(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被エッチング層と、前記被エッチング層の下面に設けられた下層膜を有するワークの該被エッチング層に等方性エッチングを行う等方性エッチング工程と、前記等方性エッチング工程においてエッチングされた部分の面に保護膜を形成する保護膜形成工程と、前記等方性エッチング工程よりも真空度が高い状態で、前記保護膜が形成された面のうち底面に形成された保護膜をイオンの照射により選択的に除去する底面エッチング工程と、を有するプラズマエッチングにおいて、
前記底面エッチング工程において前記被エッチング層をエッチングすることにより生成されるエッチング生成物がプラズマと反応することにより生じる光の強度を該底面エッチング工程において測定し、該底面エッチング工程において測定した光の強度の変化から、エッチングが前記下層膜まで到達したか否かを判定する
ことを特徴とするプラズマエッチングのエッチング終点検出方法。
【背景技術】
【0002】
シリコン基板(Si基板)にアスペクト比の高い縦穴構造や柱構造をプラズマエッチングにより形成する方法として、SF
6ガスをエッチングガスとしてSi基板のエッチングを行うエッチング工程と、前記エッチング工程において形成された穴の面に保護膜を形成する保護膜形成工程を繰り返すボッシュプロセスが知られている。特許文献1には、Si基板の下に、該Si基板に比べてエッチングされにくい材料から成る下層膜が設けられたワークにおいて、上記のボッシュプロセスによるSi基板のエッチングが下層膜(終点)まで到達したことを検出するプラズマエッチングの終点検出方法が記載されている。この終点検出方法では、Si基板をエッチングする際に生成されるエッチング生成物(SiF
4やその解離種であるSiF
x(x=0〜3))がプラズマ(主にプラズマ中の電子)と反応することにより生じる光の強度を検出する。下層膜までエッチングを行うとエッチング生成物が生成される量が減少するため、該エッチング生成物による発光強度が低下する。この発光強度の変化から、エッチングの終点を検出する。
【0003】
一方、ボッシュプロセスにおいてエッチング速度を上げるためには、SF
6ガスの供給量を増やして大量のラジカルやイオンを生成させることが好ましい。ところが、このようなラジカルやイオンが大量に生成されると、エッチング生成物の移動が阻害され、プラズマまで到達しにくくなる。そのため、エッチング生成物による発光強度が低下し、終点検出精度が低下する。加えて、アスペクト比の高い縦穴構造や柱構造をプラズマエッチングにより形成する場合、プラズマ中のイオンの垂直性を高めてSi基板に入射させる必要があり、高周波コイルとSi基板との距離を通常よりも離すことが行われる(例えば、特許文献1の
図1)。このような場合、シリコン基板の近傍で生成されたエッチング生成物は、高周波コイルの近傍で発生したプラズマまで長い距離を移動しなければ互いに反応することができないため、上記のようにラジカルやイオンが大量に生成されると、プラズマまで到達することのできるエッチング生成物の量が極めて少なくなる。
そこで、上記の終点検出方法では、エッチング工程を、多量のSF
6ガスを供給する多量供給工程と、少量のSF
6ガスを供給する少量供給工程の2つの工程に分け、前記多量供給工程においてSi層のエッチングを高速に行った後、前記少量供給工程においてSi層のエッチングを低速に行いつつ、エッチングの終点検出を行っている。SF
6ガスの供給量が少ないとラジカルやエッチング生成物の生成も少ないもののそれらの移動が阻害されないので強い発光を観察することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の終点検出方法では、終点を検出するために少量供給工程を設けるため、プロセス全体のエッチング速度が低下するという問題がある。
【0007】
一方、非特許文献1には、Si層をF系ラジカルにより等方的にエッチングする等方性エッチング工程と、前記等方性エッチング工程において形成された穴の面に保護膜を形成する保護膜形成工程と、F系イオンを照射することにより前記穴の底面に形成された保護膜を選択的に除去する底面エッチング工程を繰り返す、3工程からなるボッシュプロセスが記載されている。この非特許文献1に記載のボッシュプロセスでは、底面エッチング工程において底面の保護膜が選択的に除去されるため、等方性エッチング工程では底面側にエッチングされやすくなる。これにより、特許文献1に記載のボッシュプロセスよりも基板面に対する垂直性の高い縦穴構造や柱構造を形成することが可能となる。
