【文献】
IT’s eye ラボラトリー・レポート 屋内GPSや無線LANを利用して来店者の行き先を予測できる動線解析技術,はいたっく ,株式会社日立製作所情報・通信システム社,2011年 3月11日,通巻526号,第17,18ページ
【文献】
小磯 貴史,歩行者動線分析システムを用いた大型家電量販店での行動分析 ,情報処理学会研究報告,日本,社団法人情報処理学会 ,2003年11月19日,Vol.2003 No.115,第61−66ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記部分経路の集合が、(1)前記店舗の入り口又はカート若しくはかご置き場から、ある商品を最初に購入しようとした位置までの部分経路、(2)ある商品を購入しようとした位置から次のある商品を購入しようとした位置までの部分経路、及び(3)ある商品を最後に購入しようとした位置から、前記店舗の精算所若しくは前記店舗の出口又はカート若しくはかご置き場までの部分経路の少なくとも1つの集合である、請求項5に記載の方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
まず、特許文献7に記載の発明に従い、電子棚札(ESL)からコンテンツを取得していく買物支援システムを利用すると、従来のPOSでは取れなかった実店舗での顧客の購買行動の把握が可能となる。従って、実店舗とECサイトとのデータを統合した新たなマーケティングやプロモーションが可能となる。特許文献7に記載の発明に従う買物支援システムでは、顧客は自ら所有しているモバイル処理装置(例えば、スマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末)、又は、例えば買い物カート、買い物かご、若しくはショッピングバッグに備え付けられているモバイル処理装置(例えば、タブレット端末、専用端末)、又は、ショッピングツール(例えば店舗が貸し出すツールであり、例えば店舗貸出しのタブレット端末又は専用スキャンデバイス(例えば、モトローラ(Motorola)社製MC17 Handheld Retail Mobile Computer))を利用して買物をする。しかしながら、当該モバイル処理装置を利用して取得できる情報は、どの商品をどういった時系列で見て購入したか又は購入しようとしたかという情報であり、その間に店舗内をどう移動したかという動線までは判らない。
【0016】
そこで、本発明は、上記モバイル処理装置を利用して取得できる情報を利用して、対象顧客本人又は他の顧客の過去の購買行動(例えば、動線や滞在時間)を基にして、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動(例えば、動線や滞在時間)を推定することを可能にする技法を提供することを目的とする。
【0017】
また、本発明は、上記顧客の上記推定した購買行動を可視化することを可能にする技法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、店舗のレイアウトや棚割を変更した後の購買行動の変化を可視化して検証することを可能にすることを目的とする。
【0018】
また、本発明は、顧客満足度(例えば、移動しやすい店舗のレイアウト、取りやすい商品の棚への配列)の向上、又は、店舗にとってスペースの有効活用による売り上げの向上を目的とした動線の最適化を可能にすることを目的とする。
【0019】
次に、スマートフォンの急速な普及により、Wi−Fi アクセス・ポイント(AP)、室内グローバル・ポジショニング・システム(GPS)、超音波、可視光、赤外線、iBeacon、又は、センサ統合及び自律航法を使った屋内測位が一般的になりつつある。室内GPSとして、例えばIMES(Indoor Messaging System)又はGPSリピータ方式が知られている。また、特に、超音波や可視光を使用すると、おおまかな位置情報の取得が、スマートフォンでなくても、比較的安価な装置で出来るようになってきている。しかしながら、これら技術を使用しても、必要なときに、対象顧客の位置情報が必ずしも取得出来るわけでない。
【0020】
そこで、本発明は、買い物客が持つショッピングバッグ、カゴ若しくはカートに装着した装置が店舗内に設置された位置情報IDを取得し、又は、当該装着した装置固有のIDを店舗内に設置された位置情報取得装置で取得し、購入した商品情報とともに当該位置情報ID又は装置固有のIDからでも、店舗内又は店舗間での対象顧客の購買行動(例えば、動線や滞在時間)を推定することを可能にする技法を提供することを目的とする。また、本発明は、上記顧客がどのような順序で商品を購入したかを推定することを可能にする技法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、従来のPOSからは取得することができなかった実店舗での対象顧客の購買行動の把握が可能となり、実店舗とECサイトのデータを統合した新たなマーケティングやプロモーションを可能とすることを目的とする。
【0021】
さらに、本発明は、店舗内又は店舗間における顧客の上記購買行動を可視化するコンピュータ・システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、顧客の購買行動を推定する技法を提供する。当該技法は、顧客の購買行動を推定する方法、顧客の購買行動を推定するコンピュータ・システム、並びに、顧客の購買行動を推定するコンピュータ・プログラム及びそのコンピュータ・プログラム製品を包含しうる。
【0023】
(本発明に従う第1の実施態様)
【0024】
本発明に従う第1の実施態様において、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する方法は、コンピュータ・システムが、
(a)対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で購入した又は購入しようとした商品の商品情報、並びに、上記店舗のレイアウト情報及び上記店舗の棚割情報を取得するステップと、
(b)(b−1)1又は複数の顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、及び(b−2)上記対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報のうちの少なくとも一方の経路情報を読み出すステップと、
(c)上記ステップ(b)で読み出した経路情報から得られる傾向に従って、上記ステップ(a)で取得した各情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップと
を実行することを含む。
【0025】
(本発明に従う第2の実施態様)
【0026】
本発明に従う第2の実施態様において、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する方法は、コンピュータ・システムが、
(a)対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で購入した又は購入しようとした商品の商品情報、並びに、上記店舗のレイアウト情報及び上記店舗の棚割情報を取得するステップであって、上記商品情報が、上記対象顧客に関連付けられた装置から取得した上記対象顧客が購入した又は購入しようとした商品の識別情報及び、上記識別情報を読み取った時刻である、上記取得するステップと、
(b)(b−1)1又は複数の顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、及び(b−2)上記対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報のうちの少なくとも一方の経路情報を読み出すステップと、
(c)(c2−1)上記対象顧客に関連付けられた装置から取得した上記対象顧客が購入した又は購入しようとした商品の識別情報及び、上記識別情報を読み取った時刻、並びに、上記レイアウト情報又は上記棚割情報から、上記対象顧客の位置情報及び当該位置にいた時刻を算出するステップと、
(c2−2)上記ステップ(b)で読み出した経路情報から得られる傾向に従って、上記ステップ(a)で取得した各情報並びに上記対象顧客の上記算出した位置情報及び時刻に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を実行することを含む。
【0027】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記ステップ(b)で読み出した経路情報から上記店舗内又は上記店舗間での2点間の平均移動速度を算出するステップと、
上記対象顧客の上記算出した位置情報及び上記時刻情報を用いて、上記対象顧客についての上記店舗内又は上記店舗間での2点間の移動速度が上記算出した平均移動速度に近づくように、上記対象顧客の動線を推定するステップと
を含みうる。
【0028】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記ステップ(b)で読み出した経路情報が部分経路の集合に分割されており、
上記動線を推定するステップ(c)が、
上記部分経路の集合を最もよく説明できる経路コストの重みを算出するステップと、
上記経路コストの重み並びに上記対象顧客の上記算出した位置情報及び上記時刻を使用して、上記対象顧客についての上記店舗内又は上記店舗間での2点間をつなぐ経路を推定するステップと
を含みうる。
【0029】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記経路を推定するステップが、
最短経路問題を解くことによって、上記重み付き経路コストを最小とする経路を上記対象顧客の動線として推定するステップ
を含みうる。
【0030】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記経路を推定するステップが、
同じ商品Xが複数の異なる場所に配置されており、且つ、商品A、商品X及び商品Bの順に購入しようとした場合に、上記商品Aを購入しようとした場所から上記商品Xを購入しようとした場所までの経路コストと、上記商品Xを購入しようとした場所から上記商品Bを購入しようとした場所までの経路コストとの合計が最小になるような場所で上記商品Xを購入しようとしたと推定するステップ
をさらに含みうる。
【0031】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記部分経路の集合が、(1)上記店舗の入り口又はカート若しくはかご置き場から、ある商品を最初に購入しようとした位置までの部分経路、(2)ある商品を購入しようとした位置から次のある商品を購入しようとした位置までの部分経路、及び(3)ある商品を最後に購入しようとした位置から、上記店舗の精算所又は商品受け取りカウンター若しくは上記店舗の出口又はカート若しくはかご置き場までの部分経路の少なくとも1つの集合でありうる。
【0032】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記対象顧客に関連付けられた装置から取得した上記対象顧客が購入した又は購入しようとした商品の識別情報及び、上記識別情報を読み取った時刻、並びに、上記レイアウト情報又は上記棚割情報から、上記対象顧客の位置情報及び当該位置にいた時刻を算出し、当該算出した位置情報及び時刻と、上記ステップ(b)で読み出した経路情報とを比較し、類似性の高い移動経路を示す経路情報を抽出するステップと、
上記抽出した経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップと
を含みうる。
【0033】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、上記経路情報内に含まれる頻度の高い動線を示す経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を含みうる。
【0034】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、上記対象顧客の経路情報を他の顧客の経路情報よりも優先して選択し、当該選択された経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を含みうる。
【0035】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、買物カテゴリ又は買物商品が同一又は類似する1又は複数の顧客の経路情報を優先して選択し、当該選択された経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を含みうる。
【0036】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、上記対象顧客の年齢、性別、又は移動速度が同一又は類似する1又は複数の顧客の経路情報を優先して選択し、当該選択された経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を含みうる。
【0037】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記比較によって類似性の高い移動経路が抽出されなかったことに応じて、上記取得した移動経路のうちの買物地点を少なくとも1つ減らした移動経路と上記ステップ(b)で読み出した経路情報とを比較し、類似性の高い移動経路を示す経路情報を抽出するステップと、
上記抽出した経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップと
を含みうる。
【0038】
本発明に従う第2の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記比較によって抽出された移動経路に基づく上記対象顧客の購買行動の説明に剥離度が発生することに応じて、上記店舗のレイアウト情報及び店舗の棚割情報の少なくとも1つを修正するステップ
をさらに含みうる。
【0039】
(本発明に従う第3の実施態様)
【0040】
本発明に従う第3の実施態様において、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する方法は、コンピュータ・システムが、
(a)(a3−1)対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で購入した商品の商品情報、並びに、上記店舗のレイアウト情報及び上記店舗の棚割情報を取得するステップであって、上記商品情報が、上記対象顧客が購入した商品の識別情報である、上記取得するステップと、
(a3−2)上記対象顧客の位置情報及び当該位置にいた時刻を、上記店舗内又は上記店舗間に備え付けられた装置又は上記対象顧客に関連付けられた装置から取得するステップと
(b)(b−1)1又は複数の顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、及び(b−2)上記対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報のうちの少なくとも一方の経路情報を読み出すステップと、
(c)(c3−1)上記取得するステップ(a)で取得した各情報、並びに、上記レイアウト情報又は上記棚割情報から上記対象顧客の上記店舗内又は上記店舗間の移動経路を取得するステップと、
(c3−2)上記取得するステップ(a)で取得した各情報及び上記取得した移動経路から、上記対象顧客が購入した商品の少なくとも1つの購入順序を推定するステップと
(c3−3)上記ステップ(b)で読み出した経路情報から得られる傾向に従って、上記ステップ(a)で取得した各情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップと
を実行することを含む。
【0041】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記取得した移動経路及び上記推定した購入順序から、上記対象顧客の位置情報及び当該位置にいた情報を算出するステップ
をさらに含み、
上記動線を推定するステップ(c)が、
上記ステップ(b)で読み出した経路情報から得られる傾向に従って、上記ステップ(a)で取得した各情報並びに上記対象顧客の上記算出した位置情報及び時刻に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を含みうる。
【0042】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記ステップ(b)で読み出した経路情報から上記店舗内又は上記店舗間での2点間の平均移動速度を算出するステップと、
上記対象顧客の上記算出した位置情報及び上記時刻情報を用いて、上記対象顧客についての上記店舗内又は上記店舗間での2点間の移動速度が上記算出した平均移動速度に近づくように、上記対象顧客の動線を推定するステップと
を含みうる。
【0043】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記ステップ(b)で読み出した経路情報が部分経路の集合に分割されており、
上記動線を推定するステップ(c)が、
上記部分経路の集合を最もよく説明できる経路コストの重みを算出するステップと、
