二のモノマーを順次重合して、ジブロックコポリマーを得る。2種のモノマーのいずれも、最初に重合することができる。例えば、第一のモノマーを最初に重合し、続いて第二のモノマーを重合することができる。或いはまた、第二のモノマーを最初に重合し、続いて第一のモノマーを重合することができる。
【0061】
[0064]典型的には、モノマーは、少なくとも95%、好ましくは99%以上、より好ましくは99.9%以上の化学純度を有する。モノマーは、重合を妨げる不純物、例えば、ROMP触媒に影響を及ぼす不純物を含まないことが好ましい。そのような不純物の例には、アミン、チオール(メルカプタン)、酸、ホスフィン及びN−置換マレイミドが含まれる。
【0062】
[0065]モノマーの重合は、適した溶剤、例えばROMP重合を行うのに一般的に用いられている溶剤中で行われる。適した溶剤には、ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘプタン、ヘキサン及びヘプタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、並びにジクロロメタン、ジクロロエタン、ジクロロエチレン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン及びトリクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、並びにそれらの混合物が含まれる。
【0063】
[0066]有機溶剤中で重合を実施する場合、モノマー濃度は、1〜50重量%、好ましくは2〜45重量%、より好ましくは3〜40重量%の範囲であり得る。
【0064】
[0067]重合は、任意の適した温度、例えば、−20〜+100℃、好ましくは10〜80℃で実施することができる。
【0065】
[0068]重合は、ブロックのそれぞれについて適当な鎖長を得るのに適した任意の時間にわたって実施することができ、この時間は約1分〜100時間であり得る。
【0066】
[0069]触媒の量は、任意の適した量から選択することができる。例えば、触媒とモノマーとのモル比は、約1:10〜約1:1000、好ましくは約1:50〜1:500、より好ましくは約1:100〜約1:200であり得る。例えば、触媒とモノマーとのモル比は、1:n及び1:mであり得、このときn及びmは平均重合度である。
【0067】
[0070]2種のモノマーの重合の後、ジブロックコポリマーの鎖末端は、任意選択で置換されたアルキルビニルエーテルを重合混合物に加えることによって、停止される。
【0068】
[0071]ジブロックコポリマーは、非溶剤を用いた沈殿等の適した技法によって単離することができる。
【0069】
[0072]結果として得られたジブロックコポリマー前駆体は、式(I)又は(II)のブロックコポリマーを得るために、水素化され得る。水素化は、任意の適した技法によって、例えば、水素ガス及び触媒の使用によって、実施することができる。不均質又は均質の任意の適した触媒を用いることができる。不均質触媒の例には、Raneyニッケル、パラジウム炭素、NaBH
4還元ニッケル、白金金属又はその酸化物、ロジウム、ルテニウム、NaH−RONa−Ni(OAc)
2及び酸化亜鉛が含まれる。均質触媒の例には、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム又はWilkinson触媒、及びクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ヒドリドルテニウム(II)が含まれる。
[0073]ジブロックコポリマーは、水素ガス及び第二世代Grubbs触媒の使用によって水素化することが好ましい。ポリマーと触媒とのモル比を変更することによって、様々な水素化度を得ることができる。一実施形態において、二重結合に対して約1:100のモル当量の触媒投入量([G2]
モル:[二重結合]
モル=約1:100)であると、前駆体コポリマーは完全水素化される。比は、約1:100〜約1:500又は約1:600で変更することができ、部分水素化されたブロックコポリマーを得ることができる。結果として得られたコポリマーは、トリブロック、テトラブロック又はより多いマルチブロックコポリマーであり得る。
【0070】
[0074]ジブロックコポリマー前駆体の調製の間に形成された出発ホモポリマー、及び本発明のジブロック又はマルチブロックコポリマーは、それらの分子量及び分子量分布について、任意の公知の技法によって特性解析することができる。例えば、MALS−GPC技法を採用することができる。この技法は、移動相を用いて、ポリマー溶液を、固定相が充填されたカラムのバンクを通して、高圧ポンプによって溶離する。固定相は、鎖サイズによってポリマーサンプルを分離し、その後、3つの異なる検出器によってポリマーを検出する。一連の検出器、例えば、紫外線検出器(UV検出器)と、その後の多角度レーザー光散乱検出器(MALS検出器)と、その次の示差屈折検出器(RI検出器)とが一列になったものを採用することができる。UV検出器は、波長254nmでのポリマーの光吸収を測定し、MALS検出器は、ポリマー鎖からの散乱光を移動相に対して相対的に測定する。