【0008】
このような非特許文献1のボッシュプロセスに上記の特許文献1に記載の終点検出方法を適用すると、Si層のエッチングを行う等方性エッチング工程において、終点検出を行うための少量供給工程を設けることになる。そうすると、プロセス全体のエッチング速度の低下を招くため好ましくない。
【0009】
本発明は、等方性エッチング工程と保護膜形成工程と底面エッチング工程の3つの工程を有するプラズマエッチングにおいて、該プラズマエッチング全体のエッチング速度を低下させることなくエッチングの終点を検出することが可能な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明に係るプラズマエッチングの終点検出方法は、
被エッチング層と、前記被エッチング層の下面に設けられた下層膜を有するワークの該被エッチング層に等方性エッチングを行う等方性エッチング工程と、前記等方性エッチング工程においてエッチングされた部分の面に保護膜を形成する保護膜形成工程と、
前記等方性エッチング工程よりも真空度が高い状態で、前記保護膜が形成された面のう
ち底面に形成された保護膜をイオンの照射により選択的に除去する底面エッチング工程と、を有するプラズマエッチングにおいて、
前記底面エッチング工程において前記被エッチング層をエッチングすることにより生成されるエッチング生成物が前記プラズマと反応することにより生じる光の強度を
該底面エッチング工程において測定し、該底面エッチング工程において測定した光の強度の変化から、エッチングが前記下層膜まで到達したか否かを判定する
ことを特徴とする。
【0011】
なお、ここで言う「下」とは便宜上のものであって、重力の向きとしての「下」を意味するものではない。また、下層膜は、被エッチング層とは異なる材料で構成された層である。下層膜には、前記エッチング生成物が被エッチング層より生成されにくい材料を用いるのが望ましい。
【0012】
本発明に係るプラズマエッチングの終点検出方法では、プラズマの発光強度の変化によるエッチングの終点検出を、底面エッチング工程において行うことを特徴とする。底面エッチング工程は、イオンの入射がラジカル等の他の浮遊粒子に阻害されないように、等方性エッチング工程のときよりもSF
6ガスの供給量が少なく且つ真空度が高い状態で行われる。そのため、底面保護膜を除去した後、イオンが被エッチング層をエッチングすることにより生成されるエッチング生成物がプラズマまで到達しやすく、プラズマとエッチング生成物の反応による発光が生じやすい。従って、底面エッチング工程におけるエッチングの速度を低下させなくても、感度良くプラズマの発光強度の変化を観察することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るプラズマエッチングの終点検出方法では、等方性エッチング工程よりも元々SF
6ガスの供給量が少なく且つ真空度が高い底面エッチング工程において、プラズマの発光強度の変化を観察するため、エッチングの終点を精度良く検出することができる。また、終点検出のためにSF
6ガスの供給量を少なくしなくても済むため、プラズマエッチング全体のエッチング速度が低下しない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るプラズマエッチング方法の一実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本実施例のプラズマエッチング方法で使用する誘導結合型反応性イオンエッチング装置(ICP-RIE、製品名:RIE-800iPB。サムコ株式会社製。以下「プラズマエッチング装置」とする)の要部構成図である。
【0016】
図1のプラズマエッチング装置は、プラズマエッチングを行う反応室10を有する。反応室10の底部には、ワーク11を載置する平板状の下部電極(カソード)12が備わっており、該下部電極12はブロッキングコンデンサ16、第1整合器17を介して第1高周波電源18に接続されている。下部電極12には、ワーク11を所定の温度に保つための冷却ガス(Heガス)を流通させる冷却ガス流路(図示なし)が設けられている。また、反応室10の側壁にはエッチングガス又は保護膜形成用の成膜ガスを導入するガス導入口14と、反応室10内を真空ポンプ26により排気するガス排気口15と、反応室10内で発生するプラズマを観察するための、石英ガラス等から成る観察窓27が設けられている。ガス導入口14には、第1ガス供給源22と第2ガス供給源23が、第1マスフローコントローラ(MFC)24と第2MFC25を介してそれぞれ接続されている。第1ガス供給源22からはSF
