(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の変化が影響して、地震,暴風等の異常な自然現象による災害が多く発生している。このような異常な自然現象や人為的原因によって生じる災害や断水時により、被災地では飲料水や生活用水が不足し、生活に被害を与えている。このような異常事態に備えて、飲料水等の液体を貯留した液体用コンテナが用いられている。
【0003】
従来のこの種の液体用コンテナには、上方が開口する折り畳み式のコンテナ本体と、該コンテナ本体内に収容される可撓性を有する給水用の袋体とを具備し、袋体は、該袋体内に水を供給(補充)するための液体補充用ノズルが上部に設けられ、袋体内の水を取り出すための液体排出用ノズルが側面下部に設けられ、液体排出用ノズルがコンテナ本体の側板に設けた孔部から先端が突出した状態で保持されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、袋体内の液体を取り出すノズルをコンテナの側板に取り付ける構造として、折り畳み式のコンテナ本体の側板に設けられたノズル引き出し用の窓部の両側部に案内溝を設け、該案内溝にノズル保持板を固着し、ノズル保持板の上に上下滑動自在に、下開きの半円形切欠きを持ったノズル押え板を嵌着し、ノズル保持板とノズル押え板で形成される円孔で、ノズルに設けた鍔とフランジ間の管状部を挟持固定するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
上記特許文献1,2に記載の液体用コンテナは、袋体内の水の排出が完了した後、袋体をコンテナ本体から取り外した状態で、コンテナ本体が折り畳まれるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいては、液体排出用ノズルをコンテナ本体の側板に設けられた孔部に挿入して先端が突出した状態で接着剤等により固定して保持する構造であるため、液体排出用ノズルの取り付け、取り外しが面倒である。
【0008】
これに対して、特許文献2に記載のものは、コンテナの側板に設けられたノズル引き出し用の窓部の両側部の案内溝に固着されるノズル保持板の上に、下開きの半円形切欠きを持ったノズル押え板を嵌着し、ノズル保持板とノズル押え板で形成される円孔で、ノズルに設けた鍔とフランジ間の管状部を挟持固定するため、特許文献1に記載のものに比べて液体排出用ノズルの取り付け、取り外しを容易にすることができる。しかし、特許文献2に記載のものにおいては、窓部を構成する枠部材に設けられた案内溝内にノズル押え板を嵌挿する構造であるため、案内溝とノズル押え板との間に隙間が生じ、これが起因してノズル押え板ががたついて液体排出用ノズルの保持が不十分となり、袋体内に水が供給されて下部に内圧が加わった場合、案内溝から外れる虞がある。このように液体排出用ノズルの保持が不十分であると、安定した状態で袋体内に水を供給することができない懸念がある。
【0009】
また、特許文献1,2に記載のものにおいては、いずれも袋体内に水を供給する際に、液体補充用ノズルを保持する点については言及されておらず、袋体内に水を供給する際の袋体の安定保持に懸念がある。
【0010】
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、コンテナ本体内に収容される袋体のコンテナ本体内への取り付け、取り外しを容易にすると共に、袋体に設けられる給水ノズル及び配水ノズルをコンテナ本体に安定保持して、安定した状態で袋体内に水を供給可能にする給水コンテナを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、上方が開口する折り畳み式のコンテナ本体と、該コンテナ本体内に収容される可撓性を有する給水用の袋体と、を具備し、 上記袋体は、該袋体内に水を供給するための給水ノズルが上部に設けられ、袋体内の水を取り出すための配水ノズルが下部側面に設けられ、 