(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記閉塞板上に設けられる前記断熱材と、それ以外の部分の前記機械室天板上に設けられる前記断熱材とを分離し、前記閉塞板上の断熱材の厚さ寸法を、それ以外の前記断熱材よりも、前記閉塞板の上壁上面の高さと前記機械室天板上面の高さの差分だけ薄くしたことを特徴とする請求項2に記載の自動販売機。
前記切欠部は前記機械室天板の後端より手前で終了しており、前記閉塞板上の断熱材は前記機械室天板の後端まで延在し、当該断熱材と前記切欠部後側の部分の前記機械室天板上面との間には、パッキンが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の自動販売機。
本体内の上部に商品を収納する商品収納部が構成され、下部に冷却ユニットを構成する圧縮機及び主放熱器が設けられる機械室が構成されると共に、前記商品収納部が、断熱性の収納部仕切板により冷却及び加熱の切り換えが可能な冷温切換室と冷却専用の冷却専用室とに仕切られ、前記商品収納部と前記機械室が断熱性の機械室仕切板にて仕切られており、前記本体の前面を開閉する外扉と、前記商品収納部の前面を開閉する内扉と、前記冷温切換室と前記冷却専用室にそれぞれ設けられて商品を収納する商品収納コラムと、前記冷温切換室に設けられ、前記冷却ユニットを構成する切換室用放熱器及び切換室用冷却器と、前記冷却専用室に設けられ、前記冷却ユニットを構成する専用室用冷却器及び吸熱用熱交換器とを備え、前記各冷却器の冷媒下流側に前記吸熱用熱交換器が設けられ、各冷却器から流出した冷媒に吸熱させる自動販売機において、既存の商品収納コラム、外扉及び内扉のうちの少なくとも一つを利用しながら、既存の圧縮機よりも高さ寸法が高い圧縮機を機械室に設けるに当たり、
前記冷却専用室の下方に対応する部分の前記機械室仕切板の断熱厚みを他の部分よりも薄くすることにより、当該機械室仕切板の下面が他の部分よりも高い圧縮機逃げ部を形成し、該圧縮機逃げ部の下方に対応させて前記高さ寸法が高い圧縮機を設けることを特徴とする自動販売機における部材再利用方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では地球環境問題の解決に寄与するために、この種自動販売機においても冷温切換室を電気ヒータのみでは無く冷却ユニットの高温冷媒を利用して加熱するヒートポンプ化や、冷却ユニットの冷媒を自然冷媒化する省エネ対策が施されるようになって来ている。また、そのような省エネ対策が実施されていない冷却ユニットが設けられた既存の自動販売機を、省エネ対策が施された新しい冷却ユニットの自動販売機に変える際にも、既存の自動販売機を全て処分してしまうのでは無く、本体は新たに製造するものの、それに取り付ける商品収納コラムや外扉、内扉は既存のものを再利用しようとする動きも活発化している。
【0007】
このような部材の再利用は自動販売機のリニューアルと称され、資源を有効利用することによる自然環境問題の解消に寄与するものであるが、省エネ対策が施された冷却ユニットの圧縮機は、既存の圧縮機よりも高さ寸法が高くなる。一方で、既存の圧縮機を設置する機械室の高さは低く設計されているため、商品収納部の上下寸法も大きく、その分商品収納コラムの上下寸法も大きい。また、本体の全高は設置現場の制約から拡大することができないため、係る上下寸法が大きい既存の商品収納コラムを取り付けることができる商品収納部を本体内上部に構成した場合、下部の機械室の高さが省エネ対策された冷却ユニットの圧縮機を設けるには、その高さ寸法が不足してしまうという問題があった。ここで、既存の内扉や外扉も既存の機械室の高さ寸法に合わせて設計されているので、それらを再利用する場合には同様の問題が生じる。
【0008】
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するためになされたものであり、既存の商品収納コラムや外扉、内扉を再利用でき、且つ、商品収納部の商品の冷却にも支障を来さない自動販売機、及び、それにおける部材再利用方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明の自動販売機は、本体内の上部に商品を収納する商品収納部が構成され、下部に冷却ユニットを構成する圧縮機及び主放熱器が設けられる機械室が構成されたものであって、商品収納部は、断熱性の収納部仕切板により冷却及び加熱の切り換えが可能な冷温切換室と冷却専用の冷却専用室とに仕切られ、