(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967623
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】フィルタを生成する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 17/30 20060101AFI20160728BHJP
G06F 3/0481 20130101ALI20160728BHJP
【FI】
G06F17/30 340A
G06F17/30 360Z
G06F3/0481
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-96769(P2014-96769)
(22)【出願日】2014年5月8日
(65)【公開番号】特開2015-215671(P2015-215671A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2016年1月5日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108501
【弁理士】
【氏名又は名称】上野 剛史
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 知宏
(72)【発明者】
【氏名】古市 実裕
【審査官】
吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−064399(JP,A)
【文献】
特開2012−014293(JP,A)
【文献】
特開2014−010698(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0294755(US,A1)
【文献】
佐藤 弘和,他,“ソーシャルメディア クチコミ分析入門”,日本,ソフトバンククリエイティブ株式会社,2013年 9月26日,第1版,p.161−172
【文献】
株式会社ホットリンク,“「クチコミ@係長」、レポート出力機能をバージョンアップ!〜ソーシャルメディア分析の作業効率化を強力サポート〜”,2012年 9月12日,URL,http://www.opt.ne.jp/files/topics/870.pdf
【文献】
草薙 信照,“情報処理[第3版]−Concept & Practice−”,日本,株式会社サイエンス社,2012年 1月10日,第3版,p.254−257
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G06F 3/048
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタを生成する装置であって、
前記複数の要素を、前記データをそのまま表示するときの第1の態様とは異なる第2の態様で表示する表示部と、
前記第2の態様で表示された前記複数の要素からユーザが見たくない要素又は見てはいけない要素である特定の要素を選択するユーザ操作を受け付ける受付部と、
前記ユーザ操作に応じて、前記データを前記特定の要素を取り除いて表示するための前記フィルタを生成する生成部と
を含む、装置。
【請求項2】
前記表示部は、前記複数の要素を、前記第1の態様で把握される前記データの意味を不明瞭にする前記第2の態様で表示する、請求項1の装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記複数の要素を、前記第1の態様における当該複数の要素の位置とは無関係な位置に当該複数の要素が配置された前記第2の態様で表示する、請求項2の装置。
【請求項4】
前記表示部は、互いに同一又は類似の2以上の要素が前記データに出現する場合に、当該2以上の要素の一部を含まない前記複数の要素を表示する、請求項3の装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記複数の要素に加えて、当該複数の要素の何れかの要素の意味を不明瞭にする要素を表示する、請求項1の装置。
【請求項6】
前記受付部が前記ユーザ操作を受け付けると、前記表示部が前記特定の要素に予め関連付けられた他の要素を強調表示するように制御する制御部を更に含む、請求項1乃至請求項5の何れかの装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記複数の要素を、当該複数の要素の表示を開始してからの時間が経過するほど視認性が向上するように表示する、請求項1乃至請求項6の何れかの装置。
【請求項8】
コンテンツを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタを生成する装置であって、