上記給水ノズルは、上記袋体内に水を供給する際、上記コンテナ本体の開口部に保持され、上記配水ノズルは、上記コンテナ本体の側壁からコンテナ本体の外部に突出した状態に保持される給水コンテナであって、 上記配水ノズルはノズル先端部付近に鍔部を具備し、 上記コンテナ本体の側壁の下部に配水ノズル取付用開口を設け、該配水ノズル取付用開口の対向する両側辺に上記側壁の開口端部に当接する当接片と、該当接片の両端から相反する方向に直交状に折曲される第1,第2の折曲片を有し、第1の折曲片が上記側壁に固定される外枠部材を設けると共に、上記外枠部材の当接片に固定される固定片と、該固定片の一端から直交状に折曲されて上記外枠部材の第2の折曲片との間に平行な案内溝を形成する第3の折曲片とを有する内枠部材を設け、 上記外枠部材の第2の折曲片と上記内枠部材の第3の折曲片とで形成される上記案内溝内に上方から摺接可能な配水ノズル押え板に、上記配水ノズルのノズル先端部のみが嵌挿可能な下方が開口する配水ノズル保持用切欠きを設けてなる、ことを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、コンテナ本体の側壁の下部に設けられた配水ノズル取付用開口の対向する両側辺に設けられる外枠部材の第2の折曲片と、外枠部材に固定される内枠部材の第3の折曲片とで平行な案内溝を形成するので、該案内溝内に上方から摺接可能な配水ノズル押え板に設けられた下方が開口する配水ノズル保持用切欠きに配水ノズルのノズル先端部のみを嵌挿して、配水ノズルの鍔部より先端側のノズル先端部を側壁から突出した状態で保持することができる。
【0013】
請求項1に記載の給水コンテナにおいて、上記コンテナ本体の側壁にずれ止め用突起を突設し、上記配水ノズル押え板に上記ずれ止め用突起が嵌合可能なずれ止め用孔を設けるのが好ましい(請求項2)。
【0014】
このように構成することにより、コンテナ本体の側壁に突設されたずれ止め用突起と、配水ノズル押え板に設けられたずれ止め用孔とを嵌合することで、配水ノズル押え板による配水ノズルの保持状態を維持することができると共に、振動等によって配水ノズル押え板がずれて配水ノズルの保持が不十分になるのを防止することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、上方が開口する折り畳み式のコンテナ本体と、該コンテナ本体内に収容される可撓性を有する給水用の袋体と、を具備し、 上記袋体は、該袋体内に水を供給するための給水ノズルが上部に設けられ、袋体内の水を取り出すための配水ノズルが下部側面に設けられ、 上記給水ノズルは、上記袋体内に水を供給する際、上記コンテナ本体の開口部に保持され、上記配水ノズルは、上記コンテナ本体の側壁からコンテナ本体の外部に突出した状態に保持される給水コンテナであって、 上記給水ノズルはノズル先端部付近に鍔部を具備し、 上記給水ノズルを上記コンテナ本体の開口部に保持する給水ノズル保持具は、上記コンテナ本体の開口の対向する側壁上に架設される一対の梁部材と、該梁部材上に固定され上記給水ノズルのノズル先端部のみが側方から嵌挿可能な給水ノズル保持用切欠きを有する給水ノズル受け板と、一端が上記両梁部材上にヒンジを介して起倒可能に設けられ、他端が上記給水ノズル受け板の給水ノズル保持用切欠きの開口端を塞ぐ給水ノズル押え板と、を具備することを特徴とする。
【0016】
このように構成することにより、コンテナ本体の開口の対向する側壁上に架設される給水ノズル保持具に設けられた給水ノズル受け板の給水ノズル保持用切欠きに給水ノズルのノズル先端部を嵌挿した後、給水ノズル押え板を倒して給水ノズル保持用切欠きの開口端を塞ぐことで、給水ノズルの鍔部より先端側のノズル先端部を給水ノズル保持具から突出した状態で保持することができる。また、袋体内への水の供給が完了した後、給水ノズル押え板を起立して給水ノズル受け板の給水ノズル保持用切欠きの開口端を開放した状態で、給水ノズル保持具による給水ノズルの保持を解除することができる。
【0017】