商品収納部と機械室とは断熱性の機械室仕切板にて仕切られており、本体の前面を開閉する外扉と、商品収納部の前面を開閉する内扉と、冷温切換室と冷却専用室にそれぞれ設けられて商品を収納する商品収納コラムと、冷温切換室に設けられ、冷却ユニットを構成する切換室用放熱器及び切換室用冷却器と、冷却専用室に設けられ、冷却ユニットを構成する専用室用冷却器及び吸熱用熱交換器とを備え、各冷却器の冷媒下流側に吸熱用熱交換器が設けられ、各冷却器から流出した冷媒に吸熱させると共に、圧縮機は冷却専用室の下方に対応して設けられ、この圧縮機の上方に対応する部分の機械室仕切板の下面は他の部分よりも高い圧縮機逃げ部とされ、この圧縮機逃げ部の断熱厚みは他の部分よりも薄くされていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明の自動販売機は、上記発明において機械室仕切板は、本体に固定された鋼板製の機械室天板と、この機械室天板上に設けられた断熱材とから成り、機械室天板は、前端にて立ち上がる起立フランジを有し、断熱材はこの起立フランジの後側に収納設置されると共に、圧縮機の上方に対応する機械室天板には、起立フランジの下部から後方に連続して切り欠かれた切欠部が形成され、この切欠部はその前端の高さで後退する上壁を有した閉塞板にて閉塞され、この閉塞板下側に圧縮機逃げ部が構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明の自動販売機は、上記発明において切欠部は機械室天板の後端より手前で終了していることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明の自動販売機は、請求項2の発明において閉塞板上に設けられる断熱材と、それ以外の部分の機械室天板上に設けられる断熱材とを分離し、閉塞板上の断熱材の厚さ寸法を、それ以外の断熱材よりも、閉塞板の上壁上面の高さと機械室天板上面の高さの差分だけ薄くしたことを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明の自動販売機は、上記発明において切欠部は機械室天板の後端より手前で終了しており、閉塞板上の断熱材は機械室天板の後端まで延在し、当該断熱材と切欠部後側の部分の機械室天板上面との間には、パッキンが設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明の自動販売機は、上記各発明において圧縮機逃げ部の幅は、圧縮機の直径よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明の自動販売機は、上記各発明において圧縮機逃げ部の側面は、下方が拡開する如く傾斜していることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明の自動販売機の部材再利用方法は、本体内の上部に商品を収納する商品収納部が構成され、下部に冷却ユニットを構成する圧縮機及び主放熱器が設けられる機械室が構成されると共に、商品収納部が、断熱性の収納部仕切板により冷却及び加熱の切り換えが可能な冷温切換室と冷却専用の冷却専用室とに仕切られ、商品収納部と機械室が断熱性の機械室仕切板にて仕切られており、本体の前面を開閉する外扉と、商品収納部の前面を開閉する内扉と、冷温切換室と冷却専用室にそれぞれ設けられて商品を収納する商品収納コラムと、冷温切換室に設けられ、冷却ユニットを構成する切換室用放熱器及び切換室用冷却器と、冷却専用室に設けられ、冷却ユニットを構成する専用室用冷却器及び吸熱用熱交換器とを備え、各冷却器の冷媒下流側に吸熱用熱交換器が設けられ、各冷却器から流出した冷媒に吸熱させる自動販売機において、既存の商品収納コラム、外扉及び内扉のうちの少なくとも一つを利用しながら、既存の圧縮機よりも高さ寸法が高い圧縮機を機械室に設けるに当たり、冷却専用室の下方に対応する部分の機械室仕切板の断熱厚みを他の部分よりも薄くすることにより、当該機械室仕切板の下面が他の部分よりも高い圧縮機逃げ部を形成し、この圧縮機逃げ部の下方に対応させて高さ寸法が高い圧縮機を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明では、本体内の上部に商品を収納する商品収納部が構成され、下部に冷却ユニットを構成する圧縮機及び主放熱器が設けられる機械室が構成された自動販売機において、商品収納部は、断熱性の収納部仕切板により冷却及び加熱の切り換えが可能な冷温切換室と冷却専用の冷却専