前記コンテンツを他の装置から取得する取得部と、
前記コンテンツを前記複数の要素に分割する分割部と、
前記複数の要素を、前記コンテンツをそのまま表示するときの位置とは異なる位置にランダムに表示する表示部と、
ランダムに表示された前記複数の要素からユーザが見たくない要素又は見てはいけない要素である特定の要素を選択するユーザ操作を受け付ける受付部と、
前記ユーザ操作に応じて、前記コンテンツを前記特定の要素を取り除いて表示するための前記フィルタを生成する生成部と
を含む、装置。
【請求項9】
データを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタを生成する方法であって、
前記複数の要素を、前記データをそのまま表示するときの第1の態様とは異なる第2の態様で表示するステップと、
前記第2の態様で表示された前記複数の要素からユーザが見たくない要素又は見てはいけない要素である特定の要素を選択するユーザ操作を受け付けるステップと、
前記ユーザ操作に応じて、前記データを前記特定の要素を取り除いて表示するための前記フィルタを生成するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
データを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタを生成する装置として、コンピュータを機能させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記複数の要素を、前記データをそのまま表示するときの第1の態様とは異なる第2の態様で表示する表示部と、
前記第2の態様で表示された前記複数の要素からユーザが見たくない要素又は見てはいけない要素である特定の要素を選択するユーザ操作を受け付ける受付部と、
前記ユーザ操作に応じて、前記データを前記特定の要素を取り除いて表示するための前記フィルタを生成する生成部と
して機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタを生成する装置及び方法に関する。特に、本発明は、データを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタを生成する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット技術の進歩及びインターネットにアクセス可能な携帯端末の普及により、情報へのアクセスが容易になった。ところが、このことは、知りたくない情報又は知ってはいけない情報に触れてしまうことが多くなるという弊害ももたらしている。例えば、録画して後で観ようと思っていたスポーツの試合の経過や結果に関するニュースや会話をSNS等で意図せず見かけてしまうことが、これに該当する。
【0003】
こうしたことから、インターネット上のコンテンツから知りたくない情報又は知ってはいけない情報を取り除いて携帯端末に表示する技術が開発されている(例えば、非特許文献1、2参照)。
【0004】
非特許文献1は、Android(登録商標)用Twitter(登録商標)クライアントアプリケーションであるtwiccaを開示している。twiccaは、フィルタリング機能(ミュート機能)を備えており、このミュート機能を使うことで、設定された単語が含まれるツイートをタイムラインから消すことが可能となっている。
【0005】
非特許文献2は、Google Chrome(登録商標)の拡張であるTwivoを開示している。Twivoは、ユーザがブロックしたいキーワードを打ち込むと、それらのワードを含むツイートが放送からブロックされるように機能する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】twicca、[online]、[平成26年4月17日検索]、インターネット<URL:https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.r246.twicca&hl=ja>
【非特許文献2】Twivo, TV Spoiler Blocking Plug-In For Twitter, Invented By Teen Jennie Lamere、[online]、[平成26年4月3日検索]、インターネット<URL:http://www.huffingtonpost.com/2013/05/08/twivo-tv-spoiler-blocking-twitter_n_3238664.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、コンテンツ等のデータから知りたくない情報又は知ってはいけない情報を取り除くためのフィルタを生成する技術は既に知られていた。しかしながら、このようなフィルタの生成効率を向上させるための手段を、非特許文献1、2は開示していない。
