特許第5967693号(P5967693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967693
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】膝サポータ
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/06 20060101AFI20160728BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   A41D13/06
   A61F5/02 N
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-274746(P2011-274746)
(22)【出願日】2011年12月15日
(65)【公開番号】特開2013-124433(P2013-124433A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】511008506
【氏名又は名称】株式会社秀英
(74)【代理人】
【識別番号】100074125
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 昌夫
(72)【発明者】
【氏名】小柳 英世
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−037407(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3076502(JP,U)
【文献】 実公昭58−001289(JP,Y2)
【文献】 国際公開第2010/005846(WO,A2)
【文献】 特開平07−194649(JP,A)
【文献】 特開2004−332125(JP,A)
【文献】 特開2007−126767(JP,A)
【文献】 特開2003−278014(JP,A)
【文献】 特開平10−305052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/06
A61F 5/02
13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の膝に膝頭を露出させて装着して用いる膝サポータであって、
膝裏から該膝裏に続く膝側面部位にわたって当てがわれる伸縮性を有する膝裏被覆部と、前記膝裏被覆部の左右端部間に渡し設けられた、前記人体の膝頭周辺部分に当てがわれる伸縮性を有する膝頭側被覆部と、前記膝裏被覆部の左右端部から左右へ延びる左バンド部及び右バンド部と、前記左バンド部及び前記右バンド部を分離可能に接続するための上側及び下側のファスナとを含んでおり、
前記膝頭側被覆部は、前記膝頭を嵌めて露出させるための開口部を有しており、該開口部の下端縁部分に沿うとともに該膝頭側被覆部の左右端部間にわたって設けられている、前記開口部に嵌められる該膝頭の直下部位を圧迫するための下向き凸円弧状バンド部を有しており、
前記左バンド部は、前記膝裏被覆部が前記膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、前記膝頭の上側部分上へ巻き回し可能の左上側バンド部及び前記膝頭の下側部分上へ左側から巻き回し可能の左下側バンド部を含んでおり、
前記右バンド部は、前記膝裏被覆部が前記膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、前記膝頭の上側部分上へ右側から巻き回し可能の右上側バンド部及び前記膝頭の下側部分上へ右側から巻き回し可能の右下側バンド部を含んでおり、
前記上側ファスナは、前記膝裏被覆部が前記膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、前記左上側バンド部及び前記右上側バンド部をそれぞれ前記膝頭の上側部分上へ巻き回した状態で該左上側バンド部及び該右上側バンド部を接続できるファスナであり、
前記下側ファスナは、前記膝裏被覆部が前記膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、前記左下側バンド部及び前記右下側バンド部をそれぞれ前記膝頭の下側部分上へ巻き回した状態で該左下側バンド部及び該右下側バンド部を接続できるファスナであることを特徴とする膝サポータ。