【0071】
[0075]本発明のブロックコポリマーは、高度に単分散であることが好ましい。例えば、コポリマーは、1.01〜1.2、好ましくは1.05〜1.10のMw/Mnを有する。
【0072】
[0076]本発明は、上に説明したブロックコポリマーを含む多孔性膜を提供するものである。
【0073】
[0077]一実施形態において、多孔性膜は、スプレーコーティング法によって調製される。
【0074】
[0078]膜を調製するために、先ず、ブロックコポリマーを適した溶剤又は溶剤系に溶解して、ポリマー溶液を得る。ポリマー溶液は、当業者に公知の任意の適した方法によって調製することができる。ブロックコポリマーを溶剤系に添加し、均一な溶液が得られるまで撹拌する。所望により、溶液を長時間撹拌して、ブロックコポリマーが熱力学的に有利な構造を溶液中で呈するようにすることができる。ブロックコポリマーは、良溶剤、又は良溶剤を含有する混合物中に溶解する。
【0075】
[0079]適した溶剤系の実施形態には、ハロゲン化炭化水素、エーテル、アミド及びスルホキシドから選択される溶剤又は溶剤混合物が含まれる。一実施形態において、溶剤系は、揮発性溶剤、例えば沸点が100℃未満の溶剤を含む。
【0076】
[0080]例えば、溶剤系は、ジクロロメタン、1−クロロペンタン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、1,3−ジオキサン及び1,4−ジオキサンから選択される溶剤又は溶剤混合物を含む。
【0077】
[0081]従って、例えば、DMFとTHFとの混合物、NMPとTHFとの混合物、DMAと1−クロロペンタン、DMAとTHFとの混合物、DMSOとTHFとの混合物、DMSOと1−クロロペンタンとの混合物、NMPと1−クロロペンタンとの混合物、DMFと1−クロロペンタンとの混合物、1,3−ジオキサンとTHFとの混合物、1,4−ジオキサンとTHFとの混合物、又は1,3−若しくは1,4−ジオキサンとDMFとTHFとの混合物を、溶剤系として採用することができる。
【0078】
[0082]好ましい実施形態において、DMFとTHFとの混合物、DMAとTHFとの混合物、DMAと1−クロロペンタンとの混合物、DMSOとTHFとの混合物、1,3−ジオキサンとTHFとの混合物、1,4−ジオキサンとTHFとの混合物を、溶剤系として採用することができる。
【0079】
[0083]より好ましい実施形態において、DMFとTHFとの混合物、DMAと1−クロロペンタンとの混合物、又はNMPとTHFとの混合物を、溶剤系として採用することができる。
【0080】
[0084]上記の実施形態において、溶剤混合物を溶剤系として用いる場合、混合物は、任意の適した比の溶剤を含むことができ、例えば、二元溶剤混合物においては、いずれの溶剤も、80/20、75/25、70/30、65/35、60/40、55/45若しくは50/50の体積若しくは質量比、又はこれらの間の任意の比で存在することができる。三元溶剤系においては、任意の3種の溶剤は、任意の適した比、例えば、80/10/10、75/15/10、70/20/10、65/25/10、60/30/10、55/25/30、40/40/20若しくは30/30/40の体積若しくは質量比、又はこれらの間の任意の比で存在することができる。
【0081】
[0085]ポリマー溶液は、任意の適した量のブロックコポリマーを含有することができる。一実施形態によれば、ポリマー溶液は、ブロックコポリマーを約2〜約10重量%以上、好ましくは約3〜約8重量%、より好ましくは約4〜約6重量%含有する。一例において、ポリマー溶液は、ブロックコポリマーを約5重量%含有する。ポリマー濃度によってフィルムの厚さを制御することができ、従って得られる膜の厚さを制御することができる。ポリマー濃度によって膜の多孔率も制御することができ、濃度が高ければ多孔性の低い膜が製造される。
【0082】
[0086]実施形態によれば、ポリマー溶液は、DMFとTHFとを約60:40の質量比で含有する。
【0083】