用室とに仕切られ、商品収納部と機械室とは断熱性の機械室仕切板にて仕切られており、本体の前面を開閉する外扉と、商品収納部の前面を開閉する内扉と、冷温切換室と冷却専用室にそれぞれ設けられて商品を収納する商品収納コラムと、冷温切換室に設けられ、冷却ユニットを構成する切換室用放熱器及び切換室用冷却器と、冷却専用室に設けられ、冷却ユニットを構成する専用室用冷却器及び吸熱用熱交換器とを備え、各冷却器の冷媒下流側に吸熱用熱交換器が設けられ、各冷却器から流出した冷媒に吸熱させると共に、圧縮機は冷却専用室の下方に対応して設けられ、この圧縮機の上方に対応する部分の機械室仕切板の下面は他の部分よりも高い圧縮機逃げ部とされ、この圧縮機逃げ部の断熱厚みは他の部分よりも薄くされている。
【0018】
また、請求項8の発明の自動販売機の部材再利用方法では、本体内の上部に商品を収納する商品収納部が構成され、下部に冷却ユニットを構成する圧縮機及び主放熱器が設けられる機械室が構成されると共に、商品収納部が、断熱性の収納部仕切板により冷却及び加熱の切り換えが可能な冷温切換室と冷却専用の冷却専用室とに仕切られ、商品収納部と機械室が断熱性の機械室仕切板にて仕切られており、本体の前面を開閉する外扉と、商品収納部の前面を開閉する内扉と、冷温切換室と冷却専用室にそれぞれ設けられて商品を収納する商品収納コラムと、冷温切換室に設けられ、冷却ユニットを構成する切換室用放熱器及び切換室用冷却器と、冷却専用室に設けられ、冷却ユニットを構成する専用室用冷却器及び吸熱用熱交換器とを備え、各冷却器の冷媒下流側に吸熱用熱交換器が設けられ、各冷却器から流出した冷媒に吸熱させる自動販売機において、既存の商品収納コラム、外扉及び内扉のうちの少なくとも一つを利用しながら、既存の圧縮機よりも高さ寸法が高い圧縮機を機械室に設けるに当たり、冷却専用室の下方に対応する部分の機械室仕切板の断熱厚みを他の部分よりも薄くすることにより、当該機械室仕切板の下面が他の部分よりも高い圧縮機逃げ部を形成し、この圧縮機逃げ部の下方に対応させて高さ寸法が高い圧縮機を設けるようにしているので、これら請求項1及び請求項8の発明によれば、高さが低い既存の設計の機械室であっても、圧縮機逃げ部を利用して、省エネ対策が施された高さ寸法の高い圧縮機を設置することができるようになる。これにより、既存の商品収納コラムや外扉、内扉を支障無く再利用することが可能となる。
【0019】
特に、機械室仕切板の下面を他の部分より高くして圧縮機逃げ部を形成するために、その部分の断熱厚みを薄くしているので、圧縮機逃げ部を形成するために商品収納部が狭くなることも無く、既存の商品収納コラムの設置に問題が生じることも無くなる。
【0020】
ここで、冷温切換室の下方に対応する部分の機械室仕切板の断熱厚みを薄くして圧縮機逃げ部を形成した場合、圧縮機からの熱影響で冷温切換室の温度が上昇し、運転率が上がるようになる。そのため、切換室用冷却器の冷媒下流側にある吸熱用熱交換器に流れる冷媒量が増大し、冷却専用室の温度が必要以上に低下してしまう問題が発生するが、本発明では冷却専用室の下方に対応する部分の機械室仕切板の断熱厚みを薄くすることで圧縮機逃げ部を形成しているので、係る問題は発生しない。また、冷却専用室は通常他の室よりも容量が大きくなるので、圧縮機からの熱影響による温度上昇も、冷温切換室の場合に比して抑制されることが期待できるものである。
【0021】
また、請求項2の発明によれば、請求項1の発明に加えて機械室仕切板は、本体に固定された鋼板製の機械室天板と、この機械室天板上に設けられた断熱材とから成り、機械室天板は、前端にて立ち上がる起立フランジを有し、断熱材はこの起立フランジの後側に収納設置されると共に、圧縮機の上方に対応する機械室天板には、起立フランジの下部から後方に連続して切り欠かれた切欠部が形成され、この切欠部はその前端の高さで後退する上壁を有した閉塞板にて閉塞され、この閉塞板下側に圧縮機逃げ部が構成されるようにしているので、圧縮機逃げ部は機械室の前面にも開放するかたちとなる。従って、圧縮機を機械室の前方から容易に設置することが可能となる。
【0022】
また、請求項3の発明によれば上記発明に加えて、切欠部は機械室天板の後端より手前で終了しているので、切欠部の形成に伴う機械室天板の強度低下を最小限に抑えることができるようになる。
【0023】
請求項4の発明によれば、請求項2の発明に加えて閉塞板上に設けられる断熱材と、それ以外の部分の機械室天板上に設けられる断熱材とを分離し、閉塞板上の断熱材の厚さ寸法を、それ以外の断熱材よりも、閉塞板の上壁上面の高さと機械室天板上面の高さの差分だけ薄くしたので、圧縮機逃げ部に対応する機械室仕切板の断熱厚みの薄肉化を簡単な構成で達成することができるようになる。
