(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁層と、前記絶縁層の一方面側であってタッチ位置検出領域の全体にわたって配置される複数の第1電極と、前記絶縁層の他方面側であってタッチ位置検出領域の全体にわたって配置される複数の第2電極とを備えるタッチパネルであって、
前記各第1電極は、互いに等間隔、かつ、略同一方向に向けて延びるように形成され、
前記各第2電極は、前記第1電極が延びる方向とは異なる方向に沿って、互いに等間隔、かつ、略同一方向に向けて延びるように形成されており、
前記各第1電極及び前記各第2電極は、複数の屈曲点を有する折線形状の電極線であり、
前記各第1電極の電極線ピッチと、前記各第2電極の電極線ピッチとが異なるように構成され、
隣接する所定本数の前記第1電極を一つの束としたものを第1束状検出用電極として構成され、隣接する所定本数の前記第2電極を一つの束としたものを第2束状検出用電極として構成されており、
前記第1束状検出用電極を構成する互いに隣接する第1電極同士を接続する第1ブリッジ部と、前記第2束状検出用電極を構成する互いに隣接する第2電極同士を接続する第2ブリッジ部とを備え、
前記第1電極及び前記第2電極により構成される形状の異なる格子がタッチ位置検出領域の全体に分散するタッチパネル。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のタッチパネルの場合、所定のパターン形状を有する電極が形成された2つの面状体を重ね合わせる際に、各電極の位置ズレが発生するという問題があった。つまり、
図14において矢印で示すように、細かい格子が密集する領域や格子が形成されない領域が発生し、格子パターンの均一性が崩れて、タッチパネルの視認性が悪化するという問題があった。また、このような位置ズレが発生したタッチパネルを券売機やパソコン等の表示装置上に配置した場合、細かい格子が密集する領域において電極の粗密に起因する濃淡が発生することとなる。こういった事態が発生することを防止するためには、2つの面状体を貼り合わせる際の位置精度(貼り合わせ精度)を高めればよいが、電極を構成する金属細線の線幅は細い(例えば、15μm)ため、位置ズレが発生しないように2つの面状体を貼り合わせることは現実的に大きな困難を伴うこととなる。
【0007】
また、例えば基板上の電極を例えばスクリーン印刷等の印刷技術により形成する場合、印刷後の乾燥工程時において、基板が収縮することになるが、乾燥時の基板の収縮は、基板の材質や、気温や湿度、電極を構成する金属細線の厚みや幅や、電極の長手方向及び短手方向の長さ等の様々な要因により、その収縮の度合いが変化するため、収縮のコントロールが極めて難しい。また、貼り合わされる面状体がそれぞれ有する電極の長手方向が互いに直交するように構成されているため、一方の面状体及び他方の面状体にそれぞれ形成される各電極において基板の収縮の影響が顕著に現れる領域が異なるため、たとえ極めて高い位置精度で両面状体を貼り合わせたとしても、貼り合わされる各面状体に形成される電極(菱形状電極部)同士が平面視において重なり合わないようにして、均一な格子パターンがタッチ面全域に分布するようにすることが難しいという問題もあった。つまり、高い位置精度で2つの面状体を貼り合わせてタッチパネルを製造したとしても、
図14に示すような格子パターンのズレが発生し、矢印で示すような細かい格子が密集する領域や格子が形成されない領域が発生してしまい、タッチパネルの視認性不良が発生することとなる。
【0008】
また、特に、大型のタッチパネルを製造する場合、基板の収縮量が大きくなるため、一方の基板上に形成される電極と、他方の基板上に形成される電極との位置ズレの度合いが大きくなり、タッチパネルの視認性を大きく損ねることとなる。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、電極が形成された基板同士の貼り合わせの位置精度に依存せず、更に、基板の収縮の影響を受けずに、優れた視認性を有するタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、互いに略同一方向に向けて延びる第1電極を第1基板の一方面に複数備える第1面状体と、前記第1電極が延びる方向とは異なる方向であって、互いに略同一方向に向けて延びる第2電極を第2基板の一方面に複数備える第2面状体とが、上下方向に並んで配置されるタッチパネルであって、前記各第1電極及び前記各第2電極は、複数の屈曲点を有する折線形状の電極線であるタッチパネルにより達成される。
【0011】
このような構成を備えるタッチパネルは、第1面状体が備える複数の第1電極のパターン形状と、第2面状体が備える複数の第2電極のパターン形状とが、互いに独立した形状となるように構成しつつ、複数の第1電極及び複数の第2電極を重ね合わせた場合にタッチ面に形成される格子パターンが、様々な大きさや形状の格子がタッチ面全域に略均等に分散して配置されるように構成することができる。このように、一方の電極(例えば、第1電極)を基板上に形成する際に、他方の基板上に形成される他方の電極(例えば、第2電極)の形成位置を考慮せず、一方の電極(例えば、第1電極)の形成位置とは無関係に他方の電極(例えば、第2電極)を形成することができるため、高い貼り合わせ精度により第1面状体及び第2面状体を重ね合わせる必要がない。つまり、第1電極及び第2電極の貼り合わせ精度を緩和することが可能となり、容易にタッチパネルを作製することが可能となる。また、複数の第1電極と複数の第2電極群とを重ね合わせることにより構成される格子パターンは、様々な大きさや形状の格子がタッチ面全域に略均等に分散して配置されることになるため、細かい格子が局所的に密集する領域や格子が形成されない領域が発生せず、タッチ面をマクロ的に見れば略均一な格子パターンがタッチ面全域に分布しているように視認される。