【0008】
本発明の目的は、データを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタの生成効率を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもと、本発明は、データを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタを生成する装置であって、複数の要素を、データをそのまま表示するときの第1の態様とは異なる第2の態様で表示する表示部と、複数の要素から特定の要素を選択するユーザ操作を受け付ける受付部と、特定の要素に基づいてフィルタを生成する生成部とを含む、装置を提供する。
【0010】
この装置において、表示部は、複数の要素を、第1の態様で把握されるデータの意味を不明瞭にする第2の態様で表示する、ものであってよい。その場合、表示部は、複数の要素を、第1の態様における複数の要素の位置とは無関係な位置に複数の要素が配置された第2の態様で表示する、ものであってよく、更に、互いに同一又は類似の2以上の要素がデータに出現する場合に、2以上の要素の一部を含まない複数の要素を表示する、ものであってよい。
【0011】
また、表示部は、複数の要素に加えて、複数の要素の何れかの要素の意味を不明瞭にする要素を表示する、ものであってもよい。
【0012】
更に、この装置は、受付部がユーザ操作を受け付けると、表示部が特定の要素に予め関連付けられた他の要素を強調表示するように制御する制御部を更に含む、ものであってよい。
【0013】
更にまた、この装置において、表示部は、複数の要素を、複数の要素の表示を開始してからの時間が経過するほど視認性が向上するように表示する、ものであってよい。
【0014】
また、本発明は、コンテンツを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタを生成する装置であって、コンテンツを他の装置から取得する取得部と、コンテンツを複数の要素に分割する分割部と、複数の要素を、コンテンツをそのまま表示するときの位置とは異なる位置にランダムに表示する表示部と、複数の要素から特定の要素を選択するユーザ操作を受け付ける受付部と、特定の要素に基づいてフィルタを生成する生成部とを含む、装置も提供する。
【0015】
更に、本発明は、データを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタを生成する方法であって、複数の要素を、データをそのまま表示するときの第1の態様とは異なる第2の態様で表示するステップと、複数の要素から特定の要素を選択するユーザ操作を受け付けるステップと、特定の要素に基づいてフィルタを生成するステップとを含む、方法も提供する。
【0016】
更にまた、本発明は、データを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタを生成する装置として、コンピュータを機能させるプログラムであって、コンピュータを、複数の要素を、データをそのまま表示するときの第1の態様とは異なる第2の態様で表示する表示部と、複数の要素から特定の要素を選択するユーザ操作を受け付ける受付部と、特定の要素に基づいてフィルタを生成する生成部として機能させる、プログラムも提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、データを構成する複数の要素のうちの表示する要素を選別するためのフィルタの生成効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態におけるクライアントサーバシステムの全体構成例を示した図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるクライアントの動作例を示したフローチャートである。
【
図3】本発明の実施の形態におけるクライアントの動作例のフィルタ生成処理の流れを示したフローチャートである。
【
図4】本発明の実施の形態におけるクライアントの動作例のコンテンツ表示処理の流れを示したフローチャートである。
【
図5】(a),(b)はコンテンツに含まれるテキストの通常の表示例を示した図である。
【
図6】(a),(b)はコンテンツに含まれるテキストを複数の要素に分割して表示したときの表示例を示した図である。
【
図7】コンテンツに含まれるテキストの通常の表示例を示した図である。
【
図8】(a)〜(c)はコンテンツに含まれるテキストを分割して得られた複数の要素からユーザがフィルタする要素を選択する際の様子を示した図である。