【請求項2】
前記膝裏被覆部は、前記膝裏に当てがわれる膝裏当接部分の上下端部の中間部から該下端部へ延びる膝裏保護部を含んでおり、該膝裏保護部は通気性を有し、前記膝裏被覆部の他の部分より伸縮性が大きい請求項1記載の膝サポータ。
【請求項3】
前記膝頭側被覆部は、前記膝裏被覆部の左右端部より伸縮性の大きい布地を主体に形成されている請求項1又は2記載の膝サポータ。
【請求項4】
前記膝裏被覆部の左右端部のそれぞれに、上下方向に延びる、可撓性を有する保形用兼膝伸ばし補助用の筋部材が取付けられている請求項1、2又は3記載の膝サポータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人体の膝部分に装着して用いる膝サポータに関する。
【背景技術】
【0002】
膝サポータは、膝痛持ちの人の膝痛を和らげたり、運動による膝部分の損傷を抑制したり、所謂リハビリ訓練を補助するなどのために、日常の生活、運動、リハビリテーション等で用いられるものである。膝サポータは従来種々提案され、実用化されてきたが、その中に、膝頭を露出させて膝に装着するものがある。
【0003】
この種の膝サポータは例えば特開2008−245989号公報(特許文献1)、特開2009-249746号公報(特許文献2)等に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載されている膝サポータは、膝裏を被覆する膝裏被覆部と、膝裏被覆部の両側にそれぞれ連設され、膝の前部において相互に接離自在とされた1対の包囲片からなる第1膝包囲部と、膝裏被覆部の両側にそれぞれ連設され、膝の前部において相互に接離自在とされた1対の包囲片からなる第2膝包囲部とを含むもので、膝裏被覆部を膝裏に当てがい、第1膝包囲部で膝頭の上側を包囲するとともに第2膝包囲部で膝頭の下側を包囲することで膝頭を露出させた状態で膝部分に装着するものである。
【0005】
特許文献2に記載されている膝サポータは、膝頭を露出させる開口部を有する筒状の本体と、該本体に接合されて該本体の上から膝頭の周囲を締め付ける締め付け部材とを備えた膝サポータである。この膝サポータでは、本体が膝裏を覆う膝裏用部材と、膝前面を覆う膝前用部材とからなり、膝前用部材は、下縁部に略V字状の上向き切込部を形成した上部布片と、上縁部に略V字状の下向き切込部を形成した下部布片とに分離されており、該上部布片と下部布片とを重ねて膝裏用部材に連結するとともに該上向き切込部と下向き切込部とで前記膝頭露出用開口部が提供されている。
【0006】
この種の膝サポータは、装着した状態でも膝頭は露出しているので、膝関節の屈伸時におけるサポータの突っ張り感等の違和感を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−245989号公報
【特許文献2】特開2009-249746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、膝頭周囲の被覆状態を見ると、特許文献1記載のタイプの膝サポータでは、膝頭の上側と下側のそれぞれを第1、第2の膝包囲部がバンド状に締め付けるだけであり、膝頭周辺部分を全体的に被覆する状態で膝部分に装着することは困難であり、また、膝頭に対して位置ずれしやすい。
【0009】
特許文献2記載のタイプの膝サポータでは、膝頭を露出させる本体開口部は、本体を構成している膝裏用部材と膝前用部材のうち膝前用部材を構成している重ねられた上下の布片の略V字状の上向き及び下向きの切込部で提供されているので、その開口部は膝の屈伸に伴って寸法変動したり、変形したり、位置ずれしたりし、膝頭周辺部分を安定的に被覆して膝頭部分を安定的に露出させることは困難である。
【0010】
そこで本発明は、人体の膝に膝頭を露出させて装着して用いる膝サポータであって、脱着が容易であり、それでいて膝頭に対する位置ずれが抑制される状態で膝頭を安定的に露出させるとともに膝頭周辺部分を安定的に被覆することができる膝サポータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、人体の膝に膝頭を露出させて装着して用いる膝サポータであって、