【0012】
また、第1電極及び第2電極を各基板(第1基板及び第2基板)上にスクリーン印刷法により形成する場合には、第1基板及び第2基板が収縮するという問題が発生しうるが、このような基板の収縮が発生したとしても、本発明に係るタッチパネルにおいては、第1電極と第2電極とにより構成される格子パターンは、様々な大きさや形状の格子がタッチ面全域に略均等に分散して配置されることになるため、各基板の収縮によって、分散配置される各格子の大きさや形状が設計時に想定した大きさや形状と異なったとしても、タッチパネルの視認性が悪化するほどの影響を与えることはない。つまり、各基板の収縮が生じた場合であっても、良好な視認性を維持することが可能となる。
【0013】
また、このタッチパネルにおいて、前記第1電極及び前記第2電極は、各々、同一周期かつ同一振幅を有している折線形状の電極線であることが好ましい。このような構成を備える場合、複数の第1電極及び複数の第2電極を重ねることにより形成される電極の格子パターンに関して、タッチ面全域に分布する各格子を略同程度の形状や大きさに設定することができるため、タッチパネルの視認性を良好なものとすることができる。
【0014】
また、折線形状の前記第1電極における任意の屈曲点の内角をθ1とし、折線形状の前記第2電極における任意の屈曲点の内角をθ2とした場合に、以下の数式の関係を満たすことが好ましい。
[数式] θ1−(180°−θ2) > 10°
【0015】
上記数式のような関係式を満たすようにθ1及びθ2を設定することにより、第1電極を構成する電極線の任意の一部と、第2電極を構成する電極線の任意の一部とが、必ず所定の角度をもって交差することとなるため、タッチパネルのタッチ面全域において、所定の格子パターンが略均一に分布するように構成することができ、格子パターンが密集する領域が局所的に発生することをより一層効果的に防止することができる。
【0016】
また、前記第1電極及び前記第2電極のいずれも屈曲点の内角が90°以上であることが好ましい。各屈曲点の内角が90°以上である電極線により構成する場合、第1電極及び第2電極の交点が少なくなりタッチパネルの視認性がより一層良好なものとすることが可能となる。
【0017】
また、複数の前記第1電極及び前記第2電極のパターン形状は、それぞれ単一の電極線幅及び電極線ピッチを有する繰り返しパターンであることが好ましい。このような構成を備えることにより、複数の第1電極及び複数の第2電極を重ねることにより形成される電極の格子パターンに関して、タッチ面全域に分布する各格子の形状や大きさをより一層同程度のものに設定することができるため、タッチパネルの視認性をより良好なものとすることができる。
【0018】
また、隣接する所定本数の前記第1電極を一つの束としたものを第1束状検出用電極として構成し、隣接する所定本数の前記第2電極を一つの束としたものを第2束状検出用電極として構成されることが好ましい。この場合において、 前記各第1束状検出用電極の両端部、又は、前記各第2束状検出用電極の両端部には、該第1束状検出用電極を構成する複数の前記第1電極、又は、該第2束状検出用電極を構成する複数の前記第2電極を結束する結束部が形成されていることが好ましい。また、前記第1束状検出用電極を構成する互いに隣接する第1電極同士を接続する第1ブリッジ部と、前記第2束状検出用電極を構成する互いに隣接する第2電極同士を接続する第2ブリッジ部とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電極が形成された基板同士の貼り合わせの位置精度に依存せず、更に、基板の収縮の影響を受けずに、優れた視認性を有するタッチパネルを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチパネルの概略構成平面図であり、
図2は、その要部拡大断面図である。このタッチパネル100は、静電容量式のタッチパネルであり、
図2に示すように第1面状体1と第2面状体2とを備えている。これら第1面状体1と第2面状体2とは、上下方向に並んで配置されている。第1面状体1は、
図2及び
図3に示すように、第1基板11と、該第1基板11の一方面に形成される第1電極群12とを備えている。第1電極群12は、互いに略同一方向に向けて延びる所定形状の第1電極12aの集合体として形成されている。第2面状体2も第1面状体1と同様に、
図2及び
図4に示すように、第2基板21と、該第2基板21の一方面に形成される第2電極群22とを備えている。第2電極群22は、第1電極12aが延びる方向とは異なる方向であって、互いに略同一方向に向けて延びる所定形状の第2電極22aの集合体として形成されている。第1面状体1と第2面状体2とは、
図2に示すように第1電極群12及び第2基板21の他方面側(第2電極群22が形成されていない面側)が互いに離間して対向するようにして、粘着層3を介して貼着されている。なお、第1電極群12及び第2電極群22が互いに離間して対向するようにして、第1面状体1と第2面状体2とを粘着層3を介して貼着してもよい。
【0023】
このような構成のタッチパネル100は、例えば、銀行端末(キャッシュディスペンサー)、券売機、パソコン、OA機器、電子手帳、PDA、携帯電話等の表示装置に取り付けられて使用される。なお、タッチパネル100の取り付けに際しては、第1面状体1の基板の他方面側(第1電極12aが形成されていない面側)が露出面(タッチ面)となるように、透明な粘着層4を介して表示装置に取り付けられる。なお、粘着層4を介してカバーガラス等の表面保護層を第2面状体2に貼着し、当該表面保護層の露出面がタッチ面となるように、第1基板11を粘着層(図示せず)を介して表示装置に取り付けるようにしてもよい。