請求項3に記載の給水コンテナにおいて、上記給水ノズル保持具は、上記梁部材の両端部に上記コンテナ本体の側壁の上端側面に係脱可能な係止部材を具備するのが好ましい(請求項4)。
【0018】
このように構成することにより、コンテナ本体内に収容された袋体内に水を供給する際に、給水ノズル保持具をコンテナ本体の開口の対向する側壁の上端側面に係止部材を係合させて給水ノズル保持具を架設して給水ノズルを保持することができる。また、袋体内への水の供給が完了した後は、給水ノズル保持具をコンテナ本体から取り外して、別の給水コンテナの給水ノズルの保持に使用することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような顕著な効果が得られる。
【0020】
(1)請求項1に記載の発明によれば、コンテナ本体の側壁の下部に設けられた配水ノズル保持用開口の対向する両側辺に設けられる外枠部材の第2の折曲片と、外枠部材に固定される内枠部材の第3の折曲片とで形成される平行な案内溝内に上方から摺接可能な配水ノズル押え板に設けられた下方が開口する配水ノズル保持用切欠きに配水ノズルのノズル先端部のみを嵌挿して、配水ノズルの鍔部より先端側のノズル先端部を側壁から突出した状態で保持することができるので、コンテナ本体内に収容される袋体のコンテナ本体内への取り付け、取り外しを容易にすると共に、配水ノズル押え板のがたつきを抑制して袋体に設けられる配水ノズルをコンテナ本体に安定保持し、安定した状態で袋体内に水を供給することができる。
【0021】
(2)請求項2に記載の発明によれば、配水ノズル押え板による配水ノズルの保持状態を維持することができると共に、振動等によって配水ノズル押え板がずれて配水ノズルの保持が不十分になるのを防止することができるので、上記(1)に加えて更に配水ノズルの保持を安定させることができる。
【0022】
(3)請求項3に記載の発明によれば、コンテナ本体の開口の対向する側壁上に架設される給水ノズル保持具に設けられた給水ノズル受け板の給水ノズル保持用切欠きに給水ノズルのノズル先端部を嵌挿した後、給水ノズル押え板によって給水ノズル保持用切欠きの開口端を塞ぐことで、給水ノズルの鍔部より先端側のノズル先端部を給水ノズル保持具から突出した状態で保持することができるので、袋体に設けられる給水ノズルをコンテナ本体に安定保持し、安定した状態で袋体内に水を供給することができる。
【0023】
(4)請求項4に記載の発明によれば、給水ノズル保持具をコンテナ本体の開口の対向する側壁の上端側面に係止部材を係合させて給水ノズル保持具を架設して給水ノズルを保持することができるので、給水ノズルの位置を安定させた状態で、コンテナ本体内に収容された袋体内に水を供給することができる。また、袋体内への水の供給が完了した後は、給水ノズル保持具をコンテナ本体から取り外して、別の給水コンテナの給水ノズルの保持に使用することができるので、給水ノズル保持具を複数の給水コンテナに共通して使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、この発明に係る給水コンテナの実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
この発明に係る給水コンテナは、
図1及び
図10に示すように、パレット1を設けた矩形状の底部11の4辺にそれぞれ折り畳み可能に立設される正面、背面及び左右側面の側壁12a,12b,12c,12dを有する上方が開口した折り畳み式のコンテナ本体10と、コンテナ本体10内に収容される可撓性を有する袋体2と、コンテナ本体10の開口部10aを塞ぐ蓋体3と、を具備する。この場合、側壁12a,12b,12c,12dは、
図5及び
図5Aを代表して示すように、仕切壁13によって区画された複数の中空部14を有するアルミニウム製押出形材にて形成される複数の側板15の上端部の嵌合凸部16と、下端部の嵌合凹部17とを嵌合した状態で積層して構成されている。
【0027】
