特許第5967583号(P5967583)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967583
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】フライス加工工具
(51)【国際特許分類】
   B23F 21/16 20060101AFI20160728BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   B23F21/16
   B23Q11/10 D
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-98367(P2013-98367)
(22)【出願日】2013年5月8日
(65)【公開番号】特開2013-233648(P2013-233648A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年11月5日
(31)【優先権主張番号】1250473-4
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】SE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507226695
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100133008
【弁理士】
【氏名又は名称】谷光 正晴
(72)【発明者】
【氏名】ステュール シェー
【審査官】 齊藤 彬
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−125419(JP,A)
【文献】 特開2000−233321(JP,A)
【文献】 特開昭53−095398(JP,A)
【文献】 実開昭52−032796(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0243671(US,A1)
【文献】 中国実用新案第201997813(CN,U)
【文献】 中国実用新案第201950298(CN,U)
【文献】 特開2003−266304(JP,A)
【文献】 実開平02−139024(JP,U)
【文献】 特開昭57−149112(JP,A)
【文献】 特開2011−093089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23F 21/16
B23C 5/28
B23D 45/10
B24B 45/00
B27B 5/34
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はめ歯歯車、ラック等の、歯を有する被加工物(W)のホブ切りのために形成されているフライス加工工具(1)であって、円筒形の工具本体(2)を備え、前記工具本体は回転軸線(C1、C3)を形成しかつ複数の円板形セグメント(8)を備え、前記セグメントの各々は、
接線方向に互いに間隔が開けられた複数のフライス加工インサート(20)のためのハブ部分(11)と外周カム(12)と、
着脱自在に相互連結されている互いに隣接するセグメント(8)とを備え、
前記各々のセグメント(8)は、前記回転軸線(C1、C3)上に位置している貫通穴(52)を有し、前記貫通穴(52)は、中央ダクト(51)が前記円筒形工具本体内に形成されているように、互いに対して方向付けられている、フライス加工工具において、
互いに隣接するセグメント(8)は、対の形で協働する雄部材(36)及び雌部材(37)のそれぞれ1つによって相互連結されており、
このフライス加工工具は、さらに第1の末端部(5)を備え、前記第1の末端部は、その一方の側部において、前記セグメントの中の第1のセグメント(8′)と着脱自在にかつ対の形で協働する雄部材(36)及び雌部材(37)のそれぞれ1つによって相互連結されており、かつ、その他方の側部において、トルク源からの全てのトルクが前記第1の末端部(5)を介して前記円筒形工具本体(2)に供給されるように、前記トルク源に対する、対の形で協働する雄部材(36)及び雌部材(37)のそれぞれ1つによる連結のための連結部材を有し、
前記中央ダクト(51)は冷却媒質ダクトであることを特徴とするフライス加工工具。
【請求項2】
記雄部材と前記雌部材は、前記回転軸線(C1、C3)が前記雄部材と前記雌部材とを貫通して延びるような仕方で配置されており、前記中央冷却媒質ダクト(51)は、前記円筒形工具本体内でその長さに沿って前記雄部材と前記雌部材とを貫通して延びる請求項1に記載のフライス加工工具。
【請求項3】
前記第1の末端部(5)と前記第1のセグメント(8′)は、対の形で協働する前記雄部材(36)及び前記雌部材(37)のそれぞれ1つによって相互連結されており、前記第1の末端部の前記連結部材は同一のタイプの雄部材であり、前記雄部材と前記雌部材は、前記回転軸線(C1、C3)が前記雄部材と前記雌部材とを貫通して延びるような仕方で配置されている請求項2に記載のフライス加工工具。
【請求項4】
さらに第2の末端部(6)を備え、前記第2の末端部は、その一方の側部において、前記セグメントの中の最後のセグメント(8″)に対して着脱自在にかつ対の形で協働する雄部材(36)及び雌部材(37)のそれぞれ1つによって相互連結されており、その他方の側部において、支持物(4)内の回転可能な軸受のための軸受部材を有し、前記第2の末端部(6)と前記最後のセグメント(8″)は、対の形で協働する前記雄部材及び前記雌部材のそれぞれ1つによって相互連結されており、前記雄部材と前記雌部材と前記軸受部材は、前記回転軸線(C1、C3)が前記雄部材と前記雌部材と前記軸受部材とを貫通して延びるような仕方で配置されている請求項2又は3に記載のフライス加工工具。
【請求項5】
前記軸受部材は、前記支持物の首部軸受内の受け入れのための首部を備える請求項4に記載のフライス加工工具。
【請求項6】
前記ハブ部分(11)は、2つの互いに反対側に位置した面平行な端面(13、14)を備え、前記第1の末端部と前記第2の末端部は、それぞれの互いに隣接する前記セグメントに面する面平行な端面を各々に備え、前記端面は前記回転軸線(C1、C3)に対して垂直に延び、前記雄部材と前記雌部材は各々に接触面を備え、前記接触面は大きな末端(41)から小さな末端(40)へ向かって収束し、前記回転軸線を横切る横断面において、非真円の曲線を形成し、前記雄部材と前記雌部材の前記接触面は、前記雄部材と前記雌部材とが互いに一体状にさせられる時に、その前記2つの互いに隣接するセグメント(8)を、前記面平行な端面が互いに突き当たる前記回転軸線(C1、C3)の周りの前記非真円の横断面によって心出しされかつ互いに角度的に決定されている末端位置に向かって方向付ける請求項2〜5のいずれか一項に記載のフライス加工工具。
【請求項7】
前記雄部材の前記接触面は、前記雌部材の前記接触面に対して半径方向に過大な寸法を有し、したがって、前記工具の組み立て済み状態では、前記雌部材の前記接触面が前記雄部材の前記接触面に対して圧力を伴って突き当たる請求項6に記載のフライス加工工具。
【請求項8】
前記工具の組み立て済み状態では、前記雄部材の前記小さな末端(40)と前記雌部材の前記小さな末端(40)との間に間隙(44)が存在する請求項6又は7に記載のフライス加工工具。
【請求項9】