【0024】
この場合、請求項5の発明の如く切欠部を機械室天板の後端より手前で終了させ、閉塞板上の断熱材は機械室天板の後端まで延在するようにすれば、冷却専用室の容積が異なる複数の機種において、閉塞板上の断熱材と冷温切換室側の機械室天板上の断熱材を共用することが可能となる。更に、閉塞板上の断熱材と切欠部後側の部分の機械室天板上面との間には、パッキンを設けるようにすれば、比較的安価なパッキンで隙間を埋めることができ、コストの削減を図ることができるようになる。そして、この場合も切欠部は機械室天板の後端より手前で終了しているので、切欠部の形成に伴う機械室天板の強度低下を最小限に抑えることができるようになる。
【0025】
また、請求項6の発明の如く圧縮機逃げ部の幅を、圧縮機の直径よりも小さくすれば、通常湾曲している圧縮機上部の形状を利用して、必要最小限の幅の圧縮機逃げ部にて圧縮機を設置することが可能となり、機械室仕切板の断熱性能の低下を最小限に抑えることが可能となる。
【0026】
また、請求項7の発明の如く圧縮機逃げ部の側面を、下方が拡開する如く傾斜させれば、圧縮機と圧縮機逃げ部間の空気の流通を円滑化して、圧縮機の放熱性を改善し、冷却ユニットの性能向上と冷却専用室への熱影響の低減を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1及び
図2において、実施例の自動販売機1は、鋼板製の外面材2Aとその内側に設けられた断熱材2Bから構成された前面が開口する断熱箱体である本体2と、この本体2の前面を開閉自在に閉塞するよう一側(実施例では向かって左側)が本体2に回動自在に枢支された外扉3を備えている。
【0029】
この外扉3の前面上部には商品サンプル室4が構成されており、この商品サンプル室4内に陳列された複数の各商品サンプルに対応して複数の商品選択スイッチ6が配置されている。また、商品サンプル室4の下側の外扉3前面には、広告パネル5が構成されており、この広告パネル5の下側の外扉3前面下部には商品取出口7が構成されている。
【0030】
更に、外扉3前面の向かって右側(非枢支側)中央部には化粧パネル8が取り付けられており、この化粧パネル8内に位置して硬貨投入口9、返却レバー11が設けられている。また、この化粧パネル8の向かって左側の外扉3前面には、金額表示器12が取り付けられている。更に、この金額表示器12の下側の外扉3前面には紙幣識別装置(ビルバリ)14が取り付けられており、商品取出口7の向かって右側の外扉3前面には硬貨返却口13が構成されている。
【0031】
一方、本体2内の上部には上面、左右面及び後面が前記断熱材で囲繞され、前面が開口した商品収納部16が構成されている。この商品収納部16は断熱性の収納部仕切板17によって左右方向三室に仕切られており、向かって右側から二つの冷温切換室15が形成され、向かって左側に冷却専用室20が形成されている。尚、この冷却専用室20は各冷温切換室15よりも容積が大きい。これは冷却して販売する商品のほうが、加熱して販売する商品よりも一般的に多いからである。この仕切板17で仕切られた冷温切換室15及び冷却専用室20には、販売する商品が蛇行状の商品通路に収納されるサーペンタイン式の商品収納コラム18が前後方向及び左右方向にそれぞれ設けられている。
【0032】
商品収納部16の前面には、それぞれ断熱性を有し、商品収納部16の前面開口の上部側を開閉するための上部側内扉21と、商品収納部16の前面開口の下部側を開閉するための下部側内扉22が設けられている。この下部側内扉22は本体2に回動自在に枢支されている。
【0033】
また、下部側内扉22の下部には商品収納部16の各冷温切換室15及び冷却専用室20側と外扉3側とを連通する商品搬出口23が左右方向に並設されている。各商品搬出口23には開閉自在の搬出扉24が上縁を中心して回動自在に取り付けられており、前方に案内される商品に押されて回転し、商品搬出口23を開放して商品を商品取出口7に搬出する構成とされている。
【0034】
他方、上部側内扉21は外扉3の商品サンプル室4の後側に対応して当該外扉3に取り付けられており、外扉3を開閉することにより、上部側内扉21によって商品収納部16の前面開口の上部側が開閉される構成とされている。更に、上部側内扉21は外扉3を開放した状態で、当該外扉3から独立して後方に開閉自在とされ、上部側内扉21を外扉3から後方に開いた状態で、商品サンプル室4内に陳列される商品サンプルを交換できるように構成されている。