膝裏から該膝裏に続く膝側面部位にわたって当てがわれる伸縮性を有する膝裏被覆部と、前記膝裏被覆部の左右端部間に渡し設けられた、前記人体の膝頭周辺部分に当てがわれる伸縮性を有する膝頭側被覆部と、前記膝裏被覆部の左右端部から左右へ延びる左バンド部及び右バンド部と、前記左バンド部及び前記右バンド部を分離可能に接続するための上側及び下側のファスナとを含んでおり、
前記膝頭側被覆部は、前記膝頭を嵌めて露出させるための開口部を有しており、該開口部の下端縁部分に沿うとともに該膝頭側被覆部の左右端部間にわたって設けられている、前記開口部に嵌められる該膝頭の直下部位を圧迫するための下向き凸円弧状バンド部を有しており、
前記左バンド部は、前記膝裏被覆部が前記膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、前記膝頭の上側部分上へ巻き回し可能の左上側バンド部及び前記膝頭の下側部分上へ左側から巻き回し可能の左下側バンド部を含んでおり、
前記右バンド部は、前記膝裏被覆部が前記膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、前記膝頭の上側部分上へ右側から巻き回し可能の右上側バンド部及び前記膝頭の下側部分上へ右側から巻き回し可能の右下側バンド部を含んでおり、
前記上側ファスナは、前記膝裏被覆部が前記膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、前記左上側バンド部及び前記右上側バンド部をそれぞれ前記膝頭の上側部分上へ巻き回した状態で該左上側バンド部及び該右上側バンド部を接続できるファスナであり、
前記下側ファスナは、前記膝裏被覆部が前記膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、前記左下側バンド部及び前記右下側バンド部をそれぞれ前記膝頭の下側部分上へ巻き回した状態で該左下側バンド部及び該右下側バンド部を接続できるファスナである膝サポータを提供する。
ここで「左」、「右」とは膝サポータを装着する人からみて「左」、「右」である。
【0012】
本発明に係る膝サポータは、次のようにして人体の膝に簡単に装着して使用できる。
前記左右バンド部は互いに分離状態として、前記膝裏被覆部と前記膝頭側被覆部で形成されている筒状部分を人体の足から穿き、脚に沿って引き上げ、膝部分に装着する。
【0013】
このとき、膝裏被覆部を膝裏から該膝裏に続く膝側面部位にわたって当てがうとともに、膝頭側被覆部の開口部に膝頭を嵌め、且つ、該膝頭直下の部位(人体部位)に前記下向き凸円弧状バンド部を添わせ当てがった状態で該膝頭側被覆部で膝頭周囲部分を覆う。
【0014】
次いで、前記左バンド部の左上側バンド部を膝頭の上側部分上へ左側から巻き回すとともに前記右バンド部の右上側バンド部を膝頭の上側部分上へ右側から巻き回し、それら左上側バンド部と右上側バド部を前記上側ファスナで相互接続する。
【0015】
さらに、前記左バンド部の左下側バンド部を膝頭の下側部分上へ左側から巻き回すとともに前記右バンド部の右下側バンド部を膝頭の下側部分上へ右側から巻き回し、それら左下側バンド部と右下側バンド部を前記下側ファスナで相互接続する。
【0016】
かくして、前記のように膝頭側被覆部の開口部に膝頭を嵌め、且つ、該膝頭直下の部位(人体部位)に前記下向き凸円弧状バンド部を添わせ当てがい、該膝頭側被覆部で膝頭周囲部分を覆った状態で、膝頭を前記左右の上側バンド部と左右の下側バンド部との間からも露出させた状態に装着して使用できる。
【0017】
本発明に係る膝用サポータは、人体に装着した状態では、膝頭が露出するので、それだけ膝部分を含む下肢を動かしやすい。
【0018】
本発明に係る膝サポータによると、膝への装着状態においては、膝頭側被覆部で膝頭周囲部分が覆われた状態とされ、且つ、該膝頭側被覆部の開口部に膝頭が嵌められるとともに該膝頭直下の部位(人体部位)に該部位を圧迫するための前記下向き凸円弧状バンド部が添わせ当てがわれ状態とされ、さらにそのうえ、膝頭の上側部分上及び下側部分上へ上側バンド部及び下側バンド部がそれぞれ巻き回し装着されるので、膝頭に対する位置ずれが抑制される状態で膝頭を安定的に露出させるとともに膝頭周辺部分を安定的に被覆することができる。
