特許第5967704号(P5967704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5967704
(24)【登録日】2016年7月15日
(45)【発行日】2016年8月10日
(54)【発明の名称】箱内の能書検査装置と能書検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/51 20060101AFI20160728BHJP
   G01N 22/00 20060101ALI20160728BHJP
【FI】
   G01N21/51
   G01N22/00 S
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-127942(P2012-127942)
(22)【出願日】2012年6月5日
(65)【公開番号】特開2013-253800(P2013-253800A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2015年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】307010166
【氏名又は名称】第一三共株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503359821
【氏名又は名称】国立研究開発法人理化学研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082108
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】須田 喜文
(72)【発明者】
【氏名】市川 純
(72)【発明者】
【氏名】大谷 知行
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 芳彰
(72)【発明者】
【氏名】太田 正人
(72)【発明者】
【氏名】二宮 和則
【審査官】 森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−062363(JP,A)
【文献】 特開2011−112548(JP,A)
【文献】 特開2009−210422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱内の能書の有無を検査する箱内の能書検査装置において、ミリ波帯域もしくはテラヘルツ波帯域に含まれる電磁波を発生する電磁波発生手段と、この電磁波発生手段で発生された電磁波を、上記箱内の能書近傍で焦点を形成するように照射させる光学手段と、上記電磁波の照射位置を、上記箱内の能書のない箇所から能書上へ連続的に移動させる照射位置移動手段と、上記箱とその収容物により反射されて散乱される散乱電磁波を検出する散乱電磁波検出手段と、この散乱電磁波検出手段が検出した散乱電磁波の散乱強度により能書の有無を判定する判定手段とを備え、この判定手段は、能書の縁部で電磁波が散乱されることによる急激な散乱強度の上昇を検出して、能書有りと判定することを特徴とする箱内の能書検査装置。
【請求項2】
箱内の能書の有無を検査する箱内の能書検査方法において、ミリ波帯域もしくはテラヘルツ波帯域に含まれる電磁波を、その焦点が上記箱内の能書近傍となるようにしながら上記箱内の能書のない箇所から能書上へ連続的に移動させながら照射させ、該箱とその収容物により反射されて散乱される散乱電磁波を検出して、能書の縁部で電磁波が散乱されることによる急激な散乱強度の上昇が検出されたら、能書有りと判定することを特徴とする箱内の能書検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱内に収容された能書の有無を検出する能書検査装置と能書検査方法とに関し、より詳しくは、ミリ波帯域もしくはテラヘルツ波帯域に含まれる電磁波を使用して箱内に収容された能書の有無を検出する能書検査装置と能書検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば錠剤やカプセル剤などの医薬品はPTPシートに収容され、その薬の効能などを書きしるした能書(添付文書)を同封して、箱に収納されて市販されている。PTPシートとは、樹脂フィルムに成形された複数個のポケットに錠剤やカプセル剤を通常1錠ずつ収容し、アルミフィルムでシールした包装形態からなるシート状の包装体であり、能書は折り畳まれた状態で、1又は複数枚が重ねられたPTPシートを上下に包むように折り曲げられて、PTPシートとともに箱内に収容されている場合が多い。