【0035】
また、本体2内の下部には後述する断熱性の機械室仕切板25(
図1、
図2では示していない)により前方に開口した機械室26が形成されている。尚、この機械室26の前面は図示しないパネルにより開閉自在に閉塞される。また、機械室仕切板25の後述する断熱材が商品収納部16の下面を断熱する。
【0036】
尚、上記外扉3、上部側内扉21及び下部側内扉22、各商品収納コラム18は、省エネ対策が施されていない冷却ユニットが搭載されていた既存の自動販売機に取り付けられていた部材であり、これらを再利用して省エネ対策が施された後述する冷却ユニット53が搭載された本発明の自動販売機1を構成するものである。但し、本体2は流用する上記既存の各部材の寸法に合わせて新たに製造したものである。従って、機械室26の高さ寸法は省エネ対策が施されていない冷却ユニット用の低いものとされている。
【0037】
次に、
図3及び
図5において、向かって右側の冷温切換室15には、当該冷温切換室15に収納された商品を冷却するための切換室用冷却器36と、商品を加熱するための切換室用放熱器37と、これらと熱交換した空気を当該冷温切換室15内に循環するための送風機38と、切換室用放熱器37で商品を加熱する際に不足する熱量を補うための電熱ヒータ39が設けられている。
【0038】
その左側の冷温切換室15にも、当該冷温切換室15に収納された商品を冷却するための切換室用冷却器41と、商品を加熱するための切換室用放熱器42と、これらと熱交換した空気を当該冷温切換室15内に循環するための送風機43と、切換室用放熱器42で商品を加熱する際に不足する熱量を補うための電熱ヒータ44が設けられている。
【0039】
一方、最も左側の冷却専用室20には、当該冷却専用室20に収納された商品を冷却するための専用室用冷却器46と、前記各切換室用冷却器36、41、及び、専用室用冷却器46から流出する冷媒に更に吸熱をさせるための吸熱用熱交換器47と、これらと熱交換した空気を当該冷却専用室20内に循環するための送風機48が設けられている。
【0040】
他方、機械室26には外部との間で空気が流通するように図示しない吸気口や排気口が形成されている。また、機械室26内には圧縮機49と、主放熱器51と、これらを空冷するための機械室用送風機52が設けられている。尚、圧縮機49の上部は湾曲している。また、実施例の圧縮機49は低段側圧縮部49Aと高段側圧縮部49Bを有する二段圧縮機であり、低段側圧縮部49Aの吐出側は高段側圧縮部49Bの吸込側に接続され、低段側圧縮部49Aで圧縮された冷媒を高段側圧縮部49Bに吸い込み、更に圧縮して吐出するものであり、冷媒としては自然冷媒である二酸化炭素が封入されている。
【0041】
そして、これら圧縮機49、主放熱器51、各冷却器36、41、46、吸熱用熱交換器47、及び、切換室用放熱器37、42は冷却ユニット53の冷媒回路の一部を構成する。冷却ユニット53はヒートポンプ機能の追加と自然冷媒化の省エネ化が施されたものであり、上記のほかに吸熱用熱交換器47から流出した冷媒と主放熱器51から流出する冷媒とを熱交換させるための内部熱交換器55と、内部熱交換器55から流出して圧縮機49に吸い込まれる冷媒と各切換室用放熱器37、42から流出した冷媒とを熱交換させるための内部熱交換器54と、冷媒を減圧するための膨張弁56A、56B、56Cと、冷媒の流路を開閉するための電磁弁57A、57B、57C、57D、57E、57Fを有している。
【0042】
次に、この冷媒回路について説明するが、前述した如く冷媒としては二酸化炭素を使用するため、その高圧側は超臨界状態となる。即ち、圧縮機49の高段側圧縮部49Bの吐出側は分岐され、それぞれ電磁弁57A、57Bを介して各切換室用放熱器37、42の入口に接続されている。各切換室用放熱器37、42の出口は合流した後、内部熱交換器54を経て主放熱器51の入口に接続されている。また、圧縮機49の吐出側は更に分岐し、電磁弁57Cを介して主放熱器51の入口に接続されている。
【0043】
主放熱器51の出口は内部熱交換器55を経た後分岐し、それぞれ電磁弁57D及び膨張弁56A、電磁弁57E及び膨張弁56B、電磁弁57F及び電磁弁56Cを介してそれぞれ切換室用冷却器36、41、専用室用冷却器46の入口に接続されている。各冷却器36、41、46の出口は合流した後、吸熱用熱交換器47の入口に接続されており、これにより、吸熱用熱交換器47は各冷却器36、41、46の冷媒下流側に位置する。そして、この吸熱用熱交換器47の出口は内部熱交換器55及び54を順次経た後、圧縮機49の低段側圧縮部49Aの吸込側に接続されている。