【0019】
また、膝頭側被覆部の開口部に膝頭が嵌められるとともに該膝頭直下の部位(人体部位)に該部位を圧迫するための前記下向き凸円弧状バンド部が添わせ当てがわれるので、膝蓋骨下の膝蓋じん帯が圧迫され、それだけ膝蓋じん帯に関連する炎症発生の抑制効果を期待できる。また、膝痛がある場合、その程度、原因等によってはその膝痛が和らげられることもある。
【0020】
また、膝頭の上側部分上及び下側部分上へ上側バンド部及び下側バンド部がそれぞれ巻き回し装着されるだけでなく、膝頭側被覆部で膝頭周囲部分が覆われるので、膝頭側被覆部がない場合より保温性がよく、膝頭側被覆部がないとすれば発生する恐れのあるバンド部による膝部分の擦れ等による損傷の発生を抑制できる。
【0021】
本発明に係る膝サポータは、前記上側ファスナによる前記左上側バンド部と右上側バンド部の相互接続を解くとともに、前記下側ファスナによる前記左下側バンド部と右下側バンド部の相互接続を解き、前記膝裏被覆部と前記膝頭側被覆部で形成されている筒状部分を脚に沿って下へ降ろし簡単に脱ぐことができる。
【0022】
本発明に係る膝サポータにおける前記膝裏被覆部は、前記膝裏に当てがわれる膝裏当接部分の上下端部の中間部から該下端部へ延びる膝裏保護部を含んでいてもよい。該膝裏保護部としては、例えば通気性を有し、前記膝裏被覆部の他の部分より伸縮性が大きいものを挙げることができる。
【0023】
前記膝頭側被覆部については、前記膝裏被覆部の左右端部より伸縮性の大きい布地を主体に形成されている場合を例示できる。該布地は通気性があるものでもよい。
【0024】
前記膝頭の直下部位を圧迫するための下向き凸円弧状バンド部は前記膝頭側被覆部の左右端部間にわたって延設されている
【0025】
前記膝裏被覆部の左右端部のそれぞれに、上下方向に延びる、可撓性を有する保形用兼膝屈伸補助用の筋部材が取付けられていてもよい。このような筋部材を設けることで、膝の屈伸がより容易となり、また、膝部分における内側側副じん帯や外側側副じん帯がサポートされる。
【0026】
本発明に係る膝用サポータにおける前記上側及び下側のファスナとして次のものを例示できる。
上側ファスナの例として、前記左バンド部の左上側バンド部及び前記右バンド部の右上側バンド部の一方に取り付けられた面状雄ファスナ部材と他方に取り付けられた面状雌ファスナ部材とからなる面ファスナを挙げることができる。
同様に前記下側ファスナの例として、前記左バンド部の左下側バンド部及び前記右バンド部の右下側バンド部の一方に取り付けられた面状雄ファスナ部材と他方に取り付けられた面状雌ファスナ部材とからなる面ファスナを挙げることができる。
【0027】
ここで、面状雄ファスナ部材は平坦基材に多数のフックを立設した部材であり、面状雌ファスナ部材は平坦基材に、前記フックが係合脱離可能の多数のループを形成した部材である。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によると、人体の膝に膝頭を露出させて装着して用いる膝サポータであって、脱着が容易であり、それでいて膝頭に対する位置ずれが抑制される状態で膝頭を安定的に露出させるとともに膝頭周辺部分を安定的に被覆することができる膝サポータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係る膝用サポータの1例の正面図である。
図2図1に示す膝用サポータの背面図である。
図3図1に示す膝用サポータの平面図である。
図4図1に示す膝用サポータの底面図である。
図5図1に示す膝用サポータの右側面図である。
図6図1に示す膝用サポータの左側面図である。
図7】膝用サポータの膝裏被覆部と膝頭側被覆部からなる筒状部分を人体膝に穿き装着した様子を示す斜視図である。
図8】膝用サポータを左右バンド部も使って人体膝に装着完了した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下本発明に係る膝サポータの例について図面を参照して説明する。
図1から図6は本発明に係る膝サポータの1例を示しており、図1はその正面図、図2は背面図、図3は平面図、図4は底面図、図5は右側面図、図6は左側面図である。
【0031】
図示の膝サポータ10は人体の膝に膝頭を露出させて装着して用いる膝サポータである。