袋体2は、袋体2内に水を供給するための給水ノズル20が上部に設けられ、袋体2内の水を取り出すための配水ノズル30が下部側面に設けられている。
【0028】
給水ノズル20は、ノズル先端部21付近に鍔部22を具備し、袋体2内に水を供給する際、コンテナ本体10の開口部10aに架設される後述する給水ノズル保持具50によって保持される。
【0029】
一方、配水ノズル30は、ノズル先端部31付近に鍔部32を具備し、
図1ないし
図5Aに示すように、コンテナ本体10の側壁例えば正面側壁12aからコンテナ本体10の外部に突出した状態に保持される。
【0030】
上記コンテナ本体10の側壁12aの下部中央部には、配水ノズル取付用開口40が設けられており、配水ノズル取付用開口40の対向する両側辺に設けられる一対の外枠部材41と内枠部材42によって形成される案内溝43内に摺接可能に嵌挿される配水ノズル押え板44によって配水ノズル30のノズル先端部31がコンテナ本体10の外部に突出した状態に保持される。
【0031】
この場合、外枠部材41は、側壁12aの開口端部(側板15の小口)に当接する当接片41aと、当接片41aの両端から相反する方向に直交状に折曲される第1,第2の折曲片41b,41cを有する断面略クランク状に形成されるアルミニウム製押出形材にて形成されており、第1の折曲片41bが側壁12aの外側面にリベット46によって固定されている。
【0032】
一方、内枠部材42は、外枠部材41の当接片41aにリベット46によって固定される固定片42aと、固定片42aの一端から直交状に折曲されて、外枠部材41の第2の折曲片41cとの間に平行な案内溝43を形成する第3の折曲片42bとを有する断面略L字状のアルミニウム製押出形材にて形成されている。この場合、第3の折曲片42bの外側面は側壁12aの内壁面と同一面上に位置しており、第3の折曲片42bの外側面と上記外枠部材41の第2の折曲片41cの内側面との間に形成される案内溝43の幅が配水ノズル押え板44の厚みより僅かに大きく形成されている。
【0033】
上記配水ノズル押え板44は、
図3及び
図4に示すように、外枠部材41の第2の折曲片41cと内枠部材42の第3の折曲片42bとで形成される案内溝43内に上方から摺接可能に嵌挿されるアルミニウム製の矩形板部材にて形成されており、その下端には配水ノズル30のノズル先端部21のみが嵌挿可能な配水ノズル保持用切欠き45が下方に開口して設けられている。この場合、配水ノズル保持用切欠き45は、ノズル先端部21の外径より若干大きい幅寸法の直状部45aの内方側に三角状部45bを有する形状に形成されている。なお、直状部45aの開口端には面取り部45cが設けられている。
【0034】
また、配水ノズル押え板44の中心部には、配水ノズル押え板44が配水ノズル30を保持する状態の位置決めとずれを防止するためのずれ止め用孔47が設けられている。このずれ止め用孔47は、コンテナ本体10の側壁12aにリベットによって突設されたずれ止め用突起48と嵌合可能になっており、ずれ止め用孔47とずれ止め用突起48が嵌合した状態で、配水ノズル押え板44による配水ノズル30の保持状態が維持されると共に、振動等によるずれが防止される(
図5参照)。なお、配水ノズル押え板44における配水ノズル保持用切欠き45と反対側の上端部側には指掛け用の孔部49が設けられている。 上記のように構成される配水ノズル取付用開口40に配水ノズル30取り付けるには、まず、コンテナ本体10の内方側から配水ノズル取付用開口40に配水ノズル30のノズル先端部31を挿入してコンテナ本体10の外側に突出させる。この状態で、外枠部材41の第2の折曲片41cと内枠部材42の第3の折曲片42bとで形成される案内溝43内に上方から配水ノズル押え板44を嵌挿して、ノズル先端部31の外周を配水ノズル保持用切欠き45内に嵌入した状態で配水ノズル30を保持する。このとき、配水ノズル押え板44に設けられたずれ止め用孔47と、側壁12aに突設されたずれ止め用突起48が嵌合して、配水ノズル押え板44による配水ノズル30の保持状態が維持されると共に、振動等によるずれが防止される。