上記経路コストの重み並びに上記対象顧客の上記算出した位置情報及び上記時刻を使用して、上記対象顧客についての上記店舗内又は上記店舗間での2点間をつなぐ経路を推定するステップと
を含みうる。
【0044】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記経路を推定するステップが、
最短経路問題を解くことによって、上記重み付き経路コストを最小とする経路を上記対象顧客の動線として推定するステップ
を含みうる。
【0045】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記経路を推定するステップが、
同じ商品Xが複数の異なる場所に配置されており、且つ、商品A、商品X及び商品Bの順に購入しようとした場合に、上記商品Aを購入しようとした場所から上記商品Xを購入しようとした場所までの経路コストと、上記商品Xを購入しようとした場所から上記商品Bを購入しようとした場所までの経路コストとの合計が最小になるような場所で上記商品Xを購入しようとしたと推定するステップ
をさらに含みうる。
【0046】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記部分経路の集合が、(1)上記店舗の入り口又はカート若しくはかご置き場から、ある商品を最初に購入しようとした位置までの部分経路、(2)ある商品を購入しようとした位置から次のある商品を購入しようとした位置までの部分経路、及び(3)ある商品を最後に購入しようとした位置から、上記店舗の精算所若しくは上記店舗の出口又はカート若しくはかご置き場までの部分経路の少なくとも1つの集合でありうる。
【0047】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記取得した移動経路と上記ステップ(b)で読み出した経路情報とを比較し、類似性の高い移動経路を示す経路情報を抽出するステップと、
上記抽出した経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップと
を含みうる。
【0048】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、上記経路情報内に含まれる頻度の高い動線を示す経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を含みうる。
【0049】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、上記対象顧客の経路情報を他の顧客の経路情報よりも優先して選択し、当該選択された経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を含みうる。
【0050】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、買物カテゴリ又は買物商品が同一又は類似する1又は複数の顧客の経路情報を優先して選択し、当該選択された経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を含みうる。
【0051】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、上記対象顧客の年齢、性別、又は移動速度が同一又は類似する1又は複数の顧客の経路情報を優先して選択し、当該選択された経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップ
を含みうる。
【0052】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記比較によって類似性の高い移動経路が抽出されなかったことに応じて、上記取得した移動経路のうちの買物地点を少なくとも1つ減らした移動経路と上記ステップ(b)で読み出した経路情報とを比較し、類似性の高い移動経路を示す経路情報を抽出するステップと、
上記抽出した経路情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定するステップと
を含みうる。
【0053】
本発明に従う第3の実施態様の一つにおいて、上記動線を推定するステップ(c)が、
上記比較によって抽出された移動経路に基づく上記対象顧客の購買行動の説明に剥離度が発生することに応じて、上記店舗のレイアウト情報及び店舗の棚割情報の少なくとも1つを修正するステップ
をさらに含みうる。
【0054】
(本発明に従う第4の実施態様;上記第1の実施態様と同様である)
【0055】
本発明に従う第4の実施態様において、店舗内又は上記店舗間における顧客の購買行動を推定するコンピュータ・システムは、
対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で購入した又は購入しようとした商品の商品情報、並びに、上記店舗のレイアウト情報及び上記店舗の棚割情報を取得する情報取得部と、
(b−1)1又は複数の顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、及び(b−2)上記対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報のうちの少なくとも一方の経路情報を読み出す経路情報読み出し部と、
上記経路情報読み出し部が読み出した経路情報から得られる傾向に従って、上記情報取得部が取得した各情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定する動線推定部と
を備えている。
【0056】
(本発明に従う第5の実施態様;上記第2の実施態様と同様である)
【0057】
本発明に従う第5の実施態様において、店舗内又は上記店舗間における顧客の購買行動を推定するコンピュータ・システムは、
対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で購入した又は購入しようとした商品の商品情報、並びに、上記店舗のレイアウト情報及び上記店舗の棚割情報を取得する情報取得部であって、上記商品情報が、上記対象顧客に関連付けられた装置から取得した上記対象顧客が購入した又は購入しようとした商品の識別情報及び、上記識別情報を読み取った時刻である、上記情報取得部と、
(b−1)1又は複数の顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、及び(b−2)上記対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報のうちの少なくとも一方の経路情報を読み出す経路情報読み出し部と、
上記対象顧客に関連付けられた装置から取得した上記対象顧客が購入した又は購入しようとした商品の識別情報及び、上記識別情報を読み取った時刻、並びに、上記レイアウト情報又は上記棚割情報から、上記対象顧客の位置情報及び当該位置にいた時刻を算出し、上記経路情報読み出し部が読み出した経路情報から得られる傾向に従って、上記情報取得部が取得した各情報並びに上記対象顧客の上記算出した位置情報及び時刻に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定する動線推定部と
を備えている。
【0058】
(本発明に従う第6の実施態様;上記第3の実施態様と同様である)
【0059】
本発明に従う第6の実施態様において、店舗内又は上記店舗間における顧客の購買行動を推定するコンピュータ・システムは、
対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で購入した商品の商品情報、並びに、上記店舗のレイアウト情報及び上記店舗の棚割情報を取得する情報取得部であって、上記商品情報が、上記対象顧客が購入した商品の識別情報であり、上記対象顧客の位置情報及び当該位置にいた時刻を、上記店舗内又は上記店舗間に備え付けられた装置又は上記対象顧客に関連付けられた装置から取得する、上記情報取得部と、
(b−1)1又は複数の顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、及び(b−2)上記対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報のうちの少なくとも一方の経路情報を読み出す経路情報読み出し部と、
上記情報取得部が取得した各情報、並びに、上記レイアウト情報又は上記棚割情報から上記対象顧客の上記店舗内又は上記店舗間の移動経路を取得し、上記情報取得部が取得した各情報及び上記取得した移動経路から、上記対象顧客が購入した商品の少なくとも1つの購入順序を推定し、上記経路情報読み出し部が読み出した経路情報から得られる傾向に従って、上記情報取得部が取得した各情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定する動線推定部と
を備えている。
【0060】
本発明に従う第6の実施態様の一つにおいて、上記動線推定部が、
上記取得した移動経路及び上記推定した購入順序から、上記対象顧客の位置情報及び当該位置にいた情報を算出し、
上記経路情報読み出し部が読み出した経路情報から得られる傾向に従って、上記情報取得部が取得した各情報並びに上記対象顧客の上記算出した位置情報及び時刻に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定しうる。
【0061】
(本発明に従う第7の実施態様)
【0062】
また、本発明に従う第7の実施態様において、コンピュータ・プログラム及びコンピュータ・プログラム製品はそれぞれ、上記コンピュータ・システムに、本発明に従う第1、第2又は第3の実施態様に記載の店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する方法の各ステップを実行させる。
【0063】
本発明の実施態様に従うコンピュータ・プログラムはそれぞれ、一つ又は複数のフレキシブル・ディスク、MO、CD−ROM、DVD、BD、ハードディスク装置、USBに接続可能なメモリ媒体、ROM、MRAM、RAM等の任意のコンピュータ・システム読み取り可能な記録媒体に格納することができる。当該コンピュータ・プログラムは、記録媒体への格納のために、通信回線で接続する他のデータ処理システム、例えばコンピュータからダウンロードしたり、又は他の記録媒体から複製したりすることができる。また、本発明の実施態様に従うコンピュータ・プログラムは、圧縮し、又は複数に分割して、単一又は複数の記録媒体に格納することもできる。また、様々な形態で、本発明の実施態様に従うコンピュータ・プログラム製品を提供することも勿論可能であることにも留意されたい。本発明の実施態様に従うコンピュータ・プログラム製品は、例えば、上記コンピュータ・プログラムを記録した記憶媒体、又は、上記コンピュータ・プログラムを伝送する伝送媒体を包含しうる。
【0064】
本発明の上記概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの構成要素のコンビネーション又はサブコンビネーションもまた、本発明となりうることに留意すべきである。
【0065】
本発明の実施態様において使用されるコンピュータ・システムの各ハードウェア構成要素を、複数のマシンと組み合わせ、それらに機能を配分し実施する等の種々の変更は当業者によって容易に想定され得ることは勿論である。それらの変更は、当然に本発明の思想に包含される概念である。ただし、これらの構成要素は例示であり、そのすべての構成要素が本発明の必須構成要素となるわけではない。
【0066】
また、本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、又は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現可能である。ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによる実行において、上記顧客の購買行動を推定するコンピュータ・プログラムをインストールされたコンピュータ・システムにおける当該コンピュータ・プログラムの実行が典型的な例として挙げられる。かかる場合、当該コンピュータ・プログラムが当該コンピュータ・システムのメモリにロードされて実行されることにより、当該コンピュータ・プログラムは、当該コンピュータ・システムを制御し、本発明にかかる処理を実行させる。当該コンピュータ・プログラムは、任意の言語、コード、又は、表記によって表現可能な命令群から構成されうる。そのような命令群は、当該コンピュータ・システムが特定の機能を直接的に、又は、1.他の言語、コード若しくは表記への変換及び、2.他の媒体への複製、のいずれか一方若しくは双方が行われた後に、実行することを可能にするものである。
【発明の効果】
【0067】
本発明の実施態様に従うと、例えば運営者(例えば、店舗運営者、ショッピング・センター運営者、マーケティング会社(例えば、マーケティングを本業に行う会社、クレジット会社のような決済ビジネスの一貫として加盟店のコンサルティングを行う会社、又は、顧客の購買履歴を販売する情報販売会社)、商品メーカー、商品問屋)は、顧客の店舗内又は店舗間における動線をより精度良く推定することが可能になる。
【0068】
また、本発明の実施態様に従うと、上記運営者は、顧客の動線を有効に制御して、売り上げを向上させる為に、当該推定した動線を用いて、店舗内の棚割やレイアウトを効率的に変更することが可能になる。さらに、本発明の実施態様に従うと、上記運営者は、顧客満足度(例えば、移動しやすい店舗のレイアウト、取りやすい商品の棚への配列)の向上、又は、店舗にとってスペースの有効活用による売り上げの向上を目的とした動線の最適化が可能になる。
【0069】
また、本発明の実施態様に従うと、上記運営者は、顧客の動線を有効に制御して、売り上げを向上させる為に、当該推定した店舗間の動線を用いて、他の販売店(例えば、同じモール内にある他の販売店)と協力して、店舗内の棚割やレイアウトを効率的に行うことが可能になる。さらに、本発明の実施態様に従うと、上記運営者は、店舗又は店舗間のレイアウトや棚割を変更した後の購買行動の変化を可視化して検証することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0071】
本発明の実施形態を、以下に図面に従って説明する。以下の図を通して、特に断らない限り、同一の符号は同一の対象を指す。本発明の実施形態は、本発明の好適な態様を説明するためのものであり、本発明の範囲をここで示すものに限定する意図はないことを理解されたい。
【0072】
図1は、本発明の実施態様において使用されうるコンピュータ・システムを実現するためのハードウェア構成の一例を示した図である。
【0073】
本発明の実施態様に従うコンピュータ・システム(101)は、1又は複数のコンピュータから構成されうる。複数のコンピュータは例えば、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせが異なる仕様のコンピュータから構成されていてもよい。また、複数のコンピュータは、互いに直接接続されていてもよく、またはネットワークを介して互いに接続されていてもよい。また、コンピュータ・システム(101)は、物理的なコンピュータでなく、例えばデータ・センタなどの設置されたコンピュータ上で実現される仮想マシン、又はクラウド環境(例えば、インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション(登録商標)によって提供されているSoftLayer(登録商標))であってもよい。
【0074】
コンピュータ・システム(101)は例えば、コンピュータ(例えば、デスクトップ・コンピュータ、ノート・コンピュータ、ウルトラブック、又はサーバ・コンピュータ)でありうる。
【0075】
コンピュータ・システム(101)は、CPU(102)とメイン・メモリ(103)とを備えており、これらはバス(104)に接続されている。CPU(102)は好ましくは、32ビット又は64ビットのアーキテクチャに基づくものである。当該CPU(102)は例えば、インテル社のCore(商標) iシリーズ、Core(商標) 2シリーズ、Atom(商標)シリーズ、Xeon(登録商標)シリーズ、Pentium(登録商標)シリーズ若しくはCeleron(登録商標)シリーズ、AMD(Advanced Micro Devices)社のAシリーズ、Phenom(商標)シリーズ、Athlon(商標)シリーズ、Turion(商標)シリーズ若しくはSempron(商標)、又は、インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションのPower(商標)シリーズでありうる。
【0076】
バス(104)には、ディスプレイ・コントローラ(105)を介して、ディスプレイ(106)、例えば液晶ディスプレイ(LCD)が接続されうる。また、液晶ディスプレイ(LCD)は例えば、タッチパネル・ディスプレイ又はフローティング・タッチ・ディスプレイであってもよい。ディスプレイ(106)は、コンピュータ・システム(101)上で動作中のソフトウェア、例えば本発明に従う第7の実施態様のコンピュータ・プログラムが稼働することによって表示される情報、例えば店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を、適当なグラフィック・インタフェースで表示するために使用されうる。