[0087]ポリマー溶液は、ガラス板、プラスチックフィルム、織布若しくは不織布、シリコンウエハー又は金属板等の基材にスプレーされる。布の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びナイロン布が含まれる。基材は、多孔性又は非多孔性であり得る。多孔性基材は、非溶剤中に浸漬することができ、又はポリビニルアルコール又はポリエチレングリコール等の水溶性ポリマーを吸収させることができる。ブロックコポリマーを含有する溶液は、このように調製された多孔性基材にスプレーすることができる。
【0084】
[0088]基材表面は、結果として得られる形態配向に影響を持ち、配向又は形態の結果は、基材とジブロック中の各ブロックとの熱力学的相互作用に基づいて決定される。基材表面が2種のブロックのうちの一方と有利な相互作用を有するならば、ジブロックコポリマーは、基材表面が有利な相互作用を有するブロックを広げてそのブロックを露出させることによって、相互作用が最大となるようにして自己組織化することになる。例えば、円柱形態の場合、基材が一方のブロックと他方のブロックよりも高い親和性を有するならば、円柱は、円柱が基材表面に平行になるようにして基材表面と相互作用することになる。基材表面がいずれのブロックにも中立である又は親和性がほとんどないならば、円柱は基材に対して垂直に整列する。
【0085】
[0089]本発明の実施形態によれば、ポリマー溶液は、スプレープロセス中に噴霧化される。任意の適したスプレープロセスを用いることができる。噴霧化は、エアレス又は圧力で促進することができ、これは、コーティング液体を高圧で小径ノズルに通すことを伴う。流体圧は、約5〜約35MPa(約700〜約5000psi)とすることができ、流体流速は約150〜約1500cm
3/分とすることができる。そのような圧力を発現するために、機械的、電気的、空気圧的又は水圧的に作動し得る適したポンプが設計される。ノズル開口は、約0.2〜約2.0nmの範囲の直径を有し得る。流体がノズルを通されると、流体は高速に加速し、相対的に動きのない周囲の空気中で、液体の薄いシート又は噴出物になってノズルを離れ、流体と空気との間に剪断力を生成する。流体は、乱流又は空気力学的崩壊によって噴霧化される。最も一般的なノズルは、様々なサイズの長細い扇形のパターンを生成し、いくつかのノズルは、充空円錐を生成する。エアレス噴霧は、少量の約35〜約170kPa(約5〜約25psi)の圧縮空気で補助を受け得る。空気は、低い流体圧で、改善された噴霧を得ることを補助する。一実施形態において、コーティング溶液は、揮発性有機化合物の放出を削減する傾向のある超臨界流体と混合され得る。
【0086】
[0090]或いはまた、ポリマー溶液は、静電気的に噴霧することもでき、又は約10,000〜約40,000rpmの速度で回転するベル(カップ)若しくはディスクで噴霧することもできる。
【0087】
[0091]フィルムは、任意の適した厚さ、例えば約10〜約1000nm、典型的には約100〜約500nmの厚さのものであり得る。
【0088】
[0092]ポリマー溶液は、任意の適した温度、例えば、約10℃〜約40℃、好ましくは約15℃〜約30℃、より好ましくは約20℃〜約25℃でスプレーコーティングされる。
【0089】
[0093]基材は、静止していても動いていてもよい。一実施形態において、基材は、動くベルト、プラスチックフィルム又は布である。
【0090】
[0094]スプレーコーティングによって得られたポリマー溶液の薄層フィルムは、その後、2段階でアニーリングされ、第一のアニーリングは、ブロックコポリマーを、自己組織化構造を形成するように、例えば、より少ないドメインとより多いドメインとを有する構造へと促す。一実施形態において、より少ないドメインは、円柱ドメインである。第二のアニーリングは、例えば、より少ないドメインの限定的な膨張によって、多孔性膜の形成を促進する。溶剤系として上記に明らかにした溶剤のいずれをも、アニーリング工程を実施するための溶剤蒸気として採用することができる。例えば、ジクロロメタンを蒸気として採用することができる。
【0091】
[0095]或いはまた、第二のアニーリングを実施する代わりに、自己組織化構造を溶剤又は溶剤混合物に浸漬して、多孔性膜を得ることができる。溶剤又は溶剤混合物は、任意の適した温度、例えば、周囲温度、例えば20℃〜25℃から、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃又は90℃まで等の高温であり得る。アニーリングに用いられる溶剤のいずれをも、浸漬工程に用いることができる。
【0092】
[0096]アニーリング又は浸漬工程のそれぞれは、任意の適した長さの時間、例えば、0.1時間〜1か月以上、5時間〜15日以上、又は10時間〜10日以上にわたって実施することができる。
【0093】