膝サポータ10は、人体の膝裏から該膝裏に続く膝側面部位にわたって当てがわれる膝裏被覆部1と、膝裏被覆部1の左右端部11、12間に渡し設けられた膝頭側被覆部2と、膝裏被覆部1の左右端部11、12から左右へ延びる左バンド部31及び右バンド部32を含んでいる。
【0032】
膝サポータ10において「左」、「右」とは膝サポータ10を装着する人からみて「左」、「右」である。
【0033】
膝頭側被覆部2は、左右の端部21、22が膝裏被覆部1の左右端部11、12にそれぞれ縫着連結されることで膝裏被覆部1の左右端部間に渡し設けられており、これら膝裏被覆部1及び膝頭側被覆部2は筒状体100を形成している(図3図4参照)。
【0034】
左バンド部31及び右バンド部32は、膝裏被覆部1の左右端部11、12を形成している布材と同じ布材で、該膝裏被覆部1の左右端部11、12と一体的に形成されている。
【0035】
膝裏被覆部1は、人体の膝裏に当てがわれる膝裏当接部分13の上下端部の中間位置(本例では上下端部間の2分の1位置)より若干上側へ寄った位置から該下端部へ延びる膝裏保護部14を含んでいる。膝裏保護部14は、その上縁部143及びそれに続く左右縁部141、142でそれらに隣り合う部分に縫着連結されている。左右縁部141、142間幅はWである。
【0036】
膝裏被覆部1は全体的に伸縮性を有しているが、膝裏保護部14は膝裏被覆部1の他の部分より伸縮性が大きく、通気性を有している。該他の部分も通気性を有している。
【0037】
膝裏被覆部1の膝裏保護部14を除いた部分及びそれと一体的に形成されている(既述の言い方で言えば、膝裏被覆部1の左右端部11、12と一体的に形成されている)左右のバンド部31、32は同じ布材で形成されている。より具体的には、通気性を有する内側布地(人体側の布地)Aと、通気性を有するとともに厚み方向に若干のクッシヨン性を有する外側布地Bを重ねた、全体として通気性を有しているとともに膝裏保護部14よりは低いが伸縮性も有している布材からなっている。
【0038】
膝裏被覆部1及び左右のバンド部31、32はそれらの外輪郭縁部は縁どり布Cを縫着して縁どりされている。
【0039】
膝頭側被覆部2は、それとは限定されないが、ここでは次のようにして形成されている。
すなわち、略矩形状に、しかし自由下端縁部201は上向き凸円弧状に裁断された一枚の、通気性及び伸縮性を有する布地200に人体膝頭を嵌めて露出させるための円形状開口部23を形成する。
【0040】
布地200の上端縁を同材質の布地からなる縁どり布202で縁どりし、前記上向き凸円弧状に裁断された自由下端縁部201を含む部分を膝被覆部側且つ上側へ折り返して該端縁部201を下向き凸円弧状に配置するとともに、その一部201aを開口部23の周縁部の下端部分231に重ね添わせた状態とする。
【0041】
その状態で円弧状端縁部201を布地200本体に縫着し、さらに前記開口部23の周縁部を円弧状端縁部201の一部201aとともに同材質の布地からなる縁どり布230で縁どりする。
【0042】
かくして得られた膝頭側被覆部2をその左右端部21、22で膝裏被覆部1の左右端部11,12に縫着連結するのである。
【0043】
円弧状端縁部201を布地200本体に縫着した帯状に延びる部分及び開口部23の下端縁部231を円弧状端縁部201の一部201aとともに縁どりしている縁どり布230の部分は、開口部23に嵌められる膝頭の直下部位を圧迫するための下向き凸円弧状バンド部24を提供している。
なお、膝頭直下部位を圧迫するための下向き凸円弧状バンド部は布地200に紐、テープ等を取りつけたり、縫い込んだりして提供されてもよく、また、それら紐、テープ等は布地200の両端部まで延在していてもよい。
【0044】
左バンド部31は、膝裏被覆部1が膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、膝頭の上側部分上へ巻き回し可能の左上側バンド部311及び膝頭の下側部分上へ左側から巻き回し可能の左下側バンド部312を含む二股バンド部に形成されている。
【0045】
右バンド部32は、膝裏被覆部1が膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、膝頭の上側部分上へ右側から巻き回し可能の右上側バンド部321及び膝頭の下側部分上へ右側から巻き回し可能の右下側バンド部322を含む二股バンド部に形成されている。