【0024】
第1基板11及び第2基板21は、絶縁層を構成する誘電体基板であり、透明性が高い材料からなることが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアミド(PA)、アクリル、非晶性ポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、脂肪族環状ポリオレフィン、ノルボルネン系の熱可塑性透明樹脂などの合成樹脂製の可撓性フィルムやこれら2種以上の積層体、或いは、ソーダガラス、無アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス板により形成される。第1基板11及び第2基板21の厚みは、特に限定されないが、例えば、合成樹脂製の可撓性フィルムにより第1基板11及び第2基板21を構成する場合には、10μm〜2000μm程度とすることが好ましく、50μm〜500μm程度とすることがさらに好ましい。また、ガラス板により第1基板11及び第2基板21を構成する場合には、0.1mm〜5mm程度とすることが好ましい。
【0025】
また、可撓性を有する材料から第1基板11及び第2基板21を形成する場合、当該第1基板11及び第2基板21に剛性を付与するために支持体を貼着してもよい。支持体としては、ガラス板や、ガラスに準ずる硬度を有する樹脂材料を例示することができ、その厚さは100μm以上であることが好ましく、0.2mm〜10mmであることがより好ましい。
【0026】
第1電極群12を構成する各第1電極12aは、
図3及び
図3の要部拡大図である
図5に示すように、複数の屈曲点Kを有する折線形状の電極線(所定の角度で曲折を繰り返すジグザグ形状の電極線)として構成されている。同様に、第2電極群22を構成する各第2電極22aは、
図4及び
図4の要部拡大図である
図6に示すように、複数の屈曲点Kを有する折線形状の電極線(所定の角度で曲折を繰り返すジグザグ形状の電極線)として構成されている。第1電極12a及び第2電極22aを構成する電極線は、金属細線により形成されている。また、第1電極12aを構成する折線形状の電極線は、同一周期かつ同一振幅を有している折線形状の電極線であり、この電極線が、単一の電極線幅及び電極線ピッチを有する繰り返しパターンとして複数並列に配置されている。同様に、各第2電極22aを構成する折線形状の電極線も、同一周期かつ同一振幅を有している折線形状の電極線であり、この電極線が、単一の電極線幅及び電極線ピッチを有する繰り返しパターンとして複数並列に配置されている。本実施形態においては、第1電極群12を構成する各第1電極12aは、全て同一の形状を有するように構成されており、また、第2電極群22を構成する各第2電極22aは、全て同一の形状を有するように構成されている。具体的に説明すると、ある一の第1電極12aに隣接する他の第1電極12aの形状は、第1電極12aが延びる方向に直交する方向に所定ピッチ分だけ一の第1電極12aを移動させた形状となっている。第2電極22aに関しても同様である。第1電極12a及び第2電極22aをこのように構成しているため、各第1電極12aにおける一つ置きの各屈曲点Kを結ぶ線分L1と、各第2電極22aにおける一つ置きの各屈曲点Kを結ぶ線分L2とが、互いに直交することとなる。つまり、各第1電極12aが隣接する方向と、各第2電極22aが隣接する方向とが、互いに直交する方向となるように形成されている。また、任意の第1電極12aの任意の屈曲点K1と、この第1電極12aに隣り合う他の第1電極12aにおける屈曲点Kであって、屈曲点K1に近接配置される屈曲点K2とを結ぶ線分L3は、各第2電極22aにおける一つ置きの各屈曲点Kを結ぶ線分L2と平行となる。同様に、任意の第2電極22aの任意の屈曲点K3と、この第2電極22aに隣り合う他の第2電極22aにおける屈曲点Kであって、屈曲点K3に近接配置される屈曲点K4とを結ぶ線分L4は、各第1電極12aにおける一つ置きの各屈曲点Kを結ぶ線分L1と平行となる。
【0027】
ここで、本実施形態に係るタッチパネル100が設置されるモニター等の表示装置が備えるカラーフィルターの構成条件にもよるが、第1電極12a及び第2電極22aを構成する折線形状の電極線の線幅が、例えば1μm〜100μmの範囲となるように構成することが好ましい。また、折線形状の各電極線の周期が、2.0mm〜10mmの範囲となるように構成し、折線形状の各電極線の振幅が、0.5mm〜5.0mmの範囲となるように構成することが好ましい。また、第1電極12a及び第2電極22aの電極線ピッチは、0.2mm〜2.0mmの範囲となるように構成することが好ましい。
【0028】
また、タッチパネル100の視認性を向上させて、モアレの発生を防止するという観点からは、
図7(a)(b)に示すように、折線形状の第1電極12aにおける任意の屈曲点Kの内角をθ1とし、折線形状の第2電極22aにおける任意の屈曲点Kの内角をθ2とした場合に、以下の数式1の関係を満たすように構成することが好ましい。
[数式1] θ1−(180°−θ2) ≠ 0°
このように第1電極12aにおける任意の屈曲点Kの内角:θ1と、第2電極22aにおける任意の屈曲点Kの内角:θ2とを設定することにより、第1面状体1及び第2面状体2を貼り合わせた際に、第1電極12aを構成する電極線の一部と、第2電極22aを構成する電極線の一部とが、