【0077】
バス(104)には任意的に、例えばSATA又はIDEコントローラ(107)を介して、記憶装置(108)、例えばハードディスク又はソリッド・ステート・ドライブに接続されうる。
【0078】
バス(104)には任意的に、例えばSATA又はIDEコントローラ(107)を介して、記憶装置(108)、ドライブ(109)、例えばCD、DVD又はBDドライブが接続されうる。
【0079】
バス(104)には、周辺装置コントローラ(110)を介して、例えばキーボード・マウス・コントローラ又はUSBバスを介して、任意的に、キーボード(111)及びマウス(112)が接続されうる。
【0080】
記憶装置(108)には、オペレーティング・システム、Windows(登録商標)OS、UNIX(登録商標)、Linux(登録商標)(例えば、Red Hat(登録商標)、Debian(登録商標))、MacOS(登録商標)、及びJ2EEなどのJava(登録商標)処理環境、Java(登録商標)アプリケーション、Java(登録商標)仮想マシン(VM)、Java(登録商標)実行時(JIT)コンパイラを提供するプログラム、本発明の実施態様に従うコンピュータ・プログラム、及びその他のプログラム、並びにデータ(例えば、商品の商品情報、店舗のレイアウト情報及び店舗の棚割情報、又は、1又は複数の顧客が店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、及び対象顧客が店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報のうちの少なくとも一方の経路情報)が、メイン・メモリ(103)にロード可能なように記憶されうる。
【0081】
記憶装置(108)は、コンピュータ・システム(101)内に内蔵されていてもよく、当該コンピュータ・システム(101)がアクセス可能なようにケーブル(例えば、USBケーブル)を介して接続されていてもよく、又は、当該コンピュータ・システム(101)がアクセス可能なように有線又は無線ネットワークを介して接続されていてもよい。
【0082】
ドライブ(109)は、必要に応じて、例えばCD−ROM、DVD−ROM又はBD−ROMからプログラム、例えばオペレーティング・システム、又はアプリケーション・プログラム(例えば、本発明に従う第7の実施態様のコンピュータ・プログラム)を記憶装置(108)にインストールするために使用されうる。
【0083】
通信インタフェース(114)は、例えばイーサネット(登録商標)・プロトコルに従う。通信インタフェース(114)は、通信コントローラ(113)を介してバス(104)に接続され、コンピュータ・システム(101)を通信回線(115)に有線又は無線接続する役割を担い、コンピュータ・システム(101)のオペレーティング・システムの通信機能のTCP/IP通信プロトコルに対して、ネットワーク・インタフェース層を提供する。通信回線は例えば、有線LAN接続規格に基づく有線LAN環境、又は無線LAN接続規格に基づく無線LAN環境、例えばIEEE802.11a/b/g/nなどのWi−Fi無線LAN環境、若しくは携帯電話網環境(例えば、3G、又は4G(LTEを含む)環境)でありうる。
【0084】
コンピュータ・システム(101)は、通信回線(115)を介して例えば他の装置(例えば、他のコンピュータ(例えば、サーバ・コンピュータ)又はネットワーク・アタッチト・ストレージ)からのデータを受信し、記憶装置(108)上に格納しうる。
【0085】
以下において、本発明に従う第1の実施態様を下記
図2並びに下記
図3A〜
図3Bに基づいて説明する。
【0087】
図2は、本発明に従う第1の実施態様に従い、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を行う為のフローチャートを示す。
図3A及び
図3Bそれぞれは、
図2に示すフローチャートの処理において使用されうる店舗内のレイアウト情報及び店舗内の棚割情報の各例を示す。
【0088】
ステップ201において、コンピュータ・システム(101)は、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を開始する。
【0089】
本発明の実施態様において、「店舗内」とは1つの店舗(単一店舗)内を意味する。1つの店舗は、複数階からなる店舗や、異なる建物からなる1つの店舗(例えば、本館と別館)も包含する。また、建物として1つの店舗であっても、当該店舗内に複数のテナントが入っている場合には、各テナントを単一店舗とみなすことができる。
【0090】
本発明の実施態様において、「店舗間」とは、2以上の店舗間を意味する。2以上の店舗は例えば、サンプル展示型の店舗、ショッピング・センター若しくはショッピング・モール、又は、異業種協賛型若しくは共同出店型の店舗(例えば、ビックカメラ(登録商標)とユニクロ(登録商標)との共同出店であるビックロ)を包含する。2以上の店舗は、1つの階に分散された店舗、又は複数階に分散された店舗も包含する。
【0091】
本発明の実施態様において、「購買行動」とは、顧客の動線や滞在時間を包含しうる。滞在時間とは、特定の売り場(特定の棚の前、特定のセンサーの前)での滞在時間、及び、商業施設(例えば、店舗や複数店舗)での滞在時間を包含するが、特に限定しない場合は両者を包含する。
【0092】
ステップ202において、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が店舗内又は店舗間で購入した又は購入しようとした商品の商品情報、並びに、当該店舗のレイアウト情報及び当該店舗の棚割情報をそれぞれ取得する。「購入しようとした」とは例えば、(1)商品を「購入しようとした」が止めた、(2)商品を「購入しようとして」購入した(例えば、商品タグをスキャンニングした)が、精算する前にキャンセルして購入をやめた、及び(3)商品を「購入しようとした」後、購入し、さらに精算した、の各態様、並びに、それらの組み合わせを包含しうる。「購入しようとした」とは具体的には例えば、サンプル展示型店舗のように、商品そのものは手に取ることなしに、商品タグをスキャンニングして購入意思を示す処理をするような場合や、家具販売店舗において、大型家具のように商品そのものを手に取ることが難しい為に、商品タグをスキャンニングして購入意思を示す処理をするような場合を含みうる。
【0093】
本発明の実施態様において、「対象顧客」とは、店舗内又は店舗間での動線を推定する対象となる顧客を意味する。対象顧客は、1又は複数の顧客であってもよい。対象顧客は、例えば購買行動を推定する処理の管理者によって指定されうる。代替的には、対象顧客は、コンピュータ・システム(101)によって自動的に選択されうる。当該選択は、例えば、特定の店舗、特定の時間帯、動線の推定対象となりうる顧客の嗜好(例えば、購入商品の嗜好)、動線の推定対象となりうる顧客の特徴(例えば、年齢、性別、職業)に従って行われうる。
【0094】
本発明の実施態様において、「商品の商品情報」とは、当該商品の識別情報、及び任意的に、商品を購入しようとした時刻(すなわち、商品の識別情報を取得するための情報、例えばバーコードを対象顧客がスキャンニングした時刻又は商品それ自体を撮影した時刻でもありうる)又は商品を購入した時刻(商品の購入意思を示す処理の為の購入ボタン(対象顧客に関連付けられた装置上に備えられているか、又は当該装置上の画面上に表示されうる)を対象顧客が押した時刻、又は、商品の代金を精算所、例えばPOS端末若しくは自動精算機で精算した時刻、又は、オンライン精算した時刻でありうる)を含みうる。「時刻」は、時、分及び秒に加えて、年、月及び日によって表現されうる。また、「商品の商品情報」は、任意的に、商品を購入した上記時刻の後に、商品の購入をキャンセルした時刻、及び任意的に、当該キャンセルをした場所(例えば、当該キャンセルした商品が元の棚に戻ったと推定される位置)を含みうる。「商品の商品情報」は、商品ごと(すなわち、識別情報が異なる商品ごと)に用意されうる。商品の商品情報が商品の識別情報及び当該商品を購入した時刻を含む場合には、コンピュータ・システム(101)は、当該商品の購入順序を時系列的に取得可能である。また、商品の商品情報が、商品の識別情報及び当該商品を購入しようとした時刻を含む場合には、コンピュータ・システム(101)は、当該商品を購入しようとして当該商品のバーコードをスキャンニングした順序を時系列的に取得可能である。さらに、商品の商品情報が、商品の識別情報並びに、当該商品を購入した時刻及び当該商品を購入しようとした時刻(商品のバーコードを対象顧客がスキャンニングした時刻でもありうる)を含む場合には、コンピュータ・システム(101)は、当該商品のバーコードをスキャンニングした順序及び当該商品の購入順序を時系列的に取得可能である。
【0095】
コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が店舗内又は店舗間で購入した又は購入しようとした商品の商品情報を例えば、以下に示す「(1)商品情報取得手法」又は「(2)商品情報取得手法」により取得しうる。
【0096】
(1)「商品情報取得手法」:対象顧客が、当該対象顧客に関連付けられた装置を使用して、購入しようとする商品に付されたバーコード(例えば、1次元バーコード、2次元バーコード又は3次元バーコード)や、購入しようとする商品が置かれた棚に付されたバーコード(例えば、1次元バーコード、2次元バーコード又は3次元バーコード)をスキャンニングし、当該スキャンニングした情報から商品情報を取得しうる。代替的には、対象顧客は、当該装置のカメラを使用して、購入しようとする商品それ自体を撮影し、当該撮影物から商品を特定し、当該特定した商品に基づいて、商品情報を取得しうる。代替的には、対象顧客は、当該装置を使用して、商品の値札に内蔵された近距離無線通信機能(例えば、近接場型の無線通信(NFC))から情報を受信して、当該受信した情報に基づいて、商品情報を取得しうる。当該装置は、当該対象顧客が所有するモバイル処理装置(例えば、スマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末)、又は、例えば買い物カート、買い物かご若しくはショッピングバッグに備え付けられているモバイル処理装置(例えば、タブレット端末、専用端末、又はセルフスキャンニング装置(例えば、Carrefourによるセルフスキャン、又はセルフサービス・キオスク(self service kiosks)))でありうる。当該対象顧客が所有するモバイル処理装置は、当該対象顧客を識別を可能にする為の識別番号(例えば、当該モバイル処理装置に固有の番号(例えば、製造番号)若しくはMACアドレス、又は、当該対象顧客に関連付けられた固有の番号)を有している。当該識別番号は、モバイル処理装置から顧客を識別することが可能であるものであれば特に限定はされない。当該識別番号から一意に顧客が決定できれば、例えば、モバイル処理装置と顧客とが1:1の関係にある必要はなく、例えば顧客に関連付けられた複数のモバイル処理装置(例えば、スマートフォンと買い物かご)に同一の識別番号が割り当てられていてもよい。また、買い物カート、買い物かご若しくはショッピングバッグに備え付けられているモバイル処理装置は、上記対象顧客を識別することを可能にする為に、カード(例えば、クレジットカード、デービットカード若しくはキャッシュカード、又は、ポイントカード、お得意様カード若しくはメンバーズカード)を挿入するためのカード挿入口、又は当該カードから情報を読み取るためのスキャナー若しくはNFCリーダー、上記対象顧客を識別することを可能にする為のチップ(例えば、SDカード)を挿入する為のカード挿入口又は当該チップから情報を読み取るためのNFCリーダー、又は、上記対象顧客を識別することを可能にする為のコード番号を入力可能にする機能を有しうる。対象顧客に関連付けられた上記装置は、上記バーコードを読み取り可能な手段、例えばバーコードリーダー、バーコードスキャナー、又は、上記商品を撮影可能な手段、例えばカメラを備えうる。2次元バーコードは例えば、QRコード(登録商標)、マイクロQRコード(登録商標)、又はiQRコード(登録商標)でありうる。上記装置は、上記バーコードのスキャンニングによって、購入しようとする商品の識別情報、例えばGTIN(Global Trade Item Numbers)、ISBN(International Standard Book Number)、JAN(Japanese Article Number)、EAN(European Article Number)、若しくはUPC(universal product code)、又は、販売店独自の識別番号(例えば、インストア・コード、ASIN(Amazon Standard Identification Numbers)を読み取り、例えば記憶装置に格納する。また、対象顧客に関連付けられた上記装置は、上記識別情報とともに、上記スキャンニングがされた時刻を上記記憶装置に格納しうる。また、対象顧客に関連付けられた上記装置が上記商品を購入することを決定する物理的な又は画面上のボタン(すなわち、商品の購入意思を示す処理の為の購入ボタンでありうる)を備えている場合、当該装置は、対象顧客が当該ボタンを押すことによって発生する購入決定の情報及び、任意的に当該ボタンが押された時刻を上記記憶装置に格納しうる。また、当該装置は、キャンセルした商品の識別情報及び当該キャンセルした時刻を上記記憶装置に格納しうる。上記のようにして、対象顧客に関連付けられた上記装置は、上記対象顧客が購入した又は購入しようとした商品の識別情報及び、任意的に商品の購入時刻を取得しうる。対象顧客に関連付けられた上記装置は、当該識別情報及び任意的に商品の購入時刻を、例えば商品代金の精算時に例えばPOS端末若しくは自動精算機(例えば、セルフレジ)を通じて、オンライン精算を通じて、又は、例えば所定の間隔毎に又は疎の間隔で店舗内に設置された受信機を通じて、例えばサーバ(例えば、コンピュータ・システム(101)でありうる)に送信しうる。代替的には、対象顧客に関連付けられた上記装置は、当該識別情報及び任意的に商品の購入時刻を、例えばサーバ(例えば、コンピュータ・システム(101)でありうる)からの要求に応じて、当該サーバに送信しうる。上記サーバは、上記識別情報を、商品情報を格納した記憶装置(例えば、データベース)(211)に格納しうる。上記のようにして、コンピュータ・システム(101)は、記憶装置(211)から、購入した商品(例えば、スキャンニングして、購入決定した商品)の識別情報及び当該商品の購入時刻(商品の購入順序の情報でもありうる)、購入しようとした商品(例えば、スキャンニングした商品)の識別情報及び当該商品を購入しようとした時刻(商品のバーコードをスキャンニングした時刻でもありうる)、並びに任意的に、キャンセルした商品の識別情報及び当該キャンセルした時刻を取得しうる。なお、商品の購入順序は、対象顧客が上記ボタンを押すことによって発生する購入決定の情報と、当該ボタンが押された時刻とから取得される。
【0097】
(2)「商品情報取得手法」:対象顧客が、POS端末又は自動精算機で、商品代金の精算をする。当該POS端末又は当該自動精算機は、当該精算を通じて、POS情報、すなわち、購入した商品の識別情報及び当該商品の購入時刻(すなわち、POS端末又は自動精算機により商品代金が精算された時刻である)を取得しうる。当該POS端末又は当該自動精算機は、当該取得した商品の識別情報及び任意的に購入時刻を、例えばサーバ(例えば、コンピュータ・システム(101)でありうる)に送信しうる。代替的には、当該取得した商品の識別情報及び任意的に購入時刻を、例えばサーバ(例えば、コンピュータ・システム(101)でありうる)からの要求に応じて、当該サーバに送信しうる。上記サーバは、上記商品の識別情報及び任意的に購入時刻を記憶装置(211)に格納しうる。上記のようにして、コンピュータ・システム(101)は、記憶装置(211)から、購入した商品の識別情報及び任意的に購入時刻を取得しうる。なお、当該POS端末及び当該自動精算機での商品代金の精算をした場合には、購入時刻とは上記の通り商品の購入代金が精算された時刻であるので、購入した商品を対象顧客が店舗内又は店舗間において経路上で購入決定した商品の購入順序は上記POS情報からは不明である。従って、購入決定した商品の購入順序は、他の情報から別途推定する必要がある。
【0098】
本発明の実施態様において、「店舗のレイアウト情報」とは、1又は複数の店舗における例えば、棚、POS端末、自動精算機、出入り口、商品受け取り場所(商品受け取りカウンター)、及びサービス・センターの少なくとも1以上の配置情報、並びに、通路部分の情報でありうる。店舗内における顧客の購買行動を推定する場合には、当該店舗のレイアウト情報が使用される。店舗間における顧客の購買行動を推定する場合には、当該店舗間に対応する複数の店舗それぞれのレイアウト情報が使用される。「店舗のレイアウト情報」は例えば、棚と店内位置とを関連付けた情報(例えば、
図3Aに記載の棚番号を参照)、POS端末と店内位置とを関連付けた情報(例えば、
図3Aに記載のPOS装置番号を参照)、自動精算機と店内位置とを関連付けた情報、出入り口と店内位置とを関連付けた情報(例えば、
図3Aに記載の出入り口番号を参照)、商品受け取り場所と店内位置とを関連付けた情報(例えば、
図3Aに記載の商品受取を参照)、サービス・センターと店内位置とを関連付けた情報、又は通路番号の情報(例えば、