【0046】
膝サポータ10は、これら左バンド部31及び右バンド部32を分離可能に接続するための上側ファスナ4及び下側ファスナ5を含んでいる。
【0047】
上側ファスナ4は、膝裏被覆部1が膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、左上側バンド部311及び右上側バンド部321をそれぞれ膝頭の上側部分上へ巻き回した状態で左上側バンド部311及び右上側バンド部321を接続できる面ファスナである。
【0048】
下側ファスナ5は、膝裏被覆部1が膝裏から該膝裏に続く膝側面部位へ当てがわれた状態で、左下側バンド部312及び右下側バンド部322をそれぞれ膝頭の下側部分上へ巻き回した状態で左下側バンド部312及び右下側バンド部322を接続できる面ファスナである。
【0049】
さらに説明すると、上側ファスナ4は、左上側バンド部311の外面に縫着された面状雌ファスナ部材42と右上側バンド部321の内面に縫着された面状雄ファスナ部材41とからなっている。なお、面状雌ファスナ部材42が右上側バンド部321の外面に、面状雄ファスナ部材41が左上側バンド部311の内面に縫着されていてもよい。
【0050】
下側ファスナ5は、左下側バンド部312の外面に縫着された面状雌ファスナ部材52と右下側バンド部322の内面に縫着された面状雄ファスナ部材51とからなっている。
なお、面状雌ファスナ部材52が右下側バンド部322の外面に、面状雄ファスナ部材51が左下側バンド部312の内面に縫着されていてもよい。
【0051】
面状雄ファスナ部材41、51は平坦基布に多数のフックを立設した部材であり、面状雌ファスナ部材42、52は平坦基布に、前記フックが係合脱離可能の多数のループを形成した部材である。
これらファスナ4、5はそれ自体既に知られている面ファスナである。
【0052】
膝裏被覆部1の左右端部11、12のそれぞれに、上下方向に延びる、可撓性を有する保形用兼膝屈伸補助用の筋部材6が取付けられている。筋部材6はその上に帯状の覆い布60を被せ、これを膝裏被覆部1、或いは膝裏被覆部1とこれに重ねられた膝頭側被覆部2の端部21、22とに縫着することで取り付けられている。
【0053】
以上説明した膝サポータ10は、例えば図7図8に示すように人体の膝7に簡単に装着して使用できる。
当初は、左右バンド部31、32を互いに分離状態として、膝裏被覆部1と膝頭側被覆部2で形成されている筒状体100を足から穿き、脚に沿って引き上げ、膝7部分に装着する。
【0054】
このとき、膝裏被覆部1を膝裏から該膝裏に続く膝側面部位にわたって当てがうとともに、膝頭側被覆部1の開口部23に膝頭70を嵌め、且つ、該膝頭直下の部位(人体部位)72’に下向き凸円弧状バンド部24を添わせ当てがった状態で該膝頭側被覆部2で膝頭周囲部分を覆う。
【0055】
次いで、左バンド部31の左上側バンド部311を膝頭70の上側部分71上へ左側から巻き回すとともに右バンド部32の右上側バンド部321を膝頭70の上側部分71上へ右側から巻き回し、それら左上側バンド部311と右上側バド部321を上側ファスナ4で相互接続する。
【0056】
さらに、左バンド部31の左下側バンド部312を膝頭70の下側部分72上へ左側から巻き回すとともに右バンド部32の右下側バンド部322を膝頭70の下側部分72上へ右側から巻き回し、それら左下側バンド部312と右下側バンド部322を下側ファスナ5で相互接続する。
【0057】
かくして、膝頭側被覆部2の開口部23に膝頭70を嵌め、且つ、膝頭直下の部位(人体部位)72’に下向き凸円弧状バンド部24を添わせ当てがい、膝頭側被覆部2で膝頭周囲部分を覆った状態で、膝頭70を左右の上側バンド部311、321と左右の下側バンド部312、322との間からも露出させた状態に装着して使用できる。
【0058】
本発明に係る膝用サポータは、人体に装着した状態では、膝頭70が露出するので、それだけ膝7部分を含む下肢を動かしやすい。
【0059】