従来、箱内の能書の有無を検査する能書検査装置として、重量を計測するものやX線を利用するものの他、ミリ波を利用したもの(特許文献1)およびテラヘルツ波を利用したもの(特許文献2)が知られている。
ミリ波を利用した能書検査装置は、発生させたミリ波を被検査物である箱に向けて送信し、箱内に収容されたビンの蓋と箱の外の反射板の間で複数回反射させてから受信するようにしている。その結果、蓋の上に能書があれば能書を通過する度にミリ波が減衰されるため、受信レベルの大小から能書の有無を検出するようにしている。
また、テラヘルツ波を利用した能書検査装置は、異なる2波長のテラヘルツ波を発生させ、それぞれのテラヘルツ波を被検査物である箱に照射してそれぞれの透過率を計測し、その透過率の相違からテラヘルツ波の吸収に波長依存性のある能書の有無を検出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−62363号公報
【特許文献2】特開2004−108905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
重量を計測するものではPTPシートなどの被収容物品の重量が能書よりも重く、振動による計測結果のばらつきから検査精度が低下するため、被検査物を搬送させながら検査することができず、X線を利用するものでは作業者の被曝に対する危険性や収納された錠剤等に対する品質劣化への影響が懸念されていた。
またミリ波を利用したものではビンの蓋にミリ波を反射させて検査するため、収容する物品や能書の収納形態が限定されるものであり、テラヘルツ波を使用したものでは、異なる2波長のテラヘルツ波を発生させる必要があるため、高価にならざるを得なかった。
本発明はそのような事情に鑑み、被検査物を搬送させながら高速かつ安定的および安全に検査を実施できるものであって、収納物品や能書の収納形態が限定されることなく、より安価に製造することができる箱内の能書検査装置と能書検査方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち請求項1の発明は、箱内の能書の有無を検査する箱内の能書検査装置において、ミリ波帯域もしくはテラヘルツ波帯域に含まれる電磁波を発生する電磁波発生手段と、この電磁波発生手段で発生された電磁波を、上記箱内の能書近傍で焦点を形成するように照射させる光学手段と、上記電磁波の照射位置を、上記箱内の能書のない箇所から能書上へ連続的に移動させる照射位置移動手段と、上記箱とその収容物により反射されて散乱される散乱電磁波を検出する散乱電磁波検出手段と、この散乱電磁波検出手段が検出した散乱電磁波の散乱強度により能書の有無を判定する判定手段とを備え、この判定手段は、能書の縁部で電磁波が散乱されることによる急激な散乱強度の上昇を検出して、能書有りと判定することを特徴とするものである。
また請求項2の発明は、箱内の能書の有無を検査する箱内の能書検査方法において、ミリ波帯域もしくはテラヘルツ波帯域に含まれる電磁波を、その焦点が上記箱内の能書近傍となるようにしながら上記箱内の能書のない箇所から能書上へ連続的に移動させながら照射させ、該箱とその収容物により反射されて散乱される散乱電磁波を検出して、能書の縁部で電磁波が散乱されることによる急激な散乱強度の上昇が検出されたら、能書有りと判定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の能書検査装置によれば、電磁波発生手段から発生された電磁波は、光学手段によって箱内の能書近傍で焦点を形成するように照射されるとともに、照射位置移動手段によってその照射位置が、上記箱内の能書のない箇所から能書上へ連続的に移動されるようになる。