前記雄部材と前記雌部材の個々の接触面は、少なくとも2°かつ多くとも20°の大きさの収束角(β)で収束する請求項6〜8のいずれか一項に記載のフライス加工工具。
【請求項10】
前記個々の接触面(38、39)は三角形の横断面形状を有し、この横断面形状は、次式によって定義され、
【数2】
この式中で、
nは任意の点Pにおけるこの曲線に対する法線であり、
x及びyは従来の座標系の座標であり、
γは法線nと座標系のx軸との間の角度であり、
2aは内接円ICに対する個々の隅の選択された離心距離(又は、膨らみ)であり、
Dmは内接円の直径と離心距離2aとの合計である、請求項6〜9のいずれか一項に記載のフライス加工工具。
【請求項11】
互いに隣接するセグメント(8)の対が、複数のドローインボルト(9)によって軸方向に圧縮されて配置されており、前記ドローインボルトは、頭部(25)とシャンク(23)とを含み、前記シャンクは、雄ねじ(24)を伴って形成されており、かつ、前記セグメントの中の1つのセグメント内の穿孔(27)を貫通させられており、かつ、その他のセグメント内のねじ山付き穴(35)内のその雄ねじと締め付けられている請求項1〜10のいずれか一項に記載のフライス加工工具。
【請求項12】
前記雄部材と前記雌部材は、それぞれに、そのセグメント(8)と末端部とに一体化されている請求項1〜11のいずれか一項に記載のフライス加工工具。
【請求項13】
前記個別のセグメント(8)は、端面(13)から軸方向に突き出ている雄部材(36)と、他方の端面(14)内に開口する雌部材として機能する凹み(37)とを伴って形成されている請求項1〜12のいずれか一項に記載のフライス加工工具。
【請求項14】
各セグメントは、前記中央冷却媒質ダクト(51)から外周カム(12)内のフライス加工インサートへの冷却媒質の供給のための分岐ダクト(58)を備える請求項1〜13のいずれか一項に記載のフライス加工工具。
【請求項15】
前記分岐ダクト(58)は、前記中央冷却媒質ダクトから前記外周カム内の切屑溝(21)に半径方向に延びる少なくとも1つの内側穿孔(59、60)を備える請求項14に記載のフライス加工工具。
【請求項16】
前記第1の末端部(5)と前記第2の末端部(6)は、それぞれに前記中央冷却媒質ダクト(51)に対する冷却媒質の供給と除去のための各々の連結ダクト(62)を備える請求項1〜15のいずれか一項に記載のフライス加工工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、はめ歯歯車、ラック等の、歯を有する被加工物のホブ切りのために形成されているフライス加工工具に関する。
【背景技術】
【0002】
ホブ切りのためのフライス加工工具が、円筒形の工具本体に沿った螺旋状の線に沿ってフライス加工インサートが配置されている一体状の工具として提供されることが多い。こうした工具の製造においては、時として、フライス加工インサートのための機械座(machine seat)に接近すること、又は、フライス加工インサートが工具本体内に一体化されている場合にはフライス加工インサート自体に接近することが、問題となることがあるだろう。これは、フライス加工インサートの螺旋状の線の軸方向に連続した旋回の間が狭いことがあるという事実に基づいている。この理由から、円筒形の工具本体が複数の円板形セグメントによって構成されており、かつ、各々のセグメントが一般的に螺旋状の線の形のフライス加工インサートの1つの旋回を採用する、工具の形状でホブ切り用のフライス加工工具が提供される。
【0003】
こうしたセグメントホブの複数の異なる具体例がすでに公知である。特許文献1では、複数の別々のセグメントで構成されている円筒形工具本体を備えるセグメントホブが開示されている。この別々のセグメントは、緩い別々の嵌合ボルトによって互いに対して回転可能な形で固定されている。各々の末端には、末端部(end piece)があり、セグメントのパッケージ全体とこの末端部とが長い貫通ねじによって一体状に保たれている。全てのセグメントの中央を貫通して、駆動軸が延び、この駆動軸は、その一方の末端において工作機械に連結されており、この工作機械は駆動軸を回転させるように作動可能である。駆動軸からその工具へのトルクの伝達のために、駆動軸上の溝の中にウェッジが座ぐりしてあり、かつ、このウェッジは別のセグメントの内部溝と係合している。
【0004】
この従来の公知のセグメントホブの問題点は、被加工物において形成される表面の機械加工精度が特定の用途の場合に十分には高くはないということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005029053号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的が、上述の問題点を全体的又は部分的に回避することである。本発明によって、この目的は、特許請求項第1項に記載のフライス加工工具によって達成される。有利な実施態様が従属特許請求項に示されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例えば、はめ歯歯車、ラック等の、歯を有する被加工物のホブ切りのために形成されている本発明によるフライス加工工具は、円筒形の工具本体を備え、この円筒形の工具本体は回転軸線を形成しかつ複数の円板形セグメントを備える。このセグメントの各々は、接線方向に互いに間隔が開けられた複数のフライス加工インサートのためのハブ部分と外周カムとを備え、互いに隣接するセグメントは着脱可能な形で相互連結されている。各々のセグメントは、回転軸線上に位置している貫通穴を有し、この貫通穴は、中央ダクトが円筒形工具本体内に形成されているように、互いに対して方向付けられている。互いに隣接するセグメントはねじれ剛性的に相互連結されている。このフライス加工工具は、さらに第1の末端部を備え、この第1の末端部は、その一方の側部において、セグメントの中の第1のセグメントと着脱自在にかつねじれ剛性的に相互連結されており、かつ、その他方の側部において、トルク源からの全てのトルクが第1の末端部を介して円筒形工具本体に供給されるように、トルク源に対するねじれ剛性的な連結のための連結部材を有する。中央ダクトは冷却媒質ダクトである。
【0008】
本発明は、トルク源からのトルクが非常に小さい遊びを伴ってセグメントに伝達されるフライス加工工具によって上述の目的が実現されることが可能であるという着想に基づいている。工具スピンドルに連結されている中央駆動軸を介して各々の個別セグメントにトルクが供給される公知の装置では、フライス加工工具の取り付けにおいてセグメントが駆動軸上にねじ込まれることを可能にするために、セグメントと駆動軸との間に遊びが存在することが多い。これは、さらに、その軸上のウェッジと、各セグメント内に存在する溝との間の嵌合にも当てはまる。したがって、こうした公知の工具は、駆動軸とセグメント内の中央穴との間の半径方向の緩みと、駆動軸のウェッジとセグメント上の対応する溝との間の接線方向の緩みとを有することが多い。これらの緩みは、被加工物の機械加工精度に悪影響を与える振動の問題の原因となることがある。
【0009】