[0097]いかなる理論又はメカニズムにも拘泥しようとするものではないが、ナノ構造の形成は、以下のようにして起こると考えられる。溶液中のブロックコポリマーは、ある種の熱力学的な力を受ける。例えば、ジブロックコポリマーは、共有結合によって連結された、2つの化学的に異なるポリマー鎖ブロックを含むため、2つのブロックの間には非親和性が存在する。加えて、連結する共有結合によって与えられる、連結の制約が存在する。これらの熱力学的な力の結果として、ジブロックコポリマーは、適切な溶剤系に溶解されると、秩序化した形態を平衡して呈する、ミクロ相に分離したドメインへと自己組織化する。フィルムが希釈溶液からキャストされると、ジブロックコポリマーは、異なるブロックからそれぞれ作られるコアとコロナとから構成されるミセルを形成する。希釈溶液において、ミセルは、互いに離れようとする傾向にある。しかしながら、濃厚な溶液、例えば、溶剤が溶液の薄層フィルムから蒸発によって除去されたときの溶液においては、ミセルは凝集し、その結果、コロナは合体して連続マトリックスを形成し、コアは合体して多孔質流路を形成するという傾向にある。
【0094】
[0098]ブロックコポリマーが秩序化された構造を形成する能力は、ポリマーの緩和速度、ポリマーの粘度、ポリマーの濃度、及び溶剤の性質、特にchiパラメータ又はHansen溶解度パラメータを含めたいくつかの要因に依存する。両方のブロックに対して中立な溶剤は、円柱孔を膜表面に対して垂直に配向させる傾向がある。溶剤系は、2つのブロックの間の相互作用を仲介する。系が溶剤蒸気中でアニーリングされると、ポリマー鎖の可動性によって、ポリマーの緩和、及び鎖の非親和性によって動機付けられる秩序化された自己組織化構造の形成、並びに結果としての2つのブロックの間の自由エネルギーの最小化への誘導が増す。熱力学的に生じる2つの競合する力が、このプロセスを支配する。1つ目は、鎖は化学的に非親和性であり、互いに分離する傾向を持ち、このことが系のエントロピーを増加させるということであり、2つ目は、モノマー単位の間及びジブロック鎖の間の化学結合によって系が退縮するときのエントロピーの消失につながる回復力である。エネルギーの最小化は、これらの2つの競合する要因の間で起こる。従って、溶剤又は溶剤系の選択は、秩序化されたナノ構造を得る際に重要な要因である。
【0095】
[0099]フィルムをその後、水浴で、適した長さの時間、例えば、約1分〜約2時間洗浄して残留溶剤を除去し、任意選択で乾燥して、本発明の実施形態によるナノ多孔性膜を得る。
【0096】
[0100]一実施形態によれば、多孔性膜は対称膜であり、この膜において、ジブロックコポリマーは、秩序化された構造に自己組織化され、孔が膜の厚さにわたって延びている。自己組織化構造において、ジブロックコポリマー及び孔は、円柱形態に秩序化され、膜の面に対して垂直であり、直径が約40〜約60nmの範囲である円柱孔及び孔は、フィルムの厚さにわたって終始、下へ向かって、深さ約50nmまで延びる。
【0097】
[0101]別の一実施形態によれば、多孔性膜は、第一の層及び第二の層を含む非対称の膜であり、第一の層は、ジブロックコポリマーを含み、例えば円柱形態に、秩序化された孔を有し、第二の層は、大きな孔、例えば直径0.5μm以上、例えば1〜10μmの孔を有するポリマー支持体を含む。
【0098】
[0102]複合膜の第二の層としてとして働くポリマー支持体は、任意の適したポリマー、例えば、ポリ芳香族、スルホン(例えば、芳香族ポリスルホンを含めたポリスルホン、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン、ビスフェノールAポリスルホン、ポリアリールスルホン及びポリフェニルスルホン等)、ポリアミド、ポリイミド、ポリハロゲン化ビニリデン(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含む)、ポリプロピレン及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル((PANs)ポリアルキルアクリロニトリルを含む)、セルロース系ポリマー(セルロースアセテート及びニトロセルロース等)、フルオロポリマー、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から作製され得る。
【0099】
[0103]本発明の実施形態によれば、多孔性膜は、ナノ多孔性膜、例えば、直径1nm〜100nmの孔を有する膜である。
【0100】