6ガスがエッチングガスとして、第2ガス供給源23からはC
4F
8ガスが成膜ガスとして、それぞれ反応室10内に導入される。また、観察窓27を挟んで反応室10の外側には、観察窓27から観察されるプラズマ中の所定波長の光の発光強度を検出する光検出部28が設けられている。反応室10の上部には、誘電体窓13を介して渦巻状のコイル19が設けられている。コイル19の片端は第2整合器20を介して第2高周波電源21に接続されており、他端は直接、第2高周波電源21に接続されている。
図1のプラズマエッチング装置はまた、装置の各部を制御する制御部29を有する。制御部29は予め設定された条件と、光検出部28から取得される検出信号に基づいて、第1高周波電源18、第2高周波電源21、真空ポンプ、第1MFC、及び第2MFCを動作させる。これにより、以下で述べる等方性エッチング工程と保護膜形成工程と底面エッチング工程が順次実行される。
【0017】
以下、本実施例のプラズマエッチングの終点検出方法について説明する。本実施例では、等方性エッチング工程と保護膜形成工程と底面エッチング工程の3つの工程を有するボッシュプロセスにより、Si基板に縦穴構造を形成する場合について
図1及び
図2を参照して説明する。なお、反応室10内の下部電極12上に載置されたワーク11には、エッチングを行うSi基板(被エッチング層)30の下面にSiO
2層(下層膜)31が形成されている。また、Si基板30の上面にはマスク32が形成されている(
図2)。
【0018】
制御部29は、まず真空ポンプ26を動作させることにより反応室10内の排気を行い、反応室10の内部圧力を10Paにまで低下させる。続いて、第1MFC24を動作させ、第1ガス供給源22から1000sccmのSF
6ガスを反応室10内に導入する。この際にも真空ポンプ26による排気を続け、反応室10の内部圧力が10Paを維持するように調整する。次に、制御部29は、第2高周波電源21から周波数13.56MHzの高周波電力3000Wをコイル19に投入させる。以上の動作により、反応室10の内部にプラズマが発生する。以後、少なくともSi基板30のエッチングが終了するまでは、第2高周波電源21からコイル19への高周波電力の投入を続ける。
【0019】
[等方性エッチング工程]
本工程では、制御部29は、第1MFC24により第1
ガス供給源22から流量1000sccmのSF
6ガスを反応室10内に導入すると共に、真空ポンプ26により反応室10内の圧力を10Paに調整する。なお、本工程では、第2
ガス供給源23から反応室10へのC
4F
8ガスの導入は行わない。また、第1高周波電源18から下部電極12への高周波電力の投入も行わない。
【0020】
反応室10内に導入されたSF
6ガスはプラズマと反応し、SF
6ガスからラジカル、イオン、電子が生成される。これらの生成物のうち、F系ラジカルが本工程のエッチングに寄与する。F系ラジカルは、マスク32に形成された孔を通してワーク11のSi基板30に到達し、Siと反応する。これにより、Si基板30からSiがエッチングされる。また、この際、エッチング生成物としてSiF
x(x=1〜4)が生成される。F系ラジカルは拡散によって等方的にSi基板30に入射するため、本工程において形成されるエッチング穴33は、上下方向のみならず水平方向にもエッチングされたものとなる(
図2(a))。
【0021】
[保護膜形成工程]
本工程では、制御部29は、第1MFC24により第1
ガス供給源22から反応室10へのSF
6ガスを止め、第2MFC
25により第2
ガス供給源
23から流量400sccmのC
4F
8ガスを反応室10内に導入する。それと共に、真空ポンプ26により反応室10内の圧力を4Paに調整する。なお、本工程においても、第1高周波電源18から下部電極12への高周波電力の投入は行わない。
【0022】
反応室10内に導入されたC
4F
8ガスはプラズマにより分解され、CF系の高分子が重合される。これが等方性エッチング工程で形成されたエッチング穴33に堆積され、エッチング穴33の側壁及び底面に保護膜34を形成する(