互いに隣接するセグメントがねじれ剛性的に相互連結されていることと、本発明が第1の末端部を有し、この第1の末端部が、その一方の側部において、セグメントの中の第1のセグメントとねじれ剛性的に相互連結されており、かつ、その他方の側部において工具スピンドルにねじれ剛性的に連結可能であることとによって、トルクすなわち回転が、上述の公知の技術の場合よりも著しく小さい遊びを伴って工具スピンドルからセグメントに伝達されることが可能である。これは、さらに、既知のフライス加工工具の貫通駆動軸が省かれることが可能であることも意味する。この代わりに、セグメントの中を貫通して延びかつ駆動軸が中を埋めていなければならなかった中央ダクトが、冷却媒質のために使用されることが可能である。このことがフライス加工工具の効率的な内部冷却を可能にし、その結果として、フライス加工工具が、温度変動によって引き起こされる寸法の変化の影響を受けにくくなる。したがって、本発明によるフライス加工工具は振動する傾向がより低く、既知の上述の種類の工具よりもより一定不変の寸法を維持することが可能であり、このことが所望の改善された機械加工精度を実現する。
【0010】
本発明によるフライス加工工具は、鋼鉄、鋳鉄、アルミニウム、チタン、四六黄銅等の金属の被加工物の切屑除去機械加工に適している。
【0011】
本発明によるフライス加工工具は、特にホブ切り(hobbing)によって、被加工物の歯をフライス加工するために形成されている。通常は、円筒形の被加工物から開始され、この被加工物の外周において残留部分が歯を形成するように空間がフライス加工される。さらに、当然であるが、ラックのような被加工物の別の形状も実現可能である。したがって、本発明によるフライス加工工具は、さらに、ラックのフライス加工のための同様の方法においても使用可能だろう。
【0012】
本発明によるフライス加工工具は複数の円板形のセグメントを備え、これらの円板形セグメントは円筒形工具本体に接合可能である。円筒形工具本体に関しては、セグメントの半径方向において最も外側の点が仮想的な円筒の包絡面上に位置しているという事実が言及される。一般的に、セグメントの半径方向において外側の部分の間に空間があり、したがって、工具本体自体の外側表面は円筒の包絡面に従わない。
【0013】
各々のセグメントは、ハブ部分と、このハブ部分の半径方向に外側に位置している外周カムとを備える。この外周カムには、接線方向(言い換えれば、円周方向)において互いに間隔が開けられている複数のフライス加工インサートが配置されている。これらのフライス加工インサートは外周カムと共に一体的に形成されていてもよく、又は、外周カムと同一の構成要素から機械加工されていてもよく、又は、例えばはんだ付け等によって、外周カム内に恒久的に配置されていてもよい。他の実施態様では、外周カムは、交換可能なフライス加工インサートのための座を備えることもある。この交換可能なフライス加工インサートは任意の適切なタイプであってよく、例えば、超硬合金、サーメット、セラミックス等の硬質材料であってよい。このフライス加工インサートは、例えば固定ねじ又は締め付け要素によって、任意の適切な方法で外周カムに取り付けられるだろう。フライス加工インサートは1つ又は複数の刃先を備え、この刃先は割り出し可能及び/又は反転可能であるだろう。
【0014】
外周カムは、ハブ部分の周りを一周して延び、一般的には外周カム、又は、その中に配置されているフライス加工インサートが、特定のピッチの螺旋線に従うだろう。外周カムのピッチは全てのセグメントにおいて一定不変かつ同一であるか、又は、変化するだろう。しかし、完全な一周が、幾つかの連続した相互連結したセグメントにわたって延びるように、外周カムが完全には一周しては延びずに部分的にだけ延びる実施態様も可能である。特定の用途では、内部はめ歯歯車のための二重スリットカッティング(duplex slit cutting)又は三重スリットカッティング(triplex slit cutting)の場合のように、外周カムが0°のピッチを有する実施態様、又は、外周カムがセグメントの外周に沿って間欠的に延びる実施態様を使用することが可能である。
【0015】
本発明では、互いに隣接するセグメントがねじれ剛性的に相互連結されている。したがって、互いに隣接するセグメントは、互いに対して相対的に回転することを相互に防止されている。これらのセグメントは、例えばねじ、ボルト、ナットによって、又は、例えば雄−雌タイプの固着連結細部によって、任意の適切な仕方で着脱自在に相互連結されるだろう。これらの連結細部は、これらの連結細部の幾何学的形状によって、及び/又は、これらの連結細部の間の摩擦によって固着しているだろう。一般的に、これらのセグメントは、軸方向かつ半径方向にも、すなわち、全方向にも、互いに対して不動であるように、着脱自在に相互連結されている。
【0016】
本発明によるフライス加工工具は、第1の末端部を備え、この第1の末端部は、その一方の側部において、セグメントの中の第1のセグメントと着脱自在にかつねじれ剛性的に相互連結されており、かつ、その他方の側部において、トルク源に対するねじれ剛性的な連結のための連結部材を有する。
【0017】
一般的に、この末端部は円板形の要素であるが、より長い軸方向の長さを有することがあり、例えば、円形の横断面を有する円筒形であることがある。この末端部は、適切な直径を有することがあり、例えば、セグメントと同一の直径、又は、セグメントのハブ部分と同一の直径を有することがある。ハブ部分と同一の直径を有する末端部の利点が、末端部と第1のセグメントとの間の接触面が可能な限り大きくされることが可能であり、このことがより安全な連結に寄与するということである。しかし、例えば正方形、多角形、又は、別の適切な横断面のような他の軸方向の横断面も可能である。
【0018】
この末端部は、その一方の側部において、トルク源、一般的は工作機械の工具スピンドルに連結可能である。末端部は、その他方の側部に、最も近い隣接するセグメントとの相互連結のための連結部材を有する。上記目的のための連結部材は、末端部に恒久的に取り付けられるか、又は、末端部内に一体化されることがあり、又は、緩い連結部材が、トルク源に対するその末端部の連結のために使用されることもある。この連結部材は、その幾何学的形状によって、及び/又は、摩擦によって、固着しているだろう。一般的に、末端部は、トルク源/セグメントに対して相対的に軸方向及び半径方向(すなわち、全方向)にも不動であるように、それぞれに、トルク源に対して着脱自在に相互連結可能であり、セグメントに相互連結されている。末端部の両側部上の連結部材は同一のタイプか又は異なるタイプであるだろう。一実施態様では、この連結部材は、セグメントの相互連結のために使用される連結部材と同一のタイプである。有利であることに、このことは、フライス加工工具の全ての総合連結された部分の間の連結が同一の属性を有することを含意し、このことが、フライス加工工具内の振動の発生の減少と、より簡単な製造とに寄与する。一実施態様では、末端部の両側部上の連結部材は、横断面の幾何学的形状が同一である限りは、同一である。しかし、工具スピンドルに対する連結のための連結部材は、寸法、円錐角、及び/又は、1つ又は複数の貫通穴のサイズ及び存在に関して、第1の末端部をセグメントに連結するための連結部材とは異なる。
【0019】
本発明では、円筒形工具本体は、第1の末端部を介してトルク源からトルクが供給される。この工具本体を回転させるのは、このトルク源からのトルクである。しかし、本発明の範囲内では、他の供給源からのトルクを別の方法で工具本体に供給することが可能である。工具本体の個別のセグメントが、工作機械からのトルク伝達が末端部を経由して全てのセグメントに対して生じさせられることが可能であるように、工具本体の個別のセグメントが互いにねじれ剛性的に相互連結されている。