【0044】
各室15、15、16にはそれらの温度を独立して検出する図示しない温度センサが設けられ、圧縮機49や電熱ヒータ39、44、各電磁弁57A〜57F、各膨張弁56A〜56C、各送風機38、43、48、52は、これら温度センサの出力と各種設定に基づいてコントローラ58により制御される。このコントローラ58は汎用のマイクロコンピュータから成り、実際は機械室26の電装箱内に設けられる(
図3)。
【0045】
即ち、各冷温切換室15と冷却専用室20を全て冷却する場合、コントローラ58は電磁弁57A、57Bを閉じ、電磁弁57C〜57Fを開く。これにより、圧縮機49から吐出された高温高圧の冷媒は電磁弁57Cを経て主放熱器51に至り、そこで放熱する。その後冷媒は内部熱交換器55を経て分流され、電磁弁57D〜57Fを経て膨張弁56A〜56Cによりそれぞれ減圧された後、切換室用冷却器36、41、専用室用冷却器46に流入してそれぞれ蒸発する。このときの吸熱作用で各冷温切換室15、15及び冷却専用室20は冷却される。各冷却器36、41、46から出た冷媒は合流して次に吸熱用熱交換器47に流入し、そこで更に蒸発して吸熱作用を発揮する。
【0046】
これにより、冷却負荷が小さい場合でも冷却運転や後述するヒートポンプ運転の効率向上が図れると共に、冷却専用室20の冷却に寄与するため、当該冷却専用室20の運転率の低下による省エネ化も図ることできる。この吸熱用熱交換器47から出た冷媒は内部熱交換器55、54を経て主放熱器51から出た冷媒を過冷却し、或いは、後述するように各切換室用放熱器37、42から出た冷媒を冷却した後、圧縮機49に吸い込まれる。また、コントローラ58は各室15、20の温度センサの出力に基づいて電磁弁57D〜57Fを開閉することで、各室15、20の温度を設定温度に冷却する。
【0047】
次に、各冷温切換室15を加熱する場合は、コントローラ58は電磁弁57A、57B、57Fを開き、電磁弁57C、57D、57Eは閉じる。これにより、圧縮機49から吐出された高温高圧の冷媒は分流し、電磁弁57A、57Bを経て各切換室用放熱器37、42にそれぞれ至り、そこで放熱することで各冷温切換室15を加熱する(ヒートポンプ運転)。各切換室用放熱器37、42を出た冷媒は内部熱交換器54を経て主放熱器51に流入し、そこで更に放熱する。主放熱器51を経た冷媒は内部熱交換器55を経た後、電磁弁57Fを経て膨張弁56Cにより減圧された後、専用室用冷却器46に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で冷却専用室20は冷却される。専用室用冷却器46から出た冷媒は次に吸熱用熱交換器47に流入し、前述同様にそこで更に蒸発して吸熱作用を発揮する。
【0048】
この吸熱用熱交換器47から出た冷媒は内部熱交換器55、54を経て主放熱器51から出た冷媒を過冷却し、或いは、各切換室用放熱器37、42から出た冷媒を冷却した後、圧縮機49に吸い込まれる。各切換室用放熱器37、42による加熱が不足する場合、コントローラ58は室15の温度センサの出力に基づいて電熱ヒータ39、44をそれぞれ発熱させ、その不足分を補う。また、この場合は吸熱用熱交換器47における冷媒の吸熱量が増加するので、圧縮機49の起動時に吐出する冷媒温度を短時間で上昇させると共に、各切換室用放熱器37、42の加熱能力も向上させることができ、電熱ヒータ39、44の運転率も下げられることになる。
【0049】
以上の構成で、次に
図3と
図4、
図6〜
図13を用いて本発明の自動販売機1の機械室26内の圧縮機49の配置と機械室仕切板25の構造について詳細に説明する。前述した如く本発明の自動販売機1は、既存の自動販売機の外扉3、上部側内扉21及び下部側内扉22、各商品収納コラム18を再利用するため、本体2下部の機械室26の高さ寸法は省エネ対策が施されていない冷却ユニット用の低い値となる。一方、冷却ユニット53の圧縮機49は高さ寸法が省エネ対策が施されていない既存の圧縮機よりも高くなるため、そのままでは機械室26の高さ寸法が不足し、設置することができない。
【0050】
そこで、本発明では圧縮機49を
図3の如く冷却専用室20の下方に対応して設けると共に、当該圧縮機49の上方に対応する部分の機械室仕切板25の下面に、圧縮機逃げ部61を形成する。この圧縮機逃げ部61において、機械室仕切板25の下面は他の部分の下面よりも所定寸法高くなる。尚、