図7(c)の矢印で示すように、近接して互いに平行となるような位置に配置されることを防止することができる。
【0029】
また、上記θ1及び上記θ2が、以下の数式2の関係を満たすように構成することがより一層好ましい。
[数式2] (θ1−(180°−θ2)) > 10°
このようにθ1及びθ2を設定することにより、第1電極12aを構成する電極線の任意の一部と、第2電極22aを構成する電極線の任意の一部とが、必ず所定の角度をもって交差することとなるため、タッチパネル100のタッチ面全域において、所定の格子パターンが略均一に分布するように構成することができ、格子パターンを構成する格子が密集する領域が局所的に発生することをより一層効果的に防止することができる。なお、数式2における左辺の値が15°以上となるようにθ1及びθ2を設定した場合には、この効果がより顕著となるためより好ましい。ここで、格子パターンとは、四角形の格子により構成される一纏まりのパターンのみをいうものではなく、三角形や五角形、六画形等の多角形により構成される一纏まりのパターンをもいう概念である。また、種々の多角形状の格子(例えば、三角形や四角形、五角形、六角形等の形状を有する格子)により構成される一纏まりのパターンをも含む概念である。
【0030】
第1基板11及び第2基板21上に形成される第1電極群12及び第2電極群22は、スクリーン印刷法により形成される。具体的に説明すると、第1電極群12及び第2電極群22のパターン形状に対応する所定形状の開口部を有するスクリーン印刷版を用いて、スキージにより第1電極12a及び第2電極22a用の導電インクを開口部を介して押し出すことによって、第1基板11及び第2基板21上に第1電極群12及び第2電極群22を形成する。なお、スクリーン印刷法の他、インクジェット方式、グラビア印刷、オフセット印刷、等の各種印刷法により第1電極群12及び第2電極群22を第1基板11及び第2基板21上に形成してもよい。また、印刷法を用いる代わりに、フォトリソグラフィによって第1電極群12及び第2電極群22を第1基板11及び第2基板21上に形成してもよい。
【0031】
導電インクは、樹脂成分と溶剤からなる溶媒中に導電性の微粒子が凝集することなく均一に分散されている流動体である。流動体中に含まれる導電性の微粒子の一例として、銀を主成分とする微粒子を挙げることができる。また、例えば、金、銀、銅、金と銀の合金、金と銅の合金、銀と銅の合金、金と銀と銅の合金のいずれか一を主成分とする微粒子でもよい。また、他の導電性インクとしては、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子や、カーボンナノワイヤーや金属ナノワイヤーなどの極細導電繊維を導電体とする導電性材料を使用してもよい。
【0032】
導電インクとして、例えば、有機カルボン酸銀塩の溶液もしくは分散液を用いることができる。この場合、基板上に塗布した後、加熱することにより金属銀を第1基板11及び第2基板21上に生成させて第1電極12a及び第2電極22aを形成する。具体的には、所定形状の電極線を複数並行に各基板に形成し、その後、60℃〜200℃に加熱して金属銀を基板11,21上に形成させる。なお、有機カルボン酸銀塩から金属銀を生成するための加熱は、例えば、電気炉による加熱方式、感熱方式の熱ヘッドを用いる加熱方式等の方法により行うことができる。
【0033】
第1電極12a及び第2電極22aを形成する有機カルボン酸銀塩は、還元可能な銀源であり、有機カルボン酸、特に長鎖の(炭素数10〜30、好ましくは15〜25)脂肪族カルボン酸の銀塩が好ましい。これら好適な銀塩の例としては、例えば、没食子酸、蓚酸、ベヘン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の銀塩、芳香族カルボン酸類、例えば、サリチル酸、安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸の銀塩等を例示できる。なお、好ましい有機カルボン酸銀塩としては、イソブチリル酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、アセト酢酸銀等が挙げられる。
【0034】
有機カルボン酸銀塩の調製法としては、有機カルボン酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液の入った反応容器に硝酸銀水溶液を徐々にあるいは急激に添加する方法、硝酸銀水溶液の入った反応容器に予め調製した有機カルボン酸アルカリ金属塩溶液あるいは懸濁液を徐々にあるいは急激に添加する方法、予め調製した硝酸銀水溶液および有機カルボン酸アルカリ金属塩溶液または懸濁液を反応容器中に同時に添加する方法等を例示することができる。
【0035】
各第1電極12a及び各第2電極22aの一端部は、基板11,21上に形成された配線導体(引き廻し配線)を介して、外部に配置されるタッチパネル駆動用の外部回路(図示せず)と電気的に接続している。配線導体は、各第1電極12a及び各第2電極22aに接続するように構成し、各第1電極12a(各第2電極22a)からの入力信号を検出するようにしてもよく、或いは、隣接する複数(例えば、8本〜12本)の第1電極12a(第2電極22a)を一つの束とし、束毎に配線導体を接続してもよい。このように隣接する複数の第1電極12a(第2電極22a)を束としたものを一つの検出用電極とした場合、当該検出用電極の抵抗値を低くすることが可能となり、タッチパネルの位置検出感度を向上させることが可能となる。配線導体の形成方法は、(A)極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを基板上にスクリーン印刷する方法(特開2007−142334等参照)、(B)銅などの金属箔を基板上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)が挙げられる。