【0020】
これによって、フライス加工工具は、従来のフライス加工工具では全セグメントの各々に対するトルク(回転)の供給のために全セグメントを貫通して延びる貫通駆動軸を欠いている。この代わりに、本発明によるフライス加工工具は、全セグメントを貫通して延びる中央ダクトを有する。各々のセグメントにおいて、このダクトは、回転軸線上に位置している中央貫通穴によって形成されている。この空の空間は冷却媒質ダクトを形成する。冷却媒質として、例えば空気、水、又は、油のような気体又は液体のような、あらゆる適切な材料が使用されてよい。
【0021】
このダクトは、冷却媒質が中で静止しているか又は循環している閉鎖された部屋であることもある。さらに、このダクトを冷却媒質の外部源に連結して、連続的に又は必要に応じてこのダクトを通って冷却媒質が流入及び流出することを可能にすることも可能である。
【0022】
本発明によるフライス加工工具の一実施態様では、各々のセグメントは中央冷却媒質ダクトから外周カムのフライス加工インサートへの冷却媒質の供給のための分岐ダクトを備える。このようにして、工具本体が内側からより大きな面積にわたって冷却されることが可能であることが有利に実現される。さらに、フライス加工インサートはより効率的に冷却されることが可能であり、必要とされる冷却媒質の量は、従来の外側からの冷却の場合よりも少ない。これによって、上記実施態様によるフライス加工工具は、温度変動によって引き起こされる寸法変化の影響をさらに受け難くなる。さらに、より効率的な形で切屑が除去されることが可能である。
【0023】
本発明によるフライス加工工具の一実施態様では、フライス加工工具は、さらに、第2の末端部を備える。この第2の末端部は、その一方の側部において、セグメントの中の最後のセグメントに対して着脱自在にかつねじれ剛性的に相互連結されており、その他方の側部において、支持物内の回転可能な軸受のための軸受部材を有する。この第2の末端部のおかげで、本発明によるフライス加工工具は、第1の末端部が機械のスピンドルに連結されかつ第2の末端部がその機械の支持物側に連結される形で、工作機械内に容易に取り付けられることが可能である。一実施態様では、第2の末端部は第1の末端部と同じタイプであり、その突き出た連結部材においてだけ第1の末端部と異なっている。しかし、特定の用途では、第2の末端部の少なくとも特定の部分をより小さな寸法(例えば、より小さな直径)にすることが可能である。これは、支持端部としてのその能力における第2の末端部が、駆動端部としてのその能力における第1の末端部よりも負荷が小さいことが可能だからである。
【0024】
本発明によるフライス加工工具の一実施態様では、互いに隣接するセグメントは、対の形で協働する雄部材及び雌部材のそれぞれ1つによって相互連結されており、雄部材と雌部材は、回転軸線が雄部材と雌部材とを貫通して延びる形で配置されている。中央冷却媒質ダクトは、円筒形工具本体内のその長さに沿って雄部材と雌部材とを貫通して延びる。協働する雄部材と雌部材の各々だけによってセグメントが対の形で相互連結されているので、複数の貫通ねじが使用される具体例において時として見出されることがある、複雑かつ不正確な嵌合という問題が回避される。これに関して、雄部材と雌部材の中空の設計が、冷却媒質ダクトの中央配置を容易なものにする。
【0025】
2つの末端部を有する実施態様では、有利なことに、さらに、末端部とそれぞれの最も近い互いに隣接するセグメントとが、対の形で協働する上記雄部材及び雌部材のそれぞれ1つによって相互連結されている。有利なことに、これは、フライス加工工具の相互連結された部分の全ての間の連結が同一の属性を有することを意味し、これは、フライス加工工具における振動の発生の減少とより容易な製造とに貢献する。相互連結されている構成要素の間の軸方向及び半径方向の遊びに関する好適な属性を有する連結部材を使用する場合には、さらに、有利なことに、同一の種類の連結部材がその工具の全構成要素の相互連結のために使用される場合には、工具全体の好適な属性が得られる。これに関して、連結部材が実質的に同一の幾何学的形状又は横断面を有する限り、連結部材は同一のタイプであるだろうが、しかし、例えば寸法、角度、及び/又は、雄部材の内部設計に関しては、異なることもある。
【0026】
一実施態様では、一方では、セグメントとの相互連結のための末端部の連結部材が、セグメント間の連結部材と同一のタイプであり、かつ、他方では、トルク源との相互連結のための連結部材が、当該のトルク源に連結されることが意図されている工具のための標準的な設計である。この実施態様は、この場合に末端部が工具本体とトルク源との間のアダプタとして機能することが可能なので、有利である。
【0027】
一実施態様では、ハブ部分は、2つの互いに反対側に位置した面平行な端面を備え、第1の末端部と第2の末端部は、それぞれの互いに隣接するセグメントに面する各々の面平行な端面を備え、この端面は回転軸線に対して垂直に延びる。さらに、雄部材と雌部材の各々は接触面を備え、これらの接触面は大きな末端から小さな末端に収束し、回転軸線を横切る横断面において、非真円の曲線(out-of-round curve)を形成する。雄部材と雌部材の接触面は、雄部材と雌部材とが互いに一体状にされている時に、その2つの互いに隣接するセグメントを、回転軸線の周りにおいて非真円の横断面によって心出しされかつ互いに角度的に決定されておりかつ面平行な端面が互いに突き当たる末端位置に向かって方向付ける。
【0028】
この実施態様では、雄部材が雌部材と嵌合させられている時には、接触面の円錐性と相互寸法とのために、雄部材の接触面と雌部材の接触面との間に半径方向の間隙が最初には存在する。雄部材と雌部材とが部分的距離を伴って互いに一体状にされ終わると、接触面が互いに接触し、その接触が、一般的に、点形状、線形状、又は、接触面の副区域(subarea)の形である。一体状にされ続けると、接触面の少なくとも一部分が互いに対してスライドする。そうする中で、セグメントと末端部がそれぞれに、非真円の横断面によって角度的に決定される位置に向かって回転させられる。これに加えて、雄部材と雌部材は、これらが工具本体の回転軸線の周りに配置されているので、セグメントが回転軸線上に互いに心出しされている位置に、そのセグメントを半径方向に方向付けることがさらに可能である。雄部材と雌部材は、それぞれに互いに合致する隣接セグメントのハブ部分と末端部とにおける面平行な端面によって決定されている軸方向の末端位置に共に配置される。さらに、この末端位置では、通常は、接触面の一部分だけが互いに接触している。
【0029】
したがって、面平行な端面と組み合わされた、本発明のこの実施態様における形成され配置されている雄部材と雌部材とによって、互いに隣接するセグメントと、末端部と、トルク源に対する末端部との非常に正確な相互配置が、全方向において、すなわち、角度方向と半径方向と軸方向とにおいて、有利な形で実現される。言い換えると、工具に含まれるフライス加工インサートの最も正確な空間的位置決めが実現される。このことは非常に高い位置決めの信頼性を必然的に伴い、これは、工具の高い寸法的精度に寄与する。このようにして、良好な機械加工が、フライス加工インサートによって切削された刃溝の間に実現される歯の滑らかで寸法的に正確なフランク表面の形状が確保されることを結果的に生じさせる。さらに、有利には、セグメントの対ごとに1つずつの協働する雄部材と雌部材しか必要でないので、容易な装着と取り外しとが実現される。