図3Aに記載の通路番号を参照、例えば「通路5−12」は、「通路1」と「通路2」との間にある通路5であることを意味する)、棚番号(例えば、
図3Aに記載の棚番号を参照)、棚などの連結状況(すなわち、集合状態)、カート又は買い物かご置き場(例えば、
図3Aに記載のカート置場を参照)の情報でありうるがこれらに制限されるものでない。例えば、棚と店内位置とを関連付けた情報は例えば、棚に唯一に関連付けられた識別情報と、2次元又は3次元の位置情報で示される店内位置でありうる。棚と店内位置とを関連付けた情報は例えば、(棚1,店内位置(x1,y1,z1)),(棚2,店内位置(x2,y2,z2)),・・・,(棚n,店内位置(xn,yn,zn))でありうる。コンピュータ・システム(101)は、レイアウト情報を例えば、レイアウト情報を格納した記憶装置(212)から取得しうる。
【0099】
本発明の実施態様において、「店舗の棚割情報」とは、1又は複数の店舗における商品の陳列の情報である。店舗内における顧客の購買行動を推定する場合には、当該店舗の棚割情報である。店舗間における顧客の購買行動を推定する場合には、当該店舗間に対応する複数の店舗それぞれの棚割情報である。「店舗の棚割情報」は例えば、商品と店内位置とを関連付けた情報、又は、商品と棚位置とを関連付けた情報でありうるがこれらに制限されるものでない。商品と店内位置とを関連付けた情報は例えば、商品の識別情報と、2次元又は3次元の位置情報で示される店内位置とを含みうる。商品と店内位置とを関連付けた情報は例えば、(商品1,店内位置(x1,y1,z1)),(商品2,店内位置(x2,y2,z2)),・・・,(商品n,店内位置(xn,yn,zn))でありうる。また、商品と棚位置とを関連付けた情報は例えば、商品の識別情報と、棚位置に唯一に関連付けられた識別情報とを含みうる。商品と棚位置とを関連付けた情報は例えば、(商品1,棚位置(A1−1)),・・・,(商品4,棚位置(A1−2)),・・・,(商品56,棚位置(A6−4))でありうる(
図3Bを参照)。商品と店内位置とを関連付けた情報は例えば、プラノグラムソフト(棚割ソフト)を使用して作成されうる。コンピュータ・システム(101)は、棚割情報を例えば、棚割情報を格納した記憶装置(213)から取得しうる。棚割情報は、商品の位置情報を取得する為に使用されうる。
【0100】
ステップ203において、コンピュータ・システム(101)は、過去の経路情報を格納した記憶装置(214)から、(b−1)1又は複数の顧客(対象顧客若しくは対象顧客とは異なる顧客又はその組み合わせ、以下同じ)が店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、及び(b−2)対象顧客が店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報のうちの少なくとも一方の経路情報を読み出す。1又は複数の顧客が店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報は、1又は複数の顧客に、当該顧客それぞれの位置を追跡可能な装置を持って店舗内又は店舗間で買い物をしてもらい、その位置を追跡することによって得られたものでありうる。また、対象顧客が店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報は、当該対象顧客に、当該対象顧客それぞれの位置を追跡可能な装置を持って店舗内又は店舗間で買い物をしてもらい、その位置を追跡することによって得られたものでありうる。
【0101】
ステップ204において、コンピュータ・システム(101)は、ステップ203で読み出した過去の経路情報から得られる傾向に従って、ステップ202で取得した各情報に基づいて、店舗内又は店舗間での対象顧客の動線を推定する。さらに、コンピュータ・システム(101)は任意的に、対象顧客の推測した動線を、過去の経路情報を格納した記憶装置(214)へ追加することで、次回以降の予測に利用できるようにしうる(221)。
【0102】
コンピュータ・システム(101)は、対象顧客の位置情報及び当該位置にいた時刻を例えば、以下に示す(1)「位置情報及び時刻取得手法」又は(2)「位置情報及び時刻取得手法」により取得しうる。
【0103】
(1)「位置情報及び時刻取得手法」:コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が購入した又は購入しようとした商品の識別情報(当該対象顧客に関連付けられた装置から取得される)及び、対象顧客が購入した又は購入しようとした上記商品の識別情報を当該対象顧客に関連付けられた装置が読み取った時刻(例えば、スキャンニングした時刻)、並びに、ステップ202で取得したレイアウト情報又は棚割情報を参照(LOOK UP)して、当該対象顧客の位置情報を算出しうる。また、コンピュータ・システム(101)は、当該対象顧客の位置情報とともに、当該位置にいた時刻を算出しうる。コンピュータ・システム(101)は、当該位置情報の算出を例えば、店舗のレイアウト情報と商品の棚割情報とから商品の陳列位置情報を求め、当該陳列位置情報と商品の識別情報を上記装置が読み取った時刻とから、最終的に対象顧客が時刻tに位置pにいたことを算出しうる。また、コンピュータ・システム(101)は、商品の購入をキャンセルした時刻、及び任意的に、当該キャンセルをした場所(例えば、当該キャンセルした商品が元の棚に戻ったと推定される位置)を算出しうる。
【0104】
(2)「位置情報及び時刻取得手法」:対象顧客は、当該対象顧客に関連付けられた装置を所有している。当該装置は例えば、当該対象顧客が所有するモバイル処理装置(例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、又はウェアラブル・デバイス(例えば、リストバンド、リストウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ))、又は、例えば買い物カート、買い物かご若しくはショッピングバッグに備え付けられているモバイル処理装置(例えば、タブレット端末、専用端末)でありうる。当該装置は、店舗内又は店舗間の例えば天井、床、壁面若しくは棚に、又は、階段若しくは渡り廊下に設置された位置情報送出装置から位置情報又は位置情報IDを取得し、そして当該取得した位置情報又は位置情報ID及び当該位置情報又は位置情報IDを取得した時刻を、例えば商品代金の精算時に例えばPOS端末又は自動精算機を通じて、又は、例えば所定の間隔毎に又は疎の間隔で店舗内に設置された受信機を通じて、サーバに送信しうる。代替的には、当該装置は、当該装置の位置情報及び当該位置にいた時刻を、例えば所定の間隔毎に又は疎の間隔で店舗内に設置された受信機を通じて、サーバ(例えば、コンピュータ・システム(101)でありうる)に送信しうる。上記のようにして、コンピュータ・システム(101)は、上記対象顧客の店舗内での位置情報及び当該位置にいた時刻を取得しうる。なお、コンピュータ・システム(101)は、当該位置情報及び当該位置にいた時刻、並びに、購入した商品の識別情報及び棚割情報から、商品の購入順序をさらに推定しうる。
【0105】
ステップ205において、コンピュータ・システム(101)は、ステップ204で推定された動線を、例えば画面上で可視化する。
【0106】
ステップ206において、コンピュータ・システム(101)は、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を終了する。
【0107】
本発明に従う第1の実施態様は、本発明に従う第2の実施態様、及び、本発明に従う第3の実施態様、並びに、本発明に従う第2の態様と本発明に従う第3の態様とを組み合わせた態様を包含するものである。
【0108】
以下において、本発明に従う第2の実施態様を下記
図4A〜
図4C及び
図5に基づいて説明する。同様に、以下において、本発明に従う第3の実施態様を下記
図6A〜
図6E及び
図7に基づいて説明する。
【0110】
図4A〜
図4C及び
図5は、本発明に従う第2の実施態様に従い、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を説明するための図である。
【0111】
本発明に従う第2の実施態様では、対象顧客が、当該対象顧客に関連付けられた装置(以下、第1の装置ともいう)を使用する。当該第1の装置は、商品の識別番号を読み取り可能な手段、例えばバーコードを読み取り可能な手段、例えばバーコードリーダー若しくはバーコードスキャナー、RFID(
radio
frequency
identifier)、近距離無線通信(NFC)、iBeacon、ウェアラブル・デバイス(例えば、リストバンド、リストウォッチ、ヘッドマウントディスプレイ)、若しくはカメラによる商品の識別情報を読み取り可能な手段を備えていることを特徴とする。当該第1の装置は、当該対象顧客が所有するモバイル処理装置(例えば、スマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末)、又は、例えば買い物カート、買い物かご若しくはショッピングバッグに備え付けられているモバイル処理装置(例えば、タブレット端末、専用端末)でありうる。
【0112】
対象顧客は、当該第1の装置を使用して、購入しようとする商品に付されたバーコード(例えば、1次元バーコード、2次元バーコード又は3次元バーコード)や、購入しようとする商品が置かれた棚に付されたバーコード(例えば、1次元バーコード、2次元バーコード又は3次元バーコード)を、当該商品がある棚又はその近傍でスキャンニングしうる。代替的には、対象顧客は、当該第1の装置のカメラを使用して、購入しようとする商品それ自体を撮影しうる。代替的には、当該第1の装置がウェアラブル・デバイスである場合に、対象顧客が当該ウェアラブル・デバイスを装着し、商品を手に取ったり又は商品タグ(例えば、電子棚札)を触ったりすることで、当該ウェアラブル・デバイスが、微弱電流による人体通信によって、商品情報を取得しうる。また、対象顧客は、上記スキャンニング又は上記撮影後に、当該商品を購入する場合には、購入意思を示す処理(例えば、上記第1の装置上の購入ボタンを押したり、又は、上記第1の装置上の画面上に表示される購入ボタンを押したりする)をしうる。購入意思を示す処理は例えば、画面上のカートに商品を入れる処理でありうる。
【0113】
コンピュータ・システム(101)は、上記第1の装置による上記スキャンニング又は上記撮影によって、対象顧客が購入しようとする商品情報を取得することが可能になる。
図4Bは、本発明に従う第2の実施態様において使用されうる対象顧客に関連付けられた第1の装置において商品の購入処理操作に伴って表示されうる種々の画面(421)の一例を示す図である。以下において、対象顧客が当該画面を使用して、どのように商品を購入しようとするか及び購入するかをそれぞれ説明する。以下では、上記第1の装置による上記スキャンニングによって、対象顧客が購入しようとする商品情報を取得する場合を説明する。
【0114】
ステップ431において、第1の装置は、画面上に、買物メニュー(START)、商品受取メニュー(RECEIVE GOODS)及び個人プロファイルを登録するメニュー(PREFERENCE)を含む初期メニューを表示する。
【0115】
ステップ432〜444は、買物メニューが選択された後、顧客が、第1の装置を使用して、商品のバーコードをスキャンニングして、当該商品の購入代金を精算するまでのステップを示す。
【0116】
ステップ432において、顧客は、当該初期メニュー画面から、買物メニューを選択したとする。第1の装置は、買物メニューが選択されたことに応じて、買物開始及びその時刻情報(TS1)を記録しうる。第1の装置は例えば、所定の時間経過後に、又は、例えば画面上の「開始」(Start)ボタンが押されることによって、処理をステップ433に進める。
【0117】
ステップ433において、顧客が店舗内を移動し、当該店舗内に購入しようとする商品があったとする。顧客は、購入しようとする商品に付されたバーコード又は購入しようとする商品が置かれた棚に付されたバーコードをスキャンニングする。
【0118】
また、ステップ433において、第1の装置は、商品が選択されたこと(すなわち、購入しようとする商品の識別情報が認識されたこと)及びその時刻情報(TS2)を記録しうる。また、第1の装置は、購入しようとする商品の商品情報を取得しうる。
【0119】
また、ステップ433において、第1の装置は、上記スキャンニングに応答して、当該スキャンニング中のバーコードを画面上に表示する。
【0120】
ステップ434において、第1の装置は、上記バーコードの認識結果である識別情報に関連付けられた商品の情報、例えば商品名、値段(売値、定価)、購入予定数量、割引率、配送の有無、購入するかどうかのボタン、商品のメーカー、又は、商品の性質(例えば、取り扱い情報)若しくは注意点(例えば、下記ステップ448で登録される個人プロファイルを参照して表示される警告情報(例えば、アレルギー情報)を表示しうる。第1の装置は、商品の上記情報を例えば、上記識別情報に基づいてオンライン(例えば、サーバに格納されている情報をダウンロードすることによる手法)又はオフライン(例えば、電子棚札などの商品タグに埋め込まれている情報(例えば、アレルギー情報)を読み取ることによる手法)にて入手しうる。顧客が、商品を購入せずに、例えば「戻る」(Return)ボタンを押して、次に購入しようとする商品に付されたバーコード又は購入しようとする商品が置かれた棚に付されたバーコードをスキャンニングした場合には、第1の装置は、下記ステップ435を経て、処理をステップ433に戻す。この場合には、第1の装置は、商品が購入意思を示す処理(例えば、「購入」(Buy)ボタンを押す処理)がされずに、次の商品が選択されたこと(すなわち、次に購入しようとする商品のスキャンニングが開始されたこと又はスキャンニングしようとしていること)及びその時刻情報(TS3)を記録しうる(ステップ435)。また、第1の装置は、購入しようとしたが、購入しなかった商品の商品情報を取得しうる。一方、顧客が、上記スキャンニングした商品について購入意思を示す処理をする為に、例えば購入(Buy)ボタンを押した場合には、第1の装置は、処理をステップ436に進める。この場合には、第1の装置は、商品の購入意思を示す処理がされたこと及びその時刻情報(TS4)を記録しうる。また、第1の装置は、購入意思が示された商品の商品情報を取得しうる。
【0121】
ステップ435において、第1の装置は、次に購入しようとする商品のバーコードを表示する為に、処理をステップ433に戻す。
【0122】
ステップ436において、第1の装置は、購入意思が示された商品の情報、例えば、商品名、値段(売値、定価)、購入数量、割引率、配送の有無を表示しうる。顧客が、当該購入意思を承認し、引き続き、次に購入しようとする商品に付されたバーコード又は購入しようとする商品が置かれた棚に付されたバーコードをスキャンニングした場合には、第1の装置は、下記ステップ437を経て、処理をステップ433に戻す。この場合には、第1の装置は、引き続き次の商品が選択されて、スキャンニングされたこと及びその時刻情報(TS5)を記録しうる(ステップ437)。また、第1の装置は、購入しようとする商品の商品情報を取得しうる。一方、顧客が、商品の購入意思を示し、アンケートに答えるという指示に応じて、第1の装置は、処理をアンケート集計処理のステップ438(任意である)に進める。この場合には、第1の装置は、アンケートの入力が開始したこと及びその時刻情報(TS6)を記録しうる。なお、アンケートの為のステップ438が省略される場合には、第1の装置は、処理をステップ436からステップ440に、又は、ステップ436からステップ437を経由して、ステップ433に、それぞれ処理を直接に進めることができる。
【0123】
ステップ437において、第1の装置は、次に購入しようとする商品のバーコードを表示する為に、処理をステップ433に戻す。
【0124】
ステップ438において、第1の装置は、任意的に、アンケートに対する回答画面を表示しうる。第1の装置は、アンケートに対する回答の入力が完了し、引き続き、次に購入しようとする商品に付されたバーコード又は購入しようとする商品が置かれた棚に付されたバーコードをスキャンニングした場合には、処理をステップ433に戻す。一方、顧客が、上記購入意思を示した商品の精算前に、当該購入意思を示した商品のリスト(買い物かご)を確認する為に、例えば当該リストを表示する為のボタン(例えば、「次へ」(Next)ボタン)を押したこと又はPOS端末若しくは自動精算機に入ったことに応じて、第1の装置は、処理を上記リストが正しいかを確認する為のステップ440に進める。処理を為のステップ440に進める。第1の装置は、処理がステップ439又はステップ440に進むかどうかに拘わらず、アンケートの入力が完了したことに応じて、アンケートに対する回答の入力が終了したこと及びその時刻情報(TS7又はTS8)を記録しうる。また、第1の装置は、アンケートに対する回答の入力結果を取得しうる。さらに、第1の装置は、処理がステップ433からステップ437を経由して再びステップ433へ進むことに応じて、引き続き次の商品が選択されて、スキャンニングされたこと及びその時刻情報(TS5)を記録しうる(ステップ439)。さらに、第1の装置は、処理がステップ440に進むことに応じて、商品のリストの確認が行われること及びその時刻情報(TS8)を記録しうる。