[0104]本発明の実施形態による膜は、様々な用途において用いることができ、用途には、例えば、診断用途(例えば、サンプル調製及び/若しくは診断ラテラルフロー装置を含む)、インクジェット用途、製薬産業用流体の濾過、医療用途用流体の濾過(家庭及び/若しくは患者が使用するためのもの、例えば静脈内用途、並びに例えば血液等の生物流体の濾過(例えば白血球の除去のため)を含む)、エレクトロニクス産業用流体の濾過(例えば、マイクロエレクトロニクス産業におけるフォトレジスト流体の濾過)、食品及び飲料産業用流体の濾過、浄化、抗体及び/若しくはタンパク質含有流体の濾過、核酸含有流体の濾過、細胞検出(in situを含む)、細胞採取、並びに/又は細胞培養流体の濾過が含まれる。これらに代えて又はこれらに加えて、本発明の実施形態による膜は、空気及び/若しくはガスを濾過するために用いることができ、並びに/又は排出用途(例えば、液体ではなく、空気及び/若しくはガスを通り抜けさせること)に用いることができる。本発明の実施形態による膜は、様々な装置において用いることができ、装置には、手術用装置及び製品、例えば眼科手術用製品等が含まれる。
【0101】
[0105]本発明の実施形態によれば、膜は、平面状、フラットシート、ひだ状、管状、らせん状及び中空繊維を含めた様々な外形を有し得る。
【0102】
[0106]本発明の実施形態による膜は、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を含み且つ入口と出口との間に少なくとも1つの流体流路を定めるハウジング中に、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターが流体流路を横切って典型的に配置されて、フィルター装置又はフィルターモジュールを提供する。一実施形態において、入口及び第一の出口を含み且つ入口と第一の出口との間に第一の流体流路を定めるハウジングと、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターとを含み、本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターが、第一の流体流路を横切るようにハウジング内に配置された、フィルター装置が提供される。
【0103】
[0107]クロスフロー用途には、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターが、少なくとも1つの入口及び少なくとも2つの出口を含み且つ入口と第一の出口との間に第一の流体流路及び入口と第二の出口との間に第二の流体流路を少なくとも定めるハウジング中に、本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターが第一の流体流路を横切って配置されて、フィルター装置又はフィルターモジュールを提供することが好ましい。例証的実施形態において、フィルター装置は、クロスフローフィルターモジュールを含み、ハウジングは、入口と濃縮物出口を含む第一の出口と濾液出口を含む第二の出口とを含み且つ入口と第一の出口との間に第一の流体流路及び入口と第二の出口との間に第二の流体流路を定め、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、第一の流体流路を横切って配置される。
【0104】
[0108]フィルター装置又はモジュールは、殺菌可能であってもよい。適した形であり、1つの入口と1つ又は複数の出口とを備えた、任意のハウジングを採用してもよい。
【0105】
[0109]ハウジングは、処理される流体と親和性のある、任意の不浸透性の熱可塑性材料を含めた、任意の適した硬質の不浸透性の材料から作られ得る。例えば、ハウジングは、ステンレス鋼等の金属、又はポリマー、例えば、アクリル系、ポリプロピレン、ポリスチレン又はポリカーボネート樹脂等の透明若しくは半透明ポリマーから作られ得る。
【0106】
[0110]以下の実施例は、本発明をさらに例証するものであるが、当然のことながら、本発明の範囲について何らかの限定をするものと解釈されるべきではない。
【0107】
実施例1
[0111]この実施例は、モノマー及びポリマーの調製において用いられるいくつかの材料について説明するものである。
【0108】
[0112]マレイミド、フラン、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)、トリフェニルホスフィン(Ph
3P)、1−ヘキサデカノール、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、N−フェニルマレイミド、アセトニトリル、メタノール、Grubbs第二世代触媒、3−ブロモピリジン及びペンタンは、Sigma−Aldrich Co.から入手して、さらなる処理なしで用いた。ジクロロペンタンもSigma−Aldrich Co.から入手したが、使用前に塩基性アルミナで処理した。
【0109】
実施例2
[0113]この実施例は、本発明の実施形態による第一及び第二のモノマーの調製における中間体であるexo−7−オキサノルボルネン−5,6−ジカルボキシイミド(C1)の調製を例証するものである。