【0035】
保持された配水ノズル30の突出部には、ノズル先端部31に設けられたねじ部(図示せず)にねじ結合する配水コック60が取り付けられる(
図5A参照)。
【0036】
上記のように構成することにより、外枠部材41の第2の折曲片41cと、外枠部材41に固定される内枠部材42の第3の折曲片42bとで形成される平行な案内溝43内に上方から摺接可能な配水ノズル押え板44に設けられた下方が開口する配水ノズル保持用切欠き45に配水ノズル30のノズル先端部31のみを嵌挿して、配水ノズル30の鍔部32より先端側のノズル先端部31を側壁12aから突出した状態で保持することができるので、コンテナ本体10内に収容される袋体2のコンテナ本体10内への取り付け、取り外しを容易にすると共に、配水ノズル押え板44のがたつきを抑制して袋体2に設けられる配水ノズル30をコンテナ本体10に安定保持し、安定した状態で袋体2内に水を供給することができる。したがって、袋体2内に水を供給して袋体2の下部に内圧が加わった場合においても配水ノズル押え板44は保持状態を維持することができる。
【0037】
また、ずれ止め用孔47とずれ止め用突起48が嵌合することで、配水ノズル押え板44による配水ノズル30の保持状態を維持することができると共に、振動等によって配水ノズル押え板44がずれて配水ノズル30の保持が不十分になるのを防止することができるので、更に配水ノズル30の保持を安定させることができる。
【0038】
次に、給水ノズル20をコンテナ本体10の開口部に保持する給水ノズル保持具50について、
図1、
図6ないし
図9を参照して説明する。
【0039】
給水ノズル保持具50は、コンテナ本体10の開口の対向する側壁例えば正面及び背面側壁12a,12b上に架設される一対の梁部材51と、該梁部材51上に固定され給水ノズル20のノズル先端部21のみが側方から嵌挿可能な給水ノズル保持用切欠き52を有する給水ノズル受け板53と、一端が両梁部材51上にヒンジ54を介して起倒可能に設けられ、他端が給水ノズル受け板53の給水ノズル保持用切欠き52の開口端を塞ぐ給水ノズル押え板55と、を具備する。また、梁部材51の両端部には、コンテナ本体10の側壁12a,12bの上端側面に係脱可能な係止部材56が設けられている。
【0040】
この場合、梁部材51はチャンネル状のアルミニウム製押出形材にて形成され、係止部材56は水平片56aと垂直片56bからなるアングル状のアルミニウム製押出形材にて形成されており、アングル状押出形材を所定の寸法に切断して係止部材56が形成される。また、給水ノズル受け板53と給水ノズル押え板55はアルミニウム製の板部材にて形成されており、給水ノズル受け板53は、上記配水ノズル押え板44と同様の板部材にて形成されている。すなわち、給水ノズル保持用切欠き52は、ノズル先端部31の外径より若干大きい幅寸法の直状部52aの内方側に三角状部52bを有する形状に形成されている。なお、直状部52aの開口端には面取り部(図示せず)が設けられている。
【0041】
上記のように形成される給水ノズル受け板53は、間隔をおいて互いに平行に配置された一対の梁部材51上に載置され、リベット57によって固定される。給水ノズル押え板55は、一対の梁部材51上に載置され、各梁部材51の上面と給水ノズル押え板55の端部上面に跨がって取り付けられるヒンジ54によって起倒可能に装着される。この場合、ヒンジ54の一方の片を給水ノズル押え板55の上面に固定し、ヒンジ54の他方の片を給水ノズル押え板55と同じ厚さのスペーサ(図示せず)を介して梁部材51の上面に固定するのがよい。また、係止部材56は、水平片56aがリベット57によって固定されて、垂直片56bが梁部材51の端部より下方に垂下した状態に取り付けられている。
【0042】
上記のように構成される給水ノズル保持具50を用いて給水ノズル20を保持するには、両梁部材51をコンテナ本体10の開口の対向する側壁例えば正面及び背面側壁12a,12b上に架設すると共に、係止部材56の垂直片56bを側壁12a,12bの上端側面に係止する。次に、