【0030】
本発明の一実施態様では、雄部材と雌部材はそのセグメントと共に一体化されている。本明細書で使用されているこのような概念「一体化された」は、広範な意味で解釈されなければならない。標準的な実施態様では、個別のセグメントは、例えば鋼鉄のような単一の中実の被加工物の機械加工によって製造されるだろう。しかし、同一又は異なる材料の2つ(又は3つ以上)の構成要素を最初に恒久的に合体させ、最終段階になってはじめて最終的な形状決定機械加工を行うことも可能である。適正なセグメントにおける連結手段の一体化が、高い精度と寸法的正確性とを有するセグメントを作成するための良好な可能性を実現する。
【0031】
以下の説明では、本発明が実施形態の事例によってさらに詳細に説明され、添付されている概略的な図面が参照される。この様々な実施形態では、同一の照合記号が、同一の又は一致する構成要素のために使用されている。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、はめ歯歯車のフライス加工中に工作機械内に連結されている時の、本発明によるフライス加工工具の実施形態の斜視図である。
図2図2は、組み立て済み状態における図1によるフライス加工工具の斜視図である。
図3図3は、図2によるフライス加工工具内に含まれているセグメントの斜視図である。
図4図4は、図3に示されている同じセグメントの他方の側からの斜視図である。
図5図5は、図3図4に示されている同じセグメントの側面図である。
図6図6は、この工具の互いに協働する雄部材と雌部材の実施形態の横断面形状を示す幾何学的図である。
図7図7は、この工具の一実施形態に含まれている別のタイプのセグメントの図3の斜視図に対応する斜視図であり、このセグメントは第1のタイプのセグメントの間に交互に挿入される。
図8図8は、本発明によるフライス加工工具の第2の実施形態に含まれているセグメントの斜視図である。
図9図9は、図8におけるセグメントと同じセグメントの平面図である。
図10図10は、図3図8による互いに連結されている2つのセグメントの縦断面図である。
図11図11は、組み立て済み状態における第2の実施形態によるフライス加工工具の斜視図である。
図12図12は、図11によるフライス加工工具の縦断面である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1では、はめ歯歯車を形成するための被加工物Wの機械加工中の本発明の実施形態に従って作られたフライス加工工具1が概略的に示されている(図を明瞭にするために、歯と切削された刃溝とが仕上げ機械加工状態で示されている)。言い換えると、本発明は、セグメントホブの形で例示されている。
【0034】
この実施形態によるフライス加工工具1の図示されている使用では、工具1の第2の端部が、軸受ブラケット4の形態の支持物の中に回転可能な形で支持されている。第1の端部は、工作機械(図示されていない)内のチャック等に連結可能である。この図では、上記端部の連結が概略的に示されている。実際には、上記端部は、当該の工作機械内の適切な連結インターフェイスに嵌合するように形成されている。
【0035】
この工作機械はトルク源として機能し、工具1に対して回転を伝達し、これについてはさらに詳細に後述する。これによって、工具1は、被加工物Wがより明確には中心軸線C2上で方向R2に旋回可能又は回転可能であるのと同時に、方向R1に軸C1上で回転可能である。通常は、このフライス加工工具は、被加工物よりも著しく早い速度で駆動される。例えば、この工具は、100回転で回転させられることがあり、一方、被加工物は1回転で回転させられる。この工具の送りが、双方向の矢印「f」によって概略的に示されているように、中心軸線C2に対して平行に行われる。選択された回転方向R1、R2によって、その送りが上部末端位置から下方の方向に生じる。
【0036】
図2では、フライス加工工具1はその全体においてより詳細に示されている。工具1内に含まれている複数のセグメント8が、一体となって円筒形のフライス加工本体すなわち基本本体2を形成し、セグメント8内に含まれている個別のフライス加工インサート20が、その円筒の外側に沿った連続した螺旋状の線に従う。セグメント8は1対の末端部の中間に配置されており、この末端部の第1の末端部が5で示されており、第2の末端部が6で示されている。図示されている実施形態では、工具スピンドルに対する連結のための第1の末端部5の連結部材は、いわゆるCOROMANT CAPTO(商標)継ぎ手の一部分の形状であり、この継ぎ手は、SANDVIK COROMANT AB製の工具内に含まれることが多い。第2の末端部6は、工作機械内の回転可能な軸受のための首部3に対して連結される。図2では、回転軸線C1上に中央に位置している冷却ダクト51も示されている。
【0037】
次に、図3から図6を参照しながら、本発明のこの実施形態に含まれているセグメントを説明する。図示されている実施形態では、互いに隣接するセグメント8が、回転軸線C1上に中央に配置されている連結部材の各々と冷却ダクト51とによって相互連結されている。雄タイプの連結部材が各セグメントの一方の側部から突き出ており、雌タイプの連結部材がそのセグメントの他方の側部上で各セグメントの中に延びる。図3では、2つのタイプのねじ、すなわち、ドローインボルト(draw-in bolt)9と分解ねじ(disassembly screw)10が示されており、これらはセグメント8の取り付けと取り外しのためにそれぞれに使用され、これについてはさらに詳細に後述する。
【0038】
各々のセグメントは、ハブ部分11と、ハブ部分11から半径方向に外側に配置されている外周カム12とを含む。ハブ部分11は2つの面平行な端面13、14を含む(図5を参照されたい)。
【0039】
この2つの端面13、14は中心軸線C3に対して垂直な平面内を延び、この中心軸線C3は、工具1の取り付け状態では、組み立てられた工具の回転軸線C1と一致する。言い換えると、端面13、14は互いに平行である。外側においては、ハブ部分11は、部分的に円筒形である包絡面15によって形成されている。この包絡面15は軸C3と同中心である。
【0040】
外周カム12がハブ部分11の包絡面15の外側を半径方向に延び、この外周カム12は特定の半径方向の長さを有する。外周カム12はハブ部分11に沿って一周にわたって延び、かつ、予め決められたピッチの螺旋状の線に従う。このピッチは、ハブ部分の平面端面13と、カム12のリング形の前面18との間の、角度αによって示されている(図5を参照されたい)。αは1〜10度の範囲内であることが適切である。カム12は、幅広の基部から尖った外側部分に向かって先細になるように、横断面が楔形である形状である(図10図12を参照されたい)。カム12は平面の表面22内で始まって終わり、この表面22は、互いに隣接するセグメント内のカムの類似の表面に対して押しつけられることが可能である。したがって、全体的に、個別のセグメントのカムは、組み立てられた工具の連続的なねじ山形のねじ構成を形成する。
【0041】
外周カムの互いに反対側の傾斜したフランク表面には、交換可能なフライス加工インサート20のための複数の座の凹みが作られている。図示されている具体例では、フライス加工インサートは超硬合金で作られており、ねじによって支持表面に対して突き当たるように従来の方法で座の中に取り付けられている。この座は、接線方向に、言い換えれば、円周方向に、互いに間隔を開けられている。