【
図9】生成されたフィルタをテキストに適用したときの表示例を示した図である。
【
図10】(a)は選択された要素の関連要素を大きく濃く表示する例を示した図であり、(b)は選択された要素の関連要素を中心に表示する例を示した図である。
【
図11】(a),(b)は複数の要素を最初は薄く時間の経過に従って濃くなるように表示する例を示した図である。
【
図12】複数の要素の他の表示例を示した図である。
【
図13】本発明の実施の形態におけるクライアントのハードウェア構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
[本実施の形態のクライアントサーバシステムの構成]
図1は、本実施の形態におけるクライアントサーバシステムの全体構成例を示した図である。図示するように、このクライアントサーバシステムは、サーバ10と、クライアント20とを含む。
【0021】
サーバ10は、コンテンツを保持するコンピュータである。ここで、コンテンツとは、ユーザが閲覧可能な情報のことであり、例えば、ウェブ上で提供されるウェブコンテンツである。コンテンツには、テキストデータだけでなく、画像(静止画)データ、動画データ等も含まれる。本実施の形態では、他の装置の一例として、サーバ10を設けている。
【0022】
クライアント20は、コンテンツを閲覧するためにユーザが使用するコンピュータである。本実施の形態において、クライアント20は、コンテンツの表示する要素を選別するためのフィルタの生成も行う。具体的には、クライアント20は、フィルタの生成時に動作する機能として、コンテンツ取得部21と、コンテンツ分割部22と、要素表示部23と、選択要素特定部24と、表示変更部25と、フィルタ生成部26と、フィルタ保存部27とを備える。また、ユーザによるコンテンツの閲覧時に動作する機能として、フィルタ保存部27と、フィルタ適用部28と、コンテンツ表示部29とを備える。
【0023】
コンテンツ取得部21は、サーバ10からコンテンツを取得する。そして、システムの起動時に分割表示が指定されたかどうか、及び、分割表示の日時設定で分割表示を行うものとして設定された期間(以下、「分割表示期間」という)に現在日時が含まれるかどうかを判定する。システムの起動時に分割表示が指定された場合、又は、分割表示期間に現在日時が含まれる場合は、サーバ10から取得したコンテンツをコンテンツ分割部22及びフィルタ適用部28に受け渡す。システムの起動時に分割表示が指定されず、かつ、分割表示期間に現在日時が含まれない場合は、サーバ10から取得したコンテンツをコンテンツ分割部22には受け渡さずにフィルタ適用部28に受け渡す。本実施の形態では、コンテンツを取得する取得部の一例として、コンテンツ取得部21を設けている。
【0024】
コンテンツ分割部22は、コンテンツの種類に応じた分割方法により、コンテンツ取得部21から受け取ったコンテンツを複数の要素に分割する。この分割方法としては、既存の方法を用いればよい。具体的には、コンテンツがテキストデータであれば、形態素解析の結果を用いた分割を行うとよい。また、コンテンツが画像データであれば、画像解析の結果を用いた分割(例えばアウトラインでの分割)を行うとよい。尚、コンテンツを分割するに当たり、設定により分割の粒度を変えれば、情報量を調整することができる。また、コンテンツ分割部22は、コンテンツを分割して得られた複数の要素を一旦フィルタ適用部28に渡し、フィルタ適用後の複数の要素をフィルタ適用部28から受け取る。本実施の形態では、コンテンツを複数の要素に分割する分割部の一例として、コンテンツ分割部22を設けている。
【0025】
要素表示部23は、コンテンツ分割部22によりコンテンツが分割され、フィルタ適用部28によりフィルタが適用されることで得られた複数の要素を、ユーザが取捨選択できるように、要素表示ルールに従って表示する。ここで、要素表示ルールとは、要素を表示する際の位置、大きさ、透明度に関するルールであり、例えば、次の4つのルールが考えられる。第1のルールは、同一又は類似の要素を互いに近接する位置に表示するというルールである。また、第2のルールは、同一又は類似の要素を互いに重なる位置に表示するというルールである。このルールは、同一又は類似の2以上の要素を1つの要素に集約して表示するものでよいが、より一般化して、同一又は類似の2以上の要素の一部を表示しないものとしてもよい。何れにしても、このような表示を行うことにより、要素の出現頻度を隠すことが可能となる。尚、第1のルール及び第2のルールにおける「類似」には、要素が単語等である場合の意味の類似だけでなく、要素の属性(色等)の類似も含まれる。更に、第3のルールは、出現頻度により位置、大きさ、透明度を変えるというルールである。更にまた、第4のルールは、表示経過時間により位置、大きさ、透明度を変えるというルールである。このルールは、複数の要素をその表示を開始してからの時間が経過するほど視認性が向上するように表示するものと捉えることができる。本実施の形態では、複数の要素を表示する表示部の一例として、要素表示部23を設けている。