【0036】
上記(A)の形成方法における導電性粒子としては、銀を主成分とする微粒子を挙げることができる。また、例えば、金、銀、銅、金と銀の合金、金と銅の合金、銀と銅の合金、金と銀と銅の合金のいずれか一を主成分とする微粒子でもよい。また、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合した導電性酸化物(IZO[indium
zinc oxide])、または酸化インジウムに酸化珪素を混合した導電性酸化物(ITSO)を主成分とする微粒子でもよい。また、他の導電性ペーストとして、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子や、カーボンナノワイヤーや金属ナノワイヤーなどの極細導電繊維を導電体とする導電性材料を使用することができる。なお、配線導体の形成方法は、上記(A)(B)の形成方法に限定されることはなく、上記(A)以外のグラビア印刷などの印刷方法や上記(B)以外のフォトリソグラフィを使用してもよい。
【0037】
粘着層3または4は、エポキシ系やアクリル系など、一般的な透明接着剤を用いることができ、ノルボルネン系樹脂の透明性フィルムからなる芯材を含むものであってもよい。また、シート状粘着材を複数枚重ね合わせることにより粘着層3を形成してもよく、更に、複数種類のシート状粘着材を重ね合わせて形成してもよい。粘着層3の厚みは、特に指定はないが、実用上では200μm以下であることが好ましい。
【0038】
以上の構成を備えるタッチパネル100において、タッチ位置の検出方法は、従来の静電容量式のタッチパネル100と同様であり、第1面状体1の表面側における任意の位置を指などで触れると、第1電極12a及び第2電極22aは接触位置において人体の静電容量を介して接地され、第1電極12a及び第2電極22aを流れる電流値を検出することにより、接触位置の座標が演算される。
【0039】
本発明に係るタッチパネル100は、重ね合わされる第1面状体1及び第2面状体2がそれぞれ備える第1電極群12及び第2電極群22を、複数の屈曲点Kを有する折線形状の電極線の集合体として構成しているため、第1面状体1が備える第1電極群12(複数の第1電極12a)のパターン形状と、第2面状体2が備える第2電極群22(複数の第2電極22a)のパターン形状とが、互いに独立した形状となるように構成しつつ、第1電極群12及び第2電極群22を重ね合わせた場合にタッチ面に形成される格子パターンが、様々な大きさや形状の格子がタッチ面全域に略均等に分散して配置されるように構成することができる。このように、一方の電極(例えば、第1電極12a)を基板上に形成する際に、他方の基板上に形成される他方の電極(例えば、第2電極22a)の形成位置を考慮せず、一方の電極(例えば、第1電極12a)の形成位置とは無関係に他方の電極(例えば、第2電極22a)を形成することができるため、高い貼り合わせ精度により第1面状体1及び第2面状体2を重ね合わせる必要がない。つまり、第1電極12a及び第2電極22aの貼り合わせ精度を緩和することが可能となり、容易にタッチパネル100を作製することが可能となる。また、第1電極群12と第2電極群22とを重ね合わせることにより構成される格子パターンは、様々な大きさや形状の格子がタッチ面全域に略均等に分散して配置されることになるため、細かい格子が局所的に密集する領域や格子が形成されない領域が発生せず、タッチ面をマクロ的に見れば略均一な格子パターンがタッチ面全域に分布しているように視認される。
【0040】
また、第1電極12a及び第2電極22aを各基板(第1基板11及び第2基板21)上に形成後、焼成する場合には、第1基板11及び第2基板21が収縮するという問題が発生しうる。しかしながら、このような基板(第1基板11及び第2基板21)の収縮が発生したとしても、本発明に係るタッチパネル100においては、第1電極12aと第2電極22aとにより構成される格子パターンは、様々な大きさや形状の格子がタッチ面全域に略均等に分散して配置されることになるため、基板(第1基板11及び第2基板21)の収縮によって、分散配置される各格子の大きさや形状が設計時に想定した大きさや形状と異なったとしても、タッチパネル100の視認性が悪化するほどの影響を与えることはない。つまり、基板(第1基板11及び第2基板21)の収縮が生じた場合であっても、良好な視認性を維持することが可能となる。また、このように本タッチパネル100においては、基板(第1基板11及び第2基板21)の収縮が視認性に影響を与えないことから、スクリーン印刷法等の印刷法により各電極12a,22aを各基板11,21上に形成する際に、各基板11,21が収縮することを考慮する必要もなくなり、第1面状体1や第2面状体2の製造が容易となる。
【0041】
また、タッチパネル100を券売機やパソコン等の表示装置上に配置した場合、表示装置が備えるカラーフィルターの構成条件(ブラックマトリクスの大きさや、RGBパターンの大きさ、並び方向等)によっては、モアレが発生する場合も想定されるが、第1電極12a及び第2電極22aにおける各屈曲点Kにおける内角やピッチ等を調整(変更)するという簡単な方法により、モアレの発生を抑制することが可能となる。
【0042】