図2(b))。
【0023】
[底面エッチング工程]
本工程では、制御部29は、第2MFC25により第2
ガス供給源23から反応室10へのC
4F
8ガスの供給を中止し、第1MFC24により第1
ガス供給源22から流量400sccmのSF
6ガスを反応室10内に導入する。それと共に、真空ポンプ26により反応室10内の圧力を4Paに保つ。また、第1高周波電源18から周波数13.56MHzの高周波電力100Wを下部電極12に投入する。
【0024】
反応室10内に導入されたSF
6ガスはプラズマと反応し、等方性エッチング工程と同様に、SF
6ガスからラジカル、イオン、電子が生成される。この状態で下部電極12に第1高周波電源18から高周波電力が投入されると、プラズマ中の電子は高周波により形成される電場の変動に追従して下部電極12に飛び込む。下部電極12にはブロッキングコンデンサ16が接続されているため、下部電極12に前記電子による負のバイアス電圧(自己バイアス)が印加され、下部電極12に向かってイオンが加速されるようになる。本工程では、このイオンがエッチングに寄与する。
【0025】
イオンは、下部電極12に向かって直線的に加速され、エッチング穴33の底面に入射される。エッチング穴33の底面に形成された保護膜34は、このイオンの入射によりスパッタされ、エッチングされる。本工程ではイオンは方向性を持ってSi基板30に入射するため、保護膜34は底面部分のものが選択的に除去される(
図2(c))。
【0026】
上記3つの工程を繰り返すことにより、ボッシュプロセスではアスペクト比の高いエッチング穴33をSi基板30に形成することができる(
図2(d))。本実施例のプラズマエッチングの終点検出方法は、これら3つの工程のうち、底面エッチング工程において、プラズマとSiF
x(x=1〜4)が反応することにより生じる発光の強度の変化を測定することにより、エッチングの終点を検出するものである。
【0027】
上記のように、底面エッチング工程では、エッチング穴33の底面に形成された保護膜34をイオンの入射により除去する。底面に形成された保護膜34が除去されると、イオンは露出したSiをスパッタする。スパッタされたSiは、イオンと共にSF
6ガスより生成されたF系ラジカルと反応し、等方性エッチング工程と同様に、SiF
x(x=1〜4)が生成される。本実施例のプラズマエッチングの終点検出方法では、底面エッチング工程を開始してから終了するまでの間、SiF
xによる発光が生じる波長の発光強度を光検出部28により取得し、そのデータを制御部29に送る。制御部29は、底面エッチング工程の間、前記発光強度が予め設定された閾値以上になるか否かを判定し続け、一度も閾値以上にならなければ、ワーク11のエッチングを終了する。
【0028】
なお、本実施例のプラズマエッチングの終点検出方法において、底面エッチング工程でエッチングの終点検出を行う理由は以下の通りである。上記の通り、底面エッチング工程では、SF
6ガスの流量及び反応室10内の圧力は、等方性エッチング工程のものよりも低い。これは、イオン以外のラジカル等の他の浮遊粒子の量が多いと、イオンがこれらに衝突し、直線的にエッチング穴33の底面に入射しなくなるためである。そうすると、保護膜
34のエッチングの異方性が低下し、それに伴って、最終的なエッチング穴33のアスペクト比も低下する。そのため、底面エッチング工程では、元々、等方性エッチング工程のときよりもSF
6ガスの供給量が少なく且つ圧力が低い(すなわち真空度が高い)状態で行われる。
【0029】
反応室10内の真空度が高いと、底面の保護膜34を除去した後にイオンがSiをエッチングすることにより生成されるSiF
xがプラズマまで到達しやすくなる。そのため、底面エッチング工程では、プラズマとSiF
xの反応による発光が生じやすい。従って、底面エッチング工程において、プラズマとSiF
xの反応による発光が生じる波長の発光を観察すれば、上記3つの工程のいずれの速度を低下させることなく、精度良くエッチングの終点を検出することが可能となる。
【0030】
図3は、本実施例のプラズマエッチングの終点検出方法において、各底面エッチング工程における最大の発光強度をプロットしたグラフである。このデータは、等方性エッチング工程を4秒間、保護膜形成工程を2秒間、底面エッチング工程を2秒間、順に繰り返す(すなわち1サイクル当たり8秒)ことにより取得したものである。また、ワーク11は、Si基板30が450μm、SiO