【0026】
選択要素特定部24は、要素表示部23が表示した複数の要素の中から要素を取捨選択するユーザ操作を受け付け、取捨選択された要素を特定する。本実施の形態では、特定の要素を選択するユーザ操作を受け付ける受付部の一例として、選択要素特定部24を設けている。
【0027】
表示変更部25は、選択要素特定部24により特定された要素に関連する要素(以下、「関連要素」という)の表示方法を変更するように要素表示部23に指示する。ここで、関連要素としては、選択要素特定部24により特定された要素と同種又は類似の要素が考えられる。また、表示方法の変更としては、関連要素が強調されるような表示への変更(例えば、関連要素を表示する位置の中心部への変更、関連要素を表示する際の大きさ又は透明度の変更)が考えられる。本実施の形態では、特定の要素に予め関連付けられた他の要素の一例として、関連要素を用いており、他の要素を強調表示するように制御する制御部の一例として、表示変更部25を設けている。
【0028】
フィルタ生成部26は、選択要素特定部24により特定された要素に基づいて、フィルタを生成又は更新する。具体的には、選択要素特定部24により特定された要素を、フィルタ保存部27に保存されたフィルタに追加することにより、フィルタを生成又は更新する。ここで、フィルタとは、コンテンツの見たくない要素又は見てはいけない要素を選別するための情報である。本実施の形態では、フィルタを生成する生成部の一例として、フィルタ生成部26を設けている。
【0029】
フィルタ保存部27は、フィルタ生成部26により生成又は更新されたフィルタを保存する。
【0030】
フィルタ適用部28は、フィルタ適用の日時設定でフィルタを適用するものとして設定された期間(以下、「フィルタ適用期間」という)に現在日時が含まれるかどうかを判定する。フィルタ適用期間に現在日時が含まれる場合は、フィルタ保存部27に保存されたフィルタを、コンテンツ取得部21から受け取ったコンテンツ又はコンテンツ分割部22から受け取った複数の要素に適用し、見たくない要素又は見てはいけない要素を取り除く。尚、フィルタ適用期間としては、例えば、録画して後で観ようと思っている試合が行われている時間帯を設定すればよい。
【0031】
コンテンツ表示部29は、フィルタ適用部28により見たくない要素又は見てはいけない要素が取り除かれたコンテンツを表示する。
【0032】
[本実施の形態のクライアントの動作]
図2は、本実施の形態におけるクライアント20の動作例を示したフローチャートである。
【0033】
図示するように、クライアント20では、まず、コンテンツ取得部21が、サーバ10からコンテンツを取得する(ステップ201)。そして、システムの起動時に分割表示が指定されたかどうかを判定する(ステップ202)。ユーザは、現在日時が分割表示期間内であるかどうかに関係なく、これからシステムを起動すると自分が見たくない又は見てはいけない情報を見てしまうかもしれないと考える場合に、例えばログイン画面のチェックボックスをチェックすることにより、分割表示を指定する。そこで、コンテンツ取得部21は、例えばチェックボックスがチェックされたかどうかを調べることにより、分割表示が指定されたかどうかを判定する。分割表示が指定されていないと判定されれば、コンテンツ取得部21は、現在日時が分割表示期間内であるかどうかを判定する(ステップ203)。
【0034】
ステップ202で分割表示が指定されたと判定された場合、又は、ステップ203で現在日時が分割表示期間内であると判定された場合、クライアント20は、フィルタ生成処理を実行し(ステップ204)、その後、コンテンツ表示処理を実行する(ステップ205)。
【0035】
一方、ステップ202で分割表示が指定されたと判定されず、かつ、ステップ203で現在日時が分割表示期間内であると判定されなかった場合、クライアント20は、フィルタ生成処理を実行することなく、コンテンツ表示処理を実行する(ステップ205)。
【0036】
図3は、
図2のステップ204のフィルタ生成処理の流れを示したフローチャートである。
【0037】
図示するように、まず、コンテンツ分割部22が、