【0125】
ステップ439において、第1の装置は、次に購入しようとする商品のバーコードを表示する為に、処理をステップ433に戻す。
【0126】
ステップ440において、第1の装置は、購入意思を示した商品の商品リストを表示するために、画面上買物かごを表示する。顧客は、当該買物かごから、購入意思を示した商品の変更をし、又は、購入意思を示した商品のキャンセルを指定しうる。一方、顧客は、購入意思を示した商品の変更及び購入意思を示した商品の変更や商品のキャンセルの指定の終了後、処理を精算ステップ442に進める。
【0127】
ステップ441において、第1の装置は、購入意思を示した商品の変更がされたこと又は購入意思を示した商品のキャンセルされたことに応答して、買物かご中の商品リストを更新する。第1の装置は、買物かご中の購入意思を示した商品の変更又は購入意思を示した商品のキャンセルされたこと及びその時刻情報(TS9)を記録しうる。また、第1の装置は、キャンセルされた商品の商品情報を取得しうる。
【0128】
ステップ442において、第1の装置は、買物かご中の商品代金の精算を行う。当該精算は例えば、POS端末又は自動精算機において、買物かご中の商品リストを送信することによって行われうる。当該精算は例えば、現金の支払い又はクレジットカードの支払いによって行われうる。代替的には、当該精算は、買物かごの中の商品リストを精算サーバへネットワーク(例えば、スマートフォン用のネットワーク)経由で送信し、登録済のクレジットカードへチャージすることによって、オンライン精算が行われうる。第1の装置は、商品代金の精算が行われたこと及びその時刻情報(TS10)を記録しうる。また、第1の装置は、購入済みの商品情報を取得しうる。
【0129】
ステップ443において、第1の装置は、任意的に、懸賞応募画面を表示しうる。第1の装置は、懸賞応募が完了することに応じて処理をステップ444に進める。第1の装置は、懸賞応募が確認されたこと及びその時刻情報(TS11)を記録しうる。また、第1の装置は、買物が終了したこと及びその時刻情報(TS12)を記録しうる。なお、懸賞応募の為のステップ443が省略される場合には、第1の装置は、処理をステップ442からステップ444に直接進めることができる。
【0130】
ステップ444において、第1の装置は、受取ID及び任意的に、買物終了のメッセージ又は領収書を画面上に表示しうる。受取IDとは、商品の精算時の精算ID、レシートID、又は、商品の受け取り若しくは商品と引き換えのための番号IDでありうる。第1の装置は、精算が完了したこと及びその時刻情報(TS13)を記録しうる。第1の装置は、精算が完了したことに応じて、画面を上記初期メニューに戻す。
【0131】
ステップ445〜447は、商品受取メニューが選択された後、顧客が、第1の装置を使用して、精算した商品を受け取るステップを示す。
【0132】
ステップ445において、顧客は、商品の精算が終了後に、商品の上記初期メニュー画面から、商品受取メニューを選択したとする。第1の装置は、商品受取メニューが選択されたことに応じて、処理をステップ446に進める。
【0133】
ステップ446において、第1の装置は、上記受取IDのリストを表示する。顧客は、商品受け取りカウンターに出向き、当該受取IDのリスト中から、商品受け取りカウンターで受け取る商品を、例えば特定の受取IDを選択することによって行う。第1の装置は、当該選択された受取IDを、受取IDを格納したログに、精算済から受取済みにステータスを変更して記録しうる。
【0134】
ステップ447において、第1の装置は、ログに格納された未受取の買物についての受取ID、又は当該未受取の買物についての受取IDに対応するバーコードを画面上に表示する。顧客は、当該未受取の買物についての受取IDを商品受け取りカウンターに提示して、当該未受取の買物についての受取IDに関連付けられた商品の受け取りを行いうる。商品受け取りカウンターの店員は、当該未受取の買物についての受取IDに対応する商品若しくは当該商品が入ったお買い上げボックスを顧客に渡し、又は当該未受取の買物についての受取IDに対応するバーコードを商品受け取りカウンターのスキャナーで読み取って、当該未受取の買物についての受取IDに対応する商品若しくは当該商品が入ったお買い上げボックスを顧客に渡しうる。第1の装置は、商品の受け渡しが完了したことに応じて、画面を上記初期メニューに戻す。代替的には、第1の装置は、未受取の別の買物の商品を受け取る為に、未受取の買物についての別の受取IDを指定することを可能にする受取IDリストを画面上に表示しうる(ステップ446)。
【0135】
ステップ448〜449は、個人プロファイルを登録するメニューが選択された後、顧客が、第1の装置を使用して、個人プロファイルを登録し、リストする処理を示す。
【0136】
ステップ448において、第1の装置は、個人プロファイル(例えば、住所、氏名、性別、年齢、アレルギー情報、及びその他の買物特性情報)を登録しうる。第1の装置は、当該登録された情報を使って、ステップ434で表示される商品の情報をパーソナライズして提示しうる。例えば、顧客が個人的に注意すべき事項(例えば、アレルゲンや禁忌薬)を第1の装置に登録しておくことによって、又は、当該個人プロファイルを登録するメニュー操作を通じて、コンピュータ・システム(101)の記憶装置(108)若しくはコンピュータ・システム(101)からアクセス可能な他の記憶装置(例えば、サーバ・コンピュータ又はネットワーク・アタッチト・ストレージ)に個人設定を登録しておくことによって、顧客が第1の装置を使用して該当商品をスキャンした場合に、第1の装置が、注意喚起の警告若しくは情報、又は当該アレルゲンを含まない代替商品若しくは当該禁忌薬を含まない代替商品を顧客に提示するようにしうる。
【0137】
ステップ449において、第1の装置は、ステップ448で登録した個人プロファイルをリストし、編集しうる。第1の装置は、リストの表示の終了指示に応じて、画面を上記初期メニューに戻す。
【0138】
以上のようにして、本発明に従う第2の実施態様では、対象顧客が商品を購入しようとした時刻や商品の購入意思が示された時刻を時刻順に取得することが可能である。当業者であれば、上記画面の表示、上記画面の遷移順、又は上記画面を使用しての商品の購入手順を任意に変更しうる。
【0139】
図4Aは、本発明に従う第2の実施態様に従い、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を行う為のフローチャートを示す。
【0140】
ステップ401において、コンピュータ・システム(101)は、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を開始する。
【0141】
ステップ402において、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が店舗内又は店舗間で購入した又は購入しようとした商品の商品情報、並びに、当該店舗のレイアウト情報及び当該店舗の棚割情報をそれぞれ取得する。コンピュータ・システム(101)は、商品情報を例えば、商品情報を格納した記憶装置(211)から取得しうる。コンピュータ・システム(101)は、店舗のレイアウト情報を例えば、レイアウト情報を格納した記憶装置(212)からから取得しうる。コンピュータ・システム(101)は、店舗の棚割情報を例えば、棚割情報を格納した記憶装置(213)から取得する。
【0142】
コンピュータ・システム(101)は、商品の商品情報を、
図2のステップ202で記載した上記(1)「商品情報取得手法」に従い取得しうる。商品の商品情報は例えば、対象顧客に関連付けられた第1の装置の画面(例えば、
図4Bに示す画面)上での操作又は入力に応答して得られる情報でありうる。
【0143】
ステップ403において、コンピュータ・システム(101)は、例えば購買行動を推定する処理の管理者によって指定されうる動線の可視化条件の設定を読み込む。動線の可視化条件とは対象顧客として選択されうる条件を設定したものであり、例えば特定の店舗、特定の時間帯、動線の推定対象となりうる顧客の嗜好(例えば、購入商品の嗜好)、動線の推定対象となりうる顧客の特徴(例えば、年齢、性別、職業)でありうる。コンピュータ・システム(101)は、当該可視化条件の設定に従って、1又は複数の対象顧客を特定しうる。
【0144】
ステップ404において、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客についての商品情報、並びに、店舗のレイアウト情報及び店舗の棚割情報との比較から、店舗内又は店舗間での当該対象顧客の複数の位置情報及び当該位置それぞれに対応する時刻を取得する。コンピュータ・システム(101)は、当該対象顧客の複数の位置及び当該位置それぞれにいた時刻を、
図2のステップ204で記載した上記(1)「位置情報及び時刻取得手法」に従い取得しうる。
【0145】
ステップ405において、コンピュータ・システム(101)は、店舗のレイアウト情報と、ステップ404で取得した対象顧客の複数の位置及び当該位置それぞれに対応する時刻、並びに、過去の経路情報(
図2のステップ203により読み出される過去の経路情報に対応する)とから、対象顧客の動線(店内動線、店舗間動線又はそれらの組み合わせを含む)の推定を開始する。
【0146】
ステップ406において、コンピュータ・システム(101)は、以下に示す(1)「推定処理手法(平均速度による手法)」、(2)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」、又は(3)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」により動線を推定する。当該(1)「推定処理手法(平均速度による手法)」は、店舗内又は店舗間での移動時間から移動経路を推定する手法である。当該(2)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」は、過去の顧客の又は過去の対象顧客の移動経路履歴から移動経路を推定する手法である。当該(3)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」は、店舗内又は店舗間での移動距離から移動経路を推定する手法である。
【0147】
(1)「推定処理手法(平均速度による手法)」:コンピュータ・システム(101)は、ステップ404で取得した複数の位置及び当該位置それぞれにいた時刻に基づいて、当該複数の位置を時刻順に、平均速度がなるべく一定になるように結ぶことで、店舗での入店から退店(例えば、入口から出口)までのおおまかな経路(複数の精算を含む)又は複数の店舗間での入店から退店までのおおまかな経路(1つの店舗での複数の精算、又は、店舗毎の精算を含む)(以下、予測経路という)を推定する。コンピュータ・システム(101)は、当該予測経路を、過去の平均移動速度と近くなるように推定しうる。コンピュータ・システム(101)は、過去の平均移動速度として、当該対象顧客が当該店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報から、又は、1又は複数の顧客が当該店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報から得られる平均移動速度を使用しうる。
【0148】
また、コンピュータ・システム(101)は、通過する売り場(経路)ごとに、当該売り場での購入の有無(商品の購入点数や金額、又は、商品の特性(例えば、商品の重量、サイズ、アレルギー情報、若しくはカテゴリ(例えば、食品、衣料品、家具)))を移動速度の係数として定義しうる。商品を購入したり、又は、購入しようとする商品若しくは購入した商品の金額が大きかったりすることによって、当該売り場での滞在時間が長くなることが想定されるからである。当該移動速度の係数の定義をすることによって、経路の推定の精度が向上する。当該移動速度の係数を定義することによって例えば、商品をじっくりと検討することが必要な売り場、例えば宝石売り場、家具売り場若しくは大型家電売り場では通過する速度が少し遅くなり、又は、そのような売り場で商品を購入している場合には通過速度は大幅に遅くなることを、上記推定において考慮することが可能である。
【0149】
平均速度が一定になるように結ぶ技術として、例えばカーナビゲーション・システムにおいて使用されている技術を使用しうる。カーナビゲーション・システムにおいて使用されている技術は例えば、上記特許文献8を参照されたい。
【0150】
(2)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」:コンピュータ・システム(101)は、入力として、下記A及びBに示すデータを取得する。
データA:顧客が購入した商品の集合(当該集合において、当該商品は、当該顧客が購入しようとした順で時系列に並んでいる);及び、
データB:Aの履歴を残した顧客のうちの一部が実際に通った経路情報(データAと対応がとれている)
【0151】
データBは、1又は複数の顧客(対象顧客若しくは対象顧客とは異なる顧客又はその組み合わせ)に、当該顧客それぞれの位置を追跡可能な装置を持って店舗内又は店舗間で買い物をしてもらい、その位置を追跡することによって得られたものである。データBを取得する上記方法では、少数の顧客についての経路だけがあれば十分である。多数の顧客についてのデータを用意するとなると、そのデータ入手のコストが高くなるからである。
【0152】
コンピュータ・システム(101)は、以下の手順1〜5に従い、上記入力に対する出力を得る。
【0153】
手順1:コンピュータ・システム(101)は、データBの経路情報を例えば、(1)店舗の入り口又はカート若しくはかご置き場から、ある商品(第1の商品)を最初に購入しようとした位置までの部分経路、(2)ある商品を購入しようとした位置から次のある商品を購入しようとした位置(例えば、上記第1の商品を購入しようとした位置から第2の商品を購入しようとした位置、上記第2の商品を購入しようとした位置から第3の商品を購入しようとした位置、n−2の商品を購入しようとした位置からn−1の商品を購入しようとした位置)までの1又は複数の部分経路、及び(3)ある商品を最後に購入しようとした位置(例えば、上記第2の商品、・・・、又は、上記n−1の商品)から、上記店舗の精算所若しくは上記店舗の出口又はカート若しくはかご置き場までの部分経路の各集合に分割する。コンピュータ・システム(101)は、上記部分経路の集合に分割されたデータBの経路情報を取得する。
【0154】
手順2:コンピュータ・システム(101)は、店舗内の通路それぞれを、予め決めておいた分類に従ってラベル付けする。代替的には、コンピュータ・システム(101)は、予め決めておいた分類に従ってラベル付けされた通路の情報を取得する。ラベル付けは例えば、下記の通りである。
外周の主通路の順方向(タイプ1)
外周の主通路の逆方向(タイプ2)
POS端末の前の通路(タイプ3)
その他の通路(タイプ4)
【0155】
手順3:コンピュータ・システム(101)は、上記手順1の部分経路の集合を最もよく説明できるように、コストの重みベクトルwを算出する。コンピュータ・システム(101)は、例えば、ある商品を購入しようとした位置から次のある商品を購入しようとした位置までの部分経路のコストを下記式で算出する:
C=Σ_n w_n×(タイプnの通路を歩いた距離)
コストCの経路をexp(-C)に比例する確率で選んだとするときに、実際に通った経路の尤度を最大にする重みは凸最適化問題を解くことによって算出されうる。当該凸最適化問題を解くことによって算出する方法として例えば、非特許文献1に記載の手法が使用されうる。
ここで、Cは、経路コストであり、特には対象顧客のある1回の買物トリップについての経路コストである。
Σ_nは、全てのnについての総和である。例えば、Σ_nは、下記の通りである。
4
Σ
i=1
w_nは、タイプnの通路を単位距離で通る際のコストの重みである。
wは、コストの重みベクトルである。例えば、wは、下記の通りである。
w_1,w_2,w_3,w_4
【0156】
当該手順3において、コンピュータ・システム(101)は、上記手順2でラベル付けしたそれぞれの通路を進む傾向の強さがどれくらいであるかを調べる為に、1又は複数の顧客それぞれが実際に通った店舗内の経路の集合から定量的に見積もりを行うことで、重みwを求める。
【0157】
手順4:コンピュータ・システム(101)は、手順3で求めた重みベクトルwを使用して、コストを最小とするように最短経路問題を解くことで、実際に通った経路を推定する。
【0158】
当該手順4において、例えば、同じ商品Xが同じ店舗内の複数の異なる場所に配置されており、且つ、対象顧客が商品A、商品X及び商品Bの順に購入しようとした場合に、コンピュータ・システム(101)は、商品Aを購入しようとした場所から商品Xを購入しようとした場所までの経路コストと、商品Xを購入しようとした場所から商品Bを購入しようとした場所までの経路コストとの合計が最小になるような場所で商品Xを購入しようとしたと推定しうる。
【0159】
手順5:コンピュータ・システム(101)は、手順4で求めた部分経路をつなぎ合わせて、例えば、店舗の入り口又はカート若しくはかご置き場から、当該店舗の精算所若しくは当該店舗の出口又はカート若しくはかご置き場までの一つの経路にする。
【0160】