【0110】
[0114]マグネチックスターラーバーを備えた清浄な500mL丸底フラスコ(RBF)内で、フラン(21.0g、309mmol)を、マレイミド(25g、258mmol)の酢酸エチル250mL中の溶液に加えた。混合物を90℃で30時間加熱した。エーテル(100mL、3X)で洗浄し濾過すると、溶液からC1が白色沈殿として得られた。白色固体を真空下で室温にて24時間乾燥した。C1が、29g、68%の収率で、純粋なエキソ異性体として得られた。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3):δ(ppm)8.09(s,1H)、6.53(s,2H)、5.32(s,2H)、2.89(s,2H)。
【0111】
実施例3
[0115]この実施例は、ジクロロ[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン](ベンジリデン)ビス(3−ブロモピリジン)ルテニウム(II)(G3)触媒の調製を例証するものである。
【0112】
[0116]上に例証した第二世代Grubbs触媒(G2)(1.0g、1.18mmol)を、50mLフラスコ内で3−ブロモピリジン(1.14mL、11.8mmol)と混合した。室温で5分撹拌すると、赤色混合物が鮮やかな緑色に変わった。撹拌しながら、ペンタン(40mL)を15分かけて加え、緑色固体を得た。混合物を冷凍庫で24時間冷却し、真空濾過した。結果として得られた緑色固体であるG3触媒を冷ペンタンで洗浄し、真空下で室温にて乾燥して、収量0.9g、収率88%を得た。
【0113】
実施例4
[0117]この実施例は、第一のモノマーexo−7−オキサノルボルネン−N−ヘキサデシル−5,6−ジカルボキシイミドの調製を例証するものである。
【0114】
[0118]マグネチックスターラーバーを備えた清浄な500mLのRBF内で、乾燥窒素ガス流下にて、exo−7−オキサノルボルネン−5,6−ジカルボキシイミド(C1)(10g、61mmol)、Ph
3P(23.84g、91mmol)、及び1−ヘキサデカノール(17.6g、72.7mmol)を、無水THF(130mL)に溶解した。溶液を氷浴中で冷却した。冷却された溶液へ、DIAD(22.1g、109.3mmol)を滴下漏斗から滴下して加えた。反応混合物を室温まで温め、24時間撹拌した。乾燥するまでTHFをロータリーエバポレーターによって除去し、白色固体を得た。メタノール(2X)から結晶化させ、室温にて真空下で24時間乾燥させると、白色固体としての粗製物から第一のモノマーが得られた(収率18.6g、80%)。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3):δ(ppm)6.5(s,2H)、5.26(s,2H)、5.32(s,2H)、3.45(t,2H)、2.82(s,2H)、1.56〜1.38(m,2H)、1.28〜1.1(m,26H)、0.88(t,3H)。
【0115】
実施例5
[0119]この実施例は、第二のモノマーexo−7−オキサノルボルネン−N−フェニル−5,6−ジカルボキシイミドの調製を例証するものである。
【0116】
[0120]マグネチックスターラーバーを備えた清浄な500mL丸型フラスコ(RBF)内で、フラン(29.51g、433.5mmol)を、N−フェニルマレイミド(25g、144.5mmol)のアセトニトリル135mL中の溶液に加えた。溶液を90℃で5時間還流させた。反応混合物を冷却すると、白色結晶固体が得られた。第二のモノマーを、固体を濾過することによって得て、アセトニトリル(2X)からの再結晶によって精製した。19g、76%の収率。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3):δ(ppm)7.55〜7.35(m,3H,フェニル)、7.35〜7.2(m,2H,フェニル)、6.57(s,2H)、5.37(s,2H)、3.05(s,2H)。
【0117】
実施例6
[0121]この実施例は、本発明の実施形態による膜の調製に適したジブロックコポリマーの調製を例証するものである。
【0118】