膝サポータ10によると、膝7への装着状態においては、膝頭側被覆部2で膝頭70の周囲部分が覆われた状態とされ、且つ、膝頭側被覆部2の開口部23に膝頭が嵌められるとともに膝頭直下の部位(人体部位)72’に該部位を圧迫するための下向き凸円弧状バンド部24が添わせ当てがわれ状態とされ、さらにそのうえ、膝頭70の上側部分71上及び下側部分72上へ上側バンド部311、321及び下側バンド部312、322がそれぞれ巻き回し装着されるので、膝頭70に対する位置ずれが抑制される状態で膝頭70を安定的に露出させるとともに膝頭周辺部分を安定的に被覆することができる。
【0060】
また、膝頭側被覆部2の開口部23に膝頭70が嵌められるとともに膝頭直下の部位(人体部位)72’に該部位を圧迫するための下向き凸円弧状バンド部24が添わせ当てがわれるので、膝蓋骨下の膝蓋じん帯が圧迫され、それだけ膝蓋じん帯に関連する炎症発生の抑制が可能である。また、膝痛がある場合、その程度、原因等によってはその膝痛を和らげることができる
【0061】
また、膝頭70の上側部分71上及び下側部分72上へ上側バンド部311、321及び下側バンド部312、322がそれぞれ巻き回し装着されるだけでなく、膝頭側被覆部2で膝頭周囲部分が覆われるので、膝頭側被覆部2がない場合より保温性がよく、膝頭側被覆部2がないとすれば発生する恐れのあるバンド部31,32による膝部分の擦れ等による損傷の発生を抑制できる。
【0062】
また、膝サポータ10における膝裏被覆部1は、膝裏に当てがわれる膝裏当接部分13の上下に延びる膝裏保護部14を含んでおり、その膝裏保護部14は、通気性を有し、膝裏被覆部1の他の部分より伸縮性が大きいものであるから、膝7の屈伸がそれだけ容易であり、また、膝裏が蒸れにくく、膝サポータ10をそれだけ快適に使用できる。

【0063】
また、膝裏被覆部1の左右端部11,12のそれぞれに、上下方向に延びる、可撓性を有する保形用兼膝屈伸補助用の筋部材6が取付けられているので、膝7の屈伸がより容易となり、また、膝7部分における内側側副じん帯や外側側副じん帯がサポートされる利点がある。
【0064】
膝サポータ10は、上側ファスナ4による左上側バンド部と右上側バンド部の相互接続を解くとともに、下側ファスナ5による左下側バンド部と右下側バンド部の相互接続を解き、膝裏被覆部1と膝頭側被覆部2で形成されている筒状部分100を脚に沿って下へ降ろして簡単に脱ぐことができる。
【0065】
膝サポータ10を構成している各部として、以下のものを例示できる。しかし、それらに限定されない。
膝裏被覆部1の膝裏保護部14を除いた部分及びそれと一体的に形成されている左右のバンド部31、32を構成している内側布地(人体側の布地)A:所謂パワーメッシュ(伸縮性のある柔らかいメッシュ地)
膝裏被覆部1の膝裏保護部14を除いた部分及びそれと一体的に形成されている左右のバンド部31、32を構成している外側布地B:所謂ハニカムメッシュ又はダブルラッセル(蜂の巣のような立体的なメッシュ地)
膝裏被覆部1の膝裏保護部14を形成している布地及び膝頭側被覆部2を提供している布地200: サテンネット(ガードルなどに使用されている伸縮性の強い光沢のある生地)
筋部材6:コイルボーン(コイル状に巻いた鋼材を平らに潰して棒状にした芯材)
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は位置ずれが抑制される状態で膝頭を安定的に露出させるとともに膝頭周辺部分を安定的に被覆することができる膝サポータを提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0067】
10 膝サポータ
100 筒状体
1 膝裏被覆部
11、12 膝裏被覆部1の左右端部
13 膝裏当接部分
14 膝裏保護部
2 膝頭側被覆部
21、22 膝頭側被覆部2の左右端部
200 布地
201 円弧状に裁断された自由端縁部
201a 端縁部201の一部
202 縁どり布
23 開口部
231 開口部周縁部の下端部分
24 下向き凸円弧状バンド部
31 左バンド部
311 左上側バンド部
312 左下側バンド部
32 右バンド部
321 右上側バンド部
322 右下側バンド部
4 上側ファスナ
5 下側ファスナ
6 筋部材
7 人体の膝
70 人体の膝頭
71 人体の膝頭の上側部分
72 人体の膝頭の下側部分
72’ 人体の膝頭の直下部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8