図2のステップ201で取得されたコンテンツを、複数の要素に分割する(ステップ211)。すると、ここで得られた複数の要素はフィルタ適用部28に送られ、フィルタ適用部28が、この複数の要素に対して、フィルタ保存部27に保存されたフィルタを適用する(ステップ212)。尚、ここでフィルタを適用することとしたのは、見たくない要素又は見てはいけない要素がフィルタに既に登録されている場合に、フィルタ生成時においても、そのような要素が見えないようにするためである。そして、フィルタが適用された結果、見たくない要素又は見てはいけない要素が取り除かれた後の複数の要素がコンテンツ分割部22に返される。これにより、要素表示部23が、コンテンツ分割部22により取得されたフィルタ適用後の複数の要素を表示する(ステップ213)。
【0038】
この状態で、ユーザが複数の要素の中から見たくない要素又は見てはいけない要素を選択すると、選択要素特定部24が、その選択された要素を特定する(ステップ214)。これにより、表示変更部25が、ステップ214で特定された要素に関連する関連要素の表示方法を変更する(ステップ215)。また、フィルタ生成部26が、ステップ214で特定された要素を、フィルタ保存部27に保存されたフィルタに追加する(ステップ216)。
【0039】
その後、選択要素特定部24が、引き続きユーザが見たくない要素又は見てはいけない要素を選択したかどうかを判定する(ステップ217)。ユーザが見たくない要素又は見てはいけない要素を選択したと判定されれば、クライアント20は、ステップ212〜216の処理を再度実行する。尚、ステップ212で再度フィルタを適用することとしたのは、直前のステップ216でフィルタに追加された要素を見えなくするためである。一方、ユーザが見たくない要素又は見てはいけない要素を選択しなかったと判定されれば、クライアント20は、処理を
図2に戻す。
【0040】
図4は、
図2のステップ205のコンテンツ表示処理の流れを示したフローチャートである。
【0041】
図示するように、まず、フィルタ適用部28が、現在日時がフィルタ適用期間内であるかどうかを判定する(ステップ221)。現在日時がフィルタ適用期間内であると判定されれば、
図2のステップ201で取得されたコンテンツに対して、フィルタ保存部27に保存されたフィルタを適用する(ステップ222)。そして、コンテンツ表示部29が、このフィルタ適用後のコンテンツを表示する(ステップ223)。一方、現在日時がフィルタ適用期間内でないと判定されれば、コンテンツ表示部29は、
図2のステップ201で取得されたコンテンツをそのまま、即ち、フィルタを適用することなく、表示する(ステップ223)。その後、クライアント20は、処理を
図2に戻す。
【0042】
[要素の表示の具体例]
図3のステップ211でのコンテンツの複数の要素への分割、及び、
図3のステップ213での複数の要素の表示について、具体的に説明する。
【0043】
図5(a),(b)は、この説明で用いるコンテンツに含まれるテキストの通常の表示例を示した図である。(a)では、ユーザがテキスト31,32,33をこの順に書き込んだことを想定しており、(b)では、ユーザがテキスト34,35,36をこの順に書き込んだことを想定している。テキスト31とテキスト34とは同一であるが、テキスト32,33とテキスト35,36とを比較すると、(a)は日本代表が勝ったときに書き込んだテキストであり、(b)は日本代表が負けたときに書き込んだテキストであることが分かる。即ち、
図5(a),(b)の表示例は、日本代表の試合が行われているという話題と、試合の経過及び結果という詳細な内容とが分かるものとなっている。
【0044】
一方、
図6(a),(b)はそれぞれ、
図5(a),(b)のテキストを複数の要素に分割して表示したときの表示例を示した図である。
図6(a),(b)は何れも、「日本」、「代表」、「勝利」、「負け」等の単語を含んでいるので、日本代表の試合が行われているという話題は推測できる。しかしながら、「勝利」、「負け」等の単語はランダムに配置され、そのつながりが分からないので、試合の経過及び結果という詳細な内容は分からなくなっている。
【0045】
[要素の選択の具体例]
図3のステップ214での選択された要素の特定、
図3のステップ216での要素のフィルタへの追加、
図4のステップ222でのフィルタの適用、及び、
図4のステップ223でのコンテンツの表示について、具体的に説明する。
【0046】
図7は、この説明で用いるコンテンツに含まれるテキストの通常の表示例を示した図である。このテキストは、
図5(a)のテキスト31,32,33に、日本代表の試合とは関係ないテキスト37,38を加えたものとなっている。
【0047】
図8(a)〜(c)は、テキストを分割して得られた複数の要素からユーザがフィルタする要素を選択する際の様子を示した図である。ここでも、