図7に示すように、給水ノズル押え板55を起立させて、給水ノズル受け板53の給水ノズル保持用切欠き52の開口部を開放し、側方から給水ノズル20のノズル先端部21を給水ノズル保持用切欠き52内に嵌挿する。その後、給水ノズル押え板55を倒して給水ノズル保持用切欠き52の開口端を塞ぐことで、給水ノズル20が安定した状態で保持される。そして、給水ノズル保持具50によって保持された給水ノズル20のノズル先端部21に給水管70を接続して袋体2内に水を供給する(
図8参照)。なおこの場合、給水ノズル20のノズル先端部21に給水コック(図示せず)を取り付けて、給水管70を接続するようにしてもよい。
【0043】
袋体2内への水の供給が完了した後、給水ノズル押え板55を起立して給水ノズル受け板53の給水ノズル保持用切欠き52の開口端を開放した状態で、給水ノズル保持具50による給水ノズル20の保持を解除して、給水ノズル保持具50を取り除く。その後、コンテナ本体10の開口部に蓋体3が被着される。この場合、蓋体3は矩形状板部3aの角部にアングル状コーナー部材3bを具備し、アングル状コーナー部材3bがコンテナ本体10の角部に被着されるようになっている。
【0044】
上記のように構成することにより、コンテナ本体10の開口の対向する側壁12a,12b上に架設される給水ノズル保持具50に設けられた給水ノズル受け板53の給水ノズル保持用切欠き52に給水ノズル20のノズル先端部21を嵌挿した後、給水ノズル押え板55によって給水ノズル保持用切欠き52の開口端を塞ぐことで、給水ノズル20の鍔部22より先端側のノズル先端部21を給水ノズル保持具50から突出した状態で保持することができるので、袋体2に設けられる給水ノズル20をコンテナ本体10に安定保持して、安定した状態で袋体2内に水を供給することができる。
【0045】
また、給水ノズル保持具50をコンテナ本体10の開口の対向する側壁12a,12bの上端側面に係止部材56を係合させて給水ノズル保持具50を架設して給水ノズル20を保持することで、給水ノズル20を安定させた状態で、コンテナ本体10内に収容された袋体2内に水を供給することができる。また、袋体2内への水の供給が完了した後は、給水ノズル保持具50をコンテナ本体10から取り外して、別の給水コンテナの給水ノズル20の保持に使用することができる。したがって、給水ノズル保持具50を複数の給水コンテナに共通して使用することができる利便性がある。
【0046】
次に、この発明におけるコンテナ本体10の折り畳み構造について、
図1,
図9ないし
図12を参照して簡単に説明する。
【0047】
コンテナ本体10は、上述したように、パレット1を設けた矩形状の底部11の4辺にそれぞれ折り畳み可能に立設される正面、背面及び左右側面の側壁12a,12b,12c,12dを有しており、側壁12a,12b,12c,12dは、
図5及び
図5Aを代表して示すように、仕切壁13によって区画された複数の中空部14を有するアルミニウム製押出形材にて形成される複数の側板15の上端部の嵌合凸部16と嵌合凹部17とを嵌合した状態でそれぞれ一対の縦枠81,81;82,82間に積層して構成されている。すなわち、正面側壁12aと背面側壁12bを構成する側板15は一対の縦枠81,81間に積層されており、左右側壁12c,12dを構成する側板15は一対の縦枠82,82間に積層されている。
【0048】
この場合、側壁12a,12b,12c,12dの各縦枠81,82は、底部11の角部に立設されるアングル状のコーナー部材83との間にそれぞれ高さの異なる枢着部(図示せず)を介して起倒可能に形成されている。また、正面側壁12aと背面側壁12bにおける最上段の側板15の両端側には摺動自在なロックピン91aを有する上部ジョイント金具90Aが装着されており、この上部ジョイント金具90Aのロックピン91aが正面側壁12aと背面側壁12bの縦枠81に設けられた貫通孔84を貫通して隣接する左右側壁12c,12dの縦枠82に設けられた係止孔85に係脱可能に形成されている(