[0122]実施例3からのGrubbs第三世代(G3)触媒(34.4mg、0.039mmol)を、フッ化ポリマー樹脂−シリコン隔膜頂部開口型キャップを備えた40mLバイアルに秤量した。触媒を、アルゴンで脱気したジクロロメタン(DCM)(60mL)に溶解し、カニューレを介して、スターラーバーを備えた清浄な1LのRBFに移した。第一のモノマー(1.5g、3.85mmol)のDCM(86mL)中の溶液を、アルゴンで脱気し、触媒溶液中へ移し、30分間撹拌した。第一のモノマーから形成されたホモポリマーの1〜2mLのアリコートを、分子量特性解析のために、30分後に取得した。第二のモノマー(7.9g、32.8mmol)のDCM(208mL)中の溶液を、アルゴンで脱気し、RBF内の成長ホモポリマー溶液中へ移し、フラスコの内容物をさらに60分間撹拌した。その後、ジブロックコポリマーの黄色溶液にエチルビニルエーテル(2mL)を加えて、重合を停止させた。結果として得られたポリマーをメタノール(2L、2X)中で沈殿させ、白色固体として純粋なポリマーを回収した。ポリマーを濾過し、真空下で室温にて乾燥した;収率(9.2g、98%)。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3):δ(ppm)7.7〜7.25(m,3H,フェニル)、7.25〜6.8(m,2H,フェニル)、6.3〜5.9(広幅,1H)、5.9〜5.3(広幅m,1H)、5.3〜4.9(広幅m,1H)、4.9〜4.2(広幅m,1H)、3.6〜3.0(広幅s,2H)、1.6〜1.4(広幅,2H)、1.4〜1.0(s,26H)、0.88(t s,3H)。
【0119】
実施例7
[0123]この実施例は、実施例6において得られたジブロックコポリマー前駆体を水素化して本発明の実施形態によるジブロックコポリマーを得る方法を例証するものである。
【0120】
[0124]ジブロックコポリマー前駆体をDCM中に溶解した(400mLに15g)。シリカゲル基材(10g、40〜63ミクロンフラッシュクロマトグラフィー粒子)を伴ったGrubbs第二世代触媒(480mg、565mmol)、及び前駆体溶液を、Parr高圧反応容器に移し、反応容器に水素ガス(1500psi)を充填した。反応容器を50℃で24時間加熱した。結果として得られたポリマー混合物を濾過し、メタノール(2x)で沈殿させて、白色沈殿物を得た(収率12g、80%)。
1H−NMR(300MHz,CDCl
3):δ(ppm)7.6〜7.45(m,3H,フェニル)、7.4〜6.8(m,2H,フェニル)、4.5〜3.55(広幅m,2H)、3.5〜2.6(広幅m,2H)、2.5〜1.6(広幅s,2H)、1.6〜1.4(広幅s,2H)、1.4〜1.0(s,26H)、0.88(t s,3H)。
【0121】
実施例8
[0125]この実施例は、多角度レーザー光散乱及びゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いてジブロックコポリマーの特性解析をする方法を例証するものである。
【0122】
[0126]実施例6において得られたホモポリマー及びジブロックコポリマーを、それらの分子量及び分子量分布特性について、以下の条件でのMALS−GPC法によって特性解析した。
【0123】
[0127]移動相:ジクロロメタン(DCM)
【0124】
[0128]移動相温度:30℃
【0125】
[0129]UV波長:245nm
【0126】
[0130]使用カラム:PSS SVD Lux分析カラム(スチレン−ジビニルベンゼンコポリマーネットワーク)3本。カラムは、1000A、100,000A及び1,000,000Aの孔径を有する、5マイクロメートルの固定相ビーズ、並びにガードカラムを有する。
【0127】
[0131]流速:1mL/分
【0128】
[0132]GPCシステム:UV及びRI検出器を有するwaters HPLC alliance e2695システム
【0129】
[0133]MALSシステム:664.5nmのレーザーで動作する8つの検出器を有するDAWN HELEOS 8システム
【0130】
[0134]クロマトグラムを
図1に示す。ジブロックコポリマー前駆体2は、より高い分子量を有するため、ホモポリマー1よりも早く溶出した。本発明のジブロックコポリマー3も、より高い分子量を有するため、ホモポリマー1よりも早く溶出した。水素化コポリマー3は、水素化の分子量への影響が予想よりやや小さかったため、コポリマー前駆体2に近い分子量を有していた。
【0131】
実施例9
[0135]この実施例は、本発明の実施形態による多孔性膜を調製する方法を例証するものである。
【0132】
[0136]実施例6からのジブロックコポリマーを含有するポリマー溶液を、ジブロックコポリマーをDMF及びTHFと、清澄な溶液が得られるまで混合することによって調製した。溶液は、ジブロックコポリマーを5質量%含有していた。DMFとTHFとの質量比は60:40であった。
【0133】
[0137]ポリマー溶液を、薄層フィルムとしてのガラス板上に、ノズルを通してスプレーコーティングした。
【0134】
[0138]スプレーコーティングの条件は、以下の通りである。エアスプレーコーティングを用いて、以下の一般的条件で基材の膜を生成した。基材はガラスであった。空気圧は15psiであった。ノズルから基材までの距離は20cmであった。薄層フィルム1層を付着させた。