【0042】
フライス加工インサート20によって取り除かれる切屑の排出を容易にするための切屑溝が、各々の座とフライス加工インサート20との前方に回転可能な形で配置されている。全ての第2の座とフライス加工インサート20とが、それぞれに、カム12の一方のフランク表面内に位置しており、かつ、全ての第2が他方のフランク表面内に位置している。
【0043】
本発明の図示されている実施形態では、セグメントは、対の形で協働する雄部材と雌部材の形態の連結手段によって互いに対して回転可能な形で固定されており、雄部材と雌部材は個別のセグメントと共に一体化されている。各々の雄部材と雌部材は、中心軸線C3に対して垂直な平面内に見てとれる非真円の横断面形状をそれぞれに有する接触面38、39を含む。さらに、これらの接触面は、大きな末端から小さな末端へ向かって収束する。この具体例では、各々のセグメントは、一方では、そのセグメントの一方の端面13から軸方向に突き出る雄部材36と、他方では、ハブ部分11の他方の端面14内に開口する凹み37の形状の雌部材とを含む。雌部材の小さな端部が輪になった境界線40aによって表されており、その大きな端部が同様の輪になった境界線41aによって表されている。同様の形で、境界線41bは雄部材36の大きな端部を表し、一方、小さな端部は境界線40bによって表されている。言い換えれば、接触面38、39は同一の方向に収束し、すなわち、フライス加工工具の支持端部からそのスピンドル端部に収束する。
【0044】
示されている具体例では、雄部材と雌部材は中心軸線C3上に中央に配置されている。しかし、本発明の別の実施形態では、通常は工具の回転軸線C1と同一である中心軸線C3が、特定の方向にずれた雄部材と雌部材とを貫通して延びるように、雄部材と雌部材と配置することが可能である。雄部材と雌部材の中心軸線の周りの中央位置が、有利なことに、雄部材と雌部材の幾何学的形状のより単純な設計をもたらす。この中央位置は、さらに、より小さい雄部材と雌部材とを可能にし、このことは、有利なことに、より剛直なセグメントを意味する。
【0045】
この具体例では、雄部材と雌部材の非真円の横断面形状は、多角形、より明確には、三角形、すなわち、三角形(three-cornered)の形に作られている雄部材と雌部材とによって実現されている。簡単に述べると、この形状は、3つの丸い隅を有する曲線によって決定され、これらの3つの丸い隅は、これらの隅の曲率半径よりも大きな曲率半径を有する3つの湾曲した円弧線に対して正接である内接円から突き出る(図6を参照されたい)。
【0046】
幾何学的に、この曲線は次式によって定義され、
【数1】
前式中で、
n=任意の点Pにおけるこの曲線に対する法線、
x及びy=従来の座標系の座標、
γ=法線nと座標系のx軸との間の角度、
2a=内接円ICに対する個々の隅の選択された離心距離(又は、膨らみ)、
Dm=内接円の直径と離心距離2aとの合計である。
【0047】
上記三角形の横断面形状を有する雄形及び雌形の継ぎ手は、それ自体としては既知であり、切削機械加工のための工具において使用されている。商業的な使用においては、この継ぎ手はCOROMANT CAPTO(商標)と命名されており、SANDVIK COROMANT AB製の工具内に含まれることが多い。しかし、セグメントの雄部材と雌部材は、COROMANT CAPTO(商標)に関する既存の標準にしたがって製造されている雄部材と雌部材とから、それぞれに、寸法、円錐角、及び/又は、貫通穴に関して異なる。
【0048】
2つの接触面38、39の収束角β(図5を参照されたい)は、少なくとも2°かつ多くとも20°の大きさでなければならない(それぞれに、β/2=1°及び10°)。適切には、この収束角は6°〜14°の範囲内である。図示されている具体例では、それぞれの接触面に沿った任意の法線が直線である。(上述の間隔内であることによって)収束角が適度である時には、雄部材と雌部材とが大きな困難(=大きな力)だけによって分離させられることが可能である限りは、雄部材と雌部材との間の係合が自己固着状態となる。他方では、その間隔の外側の過剰に大きな収束角が、空間的に決定された末端位置に向かう本発明の所望のガイダンスをより困難にする。
【0049】
示されている本発明の実施形態では、雄部材と雌部材の接触面38、39は非常に高い寸法精度に仕上げられており、より明確には、適切には0.01mmよりも精細である寸法精度に仕上げられている。これは、有利なことに、いわゆる適応制御方式の機械加工によって、好ましくは、シャンクエンドミルによるフライス加工の形で実現されるだろう。こうした機械加工は、被加工物が約0.3mmの材料許容誤差で形成され終わった後に、幾つかの連続的な段階で行われる。上記材料許容誤差の削減が行われた後に、少なくとも1つのさらに別の段階で材料がさらに取り除かれる前に、寸法公差の測定が行われる。このようにして、接触面が、0.001mmまでの寸法精度が全面的に与えられることが可能である。
【0050】
雄部材36は中空又は管状であり、その内側穴は、セグメントの反対側の雌部材37に連結する。したがって、中心軸線C3上に中央に位置している貫通穴52が形成されている。雄部材36の内側表面42が円筒形である。円筒表面42と外側表面38は共通のリング表面43に連結し、この共通リング表面43は雄部材36の自由末端を形成する。
【0051】
図示されている実施形態では、上述したように、2つのタイプのねじが、セグメント8の取り付けと取り外しのためにそれぞれに使用される。この目的のために、各々のセグメントは幾つかのねじ山付き穴35と幾つかのねじ山なしの穿孔27とを備えている。さらに、2つの異なる基本タイプのセグメント8が使用され、これらのセグメントは、組み立て済みの工具において、交互に配置されており、又は、言い替えると、あらゆる第2のセグメントが第1のタイプであり、かつ、あらゆる第2のセグメントが第2のタイプである。この2つのタイプのセグメントは、それぞれのセグメントタイプの穴のパターンが互いに対してずれているという点でだけ互いに異なる。これは、図3図7との間の比較において理解され、図3は第1のタイプのセグメント8を示し、図7は第2のタイプのセグメントを示す。したがって、図3によるセグメント8では、穿孔27はカム12の平面表面22に位置しており、一方、図7によるセグメント8では、ねじ山付き穴35がその対応する位置に配置されている。上記の2つの異なるセグメントタイプ8、8aが交互に配置されている組み立て済みの工具では、ねじ山付き穴35と貫通穿孔27は、さらに、互いに対して交互にかつ同一直線上に位置している。
【0052】
フライス加工工具の第2の実施形態では、セグメント8、8aは分岐ダクト58を備えている。第2の実施形態に含まれているこのセグメントは図8図9とに示されている。分岐ダクトは、その工具の組み立て済み状態においては中央冷却媒質ダクト51を形成するセグメントの貫通穴52から、外周カム12に向かって外方に延び、フライス加工インサート20のための座で開口する。図示されている実施形態では、この分岐ダクト58は切屑溝21の中に開口し、この切屑溝21は、回転方向で見た場合に、各々の座の前方に位置している。
【0053】