図9参照)。
【0049】
また、正面側壁12aと背面側壁12bの縦枠81には、側壁12a,12bの外方に向かって隆起する第1の係合部86aと、溝状の第1の係合受け部87aが連設されている。また、左右側壁12c,12dの縦枠82の内側面には、上記第1の係合部86aに係脱可能に係合する第2の係合受け部87bと、上記第1の係合受け部87aに係脱可能に係合する第2の係合部86bが形成されている。この場合、第1及び第2の係合部86a,86bに、先端に向かって狭小となるテーパ面88が形成され、また、第1及び第2の係合受け部87a,87bには、先端に向かって拡開するテーパ面89が形成されている。
【0050】
このように、縦枠81に第1の係合部86aと第1の係合受け部87aとを連設し、縦枠82には、第1の係合部86a及び第1の係合受け部87aとそれぞれ係脱可能に係合する第2の係合受け部87bと第2の係合部86bを形成することにより、隣接する側壁12a,12b,12c,12d同士の第1の係合部86aと第1の係合受け部87aとを係合すると共に、第2の係合部86bと第2の係合受け部87bとを係合するので、使用時における一方の側壁12a,12bによって他方の側壁12c,12dの内側及び外側への転倒を防止することができ、また、他方の側壁12c,12dによって一方の側壁12a,12bの外側への転倒を防止することができる。この場合、第1及び第2の係合部86a,86bに、先端に向かって狭小となるテーパ面88を形成し、第1及び第2の係合受け部87a,87bには、先端に向かって拡開するテーパ面89を形成することにより、第1及び第2の係合部86a,86bと第1及び第2の係合受け部887a,87bとの係脱を容易にすることができる。
【0051】
また、左右側壁12c,12dにおける最下段の側板15の両端側には摺動自在なロックピン91bを有する下部ジョイント金具90Bが装着されており、この下部ジョイント金具90Bのロックピン91bが左右側壁12c、12dの縦枠82に設けられた貫通孔84aを貫通してコーナー部材83に設けられた係止孔85aに係脱可能に形成されている(
図11参照)。
【0052】
上記のように構成することにより、上部ジョイント金具90Aのロックピン91aを操作して、左右側壁12c,12dの縦枠82に設けられた係止孔85との係合を解除することで、左右側壁12c,12dに対して正面及び背面側壁12a,12bを内側に倒し(折り畳み)、その後、左右側壁12c,12dを内側に倒す(折り畳む)ことができる。また、下部ジョイント金具90Bのロックピン91bを操作して、コーナー部材83に設けられた係止孔85aとの係合を解除することで、左右側壁12c,12dに対して正面及び背面側壁12a,12bを内側に倒した(折り畳んだ)後、左右側壁12c,12dを内側に倒す(折り畳む)ことができる。
【0053】
したがって、側壁12a,12b,12c,12dの起倒すなわちコンテナの組立及び折り畳みを容易にすることができる。
図12に示すように、折り畳まれたコンテナ本体10の上端部に蓋体3が被着される。このようにして折り畳まれた複数のコンテナ本体10は、積層された状態で保管される。
【0054】
なお、上記実施形態では、コンテナ本体10の下部中央部に配水ノズル取付用開口40を設け、配水ノズル取付用開口40の対向する両辺部に設けられる一対の外枠部材41と内枠部材42によって形成される案内溝43内に嵌挿される配水ノズル押え板44によって配水ノズル30のノズル先端部31をコンテナ本体10の外部に突出した状態に保持する場合について説明したが、配水ノズル30の保持部を正面側壁12a以外の背面側壁12b、左右側壁12c,12dに設けてもよい。
【0055】
また、上記コンテナ本体10の折り畳み構造は上記実施形態の構造に限定されるものではなく、底部11に対して正面側壁12a、背面側壁12b、左右側壁12c,12dが折り畳み可能な構造であれば、任意の構造であってもよい。