箱内に能書がある場合には、電磁波は能書の縁部によって散乱されるようになるので、上記散乱電磁波検出手段は能書の縁部で電磁波が反射されることによる急激な散乱強度の上昇を検出するようになり、それによって上記判定手段は能書有りと判定することができる。他方、箱内に能書がない場合には、能書の縁部で電磁波が反射されることによる急激な散乱強度の上昇がないので、この場合には判定手段は能書無しと判定することができる。
請求項2の能書検査方法によれば、ミリ波帯域もしくはテラヘルツ波帯域に含まれる電磁波は、その焦点が上記箱内の能書近傍となるようにしながら上記箱内の能書のない箇所から能書上へ連続的に移動されながら照射されるとともに、該箱とその収容物により反射されて散乱される散乱電磁波が検出されるようになる。
そして箱内に能書がある場合には、電磁波は能書の縁部によって散乱されるようになるのでその際の急激な散乱強度の上昇を検出することができ、それによって能書有りと判定することができる。他方、箱内に能書がない場合には、能書の縁部で電磁波が反射されることによる急激な散乱強度の上昇がないので、この場合には能書無しと判定することができる。
このように、本発明によれば1つの電磁波によって能書の有無を判定することができるので、従来に比較して安価に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施例を示す構成図
図2】第1実施例による検出結果の一例を示す図
図3】本発明の第2実施例を示す構成図
図4】第2実施例による検出結果の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例について本発明を説明すると、図1において、箱1の内部にPTPシート2に入れられた錠剤やカプセル剤などの薬と、該薬の効能などを書きしるした能書3とが収容されており、この箱1はコンベヤ4によって図の左方から右方へ連続的に搬送されるようになっている。
本実施例では、能書3は、PTPシート2の搬送方向後部側が折り曲げられて複数枚積層されたPTPシート2の後部側を上下に包んでおり、該能書3の上方の先端縁部3aはPTPシート2の上面に位置して、かつPTPシート2の先端部及び箱1の先端部よりも後方側に位置している。
上記能書3の有無を、より具体的には能書3の上記縁部3aの有無を検出するための能書検査装置は、本実施例では540GHzのテラヘルツ波を発生する電磁波発生手段としてのテラヘルツ波発生手段6を備えており、このテラヘルツ波発生手段6で発生されたテラヘルツ波Tは、光学手段7によって、上記箱1内の能書3の高さ位置の近傍で焦点fが形成されるようになっている。
なお、箱の材質はテラヘルツ波が透過できるものであればよく、一般的な紙製の箱の他に樹脂等からなる箱であっても対応が可能である。
【0009】
上記光学手段7は、6つの凸レンズL1〜L6と、3つのミラーM1〜M3とを備えており、上記テラヘルツ波発生手段6で発生されたテラヘルツ波Tは、凸レンズL1、ミラーM1、M2、凸レンズL2、L3、ミラーM3及び凸レンズL4を介して、箱1の上方から該箱1に対して斜めに照射されるようになっている。このとき、上記凸レンズL4の焦点fは、上記箱1内の能書3の近傍で、一例として箱1の上面から2mmの深さ(下方)の位置に設定してあり、それによってテラヘルツ波Tは箱1内の能書近傍で焦点fを形成するように照射される。
そして本実施例においては、上記箱1やその内部の能書3或いはPTPシート2によって反射されるとともに散乱されたテラヘルツ波のうち、散乱された散乱テラヘルツ波T’のみを散乱電磁波検出手段10によって検出できるようにしてある。
すなわち、上記箱1に向けて照射されたテラヘルツ波Tは、箱1などの表面により入射角と反射角との法則に基づいて反射される一方、その照射位置で散乱されるようになるが、本実施例においては箱1などの表面により反射された反射テラヘルツ波ではなく、照射位置から鉛直上方に散乱された散乱テラヘルツ波T’のみを上記散乱電磁波検出手段10で検出できるようにしてある。
【0010】
そのために、本実施例では上記散乱電磁波検出手段10を上記焦点fの直上位置に配置してあり、上記照射位置から鉛直上方に散乱された散乱テラヘルツ波T’は、上記光学手段7の凸レンズL5、L6を介して散乱電磁波検出手段10に入力されるようになっている。