2層が1μmのものを用いた。本実施例の各工程における設定条件は、
図4の表にまとめている。表中のICPは第2高周波電源21から投入する高周波電力、BIASは第1高周波電源18から投入する高周波電力に、それぞれ対応している。
【0031】
図3のグラフに示すように、本実施例のプラズマエッチングの終点検出方法では、底面エッチング工程においても、発光強度の変化がはっきりと区別できていることが分かる。このデータでは、エッチングがSiO
2層に到達した後の発光強度に対するエッチングがSiO
2層に到達する前の発光強度比は約1.2となった。従って、例えば終点検出を行うための閾値をエッチングがSiO
2層に到達する前の発光強度の1.1倍程度に設定すれば、精度良くエッチングの終点検出を行うことができる。
【0032】
比較例として、
図4の表に示す条件でプラズマエッチングとその終点検出を行った結果を
図5〜
図8に示す。また、本実施例と比較例1〜4の発光強度比とエッチングがSiO
2層に到達するまでに要した時間を
図9の表に示す。
【0033】
図4の比較例1及び2は、等方性エッチング工程、終点検出用エッチング工程、保護膜形成工程の順にプラズマエッチングを繰り返し行った場合のものである。この比較例1及び2では底面エッチング工程を行っていない。また、
図4の比較例3及び4は、等方性エッチング工程、終点検出用エッチング工程、保護膜形成工程、底面エッチング工程の順にプラズマエッチングを繰り返し行った場合のものである。比較例1〜4では、終点検出用エッチング工程(太線で囲った工程)においてプラズマの発光強度を測定している。また、実施例と比較例1〜4のプラズマエッチングにおけるエッチング到達時間を比較するため、いずれの例においても1サイクル当たりに要する時間は8秒とした。
【0034】
比較例1は、等方性エッチング工程と終点検出用エッチング工程を同じ条件で行った場合のものである。この場合、
図5に示すように発光強度が殆ど変化せず、エッチングがSiO
2層に到達したか否かを検出することができなかった。これは、終点検出用エッチング工程における真空度が低く、エッチング生成物がプラズマまで殆ど到達できなかったためであると考えられる。
【0035】
比較例2は、終点検出用エッチング工程におけるSF
6ガスの供給量を、等方性エッチング工程のときより減らした場合のものである。この比較例2は、特許文献1に記載された、エッチング工程と保護膜形成工程の2工程からなるボッシュプロセスの該エッチング工程に、終点検出用の少量供給工程を設けたものに対応する。この例では、
図6に示すように発光強度の変化が見られた。この例における発光強度比は約1.1であり、本実施例の発光強度比よりも低かった。SiO
2層へのエッチング到達時間は本実施例とほぼ同じであった。
【0036】
比較例3と比較例4は、非特許文献1に記載された、等方性エッチング工程と保護膜形成工程と底面エッチング工程の3工程からなるボッシュプロセスの該等方性エッチング工程に、終点検出用の少量供給工程を設けたものに対応する。比較例3は、終点検出用エッチング工程を、本実施例の底面エッチング工程と同条件(第1高周波電源18から高周波電力を投入している)にした場合のものであり、比較例4は、終点検出用エッチング工程において第1高周波電源18から高周波電力を投入しなかった場合のものである。
【0037】
比較例3及び4においても、
図7及び図8に示すように発光強度の変化が見られたが、発光強度比は約1.1であり、本実施例の発光強度比よりも低かった。また、SiO
2層へのエッチング到達時間は本実施例よりも比較例3では230秒、比較例4では240秒長くなった
(図9)。
【0038】
比較例3及び4でSiO
2層へのエッチング到達時間が本実施例よりも長くかかったのは、Siのエッチング工程の一部を発光観測に充てるためガス流量を少なくしたためである。また、本実施例の発光強度比が、終点検出時の条件が同じ比較例3よりも高かったのは、本実施例のプラズマエッチングの終点検出方法では、終点検出を行う底面エッチング工程の前に、該底面エッチング工程と同じくガス流量と真空度の低い保護膜形成工程があるため、エッチング生成物がプラズマに到達するのを阻害する浮遊粒子の量が、比較例3よりも少なくなっているためであると考えられる。