図3において62、63は機械室26の左右において、本体2のユニットベース64と機械室仕切板25間に取り付けられた補強材である。
【0051】
次に、機械室仕切板25の構造について詳細に説明する。機械室仕切板25は鋼板製の機械室天板66と、この機械室天板66上に配置された断熱材67〜69と、パッキン71と、機械室天板66に形成された切欠部72を塞ぐ鋼板製の閉塞板73から構成されている。機械室天板66の前端には略垂直に立ち上がった後、前方に更に略直角に折曲された起立フランジ66Aが折曲形成されており、この起立フランジ66Aを除く機械室天板66の周囲は本体2の外面材2Aに溶接固定されている。
【0052】
前述した如く圧縮機49を冷却専用室20の下方に対応する位置の機械室26内に設置するので、切欠部72はこの圧縮機49の上方に対応する位置(冷却専用室20の下方に対応する位置)の機械室天板66に形成する。この場合、切欠部72は機械室天板66を圧縮機49の直径よりも小さい所定の幅で起立フランジ66Aの下部から後方に連続して切り欠くことにより形成されており、その後端は機械室天板66の後端より手前で終了している。
【0053】
そして、この切欠部72を下方から塞ぐかたちで閉塞板73が機械室天板66に宛がわれ、切欠部72内に挿入された状態で、その周囲のフランジ73Bが機械室天板66の下面及び起立フランジ66Aの前面に溶接されて閉塞板73は機械室天板66に固定される。この閉塞板73は機械室天板66に固定された状態で、切欠部72の前端と同じ高さとなる上壁73Aを有し、この上壁73Aがそのままの高さで後方に延在し、左右及び後側壁73Cが略垂直に降下したかたちとされている。そして、この閉塞板73の下側に圧縮機逃げ部61が構成される。従って、圧縮機逃げ部61は前方及び下方に開放し、当該圧縮機逃げ部61の天井となる閉塞板73の上壁73Aの下面(機械室仕切板25の下面)が、他の機械室天板66の下面(機械室仕切板25の下面)よりも、切欠部72前端の高さ−閉塞板73の厚さ分だけ高くなる。また、この圧縮機逃げ部61の幅は圧縮機49の直径よりも小さい(
図4)。
【0054】
前記断熱材67〜69はそれぞれ分離した断熱板材であり、断熱材67が二つの冷温切換室15の下方に対応して機械室天板66上に設けられ、断熱材68が冷却専用室20の下方における閉塞板73上に設けられ、断熱材69がそれ以外の部分の機械室天板66上に設けられ、冷却専用室20の下方に対応する。各断熱材67〜69は起立フランジ66Aの後側に収納設置され、その後部は機械室天板66の後端まで延在している。従って、閉塞板73上の断熱材68と切欠部72の後側の部分の機械室天板66との間には閉塞板73の上壁73A上面と機械室天板66上面の高さの差分の隙間が発生するが、この隙間にパッキン71が設けられて埋められる(
図9)。
【0055】
また、断熱材68の厚さ寸法は、断熱材67、69の厚さ寸法よりも、閉塞板73の上壁73A上面の高さと機械室天板66上面の高さの差分だけ薄く設定されており、これにより、機械室天板66及び閉塞板73上に設置された状態で、各断熱材67、68、69の上面は略面一となる。これにより、圧縮機逃げ部61の部分だけ機械室仕切板25の断熱厚みは他の部分よりも薄くなるが、断熱材67〜69の上面の高さは面一で、断熱材68だけ上側に出っ張ることもないので、冷却専用室20を狭めることもなくなる。
【0056】
そして、圧縮機49の上部はこの圧縮機逃げ部61内に
図3に示すように進入するので、省エネ対策が施されていない圧縮機より高さ寸法が高い圧縮機49であっても、支障無く機械室26内に設置することができる。このとき、圧縮機49の上部は湾曲しているので、
図4のようにその直径より狭い幅の圧縮機逃げ部61であっても、圧縮機49が閉塞板73に当接することはない。
【0057】
このように、本発明では既存の商品収納コラム18、外扉3及び上部側内扉21、下部側内扉22を利用しながら、既存の圧縮機よりも高さ寸法が高い圧縮機49を機械室26に設けるに当たり、冷却専用室20の下方に対応する部分の機械室仕切板25の断熱厚みを他の部分よりも薄くすることにより、当該機械室仕切板25の下面が他の部分よりも高い圧縮機逃げ部61を形成し、この圧縮機逃げ部61の下方に対応させて高さ寸法が高い圧縮機49を設けるようにしたので、高さが低い既存の設計の機械室26であっても、圧縮機逃げ部61を利用して、省エネ対策が施された高さ寸法の高い圧縮機49を設置することができるようになる。これにより、既存の商品収納コラム18や外扉3、上部側内扉21、下部側内扉22を支障無く再利用することが可能となる。