【0135】
[0139]薄層フィルムを、キャストしたそのままで又はアニーリング後に調査した。薄層フィルムは、DCM蒸気を含有する溶剤チャンバー内で低湿度にて16時間アニーリングした。フィルムを洗浄及び乾燥し、その後、原子間力顕微鏡(AFM)で画像化してナノ構造を明らかにした。
【0136】
[0140]
図2Aは、スプレーコーティング後のフィルムのAFM高さ画像である。
【0137】
[0141]
図2Bは、スプレーコーティング後の薄膜フィルムのAFM相画像である。
図2Cは、
図2Bから抽出したラインプロファイルである。
【0138】
[0142]
図3Aは、スプレーコーティング及びアニーリングされた薄層フィルムのAFM高さ画像である。
【0139】
[0143]
図3Bは、スプレーコーティング及びアニーリングされた薄層フィルムのAFM相画像である。
【0140】
[0144]
図4Aは、ガラス上にスプレーコーティングされたフィルムの断面のFE−SEM画像である。
【0141】
[0145]
図4Bは、
図4AのFE−SEM画像の高倍率像である。
【0142】
[0146]AFM及びFE−SEMから、ジブロックコポリマーは、円柱形態を含む秩序化された構造に自己組織化したことが分かる。
【0143】
[0147]キャストしたそのままのフィルム中のブロックコポリマーのドメインサイズは、約20〜約30nmであった。アニーリングされたフィルム中のブロックコポリマーのドメインサイズは、約60〜約70nmであった。
【0144】
[0148]本明細書において引用した刊行物、特許出願及び特許を含めた全ての参考文献は、各参考文献が参照によって組み込まれることが個々に具体的に示され且つその全体が本明細書に記載されているのと同程度まで、参照によって本明細書に組み込まれる。
[0149]本発明を説明する文脈における(とりわけ、以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ(at least one)」並びに同様の指示対象の使用は、明細書中に特段示されていない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。1つ又は複数の項目の列挙に続く用語「少なくとも1つ」の使用(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)は、明細書中に特段示されていない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(A若しくはB)、又は列挙された項目の2つ以上の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」は、特段記されていない限り、オープンエンド用語(即ち、「含むが、限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書に特段示されていない限り、その範囲内の別個の値それぞれを個々に言及する簡略表記法としての役目を果たすことを意図したものにすぎず、別個の値それぞれが、本明細書に個々に記載されているかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に特段示されていない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適した順序で行うことができる。本明細書において提示される任意の例及び全ての例又は例示的な語(例えば「等」)の使用は、本発明をより良く明らかにすることを意図したものにすぎず、特許請求されていない限り、本発明の範囲を限定しようとするものではない。本明細書におけるいかなる語も、特許請求されていない要素を、本発明の実践のために不可欠なものとして示していると解釈されるべきではない。
【0145】
[0150]発明者らが知っているこの発明を実施するための最良の形態を含めて、本発明の好ましい実施形態を本明細書に記載する。以上の記載を読んだ当業者には、これらの好ましい実施形態の変形が明らかとなり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適宜採用することを予想しており、本発明者らは、本発明が具体的に本明細書に記載されたのとは異なって実践されることを意図している。従って、本発明は、本明細書に添付した特許請求の範囲に記載された主題の、準拠法によって許される全ての改変及び均等物を含む。さらに、上記の要素の、それらの全ての可能な変形における任意の組み合わせは、本明細書に特段示されていない限り又は文脈と明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。