(3)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」:コンピュータ・システム(101)は、ステップ404で取得した複数の位置及び当該位置それぞれにいた時刻に基づいて、当該複数の位置を時刻順に、最短距離を結ぶことで、店舗での入店から精算又は入店から退店(例えば、入口から出口)までのおおまかな経路(複数の精算を含む)又は複数の店舗間での入店から精算又は入店から退店までのおおまかな経路(1つの店舗での複数の精算、又は、店舗毎の精算を含む)を推定する。
【0161】
ステップ407において、コンピュータ・システム(101)は、ステップ406で推定された経路を修正するかを判断する。ステップ406において上記手順1の部分経路の集合を最もよく説明できる経路を選択したが、それでもどうしても、説明の剥離度が発生する場合がある。コンピュータ・システム(101)は、当該剥離度が一定の閾値を超えた場合に、測定のエラーを含めた経路の再計算が必要となる。コンピュータ・システム(101)は、このような再計算が必要である場合に、上記推定された経路を修正すると判断しうる。コンピュータ・システム(101)は、上記一定の閾値として例えば、傾向の評価値の平均力のずれを利用し、例えば標準偏差の例えば1シグマ又は2シグマを設定しうる。当該経路を修正することに応じて、処理をステップ408に進める。一方、当該経路を修正しないことに応じて、処理をステップ409に進める。
【0162】
ステップ408において、コンピュータ・システム(101)は、ステップ406で推定された経路を修正する場合には、ステップ406で使用された推定処理手法と異なる推定処理手法を用いて当該推定された経路を修正しうる。
【0163】
ステップ406で使用された推定処理手法が上記(1)「推定処理手法(平均速度による手法)」である場合には、コンピュータ・システム(101)は、ステップ408において、上記(2)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」、又は、上記(3)「推定処理手法「移動距離を最小とする手法」」を使用しうる。
【0164】
ステップ406で使用された推定処理手法が上記(2)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」である場合には、コンピュータ・システム(101)は、ステップ408において、上記(1)「推定処理手法(平均速度による手法)」、又は、上記(3)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」を使用しうる。
【0165】
ステップ406で使用された推定処理手法が上記(3)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」である場合には、コンピュータ・システム(101)は、ステップ408において、上記(1)「推定処理手法(平均速度による手法)」、又は、上記(2)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」を使用しうる。
【0166】
ステップ406において、上記手順1の部分経路の集合を最もよく説明できる経路を推定したが、任意的に、下記(a)〜(d)に示す1つ又は複数の条件(重み付け)に従って、動線の推定の為に使用しうる:
(a)類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、対象顧客の過去の経路情報を他の顧客の過去の経路情報よりも優先して選択する;
(b)類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、商品の買物カテゴリ又は買物商品が同一又は類似する1又は複数の顧客の過去の経路情報を優先して選択する;
(c)類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、顧客の特徴のばらつき、例えば対象顧客の年齢、性別、又は移動速度が同一又は類似する1又は複数の顧客の過去の経路情報を優先して選択する;
(d)類似性の高い移動経路が抽出されなかった場合に。取得した移動経路のうちの買物地点を少なくとも1つ減らした移動経路と過去の経路情報とを比較し、類似性の高い移動経路を示す経路情報を優先して選択する。優先して選択することは例えば、優先的に選択される経路情報に優先タグを付することによって行われうる。
【0167】
ステップ406において上記手順1の部分経路の集合を最もよく説明できる経路を推定したが、それでもどうしても、当該推定した経路に基づく対象顧客の購買行動の説明に剥離度が発生する場合において、コンピュータ・システム(101)は、任意的に、店舗のレイアウト情報若しくは店舗の棚割情報又はそれらの組み合わせを修正しうる。例えば、ある特定の商品について、少ない確率で、動線推定に支障がある場合には、当該特定の商品が棚割情報とは異なる場所に置かれていたり、顧客が当該特定の商品を返品しようとして本来ある位置とは異なる位置に戻したり、当該特定の商品に関連付けられた商品タグが別の商品の商品タグであったり、又は、従業員が当該特定の商品を本来陳列すべき位置とは異なる位置に陳列したりする場合がある。例えば、当該特定の商品が棚割情報とは異なる場所のみに置かれている場合には、当該特定の商品を購入した顧客について推定された動線の全てが異常を示し、又は、当該特定の商品が棚割情報とは異なる位置にもまた置かれている場合には、当該異なる位置に置かれた商品を購入した顧客について推定された動線(すなわち、一部の顧客の動線)が異常を示す。このような場合には、コンピュータ・システム(101)は、店舗の棚割情報において、当該特定の商品の位置情報を別の適切な場所に仮定したり若しくは変更したり又は複数の位置にあるように登録したりすることによって、異常な動線を正常な動線に修正することが可能である。
【0168】
ステップ409において、コンピュータ・システム(101)は、ステップ406において推定された動線、又はステップ408で修正された動線を、例えば画面上で可視化する。
【0169】
ステップ410において、コンピュータ・システム(101)は、購買行動を推定する処理を終了するかを判断する。コンピュータ・システム(101)は、当該処理を終了しないことに応じて、処理をステップ411に進める。一方、コンピュータ・システム(101)は、当該処理を終了することに応じて、処理を終了ステップ412に進める。
【0170】
ステップ411において、コンピュータ・システム(101)は、上記可視化条件を変更するかを判断する。コンピュータ・システム(101)は、当該可視化条件を変更することに応じて、処理をステップ403に戻す。そして、コンピュータ・システム(101)は、ステップ403に戻り、上記変更された可視化条件に従って、1又は複数の対象顧客を特定しうる。一方、コンピュータ・システム(101)は、当該可視化条件を変更しないことに応じて、処理をステップ402に戻し、レイアウト情報、棚割情報、又はそれらの組み合わせを変更し、当該変更した場合における顧客の動線のシミュレーション処理(すなわち、ステップ403〜ステップ409)を行うことができる。
【0171】
ステップ412において、コンピュータ・システム(101)は、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を終了する。
【0172】
図4Cは、本発明に従う第2の実施態様に従い推定された動線が複数ある場合において、過去に顧客が移動した経路情報を加味して、動線を推定することを示す図である。
【0173】
画面(451)は、対象顧客(461)がある店舗で買い物(1回の買物トリップ)をした場合の動線を、本発明に従う第2の実施態様に従い推定した図である。コンピュータ・システム(101)は、対象顧客(461)が出入口2から店内に入り、商品1の有る棚、商品5の有る棚、商品1の有る棚、商品2の有る棚、商品3の有る棚、商品4の有る棚、商品2の有る棚、商品6の有る棚、商品7の有る棚に順に移動し、そして商品受け取り場所に移動したことを推定している。すなわち、対象顧客の推定された動線は、A→B→C→D又はD’→E→F→G→H→I→Jである。
【0174】
購入しようとした又は購入した商品1が有る位置から次に購入しようとした又は購入した商品2がある位置への移動は、単純に、移動距離を最小とする手法に従い推定すると、Dで示す経路のように左方向へ移動することになる。しかしながら、商品1が有る位置から商品2がある位置への対象顧客の移動に時間が掛かっている場合において、1又は複数の顧客の過去の移動経路のほとんどが右へ移動してD’で示す経路を通っているとする。そうすると、当該対象顧客も同様に、Dで示す経路ではなく、D’で示す経路を通っている可能性が高い。
【0175】
このように、ステップ406で使用される推定処理手法(2)「移動経路履歴による手法」を使用することによって、顧客のより実際に近い移動経路を推定することが可能になる。
【0176】
上記画面(451)では、当該画面(451)に示すレイアウトによる単一店舗における1回の買物トリップである場合を例として説明した。
【0177】
単一店舗の場合において、買い物の態様は上記に限られず、例えば下記に示すような種々の態様が想定される:
(1)単一店舗であっても、購入した階ごとに商品代金の精算をしなければいけない場合がある;
(2)店舗の大きさによっては、POS端末が数十台規模で横に並んで、又は、縦横に並んで設置されている場合がある;
(3)POS端末に立ち寄らずに、任意の場所で、オンラインによるカード決済で精算をすることが可能である場合がある;
(4)一旦精算を終えた後に、買い忘れがあった為に、複数回の買い物トリップを行う場合がある;及び、
(5)単一店舗の形態をとりながら、同じ階に複数のテナントが入っているような場合にはテナントごとに商品代金の精算をしなければならない場合がある。単一店舗内におけるこのようないずれの態様であっても、本発明に従う第2の実施態様に従い、当該単一店舗内での対象顧客の動線を推定することが可能である。
【0178】
また、店舗間、すなわち、複数の店舗間において買い物をした場合には、例えば下記に示すような種々の態様が想定される:
(6)店舗ごとに商品代金の精算をしなければならない場合がある;
(7)複数の店舗間での商品の購入であっても、購入した商品代金の精算を、総合精算所において1回でまとめて精算できる場合がある;及び、
(8)複数の店舗間での商品の購入であっても、任意の場所で、オンラインによる1回のカード決済で全ての店舗における商品代金の精算が可能である場合がある。店舗間におけるこのようないずれの態様であっても、本発明に従う第2の実施態様に従い、当該単一店舗内での対象顧客の動線を推定することが可能である。
【0179】
図5は、本発明に従う第2の実施態様に従い推定された、対象顧客の購買行動(動線)の一例を示す図である。
【0180】
画面(501)は、対象顧客(511)がある店舗で買い物をした場合の動線を、本発明に従う第2の実施態様に従い推定した図である。
【0181】
コンピュータ・システム(101)は、対象顧客(511)が出入口2から店内に入り、商品1の有る棚、商品5の有る棚、商品1の有る棚、商品2の有る棚、商品3の有る棚、商品4の有る棚、商品2の有る棚、商品6の有る棚、商品7の有る棚に順に移動し、そして商品受け取り場所の順に移動したことを推定している。すなわち、対象顧客の推定された動線は、A→B→C→D→E→F→G→H→I→Jである。商品受け取り場所とは例えば、顧客が購入した商品の精算を当該顧客に関連付けられた端末上でオンライン決済した場合に、持ち帰り指定商品を商品受け取り場所で受け取る為の場所である。なお、持ち帰り指定商品でない場合(すなわち、配送指定商品である場合)には、当該配送指定商品は、顧客の指定した場所(例えば、顧客の自宅)宛に配送される。
【0182】
対象顧客(511)の購買行動が、当該対象顧客(511)の上記推定された動線から、ダイアグラム(502)に示す通りであることが推定される。
(1)対象顧客(511)は、出入口2から入店した後に、商品1の有る棚に移動した(経路A)。対象顧客は、出入口2において、入店したことを示す為に、例えば、来店チェックポイント(例えば、来店記録用のキオスク端末)に、当該対象顧客に関連付けられた端末をかざして来店情報を送信したり、若しくは、当該対象顧客に関連付けられた端末が来店チェックポイントに設けられた通信機能を備えていない装置若しくは紙のチェックポイント情報を読み取ったり、又は、当該対象顧客に関連付けられた端末上でアプリケーションを起動して、店舗に入ったことを記録するようにしうる。代替的には、対象顧客は、入店したことを示す為に、例えば、ショッピングカート若しくは買物かごに取り付けられた装置の電源スイッチを入れたり、若しくは使用開始の為のボタンを押したり、又は、ショッピングカート若しくは買物かごがショッピングカートプール若しくは買物かご置き場から引き出されることに応じて、当該ショッピングカート若しくは買物かごに取り付けられた装置の電源が、例えば当該ショッピングカート若しくは買物かごに取り付けられたラッチが作動することによって当該装置の電源が自動的に入るようにしうる。
(2)対象顧客(511)は、商品1の価格を確認した後(すなわち、商品1のバーコードを端末でスキャンニングした後)、商品5の有る棚に移動した(経路B)。
(3)対象顧客(511)は、商品5の価格を確認した後、商品5を購入した。その後、対象顧客(511)は、商品1の有る棚に移動した(経路C)。
(4)対象顧客(511)は、商品1の価格を再度確認した後に、商品1を購入した。その後、対象顧客(511)は、商品2の有る棚に移動した(経路D)。
(5)対象顧客(511)は、商品2の価格を確認した後、商品3の有る棚に移動した(経路E)。
(6)対象顧客(511)は、商品3の価格を確認した後、商品4の有る棚に移動した(経路F)。
(7)対象顧客(511)は、商品4の価格を確認した後に、商品4を購入した。その後、対象顧客(511)は、商品2の有る棚に移動した(経路G)。
(8)対象顧客(511)は、商品2の価格を再度確認した後に、商品2を購入した。その後、対象顧客(511)は、商品6の有る棚に移動した(経路H)。
(9)対象顧客(511)は、商品6の価格を確認した後に、商品6を購入した。その後、対象顧客(511)は、商品7の有る棚に移動した(経路I)。
(10)対象顧客(511)は、商品7の価格を確認した後、商品受け取り場所に移動した(経路J)。
(11)対象顧客(511)は、経路Jを移動中に、商品5の購入をキャンセルした。
【0183】
本発明の第2の実施態様に従い推定された上記動線を用いることによって、例えば運営者(例えば、店舗運営者、ショッピング・センター運営者、マーケティング会社、商品メーカー、商品問屋)は、店舗内又は店舗間での顧客の店内行動を正確に把握することが可能になる。従って、上記運営者は、棚割やレイアウトを効率的に行うとともに、店舗内又は店舗間での顧客の動線を有効に制御して、売り上げを向上することが可能となる。
【0184】
また、本発明の第2の実施態様に従う上記動線の推定では、部分経路の集合を最もよく説明できる経路を推定したが、上記した通り、上記推定された動線を用いての説明が剥離度を発生する場合に、コンピュータ・システム(101)は、店舗のレイアウト情報若しくは店舗の棚割情報の修正をすることが可能になる。
【0185】
さらに、本発明の第2の実施態様に従い推定された上記動線を用いての説明が剥離度を発生する場合に、商品の偽物(例えば、販売していない商品が勝手に棚に陳列されていること)や商品の置き間違え(例えば、故意又は善意にかかわらず、商品を本来と異なる売り場(例えば、異なる棚)に置くこと)に対して、当該偽物の商品の除去や当該置き間違えた商品の正しい場所への移動をすることが可能になる。
【0187】
図6A〜
図6C及び
図7は、本発明に従う第3の実施態様に従い、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を説明するための図である。
【0188】
本発明に従う第3の実施態様では、対象顧客が、当該対象顧客に関連付けられた装置(以下、第2の装置ともいう)を使用する。当該第2の装置は、店舗内又は店舗間のある場所を対象顧客が通過したことを特定可能にする機能を備えていることを特徴とする。当該第2の装置は、当該対象顧客が所有するモバイル処理装置(例えば、スマートフォン、携帯電話、又はタブレット端末)、又は、例えば買い物カート、買い物かご、若しくはショッピングバッグに備え付けられているモバイル処理装置(例えば、タブレット端末、専用端末)、又は、ショッピングツール(例えば店舗が貸し出すツールであり、例えば店舗貸出しのタブレット端末又は専用スキャンデバイス(例えば、モトローラ(Motorola)社製MC17 Handheld Retail Mobile Computer))でありうる。
【0189】
店舗内又は店舗間のある場所を通過したことを特定可能にする機能は、
図2のステップ204で記載した上記(2)「位置情報及び時刻取得手法」において説明した通り、店舗内の例えば天井、床又は棚に設置された位置情報送出装置から位置情報(例えば、2次元又は3次元の座標軸で与えられる情報でありうる)又は位置情報ID(例えば、2次元又は3次元の座標軸で与えられる情報を特定の数字、記号又はそれらの組み合わせに置き換えた情報でありうる)を取得する機能、又は、当該装置の位置情報及び当該位置にいた時刻を、例えば所定の間隔毎に又は疎の間隔で店舗内に設置された受信機を通じて、サーバ(例えば、コンピュータ・システム(101)でありうる)に送信する機能でありうる。