また、本発明に係るタッチパネル100においては、第1電極12a及び第2電極22aが、各々、同一周期かつ同一振幅を有する折線形状の電極線により構成されている。従って、複数の第1電極12a及び複数の第2電極22aを重ねることにより形成される電極の格子パターンに関して、タッチ面全域に分布する各格子を略同程度の形状や大きさに設定することができるため、タッチパネル100の視認性を良好なものとすることができる。
【0043】
また、複数の第1電極12a及び第2電極22aのパターン形状は、それぞれ単一の電極線幅及び電極線ピッチを有する繰り返しパターンにより形成されているため、タッチ面全域に分布する各格子の形状や大きさをより一層同程度のもの(均一なもの)に設定することができ、タッチパネル100の視認性をより良好なものとすることができる。
【0044】
また、第1電極群12を構成する各第1電極12aの電極線ピッチと、第2電極群22を構成する各第2電極22aの電極線ピッチとが異なるように構成してもよい。このような構成を備える場合、複数の第1電極12a及び複数の第2電極22aにより構成される電極の格子パターンにおいて、局所的に細かい格子が密集してしまう領域が発生することをより効果的に抑制することができるため、タッチパネル100の視認性を良好なものとすることができる。
【0045】
ここで、発明者らは、本発明に係るタッチパネル100を構成する第1面状体1及び第2面状体2のサンプルA〜Fを作成し、各サンプルを2枚重ね合わせた状態でモニター上に配置した場合の視認性に関する官能試験を行ったので、この試験内容及び結果について以下に示す。
【0046】
試験内容は、下記に示すサンプルA〜Fを2枚ずつ準備し、折線形状の電極線が延びる方向が互いに直交する向きとなるように、2枚のサンプルを重ねてモニター上に配置した場合の視認性の良否を目視により判定した。重ね合わせの組み合わせについては、例えば、サンプルAとサンプルA,サンプルAとサンプルB,サンプルAとサンプルCというように全種類のサンプルを組み合わせて視認性の良否を判定した。
【0047】
サンプルAは、各屈曲点Kの内角(
図7(a)におけるθ1或いは
図7(b)におけるθ2に相当)が90°であり、周期が2.742mm、振幅が1.371mmである折線形状の電極線が、電極線ピッチ:0.429mmで複数配列されている。サンプルBは、サンプルAと同一の折線形状の電極線が、電極線ピッチ:0.527mmで複数配列されている。サンプルCは、サンプルAと同一の折線形状の電極線が、電極線ピッチ:0.686mmで複数配列されている。また、サンプルDは、各屈曲点Kの内角(
図7(a)におけるθ1或いは
図7(b)におけるθ2に相当)が136°であり、周期が6.856mm、振幅が1.371mmである折線形状の電極線が、電極線ピッチ:0.429mmで複数配列されている。サンプルEは、サンプルDと同一の折線形状の電極線が、電極線ピッチ:0.527mmで複数配列されている。サンプルFは、サンプルDと同一の折線形状の電極線が、電極線ピッチ:0.686mmで複数配列されている。
【0048】
また、比較のため、所定周期及び所定振幅を有するサイン波形状の電極線を構成し、この電極線を所定の電極線ピッチで基板上に複数配列したサンプルa〜fを2枚ずつ準備し、サイン波形状の電極線が延びる方向が互いに直交する向きとなるように、2枚のサンプルを重ねてモニター上に配置した場合の視認性の良否を目視により判定した。重ね合わせる組み合わせについては、サンプルA〜Fの場合と同様に、全種類のサンプルを組み合わせた。ここで、サンプルaは、周期6.856mm、振幅1.159mmのサイン波状の電極線が、電極線ピッチ:0.429mmで複数配列されている。サンプルbは、サンプルaと同一のサイン波形状の電極線が、電極線ピッチ:0.527mmで複数配列されている。サンプルcは、サンプルaと同一のサイン波形状の電極線が、電極線ピッチ:0.686mmで複数配列されている。また、サンプルdは、周期6.856mm、振幅1.489mmのサイン波状の電極線が、電極線ピッチ:0.429mmで複数配列されている。サンプルeは、サンプルdと同一のサイン波形状の電極線が、電極線ピッチ:0.527mmで複数配列されている。サンプルfは、サンプルdと同一のサイン波形状の電極線が、電極線ピッチ:0.686mmで複数配列されている。
【0049】
サイン波形状の電極線が形成されたサンプルa〜fを組み合わせてモニター上に配置した場合、全ての組み合わせにおいて、サイン波形状の電極線の極付近においてモアレが発生し、視認性が悪いという結果が得られた。これに対し、複数の屈曲点Kを有する折線形状の電極線が形成されたサンプルA〜Fに関しては、サンプルa〜fにおいて確認されたようなモアレは発生せず、視認性は比較的良好であるという結果を得た。なお、サンプルA同士、サンプルB同士、サンプルC同士を組み合わせた場合には、斑点状の輝点が発生し、僅かに視認性が悪いという結果を得た。
【0050】
特に、サンプルBとサンプルEとを組み合わせた場合や、サンプルCとサンプルEとの組み合わせた場合は、色にじみや電極線のパターンが強調されるといった事象が発生せず、極めて良好な視認性を得られることが判明した。ここで、サンプルB、サンプルC及びサンプルEには、各屈曲点Kの内角がいずれも90°以上である折線形状の電極線が形成されている。したがって、本タッチパネル100を構成する第1電極12a及び第2電極22aの各屈曲点Kの内角が90°以上となるように電極線を構成することにより、モアレや輝点、色にじみ等が発生しにくく、また、電極パターンが強調されにくいタッチパネル100を得ることができると考えられる。また、各屈曲点の内角が90°以上である電極線により第1電極12a及び第2電極22aを構成する場合、第1電極12a及び第2電極22aの交点が少なくなりタッチパネルの視認性がより一層良好なものとなる。