図6(a),(b)と同様、複数の要素はランダムに配置されている。まず、(a)にハンドカーソルで示すように、ユーザがフィルタする要素として「勝利」を示す要素41を選択したとする。すると、(b)に示すように、この要素41は非表示となる。また、その際、同じ「勝利」を示す要素42も非表示となる。これは、「勝利」が既に選択されたことを表すためであるので、非表示とせずに、既に選択されたことが分かるような表示としてもよい。次に、(b)にハンドカーソルで示すように、ユーザがフィルタする要素として「負け」を示す要素43を選択したとする。すると、(b)に示すように、この要素43は非表示となる。これは、「負け」が既に選択されたことを表すためであるので、非表示とせずに、既に選択されたことが分かるような表示としてもよい。以上により、「勝利」及び「負け」が選択されると、これらの要素が追加されたフィルタが生成される。
【0048】
図9は、このようにして生成されたフィルタを、
図7のテキストに適用したときの表示例を示した図である。
図7のテキスト31,33は「勝利」を含むため、
図7のテキスト32は「負け」を含むため、何れも非表示となっている。
【0049】
[選択された要素に応じた表示方法の変更の具体例]
図3のステップ215での要素の表示方法の変更について、具体的に説明する。尚、ここでは、
図8(a)で「勝利」を示す要素が選択された場合について説明する。
【0050】
図10(a)は、選択された要素の関連要素を大きく濃く表示する例を示した図である。この例では、選択された要素が示す「勝利」の反対語である「負け」を示す要素43を大きく濃く表示している。ここでは、関連要素を大きく濃く表示したが、大きく表示するだけでもよい。また、関連要素の透明度を変えてもよい。一方、
図10(b)は、選択された要素の関連要素を中心に表示する例を示した図である。この例では、選択された要素が示す「勝利」の反対語である「負け」を示す要素43を中心に表示している。尚、
図10(a),(b)では、選択された要素の関連要素を、大きく濃く表示したり、中心に表示したりする例を示したが、関連要素を強調表示するものであれば、他の表示方法で表示してもよい。
【0051】
[要素の表示の追加の具体例]
図3のステップ213での複数の要素の表示について、更に具体的に説明する。
【0052】
図11(a),(b)は、複数の要素を、最初は薄く、時間の経過に従って濃くなるように表示する例を示した図である。(a)が、複数の要素の表示を開始した直後の表示例であり、(b)が、複数の要素の表示を開始してから一定の時間を経過した後の表示例である。本実施の形態は、コンテンツを複数の要素に分割して表示することにより、コンテンツの意味を分からなくするものである。しかしながら、要素を一瞬で認識でき、コンテンツの意味を想像できる場合もあり得る。そこで、複数の要素を最初は薄く表示することで、全体を一瞬では認識できなくし、これにより、コンテンツの意味を更に分かり難くした状態で要素を選択してフィルタの生成又は更新を行えるようにしている。
【0053】
[要素の表示の他の具体例]
ここまでは、複数の要素を、元のコンテンツをそのまま表示するときの位置とは無関係な位置に表示することを前提としたが、これには限らない。複数の要素を、元のコンテンツをそのまま表示したときに把握されるその意味を不明瞭にする態様で表示するものであればよい。
図12は、そのような表示例を示した図である。図では、複数の要素の位置はそのままで、濃淡、フォントサイズ、色、書体等を変更することにより、コンテンツの意味の把握を視覚的に混乱させている。また、より一般化して、複数の要素を、元のコンテンツをそのまま表示するときの態様とは異なる態様で表示するものであってもよい。
【0054】
更に、本実施の形態では、元の要素に加えて、他の要素(例えば特定の要素の意味を不明瞭にする要素)を表示することにより、コンテンツの意味を一層理解し難くしてもよい。このような他の要素の表示方法としては、例えば、
図12において、「ラグビー」を抽象化した「スポーツ」を追加表示すること、「僅差」の反対語である「大差」を追加表示すること、「ラグビー」と同列の概念である「野球」を追加表示すること等が考えられる。これにより、元のコンテンツには「ラグビー」、「僅差」という要素しか含まれていなかったとしても、「ラグビー」、「野球」、「スポーツ」、「僅差」、「大差」という要素が表示されることになるので、コンテンツの意味の理解が一層困難になる。尚、このような表示を行った場合、表示される要素の数は増えるが、
図10の例のように、選択された要素に関連する関連要素を見つけ易く表示することによって、フィルタしたい要素を選択する効率の悪化は抑えられると期待できる。
【0055】