【0190】
コンピュータ・システム(101)は、上記第2の装置が備えている上記機能によって、対象顧客の複数の位置及び当該位置それぞれにいた時刻を推定することが可能になる。
【0191】
図6Bは、コンピュータ・システム(101)が、上記第2の装置の位置情報を取得する為の異なる態様を示す。
【0192】
図6Bの上部に示す態様(621)は、第2の装置が位置情報を送出する場合を示す。観測点a〜nに示す位置上の天井には、赤外線センサが備え付けられている。顧客が当該赤外線によってカバーされる範囲(例えば特定のエリア(例えば、矩形、円、点)であり、例えば特定のライン又は特定のポイント)内を通過することに応じて、赤外線センサは上記第2の装置の位置及び時刻を取得する。赤外線センサにより位置情報を取得する手法として例えば、SmartLocator(登録商標)(スマートロケーター)を使用して取得する手法が知られている。また、観測点pに示す位置上の天井には、超音波発信装置が備え付けられている。顧客が当該超音波発信装置の超音波を受信可能な範囲(例えば、特定のエリア)内を通過し又は滞在すること(例えば、ある時刻からある時刻までの存在を確認すること)に応じて、上記第2の装置に備え付けられたマイクが超音波を捕捉して、当該捕捉した位置及び時刻を取得する。
【0193】
図6Bの下部に示す態様(631)は、第2の装置が位置情報を取得する場合を示す。観測点a〜nに示す位置上の天井には、LED照明が備え付けられている。LED照明は、人が感じられない速度で点滅し、位置情報を送出している。顧客がLED照明の光を受信可能な範囲(例えば特定のエリア(例えば、矩形、円、点)であり、例えば特定のライン又は特定のポイント)内を通過することに応じて、上記第2の装置は点滅する光を受信し、当該受信した光に基づいて位置を計測する。また、観測点pに示す位置上の天井には、超音波発信装置が備え付けられている。顧客が当該超音波発信装置の超音波を受信可能な範囲内(例えば、特定のエリア内)を通過することに応じて、上記第2の装置に備え付けられたマイクが超音波を捕捉して、当該第2の装置が上記捕捉した位置及び時刻を取得する。
【0194】
上記特定のラインは例えば、通路の出入口又は入り口若しくは出口でありうる。上記特定のポイントは例えば、特定の商品がある前の地点でありうる。上記特定のエリアは例えば、特定の商品グループ売り場(例えば、野菜売り場付近又は酒売り場付近)でありうる。
【0195】
本発明に従う第3の実施態様において使用されうる、位置情報取得の為の屋内測位技術として、例えばWi−Fi アクセス・ポイント、室内グローバル・ポジショニング・システム(GPS)(例えば、IMES又はGPSリピータ方式)、超音波、可視光、赤外線、iBeacon、並びに、センサ統合及び自律航法による手法が使用されうる。これら手法は、いずれも当業者に知られている。
【0196】
図6Aは、本発明に従う第3の実施態様に従い、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を行う為のフローチャートを示す。
【0197】
ステップ601において、コンピュータ・システム(101)は、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を開始する。
【0198】
ステップ602において、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が商品を購入した際のPOS情報、並びに、当該店舗のレイアウト情報及び当該店舗の棚割情報をそれぞれ取得する。コンピュータ・システム(101)は、POS情報を、上記(2)商品情報取得手法に従い取得しうる。
【0199】
コンピュータ・システム(101)は、POS情報を例えば、商品情報を格納した記憶装置(211)から取得しうる。コンピュータ・システム(101)は、店舗のレイアウト情報を例えば、レイアウト情報を格納した記憶装置(212)から取得しうる。コンピュータ・システム(101)は、店舗の棚割情報を例えば、棚割情報を格納した記憶装置(213)から取得する。
【0200】
ステップ603は、
図4Aに記載のステップ403と同じである。従って、ステップ603の内容は、ステップ403の記載を参照されたい。
【0201】
ステップ604において、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客の第2の装置の位置情報、POS情報、並びに店舗のレイアウト情報及び店舗の棚割情報(商品の位置情報を取得するための情報である)との比較から、店舗内又は店舗間での当該対象顧客の商品の購入順序、並びに、当該対象顧客の複数の位置(店内又は店舗間に設置された複数の観測点に対応し、買物地点でもある)及び当該位置それぞれにいた時刻を推定する。コンピュータ・システム(101)は、第2の装置の位置情報(すなわち、当該対象顧客の複数の位置及び当該位置それぞれにいた時刻)を、
図2のステップ204で記載した上記(2)「位置情報及び時刻取得手法」に従い取得しうる。コンピュータ・システム(101)は、当該推定した第2の装置の位置情報、POS情報と棚割情報から、買物客の買物地点(位置)を推定する。
【0202】
ステップ605において、コンピュータ・システム(101)は、店舗のレイアウト情報及び店舗の棚割情報、ステップ604で推定した商品の購入順序、並びに、対象顧客の複数の位置及び当該位置それぞれに対応する時刻、並びに、過去の経路情報(
図2のステップ203により読み出される過去の経路情報に対応する)から、対象顧客の動線(店内動線、店舗間動線又はそれらの組み合わせを含む)の推定を開始する。
【0203】
ステップ606において、コンピュータ・システム(101)は、以下に示す(1’)「推定処理手法(平均速度による手法)」若しくは(2’)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」又は(3’)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」により動線を推定する。当該(1’)「推定処理手法(平均速度による手法)」は、店舗内又は店舗間での移動時間から移動経路を推定する手法である。当該(2’)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」は、過去の顧客の又は過去の対象顧客の移動経路履歴から移動経路を推定する手法である。当該(3’)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」は、店舗内又は店舗間での移動距離から移動経路を推定する手法である。
【0204】
(1’)「推定処理手法(平均速度による手法)」:コンピュータ・システム(101)は、ステップ604で推定した複数の位置(複数の観測点に対応する)及び当該位置それぞれにいた時刻に基づいて、当該複数の位置を時刻順に、平均速度がなるべく一定になるように結ぶことで、店舗での入店から精算又は入店から退店(例えば、入口から出口)までのおおまかな経路(複数の精算を含む)又は複数の店舗間での入店から精算又は入店から退店までのおおまかな経路(1つの店舗での複数の精算、又は、店舗毎の精算を含む)(以下、予測経路という)を推定する。コンピュータ・システム(101)は、当該予測経路を、過去の平均移動速度と近くなるように推定しうる。コンピュータ・システム(101)は、過去の平均移動速度として、当該対象顧客が当該店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報から、又は、1又は複数の顧客が当該店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報から得られる平均移動速度を使用しうる。
【0205】
任意的に、コンピュータ・システム(101)はさらに、POS情報及び棚割情報とから、対象顧客の買物地点を算出し、当該算出した買物地点が上記予測経路上に存在しない場合には、上記観測点間の平均速度が一定になるように、上記予測経路を修正しうる。なお、買物地点に、対象顧客が複数回訪れていると推定される場合には、コンピュータ・システム(101)は、例えば、当該買物地点に最後に訪問したときに商品を購入したと仮定しうる。但し、観測点又は買物地点は、厳密には点でなく、観測点を売り場、入り口又は精算所のエリアとし、買物地点を売り場やエリアとしうる。当該エリアをどんどん細かくしていけば点になるが、一方当該エリアをどんどん粗くしていけば、当該観測点又は買物地点は店舗内を例えば4分割程度にした程度の大きさになる。
【0206】
また、コンピュータ・システム(101)は、通過する売り場(経路)ごとに、当該売り場での購入の有無(商品の購入点数や金額)、又は、商品の特性(例えば、商品の重量、サイズ、アレルギー情報、若しくはカテゴリ(例えば、食品、衣料品、家具))など)を移動速度の係数として定義しうる。商品を購入したり、又は、購入しようとする商品若しくは購入した商品の金額が大きかったりすることによって、当該売り場での滞在時間が長くなることが想定されるからである。当該移動速度の係数の定義をすることによって、経路の推定の精度が向上する。当該移動速度の係数を定義することによって例えば、商品をじっくりと検討することが必要な売り場、例えば宝石売り場、家具売り場若しくは大型家電売り場では通過する速度が少し遅くなり、又は、そのような売り場で商品を購入している場合には通過速度は大幅に遅くなることを、上記推定において考慮することが可能である。
【0207】
平均速度が一定になるように結ぶ技術として、例えばカーナビゲーション・システムにおいて使用されている技術を使用しうる。カーナビゲーション・システムにおいて使用されている技術は例えば、上記特許文献8を参照されたい。
【0208】
(2’)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」:コンピュータ・システム(101)は、POS情報と棚割情報とから推定した買物地点(位置)及びセンサで検出された時刻とセンサ位置の情報を用いて、以下の処理を行う。コンピュータ・システム(101)は、当該対象顧客が当該店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、又は、当該対象顧客以外の1又は複数の顧客が当該店舗内又は店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報を呼び出して、同様とみなせる観測点及び買物地点を持つ過去の経路情報を抽出する。そして、コンピュータ・システム(101)は、当該抽出した経路情報のうち、類似度が最も高い経路情報と同じ経路情報を採用する。
【0209】
また、コンピュータ・システム(101)は、
図4Aのステップ406に示す(2)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」の手順1〜5と同様にして、出力を得うる。
【0210】
また、コンピュータ・システム(101)は、店舗内又は店舗間で実測された経路情報を含む買物情報がある場合には、当該買物情報を活用しうる。
【0211】
(3’)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」:コンピュータ・システム(101)は、POS情報、ステップ604で推定した複数の位置及び当該位置それぞれにいた時刻に基づいて、当該複数の位置を時刻順に、最短距離を結ぶことで、店舗又は店舗間での入店から精算までの大まかな経路を推定する。
【0212】
ステップ606において、上記手順1の部分経路の集合を最もよく説明できる経路を推定したが、任意的に、下記(a)〜(d)に示す1つ又は複数の条件(重み付け)に従って、動線の推定の為に使用しうる:
(a)類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、対象顧客の過去の経路情報を他の顧客の過去の経路情報よりも優先して選択する;
(b)類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、商品の買物カテゴリ又は買物商品が同一又は類似する1又は複数の顧客の過去の経路情報を優先して選択する;
(c)類似性の高い異なる移動経路を示す経路情報が複数抽出された場合に、顧客の特徴のばらつき、例えば対象顧客の年齢、性別、又は移動速度が同一又は類似する1又は複数の顧客の過去の経路情報を優先して選択する;
(d)類似性の高い移動経路が抽出されなかった場合に。取得した移動経路のうちの買物地点を少なくとも1つ減らした移動経路と過去の経路情報とを比較し、類似性の高い移動経路を示す経路情報を優先して選択する。優先して選択することは例えば、優先的に選択される経路情報に優先タグを付することによって行われうる。
【0213】
ステップ606において、
図4Aのステップ406に示す(2)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」の上記手順1の部分経路の集合を最もよく説明できる経路を推定したが、それでもどうしても、説明の剥離度が発生する場合において、コンピュータ・システム(101)は、任意的に、店舗のレイアウト情報若しくは店舗の棚割情報の修正しうる。例えば、ある特定の商品について、少ない確率で、動線推定に支障がある場合には、当該特定の商品が棚割情報とは異なる場所に置かれていたり、顧客が当該特定の商品を返品しようとして本来ある位置とは異なる位置に戻したり、当該特定の商品に関連付けられた商品タグが別の商品の商品タグであったり、又は、従業員が当該特定の商品を本来陳列すべき位置とは異なる位置に陳列したりする場合がある。例えば、当該特定の商品が棚割情報とは異なる場所のみに置かれている場合には、当該特定の商品を購入した顧客について推定された動線の全てが異常を示し、又は、当該特定の商品が棚割情報とは異なる位置にもまた置かれている場合には、当該異なる位置に置かれた商品を購入した顧客について推定された動線(すなわち、一部の顧客の動線)が異常を示す。このような場合には、コンピュータ・システム(101)は、店舗の棚割情報において、当該特定の商品の位置情報を別の適切な場所に仮定したり若しくは変更したり又は複数の位置にあるように登録したりすることによって、異常な動線を正常な動線に修正することが可能である。
【0214】
ステップ607〜ステップ611それぞれは、
図4Aに記載のステップ407〜411それぞれと同じか又は同様である。従って、ステップ607〜611それぞれの内容は、ステップ407〜411の記載を参照されたい。
【0215】
ステップ612において、コンピュータ・システム(101)は、店舗内又は店舗間における顧客の購買行動を推定する処理を終了する。
【0216】
図6Cは、本発明に従う第3の実施態様に従い、対象顧客の動線を推定する例示を示す図である。
【0217】
画面(641)は、対象顧客(651)がある店舗で買い物をした場合の動線を推定している図を示す。
【0218】
(1)対象顧客が、ある店舗で買い物をし、POS端末若しくは自動精算機で商品代金の精算をする。当該精算に応じて、POS端末若しくは自動精算機はPOS情報を生成する。コンピュータ・システム(101)は、当該生成されたPOS情報(すなわち、購入した商品の識別情報)を取得する。また、コンピュータ・システム(101)はまた、当該店舗のレイアウト情報及び当該店舗の棚割情報をそれぞれ取得する。コンピュータ・システム(101)は、上記取得したPOS情報から、対象顧客が、買物地点A〜L及び観測点a〜pを訪問したかどうかが求められる。商品1,2,3,4,5,6,及び7それぞれは、買物地点J,B,G/B/A/E,A,J,H,及びF/K/Dに関連付けられている。なお、製品3,及び製品7それぞれは、複数の買物地点G/B/A/E,及びF/K/Dそれぞれに関連付けられている。
【0219】
(2)コンピュータ・システム(101)は、観測点a〜pの訪問の有無及び訪問時刻から、対象顧客の移動経路がp−l−k−j−m−d−d−m−g−h−i−n−nであり、各観測点p−l−k−j−m−d−m−g−h−i−n−nを通過した時刻を推定する。
【0220】
(3)コンピュータ・システム(101)はまた、各観測点p−l−k−j−m−d−d−m−g−h−i−n−nの順序より、訪問した買物地点の順序が、J−I−B−A―B−G−H−Kであることを推定する。
【0221】
(4)商品7のように複数の買物地点(F/K/D)に属していても、対象顧客がそのうちの一つの買物地点だけにしか訪問していない場合には、コンピュータ・システム(101)は、当該商品7を購入した買物地点がKであることを特定することができる。
【0222】
(5)また、商品3のように複数の買物地点(G/B/A/E)に属しており、対象者が当該商品3が属している複数の買物地点に訪問している場合には、コンピュータ・システム(101)は、当該商品3を購入した買物地点を特定することができない。
【0223】
(6)商品が単一の買物地点に属していて、買物地点での買物個数が1個以下で、且つ当該買物地点に1回しか訪問していない場合には、コンピュータ・システム(101)は、当該商品の買物順序を確定することができる。
【0224】
(7)商品1及び5のように、一つの買物地点において複数の商品を購入している場合には、コンピュータ・システム(101)は、当該商品の買物順序を直ちに確定することができない。すなわち、コンピュータ・システム(101)は例えば、商品の購入の順序が以下のいずれかであると推定できる:
(a−1) l−商品1−商品5−k ;
(a−2) l−商品5−商品1−k。
【0225】
(8)商品2及び4のように、対象顧客が2回以上訪問している買物地点で商品を購入している場合には、コンピュータ・システム(101)は、当該商品の買物順序を直ちに確定することができない。すなわち、コンピュータ・システム(101)は例えば、商品2の購入の順序が以下のいずれかであると推定できる:
(b−1) j−商品2−m,m−g ;
(b−2) j−m,m−商品2−g ;
(b−3) j−商品2−m,m−商品2−g(主に、商品を2個以上購入している場合)。同様に、コンピュータ・システム(101)は例えば、商品4の購入の順序が以下のいずれかであると推定できる:
(c−1) m−商品4−d,d−m
(c−2) m−d,d−商品4−m
(c−3) m−商品4−d,d−商品4−m(主に、商品を2個以上購入している場合)。
【0226】
(9)コンピュータ・システム(101)は、上記(4)〜上記(8)において述べた条件で買物順序が確定していない場合には、
図6Aのステップ606に示す手法に従い、複数の想定される買物順序のうちから特定の買物順序を決定するか、又は、最も適切な買物順序を決定しうる。すなわち、コンピュータ・システム(101)は、例えば、商品1及び商品5の買物順序については、観測点l及び観測点kの観測時刻から買物地点Jでの滞在時間、及び、買物地点J内での移動経路の候補を算出し、その時間内で、商品1及び商品5を購入する順序を、過去の経路情報を参照して、(a−1)及び(a−2)のいずれがより適切であるか判断をする。例えば、買物地点Jの滞在時間が短いなどの場合で、(a−1)、すなわち、商品1、商品5の順番が推測される。また、同様に、コンピュータ・システム(101)は、商品2の買物順序については、観測点m(1回目),d,m(2回目)の観測時刻から、それぞれ買物地点Bの滞在時間、及び、観測地点B内での移動経路の候補を算出し、過去の経路情報を参照して、(b−1)、(b−2)又は(b−3)のいずれがより適切であるかを判断する。例えば、買物地点の滞在時間の2回目が極めて短いなどの場合は、1回目の滞在で購入したものと判断し、(b−1)の順番が推測される。商品4については、同様にして、例えば、(c−2)が推定されたとする。さらに、任意的に、商品4は買物地点Aの2回目の滞在時に購入されたと推定された場合でも、買物地点Aの1回目の滞在時に観測地点mからdへ移動するだけには十分すぎる滞在時間がある場合であって、前後に購入した商品(ここでは、商品4及び商品3)が関連商品(例えば、競合商品、あるいは、同時に購入されることが多い商品)である場合には、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が商品3と商品4を見比べながら購入したと推測できる場合もある。
【0227】
(10)コンピュータ・システム(101)は、上記(9)において述べた決定によっても、まだ未確定な買物順序がある場合には、未確定な買物順序を含む買物順序のままにし、確定した買物順序の部分を使用して対象顧客の動線を推定しうる。例えば、商品1については商品5との購入順序が確定していない場合であっても、コンピュータ・システム(101)は、購入した他の商品と当該他の商品の購入順序とは確定しているので、当該解析した買物順序の部分を使用して対象顧客の動線の推定しうる。
【0228】
上記画面(641)では、当該画面(641)に示すレイアウトによる単一店舗における1回の買物トリップである場合を例として説明した。
【0229】
単一店舗の場合において、買い物の態様は上記に限られず、例えば下記に示すような種々の態様が想定される:
(1)単一店舗であっても、購入した階ごとに商品代金の精算をしなければいけない場合がある;
(2)店舗の大きさによっては、POS端末が数十台規模で横に並んで、又は、縦横に並んで設置されている場合がある;
(3)POS端末に立ち寄らずに、任意の場所で、オンラインによるカード決済で精算をすることが可能である場合がある;
(4)一旦精算を終えた後に、買い忘れがあった為に、複数回の買い物トリップを行う場合がある;及び、
(5)単一店舗の形態をとりながら、同じ階に複数のテナントが入っているような場合にはテナントごとに商品代金の精算をしなければならない場合がある。単一店舗内におけるこのようないずれの態様であっても、本発明に従う第3の実施態様に従い、当該単一店舗内での対象顧客の動線を推定することが可能である。
【0230】
また、店舗間、すなわち、複数の店舗間において買い物をした場合には、例えば下記に示すような種々の態様が想定される:
(6)店舗ごとに商品代金の精算をしなければならない場合がある;
(7)複数の店舗間での商品の購入であっても、購入した商品代金の精算を、総合精算所において1回でまとめて精算できる場合がある;及び、
(8)複数の店舗間での商品の購入であっても、任意の場所で、オンラインによる1回のカード決済で全ての店舗における商品代金の精算が可能である場合がある。店舗間におけるこのようないずれの態様であっても、本発明に従う第3の実施態様に従い、当該単一店舗内での対象顧客の動線を推定することが可能である。
【0231】
図7は、本発明に従う第3の実施態様に従い推定された、対象顧客の購買行動(動線)の一例を示す図である。
【0232】
画面(701)は、対象顧客(711)がある店舗で買い物をした場合の動線を、本発明に従う第3の実施態様に従い推定した図である。
【0233】
コンピュータ・システム(101)は、POS情報から、対象顧客(711)が商品1、2、3、4、5、6及び7を購入したことを知った。
【0234】
コンピュータ・システム(101)は、対象顧客(711)が出入口2から店内に入り、商品1の有る棚、商品5の有る棚、商品2の有る棚、商品4の有る棚、商品3の有る棚、商品4の有る棚、商品6の有る棚、商品7の有る棚に順に移動し、そしてPOS精算機2の順に移動したことを推定している。すなわち、対象顧客の推定された動線は、A→B→C→D→E→F→G→H→Iである。そして、コンピュータ・システム(101)は、移動した箇所において商品を購入した(かごに入れた)又は、任意的に、商品を確認したと推定する。
【0235】
対象顧客(711)の購買行動が、当該対象顧客(711)の上記推定された動線から、ダイアグラム(702)に示す通りであることが推定される。
(1)対象顧客(711)は、出入口2から入店した後に、商品1の有る棚に移動した(経路A)。出入口には、対象顧客が店舗内に入ったことがわかるように、センサが取り付けられている。
(2)対象顧客(711)は、商品1をかごに入れた(推定)。その後、対象顧客(711)は、商品5の有る棚に移動した(経路B)。
(3)対象顧客(711)は、商品5をかごに入れた(推定)。その後、対象顧客(711)は、商品2の有る棚に移動した(経路C)。
(4)対象顧客(711)は、商品2をかごに入れた。その後、対象顧客(711)は、商品4の有る棚に移動した(経路D)。
(5)対象顧客(711)は、商品4を確認した(推定)。その後、商品3の有る棚に移動した(経路E)。
(6)対象顧客(711)は、商品3をかごに入れた。その後、商品4の有る棚に再び移動した(経路F)。
(7)対象顧客(711)は、商品4をかごに入れた(推定)。その後、対象顧客(711)は、商品6の有る棚に移動した(経路G)。
(8)対象顧客(711)は、商品6をかごに入れた。その後、対象顧客(711)は、商品7の有る棚に移動した(経路H)。
(9)対象顧客(711)は、商品7をかごに入れた。その後、POS精算機2に移動した(経路I)。
【0236】
上記(5)及び(7)に示す通り、コンピュータ・システム(101)は、商品4を上記(5)及び(7)のいずれの時点で購入したかまでは正確に判断できない。すなわち、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が同じブロック内に複数階訪問している場合に、ある商品を1回目で購入したのか、2回目で購入したのか、或いはそれ以降に購入したのかまでは正確に判断できない。そこで、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が例えば1回目で上記ある商品を購入したと暫定的に推定しうる。そして、コンピュータ・システム(101)はさらに、上記(1’)「推定処理手法(平均速度による手法)」、上記(2’)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」若しくは上記(3’)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」を使用して、又は、1又は複数の顧客の過去の買い物履歴を参照して、対象顧客が何回目で上記ある商品を購入したかを推定しうる。
【0237】
また、上記(2)及び(3)に示す通り、コンピュータ・システム(101)は、商品1及び商品5をどの順序で購入したのかまでは正確に判断できない。すなわち、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が同じブロック内で複数の異なる商品を購入している場合に、複数の商品をどの順番で購入したかまでは正確に判断できない。そこで、コンピュータ・システム(101)は、対象顧客が例えば、上記(1’)「推定処理手法(平均速度による手法)」、上記(2’)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」又は上記(3’)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」を使用して、商品1、そして商品5の順序に購入したと暫定的に推定しうる。そして、コンピュータ・システム(101)はさらに、上記(1’)「推定処理手法(平均速度による手法)」、上記(2’)「推定処理手法(移動経路履歴による手法)」又は上記(3’)「推定処理手法(移動距離を最小とする手法)」のうちの上記暫定的な推定で使用されなかった手法を使用して、又は、1又は複数の顧客の過去の買い物履歴を参照して、対象顧客が商品1及び商品5をどの順序で購入したのかを推定しうる。
【0238】
本発明の第3の実施態様に従い推定された上記動線を用いることによって、例えば運営者(例えば、店舗運営者、ショッピング・センター運営者、マーケティング会社、商品メーカー、商品問屋)は、店舗内又は店舗間での顧客の店内行動を正確に把握することが可能になる。従って、上記運営者は、棚割やレイアウトを効率的に行うとともに、店舗内又は店舗間での顧客の動線を有効に制御して、売り上げを向上することが可能となる。
【0239】
また、本発明の第3の実施態様に従う上記動線の推定では、部分経路の集合を最もよく説明できる経路を推定したが、上記した通り、上記推定された動線を用いての説明が剥離度を発生する場合に、コンピュータ・システム(101)は、店舗のレイアウト情報若しくは店舗の棚割情報の修正をすることが可能になる。
【0240】
さらに、本発明の第3の実施態様に従い推定された上記動線を用いての説明が剥離度を発生する場合に、商品の偽物(例えば、販売していない商品が勝手に棚に陳列されていること)や商品の置き間違え(例えば、故意又は善意にかかわらず、商品を本来と異なる売り場(例えば、異なる棚)に置くこと)に対して、当該偽物の商品の除去や当該置き間違えた商品の正しい場所への移動をすることが可能になる。
【0241】
上記では、本発明に従う第1の実施態様に包含される第2の実施態様及び同第3の実施態様をそれぞれ説明した。本発明の第1の実施態様はさらに、本発明に従う第2の実施態様と第3の実施態様とを組み合わせた態様(以下、本発明に従う組み合わせ態様という)を包含しうる。
【0242】
本発明に従う第2の実施態様では、対象顧客が当該対象顧客に関連付けられた装置で商品のバーコードをスキャンニングすることを前提とする。しかしながら、実際の顧客の購買行動において、商品のスキャンニングをせずに、POS端末又は自動精算機において、スキャンニング漏れした商品代金の精算をする(すなわち、スキャンニング漏れした商品のバーコードをスキャンニングする)場合がある。このような場合には、スキャンニング漏れした商品を購入する前にスキャンニングした商品からスキャンニング漏れした商品を手に取るまでの経路、及び、当該スキャンニング漏れした商品からスキャンニング漏れした後にスキャンニングした商品を手に取るまでの経路が不明となってしまう。このような場合には、当該不明な経路について、コンピュータ・システム(101)は、本発明に従う第3の実施態様に従い、スキャンニング漏れした商品を購入する前にスキャンニングした商品からスキャンニング漏れした商品を手に取るまでの経路、及び、当該スキャンニング漏れした商品からスキャンニング漏れした後にスキャンニングした商品を手に取るまでの経路を推定することが可能になる。
【0243】
図8は、
図1に従うハードウェア構成を好ましくは備えており、
図2、
図4A、又は
図6Aそれぞれに示す各フローチャートに従って本発明の実施態様を実施するコンピュータの機能ブロック図の一例を示した図である。以下において、「部」は「手段」とも読み替えてもよい。
【0244】
コンピュータ・システム(801)は、
図1に示すコンピュータ・システム(101)に対応しうる。
【0245】
コンピュータ・システム(801)は、情報取得部(811)、経路情報読み出し部(812)、動線推定部(813)、及び任意的に、動線表示部(815)を備えている。
【0246】
情報取得部(811)は、対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で購入した又は購入しようとした商品の商品情報、並びに、上記店舗のレイアウト情報及び上記店舗の棚割情報を取得する。
【0247】
また、情報取得部(811)が取得した上記商品情報が、上記対象顧客に関連付けられた装置から取得した上記対象顧客が購入した又は購入しようとした商品の識別情報及び、上記識別情報を読み取った時刻でありうる。
【0248】
また、情報取得部(811)が取得した上記商品情報が、上記対象顧客が購入した商品の識別情報でありうる。上記商品情報が、上記対象顧客が購入した商品の識別情報である場合に、情報取得部(811)は、上記対象顧客の位置情報及び当該位置にいた時刻を、上記店舗内又は上記店舗間に備え付けられた装置又は上記対象顧客に関連付けられた装置から取得しうる。
【0249】
また、情報取得部(811)は、
図2のステップ202に示す処理、
図4Aのステップ402〜404に示す処理、及び
図6Aのステップ602〜604に示す処理を実行しうる。
【0250】
経路情報読み出し部(812)は、(b−1)1又は複数の顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報、及び(b−2)上記対象顧客が上記店舗内又は上記店舗間で移動した過去の経路情報又は移動したと推定される過去の経路情報のうちの少なくとも一方の経路情報を読み出す。
【0251】
また、経路情報読み出し部(812)は、
図2のステップ203に示す処理、
図4Aのステップ405に示す過去の経路情報の取得処理、及び
図6Aのステップ605に示す過去の経路情報の取得処理を実行しうる。
【0252】
動線推定部(813)は、経路情報読み出し部(812)が読み出した経路情報から得られる傾向に従って、情報取得部(811)が取得した各情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定する。
【0253】
また、動線推定部(813)は、(c3−1)情報取得部(811)が取得した各情報、並びに、上記レイアウト情報又は上記棚割情報から上記対象顧客の上記店舗内又は上記店舗間の移動経路を取得し、(c3−2)情報取得部(811)が取得した各情報及び上記取得した移動経路から、上記対象顧客が購入した商品の少なくとも1つの購入順序を推定し、(c3−3)経路情報読み出し部(812)が読み出した経路情報から得られる傾向に従って、情報取得部(811)が取得した各情報に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定しうる。
【0254】
また、動線推定部(813)は、
図2のステップ204に示す処理、
図4Aのステップ406〜408に示す処理、及び
図6Aのステップ606〜608に示す処理を実行しうる。
【0255】
動線推定部(813)は、位置情報及び時刻算出部(816)を備えうる。
【0256】
位置情報及び時刻算出部(816)は、(c2−1)上記対象顧客に関連付けられた装置から取得した上記対象顧客が購入した又は購入しようとした商品の識別情報及び、上記識別情報を読み取った時刻、並びに、上記レイアウト情報又は上記棚割情報から、上記対象顧客の位置情報及び当該位置にいた時刻を算出しうる。
【0257】
また、動線推定部(813)は、(c2−2)経路情報読み出し部(812)が読み出した経路情報から得られる傾向に従って、情報取得部(811)が取得した各情報並びに上記対象顧客の上記算出した位置情報及び時刻に基づいて、上記店舗内又は上記店舗間での上記対象顧客の動線を推定しうる。
【0258】
動線表示部(815)は、動線推定部(813)が推定した動線、又は当該動線を修正した動線を、例えば画面上で可視化する。
【0259】
また、動線表示部(815)は、
図2のステップ205に示す処理、
図4Aのステップ409に示す処理、及び
図6Aのステップ609に示す処理を実行しうる。