【0051】
以上、本発明に係るタッチパネル100の一実施形態について説明したが、具体的構成は、上記実施形態に限定されない。例えば、前述したように、隣接する所定本数(例えば、8本〜12本)の第1電極12a(第2電極22a)を一つの束としたものを一つの検出用電極として、当該検出用電極が並列に並ぶようにタッチパネル100を構成する場合、例えば、
図8(a)に示すように、各第1束状検出用電極15(第2束状検出用電極25)において、この第1束状検出用電極15(第2束状検出用電極25)を構成する複数の第1電極12a(第2電極22a)の一方の各端部をそれぞれ電気的に接続する第1結束部16、および、他方の各端部をそれぞれ電気的に接続する第2結束部17を設けるように構成し、第1結束部16に配線導体(引き回し配線)を接続するように構成してもよい。ここで、
図8に示すように、第1結束部16及び第2結束部17を備えるようにすることが好ましいが、配線導体(引き回し配線)が接続されていない第2結束部17を省略してもよい。なお、第1結束部16だけでなく、配線導体(引き回し配線)が接続されていない第2結束部17を備えるように構成した場合、各第1束状検出用電極15(第2束状検出用電極25)全体の抵抗値をより一層低くして、タッチパネルの位置検出感度を向上させることが可能となる。また、例えば、一の第1電極12a(第2電極22a)の一部分が断線している場合であっても、当該断線した第1電極12a(第2電極22a)に入力された静電容量の変化信号は、第2結束部17及び他の第1電極12a(第2電極22a)を介して第1結束部16に伝達されるため、安定的にタッチ位置の検出を行うことが可能となる。隣接する第1束状検出用電極15(第2束状検出用電極25)の間に配線導体(引き回し配線)に接続されない検出用電極を設けても良い。
【0052】
第1結束部16及び第2結束部17は、例えば、スクリーン印刷法により形成することができる。具体的に説明すると、第1結束部16及び第2結束部17の形状に対応する所定形状の開口部を有するスクリーン印刷版を用いて、スキージにより導電インクを開口部を介して押し出すことによって、第1基板11及び第2基板21上に第1結束部16及び第2結束部17を形成する。なお、スクリーン印刷法の他、インクジェット方式、グラビア印刷、オフセット印刷等の各種印刷法により形成してもよい。また、導電インクとしては、上述の第1電極群12及び第2電極群22を形成する際に用いられる導電インクと同等なものを利用することができる。同じ導電インクを用いる場合、第1電極群12及び第2電極群22を印刷等で形成する際に、第1結束部16および第2結束部17を同時に形成してもよい。また、
図8(a)においては、第1結束部16及び第2結束部17を平面視矩形状となるように形成しているが、このような形状に特に限定されず、例えば、
図8(b)に示すように、複数の屈曲点を有する折線形状となるように構成してもよい。
【0053】
また、隣接する所定本数(例えば、8本〜12本)の第1電極12a(第2電極22a)を一つの束としたものを一つの検出用電極としてタッチパネル100を構成する場合、
図9に示すように、各第1束状検出用電極15(第2束状検出用電極25)において、互いに隣接する第1電極12a(第2電極22a)同士を接続する第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を複数設けるように構成してもよい。このような第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を設けることにより、各第1束状検出用電極15(第2束状検出用電極25)を構成する一の第1電極12a(第2電極22a)の一部分が断線した場合であっても、当該断線した第1電極12a(第2電極22a)に入力された静電容量の変化信号(タッチ信号)は、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を介して、他の第1電極12a(第2電極22a)に伝達させて外部に配置されるタッチパネル駆動用の外部回路(図示せず)に導くことが可能となり、安定的にタッチ位置の検出を行うことが可能となる。
【0054】
第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)は、
図9に示すように、隣り合う第1電極12a(第2電極22a)同士のみを接続する直線状の配線として構成することができる。また、このように配線タイプとして第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を形成する場合、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の一方の端点が、第1電極12a(第2電極22a)における屈曲点となるように形成することが好ましい。更には、
図9に示すように、ある屈曲点から第1電極12a(第2電極22a)と同じ傾きで延長された線として第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を形成することが好ましい。または、ある屈曲点と、隣接する屈曲点を直線状に結ぶように、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を形成してもよい。
【0055】
また、配線タイプの第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)としては、