示されている第2の実施形態では、各々の分岐ダクト58は2つの直線上の副ダクトとして形成されている。内側の副ダクトは、中央穴51から、ねじ穴35と穿孔27との間のハブ部分11を通過して、カム12に向かって外方に延び、切屑溝21の中の特定の箇所で開口する。この箇所は、ねじ山付き穴35又は穿孔27にまったく交差せずにこの箇所から中央穴に向かって直線的に穿孔することが可能であるように選択されている。内側の副ダクト59の外側部分は、使用される冷却媒質の漏洩を防止するために塞がれている。
【0054】
他方の外側ダクト60は、冷却媒質の供給が切削プロセスにとって望ましい当該の切屑溝21内の位置から、内側分岐ダクト59の適切な箇所に向かって、内方に直線的に延びる。したがって、外側分岐ダクト60を直線的にかつ1つの段階で穿孔することも可能である。
【0055】
この2つの副ダクト59、60はともに、セグメントの中央穴52から、工程中における冷却媒質の供給に適している各切屑空間内の箇所への、分岐ダクト58の形状の連結ダクトを形成する。外側副ダクト60の開口部にはノズルが備えられている。
【0056】
図示されている実施形態では、分岐ダクト58はあらゆる第2の切屑溝21に到達する。他の実施形態が、サイズと、幾何学的形状と、おそらくはセグメントの相互連結のための穿孔の相互間の長さとに応じて、別の個数の分岐ダクトを有するだろう。例えば、外側分岐ダクト60は各切屑溝に開口するだろうし、この開口部はフライス加工インサートに面するだろう。さらに、異なる切屑溝からの2つの外側分岐ダクトが同一の内側分岐ダクト58の形に変形することも可能である。
【0057】
内部冷却で十分でありかつ各切屑空間内の冷却が必要とされない工程における本発明によるフライス加工工具の第2の実施形態に含まれるセグメントの使用を可能にするために、外側の副ダクト60は着脱可能な栓61によって塞がれることが可能である。
【0058】
図示されている実施形態によるフライス加工工具は、さらに、すでに上述したように、第1の末端部5を備える(図11図12を参照されたい)。図示されている実施形態では、第1の末端部は回転対称の要素であり、一体的にかつ同じ1つの材料断片内に形成されている軸方向に連続して配置されている3つの部分、すなわち、内側連結部分53と、グリッパ溝部分54と、外側連結部分55とを備える。
【0059】
第1の末端部5は、その一方の内側側部において、セグメント8の第1のセグメント8′と着脱自在にねじれ剛性的に相互連結されている。このために、第1の末端部5は、セグメント8が有する雌部材と同一のタイプの雌部材37の形状である連結部材を備え、この連結部材についてはより詳細に上述してある。この雌部材は、末端部の内側連結部分53内に配置されている。この内側連結部分53は円板の形状を有し、3つの部分のうちの最大の直径を有し、この直径は、セグメントのハブ部分が有する直径と同一の直径である。
【0060】
工具のセグメントから見て、内側連結部分53の後方において軸方向に外方に最も接近した形で、第1の末端部5のグリッパ溝部分54が続く。さらに、この部分は円板の形状を有するが、その直径は内側連結部分53の直径よりも小さい。グリッパ溝部分54の円筒形の包絡面の外側には、工具交換装置と協働するためのノッチ56が配置されている。
【0061】
工具のセグメントから見て、グリッパ溝部分の後方において軸方向の外方に最も接近した形で、第1の末端部5の外側連結部分55が続く。この外側連結部分55は、セグメント8が備える雄部材と同一のタイプの雄部材の形状である、例えば工具スピンドルのような、トルク源に対するねじれ剛性的な連結のための連結部材を備え、この雄部材についてはより詳細に上述してある。したがって、外側連結部分の雄部材はセグメント8の雄部材36と同一のタイプである。外側連結部分の雄部材は、横断面の幾何学的形状が同一である限りは、セグメントの雄部材と同一のタイプである。しかし、工具スピンドルに対する連結のための雄部材は、セグメントの相互連結のための雄部材又は第1の末端部をセグメントに連結するための雄部材に比較して、寸法、円錐角、及び/又は、貫通穴のサイズに関して異なっているだろう。
【0062】
第1の末端部5は、3つのねじ山付き穴35を含むが、滑らかな穿孔を含まない(図示されていない)。
【0063】
連結ダクト62が第1の末端部5を貫通して延びる。
【0064】
さらに、図示されている実施形態によるフライス加工工具は、既に上述したように、第2の末端部6を備える。この第2の末端部6は、最後の1つのセグメント8″との着脱自在でねじれ剛性的な相互連結のための連結部材がその一方の側(内側)から突き出す、円板形の要素である。図示されている実施形態では、上記連結部材は、セグメント8が備える雄部材と同一のタイプの雄部材36であり、この雄部材についてはより詳細に上述してある。
【0065】
第2の連結部材が、第2の末端部6の他方の側部すなわち外側側部に配置されている。図示されている実施形態では、この第2の連結部材は、セグメント8が備える雌部材と同一のタイプの雌部材37であり、これについてはより詳細に上述してある。この雌部材37は、円板形の第2の末端部6から突き出るスリーブ状の部分の中に位置している。
【0066】
第2の末端部は、その雌部材を介して首部57に連結される。連結ダクト62が第2の末端部6を貫通して延びる。
【0067】
第2の末端部6の中には、合計で6つの穴、すなわち、セグメント8、8a(図示されていない)の場合と同一のタイプの3つのねじ山付き穴35と3つの滑らかな穿孔27とが含まれる。
【0068】
説明している実施形態によるフライス加工工具の装着のために、複数のドローインボルト9が使用される(図3図7を参照されたい)。各々のこうしたねじは、雄ねじ24を有するシャンク23と、このシャンクよりも大きな直径を有する頭部25とを含む。この頭部内には、例えば六角ヘッドレンチ(hex head wrench)のためのキーグリップ26が形成されている。
【0069】
各々のセグメントに関して、有利には、3つのドローインボルト9が使用され、これらのドローインボルトはハブ部分11内の貫通穴又は貫通穿孔27の中で使用可能である。これらの穿孔は、ねじ山が無い限り、滑らかである。各々の穿孔は、ねじ頭部25のために設けられておりかつ拡大された直径を有する皿穴28を有する形に形成されている。さらに明確に述べると、幅広の皿穴28がハブ部分の前方端面14内に開口し、一方、より幅狭である部分29(図5図8を参照されたい)が、ハブ部分の後方端面13内に開口する。穿孔27の前方部分と後方部分とが互いに異なる直径を有することによって、リング形の肩部30が形成されており、この肩部に対して、ねじ頭部25が押しつけられることが可能である。3つの穿孔27が等間隔に隔てられており、すなわち、120°の角ピッチを有する。
【0070】
分解ねじ10は頭部を欠いており、前方の雄ねじ31と後方の円筒形部分32とを含み、この円筒形部分32の直径は雄ねじの外径よりも小さい。さらに明確に述べると、この円筒形部分32は、ドローインボルト9のキーグリップ26の中に送り込まれることが可能であるような小さい直径を有する。さらに、分解ねじ10はその前方端部にキーグリップ33を含むということに留意されたい。
【0071】