尚、本実施の形態では、コンテンツの見たくない要素又は見てはいけない要素を取り除くフィルタを生成する場合について説明したが、本発明は、一般的な文書にも適用可能である。即ち、文書を開いたときに分割表示を適用すると、見たくない文書又は見てはいけない文書かどうかを単語から判断することができる。そして、それらの単語をフィルタに追加することができる。また、これを更に一般化し、本発明は、文書、画像等のデータに適用可能なものとして捉えることもできる。
【0056】
以上述べたように、本実施の形態では、コンテンツを分割して得られた複数の要素をランダムな位置に表示して、フィルタに登録する要素の入力を補助するようにした。これにより、コンテンツの詳細な意味を知ることなく要素を見つけることができるため、ユーザ自身がフィルタに登録する要素を取捨選択できるようになった。また、カテゴリ分けが難しいコンテンツからでもフィルタを生成できるようになった。更に、フィルタ適用期間を設けることにより、ユーザが知りたくない内容を、知りたくない期間遠ざけることが可能となった。
【0057】
[本実施の形態のクライアントのハードウェア構成]
図13は、本実施の形態におけるクライアント20のハードウェア構成例を示した図である。図示するように、クライアント20は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)20aと、M/B(マザーボード)チップセット20bを介してCPU20aに接続されたメインメモリ20cと、同じくM/Bチップセット20bを介してCPU20aに接続された表示機構20dとを備える。また、M/Bチップセット20bには、ブリッジ回路20eを介して、ネットワークインターフェイス20fと、磁気ディスク装置(HDD)20gと、音声機構20hと、キーボード/マウス20iと、光学ドライブ20jとが接続されている。
【0058】
尚、
図13において、各構成要素は、バスを介して接続される。例えば、CPU20aとM/Bチップセット20bの間や、M/Bチップセット20bとメインメモリ20cの間は、CPUバスを介して接続される。また、M/Bチップセット20bと表示機構20dとの間は、AGP(Accelerated Graphics Port)を介して接続されてもよいが、表示機構20dがPCI Express対応のビデオカードを含む場合、M/Bチップセット20bとこのビデオカードの間は、PCI Express(PCIe)バスを介して接続される。また、ブリッジ回路20eと接続する場合、ネットワークインターフェイス20fについては、例えば、PCI Expressを用いることができる。また、磁気ディスク装置20gについては、例えば、シリアルATA(AT Attachment)、パラレル転送のATA、PCI(Peripheral Components Interconnect)を用いることができる。更に、キーボード/マウス20i、及び、光学ドライブ20jについては、USB(Universal Serial Bus)を用いることができる。
【0059】
ここで、本発明は、全てハードウェアで実現してもよいし、全てソフトウェアで実現してもよい。また、ハードウェア及びソフトウェアの両方により実現することも可能である。また、本発明は、コンピュータ、データ処理システム、コンピュータプログラムとして実現することができる。このコンピュータプログラムは、コンピュータにより読取り可能な媒体に記憶され、提供され得る。ここで、媒体としては、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線又は半導体システム(装置又は機器)、或いは、伝搬媒体が考えられる。また、コンピュータにより読取り可能な媒体としては、半導体、ソリッドステート記憶装置、磁気テープ、取り外し可能なコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、リジッド磁気ディスク、及び光ディスクが例示される。現時点における光ディスクの例には、コンパクトディスク−リードオンリーメモリ(CD−ROM)、コンパクトディスク−リード/ライト(CD−R/W)及びDVDが含まれる。
【0060】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態には限定されない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々に変更したり代替態様を採用したりすることが可能なことは、当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0061】
10…サーバ、20…クライアント、21…コンテンツ取得部、22…コンテンツ分割部、23…要素表示部、24…選択要素特定部、25…表示変更部、26…フィルタ生成部、27…フィルタ保存部、28…フィルタ適用部、29…コンテンツ表示部