図10に示すように、並列配置される第1電極12a(第2電極22a)を横断的に複数個にわたって接続するように形成してもよい。このように複数の第1電極12a(第2電極22a)を横断的に一括接続するように第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を形成する場合、
図10に示すように、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の一方の端点が、一の第1電極12a(第2電極22a)の屈曲点となるようにし、かつ、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の他方の端点が、他の第1電極12a(第2電極22a)の屈曲点となるように構成することが好ましい。更には、ある屈曲点Kaから隣の屈曲点Kbに向けて直線状に伸びる第1電極12a(第2電極22a)の一部分Zの延長線上に、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)が配置されるように形成することが好ましい。
【0056】
ここで、このような配線タイプの第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)は、第1電極12a(第2電極22a)の線幅と同一の線幅を有するように構成することが好ましい。配線タイプの第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の形成方法として、スクリーン印刷法が例示できる。具体的に説明すると、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の形状に対応する所定形状の開口部を有するスクリーン印刷版を用いて、スキージにより導電インクを開口部を介して押し出すことによって、第1電極群12(第2電極群22)が形成されている第1基板11(第2基板21)上に、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を形成する。スクリーン印刷法の他、インクジェット方式、グラビア印刷、オフセット印刷等の各種印刷法により形成してもよい。導電インクとしては、上述の第1電極群12及び第2電極群22を形成する際に用いられる導電インクと同等なものを利用する。また、当該第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)は、第1電極群12(第2電極群2)のパターン形状、並びに、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の形状に対応する所定形状の開口部を有するスクリーン印刷版を用いて、第1電極群12(第2電極群22)と同時に形成してもよい。また、印刷法を用いる代わりに、フォトリソグラフィによって、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)及び第1電極群12(第2電極群22)を同時に形成してもよい。
【0057】
また、第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)としては、
図11に示すように、ドットタイプの形状とすることもできる。
図11においては、平面視円形のドットとして第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)を形成している。このようなドットタイプの第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)は、目立ちにくくするという観点から透明導電インクにより形成されている。透明導電インクとしては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化インジウムに酸化亜鉛を混合した導電性酸化物(IZO[indium
zinc oxide])、または酸化インジウムに酸化珪素を混合した導電性酸化物(ITSO)を主成分とする微粒子を、樹脂成分と溶剤からなる溶媒中に均一に分散した流動体を使用することができる。他の第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の形成に用いる透明な導電性材料としては、PEDOT(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン)等の導電性高分子や、カーボンナノワイヤーや金属ナノワイヤーなどの極細導電繊維を導電体とする導電性材料を使用することができる。ドットタイプの第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)も、上述した配線タイプのブリッジ部と同様に、スクリーン印刷やグラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット方式等の各種印刷法により、各各第1束状検出用電極15(第2束状検出用電極25)において隣り合う第1電極12a(第2電極22a)同士を接続するように印刷して形成される。ドットタイプのブリッジ部のドット形状としては、平面視円形の形状に限定されず、例えば、平面視四角形状や平面視楕円形状であってもよい。
【0058】
また、各第1束状検出用電極15(第2束状検出用電極25)において形成される第1ブリッジ部18(第2ブリッジ部28)の個数は、第1束状検出用電極15(第2束状検出用電極25)に含まれる第1電極12a(第2電極22a)の抵抗や、第1電極12a(第2電極22a)の形状等を考慮し、視認性を損なわないように適宜設定すればよい。