3つの追加的な穴35がハブ部分11を軸方向に貫通して延び、これらの穴35は、滑らかな穿孔27とは対照的に、雌ねじ35の形状のねじ山を含む(図7を参照されたい)。それぞれのねじ9、10の雄ねじ23、31は互いに類似しており、したがって、ねじ9、10は穴35の中に個別的に(しかし、同時にではなく)固定されることが可能である。さらに、3つのねじ山付き穴35は相互に等間隔に隔てられており、すなわち、120°の角ピッチを有する。さらに、穴35は2つの互いに隣接する穿孔27の間の中間に位置しており、これは、各々の個別の穿孔27と2つの互いに隣接するねじ山付き穴35との間の角ピッチが60°の大きさであることを含意する。
【0072】
セグメントの空間的位置が面平行な端面との組み合わせにおいて雄部材と雌部材によって決定されるので、滑らかな穿孔とねじ山付き穴との寸法公差が大きい。これらの相互的な整合は、セグメントの相互的な位置にとって重要ではない。ねじ9の目的は、互いに反対側に位置した端面13、14が対の形で互いに密着した状態に押し付け合わされるまで、雄部材と雌部材とが一体状にされるように、セグメント8の組を一体状に押し合わせることである。したがって、ねじ9は組み立て済みの工具の中に残留する。これらのねじの圧縮力が、有利なことに、個別のセグメントの間の連結を特に堅固なものにする。
【0073】
本発明の別の実施形態では、セグメントの組の各セグメントがそれぞれの末端位置に到達し終えた後に、これらのねじが再び緩められて取り外されることが可能である。さらに、例えば外側のクランプ等によって、ねじを使用せずに別の方法でセグメントを一体的に押し付け合わせることも可能である。
【0074】
分解ねじ10は、説明されている実施形態では、組み立て済み工具内に含まれないが、起こりうる工具の取り外しに関連して、1つ又は複数のセグメントが互いに分離させられなければならない時まで、使用されないだろう。
【0075】
これらの様々な構成要素を組み立て済みの工具の中に取り付けることが、次の仕方で行われるだろう。
【0076】
第1の段階では、タイプ8の第1のセグメント8′上の雄部材36が第1の末端部5内の雌部材37と係合させられ、これに加えて、3つの頭部付きねじ9がそのセグメント内の3つの穿孔27を貫通させられ、末端部内のねじ山付き穴35内に締め付け固定される。このようにして、そのセグメントは末端部5に対して大きな力で押し付けられることが可能であり、したがって、その後方端面13は末端部5の前面に密着するように押し付けられる。
【0077】
第2の段階では、タイプ8aのセグメント上の雄部材36が、タイプ8の第1のセグメント内の前方に開口した雌部材37と係合させられ、この後に、そのセグメントは3つのねじ9によって互いに密着状態に押し付け合わされる。これに関連して、各々のねじはセグメント8a内の穿孔27を貫通させられ、セグメント8内のねじ山付き穴と同一直線上に位置しているねじ山付き穴35の中に締め付け固定される。その次に、所望の個数のセグメントが互いに連結され終わるまで、この手順が繰り返される。最終段階では、3つのねじ9が、第2の末端部6を最後のセグメント8″に押し付けて固定するために動かされる。
【0078】
図10では、第1の実施形態によるフライス加工工具の2つの互いに隣接するセグメントが、組み立て済みの状態で示されている。Tが個々のセグメントの厚さを示し、この厚さは端面13、14の間の軸方向距離によって決定される。さらに、この大きさは、カム12のピッチと一致する。凹み37の深さがL1で表されており、一方、雄部材36の軸方向長さがL2で表されている。L1はTの少なくとも30%かつ多くとも80%の大きさでなければならない。L1がTの50〜70%の範囲内であることが好ましい。L1はL2よりも小さい。雄部材36が工具の組み立て済み状態において付属凹みと係合する時には、雄部材の自由端部43と凹みの底部との間に間隙44が存在する。言い換えると、雄部材はその凹みの底部には接触しない。このようにして、有利なことに、2つの隣接するセグメントの面平行な表面が互いに突き当たる本発明による所望の軸方向末端位置が、雄部材と雌部材によって邪魔されることなしに、到達されることが確保される。しかし、小さな間隙44とは別に、この説明している実施形態では、中央冷却ダクト51を形成するのは、中空の雄部材である。
【0079】
最後に、組み立て済みのフライス加工工具は工作機械内に装着されることが可能である。図示されている実施形態では、この機械は、上述したいわゆるCOROMANT CAPTO(商標)の形状の連結インターフェイスを有する。この場合に、COROMANT CAPTO(商標)タイプの第1の末端部の雄部材は、場合に応じて、末端部のグリッパ溝部分54のノッチに係合する工具交換装置によって、その機械の工具スピンドルに連結されることが可能である。この工具の他方の末端は、工作機械の軸受ブラケット内に位置している第2の末端部6の首部を伴って配置されている。そうすることによって、回転軸線(C1、C3)が雄部材と雌部材とその首部とを貫通して延びる。
【0080】
この工作機械が回転駆動される時に、この工作機械はトルク源として機能する。トルクは工具スピンドルを経由して第1の末端部に供給され、このトルクは、これらの間のねじれ剛性的な連結によって有効化される。第1のセグメント8′が第1の末端部5にねじれ剛性的に連結されており、かつ、後続のセグメント8、8aの各々が前方の次のセグメントにねじれ剛性的に連結されているので、工具スピンドルのトルクは工具の全セグメントに伝達され、したがって工具が回転させられる。したがって、これによって、トルク源からの全てのトルクが、第1の末端部を経由して円筒形工具本体に供給される。
【0081】
これに関して、各セグメントの相互間の、及び、末端部とそれぞれのセグメントとの間のねじれ剛性的な連結が、連結部における小さい緩みと遊びとのおかげで、振動の悪影響を受けない工具の回転を確実なものにする。
【0082】
さらに、異なるセグメントが、非常に高い剛性をもつ円筒形本体を一体的に形成し、これは、異なるフライス加工インサートの空間的配置が非常に正確に決定されるだろうということを示唆する。この結果として、被加工物Wにおいて形成されるべき歯のフランク表面が非常に良好な寸法公差を得るだろう。中央冷却ダクトのおかげで、機械加工プロセス又は他の事象によって引き起こされる温度差にも係わらずに、工具の正確な寸法が維持されることが可能である。この効果は、セグメントを貫通して延びる分岐ダクト58を有する実施形態において、さらに改善されるだろう。
【0083】
例えば損傷したセグメントを交換するための、工具の想定可能な分解が、分解ねじ10によって実現されることが可能である。しかし、最初に、現在は最も外側にあるセグメント(例えば、最後のセグメント8″)内に見えているねじ9が、ねじを緩めて取り外される。その次に、分解ねじが、最も外側のセグメント(例えば、最後のセグメント8″)内のねじ山付き穴35の中にねじ込まれる。そうすることによって、分解ねじは、背後のセグメントのドローインボルト9に対して押し付けられるだろう。さらに明確に述べると、個々のねじの円筒形部分32は、ねじ頭部のキーグリップ26の底部に対して押し付けられるだろう。その3つのねじ10を概ね均等に締めることによって、末端部6の雄部材がセグメント8a内の雌部材の外に正確に軸方向に確実に取り外されることが確保される。さらに別の段階では、異なるセグメントが、3つの同時に有効な分解ねじ10によって、同じ仕方で互いから分離させられることが可能である。
図1
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図10
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図12