上記散乱電磁波検出手段10で検出された信号は、散乱テラヘルツ波T’の散乱強度により能書の有無を判定する判定手段11に入力され、この判定手段11によって、後に詳述するように、能書3の縁部3aで反射される急激な散乱強度の上昇が検出された際に、能書有りと判定されるようになっている。
【0011】
ところで本実施例では、上記テラヘルツ波Tの箱1に対する照射位置を、上記箱1内の能書3のない箇所から能書3上へ連続的に移動させるために上記コンベヤ4を利用している。つまり本実施例では、上記コンベヤ4は、上記テラヘルツ波Tの照射位置を、上記箱内の能書のない箇所から能書上へ連続的に移動させる照射位置移動手段として用いている。
しかしながらこれに限定されるものではなく、例えば上記光学手段7及び散乱電磁波検出手段10を一体的に首振り可能に構成し、その首振りにより固定した箱1に対してテラヘルツ波の照射位置を連続的に移動させることも可能である。
また、上記テラヘルツ波は一般的には波長1mm〜100μm、周波数300GHz〜3THzの帯域の電磁波であるといわれているが、その範囲は多少流動的であり、本発明においても概ねその範囲の波長の電磁波をテラヘルツ波と称している。換言すれば、本発明におけるテラヘルツ波は厳密に波長1mm〜100μm、周波数300GHz〜3THzの範囲の電磁波に限定されるものではなく、本発明の作用効果を奏することができる範囲の電磁波であればよい。その意味において、本発明で用いられる電磁波は、例えば波長10mm〜1mm、周波数30GHz〜300GHzのミリ波の帯域に含まれる電磁波であってもよい。
【0012】
以上の構成において、能書3が収容された箱1はコンベヤ4によって図の左方から右方へ連続的に搬送され、またテラヘルツ波発生手段6で発生されたテラヘルツ波Tは、光学手段7によって上記箱1内の能書3の高さ位置の近傍で焦点fが形成された状態でコンベヤ4に向けて照射されている。
そして上記コンベヤ4によって搬送される箱1がテラヘルツ波Tの焦点f位置を横切ると、該箱1とその収容物によって散乱された散乱テラヘルツ波T’が散乱電磁波検出手段10によって検出されるようになる。
【0013】
図2は散乱電磁波検出手段10によって検出された検出結果の一例を示しており、該検出結果は、時間の経過にともなう散乱テラヘルツ波T’の散乱強度の変化を示したものである。
同図において、最初の略平坦な散乱強度A1はコンベヤ4の表面によって散乱された散乱テラヘルツ波T’の散乱強度を示している。
そして最初の急激な散乱強度の上昇B1は、箱1の前面が上記焦点f位置を横切った際に検出されたものであり、次の平坦な散乱強度C1は箱1内のPTPシート2の表面によって散乱された散乱テラヘルツ波T’の散乱強度で、上記コンベヤ4の表面による散乱強度A1よりも大きくなっている。
さらに次の急激な反射強度の上昇D1は、箱1内の能書3の縁部3aが上記焦点f位置を横切った際に検出されたものであり、これに続く平坦な散乱強度E1は箱1内の能書3の表面によって散乱された散乱テラヘルツ波T’の散乱強度で、上記コンベヤ4の表面による散乱強度A1よりも大きく、かつPTPシート2による散乱強度C1よりも大きくなっている。
そして最後の急激な反射強度の上昇F1は、箱1の後面が上記焦点f位置を横切った際に検出されたものであり、この後の平坦な散乱強度A1はコンベヤ4による散乱強度である。
【0014】
上記散乱電磁波検出手段10で検出された信号を判定する判定手段11は、予め箱1の搬送方向の長さとコンベヤ4の搬送速度が既知であるので、最初の急激な反射強度の上昇B1が得られた時間から最後の急激な反射強度の上昇F1が得られるまでに要する時間を演算することができ、その時間の間に能書3の縁部3aで反射される急激な反射強度の上昇D1が有るか無いかで、能書3の有無を検出することができる。
或いは、箱1の前面に対する能書3の縁部3aの位置が分かっていれば、最初の急激な反射強度の上昇B1が得られた時間から次の急激な反射強度の上昇D1が得られるであろう時間に、その上昇D1が有ったか否かによっても、能書3の有無を検出することができる。
【0015】