【0058】
特に、機械室仕切板25の下面を他の部分より高くして圧縮機逃げ部61を形成するために、その部分の断熱厚みを薄くしているので、圧縮機逃げ部61を形成するために冷却専用室20部分の商品収納部16が狭くなることも無く、既存の商品収納コラム18の設置に問題が生じることも無くなる。
【0059】
尚、冷温切換室15の下方に対応する部分の機械室仕切板25の断熱厚みを薄くして圧縮機逃げ部61を形成した場合、圧縮機49からの熱影響で冷温切換室15の温度が上昇し、運転率が上がってしまう。冷温切換室15の運転率が上がると、切換室用冷却器36、41の冷媒下流側にある吸熱用熱交換器47に流れる冷媒量が増大するため、その吸熱量も増え、冷却専用室20の温度が必要以上に低下してしまうが、本発明のように冷却専用室20の下方に対応する部分の機械室仕切板25の断熱厚みを薄くすることで圧縮機逃げ部61を形成すれば、係る問題は発生しない。また、冷却専用室20は通常の場合、冷温切換室15よりも容量が大きくなるので、圧縮機49からの熱影響による温度上昇も、冷温切換室15の場合に比して抑制されると考えられる。
【0060】
また、機械室仕切板25は、本体2の外面材2Aに固定された鋼板製の機械室天板66と、この機械室天板66上に設けられた断熱材67〜69とから成り、機械室天板66は、前端にて立ち上がる起立フランジ66Aを有し、断熱材67〜69はこの起立フランジ66Aの後側に収納設置されると共に、圧縮機49の上方に対応する機械室天板66には、起立フランジ66Aの下部から後方に連続して切り欠かれた切欠部72が形成され、この切欠部72はその前端の高さで後退する上壁73Aを有した閉塞板73にて閉塞され、この閉塞板73下側に圧縮機逃げ部61が構成されるので、圧縮機逃げ部61は機械室26の前面にも開放するかたちとなる。従って、圧縮機49を機械室26の前方から容易に設置することが可能となる。
【0061】
また、切欠部72は機械室天板66の後端より手前で終了しているので、切欠部72の形成に伴う機械室天板66の強度低下も最小限に抑えることができるようになる。
【0062】
更に、閉塞板73上に設けられる断熱材68と、それ以外の冷却専用室20部分の下方に対応する機械室天板66上に設けられる断熱材69と、冷温切換室15の下方に対応する機械室天板66上に設けられる断熱材67とを分離し、閉塞板73上の断熱材68の厚さ寸法を、それ以外の断熱材67、69よりも、閉塞板73の上壁73A上面の高さと機械室天板66上面の高さの差分だけ薄くしたので、圧縮機逃げ部61に対応する機械室仕切板25の断熱厚みの薄肉化を簡単な構成で達成することができるようになる。
【0063】
また、断熱材67〜69を分離しているので、冷却専用室20の容積が異なる複数の機種に対して、閉塞板73上の断熱材68と冷温切換室15側の機械室天板66上の断熱材67を共用し、冷却専用室20側の機械室天板66上の断熱材69のみ、幅を変更すれば済むようになる。
【0064】
この場合、閉塞板73上の断熱材68は機械室天板66の後端まで延在しており、断熱材68と切欠部72後側の部分の機械室天板66上面との間にパッキン71を設けているので、比較的安価なパッキンで隙間を埋めることができ、コストの削減を図ることができるようになる。
【0065】
また、圧縮機逃げ部61の幅は圧縮機49の直径よりも小さくされているので、湾曲している圧縮機49上部の形状を利用して、必要最小限の幅の圧縮機逃げ部61にて圧縮機49を設置することが可能となり、機械室仕切板25の断熱性能の低下を最小限に抑えることが可能となる。
【0066】
尚、上記実施例では閉塞板73の側壁73Cは略垂直に降下するかたちとしたが、
図14に示すように側壁73Cを、下方に拡開するように傾斜させてもよい。このような形状の閉塞板73とすることで、圧縮機逃げ部61の側面は下方が拡開する如く傾斜することになるので、圧縮機49と圧縮機逃げ部61間の空気の流通が円滑化され、圧縮機49の放熱性を改善し、冷却ユニット53の性能向上と冷却専用室20への熱影響の低減を図ることが可能となる。
【0067】
また、上記実施例では商品収納コラム18と外扉3、上部側内扉21、下部側内扉22の全てを再利用するようにしたが、それに限らず、それらの何れか一つ若しくは複数を再利用することができれば、省資源化に寄与することが可能となることは云うまでもない。