図3は本発明の第2実施例を示したもので、上記第1実施例が散乱テラヘルツ波T’の散乱強度を検出しているのに対し、本実施例では箱1とその収容物により反射された反射テラヘルツ波T”の反射強度を検出できるようにしたものである。
すなわち本実施例における光学手段17は、5つの凸レンズL11〜L15と、3つのミラーM11〜M13と、1つのビームスプリッタBSとを備えており、テラヘルツ波発生手段16で発生されたテラヘルツ波Tは、凸レンズL11、ミラーM11、M12、凸レンズL12、L13、ミラーM13、ビームスプリッタBS及び凸レンズL14を介して、箱1の上方から該箱1に向けて真下に照射されるようになっている。
この場合においても、テラヘルツ波Tは箱1内の能書近傍で焦点fを形成するように照射される。
【0016】
そして上記箱1に向けて照射されたテラヘルツ波Tは、箱1などの表面により入射角と反射角との法則に基づいて鉛直上方に反射されるようになり、上記鉛直上方に反射された反射テラヘルツ波T”は、上記光学手段17の凸レンズL14、ビームスプリッタBS及び凸レンズL15を介して反射電磁波検出手段20で検出できるようにしてある。
上記反射電磁波検出手段20で検出された信号は、反射テラヘルツ波T”の反射強度により能書の有無を判定する判定手段21に入力され、この判定手段21によって、後に詳述するように、能書3が存在することによる反射強度の低下を検出して、能書有りと判定するようになっている。
なお、上記実施例では鉛直方向に反射された反射テラヘルツ波T”を検出しているが、上記箱1の斜め上方から箱1内の能書近傍付近で焦点fを形成するようにテラヘルツ波Tを照射し、焦点位置の鉛直線の線対称位置に反射電磁波検出手段20を設けるようにしてもよい。またこのとき、上記反射電磁波検出手段20は線対称位置に設けることが望ましいが、必ずしもその位置に限定されるものではなく、反射テラヘルツ波T”が検出できるのであればどこに設けてもよい。
【0017】
図4は反射電磁波検出手段20によって検出された検出結果の一例を示しており、該検出結果は、時間の経過にともなう反射テラヘルツ波T”の反射強度の変化を示したものである。
同図において、最初の略平坦な反射強度A2はコンベヤ4の表面によって反射された反射テラヘルツ波T’の反射強度を示している。
そして最初の局部的な反射強度の低下B2は、箱1の前面が上記焦点f位置を横切った際に検出されたものである。この際には箱1の前面によりテラヘルツ波Tが散乱されるので、反射電磁波検出手段20で検出される反射テラヘルツ波T’が減少し、それによって局部的な反射強度の低下B2が生じるからである。
次の平坦な反射強度C2は箱1内のPTPシート2が存在する部分によって得られた反射テラヘルツ波T”の反射強度で、テラヘルツ波Tが反射する際に物体が多く存在すると反射量が少なくなるので、当然に上記コンベヤ4の表面による反射強度A2よりも小さくなっている。
上記平坦な反射強度C2に続く平坦な反射強度E2は、箱1内のPTPシート2と能書3とが存在する部分によって得られた反射テラヘルツ波T”の反射強度で、上記PTPシート2が存在する部分の反射強度C2よりも、能書3が存在する分、さらに反射強度が小さくなっている。
そして最後の局部的な反射強度の低下F2は、箱1の後面が上記焦点f位置を横切った際の散乱によって生じたものであり、この後の平坦な反射強度A2はコンベヤ4による反射強度である。
【0018】
したがって上記反射電磁波検出手段20で検出された信号を判定する判定手段21は、予め箱1の搬送方向の長さとコンベヤ4の搬送速度が既知であるので、最初の局部的な反射強度の低下B2が得られた後に、小さな反射強度C2とそれに引き続くより小さな反射強度E2が有るか無いかで、能書3の有無を検出することができる。
【符号の説明】
【0019】
1 箱 3 能書
3a 能書の縁部 4 コンベヤ(照射位置移動手段)
6、16 テラヘルツ波発生手段(電磁波発生手段)
7、17 光学手段 10 散乱電磁波検出手段
11、21 判定手段 20 反射電磁波検出手段
BS ビームスプリッタ
L1〜L6、L11〜L15 凸レンズ
M1〜M3、M11〜M13 ミラー T テラヘルツ波(電磁波)
T’ 散乱テラヘルツ波 T” 反射テラヘルツ波
f 焦点
図1
図2
図3
図4